JP4407098B2 - 化粧シート - Google Patents
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Description
本発明は、住宅等の建築物における壁材、床材、天井材等の内外装材や、扉、扉枠、窓枠等の建具、家具、車両内外装材等に使用するための化粧シートに関するものであり、特に、直射日光に曝されることのある玄関扉や破風板等の準外装部位への用途に好適な、耐候性に優れた化粧シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の化粧シートは、紙又は熱可塑性樹脂若しくはそれらの積層体等からなる化粧シート本体の表面に、表面保護のためのトップコート樹脂層が施されるのが一般的であり、該トップコート樹脂層としては、アクリルポリオール系樹脂とイソシアネート系硬化剤との反応生成物である2液硬化型ウレタン系樹脂に代表される、アクリル系樹脂を主成分とする樹脂組成物が使用されるのが、最も一般的である(特開平6−79850号、特開平10−58607号、特開平10−315423号、特開2000−280419号、特開2000−289155号、特開2001−157872号等)。
【0003】
トップコート樹脂層の材料としてのアクリル系樹脂は、耐溶剤性や耐摩耗性、耐候性等に優れる利点はあるが、硬質で割れ易く、折り曲げ加工等には適しない場合があることや、特に、熱可塑性樹脂からなる化粧シート本体に対しては、密着性が必ずしも十分でないこと、塗液のレベリング性が不十分で、塗膜が柚肌状や梨地状になり易く、意匠的にあまり望ましくないこと等の欠点もある。そこで、係る欠点を補い、十分な強靱性(割れ難さ)や密着性、レベリング性等を付与するために、トップコート樹脂層用のアクリル系樹脂には、塩化酢酸ビニル系樹脂が少量(数%ないし十数%程度)添加されるのが一般的である。ところが、塩化酢酸ビニル系樹脂は、分子中に塩素を含むため、光(特に紫外線)の作用により脱塩酸反応を起こして劣化するため、特に、直射日光に曝されることのある準外装用途などとしては、耐候性が必ずしも十分ではなく、使用が難しいという問題点がある。
【0004】
耐候性の向上という観点からは、トップコート樹脂層を塗工形成する替わりに、耐候性に優れた熱可塑性樹脂であるアクリル系樹脂やフッ素系樹脂からなるフィルムをラミネートすることによって、優れた耐候性を付与した化粧シートも、既に各種提案されている(特開昭59−14151号、実開昭61−47634号、特開昭61−169244号、特開平10−44332号等)。しかし、アクリル系樹脂フィルムは、フィルム成形可能な押出グレードのアクリル系樹脂は軟質タイプのため、耐溶剤性や耐摩耗性に劣り、一方、フッ素系樹脂フィルムは、通常の熱可塑性樹脂フィルムと比較して非常に高価であることに加え、接着性等の加工性にも劣るので、必ずしも満足すべきものではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術における上記した様な問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、化粧シート本体の表面に、アクリル系樹脂を主成分とするトップコート樹脂層を有する化粧シートにおいて、該トップコート樹脂層の密着性やレベリング性を悪化させることなく、例えば準外装用途にも使用可能な、優れた耐候性を付与した化粧シートを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の化粧シートは、熱可塑性樹脂シートの表面に、絵柄層、透明熱可塑性樹脂層を設けた化粧シート本体の、前記透明熱可塑性樹脂層表面に、トップコート樹脂層が形成されてなる化粧シートにおいて、前記トップコート樹脂層が、アクリルポリオール系樹脂とイソシアネート系硬化剤との反応により生成するアクリルウレタン系樹脂からなるアクリル系樹脂とセルロースアセテートプロピオネート樹脂からなる繊維素系樹脂との混合組成物からなり、前記トップコート層における前記アクリル系樹脂と前記繊維素系樹脂との総和100重量部あたりの前記繊維素系樹脂の配合量が0.5〜10重量部であることを特徴とするものである。
【0009】
また、上記化粧シートにおいて、前記化粧シート本体の表面に凹陥部を有し、該凹陥部に、アクリル系樹脂と繊維素系樹脂との混合組成物からなり、紫外線吸収剤及び/又は着色顔料を含有する紫外線吸収性樹脂が充填されてなることを特徴とするものである。
【0010】
