JP4158417B2 - 化粧シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に建築物の内装、建具、家具等の表面装飾等に用いられる、木質系ボード類、無機系ボード類、金属板等の表面に接着剤で貼り合わせて化粧版として用いる化粧シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、主に建築物の内装、建具、家具等の表面装飾等に用いられてきた、木質系ボード類、無機系ボード類、金属板等の表面に接着剤で貼り合わせて化粧版として用いる化粧シートは、印刷適性が良い、可塑剤添加により硬軟の度合いの調節が可能で用途に合わせた固さを選択できる、エンボス加工性が良い、ラミネート時の層間の接着強度が強い、切削加工性が良い、等々の利点がある、ポリ塩化ビニルシートに木目柄や抽象柄等を印刷した、ポリ塩化ビニル系化粧シートが広く一般的に使用されてきた。
【0003】
しかしながら、上述のポリ塩化ビニル系化粧シートは、燃焼した場合に有害なガスが発生する恐れがあり、廃棄物の燃焼処理時の人的影響や環境保全への危惧から、ポリ塩化ビニル系化粧シートに代わる、燃焼した場合にも有毒なガスが発生しない材料を用いた化粧シートの開発がユーザーから強く求められていた。
【0004】
そこで近年では、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−ビニルアルコール、ポリエステル、アクリル等及び共重合体樹脂や紙などを、単層または複数のシートの積層によって成る非塩化ビニル系化粧シートが、ポリ塩化ビニル系化粧シートの代替として使用されるようになってきている。その中でも特に、化粧シートに要求される適度な柔軟性、耐磨耗性、耐熱性、耐薬品性等を備え、なおかつ安価で提供されているポリプロピレンを用いた化粧シートが数多く提案されている。
【0005】
ただし、汎用のポリプロピレンでは耐傷性にやや難があり、その対策として本発明者らは、アイソタクティシティ[ポリプロピレン樹脂の立体規則性の尺度で、常圧(760mmHg)で沸騰状態の溶剤(デカン、ヘプタン、ヘキサン等)に溶解せずに残留する固体部分の比率をいう。ここでは沸騰デカン抽出残率として]を95%以上有し、かつ曲げ初期弾性率10000kgf/cm2以上である高結晶ポリプロピレンを用いれば耐傷性が改善されることを見出しているが、このような特徴を持つポリプロピレン樹脂は後加工性、特に金属板に貼り合わせた化粧板の曲げ加工時に、曲げの形状によっては白化や割れ等が発生する場合があった。
【0006】
さらに、化粧シートを木質系ボード類、無機系ボード類、金属板等に貼り合わせて化粧板を作製する工程において、その貼りあわせに用いる接着剤の種類や化粧シートと貼り合わせる基材の材質等にもよるが、たとえば接着剤に無溶剤型のホットメルトを使用した場合では90〜150℃、基材に金属板を使用した場合などにおいては120〜150℃程度の熱が、ごくわずかの間ではあるが化粧シートにかかる事がある。この場合、現在の化粧シートはラミネート強度が著しく低下してしまうという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、係る従来技術の欠点に鑑みてなされたもので、塩化ビニル樹脂以外の材料を用いて、適度な柔軟性、耐磨耗性、耐傷性、耐薬品性を有しつつ、90℃以上の耐熱性と曲げ等の後加工性に優れ、なおかつ意匠性にも優れた化粧シートを提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明において前記課題を達成するために、請求項1の発明では、プライマー層、基材シート、模様層、アンカーコート層、接着性樹脂層、凹陥模様を有する透明ポリプロピレン樹脂層およびトップコート層をこの順で積層してなる化粧シートにおいて、
該基材シートをアイソタクティシティ(沸騰デカン抽出残率)97%、JISK6760に規定されるMFR20g/minの高結晶ホモポリプロピレンに、無機顔料6重量部、フェノール系酸化防止剤0.2重量部、ヒンダードアミン系光安定剤0.3重量部、ブロッキング防止剤0.2重量部添加した樹脂を厚さ70μmで溶融押出しして得ること、
該アンカーコート層がイソシアネート成分として4、4−ジフェニルメタンジイソシアネート5重量部、イソホロンジイソシアネート75重量部、ヘキサメチレジンイソシアネート20重量部を含むイソシアネート硬化型ウレタン系樹脂からなること、
該接着性樹脂層が1g中のカルボニル基含量0.02ミリモル当量の不飽和カルボン酸あるいはその無水物で変性したランダムポリプロピレン樹脂からなること、
