JPH09226076A - 建装材 - Google Patents

建装材

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JPH09226076A
JPH09226076A JP3501796A JP3501796A JPH09226076A JP H09226076 A JPH09226076 A JP H09226076A JP 3501796 A JP3501796 A JP 3501796A JP 3501796 A JP3501796 A JP 3501796A JP H09226076 A JPH09226076 A JP H09226076A
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JP
Japan
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weight
propylene
resin
copolymer
magnesium
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Application number
JP3501796A
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English (en)
Inventor
Masahiko Endo
雅彦 遠藤
Takayuki Kono
孝之 河野
Toshimi Nikaido
俊実 二階堂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性,耐候性,耐摩耗性などに優れ、かつ
ソフト感を有する上、環境に優しい建装材を提供するこ
と。 【解決手段】 (イ)13C−NMRによるペンタッド分
率において、rrrr/(1−mmmm)×100が2
0〜60%、(ロ)DSCにて測定した融解ピーク温度
が150℃以上及び(ハ)DSCにて測定した融解エン
タルピー(ΔH)が100J/g以下のプロピレンの単
独重合体及び/又は4重量%以下の他オレフィン単位を
含有する共重合体からなるポリプロピレン系樹脂、又は
このポリプロピレン系樹脂99〜60重量%と熱可塑性
エラストマー共重合体1〜40重量%との樹脂混合物を
主成分とする表面材層を有する建装材である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は床材や壁装材などの
建装材に関し、さらに詳しくは、耐熱性,耐候性,耐摩
耗性などに優れ、かつソフト感を有する上、環境に優し
い建装材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、建築材料には、木材及び塩化ビニ
ル系樹脂などが主として用いられているが、木材は森林
保護などのために使用に制限があり、一方、塩化ビニル
系樹脂は、(1)加工性に優れるものの、加工時や焼却
時に有害な塩素、ダイオキシンを発生することから、そ
の使用が問題となっている、(2)可塑剤により幅広く
柔軟性を制御できるが、その成形品は可塑剤がブリード
しやすく、外観不良を引起し、問題となる場合がある、
(3)塩化ビニル系樹脂を用いた床材は、木材に比べ
て、冷たく硬い感じがするという合成プラスチック感を
有するため、木材の代替としての要求を充分に満足して
いない、(4)耐熱性,耐候性,耐摩耗性に劣る、など
の欠点を有している。この塩化ビニル系樹脂は、環境保
護の立場から、特に上記(1)が問題となっており、地
球に優しい材料を求める世界的な動きに対して適した材
料とはいえず、それに替わる材料の開発が急務となって
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況下で、耐熱性,耐候性,耐摩耗性に優れ、かつ良好
な印刷性及び二次加工性などを有する上、ソフト感を有
し、しかも環境に対して優しい建装材を提供することを
目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の好
ましい性質を有する建装材を開発すべく鋭意研究を重ね
た結果、表面材層に、特定の性状を有するポリプロピレ
ン系樹脂又はこのポリプロピレン系樹脂と熱可塑性エラ
ストマー共重合体との樹脂混合物を用いることにより、
その目的を達成しうることを見出した。本発明は、かか
る知見に基づいて完成したものである。すなわち、本発
明は、(イ)同位体炭素核磁気共鳴(13C−NMR)ス
ペクトルによるペンタッド分率において、rrrr/
(1−mmmm)×100が20〜60%、(ロ)示差
走査熱量分析計(DSC)にて測定した融解ピーク温度
(Tm)が150℃以上及び(ハ)DSCにて測定した
融解エンタルピー(ΔH)が100J/g以下であるプ
ロピレンの単独重合体及び/又は4重量%以下の他のオ
レフィン単位を含有するプロピレン系共重合体からなる
ポリプロピレン系樹脂を主成分とする表面材層を有する
ことを特徴とする建装材、並びに(A)上記ポリプロピ
レン系樹脂99〜60重量%と(B)熱可塑性エラスト
マー共重合体1〜40重量%との樹脂混合物を主成分と
する表面材層を有することを特徴とする建装材を提供す
るものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の建装材においては、表面
材層として、特定の性状を有するプロピレンの単独重合
体及び/又は4重量%以下の他のオレフィン単位を含有
するプロピレン系共重合体からなるポリプロピレン系樹
脂、あるいは(A)このポリプロピレン系樹脂99〜6
0重量%と(B)熱可塑性エラストマー共重合体1〜4
0重量%との樹脂混合物を主成分とするものが用いられ
る。ここで、上記プロピレンの単独重合体やプロピレン
系共重合体の特定の性状とは、下記の(イ)〜(ハ)に
示す性状を指す。まず、(イ)同位体炭素核磁気共鳴ス
ペクトル(13C−NMR)によるペンタッド分率におい
て、rrrr/(1−mmmm)×100が20〜60
%の範囲である。この値が20%未満では耐熱性が不十
分であり、また60%を超えると柔軟性が不十分とな
る。耐熱性及び柔軟性のバランスの面から、好ましいr
rrr/(1−mmmm)×100は25〜55%の範
囲である。ここでrrrrとは任意の連続する5つのプ
ロピレン単位で構成される炭素−炭素結合による主鎖に
対して、側鎖である5つのメチル基が交互に反対方向に
位置する立体構造あるいはその割合を意味し、mmmm
とは任意の連続する5つのプロピレン単位で構成される
炭素−炭素結合による主鎖に対して、側鎖である5つの
メチル基がいずれも同方向に位置する立体構造あるいは
その割合を意味する。
【0006】なお、このrrrr/(1−mmmm)×
100は次のようにして測定した値である。すなわち、
JNM−FX−200(日本電子社製,13C−核共鳴周
波数50.1MHz)を用い、測定モード:プロトン完全
デカップリング法,パルス幅:6.9μs(45°),パ
ルス繰り返し時間:3s,積算回数:10000回,溶
媒:1,2,4−トリクロロベンゼン/重ベンゼン(9
0/10容量%),試料濃度250mg/2.5ミリリッ
トル溶媒,測定温度:130℃の条件にて、13C−NM
R測定を行い、メチル基の立体規則性によるケミカルシ
フトの違いにより、すなわち、22.5〜19.5ppm領
域に現れるmmmm〜mrrmの各ピークの面積強度比
から、ペンタッド分率を測定し、rrrr/(1−mm
mm)×100の値を求めた。 mmmm:21.86ppm mmmr:21.62ppm mmrr:21.08ppm mmrm+rrmr:20.89ppm rrrr:20.36ppm mrrm:19.97ppm
【0007】次に、(ロ)示差走査熱量分析計(DS
C)にて測定した融解ピーク温度(Tm)が150℃以
上である。Tmが150℃未満では充分な耐熱性が得ら
れない。このTmは、通常150〜165℃の範囲であ
る。なお、該Tmは、Perkin−Elmer社製D
SC−7を用いて測定を行い、JIS K−7121に
準拠して融解ピークの温度として求めた値である。さら
に、(ハ)DSCにて測定した融解エンタルピー(Δ
H)が100J/g以下である。ΔHが100J/gを
超えると柔軟性が損なわれ、本発明の目的が達せられな
い。また、このΔHがあまり小さすぎると強度が不充分
となるので、好ましいΔHは10〜100J/gの範
囲、より好ましくは20〜100J/gの範囲であり、
特に40〜90J/gの範囲が好適である。なお、該Δ
Hは、Perkin−Elmer社製DSC−7を用い
て測定を行い、JIS K−7122に準拠して、結晶
融解時に吸収される総熱エネルギーとして求めた値であ
る。なお、DSCの測定は、サンプルを230℃に3分
間保持した後、10℃/分で50℃まで降温後、3分間
保持し、10℃/10分で230℃まで昇温する条件で
行った。
【0008】また、上記プロピレンの単独重合体及び4
重量%以下の他のオレフィン単位を含有するプロピレン
系共重合体は、沸騰n−ヘプタン可溶分量が7〜50重
量%の範囲にあるものが好ましい。この沸騰n−ヘプタ
ン可溶分量が7重量%未満では柔軟性が損なわれるおそ
れがあり、また、50重量%を超えると充分な機械的強
度及び耐熱性が得られない傾向がみられる。柔軟性、機
械的強度及び耐熱性のバランスの面から、より好ましい
沸騰n−ヘプタン可溶分量は10〜40重量%の範囲で
ある。なお、沸騰n−ヘプタン可溶分量は、ソックスレ
ー抽出試験器を用い、沸騰n−ヘプタンで6時間抽出し
た後の抽出残分量から、可溶分量を算出して得られた値
である。さらに、このプロピレンの単独重合体及び4重
量%以下の他のオレフィン単位を含有する共重合体にお
いては、そのプロピレン連鎖部において、通常側鎖のメ
チル基を有する炭素が隣接して並ぶことはなく、すなわ
ち逆転結合はなく、一つおきに整然と並んでいる。つま
り、本発明においては、各プロピレン単位が頭−尾(he
ad-tail)結合により連結しており、頭−頭(head-head)
結合や尾−尾(tail-tail)結合は実質的に皆無である。
【0009】また、上記4重量%以下の他のオレフィン
単位を含有するプロピレン系共重合体において、他のオ
レフィン単位を形成するコモノマーのオレフィン類とし
ては、例えば、エチレン;ブテン−1;ペンテン−1;
4−メチル−1−ペンテン;ヘキセン−1;ヘプテン−
1;オクテン−1;ノネン−1;デセン−1などのα−
オレフィンを挙げることができる。これらの中では、エ
チレンが好適である。これらのオレフィン類はそれぞれ
単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いても
よい。また、これらのコモノマーのオレフィン類は、得
られるプロピレン系共重合体中の該オレフィン類に由来
する単位の含有量が4重量%以下になるように用いる。
【0010】本発明において、上記ポリプロピレン系樹
脂は、メルトインデックス(MI)が0.1〜50g/1
0分の範囲にあるのが望ましい。このMIが0.1g/1
0分未満では成形が困難であり、また50g/10分を
超えると得られる成形品の機械的物性が不充分となる。
成形性及び成形品の機械的物性のバランスの面から、よ
り好ましいMIは0.2〜30g/10分の範囲である。
なお、このMIは、JIS K7210に準拠して、荷
重2.16kgf,温度230℃の条件で測定した値であ
る。本発明における上記プロピレン単独重合体及び4重
量%以下の他のオレフィン単位を含むプロピレン系共重
合体は、例えば気相一段重合法,スラリー一段重合法,
気相多段重合法,スラリー多段重合法又はブレンド法な
どによって製造することができる。例えば、重合法によ
って製造する場合には、 (a)(i)マグネシウム,チタン,ハロゲン原子及び
電子供与体からなる固体触媒成分、及び必要に応じて用
いられる(ii)結晶性ポリオレフィンから構成される固
体成分と、 (b)有機アルミニウム化合物と、 (c)一般式(I)
【0011】
【化1】
【0012】〔式中、R1 は炭素数1〜20のアルキル
基、R2 は炭素数1〜10の炭化水素基、水酸基又はニ
トロ基を示し、mは1〜6の整数、nは0〜(6−m)
の整数を示す。〕で表されるアルコキシ基含有芳香族化
合物と、必要に応じて用いられる(d)電子供与性化合
