JP4889842B2 - 木質板貼着用化粧シートおよび木質化粧板 - Google Patents

木質板貼着用化粧シートおよび木質化粧板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、家具、建具等の建材の表面装飾材料として有用な木目絵柄が施された木質板貼着用化粧シート及び該化粧シートが木質合板等の被着体上に貼着された木質化粧板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、木質化粧シートとして、着色透明ポリ塩化ビニル(PVC)フィルムに,必要に応じて木目絵柄印刷層や木目導管エンボス加工、ワイピング加工等が施された化粧シートが知られている。
【0003】
しかしこの種の化粧シートは耐候性が劣るものであり、特に陽の当たる場所で内装材として使用する場合や準外装用途には適さないものであった。またポリ塩化ビニルを用いるものであるため、廃棄、焼却時に塩素系ガスが発生するという環境上の問題もあった。
【0004】
そこで、非ポリ塩化ビニル系フィルムである透明ポリオレフィン系フィルム上に、ウレタン樹脂からなるプライマー層を介して、透明アクリルフィルムを積層し、必要に応じて絵柄印刷層、エンボス加工、ワインピング加工等を施した化粧シートが登場してきた。
【0005】
一方、木質化粧板としては、ムク、突板あるいは集成材等にウレタン塗装が施された木質化粧板等が知られている(実開昭63−93132号公報等)。しかし、この化粧板は耐候性に劣るものであり、また製造時の歩留りが悪く、製造上の問題があった。
【0006】
そこで、かかる問題を解決すべく、木質合板等の被着体上にポリオレフィン系樹脂からなる化粧シートを接着剤を用いて貼着する木質化粧板が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記ポリオレフィン系樹脂を用いる化粧シート及び該化粧シートを用いる木質化粧板には、次のような問題が残った。
【0008】
即ち、ポリオレフィン系樹脂を用いる化粧シートは、非ポリ塩化ビニル系樹脂であり、廃棄、焼却により塩化水素等の塩素系ガスの発生の少ないものであるが、耐候性に劣るものであるため、特に陽の当たる場所で内装材として使用する場合や準外装材として用いる場合には問題となる。
【0009】
また、ポリオレフィン系樹脂の化粧シートを用いる化粧板の場合には、該化粧シートを木質合板に貼着するときに、酢酸ビニル系樹脂の水分散エマルジョン等からなる塩化ビニル樹脂用の接着剤では密着しにくいという問題がある。
【0010】
そこで、予めポリオレフィン系樹脂シートの裏面に、コロナ放電処理の上、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体からなる易接着プライマー層(易接着処理層)を設けた化粧シートが試作された。
【0011】
しかしながら、塩化ビニル樹脂用の接着剤を用いることにより、易接着プライマー層と木質合板との密着性は良くなるものの、ポリオレフィン系樹脂シートと易接着プライマー層との密着力が乏しく、結局、被着体(木質合板)との十分な密着性が得られなかった。その上、絵柄印刷を施す際に、印刷して巻き取った化粧シートの裏面と印刷面とが癒着する現象(ブロッキング)しやすいという新たな問題も生じた。
【0012】
この為、このブロッキング防止を目的として、易接着プライマー層中に体質顔料を添加したところ、シリカが最も効果的であるが、その粒径が大きい為にシリカを多量に添加すると印刷塗工適性が不良となり、また層間強度、即ち接着力も低下してしまうこと、その一方、シリカの添加量が少ない場合には、耐ブロッキング性が十分に得られないことがわかった。
【0013】
そこで、シリカの代替として沈降性硫酸バリウムや炭酸カルシウムを用いることが試みられた。しかし、沈降性硫酸バリウムや炭酸カルシウムはシリカに比してその粒径が小さい為に、耐ブロッキング性の向上効果に乏しく、また、これを解決するために沈降性硫酸バリウムや炭酸カルシウムを多量に添加すると、やはり密着不良をおこすという問題が発生した。
【0014】
このように、ポリオレフィン系樹脂シートを用いる化粧シートは、木質合板等の被着体との密着性に乏しい為に、易接着性プライマー層を裏面に形成した構成が望ましいことがわかったが、密着性と耐ブロッキング性、及び印刷塗工適性等をすべて満足させることは困難であった。
【0015】
本発明は、かかる実状からなされたものであり、その目的とするところは、ポリオレフィン系樹脂を用いる化粧シートであって、木質板との密着性に優れ、かつ、製造時の耐ブロッキング性、印刷塗工適性及び耐候性に優れる化粧シート、並びに該化粧シートを木質板上に貼着してなる木質化粧板を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明は、第1に、ポリオレフィン系樹脂シートとして、特に高密度ポリエチレン及びゴム、又はアイソタクチックポリプロピレン及びゴムを含有する透明基材シートを用い、該透明基材シート上に積層された透明アクリル系樹脂シートと、前記透明基材シート上に透視可能に設けられた木目絵柄層とを有する構成からなり、木目意匠を有する木質板上に貼着される化粧シートであって、前記木目絵柄層がアクリルウレタン系バインダーを含有してなり、前記透明基材シートと前記木目絵柄層との間に、アクリルウレタン系樹脂を含有するプライマー層を有し、さらに前記透明基材シートの裏面に易接着処理層を有するとともに、前記易接着処理層は、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂及び体質顔料を含有する樹脂組成物から形成され、前記化粧シートを木質板上に貼着した際、前記化粧シートを透して木質板の木目意匠が見えることを特徴とする木質板貼着用化粧シートを提供する。
