JP6736918B2 - 化粧シート及び化粧板 - Google Patents
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このポリオレフィン系化粧シートの裏面(接着面)には、裏面プライマーとしてポリウレタン系バックコート層が形成されている。そして、このポリウレタン系バックコート層が、木質基材の表面に塗工されたアクリル樹脂や、酢酸ビニル樹脂の水性接着剤によって貼り合わされることで、化粧板となる。
ブロッキングの強度が大きくなると、印刷ロールをはがした際に、インキはがれやフィルム原反が切れる等の問題が発生するおそれがある。
また、本発明の一態様である化粧板は、上記の一態様に係る化粧シートを基材に貼り合わせている。
以下、本発明の第一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
図1を用いて、化粧板10の構成について説明する。
図1中に表すように、化粧板10は、化粧シート1と、接着剤層5と、基材6を備える。
具体的には、化粧板10は、基材6の上面(図1中では、基材6の上側の面)に、接着剤層5を介して化粧シート1が積層されて構成される。すなわち、化粧板10は、化粧シート1を基材6に貼り合わせて形成されている。
接着剤層5は、基材6と化粧シート1とを貼り合わせるために形成されている。
また、接着剤層5は、例えば、接着剤を乾燥、硬化させることにより形成されている。
接着剤の材料については、特に限定されず、化粧シート1の分野で公知の接着剤を用いることが可能である。
化粧シート1の分野で公知の接着剤としては、例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂や、熱硬化性ウレタン樹脂等の硬化性樹脂等を用いることが可能である。また、化粧シート1の分野で公知の接着剤としては、例えば、イソシアネートを硬化剤とする二液硬化型ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等を用いることが可能である。
エマルジョン接着剤としては、例えば、主剤としてウレタン変性エチレン−酢酸ビニル重合体が用いられ、硬化剤として脂肪族イソシアネートが用いられていた。
水性接着剤は、引火の危険性や毒性の心配が少なく、比較的安全性が高い。エマルジョン接着剤は、合成樹脂のポリマーを水の中に均一に分散させた接着剤である。エマルジョン接着剤は、被着体の隙間に浸透して、楔のように硬化する投錨効果が期待できる。
現在、接着剤層5として、新たに、一液湿気硬化型ウレタンホットメルト接着剤等のPUR(Poly Urethane Reactive)系ホットメルト接着剤が使用され始めている。ホットメルト接着剤は、常温では固体であるが、80[℃]以上100[℃]以下の範囲内程度での加熱溶融により、液状化した状態で被着体に塗布され、冷却固化によって接合を形成する熱可塑性接着剤である。
PUR系ホットメルト接着剤としては、例えば、DIC株式会社製「タイフォースFH315」等が知られている。したがって、PUR系ホットメルト接着剤としては、これらの接着剤を使用しても良い。
基材6は、例えば、杉、檜、樫、ラワン、チーク等からなる単板、合板、繊維板、複合材、集成材等を用いて形成されている。
第一実施形態では、基材6として、中密度繊維板(MDF)を用いた場合を説明する。すなわち、第一実施形態の基材6は、MDF基材である。
MDFは、木質繊維を原料とする成型板(ファイバーボード)の一種であり、木材チップを蒸煮、解繊したものに、接着剤となる合成樹脂を加えて、板状に熱圧成型したものである。したがって、MDFは、同じ木材チップ材を原料とするパーティクルボードや配向性ストランドボード(OSB)に比べて、構成要素(セグメント)が小さく、表面だけでなく木口部分も平滑である。
なお、実際には、基材6として、パーティクルボードや、配向性ストランドボード(OSB)を使用しても良い。また、基材6としては、例えば、プラスチックフィルム、紙、金属、布、皮革、ガラス、陶磁器等を用いることも可能である。
図1を参照して、化粧シート1の構成について説明する。
化粧シート1は、基材シート2と、化粧層3と、プライマー層4を備える。
また、化粧シート1は、基材6の表面に意匠性を付与するためのシート状の化粧材である。化粧シート1は、裏面を構成するプライマー層4以外は特に限定されない。
第一実施形態の化粧シート1は、図1中に表すように、基材シート2の表面(図1中では、基材シート2の上側の面)に化粧層3が形成され、基材シート2の裏面(図1中では、基材シート2の下側の面)にプライマー層4が形成されている。
基材シート2は、例えば、樹脂フィルムを用いて形成されている。なお、基材シート2としては、耐油性を有する耐油紙等の紙基材を用いることも可能である。
樹脂フィルムの材料としては、例えば、ポリオレフィンやポリエステル等のシートを用いる。