該透明ポリプロピレン樹脂層が、アイソタクティシティが97%、MFRがMFR20g/minの高結晶ホモポリプロピレン70重量部と、MFRが20g/minのランダムポリプロピレン30重量部の混合樹脂組成物に、フェノール系酸化防止剤0.2重量部、ヒンダードアミン系光安定剤0.3重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤0.5重量部、ブロッキング防止剤0.2重量部添加してなることを特徴とする化粧シートである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
図1に、本発明に係る化粧シートの断面図の一例を示す。基本構成は基材シート1と透明ポリプロピレン樹脂層5の積層体からなる。基材シート1には、該基材シート1を用いて製造された後の本発明の化粧シートと貼り合わせる木質系ボード、無機系ボード、金属板などの表面が見えないように、遮蔽を施すのが一般的である。また、基材シート1の表面には木目柄、石目柄、砂地柄、抽象柄等の模様層2を設けるのが一般的である。
【0013】
基材シート1に対する隠蔽及び模様の形成方法としては、基材シート1の表面あるいは裏面あるいはその両方に、グラビア印刷、オフセット印刷、凹版印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、シルク印刷、静電印刷、インクジェット印刷等の公知の印刷技法を用いるのが一般的であるが、必ずしもこれに限定されるものではない。また用いられるインキも公知のもの、すなわちビヒクルに染料または顔料等の着色剤、体質顔剤を添加し、さらに可塑剤、安定剤、ワックス、グリース、乾燥剤、硬化剤、増粘剤、分散剤、充填剤等を任意に添加して、溶剤、希釈剤等で充分に希釈、攪拌してなるものでよい。
【0014】
また基材シート1の製造方法として、Tダイ押出し法を用いる場合には、基材シート1に直接着色し、押出し製膜して隠蔽の効果を持たせることもできる。着色方法としては、顔料を分散助剤や界面活性剤で処理した微粉末状の着色剤を使用するドライカラー法、樹脂と高濃度の顔料を溶融混連して予備分散したマスターバッチペレットを作製し、押出しホッパー内で、着色のされていない通常の樹脂とドライブレンドするマスターバッチ法等があり、特に限定されるものではない。また顔料の種類も、通常用いられているもので良いが、特に耐候性、耐熱性を考慮して、酸化チタン、群青、カドミウム顔料、酸化鉄等の無機顔料が望ましい。
【0015】
また有機顔料でもフタロシアニン顔料、キナクリドン顔料等が使用できる。顔料の色や配合比率は、隠蔽の度合いや意匠性等を鑑みて任意に決められるものであり、特に制約はない。
【0016】
また基材シート1自体に着色、隠蔽、模様を施す方法として、基材シート1の樹脂とは流動特性の異なる樹脂に高濃度の顔料を溶融混連して予備分散せしめたマスターバッチペレット、あるいは木紛、ガラス粉末等を添加して、基材シート1の樹脂と共に押出し製膜して基材シート1を形成することにより、基材シート1自体に模様を形成する方法がある。
【0017】
無論、これら基材シート1自体に着色隠蔽、模様を形成する方法と、前記印刷方法、転写方法等を併用することも可能である。また、基材シート1の製造方法としては、他にカレンダー法が一般的に用いられているが、その場合も、ほぼ同様の手法を用いて隠蔽及び模様を形成することができる。
【0018】
基材シート1の表面に透明ポリプロピレン樹脂層5を積層する理由は、意匠性や模様層の保護、耐磨耗性、耐薬品性、耐傷性等を発現するためである。また、基材シート1に用いられる材料としては、ポリ塩化ビニル以外の材料であれば、化粧シートの用途や価格、使い勝手等を勘案して任意に選んでかまわないが、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂が広く一般に用いられている。ただし必ずしもこれに限るものではなく、
【0019】
例えばエチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリスチレン、ABS、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアミド、ナイロン6、ナイロン66、紙等がある。必要に応じて、これらの材料を組み合わせて多層にして使用しても良い。
【0020】
前記透明ポリプロピレン樹脂層5に用いられるポリプロピレンとしては、これまでは、耐傷性を重視する場合には、ペンダット分率の高いホモポリプロピレンを使用し、Vカット特性を重視する場合には、エチレン含量の高いランダムポリプロピレンを用いるといった、用途別による使い分けを行う必要があった。
【0021】
