JP3880183B2 - 化粧シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、壁面、天井、扉、家電製品の表面装飾材料として有用な非塩化ビニル系のエコロジーシート(エコロジーを考慮したシート)を用いた化粧シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、着色ポリオレフィン樹脂からなる基材シートに、絵柄印刷等の装飾処理を施し、この印刷シートと、ポリオレフィンからなる透明シートを貼り合わせ、さらに、表面にコロナ処理等の易接着処理を行い、その上に上塗り保護層(OPコート処理層)を施した化粧シートが、特開平2−128843号公報等により知られている。かかる化粧シートは、非塩化ビニル系のエコロジーシートとして環境面で優れ、壁、天井、手すり、家電製品等の表面装飾材料として広く用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の化粧シートは、透明シート上に易接着処理を施したとしても、その上面のOPコート処理層との接着性に乏しく、OPコートが剥離し易い。特に、日光に暴露されることにより、急速に接着性が低下し、OPコートとの接着性の耐候性に欠けるという問題があった。
従って、OPコートの接着性及びその耐候性に優れ、かつ、環境に優しい非塩化ビニル系のエコロジーシートである化粧シートの開発が要望されている。
本発明は、耐候性に優れ、かつ、環境に優しい非塩化ビニル系のエコロジーシートである化粧シートを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の化粧シートは、上記課題を解決すべく、基材シート上に表面保護層を有する化粧シートにおいて、該表面保護層が、基材シート側から、ポリオレフィン系樹脂層および極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂層からなる積層体であって、前記表面保護層の上にイソシアネート基からなる上塗り保護層を有し、前記ポリオレフィン系樹脂層、または極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂の少なくとも一方が、分子中に水酸基を有する有機系の紫外線吸収剤を含有してなることを特徴とする。
【0005】
好ましくは、本発明の化粧シートは、前記基材シートと前記表面保護層との間に装飾層を有し、前記表面保護層の上に、さらに上塗り保護層(OPコート層)を有する。
【0006】
より好ましくは、前記極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂層は、オレフィンに、不飽和カルボン酸、酸無水物およびエステルから選ばれる少なくとも1種を、オレフィンに対し、10-4〜10重量%の範囲でグラフト共重合させてなる変性ポリオレフィンの1種または2種以上の混合物であることを特徴とする。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】
本発明の化粧シートに用いられる基材シートは、環境面から、非塩化ビニル系樹脂であれば特に制限はないが、ポリオレフィン系のものが特に好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、オレフィン系熱可塑性エラストラマーや非エラストラマーオレフィン系樹脂等が挙げられる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン−1共重合体、アイオノマー等の結晶質の非エラストラマーポリオレフィン系樹脂、あるいはオレフィン系熱可塑性エラストラマーが用いられるが、化粧シートの成形加工適性の点からは、オレフィン系熱可塑性エラストラマーが好ましい。
【0008】
オレフィン系熱可塑性エラストラマー樹脂は、オレフィン系エラストラマーと非エラストラマーポリオレフィン系樹脂とからなる複合材料の熱可塑性エラストラマーであり、例えば、下記のものがある。
(1)ソフトセグメントとしての非晶質のオレフィン系エラストラマーとハードセグメントとしての結晶質の非エラストラマーオレフィン系樹脂との単純ブレンド
(2)オレフィン系エラストラマーと非エラストラマーオレフィン系樹脂とを部分的に架橋させて複合化した架橋タイプ
(3)オレフィン系エラストラマーを架橋させて、それを非エラストラマーオレフィン系樹脂に分散させたタイプ
【0009】
上記オレフィン系エラストラマーとしては、EPDM等に代表されるエチレン系ゴムが挙げられ、また、非エラストラマーオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の結晶質重合体が挙げられる。また、上記組成物には必要に応じ、適宜、難燃剤、酸化防止剤等の通常のポリオレフィン系樹脂に用いられるような添加剤を添加することができる。
【0010】
上記(2)のタイプとしては、例えば、イ)特公昭53−21021号公報、特公昭53−34210号公報等に記載されているもの、ロ)特公昭56−15741号公報に記載されているもの等が挙げられる。
【0011】
より具体的には、例えば、上記イ)としては、60〜80重量部のモノポリオレフィン共重合エラストラマー(A)と、40〜20重量部の非エラストラマーポリオレフィン系プラスチック(B)、及びそれらの硬化剤とを混合し、それらを硬化温度で、素練り中に硬化していないブレンド物の通常の溶剤に不溶にならない程度に部分的に硬化させたものがある。前記オレフィン系共重合エラストラマーとしては、2種類又は3種類以上のオレフィンと共重合しうるポリエンを少なくとも1種を加えた弾性共重合体である。
【0012】