また、上記化粧シートにおいて、前記紫外線吸収性樹脂に含まれるアクリル系樹脂が、アクリルポリオール系樹脂とイソシアネート系硬化剤との反応により生成するアクリルウレタン系樹脂であることを特徴とするものである。
【0011】
また、上記化粧シートにおいて、前記紫外線吸収性樹脂に含まれる繊維素系樹脂が、酢酸セルロース、セルロースアセテートプロピオネート、カルボキシメチルセルロース及びエチルセルロースから選ばれる1種又は2種以上の混合物であることを特徴とするものである。
【0012】
また、上記化粧シートにおいて、前記トップコート樹脂層の乾燥後の塗布量が8g/m2以上であることを特徴とするものである。
【0013】
また、上記化粧シートにおいて、前記化粧シート本体の表面は、紫外線吸収剤を含有し厚みが90μm以上の透明熱可塑性樹脂層からなることを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の化粧シートの実施の形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1及び図2は、それぞれ本発明の化粧シートの実施の形態を示す側断面図である。
【0015】
本発明の化粧シートは、図1や図2に示した様に、化粧シート本体1の表面にトップコート樹脂層3が設けられてなるものであって、該トップコート樹脂層3が、アクリル系樹脂と繊維素系樹脂との混合組成物からなることを特徴としている。
【0016】
本発明において、化粧シート本体1の材質や構成は特に限定されず、従来の化粧シートにおけるそれと同様のものを使用すれば良い。具体的には、薄葉紙、チタン紙、上質紙、樹脂含浸紙、樹脂混抄紙、紙間強化紙等の紙や、織布又は不織布、ポリオレフィン系樹脂やポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリビニル系樹脂、繊維素誘導体系樹脂等の熱可塑性樹脂からなるフィルム又はシート、アルミニウム箔等の金属箔、木材を薄くスライスした突板等、或いはこれらから選ばれる2種以上の混合物、複合体、積層体等を適宜使用することができる。
【0017】
中でも最も一般的なのは、図1に示した様に、紙又は熱可塑性樹脂フィルム等からなる基材シート12の表面に、所望の絵柄を印刷等により表した絵柄層13を設け、その上に、絵柄層13を保護するための透明熱可塑性樹脂層15を積層してなるもの(複層構成)である。透明熱可塑性樹脂層15には、それ自身の紫外線による劣化を防止すると共に、絵柄層13や基材シート12を紫外線から保護する目的で、例えばベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤と、ヒンダードアミン系等の光安定剤とが添加されるのが一般的である。
【0018】
なお、化粧シートの薄型化が必要とされる場合には、図1に示した形態における基材シート12を省略し、透明熱可塑性樹脂層15自体を謂わば基材シートとして、その裏面に絵柄層13等を形成した、単層構成のシート(図2)が採用される場合もある。また逆に、図1に示した形態における透明熱可塑性樹脂層15を省略し、基材シート12上に設けた絵柄層13の表面に直接、トップコート樹脂層3を形成した構成の化粧シートもある。しかしこの場合には、化粧シートの表面物性及び耐候性が、トップコート樹脂層3のみによって担保されることになるので、特に耐候性の要求の厳しい用途には、あまり適したものとは言えない。
【0019】
本発明の化粧シートを、例えば準外装用途などにも十分な耐候性を備えたものとするためには、上記した様に、化粧シート本体1を、少なくともその表面に紫外線吸収剤及び光安定剤が添加された透明熱可塑性樹脂層15を具備したものとすると共に、該透明熱可塑性樹脂層15の厚さを90μm以上とすることが望ましい。透明熱可塑性樹脂層15の厚さの上限は特に限定されないが、一般的には200μm以下であり、折り曲げ加工性や経済性等を考慮すれば150μm以下とすること望ましい。
【0020】
絵柄層13は、染料又は顔料等の着色剤を、適当なバインダー樹脂と共に、適当な溶剤中に溶解又は分散してなる、印刷インキ又は塗料を使用して、公知の印刷法又は塗工法により設けられるのが一般的である。絵柄の種類は、例えば木目柄、石目柄、布目柄、抽象柄、単色無地等、所望により任意である。印刷法としては例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、インキジェット印刷法等、塗装法としては例えばグラビアコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、リップコート法、ダイコート法、スプレーコート法等がある。
