JP3253928B2 - 化粧シート - Google Patents

化粧シート

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JP3253928B2
JP3253928B2 JP36944198A JP36944198A JP3253928B2 JP 3253928 B2 JP3253928 B2 JP 3253928B2 JP 36944198 A JP36944198 A JP 36944198A JP 36944198 A JP36944198 A JP 36944198A JP 3253928 B2 JP3253928 B2 JP 3253928B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物の内装、建
具の表面化粧、車輛内装等に好適に用いられる化粧シー
トに関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】一般に上記の如き化粧
シートとしては、着色顔料を添加した着色樹脂シートを
基材シートとし、これに凹凸模様のエンボス加工、模様
層の印刷等の手法により装飾処理を施した構成からなる
ものが一般的でっあた。これらの化粧シートに用いられ
る着色樹脂シートの材料として、ポリ塩化ビニルシート
を使用したもの(例えば、特公昭28−5036号公
報、特公昭58−14312号公報等参照)や、ポリエ
チレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂のシ
ートを使用したもの(例えば、特開昭54−62255
号公報参照)が多く利用されてきた。
【0003】このうち、前者のポリ塩化ビニルを使用し
た化粧シートにあっては、耐熱性が不足するとか、廃棄
時に焼却処分ができない(燃焼時に塩化水素ガスが発生
するため)とか、可塑剤のブリード(滲出)により表面
の耐汚染性が悪いという欠点があった。
【0004】また、後者のポリオレフィン系樹脂単体か
らなる結晶性の高いシートを用いた化粧シートにあって
は、上記の如きポリ塩化ビニル特有の欠点は改善しうる
ものの、次のような欠点がある。 (1)成形加工時に局部的に伸びが集中して、そこに白
化や破断を生じる(所謂「ネッキング」)。 (2)耐衝撃性が弱く、Vカット加工時に亀裂破断す
る。(特に、加熱軟化〜エンボス版押圧〜冷却というエ
ンボス加工時の熱履歴により、結晶化が進行し、シート
が脆弱化し、この傾向が強まる。) (3)結晶化度が高いため、エンボス加工条件が非常に
狭い。
【0005】この欠点のいくつかを改良するものとし
て、結晶ポリオレフィン系樹脂をハードセグメントとし
て、これにゴム成分(エラストマー)をソフトセグメン
トとして混合させた樹脂からなるオレフィン系熱可塑性
エラストマーのシートを使用したもの(例えば、特開平
6−79830号公報、特開平6−210808号公
報、特表平4−504384号公報等参照)がある。し
かしながら、これらの化粧シートでは上記の欠点(1)
〜(3)を解決できるが、エラストマー添加量を多くす
ると耐侯性の低下、耐熱性の低下といった別の新たな欠
点の傾向が増大し、またこれらを改良すると(1)〜
(3)の欠点の傾向が強まる。
【0006】また、これらのオレフィン系熱可塑性エラ
ストマーを着色するためには、着色顔料、或いは更にこ
れに加えて無機充填剤を添加するが、それに伴って樹脂
組成物の熔融物の流動適性が低下し、押出法、カレンダ
ー法等の方法により樹脂組成物(の熔融物)を製膜する
際に、筋状のムラがシートに発生したり、表面平滑性が
低下したり、さらには押出用のTダイに付着した樹脂組
成物が間歇的にシート上に落下し、付着してシートにフ
ィッシュアイ状の欠点を生じやすいという問題があっ
た。この傾向は、シートを特に薄膜化(大体100μm
以下)にしたときに著しくなり、化粧シートの外観が低
下していた。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決する
ために、本発明においては、基材シートの材料として、
結晶質ポリプロピレンのハードセグメントにスチレン−
ブタジエンゴム又はオレフィンゴムのソフトセグメント
を混合したオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる
樹脂組成物を採用し、又その層構成として無機充填剤も
着色顔料も含まない無色透明な樹脂組成物からなるA
層、及び該A層の樹脂組成物に更に着色顔料を添加して
なる着色樹脂組成物からなるB層を、A層/B層/A層
の順に3層積層したポリオレフィン樹脂シートを用い、
これに装飾処理を施して化粧シートとした。このB層中
に更に無機体質顔料を添加した構成にしてもよい。
【0008】また、該化粧シートの表面に、オレフィン
系熱可塑性エラストマー、アクリル樹脂、エチレン・ビ
ニルアルコール共重合体樹脂、熱可塑性ポリエステル樹
脂のいずれかから選択される透明樹脂シートを積層する
構成とした。
【0009】このうち、最表面の透明樹脂シートがオレ
フィン系熱可塑性エラストマーからなるものにおいて、
該最表面の透明樹脂シート中に、分子中に水酸基を持つ
有機系の紫外線吸収剤を添加し、且つその表面にイソシ
アネート基を分子中に持つ樹脂層からなる紫外線吸収剤
ブリード防止層を有するようにした。
【0010】上記のように構成した本発明の化粧シート
は、結晶質ポリプロピレンの持つ耐侯性、耐熱性を維持
したまま、ゴム成分の作用により、結晶質ポリプロピレ
ンの欠点であるネッキング、耐衝撃性低下、エンボス加
工条件幅の狭さといった欠点を改善し得る。
【0011】また、該オレフィン系熱可塑性エラストマ
ーの着色ために着色顔料を添加したり、寸法安定性の向
上、コスト低減、難燃性付与当の目的から更に無機充填
剤を添加する場合、シートの厚み方向に等密度で均一に
添加するのではなく、厚み方向を3層に分け、製膜時に
Tダイ、ギャレンダーローラ等に直接触れるシートの表
裏両面側の層(A層)には着色顔料も無機充填剤も無添
加とし、中心部の層(B層)にのみ着色顔料、或いは着
色顔料と無機充填剤を添加するようにした。斯かる構成
によって、本発明の化粧シートは、着色顔料、或いは着
色顔料と無機充填剤を添加し、その添加の効果を十分奏