前記オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、α−ポリオレフィン等が使用され、ポリエンとしては、1,4−ヘキサジエン、環状ジエン、ノルボネン等が使用される。
【0013】
上記非エラストラマーポリオレフィン系プラスチック(B)としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン等のポリオレフィンを常法で重合して得られる結晶質熱可塑性樹脂であり、高級α−ポリオレフィンで変成したポリエチレン、ポリプロピレン等も含む。
【0014】
また、硬化剤としては、パーオキサイド、アザイド型、アルデヒド−アミン反応生成物、置換ウレア、キサンテート類、ジチオカーバメート類、イミダゾール類、スルフォンアミド類、チウラムダイサルファイト類、パラキノンジオキシム、ジベンゾパラキノンジオキシム、硫黄等を挙げることができる。
【0015】
また、上記ロ)としては、エチレン−プロピレン系共重合ゴム、エチレン−プロピレン非共役ジエンゴム、エチレン−ブタジエン共重合体ゴム、等のポリオレフィン系共重合体ゴムと、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体等を、高沸点石油留分、パラフィン系、ナフテン系、あるい芳香族系等の鉱物油系軟化剤とともに、有機ペルオキシドとともに、溶融混練して部分的に架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストラマーが挙げられる。
【0016】
本発明に用いられるポリオレフィン系樹脂は、単独でも用いられ得るが、積層体でもよく、また、ポリオレフィン系樹脂に柔軟性、耐衝撃性、易接着性を付与するために、好ましくは、ジエン系ゴム、水素添加ジエン系ゴム、オレフィン系エラストラマー等の各種ゴム類を添加することもできる。ゴムの添加量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、1〜90重量部程度が好ましい。
【0017】
前記基材シートの表面は、必要に応じ、コロナ放電処理、プラズマ処理、アンカーコート処理、脱脂処理、表面粗面処理、塩化第2銅等の薬品による活性化処理等の公知の易接着処理を施すことができる。
【0018】
また、前記基材シートには、隠蔽性を付与するために、適宜顔料、体質顔料、染料等を添加することができる。
【0019】
ポリオレフィン系樹脂層中に添加する顔料としては、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラック等の有機顔料(或いは染料も含む)、アルミニウム、真鍮等の箔粉からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢顔料等がある。
【0020】
顔料添加による着色は、透明着色でも或いは不透明(隠蔽性)着色でもよい。これらは、粉末あるいは鱗片状箔片として添加、分散せしめられる。
【0021】
本発明において、前記基材シートの上には、好ましくは装飾層が設けられる。装飾層は、化粧シートの装飾性を向上させる為に設けられる。装飾層の形成方法として、例えば、顔料添加による方法、前記基材シート上に絵柄などの模様印刷をインキ、塗料等により施す方法、前記基材シート上に金属薄膜層、部分金属薄膜層等を設ける方法等の1種またはこれらの2種以上の組み合わせを用いることができる。
【0022】
模様印刷としては、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷等の公知の印刷法を用いて、インキ(或いは塗料)にて模様を形成することができる。
【0023】
模様としては、木目模様、石目模様、布目模様、皮絞模様、幾何学模様、文字記号、或いは全面ベタ等がある。
【0024】
インキ或いは塗料としては、バインダーに必要に応じて、顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したものを用いることができる。バインダーとしては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離線硬化性樹脂等の中から、必要な物性、印刷適正等に応じて適宜選択することができる。例えば、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂等を用いることができ、これらの1種又は2種以上を混合、更にこれに前記列挙した顔料を添加したものを用いる。
【0025】
ポリオレフィン系樹脂に直接印刷する場合には、バインダーとして塩素化ポリオレフィンウレタン樹脂等が接着性の点で好ましいが、易接着性プライマーを適宜選択して層を形成すれば、その他のバインダーを用いても十分な接着性を与えることができる。
【0026】
金属薄膜は、アルミニウム、クロム、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、亜鉛、真鍮、ステンレス等の金属を用い、真空蒸着、スパッタリング等の方法で成膜することができる。或いは、これらの組み合わせでもよい。該金属薄膜は、全面に設けることも、或いは、部分的にパターン状に設けることもできる。なお、本発明においては、前記装飾処理層を省略する事ができる。
【0027】
さらに、本発明においては、前記基材シート上に、基材シートと装飾処理層間の密着性を向上させる為に、所望によりプライマー層を設けることができる。
該プライマー層は、通常、基材シートはコロナ放電処理が施されているため、表面に存在する官能基と反応させることにより基材シートと装飾処理層との密着性を向上させるために設けられる。
【0028】