物とからなる触媒系の存在下、プロピレンを単独重合又
はプロピレンとその他のオレフィン類とを共重合させれ
ばよい。上記(a)固体成分は、(i)成分のマグネシ
ウム,チタン,ハロゲン原子及び電子供与体からなる固
体触媒成分と、必要に応じて用いられる(ii)成分の結
晶性ポリオレフィンとから構成されている。該(i)成
分の固体触媒成分は、マグネシウム,チタン,ハロゲン
原子及び電子供与体を必須成分とするものであって、マ
グネシウム化合物とチタン化合物と電子供与体とを接触
させることによって調製することができる。なお、この
場合、ハロゲン原子は、ハロゲン化物としてマグネシウ
ム化合物及び/又はチタン化合物などに含まれる。
【0013】該マグネシウム化合物としては、例えばマ
グネシウムジクロリドなどのマグネシウムジハライド、
酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ハイドロタル
サイト、マグネシウムのカルボン酸塩、ジエトキシマグ
ネシウムなどのジアルコキシマグネシウム、ジアリーロ
キシマグネシウム、アルコキシマグネシウムハライド、
アリーロキシマグネシウムハライド、エチルブチルマグ
ネシウムなどのジアルキルマグネシウム、ジアルキルマ
グネシウムハライド、あるいは有機マグネシウム化合物
と電子供与体、ハロシラン、アルコキシシラン、シラノ
ール及びアルミニウム化合物等との反応物などを挙げる
ことができるが、これらの中でマグネシウムジハライ
ド、ジアルコキシマグネシウム、ジアルキルマグネシウ
ム、アルキルマグネシウムハライドが好適である。また
これらのマグネシウム化合物は一種だけで用いてもよ
く、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0014】また、マグネシウム化合物として、金属マ
グネシウムとハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物と
アルコールとの反応生成物を用いることもできる。この
際用いられる金属マグネシウムは特に制限はなく、任意
の粒径の金属マグネシウム、例えば顆粒状、リボン状、
粉末状などのものを用いることができる。また、金属マ
グネシウムの表面状態も特に制限はないが、表面に酸化
マグネシウムなどの被膜が生成されていないものが好ま
しい。さらに、アルコールとしては任意のものを用いる
ことができるが、炭素数1〜6の低級アルコールを用い
ることが好ましく、特に、エタノールは触媒性能の発現
を著しく向上させる固体触媒成分を与えるので好適であ
る。アルコールの純度及び含水量も限られないが、含水
量の多いアルコールを用いると金属マグネシウム表面に
水酸化マグネシウムが形成されるので、含水量が1重量
%以下、特に2000ppm以下のアルコールを用いる
ことが好ましく、水分は少なければ少ないほど有利であ
る。
【0015】ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物の
種類に制限はなく、ハロゲン含有化合物としては、ハロ
ゲン原子をその分子中に含む化合物であればいずれのも
のでも使用できる。この場合、ハロゲン原子の種類につ
いては特に制限されないが、塩素,臭素又はヨウ素、特
にヨウ素が好適に使用される。ハロゲン含有化合物の中
ではハロゲン含有金属化合物が特に好ましい。これらの
状態,形状,粒度などは特に限定されず、任意のもので
よく、例えばアルコール系溶媒(例えば、エタノール)
中の溶液の形で用いることができる。アルコールの使用
量は、金属マグネシウム1モルに対して通常2〜100
モル、好ましくは5〜50モルの範囲で選ばれる。アル
コール量が多すぎると、モルフォロジーの良好なマグネ
シウム化合物が得られにくい傾向がみられ、少ない場合
は、金属マグネシウムとの反応がスムーズに行われなく
なるおそれがある。
【0016】ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物は
通常、金属マグネシウム1グラム原子に対して、ハロゲ
ン原子として0.0001グラム原子以上、好ましくは0.
0005グラム原子以上、さらに好ましくは0.001グ
ラム原子以上の割合で用いられる。0.0001グラム原
子未満では、得られたマグネシウム化合物を粉砕するこ
となく用いた場合、担持量,活性,立体規則性,生成ポ
リマーのモルフォロジーなどが低下し、粉砕処理が不可
欠なものとなり好ましくない。また、ハロゲン及び/又
はハロゲン含有化合物の使用量を適宜選択することによ
り、得られるマグネシウム化合物の粒径を任意にコント
ロールすることが可能である。
【0017】金属マグネシウムとアルコールとハロゲン
及び/又はハロゲン含有化合物との反応それ自体は、公
知の方法を用いて行うことができる。例えば、金属マグ
ネシウムとアルコールとハロゲン及び/又はハロゲン含
有化合物とを、還流下で、水素ガスの発生が認められな
くなるまで、通常約20〜30時間反応させて所望のマ
グネシウム化合物を得る方法である。具体的には、例え
ばハロゲンとしてヨウ素を用いる場合には、アルコール
中に金属マグネシウム及び固体状のヨウ素を投入したの
ち、加熱し還流する方法、アルコール中に金属マグネシ
ウム及びヨウ素のアルコール溶液を滴下投入後加熱し還
流する方法、金属マグネシウムを含むアルコール溶液を
加熱しつつヨウ素のアルコール溶液を滴下する方法など
が挙げられる。いずれの方法も、例えば窒素ガス,アル
ゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下で、場合により不活
性有機溶媒(例えば、n−ヘキサンなどの飽和炭化水
素)を用いて行うことが好ましい。金属マグネシウム、
アルコール、ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物の
投入については、最初からそれぞれ全量を反応槽に投入
しておく必要はなく、分割して投入してもよい。特に好
ましい形態は、アルコールを最初から全量投入してお
き、金属マグネシウムを数回に分割して投入する方法で
ある。
【0018】このようにした場合、水素ガスの一時的な
大量発生を防ぐことができ、安全面から非常に望まし
い。また、反応槽も小型化することが可能となる。さら
には、水素ガスの一時的な大量発生により引き起こされ
るアルコールやハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物
の飛沫同伴を防ぐことも可能となる。分割する回数は、
反応槽の規模を勘案して決めればよく、操作の煩雑さを
考えると通常5〜10回が好適である。また、反応自体
は、バッチ式,連続式のいずれでもよいことは言うまで
もない。さらには、変法として、最初から全量投入した
アルコール中に金属マグネシウムを先ず少量投入し、反
応により生成した生成物を別の槽に分離して除去したの
ち、再び金属マグネシウムを少量投入するという操作を
繰り返すということも可能である。こうして得たマグネ
シウム化合物を、次の固体触媒成分の調製に用いる場
合、乾燥させたものを用いてもよく、またろ別後ヘプタ
ンなどの不活性溶媒で洗浄したものを用いてもよい。い
ずれの場合においても、得られたマグネシウム化合物
は、粉砕あるいは粒度分布をそろえるための分級操作を
することなく次工程に用いることができる。
【0019】また、該チタン化合物としては、例えばテ
トラメトキシチタン,テトラエトキシチタン,テトラ−
n−プロポキシチタン,テトライソプロポキシチタン,
テトラ−n−ブトキシチタン,テトライソブトキシチタ
ン,テトラシクロヘキシロキシチタン,テトラフェノキ
シチタンなどのテトラアルコキシチタン、四塩化チタ
ン,四臭化チタン,四ヨウ化チタンなどのテトラハロゲ
ン化チタン、メトキシチタニウムトリクロリド,エトキ
シチタニウムトリクロリド,プロポキシチタニウムトリ
クロリド,n−ブトキシチタニウムトリクロリド,エト
キシチタニウムトリブロミドなどのトリハロゲン化モノ
アルコキシチタン、ジメトキシチタニウムジクロリド,
ジエトキシチタニウムジクロリド,ジプロポキシチタニ
ウムジクロリド,ジ−n−ブトキシチタニウムジクロリ
ド,ジエトキシチタニウムジブロミドなどのジハロゲン
化ジアルコキシチタン、トリメトキシチタニウムクロリ
ド,トリエトキシチタニウムクロリド,トリプロポキシ
チタニウムクロリド,トリ−n−ブトキシチタニウムク
ロリドなどのモノハロゲン化トリアルコキシチタンなど
が挙げられるが、これらの中で高ハロゲン含有チタン化
合物、特に四塩化チタンが好適である。またこれらのチ
タン化合物は一種だけで用いてもよく、二種以上を組み
合わせて用いてもよい。
【0020】また、電子供与体としては、後で(d)成
分の電子供与性化合物として例示するものを用いること
ができる。該(i)固体触媒成分の調製は、公知の方法
(特開昭53−43094号公報,特開昭55−135
102号公報、特開昭55−135103号公報、特開
昭56−18606号公報、特開昭56−166205
号公報、特開昭57−63309号公報、特開昭57−
190004号公報、特開昭57−300407号公
報、特開昭58−47003号公報)で行うことができ
る。
【0021】このようにして調製された(i)固体触媒
成分の組成は通常、マグネシウム/チタン原子比が2〜
100、ハロゲン/チタン原子比が5〜100、電子供
与体/チタンモル比が0.1〜10の範囲にある。また、
(a)固体成分の調製において必要に応じて用いられる
(ii)成分の結晶性ポリオレフィンとしては、例えば、
ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリブテン,ポリ4−
メチル−1−ペンテンなどの炭素数2〜10のα−オレ
フィンから得られる結晶性ポリオレフィンが挙げられ
る。この結晶性ポリオレフィンは、(1)前記(i)固
体触媒成分と有機アルミニウム化合物と必要に応じて用
いられる電子供与性化合物とを組み合わせたものの存在
下に、オレフィンを予備重合させる方法(予備重合
法)、(2)粒径の揃った結晶性ポリエチレンやポリプ
ロピレンなどの結晶性パウダーに、前記(i)固体触媒
成分と必要に応じて用いられる有機アルミニウム化合物
と電子供与性化合物(融点100℃以上)とを分散させ
る方法(分散法)、(3)上記(1)の方法と(2)の
方法とを組み合わせる方法などを用いることにより得る
ことができる。
【0022】上記(1)の予備重合法においては、アル
ミニウム/チタン原子比は通常0.1〜100、好ましく
は0.5〜5の範囲で選ばれ、また電子供与化合物/チタ
ンのモル比は0〜50、好ましくは0.1〜2の範囲で選
ばれる。(a)固体成分における、(i)固体触媒成分
と(ii)結晶性ポリオレフィンとの割合については、
(i)成分に対する(ii)成分の重量比が通常、0.33
〜200、好ましくは0.10〜50の範囲になるように
選ばれる。
【0023】次に、(b)成分として用いられる有機ア
ルミニウム化合物としては、一般式(II) AlR3 p 3-p ・・・(II) 〔式中、R3 は炭素数3〜20のアルキル基又は炭素数
6〜20のアリール基、Xはハロゲン原子、pは1〜3
の数を示す。〕で表される化合物を挙げることができ
る。例えば、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソ
ブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムなどの
トリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノ
クロリド、ジイソプロピルアルミニウムモノクロリド、
ジイソブチルアルミニウムモノクロリド、ジオクチルア
ルミニウムモノクロリドなどのジアルキルアルミニウム
モノハライド、エチルアルミニウムセスキクロリドなど
のアルキルアルミニウムセスキハライドなどを好適に使
用することができる。これらのアルミニウム化合物は一
種だけで用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いて
もよい。
【0024】本発明における触媒系には、(c)成分と
して、一般式(I)
【0025】
【化2】
【0026】〔式中、R1 は炭素数1〜20のアルキル
