JP4670119B2 - 化粧シートの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅等の建築物の内外装材や、造作材、建具等の建築資材、家具什器類、車両内装、住設機器や家電製品等の表面化粧等に使用するための化粧シートに関するものであり、特に、例えば玄関引戸等の耐候性や耐熱性が必要とされる建築部材の表面化粧用として好適な化粧シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記の様な各種用途に使用するための化粧シートとしては従来、安価で加工性に優れたポリ塩化ビニル樹脂製の化粧シートが最も一般的であった。この化粧シートには、ポリ塩化ビニル樹脂からなる基材シートの表面又は裏面に、木目等の適宜の所望の絵柄の印刷を施してなる、単層構成の化粧シートと、ポリ塩化ビニル樹脂からなる基材シートの表面に絵柄の印刷を施し、該印刷面上に透明なポリ塩化ビニル樹脂からなる表面樹脂層を積層してなる、複層構成の化粧シートとがある。中でも、後者の複層構成の化粧シートは、絵柄の印刷が表面からも裏面からもポリ塩化ビニル樹脂層によって保護され、加工上も耐久性上も有利である点や、基材シートの着色による高隠蔽化が容易である点などから、単層構成の化粧シートよりも広く一般的に使用されて来た。
【0003】
上記の他、ポリ塩化ビニル樹脂と他の熱可塑性樹脂との組み合わせによる化粧シートもあった。例えば、耐候性が要求される準外装用途には、耐候性に優れたアクリル系樹脂を表面樹脂層に使用したものもあったし、鋼板用等の高鮮映性が要求される用途には、透明性や表面平滑性に優れたポリエステル系樹脂を表面樹脂層に使用したものもあった。そして、係る如く、ポリ塩化ビニル樹脂同士、或いはポリ塩化ビニル樹脂と他の熱可塑性樹脂との組み合わせによって構成される化粧シートは、ポリ塩化ビニル樹脂の持つ優れた熱接着性を利用して、熱ラミネート法によって製造するのが最も一般的であった。
【0004】
ところが、近年になって、ポリ塩化ビニル樹脂が燃焼時に塩素ガスや塩化水素ガス等を大量に発生し、有毒物質であるダイオキシンの発生の直接的又は間接的要因となることが指摘され、環境保護の観点からポリ塩化ビニル樹脂に替わる素材を使用した化粧シートの開発が要望される様になった。そして、係る要望に応えるものとして、例えばポリオレフィン系樹脂やアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂等の、ポリ塩化ビニル以外の塩素を含有しない熱可塑性樹脂を使用した化粧シートが既に開発、実用化され、ポリ塩化ビニル樹脂製の化粧シートの代替が徐々に進行しつつある。
【0005】
しかし、これらの代替樹脂はいずれも、ポリ塩化ビニル樹脂と比較して、熱接着性に劣っているので、従来のポリ塩化ビニル樹脂を使用した化粧シートの場合と同様に、熱ラミネート法によって化粧シートを製造しようとすると、必要な接着強度を得ることが困難であるという問題点があった。特に、ポリオレフィン系樹脂を使用する場合には、熱接着可能な温度条件の範囲が非常に狭く、しかも高温過ぎるので、シートの破断や伸び、変形、劣化等のラミネート不良を発生してしまう。また、これらの不都合の発生しない低温域で熱ラミネートを行っても、ラミネート強度が極端に低く、とても化粧シートとして実用に堪えるものを得ることはできない。
【0006】
係る問題点に対応すべく、基材シートと表面樹脂層との間に、塩酢ビ−アクリル系樹脂からなる熱接着性樹脂層を設ける方法なども提案されている(特開平9−300559号公報等)。この方法によれば、シートの破断や伸び、変形、劣化等の発生しない低温域において十分に熱活性化され接着性を発現する熱接着性樹脂層を介在させて熱ラミネートを行うことによって、ラミネート不良を発生することなく十分なラミネート強度を達成することができる利点がある。
【0007】
しかしながら、上記熱接着性樹脂層は、本質的に耐熱性に劣る樹脂からなるものであるから、得られた化粧シートは耐熱性に劣ったものであり、例えば準外装用途などにおいて直射日光により強熱されると、その熱によって熱接着性樹脂層が軟化し、表面樹脂層が基材シートから剥離してしまうという問題点がある。この問題点は、熱軟化温度の高い熱接着性樹脂を使用すれば、理論的には改善されるであろうが、そうすると、必然的にラミネート温度を上げる必要があるから、結果的にはシートの破断、伸び、変形、劣化等のラミネート不良を招くことになり、所期の目的が達成できなくなってしまう。
【0008】
そこで、熱接着性樹脂にイソシアネート化合物等の架橋剤を配合しておき、ラミネート加工時の熱で接着性を発現して基材シートと表面樹脂層とを接着させると同時に、熱接着性樹脂の内部で架橋反応を起こさせることによって、ラミネート加工後の耐熱性を向上する手法も考えられる。しかしながら、係る手法によると、基材シートに熱接着性樹脂を塗工後、熱ラミネート加工までに時間を置くと、その間に架橋反応が進行する結果、熱ラミネート加工時には最早熱接着性を発現しなくなってしまうので、直ちに熱ラミネート加工を行う必要がある。従って、化粧シートの製造工程の進捗管理が面倒である他、熱接着性樹脂の塗工済みの印刷基材シートを大量に作り置きをしておくことができないので、多品種少量生産への対応も非常に困難である等の問題点がある。
【0009】
