JPH09226297A - 転写フィルム・シート - Google Patents

転写フィルム・シート

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JPH09226297A
JPH09226297A JP3451896A JP3451896A JPH09226297A JP H09226297 A JPH09226297 A JP H09226297A JP 3451896 A JP3451896 A JP 3451896A JP 3451896 A JP3451896 A JP 3451896A JP H09226297 A JPH09226297 A JP H09226297A
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JP
Japan
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propylene
copolymer
weight
transfer film
resin composition
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Pending
Application number
JP3451896A
Other languages
English (en)
Inventor
Takayuki Kono
孝之 河野
Toshimi Nikaido
俊実 二階堂
Masahiko Endo
雅彦 遠藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Publication date
Application filed by Idemitsu Petrochemical Co Ltd filed Critical Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 転写時の熱加工性や被転写体との密着性、
基材のインキ保持性,インキ転写性,インキ層からの剥
離性が良好で、かつ剥離後に廃棄の問題のない、三次元
曲面への絵付け用転写フィルム・シートを提供するこ
と。 【解決手段】基材フィルム・シートとして、(A)
(a)13C−NMRによるペンタッド分率におけるrr
rr/(1−mmmm)×100、DSCで測定した融
解ピーク温度(Tm)及び融解エンタルピー(ΔH)が
特定の範囲にあるプロピレンの単独重合体や4重量%以
下の他のオレフィン単位を含む共重合体100〜20重
量%と、(b)他のオレフィン単位10〜80重量%を
含むプロピレン系共重合体0〜80重量%とからなるポ
リプロピレン系樹脂組成物、又は(B)この(A)成分
99〜60重量%と熱可塑性エラストマー共重合体1〜
40重量%との樹脂組成物からなるフィルム・シートを
用いた転写フィルム・シートである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は転写フィルム・シー
トに関し、さらに詳しくは、転写時の熱加工性及び被転
写体との密着性が良好で、かつ基材のインキ保持性,イ
ンキ転写性及びインキ層からの剥離性が良好である上、
剥離後に廃棄の問題がなく、三次元曲面への絵付けに好
適に使用される転写フィルム・シートに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、三次元曲面を有する成形品への絵
付け方法としては、一般に、真空成形,圧空成形,イン
モールド成形などによって、加熱軟化状態の転写フィル
ムやシートを被転写体に密着させ、絵柄層を転写する方
法が用いられている。この際使用する転写フィルムやシ
ートには、(1)転写前に絵柄層(インキ)の脱離がな
く、かつ転写後に確実にインキが被転写体に移行するよ
うな基材のインキ保持性とインキ転写性、(2)転写時
の加熱軟化状態で転写フィルムやシートが垂れ下がった
り、破断することのない熱加工性、(3)三次元曲面と
の密着性(伸縮性)及び(4)転写後に絵柄層から基材
を容易に剥がしうる絵柄層と基材との剥離性などの機能
が要求される。
【0003】これまで、転写フィルムやシートの基材に
は、成形性,熱加工性,コストなどの面から、塩化ビニ
ル系樹脂のフィルムやシートが用いられてきた。しかし
ながら、この塩化ビニル系樹脂基材は絵柄層との剥離性
が悪く、これを改良するために、基材にオレフィン系樹
脂のフィルムやシートを用いると、加熱軟化時における
伸びにより、垂れ下がるなどの好ましくない事態を招来
し、熱加工性が悪化する。そこで、特開平2−2820
00号公報では、塩化ビニル樹脂基材に剥離剤層と介在
層を設けることで対応しているが、この場合、五層積層
構造となり、製造工程が煩雑となるのを免れない。ま
た、特公平7−29518号公報では、インキのバイン
ダー樹脂を改良することで、また特公平7−10039
8号公報では、剥離層の樹脂を改良することで単純な層
構造にしているが、この場合、転写後に剥離する塩化ビ
ニル樹脂基材の廃棄が問題となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の転写フィルム・シートがもつ欠点を克服し、真空
成形,圧空成形,インモールド成形などによる転写時に
おいて、熱加工性及び被転写体との密着性が良好で、か
つ基材のインキ保持性,インキ転写性及びインキ層から
の剥離性が良好である上、剥離後の廃棄の問題もなく、
三次元曲面への絵付けに好適に用いられる転写フィルム
・シートを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の好
ましい性質を有する転写フィルム・シートを開発すべく
鋭意研究を重ねた結果、転写フィルム・シートの基材と
して、特定の性状を有するプロピレン系樹脂又はこれと
プロピレン系共重合体とを特定の割合で含有するポリプ
ロピレン系樹脂組成物、あるいはこれらとさらに熱可塑
性エラストマー共重合体とを特定の割合で含有する樹脂
組成物からなるフィルム又はシートを用いることによ
り、その目的を達成しうることを見出した。本発明は、
かかる知見に基づいて完成したものである。すなわち、
本発明は、基材上に絵柄層と接着剤層が順次積層された
構造を有する転写フィルム・シートにおいて、該基材と
して、(A)(a)(イ)同位体炭素核磁気共鳴(13
−NMR)スペクトルによるペンタッド分率において、
rrrr/(1−mmmm)×100が15〜50%、
(ロ)示差走査熱量分析計(DSC)にて測定した融解
ピーク温度(Tm)が150℃以上及び(ハ)DSCに
て測定した融解エンタルピー(ΔH)が100J/g以
下であるプロピレンの単独重合体及び/又は4重量%以
下の他のオレフィン単位を含有するプロピレン系共重合
体からなるプロピレン系樹脂100〜20重量%と、
(b)プロピレン以外のオレフィン単位10〜80重量
%を含有するプロピレン系共重合体0〜80重量%とか
らなるポリプロピレン系樹脂組成物、又は(B)該
(A)成分のポリプロピレン系樹脂組成物99〜60重
量%と熱可塑性エラストマー共重合体1〜40重量%と
の樹脂組成物からなるフィルム又はシートを用いたこと
を特徴とする転写フィルム・シートを提供するものであ
る。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の転写フィルム・シート
は、基材上に絵柄層と接着剤層が順次積層された構造を
有するものである。本発明においては、この転写フィル
ム・シートの基材として、(A)(a)特定の性状を有
するプロピレンの単独重合体及び/又は4重量%以下の
他のオレフィン単位を含有するプロピレン系共重合体か
らなるプロピレン系樹脂100〜20重量%と、(b)
プロピレン以外のオレフィン単位10〜80重量%を含
有するプロピレン系共重合体0〜80重量%とからなる
ポリプロピレン系樹脂組成物、又は(B)この(A)成
分のポリプロピレン系樹脂組成物99〜60重量%と熱
可塑性エラストマー共重合体1〜40重量%とからなる
樹脂組成物が用いられる。ここで、上記(A)(a)成
分のプロピレンの単独重合体やプロピレン系共重合体の
特定の性状とは、下記の(イ)〜(ハ)に示す性状を指
す。
【0007】まず、(イ)同位体炭素核磁気共鳴(13
−NMR)スペクトルによるペンタッド分率において、
rrrr/(1−mmmm)×100が15〜50%の
範囲にあることが必要である。この値が15%未満では
耐熱性が不十分で、転写時の熱加工性が悪くなり、50
%を超えると柔軟性が不充分で転写時の密着性が悪くな
る。耐熱性及び柔軟性のバランスの面から、好ましいr
rrr/(1−mmmm)×100は20〜40%の範
囲である。ここでrrrrとは任意の連続する5つのプ
ロピレン単位で構成される炭素−炭素結合による主鎖に
対して、側鎖である5つのメチル基が交互に反対方向に
位置する立体構造あるいはその割合を意味し、mmmm
とは任意の連続する5つのプロピレン単位で構成される
炭素−炭素結合による主鎖に対して、側鎖である5つの
メチル基がいずれも同方向に位置する立体構造あるいは
その割合を意味する。
【0008】なお、このrrrr/(1−mmmm)×
100は次のようにして測定した値である。すなわち、
JNM−FX−200(日本電子社製,13C−核共鳴周
波数50.1MHz)を用い、測定モード:プロトン完全
デカップリング法,パルス幅:6.9μs(45°),パ
ルス繰り返し時間:3s,積算回数:10000回,溶
媒:1,2,4−トリクロロベンゼン/重ベンゼン(9
0/10容量%),試料濃度250mg/2.5ミリリッ
トル溶媒,測定温度:130℃の条件にて、13C−NM
R測定を行い、メチル基の立体規則性によるケミカルシ
フトの違いにより、すなわち、22.5〜19.5ppm領
域に現れるmmmm〜mrrmの各ピークの面積強度比
から、ペンタッド分率を測定し、rrrr/(1−mm
mm)×100の値を求めた。 mmmm:21.86ppm mmmr:21.62ppm mmrr:21.08ppm mmrm+rrmr:20.89ppm rrrr:20.36ppm mrrm:19.97ppm
