JP4325050B2 - 化粧シートの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は建築内装材、建具の表面、家電品の表面材等に用いられる化粧シートに関するもので木質ボード類、無機系ボード類、金属板等に貼り合わせて化粧板として用いられるものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、塩化ビニル製化粧シートに替わる化粧シートとしてオレフィン系樹脂を使用した化粧シートが数多く(特開平2ー128843号、特開平4ー83664号、特開平6ー1881号、特開平6ー198831号、特開平9ー328562号等で)提案されている。しかし、これらの方法では塩化ビニル樹脂を使用しないことにより、焼却時の有毒ガス等の発生は無くなるが、一般的なポリプロピレンシートもしくは軟質ポリプロピレンシートを使用しているため表面の耐傷付き性が悪く、従来の塩化ビニル化粧シートより表面の耐傷付き性が劣っているものであった。
【0003】
本発明者らは、曲げ初期弾性率が1000MPa以上である高結晶性ポリプロピレンを検討し傷付き性で優れた利点を見いだしたが、後加工でVカット等を行った場合、フィルムの破断や外周部の割れが生じることがあった。また、製膜性の改良の目的でポリエチレンを5%以上添加したものは、ポリエチレンとポリプロピレンとの相溶性が悪いため、Vカットを行ったときに白化も生じることがあった。
【0004】
これに対してさらに本発明者らは,曲げ初期弾性率が1000MPa以上2200MPa以下、引張破断伸びが200%以上、且つ分子量分布(Molecular Weight Distribution 以下MWDと記す)が5以下の高結晶化ポリプロピレン樹脂を90〜100重量%を主として構成される樹脂組成物による透明樹脂層を少なくとも具備してなり、且つ総厚が80μm以上250μm以下の化粧シートによって大幅にVカット適性を改善し表面傷付き性との両立を成し遂げたが、MWDが低いことにより引張破断伸びが600%を超えてしまうことがあり、重荷重で引きずり傷が、シートの伸びが大きいために目立ちやすいという欠点があった。
【0005】
このMWDは、重量平均分子量(Mw )と数平均分子量(Mn )の比(Mw /Mn )であり分子量分布の広がりを示すものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題とするところは耐傷付き性に優れ、しかもVカット加工時に破断や白化などを発生することのない化粧シートを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた本発明は、曲げ初期弾性率が1000MPa以上2000MPa以下、引張破断伸びが300%以上、且つ分子量分布MWDが4以下の高結晶化ポリプロピレン樹脂50〜95重量%に対して、曲げ初期弾性率が2000MPa以上2500MPa以下の高結晶化ポリプロピレン樹脂5〜50重量%をブレンドした樹脂によって少なくとも構成される、曲げ初期弾性率が1500MPa以上2300MPa以下、引張破断伸びが200%以上600%以下の高結晶化ポリプロピレン樹脂組成物による30μm以上150μm以下の透明樹脂層を押出機により形成する工程と、前記透明樹脂層の形成後の冷却と同時に前記透明樹脂層にエンボス模様を付与する工程と総厚が100μm以上160μm以下になるように、前記透明樹脂層のエンボス模様を付与した面にトップコート層を設け、前記透明樹脂層のエンボス模様を付与した面の反対の面に少なくとも絵柄層およびプライマー層をこの順に設ける工程とを含むことを特徴とする化粧シートの製造方法である。尚、本発明において透明とは半透明をも包含するものとする。
【0008】
【発明の実施形態】
本発明の化粧シートの製造方法は、透明樹脂層を少なくとも具備する化粧シートであって、該透明樹脂層を構成する樹脂組成物が曲げ初期弾性率が1000MPa以上2000MPa以下、引張破断伸びが300%以上、且つ分子量分布MWDが4以下の高結晶化ポリプロピレン樹脂50〜95重量%に対して、曲げ初期弾性率が2000MPa以上2500MPa以下の高結晶化ポリプロピレン樹脂5〜50重量%をブレンドした樹脂によって少なくとも構成される、曲げ初期弾性率が1500MPa以上2300MPa以下、引張破断伸びが200%以上600%以下の高結晶化ポリプロピレン樹脂組成物による30μm以上150μm以下の透明樹脂層を押出機により形成する工程と、前記透明樹脂層の形成後の冷却と同時に前記透明樹脂層にエンボス模様を付与する工程と総厚が100μm以上160μm以下になるように、前記透明樹脂層のエンボス模様を付与した面にトップコート層を設け、前記透明樹脂層のエンボス模様を付与した面の反対の面に少なくとも絵柄層およびプライマー層をこの順に設ける工程とを含むことが好ましい。