ポリオレフィンは、プラスチック(樹脂)の一種で、ポリエチレン(PE)、または、ポリプロピレン(PP)等、炭素(C)と水素(H)のみで構成され、燃やすと、水(H2O)と二酸化炭素(CO2)等になる樹脂である。
ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)等を用いることが可能である。
化粧層3は、基材シート2の表面に積層され、複数の層で構成されている。
化粧層3を構成する複数の層は、例えば、インキ層と、熱可塑性樹脂層と、表面保護層を含む。すなわち、化粧シート1は、基材シート2の表面にインキ層を有する。
インキ層は、基材シート2の表面側の全面を被覆する一様且つ均一な層であり、所望の絵柄による意匠性を付与するものであり、絵柄の種類等は、特に限定的ではない。
インキ層が形成する絵柄としては、例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
硬化剤は、主成分100質量部に対して、3質量部添加されている。
セルロース添加剤は、主成分100質量部に対して、5質量部以上15質量部以下の範囲内で添加されている。
これにより、第一実施形態では、化粧シート1の、ブロッキングの強度の平均値を、0.11以上0.39以下の範囲内としている。
熱可塑性樹脂層は、インキ層の表面側に、化粧シート1の意匠性を高める目的で設けられる。
また、熱可塑性樹脂層は、通常は不透明色で形成することが多いが、着色透明で形成し、下地が持っている模様を活かす場合もある。また、フィルムが白色であることを活かす場合には、無色透明で形成する場合もある。
表面保護層は、インキ層及び熱可塑性樹脂層の表面を保護する層であり、トップコート層(コーティング層)とも称される。
また、表面保護層は、熱可塑性樹脂層、または、インキ層の表面側の全面を被覆する一様且つ均一な部材である。
表面保護層の材料は、限定的ではないが、樹脂成分として電離放射線硬化型樹脂、または、2液硬化型ウレタン樹脂を含有することが好ましい。実質的には、これらの樹脂から形成されているものが好ましい。電離放射線硬化型樹脂、または、2液硬化型ウレタン樹脂により表面保護層を形成する場合には、化粧シート1としての耐摩性、耐衝撃性、耐汚染性、耐擦傷性、耐候性等を高め易い。
プライマー層4は、基材シート2の裏面に形成されている。
したがって、化粧シート1の裏面を構成するプライマー層4は、接着剤層5を構成する接着剤によって、基材6表面に貼り付けられている。
プライマー層4は、プライマー(下塗り剤)を基材シート2の裏面に塗布することにより形成されている。なお、基材シート2の裏面(接着面側)に塗布するプライマーを、裏面プライマーと称する場合もある。
プライマーは、被着材表面の接着性を改善するために塗布する、不揮発分の少ない低粘度液体である。プライマー層4の上に接着剤を塗布する場合には、プライマーが充分に乾いたところで接着剤を塗り重ねる。プライマーの種類は、被着材や接着剤の種類に応じて異なる。
また、主成分の樹脂に、シリカ、硬化剤、セルロース樹脂が添加されていることが好ましい。
セルロース樹脂としては、例えば、エステル基を持つセルロース樹脂や、酢酸セルロース等を用いることが可能である。また、セルロース樹脂に用いるセルロースは、天然のものでも人工のものでも構わない。
なお、上述した第一実施形態は、本発明の一例であり、本発明は、上述した第一実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
第一実施形態の化粧シート20であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)化粧層3が含むインキ層を、ウレタンと塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂との混合体である主成分と、硬化剤と、セルロース添加剤を含んで形成する。これに加え、硬化剤を、主成分100質量部に対して、3質量部添加する。さらに、セルロース添加剤を、主成分100質量部に対して、5質量部以上15質量部以下の範囲内で添加する。
その結果、ブロッキングの強度を低減させることで、化粧シート1同士の貼りつきを防止して、ブロッキングを抑制することが可能な、化粧シート1を提供することが可能となる。
その結果、化粧シート1同士の貼りつきを防止して、ブロッキングを抑制することが可能であるとともに、インキ層のインキ濃度が低下することを抑制することが可能な、化粧シート1を提供することが可能となる。
その結果、ブロッキングの強度を効率的に低減させることで、化粧シート1同士の貼りつきを防止して、ブロッキングを抑制することが可能な、化粧シート1を提供することが可能となる。
また、第一実施形態の化粧板30であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
その結果、ブロッキングの強度を低減させることで、化粧シート1同士の貼りつきを防止して、ブロッキングを抑制することが可能な、化粧板10を提供することが可能となる。
