JP4318789B2 - 化粧シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅等の建築物の内外装材や、造作材、建具等の建築資材、家具什器類、住設機器や家電製品等の表面化粧等に使用するための化粧シートに関するものであり、特に、例えば引き戸や真板等の様に、複雑な二次元乃至三次元の立体形状の部材の表面化粧用として、真空成形法により貼着して使用する用途に好適な化粧シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記の様に立体形状に成形する用途に使用される化粧シートは、特有の優れた熱成形性を有し、しかも表面硬度、耐磨耗性、耐薬品性等の各種の表面物性や耐候性、二次加工性等に幅広くバランスの良い特性を有するポリ塩化ビニル樹脂製の化粧シートが、最も広く用いられて来た。しかし、近年になって、ポリ塩化ビニル樹脂は燃焼時に塩化水素等の有毒ガスやダイオキシン等の猛毒物質が発生する場合があるという問題点が指摘され、係る問題のない塩素を含有しない樹脂による代替が、社会的に強く要望される様になっている。
【0003】
係る要望に応える為に、例えば熱可塑性ポリオレフィン系樹脂を使用した化粧シートが既に提案され(特開平6−16832号公報参照)、ポリ塩化ビニル樹脂製の化粧シートに対する置き換えが徐々に進行しつつある。このポリオレフィン系樹脂からなる化粧シートは、最も一般的な化粧シートの用途である平面状の化粧板用やVカット加工用、ラッピング加工用等に対しては優れた性能を有することが示され、ポリ塩化ビニル樹脂製の化粧シートの代替品としては最も有力と看做されている。
【0004】
しかし、ポリオレフィン系樹脂は本質的に結晶性の高分子であり、それも非晶質のマトリクス中に結晶化部分が散在した構造を有するため、引張等の応力に対する強度は局所的に見ると不均一であり、塑性変形の際も局所的に不均一な変形を起こし易い。この原理に起因して、前述した様な立体形状に成形する用途の場合には、ネッキング等の成形不良や、エンボス部や被貼着基材のエッジ部・コーナー部等における不均一な伸長による柄伸び(シートの局所的な著しい伸びによって絵柄が歪む現象)を発生し易いといった欠点がある。また、上記した非晶部と結晶部の海島構造に起因して、特に被貼着基材のエッジ部やコーナー部等の高伸長部において白化を発生し易いという事情もあって、凹凸差の大きな複雑な立体形状に成形する用途には使用することができないという問題点があった。
【0005】
この問題点を解決する為には、不均一な変形を起こし難い、均一な構造を有する樹脂、例えば本質的に非晶質の樹脂、を使用することが好ましいと考えられ、具体的には例えば非晶質ポリエステル系樹脂等が候補として考えられる。非晶質ポリエステル系樹脂を使用した化粧シート自体は既に各種の提案があり、具体的には例えば、オレフィン系樹脂の基材シートの表面に非晶質ポリエステル系樹脂の表面保護シートを積層した化粧シート(特開平7−24979号公報参照)等の提案がある。
【0006】
しかし、これらの非晶質ポリエステル系樹脂を使用した化粧シートも、必ずしも立体成形用途において十分に満足できるものではなかった。その理由の第1としては、非晶質ポリエステル系樹脂はオレフィン系樹脂と比較して耐溶剤性や耐汚染性に劣る点が挙げられる。この問題点は、表面に耐溶剤性や耐汚染性に優れた硬質の硬化性樹脂からなるトップコート層を厚目に設けることで、ある程度は解決できるのではあるが、十分な耐溶剤性や耐汚染性を得ようとして、トップコート層を厚くし過ぎると、結果的に化粧シートの可撓性や熱成形性が低下し、複雑な立体形状への追従が困難となってしまう。
【0007】
第2の理由として、化粧シートには一般に、被貼着基材の表面の不陸や接着剤の塗工ムラ等を拾わない為には、或る程度の厚みが必要であり、係る厚みのあるシートに十分な立体成形性を持たせる為には、シートの総厚に占める非晶質ポリエステル系樹脂層の厚みの比率を大き目に設定する必要があるが、非晶質ポリエステル系樹脂はオレフィン系樹脂と比較して高価であるので、非晶質ポリエステル系樹脂層の厚みの比率を増すと、結果的に得られる化粧シートが非常に高価なものとなってしまう点を挙げることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の様な問題点を解決するためになされたものであって、その課題とするところは、燃焼時に塩素ガス等の有毒物質を発生しない非ハロゲン系樹脂を使用した化粧シートであって、真空成形等の立体成形時にネッキングや破断、白化、柄伸び等の問題を生じることがなく、耐溶剤性や耐汚染性等の表面物性にも優れており、しかも安価に供給可能な化粧シートを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、熱可塑性オレフィン系樹脂からなる基材シート上に、透明な非晶質ポリエステル系樹脂からなる厚み10〜100μmの中間樹脂層と、熱可塑性オレフィン系樹脂からなる透明表面樹脂層とを、化粧シートの総厚が160〜450μmとなるように順次具備することを特徴とする化粧シートである。
【0011】