【0009】
上記高結晶性ポリプロピレンはプロピレンの単独重合体すなわちホモポリマーでも良いし、あるいは、エチレン、ブテン等と共重合した2元、3元のランダム共重合体でも良い。
尚、本発明において高結晶性ポリプロピレンとは沸騰ヘプタン可溶残分が95%以上のポリプロピレンを指す。
【0010】
また、透明樹脂層を構成する高結晶化ポリプロピレン以外の樹脂は高結晶化ポリプロピレンの物性に著しく悪影響を与えないならばその配合の目的によって適宜選定が可能である。
【0011】
以下に本発明による高結晶性ポリプロピレンを用いた化粧シートの構成の具体例を図に従って詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明に係わる透明樹脂層を用いた単層化粧シートの一例であり、必要に応じて片面又は両面をコロナ処理、プラズマ処理、電子線処理、紫外線処理、重クロム酸処理等で活性にした透明樹脂層(1)の一方の面に絵柄層(2)及び隠蔽層(3)を設け、シート1の反対の面にトップコート層(4)を設けた構成の化粧シートである。
【0013】
隠蔽層(3)の基材に対する接着性に問題があれば重ねてプライマー層(5)を適宜設けてもかまわない。また、意匠性を向上させるためにトップコート層(4)側にエンボス模様を適宜設けてもよい。
【0014】
図1の構成において、エンボス模様は透明樹脂層(1)の高結晶性ポリプロピレンシートに直接付与されるもので、その方法は製膜されたシートを熱及び圧力により凹凸模様を有するエンボス版を用いてエンボス模様を付与する方法や、押出機を用いて製膜する際に凹凸模様を有する冷却ロールを用いて冷却と同時にエンボスを設ける方法などが有る。ここではエンボス部にインキを埋め込みさらに意匠性を向上させることも可能である。
【0015】
高結晶性ポリプロピレンよりなるシートの成形方法は特に製膜できれば問題なく規定されるものでは無いが、押出機を用いる方法が最も一般的である。
【0016】
図1において絵柄層(2)、隠蔽層(3)を設ける方法は、透明樹脂層(1)の高結晶性ポリプロピレンシートに直接グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、静電印刷、インキジェット印刷等が有る。また特に隠蔽層(3)を施す場合はコンマコーター、ナイフコーター、リップコーター、金属蒸着あるいはスパッタ法等を用いてもよい。
【0017】
トップコート層(4)を設ける方法も隠蔽層(3)や絵柄層(2)等を設ける方法と同様で何ら規定されるものではない。
【0018】
ここで使用される高結晶性ポリプロピレンシートには必要に応じて熱安定剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、核剤、触媒捕捉剤、透明性を維持する範囲での着色剤、半透明化のための光散乱剤、艶調整剤等を添加することもできる。
熱安定剤としてはヒンダードフェノール系、硫黄系、ヒドラジン系等、難燃剤としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等、紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系、トリアジン系等、光安定剤としてはヒンダードアミン系等を任意の組み合わせで添加するのが一般的である。特に本用途に用いる場合は耐候性を考慮する必要があり、紫外線吸収剤と光安定剤は必須となり添加量はそれぞれ0.1〜1.0%が適量である。
【0019】
絵柄層(2)にインキを使用する場合はバインダーとしては硝化綿、セルロース、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、アクリル、ポリエステル系等の単独もしくは各変性物の中から適宜選定すればよい。これらは水性、溶剤系、エマルジョンタイプのいずれでも問題なく、また1液タイプでも硬化剤を使用した2液タイプでも任意に選定可能である。さらに紫外線や電子線等の照射によりインキを硬化させることも可能である。中でも最も一般的な方法はウレタン系のインキでイソシアネートで硬化させる方法である。
【0020】
これらバインダー以外には通常のインキに含まれている顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、各種添加剤が添加されている。特によく用いられる顔料には縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料等がある。また、インキの塗布とは別に各種金属の蒸着やスパッタリングで意匠を施すことも可能である。