【0017】
また、本発明の木質板貼着用化粧シートは、前記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂はマレイン酸を添加したものをグラフト重合させたことを特徴とするものである
【0018】
また、本発明の木質板貼着用化粧シートは、前記体質顔料がシリカ及び沈降性硫酸バリウム又はシリカ及び炭酸カルシウムのいずれかの組合せからなることを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明は、第2に、木質板上に前記木質板貼着用化粧シートが貼着された木質化粧板を提供する。
【0020】
本発明の化粧シートは、木質板との密着性に優れ、かつ耐候性に優れるものであるので、内装用途は勿論のこと、準外装用途或いは外装用途としても用いることができる。また、本発明の化粧シートは、製造時の耐ブロッキング性、印刷塗工適性に優れるものであり、高品質なものを歩留り良く製造することができる。
【0021】
また、本発明の木質化粧板は、本発明の化粧シートを木質板上に貼着してなる。従って、密着性及び耐候性に優れ、内装用は勿論のこと、準外装用或いは外装用としても用いることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の化粧シート及び木質化粧板を詳細に説明する。
本発明の化粧シートの透明基材シート材料は、透明性の高いものであって、高密度ポリエチレン及びゴム、又はアイソタクチックポリプロピレン及びゴムを含有する樹脂組成物から形成されてなる。
【0023】
高密度ポリエチレンはエチレン重合体であって、比重が0.941〜0.965程度のものである。また、アイソタクチックポリプロピレンは、アイソタクチック構造を有し、結晶性が高く、密度0.92g/cm3 程度、2次転移点160〜170℃のプロピレン重合体をいう。例えば、プロピレンをチーグラー・ナッタ触媒を用い、n−ヘプタン中で重合させることにより得ることができる。これら高密度ポリエチレン及びアイソタクチックポリプロピレンは、非塩化ビニル系樹脂であり、透明性、成形性、折り曲げ加工性に優れる。
【0024】
前記樹脂組成物には、柔軟性、耐衝撃性、易接着性を付与するために、各種ゴム類をさらに添加する。
【0025】
添加するゴム類としては、ジエン系ゴム、水素添加ジエン系ゴム、オレフィン系エラストラマー等があるが、中でも、水素添加ジエン系ゴムが好ましい。水素添加ジエン系ゴムは、ジエン系ゴム分子の二重結合の少なくとも一部分に水素原子を付加させてなるもので、本発明においては、高密度ポリエチレン及びアイソタクチックポリプロピレン等のオレフィン系樹脂の結晶化を抑え、柔軟性、透明性を向上させる役割を有する。
【0026】
また、一般に、前記オレフィン系樹脂にジエン系ゴムを添加するとジエン系ゴムの二重結合の為、耐候性、耐熱性はジエン系ゴム無添加のポリオレフィン系樹脂より低下するが、ジエン系ゴムの二重結合を水素で飽和させたものを用いる場合には、前記高密度ポリエチレン及びアイソタクチックポリプロピレン等のオレフィン系樹脂の耐候性、耐熱性の低下もなく、良好なものとなる。
【0027】
ジエン系ゴムとしては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンンゴム、アクリロニトリル−イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム等がある。本発明の目的からは、特に、スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
【0028】
ゴムの添加量は、高密度ポリエチレン又はアイソタクチックポリプロピレン100重量部に対し、1〜90重量部が好ましく、5〜70重量部程度がより好ましい。1重量部未満では、ゴム添加による弾性、伸び率、衝撃性が不足し、Vカット加工、絞り加工等の折り曲げ加工時に亀裂、割れを生じ易くなる。又、90重量部超過の場合には、弾性、及び伸び率が大きくなりすぎ、印刷等の見当合わせが不良となる。
【0029】
前記樹脂組成物中には、無機充填剤がさらに添加されてもよい。無機充填剤としては透明性の高いもの、例えば、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、アルミナ、雲母、石英又はシリカ、ガラス等の平均粒径0.1〜10μm程度の微粒子を挙げることができる。
【0030】
無機充填剤は添加しない方が、透明性に優れた基材シートが得られるので、天然木からなる木質板上に化粧シートを貼着した際に天然木の照り等の意匠性を発現させ易くなる点で好ましいが、無機充填剤を添加する場合には、基材シートの耐クリープ変形性、易接着性等の物性を改良する効果を得ることができる。
【0031】