基、R2 は炭素数1〜10の炭化水素基、水酸基又はニ
トロ基を示し、mは1〜6の整数、nは0〜(6−m)
の整数を示す。〕で表されるアルコキシ基含有芳香族化
合物が用いられる。このアルコキシ基含有芳香族化合物
の具体例としては、m−メトキシトルエン;o−メトキ
シフェノール;m−メトキシフェノール;2−メトキシ
−4−メチルフェノール;ビニルアニソール;p−(1
−プロペニル)アニソール;p−アリルアニソール;
1,3−ビス(p−メトキシフェニル)−1 −ペンテ
ン;5−アリル−2−メトキシフェノール;4−ヒドロ
キシ−3−メトキシベンジルアルコール;メトキシベン
ジルアルコール;ニトロアニソール;ニトロフェネトー
ルなどのモノアルコキシ化合物、o−ジメトキシベンゼ
ン;m−ジメトキシベンゼン;p−ジメトキシベンゼ
ン;3,4−ジメトキシトルエン;2,6−ジメトキシ
フェノール;1−アリル−3,4−ジメトキシベンゼン
などのジアルコキシ化合物、1,3,5−トリメトキシ
ベンゼン;5−アリル−1,2,3−トリメトキシベン
ゼン;5−アリル−1,2,4−トリメトキシベンゼ
ン;1,2,3−トリメトキシ−5−(1−プロペニ
ル)ベンゼン;1,2,4−トリメトキシ−5−(1−
プロペニル)ベンゼン;1,2,3−トリメトキシベン
ゼン;1,2,4−トリメトキシベンゼンなどのトリア
ルコキシ化合物などが挙げられるが、これらの中でジア
ルコキシ化合物及びトリアルコキシ化合物が好適であ
る。これらのアルコキシ基含有芳香族化合物は一種だけ
で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよ
い。
【0027】さらに、該触媒には、必要に応じ(d)成
分として電子供与性化合物が用いられる。この電子供与
性化合物は、酸素,窒素,リン,イオウ,ケイ素などを
含有する化合物であり、基本的にはプロピレンの重合に
おいて、規則性の向上性能を有するものが考えられる。
このような電子供与性化合物としては、例えば、有機ケ
イ素化合物,エステル類,チオエステル類,アミン類,
ケトン類,ニトリル類,ホスフィン類,エーテル類,チ
オエーテル類,酸無水物,酸ハライド類,酸アミド類,
アルデヒド類,有機酸類,アゾ化合物などを挙げること
ができる。
【0028】例えば、ジフェニルジメトキシシラン,ジ
フェニルジエトキシシラン,ジベンジルジメトキシシラ
ン,テトラメトキシシラン,テトラエトキシシラン,テ
トラフェノキシシラン,メチルトリメトキシシラン,メ
チルトリエトキシシラン,メチルトリフェノキシシラ
ン,フェニルトリメトキシシラン,フェニルトリエトキ
シシラン,ベンジルトリメトキシシラン,シクロヘキシ
ルメチルジメトキシシランなどの有機ケイ素化合物、モ
ノメチルフタレート,モノエチルフタレート,モノプロ
ピルフタレート,モノブチルフタレート,モノイソブチ
ルフタレート,モノアミルフタレート,モノイソアミル
フタレート,モノメチルテレフタレート,モノエチルテ
レフタレート,モノプロピルテレフタレート,モノブチ
ルテレフタレート,モノイソブチルテレフタレート,ジ
メチルフタレート,ジエチルフタレート,ジプロピルフ
タレート,ジブチルフタレート,ジイソブチルフタレー
ト,ジアミルフタレート,ジイソアミルフタレート,メ
チルエチルフタレート,メチルイソブチルフタレート,
メチルプロピルフタレート,エチルブチルフタレート,
エチルイソブチルフタレート,エチルプロピルフタレー
ト,プロピルイソブチルフタレート,ジメチルテレフタ
レート,ジエチルテレフタレート,ジプロピルテレフタ
レート,ジイソブチルテレフタレート,メチルエチルテ
レフタレート,メチルイソブチルテレフタレート,メチ
ルプロピルテレフタレート,エチルブチルテレフタレー
ト,エチルイソブチルテレフタレート,エチルプロピル
テレフタレート,プロピルイソブチルテレフタレート,
ジメチルイソフタレート,ジエチルイソフタレート,ジ
プロピルイソフタレート,ジイソブチルイソフタレー
ト,メチルエチルイソフタレート,メチルイソブチルイ
ソフタレート,メチルプロピルイソフタレート,エチル
ブチルイソフタレート,エチルイソブチルイソフタレー
ト,エチルプロピルイソフタレート,プロピルイソブチ
ルイソフタレートなどの芳香族ジカルボン酸エステル、
ギ酸メチル,ギ酸エチル,酢酸メチル,酢酸エチル,酢
酸ビニル,酢酸プロピル,酢酸オクチル,酢酸シクロヘ
キシル,プロピオン酸エチル,酪酸メチル,酪酸エチ
ル,吉草酸エチル,クロル酢酸メチル,ジクロル酢酸エ
チル,メタクリル酸メチル,クロトン酸エチル,ピバリ
ン酸エチル,マレイン酸ジメチル,シクロヘキサンカル
ボン酸エチル,安息香酸メチル,安息香酸エチル,安息
香酸プロピル,安息香酸ブチル,安息香酸オクチル,安
息香酸シクロヘキシル,安息香酸フェニル,安息香酸ベ
ンジル,トルイル酸メチル,トルイル酸エチル,トルイ
ル酸アミル,エチル安息香酸エチル,アニス酸メチル,
アニス酸エチル,エトキシ安息香酸エチル,p−ブトキ
シ安息香酸エチル,o−クロル安息香酸エチル,ナフト
エ酸エチルなどのモノエステル、γ−ブチロラクトン,
δ−バレロラクトン,クマリン,フタリド,炭酸エチレ
ンなどのエステル類、安息香酸,p−オキシ安息香酸な
どの有機酸類、無水コハク酸,無水安息香酸,無水p−
トルイル酸などの酸無水物、アセトン,メチルエチルケ
トン,メチルイソブチルケトン,アセトフェノン,ベン
ゾフェノン,ベンゾキノンなどのケトン類、アセトアル
デヒド,プロピオンアルデヒド,オクチルアルデヒド,
トルアルデヒド,ベンズアルデド,ナフチルアルデヒド
などのアルデヒド類、アセチルクロリド,アセチルブロ
ミド,プロピオニルクロリド,ブチリルクロリド,イソ
ブチリルクロリド,2−メチルプロピオニルクロリド,
バレリルクロリド,イソバレリルクロリド,ヘキサノイ
ルクロリド,メチルヘキサノイルクロリド,2−エチル
ヘキサノイルクロリド,オクタノイルクロリド,デカノ
イルクロリド,ウンデカノイルクロリド,ヘキサデカノ
イルクロリド,オクタデカノイルクロリド,ベンジルカ
ルボニルクロリド,シクロヘキサンカルボニルクロリ
ド,マロニルジクロリド,スクシニルジクロリド,ペン
タンジオレイルジクロリド,ヘキサンジオレイルジクロ
リド,シクロヘキサンジカルボニルジクロリド,ベンゾ
イルクロリド,ベンゾイルブロミド,メチルベンゾイル
クロリド,フタロイルクロリド,イソフタロイルクロリ
ド,テレフタロイルクロリド,ベンゼン−1,2,4−
トリカルボニルトリクロリドなどの酸ハロゲン化物類、
メチルエーテル,エチルエーテル,イソプロピルエーテ
ル,n−ブチルエーテル,イソプロピルメチルエーテ
ル,イソプロピルエチルエーテル,t−ブチルエチルエ
ーテル,t−ブチル−n−プロピルエーテル,t−ブチ
ル−n−ブチルエーテル,t−アミルメチルエーテル,
t−アミルエチルエーテル,アミルエーテル,テトラヒ
ドロフラン,アニソール,ジフェニルエーテル,エチレ
ングリコールブチルエーテルなどのエーテル類、酢酸ア
ミド,安息香酸アミド,トルイル酸アミドなどの酸アミ
ド類、トリブチルアミン,N、N’−ジメチルピペラジ
ン,トリベンジルアミン,アニリン,ピリジン,ピロリ
ン,テトラメチルエチレンジアミンなどのアミン類、ア
セトニトリル,ベンゾニトリル,トルニトリルなどのニ
トリル類、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパ
ン),2,2’−アゾビス(2−エチルプロパン),
2,2’−アゾビス(2−メチルペンタン)などのアゾ
結合に立体障害置換基が結合してなるアゾ化合物などが
挙げられる。
【0029】これらの中で有機ケイ素化合物、エステル
類,ケトン類,エーテル類,チオエーテル類,酸無水
物,酸ハライド類が好ましく、特に、ジフェニルジメト
キシシラン,フェニルトリエトキシシラン,シクロヘキ
シルメチルジメトキシシランなどの有機ケイ素化合物、
ジ−n−ブチルフタレート,ジイソブチルフタレートな
どの芳香族ジカルボン酸ジエステル、安息香酸,p−メ
トキシ安息香酸,p−エトキシ安息香酸,トルイル酸な
どの芳香族モノカルボン酸のアルキルエステルなどが好
適である。これらの電子供与性化合物は一種だけで用い
てもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。触媒
系の各成分の使用量については、(a)固体成分はチタ
ン原子に換算して反応容積1リットル当たり、通常0.0
005〜1モルの範囲になるような量が用いられる。ま
た、(b)有機アルミニウム化合物は、アルミニウム/
チタン原子の比が、通常1〜3000、好ましくは40
〜800になるような量が用いられ、この量が前記範囲
を逸脱すると触媒活性が不充分になるおそれがある。さ
らに、(c)アルコキシ基含有芳香族化合物は(a)固
体成分中のチタン原子に対するモル比が通常、0.01〜
500、好ましくは1〜300になるような割合で用い
られ、この量が0.01未満では生成ポリマーの物性が低
下するおそれがあり、500を超えると触媒活性が不充
分になるおそれがある。
【0030】本発明において、プロピレンの単独重合体
及び/又は4重量%以下の他のオレフィン単位を含有す
るプロピレン系共重合体からなるポリプロピレン系樹脂
は、前記触媒系の存在下に、例えば一段重合法にてプロ
ピレンの単独重合又はプロピレンと少量の他のオレフィ
ンとを共重合させることにより製造することができる。
重合形式としては、特に制限はなく、スラリー重合,気
相重合,バルク重合,溶液重合,懸濁重合などが用いら
れる。気相重合により重合を行う場合、重合圧力は通常
10〜45kg/cm2 、好ましくは20〜30kg/
cm2 、重合温度は通常40〜90℃、好ましくは60
〜75℃の範囲で適宜選ばれる。重合体の分子量調節
は、公知の手段、例えば、重合器中の水素濃度を調節す
ることにより行うことができる。また、重合工程で比較
的高分子量の(共)重合体を製造し、得られた(共)重
合体を有機過酸化物の存在下に溶融混練することにより
調節することもできる。重合時間は5分〜10時間程度
で適宜選ばれる。重合に際しては、触媒系を構成する各
成分、すなわち、(a)〜(d)成分を所定の割合で混
合し、接触させたのち、ただちに原料モノマーを導入
し、重合を開始してもよいし、接触後0.2〜3時間程度
熟成させたのち、原料モノマーを導入してもよい。さら
に、この触媒成分は不活性溶媒や原料モノマーのオレフ
ィンなどに懸濁して供給することができる。
【0031】重合後の後処理は常法により行うことがで
きる。すなわち、気相重合法においては、重合後、重合
器から導出されるポリマー粉体に、その中に含まれる未
反応モノマーなどを除くために、窒素気流などを通過さ
せてもよい。また、所望に応じて押出機によりペレット
化してもよく、その際、触媒を完全に失活させるため
に、少量の水、アルコールなどを添加することもでき
る。また、バルク重合法においては、重合後、重合器か
ら導出されるポリマーから完全に未反応モノマーを分離
したのち、ペレット化することもできる。本発明の建装
材においては、表面材層に、上記ポリプロピレン系樹脂
を用いてもよく、また(A)このポリプロピレン系樹脂
と(B)熱可塑性エラストマー共重合体との樹脂混合物
を用いてもよい。この(B)成分の熱可塑性エラストマ
ー共重合体とは、成形加工温度において必要な可塑性、
流動性という熱可塑性樹脂の特性を示し、成形前又は成
形後の常温下にはゴム的物性を示す共重合体のことであ
る。
【0032】このような熱可塑性エラストマー共重合体
としては、例えばスチレン−ジエン系共重合エラストマ
ー及びその水素添加物,エチレン−炭素数3以上のα−
オレフィン系共重合エラストマー,エチレン−炭素数3
以上のα−オレフィン−ポリエン系共重合エラストマー
及びその水素添加物,エチレン−不飽和カルボン酸−
α,β−不飽和カルボン酸エステル系共重合エラストマ
ー,アクリロニトリル系共重合エラストマーなどが挙げ
られる。上記スチレン−ジエン系共重合エラストマーと
しては、例えばスチレン,α−メチルスチレン,ビニル
トルエンなどの芳香族ビニル化合物と、ブタジエン,イ
ソプレンなどの共役ジエン化合物とのブロック共重合体
などが挙げられる。該芳香族化合物としては特にスチレ
ンが好ましいが、上記ブロック共重合体の形態として
は、シングルブロック共重合体、テレブロック共重合
体、ラジアルテレブロック共重合体、マルチブロック共