【0021】
隠蔽層(3)に使用される材料も基本的には絵柄層(2)と同じものでよいが、目的として隠蔽性を持たせる必要があるために顔料としては不透明な顔料、酸化チタン、酸化鉄等を使用する。また隠蔽性を上げるために金、銀、銅、アルミ等の金属を添加することも可能である。一般的にはフレーク状のアルミを添加させることが多い。塗布厚みは2μ以下では隠蔽性を付与しにくく、10μ以上では樹脂層の凝集力が弱くなるため2μ〜10μが妥当である。
【0022】
トップコート層(4)に使用される材料も特に規定されるものではないがポリウレタン系、アクリル系、アクリルシリコン系、フッソ系、エポキシ系、ビニル系、ポリエステル系、メラミン系、アミノアルキッド系、尿素系等から適宜選択できる。形態も水性、エマルジョン、溶剤系いずれでも可能でかつ硬化も1液タイプでも硬化剤を用いた2液タイプでも良い。中でもイソシア反応を利用したウレタン系のトップコートが作業性、価格、樹脂自体の凝集力等の観点からも望ましい。
【0023】
イソシアネートにはトリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、メタジイソシアネート(MDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソホロジイソシアネート(IPDI)、メチルヘキサンジイソシアネート(HTDI)、メチルシクロヘキサノンジイソシアネート(HXDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)等から適宜選定できるが耐候性を考慮すると2重結合をもつタイプよりも直鎖状の構造を持つタイプ、特にヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)が最適である。
【0024】
表面の硬度をさらに向上させるためには紫外線や電子線照射で硬化する樹脂の使用も可能である。さらに耐候性を向上させるために紫外線吸収材及び光安定材を適宜添加してもよい。また各種機能を付与するために抗菌材、防カビ材等の機能性添加材の添加も任意に行える。さらに、表面の意匠性から艶の調整のためあるいはさらに耐磨耗性を付与するためにアルミナ、シリカ、窒化珪素、炭化珪素、ガラスビーズ等の添加も任意に行える。塗布厚みは通常2μ〜10μが妥当である。
【0025】
プライマー層(5)に使用される材料も基本的には絵柄層(2)、隠蔽層(3)と同じものでよいが、シート裏面に施されるためにウエブ状で巻取りを行うことを考慮するとブロッキングを避けてかつ接着剤との密着を高めるために、シリカ、アルミナ、マグネシア、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機充填剤を添加させても良い。塗布厚みは基材との密着を確保することが目的であるので0.1μm〜3.0μmが妥当である。
【0026】
図2には絵柄の施された各種基材と高結晶性ポリプロピレンとの積層タイプの構成の一例を示す。ここで積層方法及び透明層の層数は任意に選択できる。重要なことは複数の合成樹脂シートを積層した多層構成の化粧シートの内、少なくとも最表面の合成樹脂シートを本発明の高結晶性ポリプロピレン樹脂シートで構成することである。
【0027】
以下に図にそって詳細に説明する。図2は上から順にトップコート層(4)、透明樹脂層(1)、接着層(6)、絵柄層(2)、基材シート(7)、プライマー層(5)と積層された化粧シートの構成の一例である。
ここで、トップコート層(4)、エンボスは必要とあれば設ければよく、プライマー層(5)も基材シートがオレフィン系材料のように表面不活性な場合には必要であるが表面が活性な基材シートの場合は特に必要なものではない。
【0028】
また、基材シートにオレフィン系基材のような表面が不活性な基材を用いる場合は、基材シートの表裏にコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、電子線処理、紫外線処理、重クロム酸処理等を行うことが望ましい。さらには絵柄との密着を確保させるためにはプライマー層を設けることもある。また、化粧シートに隠蔽性を付与したい場合には、基材シート(7)として隠蔽性の着色シートを使用しても良いし、隠蔽層を設けても良い。
【0029】