した上で、その添加による製膜適性の低下を防止でき
る。さらに化粧シートに十分な耐候性を得るためには表
面側のA層に紫外線吸収剤を添加するのみならず、斯か
る紫外線吸収剤に分子中に水酸基を有するものを選び、
且つ表面側のA層の表面に分子中にイソシアネート基を
有する樹脂からなる層を設けるようにすればよい。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のA層に用いられるオレフ
ィン系熱可塑性エラストマーは、結晶質ポリプロピレン
をハードセグメントとし、これにスチレン−ブタジエン
ゴム或いはオレフィンゴムからなるソフトセグメントを
混合してなる。
【0013】本発明のA層でハードセグメントとして用
いられる結晶性ポリプロピレンとして、好ましくは、プ
ロピレン単独重合体(特にアイソタクチックポリプロピ
レンを主成分としたものが好ましいが、その他、シンジ
オタクチックポリプロピレン、或いはアイソタチチック
ポリプロピレンとシンジオタクチックポリプロピレンと
の混合体でもよい。)、エチレン成分を30重量%以
下、好ましくは1〜25重量%含有するプロピレン・エ
チレンのランダム共重合体又はブロック共重合体、ブテ
ン−1を20重量%以下含有するプロピレン・ブテン−
1のランダム共重合体又はブロック共重合体が挙げられ
る。これらの内、本発明の樹脂組成物のフィルムやシー
トなどの用途からエチレン又はブテン−1とプロピレン
との共重合体が特に好ましい。なお、上記A層の樹脂組
成物には、他層(B層、装飾層等)との接着性を向上さ
せるために、これにアクリル酸、フマル酸、イタコン酸
等の不飽和カルボン酸、或いは該不飽和カルボン酸のエ
ステルをグラフト重合させる等の方法により変性を行う
こともできる。
【0014】特に、上記A層及びB層、中でもシートの
最外層に位置し、光を吸収する着色顔料を含有しないA
層については、これを構成する樹脂組成物に建築物内装
材として実用上十分なだけの耐候性が要求される。例え
内装材でも窓等から日光が入射するため、通常はサンシ
ャインウェザオメータ(カーボンアーク燈型)耐候性試
験機により、ブラックパネル温度63℃、120分中の
降雨時間18分の条件で最低1000時間曝露して変褪
色、亀裂、白化等の外観変化、層間の剥離がないことが
要求される。この要求を満たすため、化粧材の最表面に
は紫外線吸収剤を添加することが好ましい。添加料は通
常0.1〜5重量%程度である。ただし、透明樹脂シー
トを基材シートの表面に積層し、該透明樹脂シート中に
紫外線吸収剤を添加する場合は、基材シート表面側A層
に紫外線吸収剤を添加しないことも可能である。
【0015】この紫外線吸収剤としては、微粒子酸化亜
鉛、微粒子酸化セリウム等の無機系紫外線吸収剤、或い
は有機系の紫外線吸収剤を用いる。透明性及び樹脂中へ
の分散性の点からは有機系のものが好ましい。ただし有
機系のものはA層等のポリオレフィン系樹脂との相溶性
が悪く、経時(特に高温において)で表面にブリード
(湧出)したり、或いはエンボス加工等の加熱を伴う加
工をした際に、シートの冷却再結晶化のときに紫外線吸
収剤が分離析出したりして、効力を失うという欠点があ
った。本発明においてはこれを改善するため、有機系紫
外線吸収剤として分子中に水酸基を持ったものを選び、
且つ該紫外線吸収剤を添加したA層の表面に、分子中に
イソシアネート基を持つ樹脂からなるブリード防止層を
設ける態様が好ましい。
【0016】分子中にOH基を持つ有機系の紫外線吸収
剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−3’,
5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベ
ンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t
ert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロ
ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−
tert−アミル−5’−イソブチルフェニル)−5−
クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−
3’−イソブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロ
ロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’
−イソブチル−5’−プロピルフェニル)−5−クロロ
ベンゾトリアゾール等の2’−ヒドロキシフェニル−5
−クロロベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤類、2−
(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチ
ルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロ
キシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等の
2’−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系紫外線
吸収剤類、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベン
ゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメ
トキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒ
ドロキシベンゾフェノン等の2,2’−ジヒドロキシベ
ンゾフェノン系紫外線吸収剤類、2−ヒドロキシ−4−
メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾ
フェノン等の2−ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸
収剤類、サリチル酸フェニル、4−t−ブチル−フェニ
ル−サリシレート等のサリチル酸エステル系紫外線吸収
