JP2015170664A - 太陽電池モジュール用裏面保護シート - Google Patents

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仁 西川
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安広 飯泉
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慶太 在原
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Abstract

【課題】太陽電池素子の色調に近い暗色の外観を有する太陽電池モジュール用裏面保護シートでありながら、十分な反射性及び隠蔽性を備え、太陽電池モジュールの発電効率の向上に充分に寄与しうる太陽電池モジュール用裏面保護シートを低コストで提供する。【解決手段】この太陽電池モジュール用裏面保護シートは、650nm以上1200nm以下の近赤外線を反射する反射層と、透明密着層とを含む複数の層を、オキサジン系顔料及び酸化チタンのような顔料を含有する暗色接着剤であって酸化チタンが全顔料中10%質量%〜20質量%含まれる黒高反射接着層を介して積層してなる裏面保護シートである。この裏面保護シートは、太陽電池素子の色合いに近く意匠性に優れ、かつ、赤外反射性能や隠蔽性にも優れる。【選択図】図2

Description

本発明は、太陽電池モジュール用裏面保護シートに関する。
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリーンなエネルギー源としての太陽電池が注目されている。一般に、太陽電池を構成する太陽電池モジュールは、受光面側から、透明前面基板、封止材、太陽電池素子、封止材及び裏面保護シートが順に積層された構成であり、太陽光が上記太陽電池素子に入射することにより発電する機能を有している。
太陽電池モジュールにおいては、意匠性の観点から裏面保護シートの外観を暗色にしたものが求められる場合がある。外観を暗色にするための方法としては、カーボンブラックを含む樹脂層や接着層を設ける方法があるが、カーボンブラックは近赤外線を吸収するため、使用時に太陽電池モジュールの温度を上昇させてしまい、その結果、太陽電池モジュールの発電効率は低下する。
そこで、暗色層における蓄熱を抑制し、更に、反射光を太陽電池素子に入射させて、発電効率を向上させるために、赤外線透過性を有する顔料を樹脂に練り込んだ黒色系樹脂層と赤外線反射性とを有する白色系樹脂層と、耐候性を有する裏面保護層等を備え、これらの複数の層を接着剤等で接着して製造する太陽電池モジュール用裏面保護シートが開発されている。(特許文献1)。
この太陽電池モジュール用裏面保護シートにおいては、異なる特性を有する複数の層を積層して製造する必要があるため、コスト面や各層間の接着性及び接着耐久性について、更なる改善が求められていた。そこで、太陽電池モジュール用裏面保護シートにおいて、反射層を含む複数の層を、特定の樹脂と暗色系の有機顔料等を含む黒色接着剤からなる黒色接着剤層を介して積層することによって、耐候性及び耐久性を備え、太陽電池モジュールの発電効率の向上に寄与しえる太陽電池モジュール用裏面保護シートも開発されている(特許文献2)。
しかし、太陽電池モジュールの発電効率向上に対する要求は、更に強くなってきており、さらなる赤外高反射性能が求められるようになってきている。また、意匠性の面から太陽電池素子とできるだけ近い色調の太陽電池モジュール用裏面保護シートであることが望まれている。さらに、太陽電池モジュール用裏面保護シートは受光面の背面側に用いられるものであるため、隠蔽性を有する太陽電池モジュール用裏面保護シートの開発が望まれている。
特開2010−199555号公報 特開2012−216689号公報
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、太陽電池素子と近似する色合いを有する太陽電池モジュール用裏面保護シートでありながら、従来の太陽電池モジュール用裏面保護シートよりもさらに高い赤外反射性能を有することで、太陽電池モジュールの発電効率の向上に充分に寄与しうる太陽電池モジュール用裏面保護シートを低コストで提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、太陽電池モジュール用裏面保護シートにおいて、反射層を含む複数の層を、特定の樹脂とオキサジン系顔料を含む暗色接着剤からなる暗色接着層を介して積層した太陽電池モジュール用裏面保護シートであって、当該暗色接着層に酸化チタンを含ませることによって、太陽電池素子と近似する色合いを有する意匠性の優れた太陽電池モジュール用裏面保護シートでありながら、従来の太陽電池モジュール用裏面保護シートよりも高い赤外反射性能を有する太陽電池モジュール用裏面保護シートであるため、より多く太陽電池モジュールの発電効率の向上に寄与することを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