プライマー層としては、2液硬化型のウレタン系樹脂の使用が好ましい。イソシアナートとしてヘキサメチレンジイソシアナート(HMDI)を、ポリオールとしてアクリルポリオールを使用すると、耐光密着性がよいので特に好ましく使用することができる。
【0029】
本発明の化粧シートは、前記基材シート上あるいは装飾処理層を介して表面保護層を有する。該表面保護層は、基材シートおよび/または装飾層を保護するために設けられる。
【0030】
前記基材シートと前記表面保護層を接着するには、接着面に、液体接着剤の場合には、塗工方式を適用するが、ホットメルト接着剤のように熱熔融固化型の場合にはエクストルージョンコート等により、一度接着面に塗工乾燥後、相手基材を積層して加熱、加圧する方法、フィルム型の場合、接着すべき基材間に接着剤フィルムを積層し加圧、又は加熱加圧する方法による。
【0031】
本発明の化粧シートは、前記表面保護層が、基材シート側から、ポリオレフィン系樹脂層および極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂層からなる積層体であることを特徴とする。又、必要に応じ、両層間の接着力をより強化すべく、両層間に更に接着剤層を設けてもよい。
【0032】
前記表面保護層のポリオレフィン系樹脂層に用いることのできるポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン−1共重合体、ポリプロピレン、プロピレン・ブテン−1共重合体、ポリブテン−2、ブテン−1・プロピレン・エチレン・3元共重合体、ブテン−1・ヘキセン・オクテン・3元共重合体、ポリメチルペンテン、特公平6−23278号公報記載のアイソタクチックポリプロピレンをハードセグメント、アタクチックポリプロピレンをソフトセグメントとするポリプロピレン系のオレフィン系熱可塑性エラストマー、特開平5−77371号公報、特開平9−111055号公報等に記載のエチレン・プロピレン・ブテン・3元共重合体系のオレフィン系熱可塑性エラストマー等のオレフィン系熱可塑性エラストマー等を使用することができる。
【0033】
これらの樹脂は、単独でも2種以上を混合してもよい。該オレフィン系樹脂層の膜厚は、通常、30〜100μm程度が好ましい。
【0034】
前記表面保護層の層間の接着剤層の接着剤として用いることのできる樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、酢酸ビニルーアクリレート系樹脂、カルボキシル基含有アクリル樹脂、酢酸ビニル−エチレン系樹脂、ポリビニルエーテル、シアノアクリル系樹脂等の各樹脂を使用することができる。これらの内、基材シートとの密着性(耐候密着性を含む)を考慮して、ウレタン系樹脂接着剤が特に好ましい。
【0035】
ウレタン系樹脂接着剤としては、2液硬化型ウレタン樹脂を用いるのが好ましい。例えば、ポリオールを主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするウレタン樹脂である。
【0036】
ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が用いられる。
【0037】
また、イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシネートが用いられる。
【0038】
例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(乃至は脂環族)イソシアネートが用いられる。或いは、上記各種イソシアネートの付加体又は多量体を用いる事もできる。例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネートの3量体等がある。該接着剤層の膜厚は、通常、5〜15μm程度が好ましい。
【0039】
前記表面保護層の最表面側には、前記極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂からなる層が設けられる。前記極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂からなる層は、その上面に施す上塗り保護層との密着性を向上させ、化粧シートの耐候性(特に、上塗り保護層との接着力の耐候性)を高める役割を果たす。
【0040】
前記極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ブテン−2、ペンテン−1等のオレフィンに、水酸基、カルボキシル基等の極性官能基を有する単量体、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、マレイン酸無水物等の酸無水物、及びアクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸エステルから選ばれる少なくとも1種を、前記オレフィンに対し、10-4〜10重量%の範囲でグラフト共重合させてなる変性ポリオレフィンの1種又は2種以上の混合物が好ましい。前記極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂からなる層の膜厚は、通常、5〜10μm程度が好ましい。
【0041】
なお、化粧シート全体の耐候性、特に、表面保護層の変色、亀裂、脆化等の劣化、装飾層の変色及び表面保護層と基材シートとの接着力の低下を防止する為、表面保護層のポリオレフィン系樹脂層と極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂層のいずれか一方、又は両方に紫外線吸収剤を添加することが望ましい。
【0042】