【0009】次に、(ロ)示差走査熱量分析計(DS
C)にて測定した融解ピーク温度(Tm)が150℃以
上であることが必要である。Tmが150℃未満では耐
熱性が不充分で、転写時の熱加工性が悪くなるととも
に、転写後に絵柄層からの基材の剥離性が悪化する。こ
のTmは、通常150〜165℃の範囲である。なお、
該Tmは、Perkin−Elmer社製DSC−7を
用いて測定を行い、JISK−7121に準拠して融解
ピークの温度として求めた値である。さらに、(ハ)D
SCにて測定した融解エンタルピー(ΔH)が100J
/g以下であることを要する。ΔHが100J/gを超
えると柔軟性が不充分で、転写時の密着性が悪くなると
ともに、基材からの絵柄層の転写性が悪くなる。また、
このΔHがあまり小さすぎると強度が不充分となるの
で、好ましいΔHは10〜100J/gの範囲である。
なお、該ΔHは、Perkin−Elmer社製DSC
−7を用いて測定を行い、JIS K−7122に準拠
して、結晶融解時に吸収される総熱エネルギーとして求
めた値である。なお、DSCの測定は、サンプルを23
0℃に3分間保持した後、10℃/分で50℃まで降温
後、3分間保持し、10℃/分で230℃まで昇温する
条件で行った。
【0010】また、上記(a)成分のプロピレンの単独
重合体及び4重量%以下の他のオレフィン単位を含有す
るプロピレン系共重合体は、沸騰n−ヘプタン可溶分量
が7〜70重量%の範囲にあるものが好ましい。この沸
騰n−ヘプタン可溶分量が7重量%未満では柔軟性が不
足し、転写時の密着性や絵柄層の転写性が悪くなるおそ
れがあり、また、70重量%を超えると充分な機械的強
度や耐熱性が得られず、転写時の熱加工性が低下するお
それがある。柔軟性及び機械的強度、耐熱性のバランス
の面から、より好ましい沸騰n−ヘプタン可溶分量は1
0〜50重量%の範囲であり、特に10〜40重量%の
範囲が好適である。なお、沸騰n−ヘプタン可溶分量
は、ソックスレー抽出試験器を用い、沸騰n−ヘプタン
で6時間抽出した後の抽出残分量から、可溶分量を算出
して得られた値である。さらに、このプロピレンの単独
重合体及び4重量%以下の他のオレフィン単位を含有す
るプロピレン系共重合体においては、そのプロピレン連
鎖部において、通常側鎖のメチル基を有する炭素が隣接
して並ぶことはなく、すなわち逆転結合はなく、一つお
きに整然と並んでいる。つまり、本発明においては、各
プロピレン単位が頭−尾(head-tail)結合により連結し
ており、頭−頭(head-head)結合や尾−尾(tail-tail)
結合は実質的に皆無である。
【0011】また、上記4重量%以下の他のオレフィン
単位を含有するプロピレン系共重合体において、他のオ
レフィン単位を形成するコモノマーのオレフィン類とし
ては、例えば、エチレン;ブテン−1;ペンテン−1;
4−メチル−1−ペンテン;ヘキセン−1;ヘプテン−
1;オクテン−1;ノネン−1;デセン−1などのα−
オレフィンを挙げることができる。これらの中では、エ
チレンが好適である。これらのオレフィン類はそれぞれ
単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いても
よい。また、これらのコモノマーのオレフィン類は、得
られるプロピレン共重合体中の該オレフィン類に由来す
る単位の含有量が4重量%以下になるように用いること
が必要である。
【0012】一方、上記(a)成分のプロピレンの単独
重合体及び/又は4重量%以下の他のオレフィン単位を
含有するプロピレン系共重合体からなるプロピレン系樹
脂に、場合により混合して用いられる(b)成分のプロ
ピレン系共重合体は、プロピレン以外のオレフィン単位
10〜80重量%を含有するものである。このプロピレ
ン以外のオレフィン単位としては、例えばエチレン;ブ
テン−1;ペンテン−1;4−メチル−1−ペンテン;
ヘキセン−1;ペンテン−1;オクテン−1;ノネン−
1;デセン−1などが挙げられ、これらは一種を用いて
もよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。この
(b)成分のプロピレン系共重合体は、通常ランダム共
重合体が用いられる。
【0013】該(A)成分のポリプロピレン系樹脂組成
物における前記(a)成分のプロピレン系樹脂と(b)
成分のプロピレン系共重合体の含有割合は、(a)成分
が100〜20重量%であり、(b)成分が0〜80重
量%である。(b)成分の含有量が80重量%を超える
とポリプロピレン系樹脂組成物の柔軟性が過剰となり、
本発明の目的が達せられない。この(b)成分の好まし
い含有量は0〜50重量%の範囲である。本発明におい
ては、該(A)成分のポリプロピレン系樹脂組成物は、
メルトインデックス(MI)が0.1〜50g/10分の
範囲にあるのが望ましい。このMIが0.1g/10分未
満では成形が困難であり、また50g/10分を超える
と得られる成形品の機械的物性が不充分となる。成形性
及び成形品の機械的物性のバランスの面から、より好ま
しいMIは0.2〜30g/10分の範囲である。なお、
このMIは、JIS K7210に準拠し、荷重2.16
kgf及び温度230℃の条件で測定した値である。
【0014】本発明における(A)成分のポリプロピレ
ン系樹脂組成物は、例えば気相一段重合法,スラリー一
段重合法,気相多段重合法,スラリー多段重合法,又は
ブレンド法などによって製造することができる。例え
ば、重合法によって製造する場合には、 (W)(i)マグネシウム,チタン,ハロゲン原子及び
電子供与体からなる固体触媒成分、及び必要に応じて用
いられる(ii)結晶性ポリオレフィンから構成される固
体成分と、 (X)有機アルミニウム化合物と、 (Y)一般式(I)
【0015】
【化1】
【0016】〔式中、R1 は炭素数1〜20のアルキル
基、R2 は炭素数1〜10の炭化水素基、水酸基又はニ
トロ基を示し、mは1〜6の整数、nは0〜(6−m)
の整数を示す。〕で表されるアルコキシ基含有芳香族化
合物と、必要に応じて用いられる(Z)電子供与性化合
物とからなる触媒系の存在下、プロピレンを単独重合又
はプロピレンとその他のオレフィン類とを共重合させれ
ばよい。上記(W)固体成分は、(i)成分のマグネシ
ウム,チタン,ハロゲン原子及び電子供与体からなる固
体触媒成分と、必要に応じて用いられる(ii)成分の結
晶性ポリオレフィンとから構成されている。該(i)成
分の固体触媒成分は、マグネシウム,チタン,ハロゲン
原子及び電子供与体を必須成分とするものであって、マ
グネシウム化合物とチタン化合物と電子供与体とを接触
させることによって調製することができる。なお、この
場合、ハロゲン原子は、ハロゲン化物としてマグネシウ
ム化合物及び/又はチタン化合物などに含まれる。
【0017】該マグネシウム化合物としては、例えばマ
グネシウムジクロリドなどのマグネシウムジハライド、
酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ハイドロタル
サイト、マグネシウムのカルボン酸塩、ジエトキシマグ
ネシウムなどのジアルコキシマグネシウム、ジアリーロ
キシマグネシウム、アルコキシマグネシウムハライド、
アリーロキシマグネシウムハライド、エチルブチルマグ
ネシウムなどのジアルキルマグネシウム、アルキルマグ
ネシウムハライド、あるいは有機マグネシウム化合物と
電子供与体、ハロシラン、アルコキシシラン、シラノー
ル及びアルミニウム化合物等との反応物などを挙げるこ
とができるが、これらの中でマグネシウムジハライド、
ジアルコキシマグネシウム、ジアルキルマグネシウム、
アルキルマグネシウムハライドが好適である。またこれ
らのマグネシウム化合物は一種だけで用いてもよく、二
種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】また、マグネシウム化合物として、金属マ
グネシウムとハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物と
アルコールとの反応生成物を用いることもできる。この
際用いられる金属マグネシウムは特に制限はなく、任意
の粒径の金属マグネシウム、例えば顆粒状、リボン状、
粉末状などのものを用いることができる。また、金属マ
グネシウムの表面状態も特に制限はないが、表面に酸化
マグネシウムなどの被膜が生成されていないものが好ま
しい。さらに、アルコールとしては任意のものを用いる
ことができるが、炭素数1〜6の低級アルコールを用い
ることが好ましく、特に、エタノールは触媒性能の発現
を著しく向上させる固体触媒成分を与えるので好適であ
る。アルコールの純度及び含水量も限られないが、含水
量の多いアルコールを用いると金属マグネシウム表面に
水酸化マグネシウムが形成されるので、含水量が1重量
%以下、特に2000ppm以下のアルコールを用いる
ことが好ましく、水分は少なければ少ないほど有利であ
る。
【0019】ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物の
種類に制限はなく、ハロゲン含有化合物としては、ハロ
ゲン原子をその分子中に含む化合物であればいずれのも
のでも使用できる。この場合、ハロゲン原子の種類につ
いては特に制限されないが、塩素,臭素又はヨウ素、特
にヨウ素が好適に使用される。ハロゲン含有化合物の中
ではハロゲン含有金属化合物が特に好ましい。これらの
状態,形状,粒度などは特に限定されず、任意のもので
よく、例えばアルコール系溶媒(例えば、エタノール)
中の溶液の形で用いることができる。アルコールの使用
量は、金属マグネシウム1モルに対して通常2〜100
モル、好ましくは5〜50モルの範囲で選ばれる。アル
コール量が多すぎると、モルフォロジーの良好なマグネ
シウム化合物が得られにくい傾向がみられ、少ない場合
は、金属マグネシウムとの反応がスムーズに行われなく
なるおそれがある。
【0020】ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物は
通常、金属マグネシウム1グラム原子に対して、ハロゲ
ン原子として0.0001グラム原子以上、好ましくは0.