また本発明は、上記化粧シートにおいて、前記熱可塑性オレフィン系樹脂からなる基材シートが、裏面層、中間層及び表面層の3層から構成されてなり、中間層は裏面層及び表面層よりも軟質の熱可塑性オレフィン系樹脂からなることを特徴とする化粧シートである。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1に本発明の化粧シートの一例の模式断面図を示す。本発明の化粧シートは、熱可塑性オレフィン系樹脂からなる基材シート1上に、非晶質ポリエステル系樹脂からなる中間樹脂層4と、熱可塑性オレフィン系樹脂からなる透明表面樹脂層6とが、少なくともこの順に積層されて構成されるものである。なお、本発明において樹脂層の「透明」とは、必ずしも完全な無色透明を意味するものではなく、着色透明や半透明をも包含するものである。
【0013】
基材シート1を構成する熱可塑性オレフィン系樹脂の種類としては、例えば従来より化粧シート用の基材シートの素材として使用されていた公知の任意の熱可塑性オレフィン系樹脂を使用することができる。具体的には、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブテン−1樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1樹脂等のオレフィン系単独重合体や、エチレン−酢酸ビニル共重合体を始めとするエチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のオレフィン系共重合体等を挙げることができる。
【0014】
中でも本発明の目的に最も好適なのはポリプロピレン系樹脂、すなわちポリプロピレンを主成分とする単独又は共重合体であり、具体的には、例えばホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂、及び、ポリプロピレン結晶部を有し、且つプロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィン、好ましくはエチレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1又はオクテン−1、のコモノマーを15モル%以上含有するプロピレン−α−オレフィン共重合体などを例示することができる。また、通常ポリプロピレン系樹脂の柔軟化に用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム等の改質剤を添加することもできる。
【0015】
また、基材シート1は同種又は異種の熱可塑性オレフィン系樹脂からなる複数層の積層体であっても良い。例えば、ポリプロピレン系樹脂からなる基材シート1にあっては、高結晶性ポリプロピレン樹脂を主体として構成される硬質の裏面層11と表面層13との間に、高結晶性ポリプロピレンを含有し又は含有せず、非晶質ポリプロピレン樹脂又は低密度ポリエチレン樹脂等の非晶質乃至低結晶性のオレフィン系樹脂や、低分子量オレフィン系樹脂、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム等のオレフィン系エラストマー等から選ばれる1種以上の軟質成分を含有するオレフィン系樹脂組成物から構成される軟質の中間層12を挟持した3層構成とすると、化粧シート用の基材シートとして十分な抗張力や腰を有しつつ、可撓性や立体成形性にも優れたものを容易に得ることができる(図2)。
【0016】
化粧シートには一般に、被貼着基材の表面の好ましくない色彩や欠陥等を隠蔽する目的で、隠蔽性が要求される場合が多い。化粧シートに隠蔽性を付与する方法としては、隠蔽性顔料を添加して不透明とした隠蔽性の基材シート1を用いる方法、基材シート1の表面又は裏面に隠蔽性顔料を含有する隠蔽性インキ乃至塗料による隠蔽層を設ける方法、その両者を併用する方法等があるが、高度の隠蔽性を得る為には、基材シート1に隠蔽性顔料を添加して隠蔽性とすることが最も有利である。
【0017】
特に、立体成形の用途の場合には、隠蔽性インキ乃至塗料による隠蔽層では、立体成形時の延伸により薄くなったり亀裂を生じたりして隠蔽性が不十分となり易いのに対し、十分な厚みのある基材シート1に隠蔽性顔料を添加しておけばその様な危惧はない。また、仮に成形時に基材シート1に白化の原因となるべき現象(例えば樹脂内部の微細な亀裂や樹脂分子の配列状態の変化等)が多少生じることがあっても、当該基材シート1に含有される隠蔽性顔料によってそれが隠蔽される結果、事実上白化として意匠性に影響を与えることがない利点がある。
【0018】
上記隠蔽性顔料とは従来周知の様に、分散媒たる樹脂と比較して著しく高い屈折率を有する微細粉末状顔料であって、その屈折率差による界面での光の反射や屈折による光散乱効果によって、シートの表裏面間での光の直接透過が妨げられ、隠蔽性が発現するのである。基材シート1を構成する熱可塑性オレフィン系樹脂等の樹脂の屈折率は概ね1.5前後であるから、隠蔽性顔料としては屈折率が概ね2.0以上の顔料が選ばれるのが一般的であり、また光(可視光線)に対する散乱能の観点から通常は粒径0.1〜1μm程度の範囲のものが使用される。なお、隠蔽性顔料の添加量は、隠蔽性の観点からは多い程好ましいが、あまり多過ぎると樹脂が脆化し熱成形性を損なう虞があるので、樹脂100重量部に対し1〜10重量部の範囲内とすることが好ましい。
【0019】