(1)第一実施形態では、化粧層3を構成する複数の層を、インキ層と、熱可塑性樹脂層と、表面保護層を含む構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、化粧層3を構成する複数の層を、熱可塑性樹脂層及び表面保護層のうち少なくとも一方を含まない構成としてもよい。
(本発明例1の化粧シート)
本発明例1の化粧シートは、インキ層の主成分が、ウレタンと塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂との混合体を、ウレタン:塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂=70:30の混合比で配合して形成されている。
これに加え、インキ層が含む硬化剤が、主成分100質量部に対して、3質量部で添加されている。さらに、インキ層が含むセルロース添加剤が、主成分100質量部に対して、5質量部で添加されている。
また、本発明例1の化粧シートは、インキ層の厚さを2[μm]とし、原反(基材シート2の材料)の材質をポリエチレンとし、原反の厚さを55[μm]としている。さらに、プライマーを塗布量1.2[g/m2]で基材シート2の裏面に塗工し、乾燥させてプライマー層4を形成している。
本発明例2の化粧シートは、インキ層が含む硬化剤が、主成分100質量部に対して、3質量部で添加されており、インキ層が含むセルロース添加剤が、主成分100質量部に対して、10質量部で添加されている点を除き、本発明例1の化粧シートと同様の構成である。
(本発明例3の化粧シート)
本発明例3の化粧シートは、インキ層が含む硬化剤が、主成分100質量部に対して、3質量部で添加されており、インキ層が含むセルロース添加剤が、主成分100質量部に対して、15質量部で添加されている点を除き、本発明例1の化粧シートと同様の構成である。
比較例の化粧シートは、インキ層が含む硬化剤が、主成分100質量部に対して、3質量部で添加されており、インキ層にセルロース添加剤が添加されていない点を除き、本発明例1の化粧シートと同様の構成である。
本発明例1から3及び比較例の化粧シートに対し、ブロッキングの強度を検出し、その検出結果を評価した。
表1に、その検出結果を示す。
なお、表1中に表す「C」は、化粧シートの中央部におけるブロッキングの強度であり、表1中に表す「M」及び「G」は、化粧シートの両端部(任意)におけるブロッキングの強度である。
表1中に表すように、本発明例1から3の化粧シートは、ブロッキングの強度が、比較例の化粧シートよりも低い。このため、本発明例1から3の化粧シートは、比較例の化粧シートと比較して、ブロッキングの強度を低減させることで、化粧シート同士の貼りつきを防止して、ブロッキングを抑制することが可能となっていることが確認された。
(性能評価2)
本発明例1から3及び比較例の化粧シートに対し、外観を評価した。
表1に、その評価結果を示す。
評価は次の通りである。
○:外観合格
△:○には劣るが外観合格(外観評価の検討が必要)
×:外観不合格
(総合評価)
以上のように、本発明例の化粧シートは、比較例の化粧シートと比較して、ブロッキングを抑制することが可能であることが確認された。これに加え、本発明例の化粧シートは、比較例の化粧シートと同様の外観を得ることが可能であることが確認された。
Claims (4)
- ポリエチレンを材料として形成された基材シートの表面にインキ層を有する化粧シートであって、
前記インキ層は、ウレタンと塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂とを70:30の混合比で配合した混合体である主成分と、硬化剤と、セルロース添加剤と、を含み、
前記硬化剤は、前記主成分100質量部に対して3質量部添加されており、
前記セルロース添加剤は、前記主成分100質量部に対して5質量部以上15質量部以下の範囲内で添加されていることを特徴とする化粧シート。 - 前記セルロース添加剤は、前記主成分100質量部に対して5質量部以上10質量部以下の範囲内で添加されていることを特徴とする請求項1に記載した化粧シート。
- ブロッキングの強度の平均値が、0.11以上0.39以下の範囲内であり、
前記ブロッキングの強度の平均値は、化粧シートの中央部における1箇所のブロッキングの強度と、化粧シートの両端部における2箇所のブロッキングの強度と、の3箇所の平均値であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載した化粧シート。 - 請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載した化粧シートを基材に貼り合わせたことを特徴とする化粧板。
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