しかしながら本発明の化粧シートでは、透明ポリプロピレン樹脂層5にアイソタクティシティ(沸騰デカン抽出残率)が95%以上であり、JISK6760に規定されるMFRが、2g/10min以上、40g/10min以下である高結晶ホモポリプロピレンと、MFRが2g/10min以上、40g/10min以下であるランダムポリプロピレンの混合樹脂組成物からなり、かつ高結晶ポリプロピレンの混合割合が60〜80重量部、好ましくは65〜75重量部ととする。
【0022】
アイソタクティシティが95%未満の高結晶ホモポリプロピレン、または高結晶ホモポリプロピレンの混合割合が60重量部を下回ると耐傷性が良くない。また、高結晶ホモポリプロピレンの混合割合が80重量部を上回ると、曲げ加工性が良くなく、特に金属板に貼り合わせた化粧板の曲げ加工時に、曲げの形状によっては白化や割れ等が発生する。またMFRが2g/10minに満たないものや、40g/10minを超えるものは、樹脂の製膜時のサージングや、引き取りムラなどが発生して、加工スピードが出ないなど生産性に難がある。
【0023】
一般的に化粧シートには耐候性も求められるため、基材シート1の樹脂への紫外線吸収剤及び光安定剤の添加は必須条件である。紫外線吸収剤としては、所望する紫外線吸収効果を有する範囲内で、かつ化粧シートの耐候性以外の特性に大きな影響を与えない範囲であれば、特にその成分や添加量に制限はないが、例えば2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3、5−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2' −ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等のトリアジン系紫外線吸収剤、酸化セリウム、酸化チタン等の無機系紫外線吸収剤等の中から1種あるいは1種以上を任意に組み合わせて添加することが可能である。
【0024】
光安定剤も所望する紫外線吸収効果を有する範囲内で、かつ化粧シートの耐候性以外の特性に大きな影響を与えない範囲であれば、基材シート1の樹脂中に添加する成分や添加量に制限はない。例えば、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N' −ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート等のヒンダードアミン系光安定剤、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系光安定剤、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルキシ)−4−ピペリジニル)エステル等のアミノエーテル型の光安定剤等の中から1種あるいは1種以上を任意に組み合わせて使用することが可能である。また大塚化学(株)製の特許公開公報「特開平9−278835号」に記載されているような、紫外線吸収剤あるいは光安定剤とポリプロピレンを架橋したグラフトポリマーを耐候マスターバッチとして添加することも可能である。
【0025】
その他にも必要に応じて、熱安定剤、難燃剤、ブロッキング防止剤等が、基材シート1の樹脂中に添加される。熱安定剤は、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]−プロピオネート、2、4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、2,2' −メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2' −メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトに代表される燐系酸化防止剤等の中から1種、あるは1種以上組み合わせて使用可能である。
【0026】
基材シート1の樹脂中に添加する難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の無機系化合物や燐酸エステル系の難燃剤等があるが、特に成分に限定は無い。但し、環境を考慮した非塩化ビニル製シートであるならば、ハロゲン系の難燃剤の使用は考慮する必要がある。
【0027】
ブロッキング防止剤は、珪酸アルミニウム、酸化珪素、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム等の無機系ブロッキング防止剤、脂肪酸アミドのような有機系ブロッキング防止剤等が基材シート1の樹脂中に任意に添加される。
【0028】
基材シート1と透明ポリプロピレン樹脂層5との積層方法としては、熱及び圧力をかけて貼り合わせる熱ラミネーション法、接着剤を介して貼り合わせるドライラミネーション法およびウェットラミネーション法、基材シート1上にポリプロピレン樹脂をTダイから溶融押出しする押出ラミネーション法等がある。このなかで、押出ラミネーション法がもっとも生産性が良いため、押出しラミネーションが好適に用いられる。