目的で前記無機充填剤の添加量は、高密度ポリエチレン又はアイソタクチックポリプロピレン100重量部に対し、5〜50重量部程度が好ましい。5重量部未満では、耐クリープ変形性、易接着性等の効果が不十分であり、又、50重量部超過の場合には、引張強度、耐衝撃性及び伸度が不足し、又透明性が低下する。
【0032】
また、前記樹脂組成物中には、必要に応じ、他の充填剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、各種着色顔料を添加することもできる。着色顔料としては、形成する基材シートの透明性が維持される限りにおいて、後述する物の中から選択、使用することができる。
【0033】
本発明の化粧シートの透明基材シートは、上記樹脂組成物を用いて、カレンダー法、インフレーション法、Tダイ押出し法などの公知の製膜方法によって、形成することができる。前記透明基材シート層の厚さは20〜300μm程度が好ましい。
【0034】
透明基材シートとしては、延伸シート、未延伸シートのいずれも使用可能であるが、Vカット加工時の成形適性上は未延伸のものの方が良好である。
【0035】
また、前記透明基材シートのいずれか一方若しくは両面には、好ましくは、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等を行って、基材シート表面に水酸基、カルボキシル基等の活性水素を持った極性官能基を付与することにより、プライマー層或いはその他の層との接着性を向上させるのが好ましい。
【0036】
特に、プライマー層中には、後述するようにイソシアネート基を含ませる為、このような構成とすることにより、プライマー層中のイソシアネート基と透明基材シート表面の極性官能基の活性水素とがウレタン結合によって結合し、プライマー層と透明基材シート間の密着性を高めることができる。
【0037】
本発明の化粧シートにおいては、前記透明基材シート上に、基材シートと木目絵柄層間の密着性を向上させる為にプライマー層を形成する。
【0038】
前記プライマー層は、アクリルウレタン系樹脂を主成分とする樹脂からなるのが好ましい。アクリルウレタン樹脂は、アクリルポリオールを主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするウレタン樹脂である。一般的に、アクリルウレタン樹脂は、他のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールを用いるウレタン樹脂よりも耐化学薬品性及び耐候性に優れている。
【0039】
アクリルポリオールは、水酸基を持つアクリル単量体とアクリル酸エステルとの共重合アクリル樹脂である。一般にラジカル溶液重合で合成され、水酸基価、分子量、ガラス転移温度(Tg)のそれぞれをかなり自由に調節できる。
【0040】
イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートが用いられる。かかるイソシアネートとして、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート類、或いはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(乃至は脂環族)イソシアネートが用いられる。或いは、上記各種イソシアネートの付加体又は多量体を用いる事もできる。例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネートの3量体等がある。
【0041】
アクリルウレタン樹脂としては、ポリオールに過剰のジイソシアネートを反応させて末端に有利のイソシアネート基を残し、湿気(空気中の水分など)によりイソシアネート基が反応し硬化する1液硬化型アクリルウレタン樹脂、アクリルポリオールとイソシアネートとを使用時に、適当な触媒を加えて硬化させる2液硬化型アクリルウレタン樹脂、室温でもイソシアネート基を適当な化合物で保護(ブロックイソシアネート)しておき、加熱によりイソシアネート基が再生して、硬化させる熱硬化1液アクリルウレタン樹脂等がある。
【0042】
これらの内、特に2液硬化型のアクリルウレタン系樹脂の使用が好ましい。即ち、イソシアネートとしてヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等の脂肪酸(乃至は脂肪族)イソシアネートを、ポリオールとしてアクリルポリオールを使用すると、耐光密着性に優れたものを得ることができる。
【0043】
尚、2液硬化型ウレタン樹脂の場合のより好ましい態様として、イソシアネート中のイソシアネート基(−NCO基)の数(モル数)をそれと反応させるポリオールの水酸基(−OH基)の数(反応当量)よりも多くし、ポリオールとイソシアネートとが反応した後でも未反応のイソシアネート基を確実に、しかも多数残留させるものがある。この場合、−NCO基/−OH基の比は、最大1.4程度迄とする。
【0044】
前記プライマー層の厚みは、1μm〜10μm程度が好ましい。1μm未満では、プラマー層を形成する効果に乏しく、一方、あまりに厚くなりすぎると、化粧シートの加工性に問題が生じたり、剥がれが生じ易くなる。
【0045】
なお、本発明の化粧シートにおいては、前記基材シート上に、基材シートと絵柄印刷層間の密着性を向上させる為に、該プライマー層の上に、さらにベタインキ層を設けることもできる。前記ベタインキ層は、下地の色を調整するために全面に着色透明層として設けるもので、透明インキで着色を施すことが好ましい。