紫外線吸収剤としては、各種の有機系、無機系の物が使用可能であるが、透明性の点から、好ましくは、分子中に水酸基を有する有機系の化合物を使用する。例えば、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−アミル−5’−イソブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−イソブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−イソブチル−5’−プロピルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等の2’−ヒドロキシフェニル−5−クロロベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤類、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等の2’−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤類等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2、2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等の2,2’−ジヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等の2−ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸フェニル、4−tert−ブチルフェニル−サリチレート等のサリチル酸エステル系紫外線吸収剤等が用いられる。その他、ベンゾトリアゾール骨格にアクロリル基又はメタクリロイル基を導入した反応型紫外線吸収剤等も用いられる。尚、これら紫外線吸収剤の添加量は、通常、0.1〜5重量%が好ましい。
【0043】
紫外線による各層の劣化をさらに防止し、耐候性を向上させるためには、他の光安定剤としてラジカル捕捉剤も添加することが好ましい。このラジカル捕捉剤としては、例えば、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、その他、例えば、特公平4−82625号公報に開示されている化合物等のヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、ピペリジニル系カジカル捕捉剤等が使用される。
【0044】
なお、ポリオレフィン中に、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤からなる光安定剤を添加する場合には、ポリオレフィン樹脂はもとより、ポリオレフィン樹脂シートに隣接するインキ層、接着剤層等の層には、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂等の分子中に塩素原子を含まない樹脂を用いると、耐候性向上の点で良好である。もし、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリオレフィン等の分子中に塩素原子を含む樹脂を用いると、紫外線又は熱の作用により、これら樹脂から脱塩素反応で塩化水素が発生し、これがヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤と反応してその作用を失活・阻害するため、耐候性が十分に向上しない。
【0045】
本発明の化粧シートは、前記表面保護層上に、上塗り保護層(OPコート層)を有する。該上塗り保護層は、化粧シート表面の傷のつきやすさをカバーし、耐擦傷性を向上させるために設けられる。上塗り保護層の膜厚は、通常、1〜10μm程度とする。OPコート加工に用いられる樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、珪素樹脂、紫外線又は電子線で硬化する多官能アクリレート等があるが、好ましいものとして、2液硬化型のウレタン系樹脂、1液型ウレタン樹等のイソシアネート基を有する樹脂を挙げることができる。2液硬化型のウレタン系樹脂は、ポリオールを主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするウレタン樹脂である。2液硬化型ウレタン系樹脂の場合、より好ましくは、イソシアネートのもつイソシアネート基の数(mol数)を、それと反応すべきポリオールのもつ水酸基の数(mol数)より過剰とし、ウレタン結合を生じた後でも、余剰のイソシアネート基を確実に、且つ、より多量に残留させるようにするとよい。その場合、イソシアネート基の数/水酸基の数は、最大1.4程度である。
【0046】
ポリオールは、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が用いられる。
【0047】
また、イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートが用いられる。例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(乃至は脂環族)イソシアネート等が用いられる。或いはまた、上記各種イソシアネートの付加体、又は多量体を用いることもできる。例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネートの3量体等がある。
【0048】