また、熱ラミネート法に代わるラミネート法として、ドライラミネート法や溶融押出しラミネート法等の提案もあるが、これらは大規模で高価な製造設備を必要とし、多品種少量生産や短納期への対応も困難であり、また溶融押出しラミネート法にあっては使用可能な樹脂の種類も限定される等の問題もあって、熱ラミネート法を全て代替し得るものではなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術における上記した問題点を解決すべく、本発明者らが鋭意検討した結果、特定の樹脂組成物を熱接着性樹脂として使用することによって、シートの破断、伸び、変形、劣化等のラミネート不良を招くことなく安定的に熱ラミネート加工可能であり、しかも接着強度や耐熱性、耐候性に優れた化粧シートを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の化粧シートの製造方法は、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂及びポリエステル系樹脂から選ばれる1種の熱可塑性樹脂からなる基材シート上に、解離温度が60〜120℃の範囲のブロックイソシアネート化合物との架橋反応によって硬化する塩酢ビ−ウレタン系樹脂からなる熱接着性樹脂層を形成し、且つ、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂及びポリエステル系樹脂から選ばれる1種の熱可塑性樹脂からなる表面樹脂層上に、解離温度が60〜120℃の範囲のブロックイソシアネート化合物との架橋反応によって硬化する塩酢ビ−ウレタン系樹脂からなる熱接着性樹脂層を形成し、且つ、熱接着性樹脂層が形成された基材シートと熱接着性樹脂層が形成された表面樹脂層を、熱接着樹脂層同士が貼り合わされるように対向して配置し、前記ブロックイソシアネート化合物の解離温度以上の温度に加熱して、熱ラミネート法により積層したことを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の化粧シートの実施の形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1〜図3は、それぞれ本発明の化粧シートの実施の形態を示す側断面図である。
【0016】
本発明の化粧シートは、例えば図1に示す様に、熱可塑性樹脂からなる基材シート1の表面に、所望により適宜の絵柄を印刷してなる絵柄層2が設けられ、その上に、熱接着性樹脂層3を介して、透明な熱可塑性樹脂からなる表面樹脂層4が設けられてなるものであって、前記熱接着性樹脂層3が、ブロックイソシアネート化合物との架橋反応によって硬化された塩酢ビ−ウレタン系樹脂からなることを特徴とするものである。
【0017】
基材シート1及び表面樹脂層4を構成する熱可塑性樹脂の種類は特に限定されず、例えば従来より係る化粧シート用の基材シートや表面樹脂層の素材として使用されている公知の任意の熱可塑性樹脂を使用することができる。具体的には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はその鹸化物、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体等のポリオレフィン系共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、セルロースアセテート、ニトロセルロース等の繊維素誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩素系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン−テトラフロロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂等、又はこれらから選ばれる2種又は3種以上の共重合体や混合物、複合体、積層体等を使用することができる。
【0018】
但し、近年頓に社会問題化しつつある環境問題への適応を考慮すると、上記した塩素系樹脂やフッ素系樹脂の使用は余り好ましいものとは言えず、塩素やフッ素等のハロゲン元素を含有しない樹脂、すなわち非ハロゲン系樹脂を使用することが好ましい。中でも、市場での価格や流通量・調達の容易性を始め、化粧シート用基材シートとしての適度の柔軟性と強度のバランスや、折り曲げや切断・切削等の加工適性、耐磨耗性や耐溶剤性等の表面物性、耐候性等の各種の側面から見て、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂及びポリエステル系樹脂から選ばれる熱可塑性樹脂を使用することが最も好ましい。
【0019】
ポリオレフィン系樹脂としては上掲したものを始め種々の単独重合体や共重合体が知られているが、中でも化粧シート用基材シートの素材として最も好適なのはポリプロピレン系樹脂、すなわちポリプロピレンを主成分とする単独又は共重合体であり、具体的には、例えばホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂、及び、ポリプロピレン結晶部を有し、且つプロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィン、好ましくはエチレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1又はオクテン−1、のコモノマーを15モル%以上含有するプロピレン−α−オレフィン共重合体などを例示することができる。また、通常ポリプロピレン系樹脂の柔軟化に用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム等の改質剤を添加することもできる。
【0020】