0005グラム原子以上、さらに好ましくは0.001グ
ラム原子以上の割合で用いられる。0.0001グラム原
子未満では、得られたマグネシウム化合物を粉砕するこ
となく用いた場合、担持量,活性,立体規則性,生成ポ
リマーのモルフォロジーなどが低下し、粉砕処理が不可
欠なものとなり好ましくない。また、ハロゲン及び/又
はハロゲン含有化合物の使用量を適宜選択することによ
り、得られるマグネシウム化合物の粒径を任意にコント
ロールすることが可能である。
【0021】金属マグネシウムとアルコールとハロゲン
及び/又はハロゲン含有化合物との反応それ自体は、公
知の方法を用いて行うことができる。例えば、金属マグ
ネシウムとアルコールとハロゲン及び/又はハロゲン含
有化合物とを、還流下で、水素ガスの発生が認められな
くなるまで、通常約20〜30時間反応させて所望のマ
グネシウム化合物を得る方法である。具体的には、例え
ばハロゲンとしてヨウ素を用いる場合には、アルコール
中に金属マグネシウム及び固体状のヨウ素を投入したの
ち、加熱し還流する方法、アルコール中に金属マグネシ
ウム及びヨウ素のアルコール溶液を滴下投入後加熱し還
流する方法、金属マグネシウムを含むアルコール溶液を
加熱しつつヨウ素のアルコール溶液を滴下する方法など
が挙げられる。いずれの方法も、例えば窒素ガス,アル
ゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下で、場合により不活
性有機溶媒(例えば、n−ヘキサンなどの飽和炭化水
素)を用いて行うことが好ましい。金属マグネシウム、
アルコール、ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物の
投入については、最初からそれぞれ全量を反応槽に投入
しておく必要はなく、分割して投入してもよい。特に好
ましい形態は、アルコールを最初から全量投入してお
き、金属マグネシウムを数回に分割して投入する方法で
ある。
【0022】このようにした場合、水素ガスの一時的な
大量発生を防ぐことができ、安全面から非常に望まし
い。また、反応槽も小型化することが可能となる。さら
には、水素ガスの一時的な大量発生により引き起こされ
るアルコールやハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物
の飛沫同伴を防ぐことも可能となる。分割する回数は、
反応槽の規模を勘案して決めればよく、操作の煩雑さを
考えると通常5〜10回が好適である。また、反応自体
は、バッチ式,連続式のいずれでもよいことは言うまで
もない。さらには、変法として、最初から全量投入した
アルコール中に金属マグネシウムを先ず少量投入し、反
応により生成した生成物を別の槽に分離して除去したの
ち、再び金属マグネシウムを少量投入するという操作を
繰り返すということも可能である。こうして得たマグネ
シウム化合物を、次の固体触媒成分の調製に用いる場
合、乾燥させたものを用いてもよく、またろ別後ヘプタ
ンなどの不活性溶媒で洗浄したものを用いてもよい。い
ずれの場合においても、得られたマグネシウム化合物
は、粉砕あるいは粒度分布をそろえるための分級操作を
することなく次工程に用いることができる。
【0023】また、該チタン化合物としては、例えばテ
トラメトキシチタン,テトラエトキシチタン,テトラ−
n−プロポキシチタン,テトライソプロポキシチタン,
テトラ−n−ブトキシチタン,テトライソブトキシチタ
ン,テトラシクロヘキシロキシチタン,テトラフェノキ
シチタンなどのテトラアルコキシチタン、四塩化チタ
ン,四臭化チタン,四ヨウ化チタンなどのテトラハロゲ
ン化チタン、メトキシチタニウムトリクロリド,エトキ
シチタニウムトリクロリド,プロポキシチタニウムトリ
クロリド,n−ブトキシチタニウムトリクロリド,エト
キシチタニウムトリブロミドなどのトリハロゲン化モノ
アルコキシチタン、ジメトキシチタニウムジクロリド,
ジエトキシチタニウムジクロリド,ジプロポキシチタニ
ウムジクロリド,ジ−n−ブトキシチタニウムジクロリ
ド,ジエトキシチタニウムジブロミドなどのジハロゲン
化ジアルコキシチタン、トリメトキシチタニウムクロリ
ド,トリエトキシチタニウムクロリド,トリプロポキシ
チタニウムクロリド,トリ−n−ブトキシチタニウムク
ロリドなどのモノハロゲン化トリアルコキシチタンなど
が挙げられるが、これらの中で高ハロゲン含有チタン化
合物、特に四塩化チタンが好適である。またこれらのチ
タン化合物は一種だけで用いてもよく、二種以上を組み
合わせて用いてもよい。
【0024】また、電子供与体としては、後で(Z)成
分の電子供与性化合物として例示するものを用いること
ができる。該(i)固体触媒成分の調製は、公知の方法
(特開昭53−43094号公報,特開昭55−135
102号公報、特開昭55−135103号公報、特開
昭56−18606号公報、特開昭56−166205
号公報、特開昭57−63309号公報、特開昭57−
190004号公報、特開昭57−300407号公
報、特開昭58−47003号公報)で行うことができ
る。
【0025】このようにして調製された(i)固体触媒
成分の組成は通常、マグネシウム/チタン原子比が2〜
100、ハロゲン/チタン原子比が5〜100、電子供
与体/チタンモル比が0.1〜10の範囲にある。また、
(W)固体成分の調製において必要に応じて用いられる
(ii)成分の結晶性ポリオレフィンとしては、例えば、
ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリブテン,ポリ4−
メチル−1−ペンテンなどの炭素数2〜10のα−オレ
フィンから得られる結晶性ポリオレフィンが挙げられ
る。この結晶性ポリオレフィンは、(1)前記(i)固
体触媒成分と有機アルミニウム化合物と必要に応じて用
いられる電子供与性化合物とを組み合わせたものの存在
下に、オレフィンを予備重合させる方法(予備重合
法)、(2)粒径の揃った結晶性ポリエチレンやポリプ
ロピレンなどの結晶性パウダーに、前記(i)固体触媒
成分と必要に応じて用いられる有機アルミニウム化合物
と電子供与性化合物(融点100℃以上)とを分散させ
る方法(分散法)、(3)上記(1)の方法と(2)の
方法とを組み合わせる方法などを用いることにより得る
ことができる。
【0026】上記(1)の予備重合法においては、アル
ミニウム/チタン原子比は通常0.1〜100、好ましく
は0.5〜5の範囲で選ばれ、また電子供与化合物/チタ
ンのモル比は0〜50、好ましくは0.1〜2の範囲で選
ばれる。(W)固体成分における、(i)固体触媒成分
と(ii)結晶性ポリオレフィンとの割合については、
(i)成分に対する(ii)成分の重量比が通常、0.33
〜200、好ましくは0.10〜50の範囲になるように
選ばれる。
【0027】次に、(X)成分として用いられる有機ア
ルミニウム化合物としては、一般式(II) AlR3 p 3-p ・・・(II) 〔式中、R3 は炭素数3〜20のアルキル基又は炭素数
6〜20のアリール基、Xはハロゲン原子、pは1〜3
の数を示す。〕で表される化合物を挙げることができ
る。例えば、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソ
ブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムなどの
トリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノ
クロリド、ジイソプロピルアルミニウムモノクロリド、
ジイソブチルアルミニウムモノクロリド、ジオクチルア
ルミニウムモノクロリドなどのジアルキルアルミニウム
モノハライド、エチルアルミニウムセスキクロリドなど
のアルキルアルミニウムセスキハライドなどを好適に使
用することができる。これらのアルミニウム化合物は一
種だけで用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いて
もよい。本発明における触媒系には、(Y)成分とし
て、一般式(I)
【0028】
【化2】
【0029】〔式中、R1 は炭素数1〜20のアルキル
基、R2 は炭素数1〜10の炭化水素基、水酸基又はニ
トロ基を示し、mは1〜6の整数、nは0〜(6−m)
の整数を示す。〕で表されるアルコキシ基含有芳香族化
合物が用いられる。
【0030】このアルコキシ基含有芳香族化合物の具体
例としては、m−メトキシトルエン;o−メトキシフェ
ノール;m−メトキシフェノール;2−メトキシ−4−
メチルフェノール;ビニルアニソール;p−(1−プロ
ペニル)アニソール;p−アリルアニソール;1,3−
ビス(p−メトキシフェニル)−1 −ペンテン;5−ア
リル−2−メトキシフェノール;4−ヒドロキシ−3−
メトキシベンジルアルコール;メトキシベンジルアルコ
ール;ニトロアニソール;ニトロフェネトールなどのモ
ノアルコキシ化合物、o−ジメトキシベンゼン;m−ジ
メトキシベンゼン;p−ジメトキシベンゼン;3,4−
ジメトキシトルエン;2,6−ジメトキシフェノール;
1−アリル−3,4−ジメトキシベンゼンなどのジアル
コキシ化合物、1,3,5−トリメトキシベンゼン;5
−アリル−1,2,3−トリメトキシベンゼン;5−ア
リル−1,2,4−トリメトキシベンゼン;1,2,3
−トリメトキシ−5−(1−プロペニル)ベンゼン;
1,2,4−トリメトキシ−5−(1−プロペニル)ベ
ンゼン;1,2,3−トリメトキシベンゼン;1,2,
4−トリメトキシベンゼンなどのトリアルコキシ化合物
などが挙げられるが、これらの中でジアルコキシ化合物
及びトリアルコキシ化合物が好適である。これらのアル
コキシ基含有芳香族化合物は一種だけで用いてもよく、
二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】さらに、該触媒には、必要に応じ(Z)成
分として電子供与性化合物が用いられる。この電子供与
性化合物は、酸素,窒素,リン,イオウ,ケイ素などを
含有する化合物であり、基本的にはプロピレンの重合に
おいて、規則性の向上性能を有するものが考えられる。
このような電子供与性化合物としては、例えば、有機ケ
イ素化合物,エステル類,チオエステル類,アミン類,
ケトン類,ニトリル類,ホスフィン類,エーテル類,チ
オエーテル類,酸無水物,酸ハライド類,酸アミド類,
アルデヒド類,有機酸類,アゾ化合物などを挙げること
ができる。
【0032】例えば、ジフェニルジメトキシシラン,ジ
フェニルジエトキシシラン,ジベンジルジメトキシシラ
ン,テトラメトキシシラン,テトラエトキシシラン,テ
トラフェノキシシラン,メチルトリメトキシシラン,メ
チルトリエトキシシラン,メチルトリフェノキシシラ
ン,フェニルトリメトキシシラン,フェニルトリエトキ
シシラン,ベンジルトリメトキシシラン,シクロヘキシ
ルメチルジメトキシシランなどの有機ケイ素化合物、モ
ノメチルフタレート,モノエチルフタレート,モノプロ
ピルフタレート,モノブチルフタレート,モノイソブチ
ルフタレート,モノアミルフタレート,モノイソアミル
フタレート,モノメチルテレフタレート,モノエチルテ
レフタレート,モノプロピルテレフタレート,モノブチ
ルテレフタレート,モノイソブチルテレフタレート,ジ
メチルフタレート,ジエチルフタレート,ジプロピルフ
タレート,ジブチルフタレート,ジイソブチルフタレー