(1)太陽電池モジュール用裏面保護シートにおいて最外層に配置され、全光線を透過する透明密着層と、650nm以上1200nm以下の近赤外線を反射する反射層とを、少なくとも含む複数の層を積層してなる太陽電池モジュール用裏面保護シートであって、前記複数の層の間に形成される接着層のうちの少なくとも一つの層が、黒高反射接着層であり、前記黒高反射接着層は、樹脂及び顔料を含む接着剤からなり、前記顔料は、オキサジン系顔料と酸化チタンとを含有し、前記酸化チタンの含有量が前記顔料全体の10質量%以上20質量%以下であることを特徴とする太陽電池モジュール用裏面保護シート。
(2)前記黒高反射接着層の色調が−1.0≦a≦1.0かつ−5.0≦b≦−1.0である(1)に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
(3)前記黒高反射接着層における接着剤の固形分塗布量が7〜18g/mである(1)又は(2)に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
(4)前記黒高反射接着層を介して前記反射層と前記透明密着層とが積層されている(1)から(3)いずれかに記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
(5)前記反射層が、白色顔料を含む樹脂からなる白色樹脂層である(1)から(4)いずれかに記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
(6)(1)から(5)いずれかに記載の太陽電池モジュール用裏面保護シートを積層してなる太陽電池モジュールであって、太陽電池素子がシリコン単結晶型である太陽電池モジュール。
本発明によれば、黒高反射接着層には近赤外線を反射する酸化チタンが含まれているため、太陽電池素子の色合いに近く意匠性に優れ、かつ、赤外反射性能や隠蔽性にも優れる太陽電池モジュール用裏面保護シートを製造することができる。
太陽電池モジュ−ルについて、その層構成の一例を例示する断面の模式図である。 裏面保護シート6の第1実施形態の断面を模式的に示す図である。 実施例における色座標を示す図である。 実施例における色座標を示す図である。
以下、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シート(本明細書において、単に「裏面保護シート」とも言う。)について詳細に説明する。本発明は以下に記載される実施形態に限定されるものではない。
先ず、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートが使用される太陽電池モジュールについて説明する。図1は、太陽電池モジュ−ルについて、その層構成の一例を例示する断面の模式図である。太陽電池を構成する太陽電池モジュール1は、図1に示すように入射光7の受光面側から、透明前面基板2、前面封止材層3、太陽電池素子4、背面封止材層5、裏面保護シート6が順に積層された構成である。これらを順次積層し、例えば真空熱ラミネート加工により一体化する。この際のラミネート温度は、130℃〜190℃の範囲内とすることが好ましい。また、ラミネート時間は、5〜60分の範囲内が好ましく、特に8〜40分の範囲内が好ましい。このようにして、上記の各層を一体成形体として加熱圧着成形して、太陽電池モジュ−ル1を製造することができる。
[太陽電池モジュール用裏面保護シートの全体構造]
本発明の実施形態に係る裏面保護シートを、図2を用いて説明する。裏面保護シート6は、黒高反射接着層60と、反射層61と、透明密着層62とを有する。反射層61と透明密着層62は黒高反射接着層60を介して接着される。太陽電池モジュール1においては、反射層61がモジュールの最外層側に、透明密着層62がモジュールの内層側即ち、背面封止材層5の側に配置される。
ここで、一般的に太陽電池モジュール用の封止材の多くは透明或いは半透明であるので、太陽電池モジュール1を透明前面基板2側から見た場合、太陽電池素子4が配置されていない隙間の部分については、透明密着層62を通して、黒高反射接着層60の色が見えることになる。
ここで、太陽電池素子4、なかでもシリコン単結晶型の太陽電池素子は、表面が単純な黒色ではなく、やや青みがかっており、CIEのL表色系で、aが−1から2程度、bが−1から−5程度、好ましくはaが0から2程度、bが−2から−4程度である。本発明においては、所定の暗色系有機顔料と、酸化チタンとを組み合わせることで、黒高反射接着層60の色調を上記のシリコン単結晶型の太陽電池素子の色調に近付けることができ、太陽電池モジュールとしての意匠性を向上させることができる。
また、裏面保護シート6においては、透明密着層62側から太陽電池素子4に吸収されなかった太陽光が入射する。黒高反射接着層に入射光に含まれる近赤外線の多くは、黒高反射接着層60に含まれる酸化チタンにより反射することとなる。そのため、裏面保護シート6に入射した赤外線の多くが反射層61に到達する前に黒高反射接着層60で反射されることになる。その結果、裏面保護シート全体で比較すると、酸化チタンを含まない黒色接着層を用いるよりも更に近赤外線の反射率が向上し、より多くの近赤外線が太陽電池素子4に吸収されることになる。この結果、酸化チタンを含まない黒色接着層を用いるよりも、より多くの発電効率を得ることができる。