重合体などが挙げられる。前記スチレン−ジエン系共重
合エラストマー中の芳香族ビニル化合物単位の含有量は
10〜50重量%の範囲が好ましく、この場合10重量
%未満では得られた樹脂混合物の成形性が劣る傾向にあ
り、50重量%を超えると低温衝撃性が低下する傾向が
みられる。
【0033】また、上記ブロック共重合体の共役ジエン
単位部分を高度に水素添加することにより、主鎖中の不
飽和基を減少せしめて耐熱性を上げることも可能であ
る。特にスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重
合エラストマーが好適である。エチレン−炭素数3以上
のα−オレフィン系共重合エラストマーは、例えばエチ
レンとプロピレン,ブテン−1,ヘキセン−1,オクテ
ン−1などとの共重合体やエチレンとプロピレンとブテ
ン−1などとの共重合体などである。このようなものと
しては、(A)成分の存在下に二段重合して共重合さ
れたものであってもよく、エラストマー単独で共重合
されたものであってもよい。の場合には、エチレン単
位含有量がほぼ10〜80重量%の共重合エラストマー
であり、エチレン−プロピレン共重合体(エチレン単位
含有量20〜70重量%)が最も代表的である。また
の場合には、エチレン単位含有量は、通常20〜90重
量%程度、好ましくは30〜85重量%である。
【0034】エチレン−炭素数3以上のα−オレフィン
−ポリエン系共重合エラストマーにおいては、炭素数3
以上のα−オレフィンとして、例えばプロピレン,ブテ
ン−1,ヘキセン−1,ヘプテン−1,オクテン−1,
ノネン−1,デセン−1,ウンデセン−1,ドデセン−
1などが、一種又は二種以上用いられる。また、ポリエ
ンとしては、例えばブタジエン,イソプレン,ピペリレ
ンのような共役ジエン、1,4−ヘキサジエン;1,6
−オクタジエン;2−メチル−1,5−ヘキサジエン;
6−メチル−1,5−ヘプタジエン;7−メチル−1,
6−オクタジエン;シクロヘキサジエン;ジシクロペン
タジエン;メチルテトラヒドロインデン;5−エチリデ
ン−2−ノルボルネン;5−メチレン−2−ノルボルネ
ン;5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン;6−ク
ロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネンの
ような非共役ジエン、2,3−ジイソプロピリデン−5
−ノルボルネン;2−エチリデン−3−イソプロピリデ
ン−5−ノルボルネン;2−プロペニル−2,2−ノル
ボルネン;1,3,7−オクタトリエン;1,4,9−
デカトリエンのようなトリエンなどを一種又は二種以上
用いることができるが、これらの中で共役ジエンや非共
役ジエンのジエン化合物が好適である。ポリエンの共重
合量は、エラストマーとしての特性が効果的に発揮され
るためには、共重合体のヨウ素価が30以下、好ましく
は5〜25の範囲になるように調節するのが有利であ
る。また、ヨウ素価が上記範囲になるように水素添加し
てもよい。
【0035】更に、エチレン−不飽和カルボン酸−α,
β−不飽和カルボン酸エステル系共重合エラストマーに
おいて用いられる不飽和カルボン酸としては、例えばア
クリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、
フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、
シトラコン酸、ソルビン酸、メサコン酸、アンゲリカ酸
などが挙げられ、これらは一種用いてもよいし、二種以
上を組み合わせて用いてもよい。また、α,β−エチレ
ン性不飽和カルボン酸エステルとしては、例えばアクリ
ル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマ
ル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸などの
好ましくは炭素数3〜8のα,β−エチレン性不飽和カ
ルボン酸とメチルアルコール、エチルアルコール、イソ
プロピルアルコール、n−プロピルアルコールなどの一
価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコ
ールなどの二価アルコール、グリセリン、ペンタエリス
リトールなどの多価アルコールとのエステルが挙げら
れ、これらのエステルは一種用いてもよく、二種以上を
組み合わせてもよい。さらに、この共重合エラストマー
としては、所望により、前記不飽和カルボン酸の誘導
体、例えば酸無水物、アミド、イミド、金属塩などを共
重合させたものも用いることができる。
【0036】また、この共重合エラストマーは、エチレ
ン単位50〜95重量%、不飽和カルボン酸単位1〜1
0重量%及びα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エス
テル単位4〜49重量%を含有し、かつランダムに共重
合され、エラストマー特性を持つものが好適である。該
エチレン単位の含有量が95重量%を超える場合とか、
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単位が4
重量%未満のものは、エラストマー特性が充分に発現さ
れないおそれがあり、エチレン単位が50重量%未満の
場合とか、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステ
ル単位が49重量%を超えるものは低温衝撃性が低下す
る傾向にある。さらに不飽和カルボン酸単位が1重量%
未満のものは架橋性に劣り、また10重量%を超えるも
のはエラストマー特性が十分ではない。
【0037】一方、アクリロニトリル系共重合エラスト
マーとしては、例えばアクリロニトリルやメタクリロニ
トリルなどの不飽和ニトリルと、1,3−ブタジエンや
1,3−ヘキサジエンなどの鎖状ジエンとの共重合体、
アクリロニトリル−1,3−ブタジエン−無水マレイン
酸三元共重合体、これらの共重合体のジエン部分を高度
に水添することにより、二重結合を飽和させた共重合体
などが挙げられる。本発明に係る上記熱可塑性エラスト
マー共重合体の諸特性は特に限定されるものではない
が、100℃におけるムーニー粘度が10〜80程度で
あり、引張伸びが500%以上であり、かつガラス転移
温度が−20℃以下のものが(A)成分のポリプロピレ
ン系樹脂の耐熱性を低下させることなく、その軟質化に
寄与する点で特に好適である。上記熱可塑性エラストマ
ー共重合体の中で、柔軟性,成形性,耐熱性などの点
で、特にエチレン−炭素数3以上のα−オレフィン系共
重合エラストマー,エチレン−炭素数3以上のα−オレ
フィン−ジエン系共重合エラストマー,スチレン−ジエ
ン系共重合エラストマー及びスチレン−ジエン系共重合
エラストマーの水素添加物が好適である。これらの熱可
塑性エラストマー共重合体は一種用いてもよく、二種以
上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】本発明における樹脂混合物においては、両
成分の配合割合は、前記(A)成分のポリプロピレン系
樹脂が99〜60重量%で、(B)成分の熱可塑性エラ
ストマー共重合体が1〜40重量%である。熱可塑性エ
ラストマー共重合体量が40重量%を超えると透明性が
低下し、かつ柔軟性が過剰となり、本発明の目的が達せ
られない。また、1重量%未満では熱可塑性エラストマ
ー共重合体を配合した効果が充分に発揮されない。本発
明の建装材は、通常、上記ポリプロピレン系樹脂又は該
ポリプロピレン系樹脂と熱可塑性エラストマー共重合体
との樹脂混合物を主成分とする表面材層の裏面に裏打ち
材が積層された構造を有している。該表面材の作製法に
ついては特に制限はなく、建装材の種類に応じて適宜選
定すればよい。具体的には、石目調タイプの場合、例え
ば本発明に係わるポリプロピレン系樹脂や樹脂混合物
(以下、本発明の基材樹脂と称する。)と、ポリエチレ
ンテレフタレートなどのポリエステル樹脂やゴムなどの
チップをミキシングロールなどで混練したのち、シート
化するのが有利である。なお、該チップは着色されたも
のを用いてもよい。
【0039】また、スライスタイルタイプの場合、例え
ば本発明の基材樹脂と場合により他の軟質ポリプロピレ
ン系樹脂などを所定の型枠に入れ、プレス成形により板
を作製したのち、所定の厚さに切削するのが有利であ
る。上記軟質ポリプロピレン系樹脂としては、例えば後
述の裏打ち材に用いられる軟質ポリプロピレン系樹脂と
同じものを挙げることができる。さらに、大理石調タイ
プの場合、例えば本発明の基材樹脂に無機系や有機系顔
料などの着色剤を適当量配合し、射出成形などにより板
状に、あるいはキャスト成形などによりシート状に成形
するのがよい。一方、バックプリントタイプの場合、例
えば本発明の基材樹脂をキャスト成形などによりシート
化したのち、裏面に印刷を施し、意匠性を付与すればよ
い。その他、本発明の基材樹脂に、着色されたポリエス
テル系繊維やレーヨンなどのセルロース繊維などの糸状
チップを配合し、板状に成形してなる表面材、あるいは
表面にエンボス加工や印刷などが施された表面材なども
使用することができる。
【0040】これらの表面材の厚さは特に限定されない
が、通常は50μmないし1mmの範囲で状況に応じ適
宜選定される。一方、裏打ち材については特に制限はな
く、紙や従来プラスチック系建装材の裏打材として慣用
されているものを用いることができるが、特に軟質ポリ
プロピレン系樹脂を主成分とするものが好適である。こ
の裏打ち材に用いられる軟質ポリプロピレン系樹脂とし
ては、引張弾性率が600MPa以下であるものが好適
である。この引張弾性率が600MPaを超えると、シ
ートにした場合腰が強くなり触感が悪くなるおそれがあ
る。また、あまり低すぎるとシート成形が困難となる。
触感及びシート成形性などの面から、より好ましい引張
弾性率は400〜30MPaの範囲である。なお、この
引張弾性率は、JIS K7113に基づき、JIS2
号ダンベルを用いた引張試験で測定した値である。
【0041】このような軟質ポリプロピレン系樹脂とし
ては、例えば(x)(i)13C−NMRによるペンタッ
ド分率において、rrrr/(1−mmmm)×100
が20〜60%、好ましくは25〜55%、(ii)DS
Cにて測定した融解ピーク温度が150℃以上、好まし
くは150〜165℃及び(iii)DSCにて測定した融
解エンタルピー(ΔH)が100J/g以下、好ましく
は20〜100J/g、特に好ましくは30〜70J/
gであるプロピレン単独重合体及び/又は4重量%以下
の他のオレフィン単位を含有するプロピレン系共重合体
からなるポリプロピレン系樹脂、又は(y)該ポリプロ
ピレン系樹脂と、プロピレン以外のオレフィン単位を含
有するプロピレン系ランダム共重合体との混合物が好適
である。なお、上記rrrr/(1−mmmm)×10
0、DSCに測定した融解ピーク温度及びDSCにて測
定した融解エンタルピー(ΔH)については、前記表面
材層に使用されるポリプロピレン系樹脂において、説明
したものと同じである。
【0042】また、上記(y)成分の混合物におけるプ
ロピレン以外のオレフィン単位を含有するプロピレン系
ランダム共重合体の含有量は、通常90〜5重量%、好
ましくは70〜5重量%である。この含有量が90重量
%を超えると軟質プロピレン系樹脂としての性能が充分
に発揮されない。この(y)成分の混合物に用いられる
プロピレン以外のオレフィン単位を含有するプロピレン
系ランダム共重合体において、プロピレン以外のオレフ
ィン単位を形成するコモノマーのオレフィン類として
は、例えばエチレン;ブテン−1;ペンテン−1;4−
メチル−1−ペンテン;ヘキセン−1;ヘプテン−1;
オクテン−1;ノネン−1;デセン−1などが挙げら
れ、これらは一種用いてもよく、二種以上を組合せて用
いてもよい。このランダム共重合体におけるプロピレン
以外のオレフィン単位の含有量は、通常10〜70重量
%の範囲である。上記(x)成分のポリプロピレン系樹
脂は、表面材層に用いられるポリプロピレン系樹脂と同
様にして製造することができる。一方、(y)成分の混
合物は、一段目の重合において、上記と同様にしてポリ
プロピレン系樹脂を製造し、次いで二段目の重合におい