また、アクリル系樹脂としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル等のアクリル酸誘導体を主成分として単独又は共重合して得られる各種の熱可塑性樹脂を挙げることができる。中でも、メチルメタクリレート等のメタクリル酸エステルを主成分とする樹脂であって、例えばメタクリル酸ブチル等のメタクリル酸の長鎖アルキルエステルや、アクリル酸メチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸又はアクリル酸等から選ばれる単量体を共重合成分として添加したり、スチレン−ブタジエンゴム又はメタクリル酸メチル−ブタジエンゴム等のゴム成分をグラフト共重合、ブロック共重合若しくはブレンドして、柔軟性や熱成形性を改善してなる樹脂などを好適に使用することができる。
【0021】
また、ポリエステル系樹脂としては、前記したポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のホモポリマーの他、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸又はジカルボン酸エステルと、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール等の脂肪族ジオールとの縮合重合反応において、ジカルボン酸成分として例えばセバシン酸、エイコ酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の長鎖脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂環族ジカルボン酸を導入したり、及び/又は、ジオール成分としてポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の両末端に水酸基を有するポリエーテル系ジオールを導入する等して、柔軟性や熱成形性を改善した樹脂などを好適に使用することができる。
【0022】
なお、基材シート1を構成する熱可塑性樹脂と、表面樹脂層4を構成する熱可塑性樹脂とは、同一であっても良いし、異なっていても良い。例えば、基材シート1を比較的安価で加工性の良いポリオレフィン系樹脂から構成しつつ、表面樹脂層4をアクリル系樹脂から構成して耐候性を付与したり、表面樹脂層4をポリエステル系樹脂から構成して高鮮映性を付与したりすることもできる。また、基材シート1及び/又は表面樹脂層4は、同種又は異種の熱可塑性樹脂からなる複数層の積層体で構成することもできる。
【0023】
本発明の様な化粧シートには一般に、被貼着基材の表面の色彩や欠陥に対する隠蔽性が必要とされる場合が多い。そこで、目的の化粧シートに十分な隠蔽性を持たせる為に、基材シート1を構成する熱可塑性樹脂に隠蔽性顔料を添加することにより、基材シート1を隠蔽性とすることもできる。また、基材シート1を隠蔽性とする替わりに、基材シート1の表面又は裏面に、隠蔽性顔料を含有する印刷インキ組成物による隠蔽ベタ印刷層を設けても良いし、両者を併用することも勿論可能である。
【0024】
上記隠蔽性顔料としては、高屈折率で隠蔽性に優れた無機顔料を使用することが望ましい。具体的には、例えば黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー、バリウムイエロー、キナクリドン、オーレオリン、モリブデートオレンジ、カドミウムレッド、弁柄、鉛丹、辰砂、マルスバイオレット、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、コバルトブルー、セルリアンブルー、群青、紺青、エメラルドグリーン、クロムバーミリオン、酸化クロム、ビリジアン、鉄黒、カーボンブラック等の有色顔料や、例えば酸化チタン(チタン白、チタニウムホワイト)、酸化亜鉛(亜鉛華)、塩基性炭酸鉛(鉛白)、塩基性硫酸鉛、硫化亜鉛、リトポン、チタノックス等の白色顔料等を使用することができる。
【0025】
中でも、隠蔽性や耐光性に優れ、意匠面でも色調的に化粧シート用に好適な顔料として、有色顔料としては弁柄、黄色酸化鉄、鉄黒等の酸化鉄系顔料、白色顔料としては酸化チタン系顔料を使用することが最も望ましい。勿論、色調の調整等の目的で他の隠蔽性又は非隠蔽性の無機顔料又は有機顔料を併用することも可能であり、その場合には無機顔料であれば例えばコバルトブルー、カーボンブラック等、有機顔料であればフタロシアニンブルー等のフタロシアニン系顔料等、耐候性に優れた顔料を使用することが好ましい。その他、必要に応じて例えばシリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料を併用することもできる。
【0026】
その他、基材シート1や表面樹脂層4を構成する熱可塑性樹脂には、目的とする化粧シートの用途により必要に応じて、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤等の従来公知の各種の添加剤の1種以上が添加されていても良い。
【0027】
酸化防止剤としては例えばフェノール系、硫黄系、リン系等、紫外線吸収剤としては例えばベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリシレート系、シアノアクリレート系、ホルムアミジン系、オキザニリド系等、光安定剤としては例えばヒンダードアミン系、ニッケル錯体系等、熱安定剤としては例えばヒンダードフェノール系、硫黄系、ヒドラジン系等、可塑剤としては樹脂の種類にもよるが例えばフタル酸エステル系、リン酸エステル系、脂肪酸エステル系、脂肪族二塩基酸エステル系、オキシ安息香酸エステル系、エポキシ系、ポリエステル系等、滑剤としては例えば脂肪酸エステル系、脂肪酸系、金属石鹸系、脂肪酸アミド系、高級アルコール系、パラフィン系等、帯電防止剤としては例えばカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両イオン系等、難燃剤としては例えば臭素系、リン系、塩素系、窒素系、アルミニウム系、アンチモン系、マグネシウム系、硼素系、ジルコニウム系等、充填剤としては例えば炭酸カルシウム、硫酸バリウム、滑石、蝋石、カオリン等から選ばれる1種又は2種以上の混合系で使用される。