剤類が用いられる。その他に、ベンゾトリアゾール骨格
にアクリロイル基又はメタクリロイル基を導入した反応
型紫外線吸収剤等も用いられる。
【0017】紫外線による各層の劣化をさらに防止し、
耐候性を向上させるためには、他の光安定剤としてラジ
カル捕捉剤も添加することが好ましい。このラジカル捕
捉剤としては、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル
−4−ピペリジニル)セバケート、ビス−(N−メチル
−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)
セバケート、その他、例えば特公平4−82625号公
報に開示されている化合物などのヒンダードアミン系ラ
ジカル捕捉剤、ピペリジル系ラジカル捕捉剤等が使用さ
れる。なお、ポリオレフィンからなる層(A)中にヒン
ダードアミン系ラジカル捕捉剤からなる光安定剤を添加
する場合には、層(A)はもとより、層(A)に隣接す
るインキ層、接着剤層等の層にはポリウレタン樹脂、ポ
リオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂等の分子中に塩素原
子を含まない樹脂を用いると耐候性向上の点で良好であ
る。もし、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリ
オレフィン等の分子中に塩素原子を含む樹脂を用いる
と、紫外線又は熱の作用によりこれら樹脂から脱塩素反
応で塩化水素が発生し、これがヒンダードアミン系ラジ
カル捕捉剤と反応してその作用を失活・阻害するため、
耐候性が十分に向上しない。
【0018】A層において結晶質ポリプロピレンに添加
するソフトセグメントとしては、スチレン−ブタジエン
ゴム又はオレフィンゴムを用いる。スチレン−ブタジエ
ンゴムとしては、より好ましくは水素添加スチレン−ブ
タジエンゴムを用いる。これは、スチレン−ブタジエン
ゴムの不飽和結合を水素の添加によって飽和させたもの
であり、より優れた耐侯性を得る。オレフィンゴムとし
ては、エチレン−プロピレン共重合体系ゴム(EP
M)、エチレン−プロピレン−非共軛ジエン共重合体ゴ
ム(EPDM)、或いは更にこれらにブテン−1、ペン
テン−1、ヘキセン−1等のα−モノオレフィンを共重
合させたものでもよい。エチレンとプロピレンとの共重
合比は20:80〜80:20(重量比)程度である。
また、オレフィンゴムとしては、この他に、アタクチッ
クポリプロピレンを用いることもできる。なお、結晶質
ポリプロピレンのハードセグメントと、スチレン−ブタ
ジエンゴム又はオレフィンゴムからなるソフトセグメン
トとの混合比は、ハードセグメント/ソフトセグメント
=95/5〜60/40(重量比)である。この混合比
の範囲内であれば、前記の如き熱可塑性エラストマー化
の効果が十分得られる。
【0019】B層を形成する樹脂組成物としては、A層
に用いたオレフィン系熱可塑性エラストマーの組成物に
更に着色顔料を加えて着色したものが用いられる。B層
に添加される着色顔料としては、チタン白、亜鉛華、弁
柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カー
ボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハンザ
イエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、
フタロシアニンブルー、インダスレンブリーRS、アニ
リンブラック等の有機顔料(或いは染料も含む)、アル
ミニウム、真鍮、等の金属顔料、二酸化チタン被覆雲
母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)
顔料等が使用できる。これらは、粉末、或いは鱗片状箔
片として添加、分散せしめられる。顔料添加による着色
は、透明着色、不透明(隠蔽)着色のいずれも可であ
る。着色顔料の添加量は、顔料の種類、求める色調、隠
蔽性によって異なるが、通常は最大で30重量%程度で
ある。また、基材シートに寸法安定性、難燃性を付与
し、又材料費を低減させるために、無機充填剤を添加す
る。無機充填剤としては、シリカ、水酸化マグネシウ
ム、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化ア
ルミニウム等の粒径0.1〜10μm程度の粉末を、通
常5〜30重量%程度添加する。
【0020】本発明の化粧シートにおける基材シート
は、上記したA層及びB層を交互にA層/B層/A層の
順に積層して構成される。基材シートを構成する各層の
厚さは、特に限定されるものではなく、任意に選択する
ことができる。基材シートへの着色効果、製膜適性の改
善効果の点から各層の厚さの比は、A層(表側)/B層
=1/9〜5/5程度、B層/A層(裏側)=9/1〜
5/5程度であり、またA層(表側)/A層(裏側)=
1/1程度とする。建材用、内装化粧シート用としては
通常基材シートの3層積層時の厚さ(総厚)は25〜3
00μmである。これらA層(表側)、B層、A層(裏
側)の各層を積層して基材シートを作る製法は、特に限
定されるものではない。例えば、熱プレス法、Tダイか
らの共押出積層法、ドライラミネーション法などを用い
ることができる。
【0021】本発明で用いる基材シートは、その加熱寸
法収縮率とVカット加工等の曲げ加工時の耐亀裂、破断
性とに相関関係が有り、100℃雰囲気中で30分間加
熱した後の寸法収縮率(加熱前を基準として)が、長尺
帯状シートの場合、シート長手方向が−2〜+7%、シ
ート幅方向が−7〜+2%の範囲にあるのが好ましい。
寸法収縮率がこの範囲から逸脱するとVカット加工時に
亀裂を生じ易くなり好ましくない。なお、加熱寸法収縮
率の許容値がシート長手方向と幅方向とで別々になるの
は、シート製造時のシートの材料力学的な履歴、及びシ
ート加工時の衝撃力の加わり方が長手方向と幅方向とで
異なるためである。この加熱寸法収縮率は、主に基材シ
ートの延伸と大きな相関がある。無延伸であれば、この
範囲に前記加熱寸法収縮率は収まり、また3倍以上延伸
すると大体の場合、加熱寸法収縮率はこの範囲をはずれ
る。従って延伸する場合は、加熱寸法収縮率が前記範囲