係る隠蔽性顔料の内、光吸収性の高い顔料は、入射した光の一部を吸収して着色作用を発現するので着色顔料と称され、逆に光吸収性の殆どない顔料は、光散乱効果により入射光の大部分を入射方向へ反射して色調を明るく(白く)見せる作用を発現するので白色顔料と称される。そして、光吸収係数と屈折率とのバランスの良い顔料を選択するか、若しくは、上述した着色顔料と白色顔料とを適宜の比率で配合して使用することにより、任意の所望の色調を得ることができる訳である。
【0020】
前記隠蔽性顔料としては、有機及び無機の各種の顔料が知られているが、一般に有機顔料よりも無機顔料の方が屈折率が高く隠蔽性に優れている他、耐光性(耐褪色性)や耐薬品性にも優れているので、耐久性や堅牢性の面からも、無機顔料を使用することが好ましい。特に立体成形用途の化粧シートの場合には、立体成形により樹脂が延伸を受けた際に、樹脂と無機顔料との間でミクロ的な剥離が起こり、内部応力を吸収する結果、優れた成形性を発現する効果があり、これは有機顔料を使用した場合には見られないことである。
【0021】
係る無機顔料の内、着色顔料としては例えば黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー、バリウムイエロー、キナクリドン、オーレオリン、モリブデートオレンジ、カドミウムレッド、弁柄、鉛丹、辰砂、マルスバイオレット、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、コバルトブルー、セルリアンブルー、群青、紺青、エメラルドグリーン、クロムバーミリオン、酸化クロム、ビリジアン、鉄黒、カーボンブラック等、白色顔料としては例えば酸化チタン(チタン白、チタニウムホワイト)、酸化亜鉛(亜鉛華)、塩基性炭酸鉛(鉛白)、塩基性硫酸鉛、硫化亜鉛、リトポン、チタノックス等を使用することができる。中でも、隠蔽性や耐光性に優れ、意匠面でも色調的に化粧シート用に好適な顔料として、着色顔料としては弁柄、黄色酸化鉄、鉄黒等の酸化鉄系顔料、白色顔料としては酸化チタン系顔料を使用することが最も望ましい。
【0022】
なお、以上に詳述した酸化鉄系顔料及び酸化チタン系顔料に加えて、色調の調整の目的で他の隠蔽性又は非隠蔽性の無機顔料又は有機顔料を少量併用することは差し支えない。但し、飽くまでも酸化鉄系顔料及び酸化チタン系顔料を主体とすることが肝要であって、他の顔料の使用量は顔料全体に占める比率で概ね20重量%以下とすることが好ましい。併用する顔料としては耐光性の高いものを選択することが好ましく、無機顔料の中ではコバルトブルー又はカーボンブラック等、有機顔料の中ではフタロシアニンブルー等のフタロシアニン系顔料等を使用することが好ましい。その他、必要に応じて例えばシリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料を併用することもできる。
【0023】
その他、基材シート1を構成する熱可塑性オレフィン系樹脂には、目的の化粧シートの用途により必要に応じて、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤等の従来公知の各種の添加剤の1種以上が添加されていても良い。
【0024】
酸化防止剤としては例えばフェノール系、硫黄系、リン系等、紫外線吸収剤としては例えばベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリシレート系、シアノアクリレート系、ホルムアミジン系、オキザニリド系等、光安定剤としては例えばヒンダードアミン系、ニッケル錯体系等、熱安定剤としては例えばヒンダードフェノール系、硫黄系、ヒドラジン系等、可塑剤としては樹脂の種類にもよるが例えばフタル酸エステル系、リン酸エステル系、脂肪酸エステル系、脂肪族二塩基酸エステル系、オキシ安息香酸エステル系、エポキシ系、ポリエステル系等、滑剤としては例えば脂肪酸エステル系、脂肪酸系、金属石鹸系、脂肪酸アミド系、高級アルコール系、パラフィン系等、帯電防止剤としては例えばカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両イオン系等、難燃剤としては例えば臭素系、リン系、塩素系、窒素系、アルミニウム系、アンチモン系、マグネシウム系、硼素系、ジルコニウム系等、充填剤としては例えば炭酸カルシウム、硫酸バリウム、滑石、蝋石、カオリン等から選ばれる1種又は2種以上の混合系で使用される。
【0025】
基材シート1の厚さには特に制限はなく、従来の一般の化粧シートの基材シートと同様の厚さのものを使用することができる。具体的には、化粧シートの用途や樹脂の種類にもよるが、一般的には50〜200μm程度の範囲内とするのが良い。基材シート1の成形方法にも特に制限はなく、例えば押出成形法、インフレーション成形法、カレンダー成形法、キャスト成形法等の従来公知の任意の成形方法によって製膜されたフィルム乃至シートを使用することができる。
【0026】
絵柄層2は、目的とする化粧シートに任意の所望の絵柄の意匠性を付与する目的で設けられるものである。従って、例えば単なる表面着色や色彩調整のみを目的とした無地の化粧シートの様に、基材シート1の着色や隠蔽層の形成等によって十分に前記表面着色や色彩調整が達せられる場合や、基材シート1自体に顔料の練り込みや昇華性乃至溶融移行性染料の移行等により絵柄が施されている場合等には、絵柄層2は特に設けられない場合もある。しかし一般的には、基材シート1の表面、中間樹脂層4の表面及び/又は裏面、及び/又は透明表面樹脂層6の裏面に、印刷法等の手段により適宜の絵柄層2が設けられる場合が多い。