ト,ジアミルフタレート,ジイソアミルフタレート,メ
チルエチルフタレート,メチルイソブチルフタレート,
メチルプロピルフタレート,エチルブチルフタレート,
エチルイソブチルフタレート,エチルプロピルフタレー
ト,プロピルイソブチルフタレート,ジメチルテレフタ
レート,ジエチルテレフタレート,ジプロピルテレフタ
レート,ジイソブチルテレフタレート,メチルエチルテ
レフタレート,メチルイソブチルテレフタレート,メチ
ルプロピルテレフタレート,エチルブチルテレフタレー
ト,エチルイソブチルテレフタレート,エチルプロピル
テレフタレート,プロピルイソブチルテレフタレート,
ジメチルイソフタレート,ジエチルイソフタレート,ジ
プロピルイソフタレート,ジイソブチルイソフタレー
ト,メチルエチルイソフタレート,メチルイソブチルイ
ソフタレート,メチルプロピルイソフタレート,エチル
ブチルイソフタレート,エチルイソブチルイソフタレー
ト,エチルプロピルイソフタレート,プロピルイソブチ
ルイソフタレートなどの芳香族ジカルボン酸エステル、
ギ酸メチル,ギ酸エチル,酢酸メチル,酢酸エチル,酢
酸ビニル,酢酸プロピル,酢酸オクチル,酢酸シクロヘ
キシル,プロピオン酸エチル,酪酸メチル,酪酸エチ
ル,吉草酸エチル,クロル酢酸メチル,ジクロル酢酸エ
チル,メタクリル酸メチル,クロトン酸エチル,ピバリ
ン酸エチル,マレイン酸ジメチル,シクロヘキサンカル
ボン酸エチル,安息香酸メチル,安息香酸エチル,安息
香酸プロピル,安息香酸ブチル,安息香酸オクチル,安
息香酸シクロヘキシル,安息香酸フェニル,安息香酸ベ
ンジル,トルイル酸メチル,トルイル酸エチル,トルイ
ル酸アミル,エチル安息香酸エチル,アニス酸メチル,
アニス酸エチル,エトキシ安息香酸エチル,p−ブトキ
シ安息香酸エチル,o−クロル安息香酸エチル,ナフト
エ酸エチルなどのモノエステル、γ−ブチロラクトン,
δ−バレロラクトン,クマリン,フタリド,炭酸エチレ
ンなどのエステル類、安息香酸,p−オキシ安息香酸な
どの有機酸類、無水コハク酸,無水安息香酸,無水p−
トルイル酸などの酸無水物、アセトン,メチルエチルケ
トン,メチルイソブチルケトン,アセトフェノン,ベン
ゾフェノン,ベンゾキノンなどのケトン類、アセトアル
デヒド,プロピオンアルデヒド,オクチルアルデヒド,
トルアルデヒド,ベンズアルデド,ナフチルアルデヒド
などのアルデヒド類、アセチルクロリド,アセチルブロ
ミド,プロピオニルクロリド,ブチリルクロリド,イソ
ブチリルクロリド,2−メチルプロピオニルクロリド,
バレリルクロリド,イソバレリルクロリド,ヘキサノイ
ルクロリド,メチルヘキサノイルクロリド,2−エチル
ヘキサノイルクロリド,オクタノイルクロリド,デカノ
イルクロリド,ウンデカノイルクロリド,ヘキサデカノ
イルクロリド,オクタデカノイルクロリド,ベンジルカ
ルボニルクロリド,シクロヘキサンカルボニルクロリ
ド,マロニルジクロリド,スクシニルジクロリド,ペン
タンジオレイルジクロリド,ヘキサンジオレイルジクロ
リド,シクロヘキサンジカルボニルジクロリド,ベンゾ
イルクロリド,ベンゾイルブロミド,メチルベンゾイル
クロリド,フタロイルクロリド,イソフタロイルクロリ
ド,テレフタロイルクロリド,ベンゼン−1,2,4−
トリカルボニルトリクロリドなどの酸ハロゲン化物類、
メチルエーテル,エチルエーテル,イソプロピルエーテ
ル,n−ブチルエーテル,イソプロピルメチルエーテ
ル,イソプロピルエチルエーテル,t−ブチルエチルエ
ーテル,t−ブチル−n−プロピルエーテル,t−ブチ
ル−n−ブチルエーテル,t−アミルメチルエーテル,
t−アミルエチルエーテル,アミルエーテル,テトラヒ
ドロフラン,アニソール,ジフェニルエーテル,エチレ
ングリコールブチルエーテルなどのエーテル類、酢酸ア
ミド,安息香酸アミド,トルイル酸アミドなどの酸アミ
ド類、トリブチルアミン,N、N’−ジメチルピペラジ
ン,トリベンジルアミン,アニリン,ピリジン,ピロリ
ン,テトラメチルエチレンジアミンなどのアミン類、ア
セトニトリル,ベンゾニトリル,トルニトリルなどのニ
トリル類、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパ
ン),2,2’−アゾビス(2−エチルプロパン),
2,2’−アゾビス(2−メチルペンタン)などのアゾ
結合に立体障害置換基が結合してなるアゾ化合物などが
挙げられる。
【0033】これらの中で有機ケイ素化合物、エステル
類,ケトン類,エーテル類,チオエーテル類,酸無水
物,酸ハライド類が好ましく、特に、ジフェニルジメト
キシシラン,フェニルトリエトキシシラン,シクロヘキ
シルメチルジメトキシシランなどの有機ケイ素化合物、
ジ−n−ブチルフタレート,ジイソブチルフタレートな
どの芳香族ジカルボン酸ジエステル、安息香酸,p−メ
トキシ安息香酸,p−エトキシ安息香酸,トルイル酸な
どの芳香族モノカルボン酸のアルキルエステルなどが好
適である。これらの電子供与性化合物は一種だけで用い
てもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】触媒系の各成分の使用量については、
(W)固体成分はチタン原子に換算して反応容積1リッ
トル当たり、通常0.0005〜1モルの範囲になるよう
な量が用いられる。また、(X)有機アルミニウム化合
物は、アルミニウム/チタン原子の比が、通常1〜30
00、好ましくは40〜800になるような量が用いら
れ、この量が前記範囲を逸脱すると触媒活性が不充分に
なるおそれがある。さらに、(Y)アルコキシ基含有芳
香族化合物は(W)固体成分中のチタン原子に対するモ
ル比が通常、0.01〜500、好ましくは1〜300に
なるような割合で用いられ、この量が0.01未満では生
成ポリマーの物性が低下するおそれがあり、500を超
えると触媒活性が不充分になるおそれがある。
【0035】本発明において、(A)成分のポリプロピ
レン系樹脂組成物として、(a)プロピレンの単独重合
体及び/又は4重量%以下の他のオレフィン単位を含有
する共重合体からなるプロピレン系樹脂を用いる場合
は、前記触媒系の存在下に、例えば一段重合法にてプロ
ピレンの単独重合又はプロピレンと少量の他のオレフィ
ンとを共重合させることにより製造することができる。
また、(a)上記プロピレン系樹脂と(b)プロピレン
以外のオレフィン単位を含有するプロピレン系共重合体
との混合物を用いる場合は、一段目の重合において、上
記と同様にしてプロピレン系樹脂を製造し、次いで二段
目の重合において、プロピレン以外のオレフィンとを共
重合させる二段重合法により、該混合物を製造すること
ができる。もちろん、該プロピレン系樹脂とプロピレン
以外のオレフィン単位を含有するプロピレン系共重合体
を別々に製造し、それらをブレンドしてもよい。
【0036】重合形式としては、特に制限はなく、スラ
リー重合,気相重合,バルク重合,溶液重合,懸濁重合
などが用いられる。気相重合により重合を行う場合、重
合圧力は通常10〜45kg/cm2 、好ましくは20
〜30kg/cm2 、重合温度は通常40〜90℃、好
ましくは60〜75℃の範囲で適宜選ばれる。重合体の
分子量調節は、公知の手段、例えば、重合器中の水素濃
度を調節することにより行うことができる。また、重合
工程で比較的高分子量の(共)重合体を製造し、得られ
た(共)重合体を有機過酸化物の存在下に溶融混練する
ことにより調節することもできる。重合時間は5分〜1
0時間程度で適宜選ばれる。重合に際しては、触媒系を
構成する各成分、すなわち、(W)〜(Z)成分を所定
の割合で混合し、接触させたのち、ただちに原料モノマ
ーを導入し、重合を開始してもよいし、接触後0.2〜3
時間程度熟成させたのち、原料モノマーを導入してもよ
い。さらに、この触媒成分は不活性溶媒や原料モノマー
のオレフィンなどに懸濁して供給することができる。
【0037】重合後の後処理は常法により行うことがで
きる。すなわち、気相重合法においては、重合後、重合
器から導出されるポリマー粉体に、その中に含まれる未
反応モノマーなどを除くために、窒素気流などを通過さ
せてもよい。また、所望に応じて押出機によりペレット
化してもよく、その際、触媒を完全に失活させるため
に、少量の水、アルコールなどを添加することもでき
る。また、バルク重合法においては、重合後、重合器か
ら導出されるポリマーから完全に未反応モノマーを分離
したのち、ペレット化することもできる。本発明におい
ては、基材のフィルム又はシートとして、上記(A)成
分のポリプロピレン系樹脂組成物を用いてもよく、ま
た、(B)成分である該ポリプロピレン系樹脂組成物と
熱可塑性エラストマー共重合体との樹脂組成物を用いて
もよい。この(B)成分に用いられる熱可塑性エラスト
マー共重合体とは、成形加工温度において必要な可塑
性、流動性という熱可塑性樹脂の特性を示し、成形前又
は成形後の常温下にはゴム的物性を示す共重合体のこと
である。このような熱可塑性エラストマー共重合体とし
ては、例えばスチレン−ジエン系共重合エラストマー及
びその水素添加物,エチレン−炭素数3以上のα−オレ
フィン系共重合エラストマー,エチレン−炭素数3以上
のα−オレフィン−ポリエン系共重合エラストマー及び
その水素添加物,エチレン−不飽和カルボン酸−α,β
−不飽和カルボン酸エステル系共重合エラストマー,ア
クリロニトリル系共重合エラストマーなどが挙げられ
る。
【0038】上記スチレン−ジエン系共重合エラストマ
ーとしては、例えば、スチレン,α−メチルスチレン,
ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物と、ブタジエ
ン,イソプレンなどの共役ジエン化合物とのブロック共
重合体などが挙げられる。該芳香族化合物としては特に
スチレンが好ましいが、上記ブロック共重合体の形態と
しては、シングルブロック共重合体、テレブロック共重
合体、ラジアルテレブロック共重合体、マルチブロック
共重合体などが挙げられる。前記スチレン−ジエン系共
重合エラストマー中の芳香族ビニル化合物単位の含有量
は10〜50重量%の範囲が好ましく、この場合10重
量%未満では得られた組成物の成形性が劣る傾向にあ
り、50重量%を超えると低温衝撃性が低下する傾向が
みられる。また、上記ブロック共重合体の共役ジエン単
位部分を高度に水素添加することにより、主鎖中の不飽
和基を減少せしめて耐熱性を上げることも可能である。
特にスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合エ
ラストマーが好適である。
【0039】エチレン−炭素数3以上のα−オレフィン
系共重合エラストマーは、例えばエチレンとプロピレ
ン,ブテン−1,ヘキセン−1,オクテン−1などとの
共重合体やエチレンとプロピレンとブテン−1などとの
共重合体などである。このようなものとしては、
(A)成分の存在下に二段重合して共重合されたもので
あってもよく、エラストマー単独で共重合されたもの
であってもよい。の場合には、エチレン単位含有量が
ほぼ10〜80重量%の共重合エラストマーであり、エ
チレン−プロピレン共重合体(エチレン単位含有量20
〜70重量%)が最も代表的である。また、の場合に
は、エチレン単位含有量は、通常20〜90重量%程
度、好ましくは30〜85重量%である。
【0040】エチレン−炭素数3以上のα−オレフィン
−ポリエン系共重合エラストマーにおいては、炭素数3