に収まるように延伸倍率を抑制する。
【0022】基材シート自体に直接模様を印刷したり接
着剤を塗布することも可能であるが、インキや接着剤と
基材シートとの接着力をより強固なものにする必要があ
る場合には、基材シート表面、裏面、或いは表裏両面に
易接着層の塗布、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾ
ン吹付処理等の易接着処理を施す。易接着層(プライマ
ー層、或いはアンカー層ともいう)としては、ウレタン
樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレンが使
用されるが、特にウレタン樹脂が好ましい。易接着層
は、例えば基材シートと模様層との間、或いは化粧シー
トの被着体側に設ける場合が挙げられるが、勿論この2
例以外の位置に易接着層を設けることもできる。
【0023】ウレタン樹脂(ポリウレタン)としては、
2液硬化型ウレタン樹脂と1液硬化型ウレタン樹脂とが
ある。このうち2液硬化型ウレタン樹脂とはポリオール
(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋
剤(硬化剤)とするウレタン樹脂である。ポリオールと
しては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例
えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポ
リエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、
ポリウレタンポリオール等が用いられる。また、イソシ
アネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート
基を有する多価イソシアネートが用いられる。例えば、
2−4トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシア
ネート、4−4ジフェニルメタンジイソシアネート等の
芳香族イソシアネート、或いは1,6−ヘキサメチレン
ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素
添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメ
タンジイソシアネート等の脂肪族乃至は脂環式イソシア
ネートが用いられる。或いは、これらのイソシアネート
の付加体、又は多量体を用いてもよい。
【0024】1液硬化型ウレタン樹脂は分子末端にイソ
シアネート基を有するプレポリマーを必須成分とする組
成物である。前記プレポリマーは、通常は分子両末端に
各々イソシアネート基を1個以上有するポリイソシアネ
ートプレポリマーであり、室温で固体の熱可塑性樹脂の
状態にあるものである。イソシアネート基同士が空気中
の水分により反応を起こして、その結果、分子鎖中に尿
素結合を有する反応物を生じて、この尿素結合にさらに
分子末端のイソシアネート基が反応してビウレット結合
を起こして分岐し、架橋反応を起こす。分子末端にイソ
シアネート基を有するプレポリマーの分子鎖の骨格構造
は任意であるが、具体的には、ウレタン結合を有するポ
リウレタン骨格、エステル結合を有するポリエステル骨
格、ポリブタジン骨格等である。適宜これら1種又は2
種以上の骨格構造を採用する。なお、分子鎖中にウレタ
ン結合がある場合は、このウレタン結合とも末端イソシ
アネート基が反応して、アロファネート結合を生じて、
このアロファネート結合によっても架橋反応を起こす。
【0025】基材シートの易接着処理をより確実とする
ためには、先ず基材シート自体を前記の如く不飽和カル
ボン酸のグラフト重合等により変性するか、或いは基材
シート表面にコロナ放電処理、オゾン吹付処理、プラズ
マ処理等を施すかのいずれかによって、基材シート表面
にカルボキシル基、水酸基等の活性水素原子を持つ極性
官能基を付与し、次いで基材シート表面に1液硬化型又
は2液硬化型ウレタン樹脂の易接着層を形成することが
好ましい。このようにすると、基材シート表面の該極性
官能基と易接着層中のイソシアネート基との間にもウレ
タン結合を生じて、基材シートと易接着層同志も強固に
接着するからである。
【0026】紫外線吸収剤ブリード防止層は、分子中に
イソシアネート基をもった樹脂層から形成する。この層
の厚みは0.1〜100μm程度、通常は1〜10μm
程度である。イソシアネート基を分子中に有する樹脂と
しては、代表的なものはウレタン樹脂である。ウレタン
樹脂としては前記のものが使用できるが、硬化後も未反
応のイソシアネート基が確実に残留するように、ポリオ
ールとイソシアネートとを反応させる際にイソシアネー
トを余分に混合することが好ましい。
【0027】基材シートに施す装飾処理としては、
(1)模様層の印刷、(2)金属薄膜の形成、(3)エ
ンボス加工(加熱プレス)、ヘアライン加工等による凹
凸模様賦形などがある。これらの装飾処理を施して作製
した化粧シートを図1に示す。
【0028】図1(a)に示す化粧シートSは、基材シ
ート10自体からなるものであり、着色顔料によるB層
1の着色が装飾処理に相当する。具体的には、前記の如
きオレフィン系熱可塑性エラストマーの樹脂組成物に着
色顔料Gを添加したB層1の両側に顔料無添加のオレフ
ィン系熱可塑性エラストマーの樹脂組成物のA層2を積
層したものである。
【0029】図1(b)に示す化粧シートSは、前記オ
レフィン系熱可塑性エラストマーの樹脂組成物に着色顔
料Gと無機充填剤Fを添加したB層1の両側に顔料無添
加のオレフィン系熱可塑性エラストマーの樹脂組成物の
A層2を積層して基材シート10を作製し、この基材シ
ート10に易接着層3を形成してその上に印刷で模様層
4を形成したものである。模様層の印刷は、グラビア印
刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シー
トからの転写印刷等、公知の印刷法により行い、インキ
(或いは塗料)にて模様を形成する。模様としては、木
目模様、石目模様、タイル貼り模様、煉瓦積模様、布目
模様、皮紋模様、幾何学図形、文字、記号、或いは全面