【0027】
絵柄層2の構成材料や形成方法には一切制限はなく、従来より係る化粧シートの絵柄層に適用されて来た任意の画像形成材料や画像形成方法を適宜適用することができる。具体的には例えば、染料又は顔料等の着色剤を、適当な結着剤樹脂と共に、適当な溶剤中に溶解又は分散してなる印刷インキ又はコーティング剤等を使用することができる。
【0028】
前記着色剤としては、例えばカーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料や、アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料、金粉、銀粉、銅粉、アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料、魚鱗粉、塩基性炭酸鉛、酸化塩化ビスマス、酸化チタン被覆雲母等の真珠光沢顔料、蛍光顔料、夜光顔料等、又はこれらから選ばれる2種以上の混合物等を使用することができる。
【0029】
また、前記結着剤樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリビニル系樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等の各種合成樹脂類、又はそれらの2種以上の混合物、共重合体等を使用することができる。
【0030】
また、前記溶剤としては、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤や、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤、メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤、ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤等の各種有機溶剤や、水等の無機溶剤、又はそれらの2種以上の混合溶剤等を使用することができる。
【0031】
その他、必要に応じて例えば体質顔料や可塑剤、分散剤、界面活性剤、粘着付与剤、接着助剤、乾燥剤、安定剤、硬化剤、硬化促進剤又は硬化遅延剤等の各種の添加剤を適宜添加することもできる。
【0032】
絵柄層2の形成方法には特に制限はなく、例えばグラビア印刷法やオフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等の従来公知の各種の印刷方法を使用することができる。また、例えば全面ベタ状の場合には上記した各種の印刷方法の他、例えばロールコート法やナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種のコーティング方法によることもできる。その他、例えば手描き法、墨流し法、写真法、レーザービーム又は電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法やエッチング法等、又はこれらの方法を複数組み合わせて行うことも勿論可能である。
【0033】
また、絵柄層2の形成に先立ち必要に応じて、基材シート1の表面に例えばコロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理、アンカー又はプライマー処理等の表面処理を施すことによって、基材シート1と絵柄層2との間の密着性を向上することもできる。
【0034】
上記した絵柄層2が構成する絵柄の種類には特に制限はなく、例えば従来より係る化粧シートの分野において広く採用されている木目柄や、石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学模様等、或いは単なる着色や色彩調整を目的とする場合には単色無地であっても良く、要するに、目的の化粧シートの用途に応じ任意の所望の絵柄を採用することができる。
【0035】
中間樹脂層4を構成する非晶質ポリエステル系樹脂の種類には特に制限はないが、代表的なものの一つは通称A−PETシートとして市販されているもので、これは汎用の熱可塑性ポリエステル系樹脂であるポリエチレンテレフタレート樹脂を結晶化させない成形条件でシート状に押出成形したものである。具体的には例えば、帝人株式会社製「テイジンテトロンシート(A−PET)」、東洋紡績株式会社製「東洋紡PETMAXシートAシリーズ」、鐘紡株式会社製「カネボウA−PETシート」等として市販され、透明容器等の用途に広く使用されている。
【0036】