以上のα−オレフィンとして、例えばプロピレン,ブテ
ン−1,ヘキセン−1,ヘプテン−1,オクテン−1,
ノネン−1,デセン−1,ウンデセン−1,ドデセン−
1などが、一種又は二種以上用いられる。また、ポリエ
ンとしては、例えばブタジエン、イソプレン、ピペリレ
ンのような共役ジエン,1,4−ヘキサジエン、1,6
−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、
6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,
6−オクタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロペン
タジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−エチリデ
ン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネ
ン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−ク
ロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネンの
ような非共役ジエン,2,3−ジイソプロピリデン−5
−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデ
ン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノル
ボルネン、1,3,7−オクタトリエン、1,4,9−
デカトリエンのようなトリエンなどを一種又は二種以上
用いることができるが、これらの中で共役ジエンや非共
役ジエンのジエン化合物が好適である。ポリエンの共重
合量は、エラストマーとしての特性が効果的に発揮され
るためには、共重合体のヨウ素価が30以下、好ましく
は5〜25の範囲になるように調節するのが有利であ
る。また、ヨウ素価が上記範囲になるように水素添加し
てもよい。
【0041】更に、エチレン−不飽和カルボン酸−α,
β−不飽和カルボン酸エステル系共重合エラストマーに
おいて用いられる不飽和カルボン酸としては、例えばア
クリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、
フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、
シトラコン酸、ソルビン酸、メサコン酸、アンゲリカ酸
などが挙げられ、これらは一種用いてもよく、二種以上
を組み合わせて用いてもよい。また、α,β−エチレン
性不飽和カルボン酸エステルとしては、例えばアクリル
酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル
酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸などの好
ましくは炭素数3〜8のα,β−エチレン性不飽和カル
ボン酸とメチルアルコール、エチルアルコール、イソプ
ロピルアルコール、n−プロピルアルコールなどの一価
アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコー
ルなどの二価アルコール、グリセリン、ペンタエリスリ
トールなどの多価アルコールとのエステルが挙げられ、
これらのエステルは一種用いてもよく、二種以上を組み
合わせてもよい。さらに、この共重合エラストマーとし
ては、所望により、前記不飽和カルボン酸の誘導体、例
えば酸無水物、アミド、イミド、金属塩などを共重合さ
せたものも用いることができる。
【0042】また、この共重合エラストマーは、エチレ
ン単位50〜95重量%、不飽和カルボン酸単位1〜1
0重量%及びα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エス
テル単位4〜49重量%を含有し、かつランダムに共重
合され、エラストマー特性を持つものが好適である。該
エチレン単位の含有量が95重量%を超える場合とか、
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単位が4
重量%未満のものは、エラストマー特性が充分に発現さ
れないおそれがあり、エチレン単位が50重量%未満の
場合とか、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステ
ル単位が49重量%を超えるものは低温衝撃性が低下す
る傾向にある。さらに不飽和カルボン酸単位が1重量%
未満のものは架橋性に劣り、また10重量%を超えるも
のはエラストマー特性が十分ではない。
【0043】一方、アクリロニトリル系共重合エラスト
マーとしては、例えばアクリロニトリルやメタクリロニ
トリルなどの不飽和ニトリルと、1,3−ブタジエンや
1,3−ヘキサジエンなどの鎖状ジエンとの共重合体、
アクリロニトリル−1,3−ブタジエン−無水マレイン
酸三元共重合体、これらの共重合体のジエン部分を高度
に水添することにより、二重結合を飽和させた共重合体
などが挙げられる。本発明に係る上記熱可塑性エラスト
マー共重合体の諸特性は特に限定されるものではない
が、100℃におけるムーニー粘度が10〜80程度で
あり、引張伸びが500%以上であり、かつガラス転移
温度が−20℃以下のものが(A)成分のポリプロピレ
ン系樹脂組成物の耐熱性を低下させることなく、その軟
質化に寄与する点で特に好適である。上記熱可塑性エラ
ストマー共重合体の中で、柔軟性,成形性,耐熱性など
の点で、特にエチレン−炭素数3以上のα−オレフィン
系共重合エラストマー,エチレン−炭素数3以上のα−
オレフィン−ジエン系共重合エラストマー,スチレン−
ジエン系共重合エラストマー及びスチレン−ジエン系共
重合エラストマーの水素添加物が好適である。これらの
熱可塑性エラストマー共重合体は一種用いてもよく、二
種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】本発明における(B)成分の樹脂組成物に
おいては、両成分の配合割合は、前記(A)成分のポリ
プロピレン系樹脂組成物が99〜60重量%で、該熱可
塑性エラストマー共重合体が1〜40重量%である。熱
可塑性エラストマー共重合体量が40重量%を超えると
透明性が低下するとともに、柔軟性が過剰となるため、
転写時の熱加工性が低下する。また、1重量%未満では
熱可塑性エラストマー共重合体を配合した効果が充分に
発揮されない。この熱可塑性エラストマー共重合体の好
ましい配合量は5〜20重量%の範囲である。本発明に
おいては、転写フィルム・シートの基材に、前記(A)
成分のポリプロピレン系樹脂組成物又は(B)成分の樹
脂組成物からなるフィルム又はシートが用いられるが、
このフィルムやシートを成形する際、該(A)成分のポ
リプロピレン系樹脂組成物又は(B)成分の樹脂組成物
に、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望に応じ、
プロセスオイル,他の熱可塑性樹脂,変性ポリオレフィ
ン,各種安定剤,無機又は有機充てん剤,帯電防止剤,
塩素捕捉剤,アンチブロッキング剤,防曇剤,有機系難
燃剤,難燃助剤,加工助剤,ブリージング抑制剤,染
料、顔料,ワックスなどを配合することができる。
【0045】上記プロセスオイルは、通常、合成ゴムの
加工時の軟化剤として使用されるものがそのまま適用で
きる。このプロセスオイルを使用することにより、特に
(B)成分において、両成分の混練時における熱可塑性
エラストマー共重合体の分子の動きがよくなり、内部摩
擦に基づく混練発熱を減少することができる。更には
(A)成分や(B)成分の成形加工性、成形品の屈曲
性、引張強度、耐摩擦性等の向上に寄与する。このプロ
セスオイルとしては鉱油、合成油を問わず適用でき、鉱
油の具体例としては、パラフィン基系原油、中間基系原
油あるいはナフテン基系原油を常圧蒸溜して得られる留
出油、該常圧蒸溜残渣油の減圧蒸溜で得られる留出分の
精製油とか深脱ロウ油等を挙げることができる。合成油
としてはアルキルベンゼン、ポリブテン、ポリ(α−オ
レフィン)等が例示できる。本発明に適用できるプロセ
スオイルに要求される特性としては、特に限定されるも
のではないが、特に(B)成分における両成分の混練に
は、40℃における動粘度が10〜1000cStのも
の、特に20〜700cStのものが好ましく使用され
る。
【0046】上記他の熱可塑性樹脂としては、高圧法低
密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,他のポリプロ
ピレン,ポリブテン,ポリ塩化ビニル,ポリスチレン,
ポリアミド等の他、(B)成分で用いられる熱可塑性エ
ラストマー共重合体に属しない共重合体のエチレン−ブ
テン−1共重合体,エチレン−ヘキセン−1共重合体,
エチレン−オクテン−1共重合体などの直鎖状エチレン
−α−オレフィン共重合体,アクリル樹脂,ABS樹
脂,ポリエステル,ポリカーボネートなどが挙げられ
る。これらの中でも、各種ポリエチレン,他のポリプロ
ピレン,ポリブテンなどのポリオレフィン系樹脂が相溶
性の点で好ましく、特にポリエチレン,エチレン−α−
オレフィン共重合体が好ましい。
【0047】また、変性ポリオレフィンとしては、例え
ばポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン−α−オレ
フィン共重合体,エチレン−α−オレフィン−非共役ジ
エン化合物共重合体(例えばEPDMなど),エチレン
−芳香族モノビニル化合物−共役ジエン化合物共重合ゴ
ムなどのポリオレフィンを、アクリル酸,メタクリル
酸,マレイン酸などの不飽和カルボン酸,無水マレイン
酸などの不飽和カルボン酸の無水物、アクリル酸メチ
ル,マレイン酸モノメチルなどの不飽和カルボン酸のエ
ステル、アクリル酸アミド,マレイン酸モノアミドなど
の不飽和カルボン酸のアミド、マレイミド,N−ブチル
マレイミドなどの不飽和カルボン酸のイミドなどを用い
て化学変性したものが挙げられる。この化学変性方法と
しては、例えば該ポリオレフィンを適当な溶媒中におい
て、ベンゾイルパーオキシドなどのラジカル発生剤を用
いて、前記不飽和カルボン酸やその誘導体と反応させる
方法などを用いることができる。上記、各種安定剤とし
ては酸化劣化、熱劣化等に対する安定剤の使用が最も一
般的であり、例えば、フェノール系安定剤、有機ホスフ
ァイト系安定剤、チオエーテル系安定剤、ヒンダードア
ミン系安定剤などを用いることができる。
【0048】フェノール系安定剤としては、従来公知の
もの、例えば、2,6‐ジ‐t‐ブチル‐4‐メチルフ
ェノール、2,6‐ジ‐t‐ブチル‐4‐エチルフェノ
ール、2,6‐ジシクロヘキシル‐4‐メチルフェノー
ル、2,6‐ジイソプロピル‐4‐エチルフェノール、
2,6‐ジ‐t‐アミル‐4‐メチルフェノール、2,
6‐ジ‐t‐オクチル‐4‐n‐プロピルフェノール、
2,6‐ジシクロヘキシル‐4‐n‐オクチルフェノー
ル、2‐イソプロピル‐4‐メチル‐6‐t‐ブチルフ
ェノール、2‐t‐ブチル‐2‐エチル‐6‐t‐オク
チルフェノール、2‐イソブチル‐4‐エチル‐5‐t
‐ヘキシルフェノール、2‐シクロヘキシル‐4‐n‐