て、プロピレン以外のオレフィンとを共重合させる二段
重合法により、製造することができる。もちろん、該ポ
リプロピレン系樹脂とプロピレン以外のオレフィン単位
を含有するプロピレン系ランダム共重合体を別々に製造
し、それらをブレンドしてもよい。
【0043】本発明の建装材における裏打ち材は例え
ば、(W)上記軟質ポリプロピレン系樹脂4〜45重量
%、(X)エラストマー2〜50重量%、(Y)水酸基
含有無機充填剤10〜70重量%及び(Z)他の充填剤
0〜40重量%を含有する樹脂組成物を調製し、シート
化することにより、製造することができる。上記(X)
成分として用いられるエラストマーについては特に制限
はなく、様々なものを用いることができるが、スチレン
系エラストマー及びオレフィン系エラストマーが好適で
ある。スチレン系エラストマーとしては、例えばスチレ
ン−ブタジエンブロック共重合体ゴム(SBR),スチ
レン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SB
S),水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロッ
ク共重合体(SEBS),スチレン−イソプレンブロッ
ク共重合体(SIR),スチレン−イソプレン−スチレ
ンブロック共重合体(SIS),水素添加スチレン−イ
ソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)など
が挙げられる。一方、オレフィン系エラストマーとして
は、例えばエチレン−プロピレンゴム(EPR),エチ
レン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM),エチレン
−ブチレンゴム(EBM)などが挙げられる。
【0044】これらのエラストマーは単独で用いてもよ
く、二種以上を組み合せて用いてもよい。また、スチレ
ン系エラストマーを用いる場合には、SEBSと他のス
チレン系エラストマーとの併用が好ましい。該樹脂組成
物において、(Y)成分として用いられる水酸基含有無
機充填剤としては、特に制限はなく、分子内に水酸基及
び/又は水分子を有するもの、例えば水酸化アルミニウ
ム,水酸化マグネシウム,水酸化カルシウム,水酸化バ
リウム,水和アルミナ,水和石こう,ホウ酸亜鉛,ホウ
酸バリウム,ホウ砂,明バン石,塩基性炭酸マグネシウ
ムなどが挙げられる。これらの中で、効果の点から特に
水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムが好適であ
る。これらの水酸基含有無機充填剤は一種用いてもよ
く、二種以上を組み合わせて用いてもよい。この樹脂組
成物における各成分の含有割合は、(W)成分の軟質プ
ロピレン系樹脂が4〜45重量%、(X)成分のエラス
トマーが2〜50重量%及び(Y)成分の水酸基含有無
機充填剤が10〜70重量%の範囲が好ましい。
(W),(X)及び(Y)の各成分の含有割合が上記範
囲を逸脱すると耐ブロッキング性,反スベリ性,成形加
工性のバランスに優れた樹脂組成物が得られにくい。耐
ブロッキング性,反スベリ性,成形加工性が高いレベル
でバランスした樹脂組成物が得られる点から、各成分の
より好ましい含有量は、(W)成分が5〜40重量%、
(X)成分が5〜40重量%及び(Y)成分が20〜6
0重量%の範囲である。また、(W)成分を含有させる
ことにより、成形可能温度が広がるという効果がある。
【0045】また、この樹脂組成物においては、所望に
より、裏打ち材に適度の剛性を付与するなどの目的で
(Z)成分として、他の充填剤を40重量%以下程度の
割合で含有させてもよい。この含有量が40重量%を超
えると成形加工性が低下するとともに、柔軟性が悪くな
るおそれがある。成形加工性及び柔軟性をあまり損なう
ことなく、適度の剛性を付与するためには、この(Z)
成分は、30重量%以下の割合で含有させるのが好まし
い。ここで、他の充填剤としては、上記水酸基含有無機
充填剤以外の無機充填剤や有機充填剤が用いられる。水
酸基含有無機充填剤以外の無機充填剤としては、例えば
球状フィラー,板状フィラー,繊維状フィラーなどがあ
る。球状フィラーとしては、例えば炭酸カルシウム,カ
オリン(ケイ酸アルミニウム),シリカ、パーライト,
シラスバルーン,セリサイト,ケイソウ土,亜硫酸カル
シウム,焼成アルミナ,ケイ酸カルシウム,結晶質ゼオ
ライト,非晶質ゼオライトなどが、板状フィラーとして
は、例えばタルクやマイカなどが、繊維状フィラーとし
ては、例えばウオラストナイトのような針状のもの、マ
グネシウムオキシサルフェイト,チタン酸カリウム繊
維,繊維状炭酸カルシウムのような繊維状のもの、さら
には、ガラス繊維のような完全に繊維状のものなどが挙
げられる。また、カーボンブラックなどの無機系着色剤
も用いることができる。
【0046】一方、有機充填剤としては、例えば木粉や
木綿粉などの木質粒子,モミ殻粉末,架橋ゴム粉末,プ
ラスチック粉末,コラーゲン粉末などが挙げられる。こ
れらの充填剤の中で、特に無機充填剤が好適である。な
お、上記充填剤は一種用いてもよく、二種以上を組み合
わせて用いてもよい。この樹脂組成物の調製方法につい
ては特に制限はなく、従来公知の方法を用いることがで
きる。例えば(W)成分の軟質プロピレン系樹脂、
(X)成分のエラストマー、(Y)成分の水酸基含有無
機充填剤、及び場合により用いられる(Z)成分の他の
充填剤や各種添加成分を、バンバリーミキサーなどのバ
ッチ系ミキサーや、二軸混練機,二軸押出機,単軸押出
機などの混練押出機を用いて溶融混練し、場合により造
粒することにより、樹脂組成物を調製することができ
る。各成分を混練押出機に供給する場合は、各成分を全
量ドライブレンドして供給してもよく、各成分を分けて
供給してもよい。このようにして調製された樹脂組成物
をシートに成形して裏打ち材を作製する。シートの成形
方法としては特に制限はなく、従来慣用されているTダ
イ成形などの押出成形法を用いることができるが、混練
溶触樹脂を直接ミキシングロール,カレンダーロール,
シート成形ロールなどに供給し、所定の厚みのシートに
加工するのが好ましい。この場合、各成分を上記混練機
により混練押出し、造粒することなく、直接シート加工
してもよく、また混練後造粒してペレット化したのち、
このペレットを各種成形機により押出し加工し、シート
を成形してもよい。このようにして得られた裏打ち材の
厚みについては特に制限はないが、通常は0.1〜50m
mの範囲で、状況に応じて適宜選定される。
【0047】本発明の建装材における前記表面材層及び
裏打ち材には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所
望に応じ、プロセスオイル,他の熱可塑性樹脂,変性ポ
リレフィン,各種安定剤,滑剤,帯電防止剤,塩素捕捉
剤,難燃剤,難燃助剤,アンチブロッキング剤,加工助
剤,ブリージング抑制剤,着色剤などを含有させること
ができる。また、表面材層には、上記添加成分以外に、
所望により無機系又は有機系の充填材を含有させてもよ
い。上記プロセスオイルは通常、合成ゴムの加工時の軟
化剤として使用されるものがそのまま適用できる。この
ようなものとしては、鉱油や合成油が挙げられ、鉱油と
しては、例えばパラフィン基系原油、中間基系原油ある
いはナフテン基系原油を常圧蒸溜して得られる留出油、
該常圧蒸溜残渣油の減圧蒸溜で得られる留出分の精製油
とか深脱ロウ油等を挙げることができる。合成油として
はアルキルベンゼン、ポリブテン、ポリ(α−オレフィ
ン)等が例示できる。上記他の熱可塑性樹脂としては、
高圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、他の
ポリプロピレン、ポリブテン,ポリ塩化ビニル,ポリス
チレン、ポリアミド等の他、本発明で用いるエラストマ
ーに属しない共重合体のエチレン−ブテン−1共重合
体,エチレン−ヘキセン−1共重合体,エチレン−オク
テン−1共重合体などの直鎖状エチレン−α−オレフィ
ン共重合体、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリエステ
ル、ポリカーボネートなどが挙げられる。
【0048】これらの中でも、各種ポリエチレン,他の
ポリプロピレン,ポリブテンなどのポリオレフィン系樹
脂が相溶性の点で好ましく、特にポリエチレン,エチレ
ン−α−オレフィン共重合体が好ましい。また、変性ポ
リオレフィンとしては、例えばポリエチレン,ポリプロ
ピレン,エチレン−α−オレフィン共重合体,エチレン
−α−オレフィン−非共役ジエン化合物共重合体(例え
ばEPDMなど),エチレン−芳香族モノビニル化合物
−共役ジエン化合物共重合ゴムなどのポリオレフィン
を、アクリル酸,メタクリル酸,マレイン酸などの不飽
和カルボン酸,無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸
の無水物、アクリル酸メチル,マレイン酸モノメチルな
どの不飽和カルボン酸のエステル、アクリル酸アミド,
マレイン酸モノアミドなどの不飽和カルボン酸のアミ
ド、マレイミド,N−ブチルマレイミドなどの不飽和カ
ルボン酸のイミドなどを用いて化学変性したものが挙げ
られる。この化学変性方法としては、例えば該ポリオレ
フィンを適当な溶媒中において、ベンゾイルパーオキシ
ドなどのラジカル発生剤を用いて、前記不飽和カルボン
酸やその誘導体と反応させる方法などを用いることがで
きる。
【0049】上記、各種安定剤としては酸化劣化、熱劣
化等に対する安定剤の使用が最も一般的であり、例え
ば、フェノール系安定剤、有機ホスファイト系安定剤、
チオエーテル系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤など
を用いることができる。フェノール系安定剤としては、
従来公知のもの、例えば、2,6‐ジ‐t‐ブチル‐4
‐メチルフェノール、2,6‐ジ‐t‐ブチル‐4‐エ
チルフェノール、2,6‐ジシクロヘキシル‐4‐メチ
ルフェノール、2,6‐ジイソプロピル‐4‐エチルフ
ェノール、2,6‐ジ‐t‐アミル‐4‐メチルフェノ
ール、2,6‐ジ‐t‐オクチル‐4‐n‐プロピルフ
ェノール、2,6‐ジシクロヘキシル‐4‐n‐オクチ
ルフェノール、2‐イソプロピル‐4‐メチル‐6‐t
‐ブチルフェノール、2‐t‐ブチル‐2‐エチル‐6
‐t‐オクチルフェノール、2‐イソブチル‐4‐エチ
ル‐5‐t‐ヘキシルフェノール、2‐シクロヘキシル
‐4‐n‐ブチル‐6‐イソプロピルフェノール、スチ
レン化混合クレゾール、dl‐α‐トコフェロール、t
‐ブチルヒドロキノン、2,2′‐メチレンビス(4‐
メチル‐6‐t‐ブチルフェノール)、4,4′‐ブチ
リデンビス(3‐メチル‐6‐t‐ブチルフェノー
ル)、4,4′‐チオビス(3‐メチル‐6‐t‐ブチ
ルフェノール)、2,2′‐チオビス(4‐メチル‐6
‐t‐ブチルフェノール)、4,4′‐メチレンビス
(2,6‐ジ‐t‐ブチルフェノール)、2,2′‐メ
チレンビス[6‐(1‐メチルシクロヘキシル)‐p‐
クレゾール]、2,2′‐エチリデンビス(4,6‐ジ
‐t‐ブチルフェノール)、2,2′‐ブチリデンビス
(2‐t‐ブチル‐4‐メチルフェノール)、1,1,
3‐トリス(2‐メチル‐4‐ヒドロキシ‐5‐t‐ブ
チルフェニル)ブタン、トリエチレングリコール‐ビス
[3‐(3‐t‐ブチル‐5‐メチル‐4‐ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート]、1,6‐ヘキサンジオー
ル‐ビス[3‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート]、2,2′‐チオジエ
チレンビス[3‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート]、N,N′‐ヘキサ
メチレンビス(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキ
シ‐ヒドロシンナミド)、3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4
‐ヒドロキシベンジルホスホネート‐ジエチルエステ
ル、1,3,5‐トリス(2,6‐ジメチル‐3‐ヒド