非晶質ポリエステル樹脂としては、上記の如く成形条件によるものの他、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の汎用の熱可塑性ポリエステル樹脂を基本骨格としつつ、結晶化を抑制するための各種の共重合成分を使用した共重合ポリエステル樹脂を使用することもできる。これには例えば、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸又はジカルボン酸エステルと、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール等の脂肪族ジオールとの縮合重合反応において、ジカルボン酸成分として例えばセバシン酸、エイコ酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の長鎖脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂環族ジカルボン酸を導入したり、及び/又は、ジオール成分としてポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の両末端に水酸基を有するポリエーテル系ジオールを導入したもの等がある。具体的には例えばイーストマンコダック社製「Spectar」や、通称PET−Gとして市販されているシクロヘキサンジメタノール共重合ポリエステル樹脂等がある。
【0037】
本発明においては上記の他、各種の非晶質ポリエステル系樹脂から選ばれる任意の樹脂からなるシートを、中間樹脂層4として使用することができる。勿論、同種又は異種のの非晶質ポリエステル系樹脂からなる複数層の積層体であってもよい。非晶質ポリエステル系樹脂は、結晶相と非結晶相との海島構造が存在しないことにより、極めて均一な成形性が得られ、ネッキングや破断、白化、柄伸び等の成形不良を発生することがないという利点がある。
【0038】
なお、従来より用いられている一般的な化粧材用の真空成形機の成形条件に適合させる為には、中間樹脂層4を構成する非晶質ポリエステル系樹脂としては、ガラス転移温度(Tg)が60℃以上85℃以下であり、且つ、冷結晶化温度(Tc)が120℃以上である樹脂を採用することが望ましい。
【0039】
ガラス転移温度が85℃を越えると、真空成形時の加熱温度を通常より高く設定する必要があり、熱エネルギー効率や成形サイクル時間の面で不利である他、樹脂が硬くなるので成形性の面でも不利である。一方、60℃を下回ると、シートが耐熱性に劣る為にドローダウン等の成形不良が発生し易い他、製造された化粧材の耐熱性や耐久性の面でも不利である。また、冷結晶化温度が120℃に満たないと、真空成形時の加熱により樹脂の結晶化が進行して樹脂が柔軟性を失い成形性が低下する他、結晶相と非結晶相との海島構造が出現し、両者の変形特性差に起因するネッキングや歪伸び、両者の屈折率差による白化等、成形不良が発生し易くなるからである。
【0040】
ガラス転移温度や冷結晶化温度は、樹脂の組成や分子量による他、樹脂のシート成形時の成形条件にもよるので、市販の各種の非晶質ポリエステル系樹脂シートの中から真空成形条件に適合したものを適宜選択するか、又は適合する範囲となる様にシートの成形条件を設定すれば良い。
【0041】
その他、中間樹脂層4を構成する非晶質ポリエステル系樹脂の物性としては、引張弾性率が100kgf/mm2以上300kgf/mm2以下であることが望ましい。引張弾性率が100kgf/mm2未満であると、樹脂が柔軟過ぎて傷付き易く腰も弱く、ラミネート時のシワや傷、ドローダウンや、基材の表面の不陸や接着剤の塗工ムラを拾う為の成形不良等の原因となり易く、一方、300kgf/mm2を越えると、樹脂の柔軟性が不十分である為に加工適性に劣り、基材の表面の三次元立体形状に完全に追従できない為の成形不良や割れ、白化、成形後に残留する応力による経時剥離等の原因となり易いからである。
【0042】
中間樹脂層4は、透明であっても良いし不透明であっても良い(不透明である場合には、絵柄層2は中間樹脂層4よりも表面側に設けられる)。しかしながら、化粧シートに高い意匠性を付与する為には、中間樹脂層4は透明とすることが有利である。それは、絵柄層2の表面側に中間樹脂層4及び透明表面樹脂層6を設けて、絵柄層2上の透明層の厚みを増すことによって、深み感や塗装感に優れたものが得られるし、特に化粧シートの表面にエンボス7を施す場合にあっては、エンボス7の深さを稼ぎ、より立体的な意匠性に優れた化粧シートを得ることができるからである。また、非晶質ポリエステル系樹脂の特有の高い透明性や耐白化性を化粧シートの性能上に十分に発揮させる意味でも、非晶質ポリエステル系樹脂からなる中間樹脂層4は透明とすることが、本発明の目的には最も適っている。
【0043】
中間樹脂層4を構成する非晶質ポリエステル系樹脂には、必要に応じて、例えば前述した基材シート1を構成する熱可塑性オレフィン系樹脂に添加することのできる添加剤として列挙したものの中から選ばれる一種以上の添加剤を添加することもできる。
【0044】
中間樹脂層4の厚みには特に制限はないが、薄すぎると非晶質ポリエステル系樹脂の持つ優れた熱成形特性が十分に発揮されず、一方厚すぎると折角の熱成形特性が減殺される虞がある他、不経済でもあるので、一般的には10〜100μm程度の範囲内とするのが良い。
【0045】
中間樹脂層4の基材シート1上への積層方法にも特に制限はなく、例えば熱接着アンカー層3を介した又は介さない熱ラミネート法や、ドライラミネート法又はウェットラミネート法等の接着剤を介したラミネート法、押し出しラミネート法、ポリサンドラミネート法等、従来より係る化粧シートの製造法として用いられている公知の任意のラミネート法を採用することができる。
【0046】
熱可塑性オレフィン系樹脂からなる透明表面樹脂層6は、基材シート1やその表面の絵柄層2、中間樹脂層4を外界から保護する目的で設けられるものであって、本発明においては耐溶剤性や耐汚染性等の観点から、特に熱可塑性オレフィン系樹脂を採用したものである。
【0047】