【0028】
基材シート1と表面樹脂層4との間に後述する絵柄層2が設けられる場合には、表面樹脂層4は少なくともその下の絵柄層2を透視可能な程度の透明性を有している必要があり、無色透明であることが最も望ましいが、着色透明や半透明であっても良い。その限りにおいて、表面樹脂層4は着色剤や充填剤を含有していても良い。
【0029】
基材シート1や表面樹脂層4の厚さには特に制限はなく、例えば従来の一般の化粧シートにおけるそれらと同様の厚さとすることができる。具体的には、化粧シートの用途や樹脂の種類にもよるが、一般的には基材シート1の厚さは20〜300μm程度、より好ましくは50〜200μm程度、表面樹脂層4の厚さは10〜200μm程度、より好ましくは10〜100μm程度の範囲内とするのが良い。
【0030】
基材シート1や表面樹脂層4の成形方法にも特に制限はなく、例えば押出成形法、インフレーション成形法、カレンダー成形法、キャスト成形法等の従来公知の任意の成形方法によって製膜されたフィルム乃至シートを使用することができる。
【0031】
絵柄層2は、目的とする化粧シートに任意の所望の絵柄の意匠性を付与する目的で設けられるものである。従って、例えば単なる表面着色や色彩調整のみを目的とした無地の化粧シートの様に、基材シート1の着色や隠蔽ベタ印刷層の形成等によって十分に前記表面着色や色彩調整が達せられる場合や、基材シート1自体に顔料の練り込みや昇華性乃至溶融移行性染料の移行等により絵柄が施されている場合等には、絵柄層2は特に設けられない場合もある。しかし一般的には、基材シート1の表面又は表面樹脂層4の裏面に、印刷法等の手段により適宜の絵柄模様を有する絵柄層2が設けられる場合が多い。
【0032】
基材シート1及び/又は表面樹脂層4が複数層からなる場合には、基材シート1及び/又は表面樹脂層4を構成する各層のいずれかの層間に絵柄層2を設けることも出来る(但し、当該箇所より表面側の全ての樹脂層が透明性を有する限りにおいて)。また、これらの層間と、基材シート1と表面樹脂層4との層間とから選ばれる複数箇所に絵柄層2を設けることによって、深み感や立体感のある優れた意匠性を化粧シートに付与することもできる。
【0033】
絵柄層2の構成材料や形成方法には一切制限はなく、従来より係る化粧シートの絵柄層に適用されて来た任意の画像形成材料や画像形成方法を適宜適用することができる。具体的には例えば、染料又は顔料等の着色剤を、適当な結着剤樹脂と共に、適当な溶剤中に溶解又は分散してなる印刷インキ又はコーティング剤等を使用することができる。
【0034】
前記着色剤としては、例えばカーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料や、アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料、金粉、銀粉、銅粉、アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料、魚鱗粉、塩基性炭酸鉛、酸化塩化ビスマス、酸化チタン被覆雲母等の真珠光沢顔料、蛍光顔料、夜光顔料等、又はこれらから選ばれる2種以上の混合物等を使用することができる。
【0035】
また、前記結着剤樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリビニル系樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等の各種合成樹脂類、又はそれらの2種以上の混合物、共重合体等を使用することができる。
【0036】
前記溶剤としては、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤や、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤、メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤、ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤等の各種有機溶剤や、水等の無機溶剤、又はそれらの2種以上の混合溶剤等を使用することができる。
【0037】
その他、必要に応じて例えば体質顔料や可塑剤、分散剤、界面活性剤、粘着付与剤、接着助剤、乾燥剤、安定剤、硬化剤、硬化促進剤又は硬化遅延剤等の各種の添加剤を適宜添加することもできる。
【0038】
目的の化粧シートに優れた層間密着性を持たせる為には、絵柄層2の結着剤樹脂としては接着性や凝集力の強い樹脂を使用することが好ましく、その観点からは熱硬化性樹脂又は電離放射線硬化性樹脂等の架橋硬化性樹脂を使用することが好ましい。中でも、架橋硬化後に高い凝集力を有しつつも適度の可撓性や柔軟性を有しており、ポリオレフィン系樹脂等の不活性な熱可塑性樹脂に対しても優れた接着性を示し、また本発明において熱接着性樹脂層3に使用する塩酢ビ−ウレタン系樹脂との接着性にも優れる点で、2液硬化型ウレタン系樹脂を使用することが最も望ましい。具体的には、ポリエステルポリオール系樹脂を主成分とする主剤100重量部に対して、キシレンジイソシアネート又はヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物を3〜10重量部添加した印刷インキ組成物を印刷後、常温又は加熱下で架橋硬化させて絵柄層2を形成することが最も望ましい。