【0046】
本発明の化粧シートは、前記プライマー層の上に、木目絵柄層を介しあるいは直接に透明アクリル系樹脂シート(又は、透明アクリル系樹脂からなる層)を有する。透明アクリル系樹脂としては、メタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル(以下、両方を包括して、「(メタ)アクリル酸エステル」と表記する)の重合体を例示することができる。
【0047】
前記(メタ)クリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)クリル酸メチル、(メタ)クリル酸エチル、(メタ)クリル酸プロピル、(メタ)クリル酸イソプロピル、(メタ)クリル酸ブチル等がある。
【0048】
前記アクリル系樹脂シートを構成するアクリル系樹脂としては、これらから選んだ1種以上の単量体(又はそのプレポリマー)の単独重合体、又はこれら2種以上の共重量体からなるものを用いことができる。アクリル系樹脂は、耐候性、透明性、対衝撃性に優れている。
【0049】
アクリル系樹脂シートの厚さは、好ましくは25〜100μm程度であり、延伸シート、未延伸シートのいずれも使用可能であるが、Vカット加工時の成形適性上は未延伸のものの方が良好である。
【0050】
本発明の化粧シートは、前記透明基材シート又は前記透明アクリル樹脂シートの少なくとも一方のシート表面に、裏面が透視可能に設けられた木目絵柄層を有する。木目絵柄層は、化粧シートの表面、裏面、表裏両面、或いは層間に設けることができる。
【0051】
木目絵柄層を設ける方法としては、例えば、必要に応じて木目の基調色になる様に、顔料(又は染料)添加により着色された前記透明基材シートに木目絵柄を設け、公知の印刷法で設ける方法等がある。
【0052】
添加される顔料としては、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニンリンブラック等の有機顔料(或いは染料を含む。)、アルミニウム、真鍮等の金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料等がある。顔料添加による着色の場合は、透明着色である必要がある。その為、これらの中から適当な添加量及び材料を選定する。
【0053】
木目絵柄は、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷等の公知の印刷法を用いてインキ(或いは塗料)にて形成することができる。
【0054】
木目絵柄としては、杉、檜、欅、松等所望の樹種の木目板の絵柄を選ぶが、裏面を透視可能である様に形成する。その為には、例えば透明性の高いインキで印刷する、或いは木目のうち一部分(例えば冬材部分のみ、導管溝のみ等)のみ印刷する等の手段による。木目絵柄は、あくまでの木質板自体の木目意匠の不足分を補うだけの絵柄があれば良い。
【0055】
インキ或いは塗料としては、バインダーとして、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂等を用いることができ、これらの一種又は二種以上を混合して使用する。これに、前記列挙した顔料を添加したものを使用することができる。
【0056】
基材シート表面に直接木目絵柄を印刷する場合には、バインダーとして塩素化ポリオレフィン、ウレタン樹脂等が接着性の点で好ましいが、易接着プライマーを適当に選択して層を形成すれば、その他のバインダーを用いても十分な接着性を付与することができる。
【0057】
また、本発明の化粧シートにおいては、透明アクリル樹脂シートは、前記基材シート上に直接ラミネートすることもでき、その場合には、木目絵柄層上に感熱接着剤層を設けるのが好ましい。感熱接着剤層は、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等を用いて、グラビア印刷法、或いはロールコート法等の既存の方法で形成することができる。また、層間密着性を向上させるために、基材シート上に、さらに接着剤層を形成して積層することもできる。
【0058】
該接着剤の樹脂系及び接着法としては、▲1▼接着剤を熔融押出(エクストルージョンコート法)で基材シートと透明アクリル樹脂シートの層間に塗工し、冷却前に両者を積層する方法、▲2▼或いは、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂に、必要に応じて、イソシアネート、アミン等の架橋剤、メチルエチルケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、アザビスイソブチロニトリル等の重合開始剤、ナフテン酸コバルト、ジメチルアニリン等の重合促進剤等を添加した接着剤を、基材シートと透明アクリル樹脂シートの層間にロールコータ等で塗工し、両層をドライラミネートする方法等を採用することができる。接着剤層の厚さは通常10〜30μm程度とする。
【0059】
これらのうち、耐熱性を改良する意味で、ポリウレタンをベースに、イソシアネート基を付与したタイプの接着剤、即ち、非結晶性のポリエステルポリオールに、過剰のポリイソシアネートを反応させ、末端がイソシアネート基となっているプレポリマーを主成分とするものが好ましい。