1液型湿気硬化ウレタン樹脂は、分子末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを必須成分とする組成物である。前記プレポリマーは、通常は、分子両末端に各々イソシアネート基を1個以上有するポリイソシアネートプレポリマーであり、室温で固体の熱可塑性樹脂の状態にあるものである。イソシアネート基同士が空気中の水分により反応して鎖延長反応を起こして、その結果、分子鎖中に尿素結合を有する反応物を生じて、この尿素結合にさらに分子末端のイソシアネート基が反応して、ビウレット結合を起こして分岐し、架橋反応を起こす。
【0049】
分子末端にイソシアネート基を有するプレポリマーの分子鎖の骨格構造は任意であるが、具体的には、ウレタン結合を有するポリウレタン骨格、エステル結合を有するポリエステル骨格、ポリブタジエン骨格等である。適宜、これらの1種又は2種以上の骨格構造を採用する。なお、分子鎖中にウレタン結合がある場合は、このウレタン結合とも末端イソシアネート基が反応して、アロファネート結合を生じて、このアロファネート結合によっても架橋官能を起こす。
【0050】
紫外線吸収剤として、分子中に水酸基を有する有機系の化合物を使用し、表面層は、イソシアネート基を有する樹脂を使用して形成するのが好ましい。このような組み合わせにしておくと、紫外線吸収剤がブリードアウト(溶出)して表面層に入ると、その紫外線吸収剤の水酸基と表面層中のイソシアネート基とが反応してウレタン結合を形成し、表面層中に捕捉される。従って、紫外線吸収剤の経時的なブリードアウトが防止される。特に、有機系の紫外線吸収剤がブリードアウトし易いポリオレフィン樹脂の場合に有効である。
【0051】
なお、以上の様にして製造される本発明の化粧シートの基材シートの裏面(OPコートの反対側)には、所望に応じて、粘着剤層及び剥離シートを設けることができる。化粧シートは、壁面等の貼着時に剥離シートを化粧シート及び粘着剤層から剥離して使用する。それによって、化粧シートを簡便に被着体に貼着することができる。
かかる粘着剤層を構成する樹脂としては、例えば、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリルゴム等のゴム系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、エチレンー酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩素化オレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂等が挙げられる。
【0052】
また、粘着付与剤として、ロジン、ダンマル、重合ロジン、部分水添ロジン、エステルロジン、ポリテルペン系樹脂、テルペン変性体、石油系樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、クロマン−インデン系樹脂等を添加することもできる。なお、必要に応じて、軟化剤、充填剤、老化防止剤等も添加することができ、有機溶剤により粘度を調節する。
【0053】
前記粘着剤層は、ロールコーティング、ダイコーティング、ナイフコーティング、グラビアコーティング法等により形成することができる。
【0054】
本発明の化粧シートは他の被着体に積層することもできる。積層は、被着体に化粧シート自体が(熱融着等で)接着可能な場合は、接着剤層は省略することもできる。また、化粧シート自体では被着体と接着しない場合は、適当な接着剤にて積層する。被着体が最終製品であり、その表面化粧の為に化粧シートを積層する場合もあれば、必要に応じ、化粧シートの力学的強度の補強、或いは隠蔽性の付与の為、化粧シート裏面に被着体を積層する場合もある。
【0055】
被着体としては、各種素材の平板、曲面板等の板材、立体形状物品、シート(或いはフィルム)のいずれにも用いられる素材としては、木材単板、木材合板、パティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木質材、鉄、アルミニウム等の金属、アクリル樹脂、ポリカーボネート、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアセテート共重合体、ポリエステル、ポリスチレン、オレフィン系樹脂、ABS樹脂、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、セルロース系樹脂、ゴム等の樹脂、専ら板材、或いは立体形状物品として用いられる素材としては、ガラス、陶磁器等のセラミックス、ALC(発泡軽量コンクリート)等のセメント、珪酸カルシウム、石膏等の非セメント窯業系材料、専らシート(或いはフィルム)として用いられる素材としては、上質紙、和紙等の紙、或いは炭素、石綿、チタン酸カリウム、ガラス、合成樹脂等の繊維からなる不織布又は織布等がある。
【0056】
これら各種被着体への積層方法としては、例えば、▲1▼接着剤を間に介して板状基材に加圧ローラーで加圧して積層する方法、▲2▼特公昭50−19132号公報、特公昭43−27488号公報等に記載されるように、化粧シートを射出成形の雌雄両金型に挿入して、両金型を閉じ、雄型のゲートから熔融樹脂を射出充填した後、冷却して樹脂成形品の成形と同時にその表面に化粧シートを接着し積層する、いわゆる射出成形同時ラミネート方法、▲3▼特公昭56−45768号公報、特公昭60−58014号公報等に記載されるように、成形品の表面に化粧シートを間に接着剤層を介して対向乃至は載置し、成形品からの真空吸引による圧力差により化粧シートを成形品表面に積層する、いわゆる真空プレス積層方法、▲4▼特公昭61−5895号公報、特公平3−2666号公報等に記載されるように、円柱、多角柱等の柱状基材の長軸方向に、化粧シートを間に接着剤層を介して供給しつつ、複数の向きの異なるローラーにより、柱状体を構成する複数の側面に順次化粧シートを加圧接着して積層してゆく、所謂ラッピング加工方法、▲5▼実公大15−31122号公報、特開昭48−47972号公報等に記載されるように、先ず化粧シートを板状基材に接着剤層を介して積層し、次いで板状基材の化粧シートとは反対側の面に、化粧シートと板状基材との界面に到達する断面がV字状、又はU字状の溝を切削し、次いで、該溝内に接着剤を塗布した上で、該溝を折り曲げ箱体、又は柱状体を成形する、所謂VカットまたはUカット加工方法等がある。