図2で基材シート(7)としては薄葉紙、チタン紙、樹脂含浸紙等の紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、エチレンー酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、アクリル等の合成樹脂、あるいはこれら合成樹脂の発泡体、エチレンープロピレン共重合ゴム、エチレンープロピレンージエン共重合ゴム、スチレンーブタジエン共重合ゴム、スチレンーイソプレンースチレンブロック共重合ゴム、スチレンーブタジエンースチレンブロック共重合ゴム、ポリウレタン等のゴム、有機もしくは無機系の不織布、合成紙、アルミニウム、鉄、金、銀等の金属箔等から任意に選定可能である。また、基材シート(7)は透明樹脂層(1)と同一の樹脂組成物からなるシートであってもかまわない。
【0030】
図2の構成で透明樹脂層(1)、絵柄層(2)、トップコート層(4)、プライマー層(5)は図1のそれと同一でよい。
【0031】
接着層(6)は接着方法に依存した任意の材料選定が可能であり、積層方法として熱ラミネート、押し出しラミネート、ドライラミネート等が採用されている。接着材は、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系等の材料から選定できる。通常はその凝集力からイソシアネートを用いたポリオールとの反応の2液硬化タイプのウレタン系が望ましい。
【0032】
積層方法にも特に規制はないが熱圧を応用した方法、押し出しラミネート法及びドライラミネート法等が一般的である。またエンボス模様を施す場合には、一旦各種方法でラミネートしたシートに後から熱圧によりエンボスを入れる方法、冷却ロールに凹凸模様を設け押し出しラミネートと同時にエンボスを施す方法が有る。また、押し出し同時エンボスを施した透明樹脂層(1)と基材シート(7)を熱あるいはドライラミネートで貼り合わせる方法等がある。絵柄層(2)及び接着層(6)を施す位置は通常通り基材シート(7)側でもよいし、透明樹脂層(1)側でもよい。
【0033】
さらに、エンボスの中にインキを埋め込んで意匠性を向上させることも可能である。
【0034】
図3には図2とは異なる積層タイプの構成の一例を示す。プライマー層(5)、基材シート(7)、絵柄層(2)、透明樹脂層(1)、トップコート層(4)、接着剤層(6)等は図2と全く同様であるが異なるところは接着剤層(6)と透明樹脂層(1)の間に接着性樹脂層(8)が設けられているところである。
これは、特に押し出しラミネート方法でさらなるラミネート強度を求める場合に行うが透明樹脂層と接着性樹脂との共押し出し法でラミネートを行う。
【0035】
上記接着性樹脂層(8)はポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル系等樹脂に酸変性を施したもので厚みは接着力向上目的から2μ以上、また厚すぎるとせっかく高結晶性の透明樹脂層で表面硬度を向上させたにもかかわらず接着性樹脂自体の柔らかさの影響を受けるため20μ以下が望ましい。
【0036】
耐候性の面から絵柄及び基材を守るために前記のようにトップコート層(4)及び透明樹脂層(1)に耐候性処方を施すだけではなく、接着剤層(6)に紫外線吸収剤及び光安定剤を添加する方法もある。
【0037】
図2及び図3の例に示した積層タイプの厚みは、基材シート(7)としては印刷作業性、コストを考慮して30μ〜150μ、透明樹脂層(1)としては意匠性、後加工性、コストを考慮して30μ〜150μにすることが望ましいが、積層品としての総厚みは80μ〜250μの範囲にすることが必要である。
【0038】
【実施例】
〈実施例1〉
曲げ初期弾性率1650MPa、引張破断伸びが650%、分子量分布MWDが3の高結晶性ポリプロピレン樹脂(沸騰ヘプタン可溶残分96%)80重量%に、曲げ初期弾性率2200MPaの高結晶性ポリプロピレン樹脂(沸騰ヘプタン可溶残分99%)を20重量%ブレンドした樹脂によって構成される曲げ初期弾性率1950MPa、引張破断伸びが300%の樹脂にヒンダードフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010:チバスペシャリティケミカルズ社製)を500PPM、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チヌビン328:チバスペシャリティケミカルズ社製)2000PPM、ヒンダードアミン系光安定剤(キマソーブ944:チバスペシャリティケミカルズ社製)2000PPMを添加した樹脂を押し出し機を用いて溶融押し出しを行い、厚さ80μの高結晶性透明樹脂シートを製膜し、シートの両面にコロナ処理を施し、表面の濡れを40μN/cm以上とした。