該透明表面樹脂層6を構成する熱可塑性オレフィン系樹脂として具体的には、例えば前述した基材シート1を構成する熱可塑性オレフィン系樹脂として列挙したものの中から適宜選択して使用することができる。但し、真空成形法による立体形状の基材への貼付に耐える柔軟性と、化粧シートの表面に要求される耐溶剤性や耐汚染性、耐擦傷性、耐磨耗性等の表面物性とを兼備すべく、選定にあたり配慮が必要である。具体的には例えば、表面物性の観点から高結晶性ポリプロピレン系樹脂を主体としつつ、柔軟性の付与の目的で例えば低結晶性ポリプロピレン系樹脂やエチレン−αオレフィン共重合体、オレフィン系ゴム等の軟質成分を添加してなるオレフィン系樹脂組成物などを好適に使用することができる。
【0048】
熱可塑性オレフィン系樹脂からなる透明表面樹脂層6の厚さには特に制限はないが、一般に、耐磨耗性や耐溶剤性等の表面物性、塗装感や深み感、エンボス深さ等の意匠性等の面では厚い程有利であるが、反面化粧シートとしての柔軟性や可撓性、真空成形時の基材表面形状への追従性等の面では不利となるので、両者のバランスの取れる厚み範囲を選ぶ必要がある。具体的には、化粧シートの用途やそれに応じた要求品質、使用する熱可塑性オレフィン系樹脂の種類等にもよるが、一般的には20〜200μm程度の範囲内とするのが良い。
【0049】
透明表面樹脂層6の積層方法にも特に制限はなく、例えば前述した中間樹脂層4の積層方法従来公知の任意の方法を適宜適用することができる。なお、基材シート1、中間樹脂層4及び透明表面樹脂層6の積層の工程順序にも特に制限はなく、基材シート1上にまず中間樹脂層4を積層した後に透明表面樹脂層6を積層しても良ければ、逆にまず中間樹脂層4と透明表面樹脂層6とを積層した後にその裏面に基材シート1を積層しても良い。また、3層の樹脂層を重ねて同時に熱ラミネートする方法や、基材シート1上に中間樹脂層4と透明表面樹脂層6とを溶融共押し出しラミネートする方法、基材シート1と透明表面樹脂層6との間に中間樹脂層4を溶融押し出すと同時に積層するサンドラミネート法等によって、3層を同時に積層することもできる。
【0050】
なお、押し出しラミネート法又はサンドラミネート法を採用する場合において、溶融押し出した樹脂層と被ラミネート樹脂層との間の接着性が劣る場合には、これも公知の様に、被ラミネート樹脂層上に予め感熱接着性のアンカー層を設けておくか、若しくは、別途用意した熱接着性樹脂との溶融共押し出しラミネート法により層間に接着性樹脂層を挟持させることによって、接着性の向上を図ることができる。勿論、必要に応じて両者を併用しても良い。
【0051】
かくして、基材シート1上に、中間樹脂層4と、透明表面樹脂層6とが少なくとも積層されて構成される本発明の化粧シートの総厚は、目的の用途や使用する樹脂の種類等にもよるが、概ね160〜450μm程度の範囲内とすることが好ましい。総厚が薄すぎると、真空成形時にシートが引き伸ばされて薄くなり破断に至ったり、被貼着基材の表面の不陸や接着剤の塗工ムラ等を拾って意匠性が低下したりし易い。一方厚すぎると、真空成形性に劣り被貼着基材の表面の細かい凹凸に追従できなかったり、曲率の大きなエッジ部やコーナー部で過度に引き伸ばされて白化したりし易いからである。
【0052】
透明表面樹脂層6の表面には、従来公知の如く、必要に応じて所望の適宜の模様のエンボス7を設けることもできる。エンボス7の模様の種類にも特に制限はなく、例えば木目調(特に導管模様状)、石目調、布目調、和紙調、幾何学模様状等の各種模様状であっても良いし、或いは例えば単なる艶消状や砂目状、ヘアライン状、スウェード調等であっても良い。また、これらのエンボス7の模様を絵柄層2の絵柄と同調させることによって更なる意匠性の向上を図ることも出来るが、その必要がなければ非同調であっても良く、また絵柄層2の絵柄と同調した模様と同調しない模様との両者を含む模様のエンボス7を設けることもできる。
【0053】
エンボス7の形成方法にも特に制限はないが、金属製のエンボス版を使用した機械エンボス法が最も一般的である。またエンボス7の形成時期にも特に制限はなく、透明表面樹脂層6の中間樹脂層4及び/又は基材シート1との積層前、積層と同時又は積層後の中から任意の時期を選択することができ、また前記の各時期から選ばれる複数の時期に同一又は異なる模様のエンボス7を複数回に亘って施すこともできる。
【0054】
中でも特に、基材シート1の表面及び/又は中間樹脂層4の裏面と、中間樹脂層4の表面及び/又は透明表面樹脂層6の裏面とに予め熱接着アンカー層3、6を設けておき、3層を重ねてエンボスロールと圧ロールとの間に挿入し、熱ラミネートすると同時にエンボスを施す方法によると、3層のラミネートとエンボスとを一工程で効率良く行うことができる利点がある。
【0055】
なお、エンボス7の凹陥部には、必要に応じてワイピング法等の手法により着色剤を充填しても良く、これによって表面の凹凸模様と同調した色彩模様を有する意匠性に優れた化粧シートを得ることができる。
【0056】
また、化粧シートの表面に更に優れた表面物性を付与する目的で、透明表面樹脂層6の表面上に更にトップコート層8を設けることもできる。トップコート層8の構成材料としては、従来より係る化粧シートのトップコート層の構成材料として使用されている公知の各種のトップコート剤の中から選ばれる任意のものを使用することができる。一般的には、少なくとも下地を透視可能な透明性を有する必要がある他、化粧シートの用途により要求される耐磨耗性や耐擦傷性、耐溶剤性、耐汚染性等の表面物性を具備させるべく、硬化性樹脂を主成分とする材料から構成することが好ましい。