【0060】
前記ウレタン系樹脂接着剤は、例えば、ポリオールを主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするウレタン樹脂を主成分とするものである。
【0061】
ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が用いられる。また、イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシネートが用いられる。
【0062】
本発明の化粧シートにおいては、透明アクリル系樹脂シート(又は透明アクリル系樹脂層)、プライマー層或いは接着剤層中に、耐候性の向上を図る目的で紫外線吸収剤を含有させることができる。該紫外線吸収剤としては、公知のものの中から、より紫外線で劣化し易いポリオレフィンの劣化を引き起こす280〜450nm領域の紫外線を吸収しうるものを任意に選択することができる。
【0063】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、サリチレート系、ベンゾトリアゾール系、アクリロニトリル系等の各紫外線吸収剤を挙げることができる。例えば、分子中にOH基を有する有機系の化合物として、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−アミル−5’−イソブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−イソブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−イソブチル−5’−プロピルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等の2’−ヒドロキシフェニル−5−クロロベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、
【0064】
2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等の2’−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、
【0065】
2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2、2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ−4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤、
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等の2−ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、
サリチル酸フェニル、4−tert−ブチルフェニルサリチレート等のサリチル酸エステル系紫外線吸収剤等を用いることができる。
【0066】
また、その他に、吸収波長と着色性の問題を考慮して、ベンゾトリアゾール骨格にアクリロイル基又はメタクリロイル基を導入した反応型紫外線吸収剤等を用いることも好ましい。
【0067】
さらに、本発明の化粧シートの基材シート、アクリル系樹脂シート、接着剤層等には、耐候性の付与(又は向上)、即ち、日光による変褪色、亀裂、白化、強度劣化等の防止のため、各種のアミン系ラジカル捕捉剤を添加することができる。
【0068】
ラジカル捕捉剤としては、例えば、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、特公平4−82625号公報に開示されている化合物等のヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、ピペリジル系ラジカル捕捉剤等を用いることができる。
【0069】
本発明の化粧シートの最表面には、エンボス加工等により凹凸模様を施すこともできる。また、前記エンボス凹部にインキを充填するワイピング加工を施すことも好ましい。
【0070】
前記エンボス加工は、化粧シートに木材板表面等所望のテクスチァーを付与するために行われる。例えば、エンボス加工は、加熱ドラム上でアクリル系樹脂を加熱軟化させ、更に赤外線輻射ヒーターで160〜180℃に加熱し、所望の形の凹凸模様を設けたエンボス板で加圧、賦形し、冷却固定して形成するもので、公知の枚葉或いは輪転式のエンボス機が用いられる。凹凸模様としては、木目導管溝、浮造模様(浮出した年輪の凹凸模様)、ヘアライン、砂目、梨地等が用いられる。
【0071】
ワイピング加工とは、エンボス加工で設けた凹部にドクターブレードで表面をかきながらインキを充填する加工をいう。ワイピングインキとしては、通常、2液硬化型のウレタン樹脂を用いることができる。ワイピング加工は、特に木目導管溝凹凸に対して行うことによって、より実際の木目に近い意匠を表現する事により商品価値を高めるために施される。
【0072】