ブチル‐6‐イソプロピルフェノール、スチレン化混合
クレゾール、dl‐α‐トコフェロール、t‐ブチルヒ
ドロキノン、2,2′‐メチレンビス(4‐メチル‐6
‐t‐ブチルフェノール)、4,4′‐ブチリデンビス
(3‐メチル‐6‐t‐ブチルフェノール)、4,4′
‐チオビス(3‐メチル‐6‐t‐ブチルフェノー
ル)、2,2′‐チオビス(4‐メチル‐6‐t‐ブチ
ルフェノール)、4,4′‐メチレンビス(2,6‐ジ
‐t‐ブチルフェノール)、2,2′‐メチレンビス
[6‐(1‐メチルシクロヘキシル)‐p‐クレゾー
ル]、2,2′‐エチリデンビス(4,6‐ジ‐t‐ブ
チルフェノール)、2,2′‐ブチリデンビス(2‐t
‐ブチル‐4‐メチルフェノール)、1,1,3‐トリ
ス(2‐メチル‐4‐ヒドロキシ‐5‐t‐ブチルフェ
ニル)ブタン、トリエチレングリコール‐ビス[3‐
(3‐t‐ブチル‐5‐メチル‐4‐ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート]、1,6‐ヘキサンジオール‐ビ
ス[3‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート]、2,2′‐チオジエチレン
ビス[3‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート]、N,N′‐ヘキサメチレ
ンビス(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシ‐ヒ
ドロシンナミド)、3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒド
ロキシベンジルホスホネート‐ジエチルエステル、1,
3,5‐トリス(2,6‐ジメチル‐3‐ヒドロキシ‐
4‐t‐ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,
5‐トリス[(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキ
シフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレ
ート、トリス(4‐t‐ブチル‐2,6‐ジメチル‐3
‐ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4‐ビ
ス(n‐オクチルチオ)‐6‐(4‐ヒドロキシ‐3,
5‐ジ‐t‐ブチルアニリノ)‐1,3,5‐トリアジ
ン、テトラキス[メチレン‐3‐(3,5‐ジ‐t‐ブ
チル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタ
ン、ビス(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシベ
ンジルホスホン酸エチル)カルシウム、ビス(3,5‐
ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシベンジルホスホン酸エ
チル)ニッケル、ビス[3,3‐ビス(3‐t‐ブチル
‐4‐ヒドロキシフェニル)ブチリックアシド]グリコ
ールエステル、N,N′‐ビス[3‐(3,5‐ジ‐t
‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒ
ドラジン、2,2′‐オキザミドビス[エチル‐3‐
(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]、ビス[2‐t‐ブチル‐4‐メチル
‐6‐(3‐t‐ブチル‐5‐メチル‐2‐ヒドロキシ
ベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5‐ト
リメチル‐2,4,6‐トリス(3,5‐ジ‐t‐ブチ
ル‐4‐ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9‐ビス
〔1,1‐ジメチル‐2‐[β‐(3‐t‐ブチル‐4
‐ヒドロキシ‐5‐メチルフェニル)プロピオニルオキ
シ]エチル〕‐2,4,8,10‐テトラオキサスピロ
[5,5]ウンデカン、2,2‐ビス〔4‐[2‐
(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシヒドロシン
ナモイルオキシ)]エトキシフェニル〕プロパン及びス
テアリル‐β‐(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジ‐t‐ブ
チルフェノール)プロピオネートなどのβ‐(3,5‐
ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオン
酸アルキルエステルなどが挙げられる。これらの中で
は、2,6‐ジ‐t‐ブチル‐4‐メチルフェノール、
ステアリル‐β‐(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジ‐t‐
ブチルフェノール)プロピオネート、2,2′‐エチリ
デンビス(4,6‐ジ‐t‐ブチルフェノール)及びテ
トラキス[メチレン‐3‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐
4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが好
適である。
【0049】また、有機ホスファイト系安定剤として
は、例えば、トリオクチルホスファイト、トリラウリル
ホスファイト、トリストリデシルホスファイト、トリス
イソデシルホスファイト、フェニルジイソオクチルホス
ファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニ
ルジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルイソオク
チルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイ
ト、ジフェニルトリデシルホスファイト、トリフェニル
ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイ
ト、トリス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)ホスフ
ァイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、テト
ラトリデシル‐4,4′‐ブチリデンビス(3‐メチル
‐6‐t‐ブチルフェノール)‐ジホスファイト、4,
4′‐イソプロピリデン‐ジフェノールアルキルホスフ
ァイト(ただし、アルキルは炭素数12〜15程度)、
4,4′‐イソプロピリデンビス(2‐t‐ブチルフェ
ノール)・ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス
(ビフェニル)ホスファイト、テトラ(トリデシル)‐
1,1,3‐トリス(2‐メチル‐5‐t‐ブチル‐4
‐ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト、トリス
(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)
ホスファイト、水素化‐4,4′‐イソプロピリデンジ
フェノールポリホスファイト、ビス(オクチルフェニ
ル)・ビス[4,4′‐ブチリデンビス(3‐メチル‐
6‐t‐ブチルフェノール)]・1,6‐ヘキサンジオ
ールジホスファイト、ヘキサトリデシル‐1,1,3‐
トリス(2‐メチル‐4‐ヒドロキシ‐5‐t‐ブチル
フェノール)ジホスファイト、トリス[4,4′‐イソ
プロピリデンビス(2‐t‐ブチルフェノール)]ホス
ファイト、トリス(1,3‐ジステアロイルオキシイソ
プロピル)ホスファイト、9,10‐ジヒドロ‐9‐ホ
スファフェナンスレン‐10‐オキシド、テトラキス
(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)‐4,4′‐ビフ
ェニレンジホスホナイト、ジステアリルペンタエリスリ
トールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエ
リスリトールジホスファイト、フェニル・4,4′‐イ
ソプロピリデンジフェノール・ペンタエリスリトールジ
ホスファイト、ビス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニ
ル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,
6‐ジ‐t‐ブチル‐4‐メチルフェニル)ペンタエリ
スリトールジホスファイト及びフェニルビスフェノール
‐A‐ペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げ
られる。
【0050】これらの中では、トリス(2,4‐ジ‐t
‐ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェ
ニル)ホスファイト及びテトラキス(2,4‐ジ‐t‐
ブチルフェニル)‐4,4′‐ビフェニレンジホスファ
イトが好ましく、特にトリス(2,4‐ジ‐t‐ブチル
フェニル)ホスファイトが好適である。さらに、有機チ
オエーテル系安定剤としては、ジアルキルチオジプロピ
オネート及びアルキルチオプロピオン酸の多価アルコー
ルエステルを用いることが好ましい。ここで使用される
ジアルキルチオジプロピオネートとしては、炭素数6〜
20のアルキル基を有するジアルキルチオジプロピオネ
ートが好ましく、またアルキルチオプロピオン酸の多価
アルコールエステルとしては、炭素数4〜20のアルキ
ル基を有するアルキルチオプロピオン酸の多価アルコー
ルエステルが好ましい。この場合に多価アルコールエス
テルを構成する多価アルコールの例としては、グリセリ
ン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、
ペンタエリスリトール及びトリスヒドロキシエチルイソ
シアヌレートなどを挙げることができる。
【0051】このようなジアルキルチオジプロピオネー
トとしては、例えば、ジラウリルチオジプロピオネー
ト、ジミリスチルチオジプロピオネート及びジステアリ
ルチオジプロピオネートなどを挙げることができる。一
方、アルキルチオプロピオン酸の多価アルコールエステ
ルとしては、例えば、グリセリントリブチルチオプロピ
オネート、グリセリントリオクチルチオプロピオネー
ト、グリセリントリラウリルチオプロピオネート、グリ
セリントリステアリルチオプロピオネート、トリメチロ
ールエタントリブチルチオプロピオネート、トリメチロ
ールエタントリオクチルチオプロピオネート、トリメチ
ロールエタントリラウリルチオプロピオネート、トリメ
チロールエタントリステアリルチオプロピオネート、ペ
ンタエリスリトールテトラブチルチオプロピオネート、
ペンタエリスリトールテトラオクチルチオプロピオネー
ト、ペンタエリスリトールテトララウリルチオプロピオ
ネート、ペンタエリスリトールテトラステアリルチオプ
ロピオネートなどを挙げることができる。これらの中で
は、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチ
オジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトララウ
リルチオプロピオネートが好適である。
【0052】ヒンダードアミン系安定剤としては、例え
ば、ビス(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリ
ジル)セバケート、コハク酸ジメチル‐1‐(2‐ヒド
ロキシエチル)‐4‐ヒドロキシ‐2,2,6,6‐テ
トラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[6‐(1,1,
3,3‐テトラメチルブチル)イミノ‐1,3,5‐ト
リアジン‐2,4‐ジイル][(2,2,6,6‐テト
ラメチル‐4‐ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン
[2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)イ
ミノ]、テトラキス(2,2,6,6‐テトラメチル‐
4‐ピペリジル)‐1,2,3,4‐ブタンテトラカル
ボキシレート、2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピ
ペリジルベンゾエート、ビス‐(1,2,6,6‐ペン
タメチル‐4‐ピペリジル)‐2‐(3,5‐ジ‐t‐
ブチル‐4‐ヒドロキシベンジル)‐2‐n‐ブチルマ
ロネート、ビス‐(N‐メチル‐2,2,6,6‐テト
ラメチル‐4‐ピペリジル)セバケート、1,1′‐
(1,2‐エタンジイル)ビス(3,3,5,5‐テト
ラメチルピペラジノン)、(ミックスト2,2,6,6
‐テトラメチル‐4‐ピペリジル/トリデシル)‐1,
2,3,4‐ブタンテトラカルボキシレート、(ミック
スト1,2,2,6,6‐ペンタメチル‐4‐ピペリジ
ル/トリデシル)‐1,2,3,4‐ブタンテトラカル
ボキシレート、ミックスト〔2,2,6,6‐テトラメ
チル‐4‐ピペリジル/β,β,β′,β′‐テトラメ
チル‐3,9‐[2,4,8,10‐テトラオキサスピ
ロ(5,5)ウンデカン]ジエチル〕‐1,2,3,4
‐ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト〔1,
2,2,6,6‐ペンタメチル‐4‐ピペリジル/β,
β,β′,β′‐テトラメチル‐3,9‐[2,4,
8,10‐テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]
ジエチル〕‐1,2,3,4‐ブタンテトラカルボキシ
レート、N,N′‐ビス(3‐アミノプロピル)エチレ
ンジアミン‐2,4‐ビス[N‐ブチル‐N‐(1,
2,2,6,6‐ペンタメチル‐4‐ピペリジル)アミ
ノ]‐6‐クロロ‐1,3,5‐トリアジン縮合物、ポ
リ[6‐N‐モルホリル‐1,3,5‐トリアジン‐
2,4‐ジイル][(2,2,6,6‐テトラメチル‐
4‐ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,
6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)イミド]、
N,N′‐ビス(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐
ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2‐ジブロ
モエタンとの縮合物、[N‐(2,2,6,6‐テトラ
メチル‐4‐ピペリジル)‐2‐メチル‐2‐(2,
2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)イミノ]
プロピオンアミドなどを挙げることができる。
【0053】これらのヒンダードアミン系安定剤の中で
は、特に、コハク酸ジメチル‐1‐(2‐ヒドロキシエ
チル)‐4‐ヒドロキシ‐2,2,6,6‐テトラメチ
ルピペリジン重縮合物、ポリ[6‐(1,1,3,3‐
テトラメチルブチル)イミノ‐1,3,5‐トリアジン
‐2,4‐ジイル][(2,2,6,6‐テトラメチル
‐4‐ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,
2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)イミ
ノ]、テトラキス(2,2,6,6‐テトラメチル‐4
‐ピペリジル)‐1,2,3,4‐ブタンテトラカルボ
キシレート、ビス(1,2,6,6‐ペンタメチル‐4
‐ピペリジル)‐2‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐
ヒドロキシベンジル)‐2‐n‐ブチルマロネート、
1,1′‐(1,2‐エタンジイル)ビス(3,3,
5,5‐テトラメチルピペラジノン)、(ミックスト
2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル/トリ
デシル)‐1,2,3,4‐ブタンテトラカルボキシレ
ート、(ミックスト1,2,2,6,6‐ペンタメチル
‐4‐ピペリジル/トリデシル)‐1,2,3,4‐ブ
タンテトラカルボキシレート、ミックスト〔2,2,
6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル/β,β,
β′,β′‐テトラメチル‐3,9‐[2,4,8,1
0‐テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチ
ル〕‐1,2,3,4‐ブタンテトラカルボキシレー
ト、ミックスト〔1,2,2,6,6‐ペンタメチル‐
4‐ピペリジル/β,β,β′,β′‐テトラメチル‐
3,9‐[2,4,8,10‐テトラオキサスピロ
(5,5)ウンデカン]ジエチル〕‐1,2,3,4‐
ブタンテトラカルボキシレート、N,N′‐ビス(3‐
アミノプロピル)エチレンジアミン‐2,4‐ビス[N
‐ブチル‐N‐(1,2,6,6‐ペンタメチル‐4‐
ピペリジル)アミノ]‐6‐クロロ‐1,3,5‐トリ
アジン縮合物、ポリ[6‐N‐モルホリル‐1,3,5
‐トリアジン‐2,4‐ジイル][(2,2,6,6‐
テトラメチル‐4‐ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレ
ン[(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジ
ル)イミド]、N,N′‐ビス(2,2,6,6‐テト
ラメチル‐4‐ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと
1,2‐ジブロモエタンとの縮合物、[N‐(2,2,
6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)‐2‐メチル
‐2‐(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジ
ル)イミノ]プロピオンアミドが好適である。
【0054】また、無機系充てん剤としては、例えば球
状フィラー,板状フィラー,繊維状フィラーなどがあ
る。球状フィラーとしては、例えば炭酸カルシウム,カ
オリン(ケイ酸アルミニウム),シリカ、パーライト,
シラスバルーン,セリサイト,ケイソウ土,亜硫酸カル
シウム,焼成アルミナ,ケイ酸カルシウム,結晶質ゼオ
ライト,非晶質ゼオライトなどが、板状フィラーとして
は、例えばタルクやマイカなどが、繊維状フィラーとし
ては、例えばウオラストナイトのような針状のもの、マ
グネシウムオキシサルフェイト,チタン酸カリウム繊
維,繊維状炭酸カルシウムのような繊維状のもの、さら
には、ガラス繊維のような完全に繊維状のものなどが挙
げられる。一方、有機充てん剤としては、例えば木粉や
木綿粉などの木質粒子,モミ殻粉末,架橋ゴム粉末,プ
ラスチック粉末,コラーゲン粉末などが挙げられる。難
燃剤としては、例えば水和アルミニウム,水和石膏,ホ
ウ酸亜鉛,ホウ酸バリウム,ホウ砂,カオリン,クレ
ー,炭酸カルシウム,明ばん石,塩基性炭酸マグネシウ
ム,水酸化カルシウム,水酸化マグネシウムなどが挙げ
られる。
【0055】本発明において、基材に用いるフィルムや
シートを成形するには、例えばまず、(A)成分のポリ
プロピレン系樹脂組成物に所望により各種添加剤を、あ
るいは(A)成分のポリプロピレン系樹脂組成物に前記
熱可塑性エラストマー共重合体及び所望により各種添加
剤を配合し、タンブラーブレンダー,ヘンシェルミキサ
ーなどで混合するか、又は混合後さらに単軸押出機や多
軸押出機を用いて溶融混練造粒するか、あるいはニーダ
ー,バンバリーミキサーなどで溶融混練造粒することに
より、成形材料を調製する。次いで、この成形材料を押
出成形,キャスト成形,インフレーション成形,カレン
ダー成形,射出成形などの成形方法により、厚さ0.03
〜0.5mm程度のフィルム又はシート状に加工するのが
有利である。このようにして得られたフィルムやシート
には、コロナ処理,オゾン処理,プラズマ処理などの表
面処理を施し、表面の濡れ指数(JIS K6768に
準拠して求めた。)を35〜45dyne/cm程度と
するのが、インキ保持性及びインキ転写性のバランスの
面から有利である。
【0056】本発明の転写フィルム・シートは、上記の
ようにして得られたフィルム又はシートを基材とし、こ
の上に絵柄層と接着剤層が順次積層されたものである。
該絵柄層には、所望の絵柄模様が印刷されており、この
印刷に用いるインキのバインダーとしては、特に制限は
なく、例えばポリウレタン系樹脂,塩化ビニル系樹脂,
塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂,塩化ビニル−
酢酸ビニル系共重合体樹脂/アクリル系樹脂,塩素化ポ
リプロピレン系樹脂,アクリル系樹脂,ポリエステル系
樹脂,ポリアミド系樹脂,ブチラール系樹脂,ポリスチ
レン系樹脂,ニトロセルロース系樹脂,アセチルセルロ
ース系樹脂などの中から、任意のものが用いられる。ま
た、該インキには、顔料,染料などの着色剤、体質顔
料、溶剤などが適宜混合されている。この絵柄模様層の
厚さは、通常1〜5μm程度である。
【0057】本発明においては、上記絵柄層は、絵柄模
様層と隠蔽層の二層構造からなるものが特に好適であ
る。この隠蔽層の形成に用いられるインキとしては、バ
インダーに顔料,染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、
安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したもの
が使用される。該バインダーとしては、上記絵柄模様層
を設けるのに用いられるインキのバインダーとして例示
したものと同じものを挙げることができる。この隠蔽層
としては、厚さ1〜20μm程度のベタ印刷層が好適で
ある。この隠蔽層は転写後、絵柄模様層の下層に位置す
るように、本発明の転写フィルム・シートにおいては絵
柄模様層の上層に設けられる。次に、この上に設けられ
る接着剤層としては、加熱時に粘着性を示すもの、例え
ばポリウレタン系樹脂,エポキシ系樹脂,アクリル系樹
脂,ビニル系樹脂,酢酸ビニル系樹脂,ポリエステル系
樹脂,エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂,アクリル−