【0039】
絵柄層2の形成方法には特に制限はなく、例えばグラビア印刷法やオフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等の従来公知の各種の印刷方法を使用することができる。また、例えば全面ベタ状の場合には上記した各種の印刷方法の他、例えばロールコート法やナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種のコーティング方法によることもできる。その他、例えば手描き法、墨流し法、写真法、レーザービーム又は電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法やエッチング法等、又はこれらの方法を複数組み合わせて行うことも勿論可能である。
【0040】
また、絵柄層2の形成に先立ち必要に応じて、基材シート1の表面に例えばコロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理、アンカー又はプライマー処理等の表面処理を施すことによって、基材シート1と絵柄層2との間の密着性を向上することもできる。
【0041】
上記した絵柄層2が構成する絵柄の種類には特に制限はなく、例えば従来より係る化粧シートの分野において広く採用されている木目柄や、石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学模様等、或いは単なる着色や色彩調整を目的とする場合には単色無地であっても良く、要するに、目的の化粧シートの用途に応じ任意の所望の絵柄を採用することができる。
【0042】
熱接着性樹脂層3は、基材シート1と表面樹脂層4との間での熱ラミネート法による接着を可能とし、両層間での接着強度を発現させる目的で設けられるものであり、本発明はこの熱接着性樹脂層として特に、ブロックイソシアネート化合物との架橋反応によって硬化された塩酢ビ−ウレタン系樹脂を採用したものである。
【0043】
この熱接着性樹脂は、塩酢ビ−ポリオール系樹脂にブロックイソシアネート化合物を配合した樹脂組成物であって、硬化前には主体樹脂である塩酢ビ−ポリオール系樹脂が未架橋状態であることから、加熱により容易に溶融し優れた接着性を発現する。そして、熱ラミネート加工時又は熱ラミネート加工後の加熱によりブロックイソシアネートのブロック剤が解離し、遊離した活性なイソシアネート基が前記塩酢ビ−ポリオール系樹脂と架橋反応硬化して塩酢ビ−ウレタン系樹脂を生成し、分子間架橋構造によって優れた凝集力や耐熱性を発現するものである。
【0044】
この様にして、基材シート1や表面樹脂層4に破断や伸び、変形、劣化等の悪影響を与えることのない比較的低温の条件でも十分に接着性を発現して熱ラミネート加工可能であると同時に、硬化後は準外装用途等における高温の使用条件下でも接着強度を失わず、十分な耐剥離性を維持する特性を有するものである。
【0045】
前記塩酢ビ−ポリオール系樹脂としては、イソシアネート基と架橋反応可能な水酸基を塩酢ビ系樹脂分子中に導入してなる樹脂であっても良いし、分子中に水酸基を含有しない塩酢ビ系樹脂と分子中に水酸基を含有するポリオール系樹脂との混合物であっても良い。勿論、分子中に水酸基を導入した塩酢ビ系樹脂とポリオール系樹脂とを併用することも可能である。
【0046】
水酸基を分子中に導入した塩酢ビ系樹脂としては、例えば(メタ)アクリル酸やマレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキルビニルエーテル等の水酸基を含有する単量体を塩化ビニル及び酢酸ビニルと共重合させてなる樹脂や、塩酢ビ樹脂の酢酸ビニル成分の一部を鹸化して水酸基を導入した樹脂などを挙げることができる。一方、上記ポリオール系樹脂としては、例えばポリエステルポリオール系樹脂、ポリエーテルポリオール系樹脂、ポリウレタンポリオール系樹脂、アクリルポリオール系樹脂などを挙げることができる。
【0047】
これらの主体樹脂に硬化剤として添加するブロックイソシアネートとしては、例えばトリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、メシチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物、又はこれらのビューレット体、アダクト体、イソシアヌレート体等に含有されている遊離のイソシアネート基を、例えばフェノール、クレゾール等のフェノール系ブロック剤や、メチルエチルケトンオキシム、アセトンオキシム等のオキシム系ブロック剤、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタム等のラクタム系ブロック剤、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、マロン酸エチル等の活性メチレン系ブロック剤、メタノール、エタノール等のアルコール系ブロック剤、アミン系ブロック剤、イミン系ブロック剤、イミド系ブロック剤、イミダゾール系ブロック剤、メルカプタン系ブロック剤等のブロック剤でブロックしてなる化合物を使用することができる。
【0048】
上記ブロックイソシアネートとしては、解離温度が低すぎると熱接着性樹脂の基材シート1又は表面樹脂層4への塗工時や常温での保管中に架橋反応が進行して熱ラミネート加工不能となるおそれがあり、一方高すぎると基材シート1や表面樹脂層4を過度に軟化・変形させない温度範囲で十分に架橋反応硬化させることができないので、これらに配慮した解離温度範囲のものを選択する必要がある。特に、基材シート1と表面樹脂層4との熱ラミネート温度において十分に解離するものを選択すると、熱ラミネート加工と同時に架橋反応硬化させることができるので最も好適である。具体的には、解離温度が60〜120℃程度の範囲内のブロックイソシアネートを採用することが最も望ましい。