ベタ等がある。模様は基材シートが透明着色であれば、
基材シートの表面、裏面、或いは表裏両面のいずれに設
けてもよい。基材シートが不透明着色の場合は、基材シ
ートの表面のみに設けるインキ(或いは塗料)として
は、バインダーとして、塩素化ポリエチレン、塩素化ポ
リプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル
樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、
塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、
等を一種又は二種以上混合して用い、これに前記に列挙
したような公知の顔料を添加したものを用いる。基材シ
ートに直接印刷する場合は、バインダーとして塩素化ポ
リオレフィン、2液硬化型ウレタン樹脂等が接着性の点
で好ましいが、易接着プライマーを適当に選択して層形
成すれば、その他のバインダーを用いても十分な接着性
が得られる。
【0030】図1(c)に示す化粧シートSは、エンボ
ス加工(加熱プレス)、ヘアライン加工等により基材シ
ート10に凹部5からなる凹凸模様を形成したものであ
る。エンボス加工は、積層したポリオレフィン樹脂シー
トを加熱軟化させ、エンボス版で加圧、賦形し、冷却固
定して凹凸模様を形成するもので、公知の枚葉或いは輪
転式のエンボス機を用いて行うことができる。凹凸形状
としては、木目板導管溝、石板表面凹凸(花崗岩劈開面
等)、タイル貼りや煉瓦積みの目地溝、布表面テクスチ
ュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等である。
【0031】さらに必要に応じて、図2に示すように、
凹凸模様の凹部5に公知のワイピング法(例えば、特公
昭58−14312号公報等参照)によって着色インキ
6を充填するようにしてもよい。着色インキは前記と同
様のものが使用可能である。ただし、耐摩耗性の点で、
2液硬化型ウレタン樹脂をバインダーに使用するのが好
ましい。
【0032】また装飾処理として、基材シートに金属薄
膜を設けてもよい。この金属薄膜は、アルミニウム、ク
ロム、金、銀、銅等の金属を用い、真空蒸着、スパッタ
リング等の方法で製膜する。或いはこれらの組み合わせ
でもよい。該金属薄膜は、全面に設けても或いは部分的
にパターン状に設けてもよい。
【0033】図1及び図2に示した化粧シートSは、A
層/B層/A層の積層体からなる基材シート10に装飾
処理を施したものであるが、図3に示す化粧シートS
は、この積層体からなる基材シート10に、透明樹脂シ
ート20をトップシートとして積層したものである。
【0034】図3(a)に示す化粧シートSは、基材シ
ート10の上に接着剤層7を介して透明樹脂シート20
をラミネートし、その透明樹脂シート20上に印刷によ
り模様層4を形成したものである。図3(b)に示す化
粧シートSは、基材シート10の表面に印刷で模様層4
を形成し、その上に熱融着により透明樹脂シート20を
ラミネートしたものである。図3(c)に示す化粧シー
トSは、顔料Gと無機充填剤Fを添加して着色したオレ
フィン系熱可塑性エラストマーの樹脂組成物を中心のB
層とする基材シート10の表面に印刷で模様層4を形成
し、その上に接着剤層7を介して透明樹脂シート20を
ラミネートした後、エンボス加工により凹部5からなる
凹凸模様を形成したものである。そして、基材シート1
0の被着体側に易接着層8を設けている。
【0035】ここで、透明樹脂シートを形成する樹脂と
しては、アクリル樹脂、エチレン・ビニルアルコール共
重合体樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、或いはオレフ
ィン系熱可塑性エラストマーのいずれかから選択したも
のが使用される。
【0036】アクリル樹脂としては、ポリ(メタ)アク
リル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ
(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸
ブチル、(メタ)アクリル酸メチル・(メタ)アクリル
酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル・(メ
タ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・(メタ)ア
クリル酸メチル共重合体、スチレン・(メタ)アクリル
酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含
む単独又は共重合体からなるアクリル樹脂のことであ
る。このアクリル樹脂シートの厚さは、20〜100μ
m程度である。
【0037】エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂
層は、熱熔融によるラミネート、または2液硬化型ウレ
タン樹脂、熔融押出し(エクストルージョン)コートさ
れたポリエチレン等の接着剤により、エチレン・ビニル
アルコール共重合体フィルムを基材となる樹脂層上に積
層するなどして形成され、その厚みは10〜100μm
であるのが好ましく、より好ましくは12〜25μmで
ある。該フィルムとしては、一般にエチレンとビニルア
ルコールのランダム共重合体をフィルム状に成形したも
のが用いられる。このエチレン・ビニルアルコール共重
合体系樹脂フィルムは、延伸フィルム、未延伸フィルム
のいずれであっても良いが、フィルムの可撓性、曲げ加
工適性、エンボス適性等の点で未延伸フィルムを用いる
のが好ましい。エチレン・ビニルアルコール共重合体フ
ィルムは、共重合成分の比率を変えることにより、エチ
レンの持つ熱可塑性、耐水性と、ビニルアルコールの持
つ剛性、耐油性、耐溶剤性、被帯電性の性能の大小を任
意に調整し得るが、なるべく両者の特徴を兼ね備え、且
つ加工適性に優れたフィルムとするためには、エチレン
成分が30〜45モル%であることが好ましい。30モ
ル%未満では熱可塑性、熱加工適性、耐水性に劣り、ま
た、45%を超えると剛性、耐油性、耐溶剤性、非帯電
性に劣ることとなり好ましくない。