さらに、本発明の化粧シートの最表面には、オーバコート加工(OP加工)を施すことにより、オーバーコート層(表面保護層)を形成することが好ましい。OP加工は、化粧シート表面の傷のつきやすさをカバーし、耐擦傷性を向上させるために施される。OP加工に用いられる樹脂としては、例えば、2液硬化型のウレタン系樹脂を挙げることができる。2液硬化型のウレタン系樹脂は、ポリオールを主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするウレタン樹脂である。ポリオール、及びイソシアネートとしては、前記に列記したもの全てを好ましく使用することができる。
【0073】
用いるイソシアネート化合物中のイソシアネート基は、該塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体中の極性官能基とウレタン結合によって架橋し、易接着処理層自体の凝集破壊強度を向上させ、又、加熱時のクリープ変形によるシートや接着剤層との剥離を防止する。
【0074】
更に、イソシアネート基は、ポリオレフィン系樹脂シート表面の極性官能基ともウレタン結合して、シートとプライマー層との強度をも向上させる。イソシアネート化合物としては、後述のアンカー剤層の所で列記するものと同様のものから選択することができる。これらの中でも、耐熱性、耐候性の点から、脂肪族イソシアネート(脂環式)のものが好ましい。
【0075】
本発明の化粧シートの裏面には易接着処理層を形成するのが好ましい。易接着処理層は、ポリオレフィン系樹脂シートと、木質板と貼着するための接着剤層との層間密着性を高め、且つ耐ブロッキング性及び印刷塗工適性を付与するために設けられる。
【0076】
前記易接着処理層を構成する材料としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体をバインダー樹脂として、該樹脂中に、シリカ及び沈降性硫酸バリウム又はシリカ及び炭酸カルシウムのいずれかの組み合わせからなる体質顔料を含有させた樹脂組成物を使用するのが好ましい。
【0077】
化粧シートを被着体に接着させる場合に使われる通常の接着剤は、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、1液又は2液硬化型ウレタン樹脂からなる。バインダーとして用いる塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体は、一般的に広く使用されている汎用性接着剤との接着性に優れる。
【0078】
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体は、その共重合比が塩化ビニル/酢酸ビニル=1/9〜9/1(モル比)の範囲の中のものから、用途等に応じて選択することができる。
【0079】
また、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体中に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体1分子当たり、少なくとも2個以上の割合で、水酸基、カルボキシル基等の活性水素を持った極性官能基を有するビニル−酢酸ビニルグラフト共重合体をバインダーとして用いるのも好ましい。
【0080】
かかるビニル−酢酸ビニルグラフト共重合体は、例えば、塩化ビニル及び酢酸ビニル以外に、マレイン酸、フマル酸、ビニルアルコール等の極性官能基となるモノマーを添加したものをグラフト重合(又は変成)させることにより得ることができる。
【0081】
体質顔料の1成分であるシリカは、組み合わせるもう一方の体質顔料(沈降性硫酸バリウム又は炭酸カルシウム)よりも耐ブロッキング性に関しては効果的である。シリカの含有量は、樹脂分100重量部に対する重量比で5〜80重量部の範囲が好ましい。80重量部を越えると印刷適性や塗工適性、接着適性が不良となり、5重量部未満だと他方の体質顔料を多量に入れたとしても耐ブロッキング性の効果が十分に得られない。なお、シリカ含有量の前記5〜80重量部は、後述表1に従い体積比で表すと、0.03〜0.51に相当する。
【0082】
少なくとも一方の体質顔料としてシリカを用い、他方の体質顔料として沈降性硫酸バリウム又は炭酸カルシウムを用いる2種の体質顔料の組み合わせからなる2種の体質顔料の含有総量は、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の体積を1としたときに、該重合体に対する体積比(体質顔料総量/塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体)で、0.50〜1.00程度が好ましい。
【0083】
但し、耐ブロッキング性の向上を重視する場合は、上記体積比は0.75〜1.00が好ましい。また、密着性の向上を考慮する場合には、上記体積比は0.50〜0.75が好ましい。体質顔料の総量がこれらの範囲を越える場合には密着性が低下し、これらの範囲より少ないと耐ブロッキング性が悪化する。
【0084】
また、基本的には、沈降性硫酸バリウムや炭酸カルシウムよりも大きい粒径のシリカを使用すると、耐ブロッキング性等で良好な結果を得ることができる。
本発明の化粧シートの易接着処理層に使用される各材料の物性値を、下記表1に示す。
【0085】
【表1】
Figure 0004889842
【0086】