【0057】
以上説明したように、本発明の化粧シートは、表面保護層の最上層に、極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂層を設けたことを特徴とするものであり、その上に施される上塗り保護層との密着性に優れたものである。従って、本発明の化粧シートは、耐候性に優れている。また、非塩化ビニル系樹脂を主として用いるので、廃棄・焼却時に、有害な塩素化物ガスが発生することがほとんどないので、環境に優しい化粧シートである。本発明の化粧シートは、壁、床、天井等の建築物の内装、扉、窓枠、手すり等の建具、箪笥等の家具、車両内装、船舶内装等の表面装飾材料として、好適に使用することができる。
【0058】
【発明の実施の形態】
以下に、種々の実施形態を示しながら本発明を更に詳細に説明する。
第1実施形態
本発明の化粧シートの第1の実施形態を図1(A)に示す。この化粧シートは、オレフィン系熱可塑性エラストラマーや非エラストラマーオレフィン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂からなる基材シート1に、色と隠蔽性を付与するために着色顔料2を含有させ、該基材シート1上に、図柄を印刷した装飾層3を設け、さらに該装飾層3の上に、接着剤層4を介して、基材シート側からポリオレフィン系樹脂層5、第2の接着剤層6、及び極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂層7の3層が積層された表面保護層8を有している。
本実施形態の化粧シートは、表面保護層の上塗り保護層側に、極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂としたことにより、上層の上塗り保護層との密着性が著しく高められている。
【0059】
第2実施形態
本発明の化粧シートの第2の実施形態を図1(B)に示す。この化粧シートは、前記実施形態1の化粧シート表面に、さらに、2液硬化型のウレタン系樹脂からなる上塗り保護層(OPコート層)9を設け、又、極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂層7とポリオレフィン系樹脂層5の両層に、分子中に水酸基を有する有機系の紫外線吸収剤を添加したものである。
本実施形態の化粧シートは、表面保護層の上塗り保護層側に、極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂としたことにより、上層の上塗り保護層との密着性が著しく高められた、耐候性に優れた化粧シートである。
【0060】
第3実施形態
本発明の化粧シートの第3の実施形態を図1(C)に示す。この化粧シートは、オレフィン系熱可塑性エラストラマーや非エラストラマーオレフィン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂からなる基材シート1に、色と隠蔽性を付与するために着色顔料2を含有させ、該基材シート1上に、図柄を印刷した装飾層3を設け、さらに該装飾層3の上に、接着剤層4を介して、基材シート側からポリオレフィン層5、第2の接着剤層6及び極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂層7の3層が積層された表面保護層8を有している。そして、前記表面保護層の最上層の極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂にワイピング加工10を施し、表面を上塗り保護層9で被覆したものである。
本実施形態の化粧シートは、表面保護層の上塗り保護層側に、極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂としたことにより、上層の上塗り保護層との密着性が著しく高められた、耐候性に優れた化粧シートである。また、表面にワイピング加工が施されており、意匠効果が高いものである。
【0061】
第4実施形態
本発明の化粧シートの第4の実施形態を図2(D)に示す。この化粧シートは、オレフィン系熱可塑性エラストラマーや非エラストラマーオレフィン系樹脂等の無色透明なポリオレフィン系樹脂からなる基材シート1上に、図柄をパターン印刷した装飾層3を設けている。さらに、本実施形態では、その上層の表面保護層との密着性を高めるために、2液硬化型のウレタン系樹脂からなるプライマー層11を設けている。そして、該装飾層3の上に、接着剤層4を介して、基材シート側からポリオレフィン系樹脂層5、第2の接着剤層6、及び極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂層7の3層が積層された表面保護層8を有している。そして、前記表面保護層の最上層の極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂にエンボス加工12を施し、表面を上塗り保護層9で被覆したものである。
本実施形態の化粧シートは、表面保護層の上塗り保護層側に、極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂としたことにより、上層の上塗り保護層との密着性が著しく高められた、耐候性に優れた化粧シートである。また、表面にワイピング加工が施されており、意匠効果が高められている。また、プライマー層を設けているので、各層の密着性に特に優れた化粧シートである。