【0021】
上記着色剤やバインダー樹脂としても、耐候性の良いものを選んで使用することが望ましい。着色剤としては、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、弁柄、黄色酸化鉄、鉄黒、紺青、コバルトブルー等の無機顔料を使用することが最も望ましいが、有機顔料であっても例えばアントラキノン、キナクリドン、イソインドリノン、ペリレン、ジオキサジン、インダストロン等の縮合多環顔料やフタロシアニン等、耐候性の特に高いものであれば使用できる。バインダー樹脂としては、脱塩酸反応を起こす塩素系樹脂の使用を避け、例えばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、繊維素系樹脂等を単独又は混合系で使用することが望ましい。
【0022】
目的とする化粧シートの用途により、被貼着基材の表面の色彩や欠陥等に対する隠蔽性が要求される場合には、基材シート12を着色して隠蔽性とするか、及び/又は、絵柄層13の裏面側に隠蔽層17を設けると良い。この隠蔽層17は、絵柄層13と同様、印刷インキ又は塗料を印刷又は塗工して設けることができるが、その際、例えば酸化チタンや酸化鉄、カーボンブラック等、隠蔽性の高い顔料が配合された印刷インキ又は塗料を使用することが望ましい。
【0023】
図1に示した形態における、基材シート12と透明熱可塑性樹脂層15との積層方法としては、接着剤層14を介したドライラミネート法又はウェットラミネート法や、接着剤層14を介するか又は介さない熱ラミネート法、熱可塑性樹脂の溶融押出層を介して積層するサンドラミネート法、透明熱可塑性樹脂層15を形成するための樹脂を溶融押出して積層する押出ラミネート法等、従来公知の方法から任意に選択すれば良い。
【0024】
また、上記押出ラミネート法においては、透明熱可塑性樹脂層15と共に、例えばマレイン酸変性オレフィン系樹脂等の熱接着性樹脂層を共押出しして、基材シート12との間に挟持させることにより、基材シート12と透明熱可塑性樹脂層15との層間密着性を向上させることもできる。
【0025】
さらに、基材シート12又は透明熱可塑性樹脂層15の絵柄層13印刷面や、基材シート12と透明熱可塑性樹脂層15との積層面、透明熱可塑性樹脂層15のトップコート樹脂層3形成面すなわち表面などに、例えばコロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理、火炎処理、電離放射線処理、酸処理、アルカリ処理、アンカー又はプライマー処理等の易接着化のための表面処理を施すことにより、化粧シートの層間密着性を更に向上させることもできる。
【0026】
透明熱可塑性樹脂層15の表面には、必要に応じて、エンボス加工による凹陥部16を設けることもできる。凹陥部16のなす模様の種類としては、例えば木目における導管溝状や年輪模様状(浮造り状等)、石目状(石材劈開面状)、布目状等を始め、艶消し面を表す砂目状や梨地状、ヘアライン状、複雑な照り光沢を表す平行直線又は曲線状パターンの集合体等、所望により任意である。エンボス加工は、金属製のエンボス版又はエンボスロールを用いたメカニカルエンボス加工によるほか、押出ラミネート法において表面にエンボス模様が施された冷却ロールを使用する押出ラミネート同時エンボス法によることもできる。
【0027】
化粧シート本体1の裏面には、被貼着基材との接着に用いる汎用のラミネート用接着剤との接着性を確保するために、裏面プライマー層11を設けておくこともできる。裏面プライマー層11としては、例えばウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂等からなる易接着プライマー剤を適宜使用することができる。また、この裏面プライマー層に例えばシリカ、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機質粉末を添加しておくことにより、投錨効果による接着性の向上と共に、巻取保存時のブロッキングの防止を図ることもできる。
【0028】
以上に説明した化粧シート本体1の表面に、アクリル系樹脂と繊維素系樹脂との混合組成物からなるトップコート樹脂層3が設けられるのが、本発明の化粧シートの特徴である。トップコート樹脂層3は、アクリル系樹脂と繊維素系樹脂との混合組成物を、適当な溶媒に溶解し、適当な塗工方法によって塗工後、乾燥固化させて形成するのが一般的である。