【0038】熱可塑性ポリエステル樹脂は、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、エチ
レン・テレフタレート・イソフタレート共重合体等に代
表されるものであり、酸成分としてのテレフタル酸、イ
ソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカル
ボン酸と、アルコール成分としてのエチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサン
ジオール等の脂肪族ジオールとのエステルとして得られ
る共重合体である。延伸、未延伸のいずれのシートも使
用可能であるが、エンボス加工適性、Vカット加工等の
成形加工適性の点からは未延伸シートの方が好ましい。
【0039】オレフィン系熱可塑性エラストマーとして
は、基材シートのA層と同様のものの他、特公平6−2
3278号公報記載のアイソタクチックポリプロピレン
のハードセグメントとアタクチックポリプロピレンのソ
フトセグメントからなるもの、特開平9−111055
号公報、特開平7−316358号公報記載のエチレン
−プロピレン−ブテン3元共重合体系のもの、高密度ポ
リエチレンに水素添加スチレン−ブタジエンゴムのソフ
トセグメントを添加したもの等も用いることができる。
厚さは通常50〜100μm程度である。
【0040】また、充填剤としては、炭酸カルシウム、
硫酸バリウム、クレー、タルク等の平均粒径0.1〜1
0μm程の粉末が用いられ、これらは必要に応じて適量
添加する。
【0041】難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水
酸化マグネシウム等の粉末が用いられ、これらは難燃性
を付与する必要がある場合に添加する。添加量はポリオ
レフィン樹脂100重量部に対して10〜150重量部
程度である。
【0042】基材シート表面に、アクリル樹脂、エチレ
ン・ビニルアルコール共重合体樹脂、熱可塑性ポリエス
テル樹脂、或いはオレフィン系熱可塑性エラストマーの
いずれかから選択される透明樹脂シートを積層する方法
としては、2液硬化型ウレタン樹脂等の接着剤を用いる
か、或いは用いないで熔融押出し塗工(エクストルージ
ョンコート)、熱プレスによる融着、或いは、2液硬化
型ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等の接着剤を用いた
ドライラミネート等がある。
【0043】本発明の化粧シートは、基材シートに装飾
処理を施しただけの単層のもの(図1及び図2)、基材
シート上に透明樹脂シートを積層したもの(図3)のい
ずれの形態でも採ることができる。
【0044】本発明の化粧シートは他の被着体(裏打
材)に積層することができる。被着体が最終製品であ
り、その表面化粧のために化粧シートを積層する場合も
あれば、必要に応じ化粧シートの力学的強度の補強、或
いは隠蔽性の付与のため化粧シート裏面に被着体を積層
する場合もある。被着体への積層に際し、被着体に化粧
シート自体が(熱融点等で)接着可能な場合は接着剤層
を省いてもよい。また、化粧シート自体では被着体と接
着しない場合は適当な接着剤を使用する。
【0045】被着体としては、各種素材の平板、曲面板
等の板材、立体形状物品、シート(或いはフィルム)等
の各種形状の物品が対象となる。板材、立体形状物品、
シート(フィルム)のいずれにも用いられる素材として
は、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度
繊維板(MDF)等の木質繊維板等の木質板、鉄、アル
ミニウム等の金属、アクリル樹脂、ポリカーボネート、
エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアセテ
ート、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィ
ン樹脂、ABS、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、セ
ルロース系樹脂、ゴム等の樹脂がある。専ら板材、或い
は立体形状物品として用いられる素材としては、硝子、
陶磁器、等のセラミックス、ALC(発泡軽量コンクリ
ート)等のセメント、珪酸カルシウム、石膏等の非セメ
ント窯業系材料がある。専らシート(或いはフィルム)
として用いられる素材としては、上質紙、和紙等の紙、
炭素、石綿、チタン酸カリウム、硝子、合成樹脂等の繊
維からなる不織布又は織布等がある。
【0046】これら各種被着体への化粧シートの積層方
法としては、例えば、(1)接着剤層を間に介して板状
基材に加圧ローラーで加圧して積層する方法、(2)特
公昭50−19132号公報、特公昭43−27488
号公報等に記載されるように、化粧シートを射出成形の
雌雄両金型間に挿入して両金型を閉じ、雄型のゲートか
ら熔融樹脂を射出充填した後、冷却して樹脂成形品の成
形と同時にその表面に化粧シートを接着積層する、所謂
射出成形同時ラミネート法、(3)特公昭56−457
68号公報、特公昭60−58014号公報等に記載さ
れるように、接着剤層を間に介して成形品の表面に化粧
シートを対向乃至は載置し、成形品側からの真空吸引に
よる圧力差により化粧シートを成形品表面に積層する、
所謂真空プレス積層法、(4)特公昭61−5895号
公報、特公平3−2666号公報等に記載されるよう
に、円柱、多角柱等の柱状基材の長軸方向に、接着剤層
を間に介して化粧シートを供給しつつ、複数の向きの異
なるローラーにより、柱状体を構成する複数の側面に順
次化粧シートを加圧接着して積層していく、所謂ラッピ
ング加工法、(5)実公大15−31122号公報、特
開昭48−47972号公報等に記載されるように、先
ず化粧シートを板状基材に接着剤層を介して積層し、次
いで板状基材の化粧シートとは反対側の面に、化粧シー
トと板状基材との界面に到達する、断面がV字状又はU
字状溝を切削し、次いで該溝内に接着剤を塗布した上
で、該溝を折り曲げて箱体又は柱状体を成形する、所謂
Vカット又はUカット加工方法等がある。
【0047】特に、本発明の化粧シートを凹凸立体物に
貼り合わせる方法としては、前記方法のうち、射出成形
同時ラミネート法、真空プレス積層法、ラッピング加工