【0049】
塩酢ビ−ポリオール系の主体樹脂に対するブロックイソシアネートの配合比には特に制限はないが、主体樹脂に含有される水酸基の量に対して当量か若しくは若干過剰にブロックイソシアネートを配合するのが良い。一般的には、主体樹脂100重量部に対してブロックイソシアネートを3〜15重量部程度配合するのが良い。
【0050】
上記熱接着性樹脂を基材シート1又は表面樹脂層4の表面に塗工するにあたっては、添加されたブロックイソシアネート化合物が解離しない低い温度範囲においてホットメルト塗工するか、若しくは、主体樹脂及びブロックイソシアネートを適当な溶剤に溶解乃至分散したものを、ブロックイソシアネート化合物が解離しない低い温度範囲で塗工、乾燥させればよい。
【0051】
基材シート1と表面樹脂層4とを熱接着性樹脂層3を介して積層するにあたり、熱接着性樹脂層3は予め基材シート1側に塗工形成しておいても良いし、表面樹脂層4側に塗工形成しておいても良い。また、フィルム状の熱接着性樹脂層3が入手可能である場合には、基材シート1と表面樹脂層4との間にこれを挟持させた形で重ねて熱ラミネートを行うこともできる。但し、一般に熱接着性樹脂層3は、塗工形成された熱可塑性樹脂層の面との接着性に優れる傾向があるので、貼り合わせるべき2層の熱可塑性樹脂層の両方の貼り合わせ面に予め熱接着性樹脂層3を塗工形成しておくと、熱ラミネート法による最も優れた接着強度を得ることができる。この手法は特に、例えばポリオレフィン系樹脂等の、熱接着性に劣る樹脂層同士を接着する際の層間接着性向上法として、非常に有効である。
【0052】
基材シート1を同種又は異種の熱可塑性樹脂からなる複数層、例えば下層樹脂層11と上層樹脂層13との2層、の積層体から構成したり(図2)、及び/又は、表面樹脂層4を同種又は異種の熱可塑性樹脂からなる複数層、例えば下層表面樹脂層41と上層表面樹脂層43との2層、の積層体から構成したり(図3)する場合には、それらの層間に、上述した樹脂組成物からなる熱接着性樹脂層12、42を設けることもできる。係る化粧シートは、予めフィルム状乃至シート状に成形され、ラミネート面に熱接着性樹脂層12、3、42が形成された3枚以上の熱可塑性樹脂層を重ねて同時に熱ラミネートすることにより、極めて簡便且つ効率的に製造することができる。
【0053】
表面樹脂層4の表面には、従来公知の如く、必要に応じて所望の適宜の模様のエンボスを設けることもできる。エンボスの模様の種類にも特に制限はなく、例えば木目調(特に導管模様状)、石目調、布目調、和紙調、幾何学模様状等の各種模様状であっても良いし、或いは例えば単なる艶消状や砂目状、ヘアライン状、スウェード調等であっても良い。また、これらのエンボスの模様を絵柄層2の絵柄と同調させることによって更なる意匠性の向上を図ることも出来るが、その必要がなければ非同調であっても良く、また絵柄層2の絵柄と同調した模様と同調しない模様との両者を含む模様のエンボスを設けることもできる。
【0054】
エンボスの形成方法にも特に制限はないが、金属製のエンボス版を使用した機械エンボス法が最も一般的である。またエンボスの形成時期にも特に制限はなく、表面樹脂層4の基材シート1との積層前、積層と同時又は積層後の中から任意の時期を選択することができ、また前記の各時期から選ばれる複数の時期に同一又は異なる模様のエンボスを複数回に亘って施すこともできる。中でも特に、基材シート1と表面樹脂層4との熱ラミネート法による積層と同時にエンボスを施す方法によると、ラミネートとエンボスとを一工程で行うことができるので、生産効率の面からも熱エネルギー効率の面からも有利である。
【0055】
上記エンボスの凹陥部には、必要に応じてワイピング法等の手法により着色剤を充填しても良く、これによって表面の凹凸模様と同調した色彩模様を有する意匠性に優れた化粧シートを得ることができる。
【0056】
また、化粧シートの表面に更に優れた表面物性を付与する目的で、表面樹脂層4の表面上に更にトップコート層5を設けることもできる。トップコート層5の構成材料としては、従来より係る化粧シートのトップコート層の構成材料として使用されている公知の各種のトップコート剤の中から選ばれる任意のものを使用することができる。一般的には、少なくとも下地を透視可能な透明性を有する必要がある他、化粧シートの用途により要求される耐磨耗性や耐擦傷性、耐溶剤性、耐汚染性等の表面物性を具備させるべく、硬化性樹脂を主成分とする材料から構成することが好ましい。
【0057】
上記トップコート層5の構成材料として具体的には、例えばメラミン系樹脂、フェノール系樹脂、尿素系樹脂、エポキシ系樹脂、アミノアルキド系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂等の熱硬化性樹脂や、アクリル系樹脂等の電離放射線硬化性樹脂等を、好適に使用することができる。また必要に応じて、艶調整剤、滑剤、帯電防止剤、結露防止剤、抗菌剤、防黴剤等の各種添加剤を適宜添加することができる。また、艶状態の異なる2種以上の樹脂組成物を使用し、その一部又は全部を任意の模様状に形成することによって、艶の変化による視覚的な立体感を有する高意匠性の化粧シートを得ることもできる。
【0058】