【0062】
第5実施形態
本発明の化粧シートの第5の実施形態を図2(E)に示す。この化粧シートは、オレフィン系熱可塑性エラストラマーや非エラストラマーオレフィン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂からなる基材シート1に、色と隠蔽性を付与するために着色顔料2を含有させ、該基材シート1上に、図柄をパターン印刷した装飾層3を設けている。さらに該装飾層3の上に、接着剤層4を介して、基材シート側からポリオレフィン系樹脂層5、第2の接着剤層6及び極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂層7の3層が積層された表面保護層8を有している。そして、前記表面保護層の表面を上塗り保護層9で被覆したものである。
本実施形態の化粧シートは、表面保護層の上塗り保護層側に、極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂としたことにより、上層の上塗り保護層との密着性が著しく高められた、耐候性に優れた化粧シートである。
【0063】
第6実施形態
本発明の化粧シートの第6の実施形態を図2(F)に示す。この化粧シートは、オレフィン系熱可塑性エラストラマーや非エラストラマーオレフィン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂からなる基材シート1に、色と隠蔽性を付与するために着色顔料2を含有させ、該基材シート1上に、アルミニウム等の金属薄膜層13を全面に真空蒸着により設け、さらに該金属薄膜層13の上に、接着剤層4を介して、基材シート側からポリオレフィン層5、第2の接着剤層6、及び極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂層7の3層が積層された表面保護層8を有している。そして、前記表面保護層の表面を上塗り保護層9で被覆したものである。それに加えて、基材シート1の裏面側に、アクリル酸エステル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂等からなる粘着剤層27を設けている。
本実施形態の化粧シートは、表面保護層の上塗り保護層側に、極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂としたことにより、上層の上塗り保護層との密着性が著しく高められた、耐候性に優れた化粧シートである。また、金属薄膜を設けているため、金属光沢による独特の意匠効果を得ることができる。さらに、粘着剤層を有しているので、化粧シートを簡便に被着体に貼着することができる。
【0064】
【実施例】
次に、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1
図3(A)に示すような、化粧シートの表面保護層を形成する3層からなるクリアーシートを作製した。すなわち、厚さ20μmのアイソタクチックポリプロピレンからなる結晶質ハードセグメントと、アタクチックポリプロピレンからなる非晶質ソフトセグメントとを、80:20重量比で混合してなるポリプロピレン系熱可塑性エラストマーのポリオレフィン系樹脂層14上に、2液硬化型アクリルウレタン系樹脂(アクリルポリオールとヘキサメチレンジイソシナートとからなる)接着剤を塗布して、厚さ10μm程度の接着剤層15を形成したのち、その上に、層14と同様の樹脂に、更にマレイン酸をグラフト重合させた樹脂中に、分子中に水酸基を有するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を0.5重量%含有するポリオレフィン系樹脂層16を、厚み60μm程度で形成することにより、クリアーシート17を作製した。
【0065】
次いで、厚さ80μmのチタン白、カーボンブラック及び弁柄からなる着色顔料により隠蔽性着色としたポリエチレン製熱可塑性エラストマーからなるポリオレフィン樹脂シート18の片面にコロナ放電処理を施し、その上に弁柄を顔料とし、2液硬化型ウレタン樹脂をバインダートする絵柄印刷19を行い、印刷シートと上記で得たクリアーシート17とを、2液硬化型ウレタン樹脂の接着剤を用いてドライラミネート法により貼り合わせた。
【0066】
次に、クリアーシート側表面に、OPコート処理として、2液硬化型アクリルウレタン樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート10重両部を混合)をグラビア印刷法により乾燥時の厚さ3μmで塗工して、図3(B)に示すような、本発明の化粧シート21を得た。
【0067】
比較例1
比較例として、図4に示すような、従来から使用されているタイプの化粧シートを作製した。すなわち、実施例1と同様のポリエチレン系熱可塑性エラストマーからなる基材シート22に、実施例1と同様に絵柄印刷23を施し、この印刷シートと、極性官能基を持たない実施例1と同様のポリプロピレン系熱可塑性エラストマーの中に、分子中に水酸基を有するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を0.5重量部添加した透明シート25とを、接着剤層24を介して実施例1と同様にドライラミネートで貼り合わせた後、表面にコロナ放電処理を行った。次いで、その上に、実施例1と同様の2液硬化型アクリルウレタン系樹脂により、OPコート処理26を施すことにより、比較例の化粧シート28を作製した。
【0068】
比較例2