【0057】
上記トップコート層8の構成材料として具体的には、例えばメラミン系樹脂、フェノール系樹脂、尿素系樹脂、エポキシ系樹脂、アミノアルキド系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂等の熱硬化性樹脂や、アクリル系樹脂等の電離放射線硬化性樹脂等を、好適に使用することができる。また必要に応じて、艶調整剤、滑剤、帯電防止剤、結露防止剤、抗菌剤、防黴剤等の各種添加剤を適宜添加することができる。また、艶状態の異なる2種以上の樹脂組成物を使用し、その一部又は全部を任意の模様状に形成することによって、艶の変化による視覚的な立体感を有する高意匠性の化粧シートを得ることもできる。
【0058】
トップコート層8の形成方法にも特に制限はなく、全面ベタ状であれば例えばグラビアコート法、ロールコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、ナイフコート法、コンマコート法、ダイコート法、リップコート法、キスコート法、ロッドコート法、スプレーコート法、フローコート法等の従来公知の任意のコーティング法を適宜適用することができる。また模様状に設ける場合には、例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法等の任意の印刷法によって設けることもできる。
【0059】
なお、透明表面樹脂層6とトップコート層8との密着性が不十分である場合には、トップコート層8の塗工形成に先立ち、透明表面樹脂層6の表面に例えばコロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理、アンカー又はプライマー処理等の表面処理を施すことによって、透明表面樹脂層6とトップコート層8との間の密着性を向上することができる。
【0060】
本発明の化粧シートは、既に説明した様に、従来の化粧シートと同様、木質系基材や無機質系基材等の各種の基材の表面に貼着(ラミネート)して使用するものであり、一般的には該貼付の際には例えばウレタン系や酢酸ビニル系等の適宜の接着剤が使用されるが、係る接着剤の種類によっては基材シート1を構成する熱可塑性オレフィン系樹脂との接着性が不十分である場合もある。係る場合に備えて、基材シート1の裏面に、ラミネート用接着剤との接着性に優れた樹脂からなるプライマー層9を設けておくことが好ましい。
【0061】
プライマー層9としては例えばウレタン系、アクリル系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系等の各種のプライマー剤が知られており、これらの中から基材シート1を構成する熱可塑性オレフィン系樹脂に合わせたものを選んで使用する。なお、プライマー層9に例えばシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の粉末を添加しておくと、プライマー層9の表面が粗面化することによって化粧シートの巻取保存時のブロッキングが防止できる他、投錨効果による前記ラミネート用接着剤との接着性の向上を図ることもできる。
【0062】
【実施例】
以下に、本発明の化粧シートの具体的な実施例及び比較例を挙げ、本発明をより詳細に説明する。
【0063】
実施例1
厚さ90μmの着色ポリプロピレン系樹脂フィルムの表面に、建材用ウレタン樹脂系印刷インキを使用してグラビア印刷法により木目の絵柄を印刷し、該印刷面に塩酢ビ−ウレタン系熱接着アンカー剤を乾燥後の塗布量6g/m2に塗工して、印刷オレフィンフィルムを調製した。
【0064】
厚さ50μmの透明ポリプロピレン系樹脂フィルムの表面に、2液ウレタン系トップコート剤を乾燥後の塗布量6g/m2に塗工し硬化させ、一方裏面には、塩酢ビ−ウレタン系熱接着アンカー剤を乾燥後の塗布量6g/m2に塗工して、表面用フィルムを調製した。
【0065】
上記印刷オレフィンフィルムの印刷面上に、厚さ50μmの透明な非晶質ポリエステル系樹脂フィルムを載置し、更に上記表面用フィルムをその熱接着アンカー剤塗工面を非晶質ポリエステル系樹脂フィルム側に向けて載置して、ダブリングエンボス法により3層を積層接着すると同時に表面に導管柄のエンボスを施して、本発明の化粧シートを作製した。
【0066】
得られた化粧シートを、予め表面に水性2液ウレタン樹脂系接着剤を乾燥後の塗布量10g/m2に塗工して乾燥させた、曲率半径5Rの三次元立体形状を有する木質基材の表面に、真空成形機にて三次元成形ラミネートしたところ、ネッキングや破断、柄伸び、白化等の成形不良もなく、基材表面の不陸や接着剤の塗布ムラを拾うこともなく、耐溶剤性や耐汚染性にも優れた良好な製品を得ることができた。
【0067】
実施例2
上記実施例1において、厚さ90μmの着色ポリプロピレン系樹脂フィルムに代えて、アイソタクティックインデックス(沸騰デカン可溶残分)が10%の低結晶性ポリプロピレン樹脂を主成分とする厚さ70μmの着色軟質ポリオレフィン系樹脂層の表裏に、アイソタクティックインデックスが94%の高結晶性ポリプロピレン樹脂を主成分とする厚さ10μmの硬質ポリオレフィン系樹脂層を設けた3層構成のシートを使用し、その他は上記実施例1と全く同一の要領で本発明の化粧シートを作製した。