また、黒高反射接着層60には、酸化チタンを含有することで可視光における隠蔽性が上がる。この結果、反射層61への可視光の透過を最小限に抑えることができるため、耐久性の優れた太陽電池モジュール用裏面保護シートを得ることができる。
本発明の裏面保護シート6は、上記のように意匠性に係る要求を満たすためにその外観をシリコン単結晶型の太陽電池素子に近い色に調整しながらも、裏面保護シート6の近赤外線の反射率を向上させることで、太陽電池素子4へより多くの近赤外線を吸収させることができるため、特にシリコン単結晶型の太陽電池素子の赤外線の吸収を効率よく高めることができる。そのような点からも、本発明の裏面保護シート6は、特にシリコン単結晶型の太陽電池モジュールに好適に用いることができる。
<黒高反射接着層>
黒高反射接着層60は、主として反射層61と透明密着層62を接合するために設けられる接着層である。本実施形態において黒高反射接着層60は、反射層61の上面、又は、該上面に対向する透明密着層62の下面に塗布された暗色接着剤が積層後に硬化することによって形成される。後述する通り、本発明に係る裏面保護シートにおいて黒高反射接着層60の配置はこれに限定されるものではないが、黒高反射接着層60がこの位置に形成されることにより、裏面保護シートを意匠性の面において好ましいものとしやすいというメリットがある。
黒高反射接着層60には、十分な接着性と接着耐久性が求められるが、本発明の裏面保護シート6においては、そのような特性に加えて、その外観が黒色に近い暗色であること即ち隠蔽率が高いこと、かつ、近赤外線を吸収せずに透過または反射する性質を有するものであることが重要である。
ここで、近赤外線とは、赤外線領域の内、もっとも可視領域に近い領域であるがその詳しい波長域は文献によっても値が様々である。本発明における近赤外線とは650nm以上1200nm以下の波長域の電磁波を指す。なお、黒高反射接着層60を形成する接着剤を、以下「暗色接着剤」とする。
暗色接着剤には、硬化した状態において波長650nm以上1200nm以下の光線を透過し又は反射する特性を有する接着剤を使用する。なお、「波長650nm以上1200nm以下の光線を透過する」とは、黒高反射接着層60において波長650nm以上1200nm以下の光線を15%以上透過、好ましくは50%以上透過、更に好ましくは80%以上透過することを意味する。
暗色接着剤の組成物としては、好ましくは主剤と硬化剤からなる2液タイプであり、オキサジン系顔料や酸化チタンとを含有し、塗布性、ハンドリング性の観点から、組成物としては適宜溶剤が含まれる。
意匠性の面から太陽電池モジュール用裏面保護シートの色調と太陽電池素子の色調は、できるだけ近いものが望ましい。そのため、黒高反射接着層の色調は−1.0≦a≦1.0かつ−5.0≦b≦−1.0であることが望ましい。
[主剤]
主剤成分は、ポリウレタンジオールと脂肪族ポリカーボネートジオールとの混合物を含む、ポリウレタン/ポリカーボネートジオール系が好ましい。主剤を構成するポリウレタンジオール及び脂肪族ポリカーボネートジオールは、ともに水酸基を有するポリオールであり、イソシアネート基を有する硬化剤と反応して、接着剤層を構成するものである。本発明においては、主剤を特定のポリウレタンジオールと脂肪族ポリカーボネートジオールを所定量配合した混合物とすることによって、接着剤層の接着性及び耐候性を向上させている。
主剤成分のポリウレタンジオールは、ウレタン構造をその繰り返し単位とし、その両末端に水酸基を有するポリウレタンである。ポリウレタンジオールの数平均分子量は、7000〜13000であることが好ましい。7000以上であると、硬化剤との反応性が良いため好ましく、13000以下であると溶剤への溶解が向上するためで好ましい。
ポリウレタンジオールの水酸基価は、10〜50mgKOH/gの範囲であることが好ましい。ポリウレタンジオールの水酸基価が10mgKOH/g以上であると、添加された硬化剤成分の多くが主剤成分に含まれる水酸基と反応することとなり好ましく、50mgKOH/g以下であると硬化剤との反応がより進行するため好ましい。
ポリウレタンジオールは、接着剤の主剤成分として、その接着性及び耐候性を向上させるため、脂肪族ポリカーボネートジオールと、1,6へキサンジオールとイソホロンジイソシアネートを反応させて得られることを特徴としている。以下、ポリウレタンジオールの構成成分である脂肪族ポリカーボネートジオール、1,6へキサンジオール及びイソホロンジイソシアネートについて説明する。
脂肪族ポリカーボネートジオールは、下記のイソホロンジイソシアネートと反応することができるポリウレタンジオールの構成成分である。脂肪族ポリカーボネートジオールは、カーボネート構造を繰り返し単位とし、その両末端に水酸基を有するものである。その両末端の水酸基は、イソシアネート基と硬化反応することができる。
脂肪族ポリカーボネートジオールは、アルキレンカーボネートとジオールを原料に用いて製造する方法、ジアルキルカーボネートやジアリールカーボネートとジオールを用いて製造する方法等を用いて製造することができる。本発明において使用される脂肪族ポリカーボネートジオールは、主剤成分に必要とされる性能に応じて、上記製造方法を適宜選択することにより製造することができる。