ロキシ‐4‐t‐ブチルベンジル)イソシアヌレート、
1,3,5‐トリス[(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐
ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソ
シアヌレート、トリス(4‐t‐ブチル‐2,6‐ジメ
チル‐3‐ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、
2,4‐ビス(n‐オクチルチオ)‐6‐(4‐ヒドロ
キシ‐3,5‐ジ‐t‐ブチルアニリノ)‐1,3,5
‐トリアジン、テトラキス[メチレン‐3‐(3,5‐
ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート]メタン、ビス(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒ
ドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、ビス
(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシベンジルホ
スホン酸エチル)ニッケル、ビス[3,3‐ビス(3‐
t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)ブチリックアシ
ド]グリコールエステル、N,N′‐ビス[3‐(3,
5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピ
オニル]ヒドラジン、2,2′‐オキザミドビス[エチ
ル‐3‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート]、ビス[2‐t‐ブチル‐4
‐メチル‐6‐(3‐t‐ブチル‐5‐メチル‐2‐ヒ
ドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、1,
3,5‐トリメチル‐2,4,6‐トリス(3,5‐ジ
‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
3,9‐ビス〔1,1‐ジメチル‐2‐[β‐(3‐t
‐ブチル‐4‐ヒドロキシ‐5‐メチルフェニル)プロ
ピオニルオキシ]エチル〕‐2,4,8,10‐テトラ
オキサスピロ[5,5]ウンデカン、2,2‐ビス〔4
‐[2‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシヒ
ドロシンナモイルオキシ)]エトキシフェニル〕プロパ
ン及びステアリル‐β‐(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジ
‐t‐ブチルフェノール)プロピオネートなどのβ‐
(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)
プロピオン酸アルキルエステルなどが挙げられる。これ
らの中では、2,6‐ジ‐t‐ブチル‐4‐メチルフェ
ノール、ステアリル‐β‐(4‐ヒドロキシ‐3,5‐
ジ‐t‐ブチルフェノール)プロピオネート、2,2′
‐エチリデンビス(4,6‐ジ‐t‐ブチルフェノー
ル)及びテトラキス[メチレン‐3‐(3,5‐ジ‐t
‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
メタンが好適である。
【0050】また、有機ホスファイト系安定剤として
は、例えば、トリオクチルホスファイト、トリラウリル
ホスファイト、トリストリデシルホスファイト、トリス
イソデシルホスファイト、フェニルジイソオクチルホス
ファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニ
ルジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルイソオク
チルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイ
ト、ジフェニルトリデシルホスファイト、トリフェニル
ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイ
ト、トリス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)ホスフ
ァイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、テト
ラトリデシル‐4,4′‐ブチリデンビス(3‐メチル
‐6‐t‐ブチルフェノール)‐ジホスファイト、4,
4′‐イソプロピリデン‐ジフェノールアルキルホスフ
ァイト(ただし、アルキルは炭素数12〜15程度)、
4,4′‐イソプロピリデンビス(2‐t‐ブチルフェ
ノール)・ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス
(ビフェニル)ホスファイト、テトラ(トリデシル)‐
1,1,3‐トリス(2‐メチル‐5‐t‐ブチル‐4
‐ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト、トリス
(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)
ホスファイト、水素化‐4,4′‐イソプロピリデンジ
フェノールポリホスファイト、ビス(オクチルフェニ
ル)・ビス[4,4′‐ブチリデンビス(3‐メチル‐
6‐t‐ブチルフェノール)]・1,6‐ヘキサンジオ
ールジホスファイト、ヘキサトリデシル‐1,1,3‐
トリス(2‐メチル‐4‐ヒドロキシ‐5‐t‐ブチル
フェノール)ジホスファイト、トリス[4,4′‐イソ
プロピリデンビス(2‐t‐ブチルフェノール)]ホス
ファイト、トリス(1,3‐ジステアロイルオキシイソ
プロピル)ホスファイト、9,10‐ジヒドロ‐9‐ホ
スファフェナンスレン‐10‐オキシド、テトラキス
(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)‐4,4′‐ビフ
ェニレンジホスホナイト、ジステアリルペンタエリスリ
トールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエ
リスリトールジホスファイト、フェニル・4,4′‐イ
ソプロピリデンジフェノール・ペンタエリスリトールジ
ホスファイト、ビス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニ
ル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,
6‐ジ‐t‐ブチル‐4‐メチルフェニル)ペンタエリ
スリトールジホスファイト及びフェニルビスフェノール
‐A‐ペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げ
られる。これらの中では、トリス(2,4‐ジ‐t‐ブ
チルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニ
ル)ホスファイト及びテトラキス(2,4‐ジ‐t‐ブ
チルフェニル)‐4,4′‐ビフェニレンジホスファイ
トが好ましく、特にトリス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフ
ェニル)ホスファイトが好適である。
【0051】さらに、有機チオエーテル系安定剤として
は、ジアルキルチオジプロピオネート及びアルキルチオ
プロピオン酸の多価アルコールエステルを用いることが
好ましい。ここで使用されるジアルキルチオジプロピオ
ネートとしては、炭素数6〜20のアルキル基を有する
ジアルキルチオジプロピオネートが好ましく、またアル
キルチオプロピオン酸の多価アルコールエステルとして
は、炭素数4〜20のアルキル基を有するアルキルチオ
プロピオン酸の多価アルコールエステルが好ましい。こ
の場合に多価アルコールエステルを構成する多価アルコ
ールの例としては、グリセリン、トリメチロールエタ
ン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及
びトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートなどを挙げ
ることができる。このようなジアルキルチオジプロピオ
ネートとしては、例えば、ジラウリルチオジプロピオネ
ート、ジミリスチルチオジプロピオネート及びジステア
リルチオジプロピオネートなどを挙げることができる。
一方、アルキルチオプロピオン酸の多価アルコールエス
テルとしては、例えば、グリセリントリブチルチオプロ
ピオネート、グリセリントリオクチルチオプロピオネー
ト、グリセリントリラウリルチオプロピオネート、グリ
セリントリステアリルチオプロピオネート、トリメチロ
ールエタントリブチルチオプロピオネート、トリメチロ
ールエタントリオクチルチオプロピオネート、トリメチ
ロールエタントリラウリルチオプロピオネート、トリメ
チロールエタントリステアリルチオプロピオネート、ペ
ンタエリスリトールテトラブチルチオプロピオネート、
ペンタエリスリトールテトラオクチルチオプロピオネー
ト、ペンタエリスリトールテトララウリルチオプロピオ
ネート、ペンタエリスリトールテトラステアリルチオプ
ロピオネートなどを挙げることができる。これらの中で
は、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチ
オジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトララウ
リルチオプロピオネートが好適である。
【0052】ヒンダードアミン系安定剤としては、例え
ば、ビス(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリ
ジル)セバケート、コハク酸ジメチル‐1‐(2‐ヒド
ロキシエチル)‐4‐ヒドロキシ‐2,2,6,6‐テ
トラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[6‐(1,1,
3,3‐テトラメチルブチル)イミノ‐1,3,5‐ト
リアジン‐2,4‐ジイル][(2,2,6,6‐テト
ラメチル‐4‐ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン
[2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)イ
ミノ]、テトラキス(2,2,6,6‐テトラメチル‐
4‐ピペリジル)‐1,2,3,4‐ブタンテトラカル
ボキシレート、2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピ
ペリジルベンゾエート、ビス‐(1,2,6,6‐ペン
タメチル‐4‐ピペリジル)‐2‐(3,5‐ジ‐t‐
ブチル‐4‐ヒドロキシベンジル)‐2‐n‐ブチルマ
ロネート、ビス‐(N‐メチル‐2,2,6,6‐テト
ラメチル‐4‐ピペリジル)セバケート、1,1′‐
(1,2‐エタンジイル)ビス(3,3,5,5‐テト
ラメチルピペラジノン)、(ミックスト2,2,6,6
‐テトラメチル‐4‐ピペリジル/トリデシル)‐1,
2,3,4‐ブタンテトラカルボキシレート、(ミック
スト1,2,2,6,6‐ペンタメチル‐4‐ピペリジ
ル/トリデシル)‐1,2,3,4‐ブタンテトラカル
ボキシレート、ミックスト〔2,2,6,6‐テトラメ
チル‐4‐ピペリジル/β,β,β′,β′‐テトラメ
チル‐3,9‐[2,4,8,10‐テトラオキサスピ
ロ(5,5)ウンデカン]ジエチル〕‐1,2,3,4
‐ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト〔1,
2,2,6,6‐ペンタメチル‐4‐ピペリジル/β,
β,β′,β′‐テトラメチル‐3,9‐[2,4,
8,10‐テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]
ジエチル〕‐1,2,3,4‐ブタンテトラカルボキシ
レート、N,N′‐ビス(3‐アミノプロピル)エチレ
ンジアミン‐2,4‐ビス[N‐ブチル‐N‐(1,