【0029】
ここで問題になるのが、基材シート1と透明ポリプロピレン樹脂層5との間のラミネート強度である。特に一般的なポリプロピレン樹脂は同種または異種の樹脂との接着性に乏しいため、充分なラミネート強度を得るためには、図1に示すような構成、すなわち模様層2を有した基材シート1の上にアンカーコート層3を塗布し、接着性樹脂層4を介して透明ポリプロピレン樹脂層5を共押出しし、なおかつ接着性樹脂層4にオゾンガスを吹き付ける方法が好適である。
【0030】
接着性樹脂層4に用いる接着性樹脂としては、マレイン酸変性ポリエチレン樹脂やエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂などが一般的であるが、これらの樹脂を使用すると、耐熱性、特に90℃以上でのラミネート強度が著しく低下してしまう。そこで、常温での充分なラミネート強度は勿論、例えば接着剤に無溶剤型のホットメルトを使用した場合や、本発明の化粧シートを貼り合わせるための基材に金属板を使用した場合など、貼り合わせる化粧シートに高温がかかった場合においても充分なラミネート強度を保持するために、接着性樹脂として不飽和カルボン酸あるいはその無水物(例えば無水マレイン酸をグラフト重合したランダムポリプロピレン樹脂)を用いることにより解決できることを、本発明者らは既に見出した(特願2000−108641号)。
【0031】
前記不飽和カルボン酸あるいはその無水物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フタル酸、シトラコン酸、イタコン酸およびそれらの無水物が挙げられるが、これらの中で無水マレイン酸が特に好ましい。また、これらの不飽和カルボン酸あるいはその無水物の単位の量は、組成物1gあたりのカルボニル基として1×10-4ミリモル当量以上、1×10-1ミリモル当量以下であることが好ましい。変性によって含有される不飽和カルボン酸あるいはその無水物の単位の量が1×10-4ミリモル当量未満では充分な効果は発現しないし、1×10-1ミリモル当量を越えても接着性を改善する効果は小さくなる。
【0032】
また、前記接着性樹脂にオゾンガスを吹き付けるオゾン処理装置は一般的なものでよく、特に制約されるものではない。オゾン処理量としては、オゾン濃度20〜50g/N m3 、オゾン流量1〜10N m3 /時間が良好である。
【0033】
さらに本発明の化粧シートにおいては、基材シート1と接着性樹脂層4との間にアンカーコート層3を設けておくことが好ましい。このアンカーコート層3としては、ポリオールとイソシアネートとの反応でウレタン結合を形成するイソシアネート硬化型ウレタン系樹脂が望ましい。さらに、イソシアネート成分として少なくともへキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートを少なくとも含む混合物を使用すると、常温及び高温において最も優れたラミネート強度を得ることができる事を発見した。
【0034】
前記各イソシアネート成分の配合量としては、イソシアネート成分の全体量のうち、へキサメチレンジイソシアネートを2〜30重量部、イソホロンジイソシアネートを30〜98重量部、及びその両者以外のイソシアネート成分を0〜68重量部とするのが良い。その他のイソシアネート成分として、例えば4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メシチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等から選ばれる1種以上を、添加することもできる。
【0035】
また、アンカーコート層3の形成方法は、グラビア法(グラビア印刷法、グラビア塗布法)が好適に用いられるが、何ら限定されるものではない。
【0036】
また場合によっては、化粧シートの表面の手触り感や、より一層の意匠感を得るため、図1に示すように化粧シート表面の透明ポリプロピレン樹脂層5に凹陥模様5aを施し、その凹陥部内に充填インキを埋め込み(ワイピングし)、そのポリプロピレン樹脂層5の最外表面にトップコート層6を設けることも好適に行われる。
【0037】
凹陥模様5aを施す方法としては、通常の熱圧エンボス加工法でよく、何ら限定されるものではない。また、前記ポリプロピレン樹脂層5の形成方法としてTダイ押出法(接着性樹脂層4とポリプロピレン樹脂層5との2層共押出し製膜法)を用いる場合には、溶融樹脂を冷却固化させるチルロールの表面に凹陥模様を施しておき、押し出された樹脂をチルロールとプレスロールとの間でエンボスして、透明ポリプロピレン樹脂層5の表面に凹陥模様5aを施す方法が一般的である。また、施された凹陥模様5aの凹陥部内にインキを埋め込み、透明ポリプロピレン樹脂層5の最外表面に、トップコート層6を設けることも好適に行われるが、これらの方法は、従来の塩化ビニル樹脂製の化粧シートで行われているワイピング処理およびトップコート処理と同様の方法で実施可能である。