【0039】
一方隠蔽性のある70μmのシートに2液型ウレタンインキ(V180:東洋インキ社製)にて絵柄印刷を施し、また、裏面にプライマーコートを施して基材シートを用意した。しかる後、前記基材シートの絵柄印刷面に前記高結晶性透明シートをドライラミネート用接着剤(タケラックA540:武田薬品工業製 塗布量2g/m2 )を介してドライラミネート法にて貼り合わせた。このシートの高結晶性透明ポリエチレンシートの面にエンボスを施した後、2液型ウレタントップコート(W184:大日本インキ社製)を3g/m2 塗布して総厚154μmの図2の化粧シートを得た。
【0040】
〈実施例2〉
曲げ初期弾性率1650MPa、引張破断伸びが650%、分子量分布MWDが3の高結晶性ポリプロピレン樹脂(沸騰ヘプタン可溶残分96%)80重量%に、曲げ初期弾性率2200MPaの高結晶性ポリプロピレン樹脂(沸騰ヘプタン可溶残分99%)を20重量%ブレンドした樹脂によって構成される曲げ初期弾性率1950MPa、引張破断伸びが300%の樹脂にヒンダードフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010:チバスペシャリティケミカルズ社製)を500PPM、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チヌビン328:チバスペシャリティケミカルズ社製)2000PPM、ヒンダードアミン系光安定剤(キマソーブ944:チバスペシャリティケミカルズ社製)2000PPMを添加した樹脂をポリエチレン系の易接着樹脂と押し出し機を用いて共押出しにて80μmの厚みで、隠蔽性のある70μmの基材シートに2液型ウレタンインキ(V180:東洋インキ社製)にて絵柄印刷を施し、また、裏面にプライマーコートをした基材シートとエクストルージョンラミネートにて貼り合わせた。
【0041】
このシートの高結晶性ポリプロピレンシートの面にエンボスを施した後、2液型ウレタントップコート(W184:大日本インキ社製)を3g/m2 塗布して総厚155μmの図3の化粧シートを得た。
【0042】
〈実施例3〉
曲げ初期弾性率1650MPa、引張破断伸びが650%、分子量分布MWDが3の高結晶性ポリプロピレン樹脂(沸騰ヘプタン可溶残分96%)80重量%に,曲げ初期弾性率2200MPaの高結晶性ポリプロピレン樹脂(沸騰ヘプタン可溶残分99%)を20重量%ブレンドした樹脂によって構成される曲げ初期弾性率1950MPa、引張破断伸びが300%の樹脂にヒンダードフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010:チバスペシャリティケミカルズ社製)を500PPM、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チヌビン328:チバスペシャリティケミカルズ社製)2000PPM、ヒンダードアミン系光安定剤(キマソーブ944:チバスペシャリティケミカルズ社製)2000PPMを添加した樹脂を押し出し機を用いて溶融押し出しを行い、厚さ100μの透明な高結晶性ポリプロピレンシートを得た。
【0043】
得られたシートの両面にコロナ処理を施し、表面の濡れを40μN/cm以上に保ち、2液型ウレタンインキ(V180:東洋インキ社製)にて絵柄印刷を施し、重ねて2液型ウレタンインキ(V180:東洋インキ社製)隠蔽層を6g/m2 塗布し、またこれに重ねてプライマーとして2液型ウレタンインキ(PET−E レジウサー:大日精化製)を1g/m2 塗布した。このシートの高結晶性ポリプロピレンシートの面にエンボスを施した後2液型ウレタントップコート(W184:大日本インキ社製)を3g/m2 塗布して総厚110μmの図1の化粧シートを得た。
【0044】
〈比較例1〉
上記実施例2において、曲げ初期弾性率1650MPa、引張破断伸びが650%、分子量分布MWDが3の高結晶性ポリプロピレン樹脂(沸騰ヘプタン可溶残分96%)80重量%に、曲げ初期弾性率2200MPaの高結晶性ポリプロピレン樹脂(沸騰ヘプタン可溶残分99%)を20重量%ブレンドした樹脂によって構成される曲げ初期弾性率1950MPa、引張破断伸びが300%の樹脂のかわりに曲げ初期弾性率1950MPa、引張破断伸びが600%の高結晶性ポリプロピレン樹脂(沸騰ヘプタン可溶残分98%)を使用し、その他は同様の方法で比較例1の化粧シートを得た。
【0045】
〈比較例2〉