【0068】
得られた化粧シートを、上記実施例1と全く同一の要領で三次元立体形状を有する木質基材の表面にラミネートしたところ、上記実施例1の場合と同様、ネッキングや破断、柄伸び、白化等の成形不良もなく、基材表面の不陸や接着剤の塗布ムラを拾うこともなく、耐溶剤性や耐汚染性にも優れた良好な製品を得ることができた。
【0069】
比較例1
厚さ90μmの着色ポリプロピレン系樹脂フィルムの表面に、建材用ウレタン樹脂系印刷インキを使用してグラビア印刷法により木目の絵柄を印刷し、該印刷面に塩酢ビ−ウレタン系熱接着アンカー剤を乾燥後の塗布量6g/m2に塗工して、印刷オレフィンフィルムを調製した。
【0070】
上記印刷オレフィンフィルムの印刷面上に、予め表面に2液ウレタン系トップコート剤を乾燥後の塗布量6g/m2に塗工し硬化させた厚さ50μmの透明な非晶質ポリエステル系樹脂フィルムを載置し、ダブリングエンボス法により積層接着すると同時に表面に導管柄のエンボスを施して化粧シートを作製した。
【0071】
得られた化粧シートを、上記実施例1と全く同一の要領で三次元立体形状を有する木質基材の表面にラミネートしたところ、化粧シートの白化は見られなかったが、接着剤の塗工ムラを拾って表面に凹凸が見られる他、耐溶剤性や耐汚染性にも劣るものであった。
【0072】
比較例2
厚さ90μmの着色ポリプロピレン系樹脂フィルムの表面に、建材用ウレタン樹脂系印刷インキを使用してグラビア印刷法により木目の絵柄を印刷し、該印刷面に塩酢ビ−ウレタン系熱接着アンカー剤を乾燥後の塗布量6g/m2に塗工して、印刷オレフィンフィルムを調製した。
【0073】
上記印刷オレフィンフィルムの印刷面上に、予め表面に2液ウレタン系トップコート剤を乾燥後の塗布量6g/m2に塗工し硬化させた厚さ60μmの透明ポリプロピレン系樹脂フィルムを載置し、ダブリングエンボス法により積層接着すると同時に表面に導管柄のエンボスを施して化粧シートを作製した。
【0074】
得られた化粧シートを、上記実施例1と全く同一の要領で三次元立体形状を有する木質基材の表面にラミネートしたところ、化粧シートの白化が発生した他、コーナー部等に著しい柄伸びが発生し、接着剤の塗工ムラを拾って表面に凹凸が見られた。
【0075】
【発明の効果】
以上詳細に説明した様に、本発明の化粧シートは、熱可塑性オレフィン系樹脂からなる基材シート上に、非晶質ポリエステル系樹脂からなる中間樹脂層と、熱可塑性オレフィン系樹脂からなる透明表面樹脂層とを順次積層して構成したので、熱成形性に優れた非晶質ポリエステル系樹脂からなる中間樹脂層が、その優れた均一成形性によって、真空成形時の破断やネッキング、白化、柄伸び等の成形不良の発生を防止することができると共に、熱成形時に裏面側の基材シートと表面側の透明表面樹脂層との間で謂わばクッションの様な役割を果たすことにより、非晶質ポリエステル系樹脂層が比較的に薄くても、十分な熱成形適性を持たせることができるので、真空成形性に優れた化粧シートを安価に得ることができる。しかも、表面には熱可塑性オレフィン系樹脂からなる透明表面樹脂層を具備することにより、耐溶剤性や耐汚染性等の表面物性に優れた化粧シートを容易に得ることができる。
【0076】
また特に、非晶質ポリエステル系樹脂からなる中間樹脂層を透明とすることにより、非晶質ポリエステル系樹脂の優れた透明性や耐白化性によって、化粧シートに優れた深み感や塗装感を付与し、深いエンボスの形成による優れた立体的意匠感の達成も可能であり、しかも真空成形による立体成形性にも優れた化粧シートを容易に得ることができる。
【0077】
また特に、熱可塑性オレフィン系樹脂からなる基材シートとして、軟質の熱可塑性オレフィン系樹脂からなる中間層の表裏に硬質の熱可塑性オレフィン系樹脂からなる表裏面層を積層した3層構成のシートを採用することにより、十分な抗張力や腰を有しつつ、より柔軟性や立体成形適性に優れた化粧シートを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの一例の積層構造を示す模式断面図である。
【図2】本発明の化粧シートの一例の積層構造を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1‥‥基材シート
11‥‥裏面層
12‥‥中間層
13‥‥表面層
2‥‥絵柄層
3‥‥熱接着アンカー層
4‥‥中間樹脂層
5‥‥熱接着アンカー層
6‥‥透明表面樹脂層
7‥‥エンボス
8‥‥トップコート層
9‥‥プライマー層

Claims (2)

  1. 熱可塑性オレフィン系樹脂からなる基材シート上に、透明な非晶質ポリエステル系樹脂からなる厚み10〜100μmの中間樹脂層と、熱可塑性オレフィン系樹脂からなる透明表面樹脂層とを、化粧シートの総厚が160〜450μmとなるように順次具備することを特徴とする化粧シート。
  2. 前記熱可塑性オレフィン系樹脂からなる基材シートが、裏面層、中間層及び表面層の3層から構成されてなり、中間層は裏面層及び表面層よりも軟質の熱可塑性オレフィン系樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
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