トップコート層5の形成方法にも特に制限はなく、全面ベタ状であれば例えばグラビアコート法、ロールコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、ナイフコート法、コンマコート法、ダイコート法、リップコート法、キスコート法、ロッドコート法、スプレーコート法、フローコート法等の従来公知の任意のコーティング法を適宜適用することができる。また模様状に設ける場合には、例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法等の任意の印刷法によって設けることもできる。
【0059】
なお、表面樹脂層4とトップコート層5との密着性が不十分である場合には、トップコート層5の塗工形成に先立ち、表面樹脂層4の表面に例えばコロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理、アンカー又はプライマー処理等の表面処理を施すことによって、表面樹脂層4とトップコート層5との間の密着性を向上することができる。
【0060】
本発明の化粧シートは、従来の化粧シートと同様、木質系基材や無機質系基材等の各種の基材の表面に貼着(ラミネート)して使用するものであり、一般的には該貼付の際には例えばウレタン系や酢酸ビニル系等の適宜の接着剤が使用されるが、係る接着剤の種類によっては基材シート1を構成する熱可塑性樹脂との接着性が不十分である場合もある。係る場合に備えて、基材シート1の裏面に、ラミネート用接着剤との接着性に優れた樹脂からなるプライマー層6を設けておくことが好ましい。
【0061】
プライマー層6としては例えばウレタン系、アクリル系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系等の各種のプライマー剤が知られており、これらの中から基材シート1を構成する熱可塑性樹脂に合わせたものを選んで使用する。なお、プライマー層6に例えばシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の粉末を添加しておくと、プライマー層6の表面が粗面化することによって化粧シートの巻取保存時のブロッキングが防止できると共に、投錨効果による前記ラミネート用接着剤との接着性の向上を図ることもできる。
【0062】
【実施例】
以下に、本発明の化粧シートの具体的な実施例及び比較例を挙げ、本発明をより詳細に説明する。
【0063】
実施例1
厚さ90μmの着色ポリプロピレンフィルムの表面をコロナ放電処理後、ポリエステルポリオール系ビヒクルにイソシアネート硬化剤を3重量%配合してなる2液硬化型ウレタン樹脂系インキを使用してグラビア印刷法にて木目の絵柄を印刷形成し、その上にブロックイソシアネートを5重量%配合した熱接着性樹脂(塩酢ビ系樹脂とポリエステルポリオール系樹脂の混合)を乾燥後の塗布量5g/m2に塗工して熱接着性樹脂層を形成し、更に、裏面にコロナ放電処理後、シリカ粉末を配合したウレタン系プライマー樹脂を乾燥後の塗布量1g/m2にグラビア塗工して、下層印刷ポリプロピレン単層フィルムを得た。一方、厚さ70μmの透明ポリプロピレンフィルムの裏面をコロナ放電処理後、上記と同一の熱接着性樹脂を乾燥後の塗布量5g/m2に塗工して熱接着性樹脂層を形成し、上層透明ポリプロピレン単層フィルムを得た。
【0064】
上記下層印刷ポリプロピレン単層フィルムと、上記上層透明ポリプロピレン単層フィルムとを、その熱接着性樹脂層面同士を対向させて重合し、シート表面温度120℃の条件で熱ラミネート加工を行うと同時に、上層透明ポリプロピレン単層フィルムの表面に導管模様のエンボス加工を施し、該エンボスの凹部にワイピング処理を施して着色インキを充填し、更に全面に2液ウレタン系トップコート樹脂を乾燥後の塗布量6g/m2に施して、本発明の化粧シートを得た。
【0065】
比較例1
上記実施例1において、熱接着性樹脂としてブロックイソシアネートを配合していない塩酢ビ−アクリル系樹脂を使用し、他は同一条件にて化粧シートを作製した。
【0066】
性能比較
上記実施例1及び比較例1の化粧シートを使用して、80℃温水48時間の浸漬剥離試験を行ったところ、実施例1の化粧シートには異状は見られなかったのに対し、比較例1の化粧シートは、下層印刷ポリプロピレン単層フィルムと上層透明ポリプロピレン単層フィルムとの界面において、部分的に浮き剥がれが発生しているのが確認された。
【0067】
参考例1
上記実施例1における下層印刷ポリプロピレン単層フィルムの熱接着性樹脂層面に、厚さ50μmの透明アクリル樹脂フィルムを重ね、フィルム表面温度120℃の条件で熱ラミネートすると同時に導管模様のエンボスを施し、更にワイピング法によるエンボス凹部への着色剤の充填と、2液ウレタン樹脂系トップコート(乾燥後の塗布量6g/m2)とを施して、化粧シートを作製した。
【0068】
参考例2
上記実施例1における下層印刷ポリプロピレン単層フィルムの熱接着性樹脂層面に、厚さ50μmの透明非晶質ポリエステル樹脂フィルムを重ね、フィルム表面温度120℃の条件で熱ラミネートすると同時に導管模様のエンボスを施し、更にワイピング法によるエンボス凹部への着色剤の充填と、2液ウレタン樹脂系トップコート(乾燥後の塗布量6g/m2)とを施して、化粧シートを作製した。
【0069】
参考例3
厚さ80μmの着色アクリル系樹脂フィルムの表面に、ポリエステルポリオール系ビヒクルにイソシアネート硬化剤を3重量%配合してなる2液硬化型ウレタン樹脂系インキを使用してグラビア印刷法にて木目の絵柄を印刷形成し、該印刷面上及び裏面にブロックイソシアネートを5重量%配合した熱接着性樹脂(塩酢ビ系樹脂とポリエステルポリオール系樹脂の混合)を乾燥後の塗布量5g/m2に塗工して熱接着性樹脂層を形成し、該熱接着性樹脂層面に、厚さ70μmの透明非晶質ポリエステル系樹脂フィルムを重ね、フィルム表面温度120℃の条件で熱ラミネートすると同時に導管模様のエンボスを施し、更にワイピング法によるエンボス凹部への着色剤の充填と、2液ウレタン樹脂系トップコート(乾燥後の塗布量6g/m2)とを施して、化粧シートを作製した。