【0038】
本発明の化粧シートにおいては、木質系ボード類、無機系ボード類、金属板等の貼り合わせ用基材との密着強度を向上させるために、図1に示すように必要に応じて、基材シート1の裏面にプライマー層7を設けても良い。このプライマー層7に関しては、貼り合わせ用基材との充分な密着強度が得られており、かつ積層時の基材シート1と木質系ボード類、無機系ボード類、金属板等との間でのシートの浮き等が発生しなければ、特に規定されるものではないが、ポリウレタン系のものを使用するのが好適である。
【0039】
【実施例】
以下、本発明の化粧シートの実施例及び比較例により、更に説明を行う。
【0040】
<実施例1>
図1に示すように、基材シート1として、アイソタクティシティ97%、MFR20g/minの高結晶ホモポリプロピレンに、隠蔽性を持たせるために無機顔料を6重量部、その他フェノール系酸化防止剤を0.2重量部、ヒンダードアミン系光安定剤を0.3重量部、ブロッキング防止剤を0.2重量部、それぞれ添加した樹脂を、厚さ70μmで溶融押出した基材シート1を用い、その基材シート1の表面にコロナ処理を施した後、グラビア印刷法により絵柄用インキ(東洋インキ製造(株)製;ラミスター)を使用して木目模様を施し、模様層2を形成した。
【0041】
さらに木目模様の模様層2上にイソシアネート硬化型ウレタン系樹脂からなるアンカーコート剤(イソシアネート成分として4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート5重量部、イソホロンジイソシアネート75重量部、ヘキサメチレジンイソシアネート20重量部の混合物を使用)をグラビア印刷法により塗工してアンカーコート層3を形成した。
【0042】
これとは別に透明ポリプロピレン樹脂層5として、アイソタクティシティが97%、MFRが20g/10minの高結晶ホモポリプロピレン70重量部と、MFRが20g/10minのランダムポリプロピレン30重量部の混合樹脂組成物に、フェノール系酸化防止剤を0.2重量部、ヒンダードアミン系光安定剤を0.3重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を0.5重量部、ブロッキング防止剤を0.2重量部、それぞれ添加した樹脂と、接着性樹脂層4として、無水マレイン酸でグラフト重合した変性ランダムポリプロピレン樹脂(1g中のカルボニル基含量0.02ミリモル当量)とを、導管エンボスの施された冷却ロールと加圧ロールとの間に前記基材シート1を介してTダイより共押出を行い、さらに、基材シート1とラミネートする直前に、前記接着性樹脂層4となる共押出したランダムポリプロピレン樹脂面にオゾン処理装置によりオゾンガスを吹き付けて、ラミネートとエンボス付与とを同時に行うことにより、模様層2の施された基材シート1上のアンカーコート層3面に、接着性樹脂層4を介して表面に凹陥模様5aのエンボスされた透明ポリプロピレン樹脂層5をラミネートした。
【0043】
このラミネートされた積層体の凹陥模様5aが施された透明ポリプロピレン樹脂層5の最外表面に、2液硬化型ウレタン系トップコート剤を用いてトップコート層6を施し、図1に示す構成の本発明の化粧シートを作製し、実施例1の化粧シートを得た。
【0044】
<比較例1>
上記実施例1において、透明ポリプロピレン樹脂層5として、高結晶ホモポリプロピレンを95重量部、ランダムポリプロピレンを5重量部とした他は、上記実施例1と同様の手順で化粧シートを作製し、比較例1の化粧シートを得た。
【0045】
<比較例2>
上記実施例1における透明ポリプロピレン樹脂層5と共押出しする接着性樹脂層4の樹脂が、無水マレイン酸でグラフト重合したホモポリプロピレンである他は、上記実施例1と同様の方法で化粧シートを作製し、比較例2の化粧シートを得た。
【0046】
<比較例3>
上記実施例1における透明ポリプロピレン樹脂層5と共押出しする接着性樹脂層4の樹脂が、無水マレイン酸でグラフト重合したポリエチレンである他は、上記実施例1と同様の方法で化粧シートを作製し、比較例3のシートを得た。
【0047】
<比較例4>
上記実施例1におけるアンカーコート層3に用いるアンカーコート剤に配合するイソシアネート成分の組成を、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート5重量部、イソホロンジイソシアネート50重量部、ヘキサメチレジンイソシアネート45重量部に変更した他は、上記実施例1と同様の方法で化粧シートを作製し、比較例4のシートを得た。