易接着処理層は、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷等の公知の印刷方法や、グラビア塗工等の公知の塗工方法により形成することができるが、予め基材シートの形成面に、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理などの易接着処理を施した上で形成するのが、基材シートと易接着処理層との密着性が良好となるのでより好ましい。易接着処理層の膜厚は、通常1〜10μm程度である。
【0087】
また、易接着処理層は、通常は化粧シートの片面、それも通常は裏面に形成するが、化粧シートを貼着する被着体の少なくとも一方が透明の場合には、易接着プライマー層が化粧シートの両面に形成されていてもよい。
【0088】
易接着処理層を以上のような構成とすることにより耐ブロッキング性を向上させ、且つ被着体との密着性も良好となり、また易接着処理層形成の為の印刷や塗工時のインキの印刷適性や、塗液の塗工適性を良好に維持することができる。
【0089】
また、上記易接着処理層は、凹凸模様賦形時にエンボス加工工程を経ても劣化しない等の耐熱性をも有する。この為、装飾層等を印刷等による形成する前に基材シートに易接着処理層を別工程にて形成しておくこともできる。この場合には、シートロスの発生を低減させることができ、製造コストを低廉化する効果も得られる。
【0090】
また、基材シート表面に予めコロナ放電処理を施した後に、易接着処理層を形成する場合には、これらを一工程で行った後に、連続して別工程で他の基材との積層や印刷等による装飾処理を行うことができる。この場合には、コロナ放電処理効果の経時的低下を防止することができる。さらに、前記の如くエンボス加工における耐熱性を有するので、エンボス加工速度の向上による生産性向上も図ることができる。
【0091】
本発明の化粧シートは、各種木質板に貼着して木質化粧板として使用される。化粧シートの木質板上への貼着は、通常、本発明の化粧シートの前記易接着処理層上に適当な接着剤層を介して行うことができる。例えば、本発明の化粧シートの裏面に接着剤層を形成し、木質板を貼着する等の方法による。
【0092】
被着体となる木質板としては、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピー等各種素材の突板、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木質材等がある。
【0093】
以上のようにして製造される木質化粧板は、種々の用途、例えば、壁、天井、床等の建築物の内装材、窓枠、扉、手すり等の建具の表面化粧板、家具又は弱電、OA機器等のキャビネットの表面化粧板等に好ましく用いることができる。
【0094】
【実施例】
次に、実施例により、本発明の化粧シート及び木質化粧板を更に詳細に説明する。なお、以下に示すのは本発明の化粧シート及び木質化粧板の一実施例であり、本発明の化粧シート及び木質化粧板は、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更することができる。
【0095】
実施例1
ポリプロピレンランダム共重合体のハードセグメント60重量部と水素添加スチレン−ブタジエンゴム30重量部の混合物中に、ベンゾトリアゾールベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を8000ppm、及びヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤を4000ppmの濃度となるようにそれぞれ添加してなる樹脂組成物から形成した透明ポリプロピレン熱可塑性エラストマーシート(厚み0.08mm,幅1320mm)1の表裏両面に、コロナ放電処理を施し、臨界面張力が38dyne/cmとなるようにした。
【0096】
次いで、その表面にポリエステルアクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートからなるウレタン系2液硬化型インクを2μm塗工して、プライマー層2を形成した。さらに、アクリルウレタン系バインダーに、キナクリドンレッド、フタロシアニンブルー、イソインドリンイエロー及びカーボンブラックからなる顔料を添加したインキにて、着色ベタ層3及び木目絵柄層4を下地を透視可能に形成した。
【0097】
次に、この印刷シートの印刷面に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含むポリメチルメタクリレート系透明アクリルフィルム(鐘淵化学(株)製、厚さ50μm)5を熱融着させた。
【0098】
その後、最表面に、アクリルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートにシリカの艶消し剤を添加してなる2液硬化型アクリルウレタン系インキを用いて、木目導管パターンにグラビア印刷7を施した。
【0099】
次いで、得られたシートの印刷面と反対側の面上に、マレイン酸をグラフト重合してなる塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体及びヘキサメチレンジイソシアネートからなるバインダー100重量部に、平均粒径3.5μmのシリカ粉末23重量部と平均粒径0.5μmの沈降性硫酸バリウム192重量部をそれぞれ添加してなる樹脂組成物を厚さ2μmで塗工することにより、易接着処理層8を形成して、図1に示すような化粧シートを作製した。