法、Vカット加工法等が好ましい。
【0048】本発明の化粧シートは、各種被着体に積層
し、所定の成形加工等を施して、各種用途に用いられ
る。例えば、壁、天井、床等建築物の内装、扉、扉枠、
窓枠、幅木、手摺等の建具の表面化粧、箪笥等の家具、
弱電・OA機器のキャビネット等の表面化粧、自動車、
電車等の車両内装、航空機内装、窓硝子の化粧などであ
る。
【0049】
【実施例】(実施例1)A層を構成する樹脂組成物とし
て、〔A1〕アタクチックポリプロピレン(数平均分子
量Mn6500、沸騰n−ヘプタン不溶分が5重量%の
もの)からなるソフトセグメント、〔A2〕密度0.9
0g/cm3 、メルトフローレイト(MFR)(230
℃)=1.0g/10分の結晶性アイソタクチックポリ
プロピレンを用い、これらをA1/A2=25/75の
重量組成比とした。
【0050】B層にはA層を構成する樹脂組成物に用い
たのと同一の組成物を用い、これの100重量部に対し
てチタン白、弁柄、黄鉛、カーボンブラックを主体とす
る着色顔料を8重量部と、炭酸カルシウム粉末からなる
無機充填剤10重量部を加えたものを用いた。
【0051】上記のようにして得られたA層の組成物と
B層の組成物とを加熱熔融したものを、A層/B層/A
層の3層層構成でTダイから熔融共押出して、冷却ドラ
ム上で冷却固化せしめて、未延伸のオレフィン系熱可塑
性エラストマーの積層シート(総厚80μm、厚み比は
A層/B層/A層=10/60/10)を作製し、これ
を基材シートとした。得られた褐色の不透明着色基材シ
ートの表裏両面にコロナ放電処理を施して表面の濡れ指
数を38dyn/cmとして、その表面上に主剤がアク
リルポリオール100重量部、硬化剤が1,6−ヘキサ
メチレンジイソシアネート8重量部からなる2液硬化型
ウレタン樹脂組成物をグラビアロールコートにて乾燥時
膜厚3μmとなるように全面に塗布してプライマー層を
形成し、さらにその上に、アクリル樹脂/塩化ビニル・
酢酸ビニル共重合体=1/1重量比混合物に弁柄とカー
ボンブラックを主体とする着色顔料を添加してなるイン
キにて、木目模様をグラビア印刷した。さらにその上
に、2液硬化型ウレタン樹脂組成物(大日本インキ化学
工業(株)製、商品名「DT−5」)をグラビアロール
コートにて乾燥時膜厚3μmで塗布してヒートシール層
を形成した。
【0052】一方、前記A層と同様の組成物の中に、分
子中に水酸基を持つベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
(旭電化工業(株)製、商品名「LA62」)を0.8
重量%、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤を0.4重
量%、滑剤としてエルカ酸アミドを0.05重量%添加
した組成の透明樹脂シートを用意し、その裏面に2液硬
化ポリウレタン組成物(大日本インキ化学工業(株)
製、商品名「DT−5」)をグラビアロールコートにて
乾燥時膜厚3μmで塗布してヒートシール層を形成し、
これを透明樹脂シート(表明シート)とした。
【0053】そして、ヒートシール層同士が向き合うよ
うにして、表面シートである該透明樹脂シートと前記不
透明着色基材シートとを重ね、輪転式の熱プレス型エン
ボス機にて、両シートの熱融着と同時に該透明樹脂シー
ト表面に木目導管溝をエンボス加工した。シートの加熱
温度は150℃、エンボス版の押圧圧力は25kg/c
2 、シートの送り速度は15m/min、版面温度は
40℃であった。
【0054】次に、該積層シートの表裏両面にコロナ処
理(3kw、スピード50m/min)を施した後、凹
凸模様の凹部のみに褐色顔料を含む着色インキ(2液硬
化型ウレタン樹脂をバインダーとし、カーボンブラック
を主体とする顔料を添加)をドクターブレード法により
ワイピング充填した。次いで、ワイピングした全面に、
アクリルポリオール100重量部に1,6−ヘキサメチ
レンジイソシアネート12重量部を混合した2液硬化型
ポリウレタンにシリカ微粒子を添加してなる組成物をグ
ラビアコートして紫外線吸収剤ブリード防止層を形成す
るとともに、該積層シートの裏面に塩化ビニル−酢酸ビ
ニル−マレイン酸共重合体と2,4−トリレンジイソシ
アネートとを混合してなる樹脂組成物を2μm厚でグラ
ビアコートして裏面プライマー層を形成した。これによ
り所望の化粧シートが得られた。
【0055】(実施例2)実施例1と同様の基材シート
にコロナ放電処理を施し、プライマー層及び模様層を設
けたシートを用意した。その上に、1,6−ヘキサメチ
レンジイソシアネートを硬化剤とし、アクリルポリオー
ルを主剤とする2液硬化型ウレタン樹脂接着剤を10g
/m2 (乾燥時)塗布して希釈溶剤を乾燥させた。さら
に、その上に表面シートとして、分子中に水酸基を持つ
ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤を2重量%添加し
た厚さ50μmのポリメタアクリル酸メチルからなる透
明アクリル樹脂シートを積層して加圧し、40℃の雰囲
気で4日間養生して該印刷インキ及び接着剤を架橋硬化
させて化粧シートを作製した。
【0056】(実施例3)表面シートとして、分子中に
水酸基を有するベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤を
2重量%添加した厚さ50μmの透明エチレン・ビニル
アルコール共重合体からなる未延伸シートを用いた以外
は実施例2と同様にして化粧シートを作製した。
【0057】(実施例4)表面シートとして、分子中に
水酸基を有するベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤を
2重量%添加した厚さ50μmの透明エチレン・テレフ
タレート・イソフタレート共重合体からなる未延伸シー
トを用いた以外は実施例2と同様にして化粧シートを作
製した。
【0058】(比較例1)基材シートのA層、B層及び
透明樹脂シートを構成する樹脂組成物が、結晶性アイソ
タクチックポリプロピレンのみからなること以外は実施
例1と同様のポリオレフィン樹脂シートを用いた。その
他は全て実施例1と同じとした。
【0059】(比較例2)基材シートがB層のみからな
る厚さ80μmの単層シートを用いた。その他は実施例