【0070】
実施例
厚さ50μmの着色ポリプロピレンフィルムの表裏面をコロナ放電処理後、ポリエステルポリオール系ビヒクルにイソシアネート硬化剤を3重量%配合してなる2液硬化型ウレタン樹脂系インキを使用してグラビア印刷法にて木目の絵柄を印刷形成し、該印刷面上及び裏面にブロックイソシアネートを5重量%配合した熱接着性樹脂(塩酢ビ系樹脂とポリエステルポリオール系樹脂の混合)を乾燥後の塗布量5g/m2に塗工して熱接着性樹脂層を形成して、印刷ポリプロピレン単層フィルムを得た。一方、厚さ50μmの透明ポリプロピレンフィルムの裏面をコロナ放電処理後、上記と同一の熱接着性樹脂を乾燥後の塗布量5g/m2に塗工して熱接着性樹脂層を形成し、上層透明ポリプロピレン単層フィルムを得た。
【0071】
上記印刷ポリプロピレン単層フィルムの裏面側に厚さ80μmの着色アクリル系樹脂フィルムを重合し、一方表面側には上記上層透明ポリプロピレン単層フィルムをその熱接着性樹脂層面同士を対向させて重合し、シート表面温度120℃の条件で熱ラミネート加工を行うと同時に、上層透明ポリプロピレン単層フィルムの表面に導管模様のエンボス加工を施し、しかる後、該エンボスの凹部にワイピング処理を施して着色インキを充填し、更に全面に2液ウレタン系トップコート樹脂を乾燥後の塗布量6g/m2に施して、本発明の化粧シートを得た。
【0072】
実施例
上記実施例1における下層印刷ポリプロピレン単層フィルムの熱接着性樹脂層面に、予め両面にコロナ処理後ブロックイソシアネートを5重量%配合した熱接着性樹脂(塩酢ビ系樹脂とポリエステルポリオール系樹脂の混合)を乾燥後の塗布量5g/m2に塗工して熱接着性樹脂層を形成した厚さ50μmの透明ポリプロピレン単層フィルムを重ね、更に予め裏面にコロナ処理後同上の熱接着性樹脂を乾燥後の塗布量5g/m2に塗工した厚さ25μmの透明二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを重ねて、フィルム表面温度120℃の条件で熱ラミネートし、しかる後、表面に2液ウレタン系トップコート樹脂を乾燥後の塗布量6g/m2に施して、本発明の化粧シートを作製した。
【0073】
【発明の効果】
以上詳細に説明した様に、本発明の化粧シートは、熱可塑性樹脂からなる基材シート上に熱接着性樹脂層を介して熱可塑性樹脂からなる表面樹脂層が積層されてなる化粧シートにおいて、前記熱接着性樹脂層をブロックイソシアネート化合物との架橋反応によって硬化された塩酢ビ−ウレタン系樹脂から構成したことにより、熱ラミネート法によって容易に製造可能でありながら、接着強度や耐熱性、耐候性に優れており、準外装用途にも十分に使用可能な化粧シートを得ることができる。
【0074】
また、基材シート及び/又は表面樹脂層を、同種又は異種の熱可塑性樹脂からなる複数層の積層体とする場合にあっても、その各層間に上記の熱接着性樹脂層を介在させることにより、耐熱性や耐候性、接着強度に優れた化粧シートを、熱ラミネート法によって容易に得ることができる。そして、本発明の手法は、基材シート及び表面樹脂層を、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂及びポリエステル系樹脂から選ばれる熱可塑性樹脂から構成する場合に特に有用であり、従来のポリ塩化ビニル樹脂系の化粧シートと同等またはそれ以上の性能を具備する化粧シートを、従来のポリ塩化ビニル樹脂系の化粧シートの場合と同様の熱ラミネート法によって、簡便に製造することができるという優れた利点を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法で製造された化粧シートの実施形態を示す側断面図である。
【図2】本発明の方法で製造された他の化粧シートの実施形態を示す側断面図である。
【図3】本発明の方法で製造された他の化粧シートの実施形態を示す側断面図である。
【符号の説明】
1・・・基材シート
11・・下層樹脂層
12・・熱接着性樹脂層
13・・上層樹脂層
2・・・絵柄層
3・・・熱接着性樹脂層
4・・・表面樹脂層
41・・下層表面樹脂層
42・・熱接着性樹脂層
43・・上層表面樹脂層
5・・・トップコート層
6・・・プライマー層

Claims (1)

  1. ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂及びポリエステル系樹脂から選ばれる1種の熱可塑性樹脂からなる基材シート上に、解離温度が60〜120℃の範囲のブロックイソシアネート化合物との架橋反応によって硬化する塩酢ビ−ウレタン系樹脂からなる熱接着性樹脂層を形成し、且つ、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂及びポリエステル系樹脂から選ばれる1種の熱可塑性樹脂からなる表面樹脂層上に、解離温度が60〜120℃の範囲のブロックイソシアネート化合物との架橋反応によって硬化する塩酢ビ−ウレタン系樹脂からなる熱接着性樹脂層を形成し、且つ、熱接着性樹脂層が形成された基材シートと熱接着性樹脂層が形成された表面樹脂層を、熱接着性樹脂層同士が貼り合わされるように対向して配置し、前記ブロックイソシアネート化合物の解離温度以上の温度に加熱して、熱ラミネート法により積層したことを特徴とする化粧シートの製造方法。
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