【0029】
トップコート樹脂層3の主成分であるアクリル系樹脂としては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を主成分とし、これに必要に応じて他の共重合可能な単量体、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリルや、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有単量体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基含有単量体、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート等のアミノ基含有単量体、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート等のエポキシ基含有単量体等を配合して得た単独又は共重合体を使用することができ、中でもメタクリル酸メチルを主成分とする単独又は共重合体を使用することが最も望ましい。
【0030】
化粧シートのトップコート樹脂層3として要求される耐摩耗性や耐溶剤性等の表面物性を考慮すると、上記アクリル系樹脂は、適宜の架橋剤(硬化剤)の配合若しくは分子中に含む架橋性の官能基の反応により架橋硬化する硬化型樹脂であることが望ましく、中でも、化粧シート本体1を熱変形させない低温での架橋硬化が可能な、イソシアネート系硬化剤の配合により硬化するアクリルウレタン系樹脂を用いることが最も望ましい。この場合において、イソシアネート系硬化剤と反応させる主剤樹脂としては、分子中に水酸基、アミノ基又はカルボキシル基等の活性水素基を含有するものであれば使用可能であるが、中でも分子中に水酸基を含有するアクリル系樹脂であるアクリルポリオール系樹脂を用いることが最も望ましい。
【0031】
上記アクリルウレタン系樹脂において配合されるイソシアネート系硬化剤としては、例えばトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が最も一般的なものであるが、耐候性の観点からは、黄変の原因となる芳香環を含まない脂肪族又は脂環族イソシアネート系硬化剤を使用することが望ましい。具体的には、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等を望ましく使用することができる。
【0032】
トップコート樹脂層3の主成分であるアクリル系樹脂に添加する繊維素系樹脂としては、例えば酢酸セルロース、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース脂肪酸エステルや、硝酸セルロース、硫酸セルロース、燐酸セルロース等のセルロース無機酸エステル、メチルセルロース、エチルセルロース、ベンジルセルロース等のセルロースエーテル、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等のカルボキシル基含有セルロースエーテル、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の水酸基含有セルロースエーテル、アミノエチルセルロース等のアミノ基含有セルロースエーテル等を使用することができる。
【0033】
中でも、アクリル系樹脂との混和性や、密着性及びレベリング性の向上効果、耐候性等の面で、酢酸セルロース、セルロースアセテートプロピオネート、カルボキシメチルセルロース及びエチルセルロースから選ばれる1種又は2種以上の混合物を使用することが最も望ましい。
【0034】
繊維素系樹脂は、比較的硬く脆い性質を有するアクリル系樹脂に対して、適度の粘性や靱性を与え、塗工時のレベリング性を向上すると共に、乾燥固化後における化粧シート本体1の表面との密着性や、通常の折り曲げ加工に耐える可撓性等を改善する作用を有する。しかも、基本的に分子中に塩素を含有しないので、直射日光等の紫外線に曝されても脱塩酸反応による劣化を生じることがなく、極めて耐候性に優れた被膜を与える。また、化粧シート本体1に添加されている紫外線吸収剤や光安定剤のブリードを抑える効果もあり、優れた耐候性が長期に亘り持続する化粧シートを得ることができる。
【0035】