【0100】
実施例2
実施例1で作製した化粧シートの易接着処理層8側と厚さ5mmのラワン合板10とを、酢酸ビニル系エマルジョンからなる接着剤を40g/m2 で塗工して形成した接着剤層9を介して接着せしめることにより、図2に示すような木質化粧板を作製した。
【0101】
耐候性試験
実施例1で作製した化粧シートを用いて耐候性試験を行った。即ち、化粧シートにサンシャインカーボンアーク型ウェザーオメータを用い、ブラックパネル温度63℃、降雨時間が120分中18分の条件で、1,000時間人工光を照射し、500時間経過後及び1000時間経過後の化粧シートの各層間の剥離及び変褪色を目視にて観察した。その結果、500時間経過後、1,000時間経過後においても、実施例1の化粧シートの各層間の剥離及び変褪色は見られなかった。従って、実施例1の化粧シートは優れた耐候性を有していることがわかった。
【0102】
化粧シート/木質合板の密着性試験
実施例2で作製した木質化粧板を用いて、化粧シート/木質合板の密着性試験を以下のように行った。即ち、木質化粧板の化粧シートと木質合板との20℃における剥離強度を、180°引っ張り試験にて評価したところ、2.2(kg/25mm幅)であった。従って、実施例2で作製した木質化粧板は、十分な化粧シート/木質合板の密着強度を有していることがわかった。
【0103】
耐ブロッキング試験
実施例1と同様にして化粧シートを作製時におけるシート裏面の易接着処理層を形成する工程において、該易接着処理層を塗工し、接触乾燥させた直後に、4枚の化粧シートを鉄製の平滑平坦な水平台上に同じ向きで重ね、上から5kg/cm2 の荷重をかえ、40℃で48時間放置した。その後、4枚の化粧シートを剥離した。易接着処理層(化粧シートの裏面)に隣接する別の化粧シートの印刷面(表面)への転移付着は見られなかった。従って、実施例1の化粧シートは、優れた耐ブロッキング性を有していることがわかった。
【0104】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の化粧シートは、透明性に優れるので、天然木からなる木質板上に貼着した際に、天然木の照り等の高い意匠性を発揮するものである。また、木質板との密着性及び耐候性に優れている。
【0105】
また、本発明の化粧シートは、裏面に特定の材料から構成される易接着処理層を有しているので、化粧シートの巻取り工程において、いわゆるブロッキングといった生産トラブルの発生がない。従って、歩留り良く化粧シートを製造することができる。
【0106】
本発明の木質化粧板は、化粧シート裏面に特定の材料から構成される易接着処理層を介して、木質合板を貼着したものである。従って、化粧シートと木質合板との密着性及び耐候性に特に優れている。
【0107】
また、本発明の木質化粧板は、木質板固有の表面光沢等を活かし、且つ、天然木で不足している木目模様を化粧シートの木目絵柄で補っている木質化粧板である。
【0108】
さらに、本発明の化粧シート及び木質化粧板は、非塩化ビニル樹脂系の材料で構成されるため、廃棄・焼却時に塩素系ガスの発生もなく、環境上の問題が少ないものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの断面図である。
【図2】本発明の木質化粧板の断面図である。
【符号の説明】
1…透明基材シート、2…プライマー層、3…着色ベタ層、4…木目絵柄層、5…透明アクリルフィルム、6…OPコート、7…導管パターン、8…易接着処理層、9…接着剤層、10…木質板

Claims (4)

  1. 高密度ポリエチレン及びゴム、又はアイソタクチックポリプロピレン及びゴムを含有する樹脂組成物から形成された透明基材シートと、
    前記透明基材シート上に積層された透明アクリル系樹脂シートと、
    前記透明基材シート上に透視可能に設けられた木目絵柄層とを有する構成からなり、木目意匠を有する木質板上に貼着される化粧シートであって、
    前記木目絵柄層がアクリルウレタン系バインダーを含有してなり、前記透明基材シートと前記木目絵柄層との間に、アクリルウレタン系樹脂を含有するプライマー層を有し、
    さらに前記透明基材シートの裏面に易接着処理層を有するとともに
    前記易接着処理層は、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂及び体質顔料を含有する樹脂組成物から形成され、前記化粧シートを木質板上に貼着した際、前記化粧シートを透して木質板の木目意匠が見えることを特徴とする木質板貼着用化粧シート。
  2. 前記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂はマレイン酸を添加したものをグラフト重合させたことを特徴とする、請求項1記載の木質板貼着用化粧シート。
  3. 前記体質顔料がシリカ及び沈降性硫酸バリウム又はシリカ及び炭酸カルシウムのいずれかの組合せからなることを特徴とする、請求項1又は2のいずれかに記載の木質板貼着用化粧シート。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の木質板貼着用化粧シートを木質板上に貼着してなる木質化粧板。
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