【0048】
<比較例5>
上記実施例1におけるアンカーコート層3に用いるアンカーコート剤に配合するイソシアネート成分の組成を、イソホロンジイソシアネート45重量部、ヘキサメチレジンイソシアネート55重量部に変更した他は、上記実施例1と同様の方法で化粧シートを作製し、比較例5のシートを得た。
【0049】
<比較例6>
上記実施例1におけるアンカーコート層3に用いるアンカーコート剤に配合するイソシアネート成分の組成を、イソホロンジイソシアネート50重量部、トリレンジンイソシアネート50重量部に変更した他は、上記実施例1と同様の方法で化粧シートを作製し、比較例6のシートを得た。
【0050】
<性能比較>
上記の様にして得た実施例1及び比較例1〜6の化粧シートについて、23℃雰囲気下、80℃にて120時間加熱、90℃にて120時間加熱、100℃にて120時間加熱の各々条件におけるラミネート強度を測定した。また、これらの化粧シートを、ウレタン系の接着剤を用いて厚さ0.45mmの金属板(化粧しーと貼り合わせ用基板:ボンデ鋼板)に貼り合わせた後、90度に折り曲げた後加工性(図2に示す曲率半径0mmR曲げ(直角曲げ)、曲率半径2mmR曲げ)と、コインスクラッチによる耐傷性とを評価した。
【0051】
【表1】
Figure 0004158417
【0052】
後加工の試験方法:5℃環境下で90度折り曲げ加工をし、折り曲げ部を0mmR、2mmR (図2参照)として、その表面状態を調べる。
後加工性の評価:◎割れ、白化が全く認められず、○割れ、白化が殆ど認められず、△やや割れ、白化が認められる、×著しく割れ、白化が認められる
耐傷性の試験方法:負荷2kgfのコインスクラッチで表面状態を調べる。
耐傷性の評価:◎全く変形無し、○殆ど変形無し、△やや変形、×著しく変形
【0053】
表1からわかるように、本発明の化粧シート(実施例1)は、最も優れたラミネート強度を有しつつ、後加工性や耐傷性にも優れたものであった。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の化粧シートは、塩化ビニル樹脂を一切使用しないため、環境問題の心配もなく、且つ耐傷性、後加工性に加えて、90℃以上の耐熱性を有するなどの優れた効果を発揮し、意匠性にも優れた化粧シートを提供できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による化粧シートの一例を示す側断面図。
【図2】(a)は後加工性の評価における曲率半径0mmR曲げ(直角曲げ)による評価の説明図、(b)は後加工性の評価における曲率半径2mmR曲げによる評価の説明図。
【符号の説明】
1…基材シート 2…模様層 3…アンカーコート層 4…接着性樹脂層
5…透明ポリプロピレン樹脂層 5a…凹陥模様 6…トップコート層
7…貼り合わせ用プライマー層

Claims (1)

  1. プライマー層、基材シート、模様層、アンカーコート層、接着性樹脂層、凹陥模様を有する透明ポリプロピレン樹脂層およびトップコート層をこの順で積層してなる化粧シートにおいて、
    該基材シートをアイソタクティシティ(沸騰デカン抽出残率)97%、JISK6760に規定されるMFR20g/minの高結晶ホモポリプロピレンに、無機顔料6重量部、フェノール系酸化防止剤0.2重量部、ヒンダードアミン系光安定剤0.3重量部、ブロッキング防止剤0.2重量部添加した樹脂を厚さ70μmで溶融押出しして得ること、
    該アンカーコート層がイソシアネート成分として4、4−ジフェニルメタンジイソシアネート5重量部、イソホロンジイソシアネート75重量部、ヘキサメチレジンイソシアネート20重量部を含むイソシアネート硬化型ウレタン系樹脂からなること、
    該接着性樹脂層が1g中のカルボニル基含量0.02ミリモル当量の不飽和カルボン酸あるいはその無水物で変性したランダムポリプロピレン樹脂からなること、
    該透明ポリプロピレン樹脂層が、アイソタクティシティが97%、MFRがMFR20g/minの高結晶ホモポリプロピレン70重量部と、MFRが20g/minのランダムポリプロピレン30重量部の混合樹脂組成物に、フェノール系酸化防止剤0.2重量部、ヒンダードアミン系光安定剤0.3重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤0.5重量部、ブロッキング防止剤0.2重量部添加してなることを特徴とする化粧シート。
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