酢酸ビニル共重合体樹脂,ポリアミド系樹脂,アイオノ
マー系樹脂などを主成分とする公知の接着剤からなる厚
さ1〜20μm程度のものを好ましく挙げることができ
る。
【0058】本発明においては、転写後に絵柄層からの
基材の剥離を容易にするために、必要に応じ、基材と絵
柄層との間に剥離層を設けてもよい。この剥離層として
は、例えばワックス類,シリコーンワックス,シリコー
ン系樹脂,フッ素系樹脂,アクリル系樹脂,ビニル系樹
脂,変性フェノール系樹脂,エポキシ系樹脂,ゴム系樹
脂,ポリアミド系樹脂,エチレン−酢酸ビニル共重合体
樹脂などの中の任意の樹脂からなる厚さ0.1〜10μm
程度の層が好ましく挙げられる。さらに、本発明におい
ては、転写後の絵柄層を保護するために、基材と絵柄層
との間に、あるいは上記剥離層を設けた場合には、剥離
層と絵柄層との間に保護層を設けてもよい。この保護層
としては、例えばアクリル系樹脂,ポリウレタン系樹
脂,紫外線硬化型樹脂などの中の任意の樹脂からなる厚
さ0.1〜10μm程度の層、あるいは金属蒸着層なとが
好ましく挙げられる。この保護層を設けることにより、
転写後の絵柄層が保護されるとともに、光沢性などが付
与される。
【0059】本発明の転写フィルム・シートの製造方法
については特に制限はなく、例えば基材のフィルムやシ
ート上に、グラビア印刷,スクリーン印刷,オフセット
印刷,フレキソ印刷などの一般的な印刷方法、又はロー
ルコートなどのコーティング方法により、各層を順次積
層することにより、製造することができる。本発明の転
写フィルム・シートを用いて、三次元曲面を有する成形
品へ絵付けするには、例えば真空成形,圧空成形,イン
モールド成形などによって、加熱軟化状態の転写フィル
ム・シートを、その接着剤層が被転写体に接するように
密着させ、絵柄層を転写したのち、基材を剥離すればよ
い。転写時の温度は、通常60〜150℃、好ましくは
70〜120℃程度である。
【0060】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定さ
れるものではない。 実施例1 (1)プロピレンホモポリマーの製造 マグネシウム化合物の調製 内容積約6リットルの撹拌機付きガラス製反応器を窒素
ガスで充分に置換した後、これにエタノール約2,430
g、ヨウ素20g及び金属マグネシウム160gを仕込
み、撹拌しながら加熱して、還流条件下で系内からの水
素ガスの発生がなくなるまで反応させ、固体状反応生成
物を得た。この固体状反応生成物を含む反応液を減圧下
乾燥させることによりマグネシウム化合物を得た。
【0061】 固体触媒成分(W)の調製 窒素ガスで充分に置換した内容積5リットルのガラス製
反応器に、上記で得られたマグネシウム化合物(粉砕
していないもの)160g,精製ヘプタン800ミリリ
ットル,四塩化ケイ素24ミリリットル及びフタル酸ジ
エチル23ミリリットルを仕込み、系内を80℃に保
ち、撹拌しながら四塩化チタン770ミリリットルを加
えて110℃で2時間反応させた後、固体成分を分離し
て90℃の精製ヘプタンで洗浄した。さらに、四塩化チ
タン1,220ミリリットルを加え、110℃で2時間反
応させた後、精製ヘプタンで充分に洗浄し、固体触媒成
分(W)を得た。 気相重合 内容積200リットルの重合槽に、上記で得られた固
体触媒成分(W)6.0g/時間、トリイソブチルアルミ
ニウム(TIBA)0.2モル/時間、1−アリル−3,
4−ジメトキシベンゼン(ADMB)0.006モル/時
間、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CHMD
MS)0.03モル/時間、プロピレン43kg/時間で
供給し、70℃,28kg/cm2 Gで重合を行った。
ポリマーの生成量は30kg/時間であった。
【0062】この重合で得られたポリマーは、プロピレ
ンホモポリマーであり、その極限粘度〔η〕(135
℃,デカリン中)は、5.04デシリットル/gであっ
た。また、上記ホモポリマーの沸騰n−ヘプタン不溶成
分量は88.2重量%であり、該沸騰n−ヘプタン不溶成
分の〔η〕は5.42デシリットル/g、沸騰n−ヘプタ
ン可溶成分の〔η〕は2.07デシリットル/gであっ
た。一方、該ホモポリマーの13C−NMRスペクトルか
ら算出したペンダッド分率rrrr/(1−mmmm)
×100は24.2%であり、DSCにて測定した融解ピ
ーク温度(Tm)は158.7℃、融解エンタルピー(Δ
H)は80.7J/gであった。また、プロピレンの頭−
尾間の結合に関する逆転結合はみられなかった。得られ
たポリプロピレンのパウダーに、2,5−ジメチル−
2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサンを混
合し、さらに酸化防止剤,熱安定剤,塩素捕捉剤を添加
した後、40mmφ押出機で押し出してペレットを得
た。ペレットのメルトインデックス(MI)は2.5g/
10分であった。なお、上記ポリマーを過酸化物で分解
して低分子量化したが、この低分子量化ポリマーにあっ
ても、上述したペンダッド分率,融解ピーク温度及び融
解エンタルピーに変化はなかった。
【0063】(2)基材フィルムの成形 上記(1)で得られたプロピレンホモポリマーペレット
を、90mmφキャスト成形機により、樹脂温度250
℃、引取速度10m/分の条件で厚さ100μmのフィ
ルムに成形した。このフィルムには成形と同時に片面に
シボ加工を行い、またシボ面には0.5kWの条件でコロ
ナ処理を行った。コロナ処理面の濡れ指数は38dyn
e/cmであった。 (3)転写フィルムの積層 上記(2)で得られたフィルムのコロナ処理面に、塩化
ビニル−酢酸ビニル系樹脂をバインダーとするインキを
用い、グラビア印刷により、石目調絵柄層を設け、さら
に該インキに白色顔料を加えたものを用いてベタ層を設
けたのち、その上に、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹
脂からなる接着剤層を設け、転写フィルムを製造した。
絵柄層,隠蔽層,接着剤層の全厚みは10μmであっ
た。
【0064】(4)合板への転写 真空成形機内に、上記(3)で得られた転写フィルムと
中密度パーティクルボードをセットし、真空度5tor
r,圧空度2.5kg/cm2 ,90℃の条件で、転写フ
ィルムを中密度パーティクルボードに密着させた。冷却
後、基材フィルムは手で簡単に剥離することができ、絵
柄層は基材フィルム上にインキが残ることなく、すべて
転写された。したがって、得られた転写フィルムは、イ
ンキの保持性が良好で、加熱軟化時の垂れ下がりなどの
転写時の不都合もなく、絵柄層の転写性及び転写後の基
材フィルムの剥離性も良好であった。また、基材フィル
ムは、塩素などを含まないポリプロピレン樹脂であるた
め、焼却可能で環境上の問題は発生しない。
【0065】比較例1 実施例1において、(1)で得られたプロピレンホモポ
リマーペレットの代わりに、ΔHが107J/gのポリ
プロピレン樹脂〔出光石油化学(株)製出光ポリプロ:
F704−NP〕を用い、実施例1と同様にして、基材
フィルムの成形,転写フィルムの積層,合板への転写の
操作を行ったところ、転写後に基材フィルムを剥がす際
に、基材フィルム側に絵柄層の転写残りが認められた。 比較例2 実施例1において、(1)で得られたプロピレンホモポ
リマーペレットの代わりに、融解ピーク温度(Tm)が
140℃であるポリプロピレン樹脂〔出光石油化学
(株)製出光ポリプロ:F740N〕90重量%とスチ
レン−イソプレンブロック共重合体〔(株)クラレ製ハ
イブラーHVS−3〕10重量%との混合樹脂を用い、
実施例1と同様にして基材フィルムの成形,転写フィル
ムの積層,合板への転写の操作を行ったところ、転写後
に基材フィルムを剥がす際に、基材フィルムの剥離強度
が高く、作業性が悪かった。以上の結果をまとめて第1
表に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
【発明の効果】本発明の転写フィルム・シートは、真空
成形,圧空成形,インモールド成形などによる転写時に
おいて、熱加工性,被転写体との密着性が良好で、かつ
基材のインキ保持性,インキ転写性,インキ層からの剥
離性が良好である。また、さらに、本発明の転写フィル
ム・シートは、剥離後の廃棄の問題もなく、三次元曲面
への絵付けに好適に用いられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 9:00 31:00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材上に絵柄層と接着剤層が順次積層され
    た構造を有する転写フィルム・シートにおいて、該基材
    として、(A)(a)(イ)同位体炭素核磁気共鳴(13
    C−NMR)スペクトルによるペンタッド分率におい
    て、rrrr/(1−mmmm)×100が15〜50
    %、(ロ)示差走査熱量分析計(DSC)にて測定した
    融解ピーク温度(Tm)が150℃以上及び(ハ)DS
    Cにて測定した融解エンタルピー(ΔH)が100J/
    g以下であるプロピレンの単独重合体及び/又は4重量
    %以下の他のオレフィン単位を含有するプロピレン系共
    重合体からなるプロピレン系樹脂100〜20重量%
    と、(b)プロピレン以外のオレフィン単位10〜80
    重量%を含有するプロピレン系共重合体0〜80重量%
    とからなるポリプロピレン系樹脂組成物、又は(B)該
    (A)成分のポリプロピレン系樹脂組成物99〜60重
    量%と熱可塑性エラストマー共重合体1〜40重量%と
    の樹脂組成物からなるフィルム又はシートを用いたこと
    を特徴とする転写フィルム・シート。
  2. 【請求項2】(a)成分において、(ハ)の融解エンタ
    ルピー(ΔH)が10〜100J/gである請求項1記
    載の転写フィルム・シート。
  3. 【請求項3】熱可塑性エラストマー共重合体が、エチレ
    ン−炭素数3以上のα−オレフィン系共重合エラストマ
    ー,エチレン−炭素数3以上のα−オレフィン−ジエン
    系共重合エラストマー,スチレン−ジエン系共重合エラ
    ストマー及びスチレン−ジエン系共重合エラストマーの
    水素添加物の中から選ばれた少なくとも一種である請求
    項1記載の転写フィルム・シート。
  4. 【請求項4】絵柄層が、絵柄模様層と隠蔽層の二層構造
    からなるものである請求項1〜3のいずれかに記載の転
    写フィルム・シート。
  5. 【請求項5】基材と絵柄層との間に剥離層を有する請求
    項1〜4のいずれかに記載の転写フィルム・シート。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013248851A (ja) * 2012-06-04 2013-12-12 Okura Ind Co Ltd 転写用基材フィルム
JP2016153229A (ja) * 2015-02-16 2016-08-25 グンゼ株式会社 転写加飾用基体フイルム

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