2,2,6,6‐ペンタメチル‐4‐ピペリジル)アミ
ノ]‐6‐クロロ‐1,3,5‐トリアジン縮合物、ポ
リ[6‐N‐モルホリル‐1,3,5‐トリアジン‐
2,4‐ジイル][(2,2,6,6‐テトラメチル‐
4‐ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,
6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)イミド]、
N,N′‐ビス(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐
ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2‐ジブロ
モエタンとの縮合物、[N‐(2,2,6,6‐テトラ
メチル‐4‐ピペリジル)‐2‐メチル‐2‐(2,
2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)イミノ]
プロピオンアミドなどを挙げることができる。
【0053】これらのヒンダードアミン系安定剤の中で
は、特に、コハク酸ジメチル‐1‐(2‐ヒドロキシエ
チル)‐4‐ヒドロキシ‐2,2,6,6‐テトラメチ
ルピペリジン重縮合物、ポリ[6‐(1,1,3,3‐
テトラメチルブチル)イミノ‐1,3,5‐トリアジン
‐2,4‐ジイル][(2,2,6,6‐テトラメチル
‐4‐ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,
2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)イミ
ノ]、テトラキス(2,2,6,6‐テトラメチル‐4
‐ピペリジル)‐1,2,3,4‐ブタンテトラカルボ
キシレート、ビス(1,2,6,6‐ペンタメチル‐4
‐ピペリジル)‐2‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐
ヒドロキシベンジル)‐2‐n‐ブチルマロネート、
1,1′‐(1,2‐エタンジイル)ビス(3,3,
5,5‐テトラメチルピペラジノン)、(ミックスト
2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル/トリ
デシル)‐1,2,3,4‐ブタンテトラカルボキシレ
ート、(ミックスト1,2,2,6,6‐ペンタメチル
‐4‐ピペリジル/トリデシル)‐1,2,3,4‐ブ
タンテトラカルボキシレート、ミックスト〔2,2,
6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル/β,β,
β′,β′‐テトラメチル‐3,9‐[2,4,8,1
0‐テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチ
ル〕‐1,2,3,4‐ブタンテトラカルボキシレー
ト、ミックスト〔1,2,2,6,6‐ペンタメチル‐
4‐ピペリジル/β,β,β′,β′‐テトラメチル‐
3,9‐[2,4,8,10‐テトラオキサスピロ
(5,5)ウンデカン]ジエチル〕‐1,2,3,4‐
ブタンテトラカルボキシレート、N,N′‐ビス(3‐
アミノプロピル)エチレンジアミン‐2,4‐ビス[N
‐ブチル‐N‐(1,2,6,6‐ペンタメチル‐4‐
ピペリジル)アミノ]‐6‐クロロ‐1,3,5‐トリ
アジン縮合物、ポリ[6‐N‐モルホリル‐1,3,5
‐トリアジン‐2,4‐ジイル][(2,2,6,6‐
テトラメチル‐4‐ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレ
ン[(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジ
ル)イミド]、N,N′‐ビス(2,2,6,6‐テト
ラメチル‐4‐ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと
1,2‐ジブロモエタンとの縮合物、[N‐(2,2,
6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)‐2‐メチル
‐2‐(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジ
ル)イミノ]プロピオンアミドが好適である。さらに、
難燃剤としては、例えば水和アルミニウム,水和石膏,
ホウ酸亜鉛,ホウ酸バリウム,ホウ砂,カオリン,クレ
ー,炭酸カルシウム,明ばん石,塩基性炭酸マグネシウ
ム,水酸化カルシウム,水酸化マグネシウムなどが挙げ
られる。
【0054】また、表面材層に、所望により含有させる
無機系充てん剤としては、例えば球状フィラー,板状フ
ィラー,繊維状フィラーなどがある。球状フィラーとし
ては、例えば炭酸カルシウム,カオリン(ケイ酸アルミ
ニウム),シリカ、パーライト,シラスバルーン,セリ
サイト,ケイソウ土,亜硫酸カルシウム,焼成アルミ
ナ,ケイ酸カルシウム,結晶質ゼオライト,非晶質ゼオ
ライトなどが、板状フィラーとしては、例えばタルクや
マイカなどが、繊維状フィラーとしては、例えばウオラ
ストナイトのような針状のもの、マグネシウムオキシサ
ルフェイト,チタン酸カリウム繊維,繊維状炭酸カルシ
ウムのような繊維状のもの、さらには、ガラス繊維のよ
うな完全に繊維状のものなどが挙げられる。一方、有機
充てん剤としては、例えば木粉や木綿粉などの木質粒
子,モミ殻粉末,架橋ゴム粉末,プラスチック粉末,コ
ラーゲン粉末などが挙げられる。
【0055】本発明の建装材は、前記表面材と裏打ち材
とを熱溶着により積層させて作製しもよく、あるいは表
面材と裏打ち材とを接着剤層を介して積層することによ
り、作製してもよい。接着剤層を設ける場合は、この接
着剤層としては、例えばポリウレタン系樹脂,エポキシ
系樹脂,アクリル系樹脂,ビニル系樹脂,酢酸ビニル系
樹脂,ポリエステル系樹脂,エチレン−酢酸ビニル共重
合体樹脂,アクリル−酢酸ビニル共重合体樹脂,ポリア
ミド系樹脂,アイオノマー系樹脂などを主成分とする公
知の接着剤,又は変性ポリオレフィンからなる層を好ま
しく挙げることができる。本発明の建装材においては、
表面材層と裏打ち材との間、又は接着剤層を設ける場合
には、表面材層と接着剤層との間に、所望により、意匠
性や強度などを向上させる目的で、各種の材料からなる
層、例えば着色繊維混入シート,ガラス繊維シート,
紙,不織布などを設けてもよい。さらに、表面材層の上
に、所望により、透明な保護層を設けてもよい。この保
護層としては、例えばアクリル系紫外線硬化性樹脂など
を用いて形成された層又は発泡層などが挙げられる。
【0056】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定さ
れるものではない。なお、得られた建装材の物性及び触
感は、以下に示す要領で評価した。 (1)耐摩耗性(JIS K7205に準拠) テーバー摩耗試験により、塩化ビニル樹脂系床材(比較
例)を基準とし、次の判定基準に従い評価した。 △:摩耗量が塩化ビニル樹脂系床材の摩耗量と同等 ○:摩耗量が塩化ビニル樹脂系床材の摩耗量より少な
く、かつその1/2以上 ◎:摩耗量が塩化ビニル樹脂系床材の摩耗量の1/2よ
り少ない (2)耐熱性(JIS K7206に準拠) ビカット軟化点より、次の判定基準に従い評価した。 △:ビカット軟化点が100℃以下 ○:ビカット軟化点が100℃より高く、150℃以下 (3)耐候性(JIS A1415に準拠) 試験条件:WS型装置を用い500時間後の外観状態を
評価した。 △:ひび割れ,亀裂,変色あり ○:全く変化なし (4)触感 実際に手で触れた感触を、次の判定基準に従って評価し
た。 △:触って冷たい感触 ○:触って温かみのある感触
【0057】製造例1 表面材層用樹脂の製造 (1)マグネシウム化合物の調製 内容積約6リットルの撹拌機付きガラス製反応器を窒素
ガスで充分に置換した後、これにエタノール約2,430
g、ヨウ素20g及び金属マグネシウム160gを仕込
み、撹拌しながら加熱して、還流条件下で系内からの水
素ガスの発生がなくなるまで反応させ、固体状反応生成
物を得た。この固体状反応生成物を含む反応液を減圧下
乾燥させることによりマグネシウム化合物を得た。 (2)固体触媒成分(a)の調製 窒素ガスで充分に置換した内容積5リットルのガラス製
反応器に、上記(1)で得られたマグネシウム化合物
(粉砕していないもの)160g,精製ヘプタン800
ミリリットル,四塩化ケイ素24ミリリットル及びフタ
ル酸ジエチル23ミリリットルを仕込み、系内を80℃
に保ち、撹拌しながら四塩化チタン770ミリリットル
を加えて110℃で2時間反応させた後、固体成分を分
離して90℃の精製ヘプタンで洗浄した。さらに、四塩
化チタン1,220ミリリットルを加え、110℃で2時
間反応させた後、精製ヘプタンで充分に洗浄し、固体触
媒成分(a)を得た。 (3)気相重合 内容積200リットルの重合槽に、上記(2)で得られ
た固体触媒成分(a)6.0g/時間、トリイソブチルア
ルミニウム(TIBA)0.2モル/時間、1−アリル−
3,4−ジメトキシベンゼン(ADMB)0.007モル
/時間、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CH
MDMS)0.03モル/時間、プロピレン40kg/時
間で供給し、70℃,28kg/cm2 Gで重合を行っ
た。ポリマーの生成量は30kg/時間であった。
【0058】この重合で得られたポリマーは、プロピレ
ンホモポリマーであり、その極限粘度〔η〕(135
℃,デカリン中)は、5.04デシリットル/gであっ
た。また、上記ホモポリマーの沸騰n−ヘプタン不溶成
分量は85.0重量%であり、該沸騰n−ヘプタン不溶成
分の〔η〕は5.42デシリットル/g、沸騰n−ヘプタ
ン可溶成分の〔η〕は2.07デシリットル/gであっ
た。一方、該ホモポリマーの13C−NMRスペクトルか
ら算出したペンタッド分率rrrr/(1−mmmm)
×100は27.2%であり、DSCにて測定した融解ピ
ーク温度(Tm)は161.7℃、融解エンタルピー(Δ
H)は75.5J/gであった。また、プロピレンの頭−
尾間の結合に関する逆転結合はみられなかった。得られ
たポリプロピレンのパウダーに、2,5−ジメチル−
2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサンを混
合し、さらに酸化防止剤、熱安定剤、塩素捕捉剤を添加
した後、40mmφ押出機で押し出してペレットを得
た。このもののメルトインデックス(MI)は2.5g/
10分であった。なお、上記ポリマーを過酸化物で分解
して低分子量化したが、この低分子量化ポリマーにあっ
ても、上述したペンダッド分率,融解ピーク温度及び融
解エンタルピーに変化はなかった。
【0059】製造例2 軟質ポリプロピレン系樹脂の製
造 (1)マグネシウム化合物の調製 内容積約6リットルの撹拌機付きガラス製反応器を窒素
ガスで充分に置換した後、これにエタノール約2,430
g、ヨウ素16g及び金属マグネシウム160gを仕込
み、撹拌しながら加熱して、還流条件下で系内からの水
素ガスの発生がなくなるまで反応させ、固体状反応生成
物を得た。この固体状反応生成物を含む反応液を減圧下
乾燥させることによりマグネシウム化合物を得た。 (2)固体触媒成分(a)の調製 窒素ガスで充分に置換した内容積5リットルのガラス製
反応器に、上記(1)で得られたマグネシウム化合物
(粉砕していないもの)160g,精製ヘプタン800
ミリリットル,四塩化ケイ素24ミリリットル及びフタ
ル酸ジエチル23ミリリットルを仕込み、系内を80℃
に保ち、撹拌しながら四塩化チタン770ミリリットル
を加えて110℃で2時間反応させた後、固体成分を分
離して90℃の精製ヘプタンで洗浄した。さらに、四塩
化チタ1,220ミリリットルを加え、110℃で2時間
反応させた後、精製ヘプタンで充分に洗浄し、固体触媒
成分(a)を得た。 (3)気相重合 内容積200リットルの重合槽に、上記(2)で得られ
た固体触媒成分(a)6.0g/時間、トリイソブチルア
ルミニウム(TIBA)0.2モル/時間、1−アリル−
3,4−ジメトキシベンゼン(ADMB)0.012モル
/時間、ジフェニルジメトキシシラン(DPDMS)0.