トップコート樹脂層3の主成分であるアクリル系樹脂に対する繊維素系樹脂の配合量としては、少なすぎると配合の効果が乏しく、多すぎるとアクリル系樹脂の優れた物性(耐溶剤性、耐摩耗性等)を損なう虞があるので、アクリル系樹脂と繊維素系樹脂との総和100重量部当たり0.5〜10重量部程度、より好ましくは1〜4重量部程度とすることが望ましい。トップコート樹脂層3に更に紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を添加することによって、耐候性を更に向上させることもできる。
【0036】
トップコート樹脂層3の塗布量は、耐候性や表面物性の面では多い程有利であるが、あまり多すぎても可撓性が失われて割れ易くなったり、不経済でもあるので、概ね乾燥後の塗布量20g/m2以下の程度とすることが望ましい。内装用途であれば通例4〜6g/m2程度で十分である場合が多いが、直射日光に曝される機会の多い準外装用途であれば、少なくとも8g/m2以上とすることが望ましい。
【0037】
化粧シート本体1の表面にエンボス加工による凹陥部16が形成されている場合、その凹陥部16の分だけ化粧シート(特に、透明熱可塑性樹脂層15)の厚みが薄くなるので、当該部分における耐候性が不十分となる場合がある。この問題に対処するには、図1や図2に示した様に、該凹陥部16に、紫外線吸収剤又は紫外線吸収性を有する着色顔料等の着色剤を含有する紫外線吸収性樹脂2を、ワイピング法等により充填することによって、凹陥部16において化粧シート本体1に入射する紫外線を遮蔽すると良い。
【0038】
そして、上記紫外線吸収性樹脂2として、本発明において上述のトップコート樹脂層3に使用したものと同様の、アクリル系樹脂と繊維素系樹脂との混合組成物を主成分とするものと使用すると、凹陥部16における耐候性を更に向上させることができる。この様にすれば、深い凹陥部16の内部までは塗膜を形成させにくいグラビアコート法やロールコート法等によってトップコート樹脂層3を形成する場合にあっても、凹陥部16における耐候性を十分に確保することができる利点がある。
【0039】
なお、図1及び図2に示した形態にあっては、化粧シート本体1の表面の凹陥部16に紫外線吸収性樹脂2を充填した後にトップコート樹脂層3を形成してあるが、紫外線吸収性樹脂2の充填とトップコート樹脂層3の形成とは、この逆の順序で行われていても良い。また、紫外線吸収性樹脂2には、紫外線吸収剤又は紫外線吸収性の着色剤と共に、光安定剤が添加されていることが望ましい。
【0040】
【実施例】
以下に、本発明の化粧シートの具体的な実施例及び比較例を示し、本発明を更に詳細に説明する。
【0041】
実施例1
厚さ70μmの着色ポリプロピレン系樹脂シートを基材シートとして、その裏面にシリカ粉末を含有する2液硬化型ウレタン系樹脂を乾燥後の塗布量1g/m2に塗工して裏面プライマー層を形成した後、表面にウレタン系印刷インキを使用してグラビア印刷法により木目柄の絵柄層を印刷形成し、該印刷面に2液硬化型ウレタン系アンカー剤を乾燥後の塗布量1g/m2に塗工してアンカー層を形成した。
【0042】
該アンカー層面に、透明なマレイン酸変性ポリエチレン系熱接着性樹脂及び透明なポリプロピレン系樹脂(いずれもベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤を添加)を、厚さがそれぞれ20μm及び70μmとなるように、共押出ラミネート法によりこの順に積層して、透明熱可塑性樹脂層を形成すると同時に、木目導管状のエンボス模様が施された冷却ロールを用いて、透明熱可塑性樹脂層の表面に、木目導管状の凹陥部を形成し、化粧シート本体を作製した。
【0043】
上記化粧シート本体の表面に、まず、アクリルポリオール系樹脂88重量部、セルロースアセテートプロピオネート樹脂2重量部、ヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤10重量部の混合組成物を主成分とし、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤を添加した紫外線吸収性樹脂を全面に塗布し、余剰の樹脂をドクターにて掻き取って、凹陥部に紫外線吸収性樹脂を充填した。
【0044】
しかる後、アクリルポリオール系樹脂88重量部、セルロースアセテートプロピオネート樹脂2重量部、ヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤10重量部の混合組成物を主成分とし、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤を添加したトップコート塗料を、グラビアコート法により全面に乾燥後の塗布量9g/m2に塗工し、乾燥養生硬化させてトップコート樹脂層を形成して、本発明の化粧シートを作製した。