比較例1に於いて、OPコート処理として、2液硬化型アクリルウレタン樹脂に代えて、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂の1:1重量比混合物を用いた他は、比較例1と同様の化粧シートを作製した。
【0069】
UV耐候性試験
岩崎電気(株)製、SUV−W13型の紫外線照射と結露サイクルが可能な促進耐候性試験装置を用いて、以下の条件で、上記で得た本発明の実施例の化粧シート21、図4に示す比較例1の従来の化粧シート28、及び図示しない比較例2の化粧シートの各々の表面に紫外線を100時間照射した。
【0070】
Figure 0003880183
【0071】
試験終了後、本化粧シートのOP加工面に対して、セロハンテープ剥離試験〔セロテープ(ニチバン(株)製、セロハンテープの商品名、産業用24mm幅)を、OPコート表面に貼付し、その直後に該テープを剥離し、OPコート層の剥離の有無を確認〕を実施した。
【0072】
その結果、比較例1及び比較例2の従来品は、セロハンテープとともに表面のOPコート層の剥離が見られたが、本発明の実施例の化粧シートでは剥離は見られなかった。又、目視で、化粧シートの変色、褪色を観察したところ、実施例および比較例1の化粧シートでは、変色・褪色とも認められなかった。一方、比較例2の化粧シートでは、全面に白濁が見られた。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の化粧シートは、その表面保護層の上塗り保護層側に極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂を設けたことにより、上層の上塗り保護層との密着性が著しく高められた、耐候性、特に、上塗り保護層の接着力の耐候性に優れた化粧シートである。
【0074】
また、その表面保護層のポリオレフィン系樹脂層と極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂層の少なくとも一方に、分子中に水酸基を有する有機系の紫外線吸収剤を含有する場合は、日光等による劣化がより効果的に防止された耐光劣化性に優れた化粧シートである。さらに、表面の上塗り保護層(OPコート層)が該紫外線吸収剤のブリートアウトを防止する役目も果たしているため、紫外線吸収剤を含有していても、化粧シート表面に紫外線吸収剤がブリードアウトすることがない。
【0075】
また、本発明の化粧シートは絵柄印刷や金属薄膜等の装飾層を設けているため、高い意匠効果を有する。
さらに、剥離性シートを有する場合には、化粧シートの基材シートが保護される効果が得られるとともに、化粧シートを被着体に簡便・確実に貼着することができる。
【0076】
さらにまた、非塩化ビニル系樹脂を主として用いるので、廃棄・焼却時に、有害な塩素化物ガスが発生することがほとんどないので、環境に優しい化粧シートである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の化粧シートの断面図である。(A)は、第1実施形態の化粧シートの断面図であり、(B)は、第2実施形態の化粧シートの断面図であり、(C)は、第3実施形態の化粧シートの断面図を示す。
【図2】図2は、本発明の化粧シートの断面図である。(D)は、第4実施形態の化粧シートの断面図であり、(E)は、第5実施形態の化粧シートの断面図であり、(F)は、第6実施形態の化粧シートの断面図を示す。
【図3】図3は、実施例1で作製した本発明の化粧シートの断面図である。
【図4】図4は、比較例で作製した従来の化粧シートの断面図である。
【符号の説明】
1,22…基材シート、2…顔料、3,19,23…装飾処理層、4,6,15,24…接着剤層、5…ポリオレフィン系樹脂層、7…極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂層、8…表面保護層、9,20,…上塗り保護層(OPコート層)、10…ワイピング加工(ワイピングインキ)、11…プライマー層、12…エンボス加工、13…金属薄膜層、14…ポリオレフィン系樹脂層、16…カルボキシル基を有するポリオレフィン系樹脂層、17…クリアーシート(表面保護層)、18…着色ポリオレフィン系樹脂からなる基材シート、21…実施例1で得られた本発明の化粧シート、25…ポリプロピレン製透明シート、26…OPコート処理、27…粘着剤層、28…比較例で得た化粧シート

Claims (3)

  1. 基材シート上に表面保護層を有する化粧シートにおいて、
    該表面保護層が、基材シート側から、ポリオレフィン系樹脂層および極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂層からなる積層体であって、
    前記表面保護層の上にイソシアネート基からなる上塗り保護層を有し、
    前記ポリオレフィン系樹脂層、または極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂の少なくとも一方が、分子中に水酸基を有する有機系の紫外線吸収剤を含有してなることを特徴とする、
    化粧シート。
  2. 前記基材シートと前記表面保護層との間に装飾層を有する、
    請求項1記載の化粧シート。
  3. 前記極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂層は、オレフィンに、不飽和カルボン酸、酸無水物およびエステルから選ばれる少なくとも1種を、オレフィンに対し、10−4〜10重量%の範囲でグラフト共重合させてなる変性ポリオレフィンの1種または2種以上の混合物である、
    請求項1または2に記載の化粧シート。
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