005モル/時間、プロピレン37kg/時間で供給
し、70℃,28kg/cm2 Gで前段の重合を行っ
た。ポリマーの生成量は30kg/時間であった。この
前段の重合で得られたポリマーを連続して後段の重合槽
へ移送し、エチレンを15kg/時間及びプロピレンを
5kg/時間で供給し、50℃、15kg/cm2 Gで
重合を行い、エチレン単位含有量16.5重量%、後段で
の反応比40%のポリマーパウダーを得た。
【0060】前段の重合で得られたポリマーは、プロピ
レンホモポリマーであり、その極限粘度〔η〕(135
℃,デカリン中)は、4.27デシリットル/gであっ
た。また、上記ホモポリマーの沸騰n−ヘプタン不溶成
分量は60.0重量%であり、該沸騰n−ヘプタン不溶成
分の〔η〕は4.76デシリットル/g、沸騰n−ヘプタ
ン可溶成分の〔η〕は2.65デシリットル/gであっ
た。一方、該ホモポリマーの13C−NMRスペクトルか
ら算出したペンタッド分率rrrr/(1−mmmm)
×100は34.5%であり、DSCにて測定した融解ピ
ーク温度(Tm)は158℃、融解エンタルピー(Δ
H)は54J/gであった。また、プロピレンの頭−尾
間の結合に関する逆転結合はみられなかった。
【0061】次いで、二段重合で得られたポリマーにつ
いて説明する。このポリマーは、プロピレンホモポリマ
ーとエチレン−プロピレンランダム共重合体との混合物
からなる軟質プロピレン系樹脂である。なお、該二段重
合で得られたポリマーのトータルの極限粘度〔η〕は4.
77デシリットル/gであった。得られたポリマーパウ
ダーに、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチル
パーオキシ)−ヘキサンを混合し、さらに酸化防止剤、
熱安定剤、塩素捕捉剤を添加した後、40mmφ押出機
で押し出してペレットを得た。このペレットのメルトイ
ンデックス(MI)は2.0g/10分であった。上記ポ
リマーを過酸化物で分解して低分子量化したが、この低
分子量化ポリマーにあっても、上述したペンタッド分
率,融解ピーク温度及び融解エンタルピーに変化はなか
った。また、このポリマーの引張弾性率は230MPa
であった。
【0062】実施例1 石目調タイプの建装材 (1)表面材の作製 製造例1で得られたプロピレンホモポリマーペレット9
0重量%とポリエチレンテレフタレートチップ10重量
%からなる混合物をミキシングロールにて、ロール温度
170℃で5分間混合した後、厚さ200μmのシート
を成形した。 (2)裏打ち材の作製 製造例2で得られた軟質ポリプロピレン系樹脂20重量
%,SBR〔旭化成工業(株)製,商品名:タフデン2
003〕18重量%,SEBS〔旭化成工業(株)製,
商品名:タフラックH−1051〕2重量%,水酸化ア
ルミニウム〔昭和電工(株)製,商品名:ハイジライト
H−21〕45重量%及び炭酸カルシウム15重量%か
らなる混合物をバンバリーミキサーにて、設定温度12
0℃で5分間混練したのち、ミキシングロールで厚みを
調整し、厚さ3mmのシートを成形した。 (3)積層シートの作製 上記(1)及び(2)で得られたシートをプレス成形機
にて、設定温度200℃で接着し、積層シートを作製
し、石目調タイプの建装材を得た。このものの物性及び
触感を第1表に示す。
【0063】実施例2 スライスタイルタイプの建装材 (1)表面材の作製 製造例1で得られたプロピレンホモポリマーペレットを
所定の型枠内に入れ、設定温度200℃にてプレス成形
し、厚さ50mmの板状体を得たのち、これを切削し、
厚さ200μmのシートを作製した。 (2)裏打ち材の作製 実施例1−(2)と同様にして厚さ2mmのシートを成
形した。 (3)積層シートの作製 上記(1)及び(2)で得られたシートをプレス成形機
にて、設定温度180℃で接着し、積層シートを作製し
て、スライスタイルタイプの建装材を得た。このものの
物性及び触感を第1表に示す。
【0064】実施例3 大理石調タイプの建装材 (1)表面材の作製 製造例1で得られたプロピレンホモポリマーペレット9
0重量%と顔料(有機系顔料及び無機系顔料の混合物)
10重量%とをホッパーに入れ、設定温度220℃で射
出成形し、厚さ1mmのシートを作製した。 (2)裏打ち材の作製 実施例1−(2)と同様にして厚さ3mmのシートを成
形した。 (3)積層シートの作製 上記(1)及び(2)で得られたシートをプレス成形機
にて、設定温度180℃で接着し、積層シートを作製し
て、大理石調タイプの建装材を得た。このものの物性及
び触感を第1表に示す。
【0065】実施例4 バックプリントタイプの建装材 (1)表面材の作製 製造例1で得られたプロピレンホモポリマーペレットを
キャスト成形し、厚さ200μmのシートを作製したの
ち、その片面に印刷を施し、意匠性を付与した。 (2)裏打ち材の作製 実施例1−(2)と同様にして厚さ3mmのシートを成
形した。 (3)積層シートの作製 上記(1)及び(2)で得られたシートをプレス成形機
にて、設定温度180℃で接着し、積層シートを作製し
て、バックプリントタイプの建装材を得た。なお、
(2)で得られたシートが(1)で得られたシートの印
刷面に接するように接着させた。また、接着剤又はプラ
イマーを用いた場合は、さらに容易に接着することが可
能であった。このものの物性及び触感を第1表に示す。
【0066】実施例5 バックプリントタイプの建装材 実施例4−(1)において、製造例1で得られたプロピ
レンホモポリマーペレットの代わりに、製造例1で得ら
れたプロピレンホモポリマー90重量%と水素添加SB
R〔日本合成ゴム(株)製,商品名:ダイナロン132
0P〕10重量%との混合物を用いた以外は、実施例4
と同様してバックプリントタイプの建装材を作製した。
このものの物性及び触感を第1表に示す。
【0067】比較例 塩化ビニル樹脂系床材 (1)表面材の作製 塩化ビニル樹脂(重合度700)100重量部に、可塑
剤としてのジオクチルフタレートを40重量部の割合で
配合し、ミキシングロールにて170℃で混練したの
ち、厚さ200μmのシートを成形した。このシートの
片面に印刷を施し、意匠性を付与した。 (2)裏打ち材の作製 実施例1−(2)と同様にして厚さ3mmのシートを成
形した。 (3)積層シートの作製 上記(1)及び(2)で得られたシートをプレス成形機
にて、設定温度180℃で接着し、積層シートを作製し
て、塩化ビニル樹脂系床材を得た。なお、(2)で得ら
れたシートが(1)で得られたシートの印刷面に接する
ように接着させた。このものの物性及び触感を第1表に
示す。
【0068】
【表1】
【0069】なお、本発明の建装材における表面材層で
用いた製造例1のプロピレンホモポリマー(製造例1P
P)は、凡用のポリプロプレンに対して、以下に示す優
位性をもっている。比較は厚さ100μmフィルムを作
製して行った。また、汎用のポリプロピレンとして、プ
ロピレン単独重合体(ホモPP),プロピレンブロック
共重合体(ブロックPP)及びプロピレンランダム共重
合体(ランダムPP)を用いた。 (1)ホモPPに比較して柔軟性に優れる。 引張弾性率(MPa):ホモPP=約1000 製造例1PP=500 (2)ブロックPPに比較して透明性に優れる。 ヘーズ(%):ブロックPP=約40 製造例1PP=約7 (3)ランダムPPに比較して耐熱性に優れる。 DSCによる融点(℃):ランダムPP=約120 製造例1PP=約155℃以上
【0070】
【発明の効果】本発明の建装材は、耐熱性,耐候性,耐
摩耗性などに優れ、かつ塩化ビニル樹脂系建装材に匹敵
する印刷性及び二次加工性(Vカット加工性,真空成形
性)などを有する。また本発明の建装材は、ソフト感を
もち、しかも環境に対して優しいなどの特徴を有してお
り、特に床材や壁装材などとして好適に用いられる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (イ)同位体炭素核磁気共鳴(13C−N
    MR)スペクトルによるペンタッド分率において、rr
    rr/(1−mmmm)×100が20〜60%、
    (ロ)示差走査熱量分析計(DSC)にて測定した融解
    ピーク温度(Tm)が150℃以上及び(ハ)DSCに
    て測定した融解エンタルピー(ΔH)が100J/g以
    下であるプロピレンの単独重合体及び/又は4重量%以
    下の他のオレフィン単位を含有するプロピレン系共重合
    体からなるポリプロピレン系樹脂を主成分とする表面材
    層を有することを特徴とする建装材。
  2. 【請求項2】 (A)(イ)同位体炭素核磁気共鳴(13
    C−NMR)スペクトルによるペンタッド分率におい
    て、rrrr/(1−mmmm)×100が20〜60
    %、(ロ)示差走査熱量分析計(DSC)にて測定した
    融解ピーク温度(Tm)が150℃以上及び(ハ)DS
    Cにて測定した融解エンタルピー(ΔH)が100J/
    g以下であるプロピレンの単独重合体及び/又は4重量
    %以下の他のオレフィン単位を含有するプロピレン系共
    重合体からなるポリプロピレン系樹脂99〜60重量%
    と、(B)熱可塑性エラストマー共重合体1〜40重量
    %との樹脂混合物を主成分とする表面材層を有すること
    を特徴とする建装材。
  3. 【請求項3】 ポリプロピレン系樹脂において、(ハ)
    の融解エンタルピー(ΔH)が10〜100J/gであ
    る請求項1又は2記載の建装材。
  4. 【請求項4】 表面材層が、少なくとも一方の面に印刷
    を施してなるシート、合成樹脂及び/又はゴムのチップ
    を含有するシート又は着色剤を含有するシートである請
    求項1又は2記載の建装材。
  5. 【請求項5】 表面材層の裏面に裏打ち材が積層された
    構造を有する請求項1又は2記載の建装材。
  6. 【請求項6】 表面材層と裏打ち材との間に接着剤層を
    有する請求項5記載の建装材。
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CN97192490A CN1093035C (zh) 1996-02-22 1997-02-21 装饰膜或装饰板,包括相同物的装饰材料和装饰建筑材料
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DE1997637591 DE69737591T2 (de) 1996-02-22 1997-02-21 Dekorfilm oder dekorfolie, dekormaterial und baumaterial hieraus hergestellt
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2000036242A1 (fr) * 1998-12-11 2000-06-22 Ibiden Co., Ltd. Materiau de construction composite
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