1と同じとした。
【0060】(比較例3)基材シート及び透明樹脂シー
トともに、樹脂組成物としてゴム系物質(ソフトセグメ
ント)未添加の延伸倍率5倍の2軸延伸ポリエチレンか
らなる厚さ80μmの単層シートを用いた。その他は実
施例1と同じとした。
【0061】(比較例4)無色透明シートの表面に紫外
線吸収剤ブリード防止層を設けず、その他は実施例1と
同じとした。
【0062】〔性能評価試験〕実施例1〜4の化粧シー
トと比較例1〜4の化粧シートとを諸物性において比較
した結果を表1と表2に示す。
【0063】〔試験法〕 1.透明性 目視にて、無色透明表面シートを透過して見える模様の
鮮明性、白濁の有無を評価した。 2.耐候性 カーボンアーク燈型サンシャインウェザオメータで10
00時間照射し、亀裂、白化、変色等の外観変化を観察
(目視判定)する。また、1000時間未満で外観変化
が著しくなった(目視判定)場合はその時点で停止す
る。なお、ブラックパネル温度63℃、120分中の降
雨時間が18分の条件で照射した。 3.耐熱性 80℃雰囲気中で3分間加熱し、その前後での変色状
態、紫外線吸収剤のブリードによる白化を目視で確認す
る。 4.Vカット時のシート破断・亀裂 エチレン・酢酸ビニル共重合体エマルジョンの接着剤を
用い、化粧シートの基材シート側を厚さ10mmのラワ
ン合板に接着して積層した後、該合板の化粧シート側と
反対側に、合板と接着剤層との界面にまで達する断面V
字型の条溝を切削し、該条溝内にエチレン・酢酸ビニル
共重合体エマルジョンの接着剤を塗布してから、該条溝
を閉じる様にして合板を折り曲げて合板をL字型(断
面)に折り曲げた。加工時の雰囲気温度は10℃であっ
た。 5.凹凸模様の再現 目視で評価した。 6.接着力 化粧シート/基材シート、又は表面シート/化粧シート
の積層体を幅1cmに切り抜いたサンプルを幅方向と直
交する方向に引張速度50mm/min、雰囲気温度2
0℃で、両サンプルの引張方向が互いに180°になる
ように引張試験を行い、層間界面の剥離時の張力を測定
した。 7.加熱寸法収縮率 化粧シートを100℃雰囲気中で30分間加熱して、 〔(加熱後の寸法)−(加熱前の寸法)〕×100/
(加熱前の寸法)=加熱寸法収縮率(%) を長手方向(MD)及び幅方向(TD)各々について求
めた。 8.シートの製膜適性 (1)シート自体の表面のフィッシュアイ、筋等の欠点
の有無を目視で評価。 (2)印刷した模様の抜け(非着肉部)の有無を目視で
評価。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の化粧シー
トは、着色基材シートの樹脂組成物として、結晶質ポリ
プロピレンのハードセグメントにスチレン−ブタジエン
ゴム又はオレフィンゴムからなるソフトセグメントを添
加したため、従来のポリオレフィン樹脂単体からなる結
晶性の高いシートを用いた化粧シートに見られた前記の
欠点(1)〜(3)を改善することができる。又それに
加えて、着色基材シートを3層積層体構成として、その
表面及び裏面の最外面層には着色剤も無機充填剤も無添
加とし、中間層にのみ着色顔料と無機充填剤を添加する
ようにしたため、着色化も十分行い、無機充填剤添加の
効果も十分奏して、尚且つ薄膜化した場合でも基材シー
トの製膜時の筋ムラ、フィッシュアイ等の表面欠陥を生
じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る化粧シートの例を示す断面図であ
る。
【図2】本発明に係る化粧シートの他の例を示す断面図
である。
【図3】本発明に係る化粧シートの他の例を示す断面図
である。
【符号の説明】
S 化粧シート 1 B層 2 A層 3 易接着層 4 模様層 5 凹部 6 着色インキ 7 接着剤層 8 易接着層 10 基材シート 20 透明樹脂シート
フロントページの続き (56)参考文献 特開2000−52500(JP,A) 特開 平11−240124(JP,A) 特開 平11−221889(JP,A) 特開 平11−221888(JP,A) 特開 平11−216819(JP,A) 特開 平11−207894(JP,A) 特開 平11−198320(JP,A) 特開 平11−138719(JP,A) 特開2000−103019(JP,A) 特開2000−103018(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材シートとして、結晶質ポリプロピレ
    ンのハードセグメントにスチレン−ブタジエンゴム又は
    オレフィンゴムのソフトセグメントを混合したオレフィ
    ン系熱可塑性エラストマーからなり、無機充填剤も着色
    顔料も含まない無色透明な樹脂組成物からなるA層、及
    び該A層の樹脂組成物に更に着色顔料を添加してなる着
    色樹脂組成物からなるB層を、A層/B層/A層の順に
    3層積層したポリオレフィン樹脂シートを用い、これに
    装飾処理を施したことを特徴とする化粧シート。
  2. 【請求項2】 B層中に更に無機体質顔料を添加してな
    ることを特徴とする請求項1記載の化粧シート。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の化粧シー
    トの表面に、オレフィン系熱可塑性エラストマー、アク
    リル樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂、
    熱可塑性ポリエステル樹脂のいずれかから選択される透
    明樹脂シートを積層してなることを特徴とする化粧シー
    ト。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の化粧シートであって、
    最表面の透明樹脂シートがオレフィン系熱可塑性エラス
    トマーからなり、該最表面の透明樹脂シート中に、分子
    中に水酸基を持つ有機系の紫外線吸収剤を添加し、且つ
    その表面にイソシアネート基を分子中に持つ樹脂層から
    なる紫外線吸収剤ブリード防止層を有することを特徴と
    する化粧シート。
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