【0045】
比較例1
上記実施例1において、紫外線吸収性樹脂及びトップコート塗料を、アクリルポリオール系樹脂81重量部、塩化酢酸ビニル系樹脂9重量部、ヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤10重量部の混合組成物を主成分とするものに変更し、その他は上記実施例1と同一の要領にて化粧シートを作製した。
【0046】
比較例2
上記実施例1において、紫外線吸収性樹脂及びトップコート塗料を、アクリルポリオール系樹脂90重量部及びヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤10重量部の混合組成物を主成分とするものに変更し、その他は上記実施例1と同一の要領にて化粧シートを作製した。
【0047】
評価
上記実施例1及び比較例1〜2の化粧シートについて、トップコート樹脂層の塗膜面状態(目視評価)、密着性(セロハンテープ剥離試験)、メタルウェザー耐候性試験機による耐候性(600時間まで、目視評価)を評価したところ、結果は下表の通りであった。
【0048】
【0049】
【発明の効果】
以上詳細に説明したとおり、本発明の化粧シートは、トップコート樹脂層を構成するアクリル系樹脂に対し、塩化酢酸ビニル系樹脂に替えて繊維素系樹脂を配合したことにより、脱塩酸反応による劣化を発生せず、耐候性に優れており、しかも、トップコート樹脂層の塗工時におけるレベリング性が良く、意匠性に優れると共に、熱可塑性樹脂等からなる化粧シート本体との密着性も良好である。この様にして、玄関扉等の準外装用途にも対応可能な優れた耐候性を備え、しかも意匠性や密着性、耐溶剤性、耐汚染性、耐摩耗性等の基礎的表面物性も十分に備えた化粧シートを得ることができるという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの実施の形態を示す側断面図である。
【図2】本発明の化粧シートの実施の形態を示す側断面図である。
【符号の説明】
1 化粧シート本体
11 裏面プライマー層
12 基材シート
13 絵柄層
14 接着剤層
15 透明熱可塑性樹脂層
16 凹陥部
17 隠蔽層
2 紫外線吸収性樹脂
3 トップコート樹脂層
Claims (6)
- 熱可塑性樹脂シートの表面に、絵柄層、透明熱可塑性樹脂層を設けた化粧シート本体の、前記透明熱可塑性樹脂層表面に、トップコート樹脂層が形成されてなる化粧シートにおいて、前記トップコート樹脂層が、アクリルポリオール系樹脂とイソシアネート系硬化剤との反応により生成するアクリルウレタン系樹脂からなるアクリル系樹脂とセルロースアセテートプロピオネート樹脂からなる繊維素系樹脂との混合組成物からなり、前記トップコート層における前記アクリル系樹脂と前記繊維素系樹脂との総和100重量部あたりの前記繊維素系樹脂の配合量が0.5〜10重量部であることを特徴とする化粧シート。
- 前記化粧シート本体は、表面に凹陥部を有し、該凹陥部に、アクリル系樹脂と繊維素系樹脂との混合組成物からなり、紫外線吸収剤及び/又は着色顔料を含有する紫外線吸収性樹脂が充填されてなることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
- 前記紫外線吸収性樹脂に含まれるアクリル系樹脂が、アクリルポリオール系樹脂とイソシアネート系硬化剤との反応により生成するアクリルウレタン系樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の化粧シート。
- 前記紫外線吸収性樹脂に含まれる繊維素樹脂が、酢酸セルロース、セルロースアセテートプロピオネート、カルボキシメチルセルロース及びエチルセルロースから選ばれる1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項2又は3に記載の化粧シート。
- 前記トップコート樹脂層の乾燥後の塗布量が8g/m2以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
- 前記化粧シート本体の表面は、紫外線吸収剤を含有し厚みが90μm以上の透明熱可塑性樹脂層からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の化粧シート。
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