上記実施例2において、曲げ初期弾性率1650MPa、引張破断伸びが650%、分子量分布MWDが3の高結晶性ポリプロピレン樹脂(沸騰ヘプタン可溶残分96%)80重量%に、曲げ初期弾性率2200MPaの高結晶性ポリプロピレン樹脂(沸騰ヘプタン可溶残分99%)を20重量%ブレンドした樹脂によって構成される曲げ初期弾性率1950MPa、引張破断伸びが300%の樹脂のかわりに曲げ初期弾性率1950MPa、引張破断伸びが20%の高結晶性ポリプロピレン樹脂(沸騰ヘプタン可溶残分98%)を使用し、その他は同様の方法で比較例2の化粧シートを得た。
【0046】
〈比較例3〉
上記実施例2において、曲げ初期弾性率1650MPa、引張破断伸びが650%、分子量分布MWDが3の高結晶性ポリプロピレン樹脂(沸騰ヘプタン可溶残分96%)80重量%に曲げ初期弾性率2200MPaの高結晶性ポリプロピレン樹脂(沸騰ヘプタン可溶残分99%)を20重量%ブレンドした樹脂によって構成される曲げ初期弾性率1950MPa、引張破断伸びが300%の樹脂のかわりに曲げ初期弾性率900MPa、引張破断伸びが700%のポリプロピレン樹脂(沸騰ヘプタン可溶残分80%)80重量%に曲げ初期弾性率1950MPaの高結晶性ポリプロピレン樹脂(沸騰ヘプタン可溶残分98%)を20重量%ブレンドした樹脂によって構成される曲げ初期弾性率1300MPa、引張破断伸びが600%の樹脂を使用し、その他は同様の方法で比較例3の化粧シートを得た。
【0047】
〈比較例4〉
上記実施例2において、共押出を行う樹脂の厚みを200μmとして、シート総厚を275μmとし、その他は同様の方法で比較例4の化粧シートを得た。
【0048】
実施例、比較例で得られた化粧シートをウレタン系の接着剤を用いて木質基材に貼り合わせた後、鉛筆硬度試験にて表面硬度を、Vカット試験にてVカット適性の有無を評価した。
結果が下表1である。尚、Vカット試験は加工機や加工時の環境に左右されないように、低温、高速折り曲げ条件にて実施している。
【0049】
【表1】
【0050】
破断:Vカット時に折り部が破断する現象
破れ:Vカット時に折り部が外周で割れる現象
Vカット試験環境:5℃ 直角までの折り曲げスピード0.2秒
引きずり傷:5Hの鉛筆硬度試験を行い、傷の目立ち具合を目視判定
【0051】
結果の表から明らかなように本発明による高結晶ポリプロピレンを使用した化粧シートは従来の化粧シートに比べて表面傷付き性に優れ、且つVカット加工適性が良好な化粧シートと言える。
【0052】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば塩化ビニル樹脂を一切使用していないために、環境に優しいだけでなく、表面の耐傷付き性に優れ、Vカット加工性も優秀な化粧シートが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの実施の形態を示す側断面図である。
【図2】本発明の他の化粧シートの実施の形態を示す側断面図である。
【図3】本発明の他の化粧シートの実施の形態を示す側断面図である。
【符号の説明】
1…透明樹脂層
2…絵柄層
3…隠蔽層
4…トップコート層
5…プライマー層
6…接着層
7…基材シート層
8…接着性樹脂層
Claims (1)
- 曲げ初期弾性率が1000MPa以上2000MPa以下、引張破断伸びが300%以上、且つ分子量分布MWDが4以下の高結晶化ポリプロピレン樹脂50〜95重量%に対して、曲げ初期弾性率が2000MPa以上2500MPa以下の高結晶化ポリプロピレン樹脂5〜50重量%をブレンドした樹脂によって少なくとも構成される、曲げ初期弾性率が1500MPa以上2300MPa以下、引張破断伸びが200%以上600%以下の高結晶化ポリプロピレン樹脂組成物による30μm以上150μm以下の透明樹脂層を押出機により形成する工程と、
前記透明樹脂層の形成後の冷却と同時に前記透明樹脂層にエンボス模様を付与する工程と
総厚が100μm以上160μm以下になるように、前記透明樹脂層のエンボス模様を付与した面にトップコート層を設け、前記透明樹脂層のエンボス模様を付与した面の反対の面に少なくとも絵柄層およびプライマー層をこの順に設ける工程と
を含むことを特徴とする化粧シートの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34737199A JP4325050B2 (ja) | 1999-12-07 | 1999-12-07 | 化粧シートの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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