脂肪族ポリカーボネートジオールの製造に使用できるアルキレンカーボネートとしては、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、1,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート等が挙げられる。また、ジアルキルカーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等が、ジアリールカーボネートとしては、ジフェニルカーボネート等が挙げられる。
ジオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール等の側鎖を持たないジオール、2−メチル−1,8オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール等の側鎖を持ったジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等の環状ジオールを挙げることができる。なお、1種類のジオールを使用してもよいし、2種類以上のジオールを原料とした共重合ポリカーボネートジオールでもよい。
脂肪族ポリカーボネートジオールの数平均分子量は、1000〜2000であることが好ましい。1000以上であると、ジイソシネートとの硬化反応が起こり易いため好ましく、2000以下であると接着剤成分である溶剤への溶解性が向上するため好ましい。ポリカーボネートジオールの製造においては、モノマーの反応性が高く、高分子量化し易いため、所定の数平均分子量を有するポリカーボネートジオールを得るためには、反応速度等の制御が必要となる。
脂肪族ポリカーボネートジオールは、市販のものを使用することもできる。耐久性、耐候性、耐熱性、耐加水分解性に優れた接着剤を得るため、例えば、数平均分子量1000の脂肪族ポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ社製、商品名「デュラノールT5651」)、数平均分子量2000の脂肪族ポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ社製、商品名「デュラノールT5662」)を好適に使用することができる。
1,6へキサンジオールは、脂肪族ジオールであり、下記イソホロンジイソシアネートと反応してポリウレタンジオールを形成することができる。1,6へキサンジオールは、常温で液状を示すもので、接着剤成分である溶剤に溶解し得るものである。
1,6へキサンジオールと共にポリエステルジオールを使用することができる。ポリエステルジオールは、1,6へキサンジオールと同様に水酸基を2つ以上有するポリオールであるが、その基本骨格に嵩高い芳香族環を有するカルボン酸とのエステルとすることもできることから、イソホロンジイソシアネートと反応して得られるポリウレタンジオールに優れた硬化速度と凝集力を付与することができる。ポリエステルジオールとしては、例えば、イソフタル酸を使用して製造した芳香族ポリエステルジオールを挙げることができる。なお、本発明においてポリエステルジオールは、定法に従って、所定のカルボン酸化合物とジオールの組み合わせを採択することによって製造することができる。
ポリエステルジオールの数平均分子量は、3000〜4000であることが好ましい。ポリエステルジオールの数平均分子量が3000以上であると、硬化剤との反応性が良くなるため好ましく、ポリエステルジオールの数平均分子量が4000以下であると溶剤への溶解性が向上するため好ましい。
イソホロンジイソシアネートは、ポリウレタンジオールの構成成分であり、脂環族系ポリイソシアネートである。イソホロンジイソシアネートは、上記脂肪族ポリカーボネートジオール、1,6へキサンジオール又はポリエステルジオールの水酸基と反応し、主剤成分であるポリウレタンジオールを形成する。
以上説明した脂肪族ポリカーボネートジオールと、脂肪族ジオールとイソホロンジイソシアネートを溶剤に溶解させ、混合し加熱還流することにより反応させて、主剤成分であるポリウレタンジオールの溶液を得ることができる。上記反応においては、脂肪族ポリカーボネートジオールと脂肪族ジオールのそれぞれが有する両末端の水酸基がイソホロンジイソシアネートのイソシアネート基と反応し、ウレタン結合を形成して硬化する。
主剤成分であるポリウレタンジオールを製造する反応系における1,6へキサンジオールの配合量は、脂肪族ポリカーボネートジオール100質量部に対し、5〜15質量部、好ましくは2〜8質量部であることが好ましい。1,6へキサンジオールの配合量が5質量部以上であると、耐久性のある接着剤成分を得ることができるため好ましく、15質量部以下であると溶剤への溶解性が向上するため好ましい。
また、ポリウレタンジオールを製造する反応系におけるポリエステルジオールの配合量は、脂肪族ポリカーボネートジオール100質量部に対し、50〜100質量部であることが好ましい。ポリエステルジオールの配合量が50質量部以上であると、耐久性のある接着剤成分を得ることができるため好ましく、100質量部以下であると溶剤への溶解性が向上するため好ましい。
なお、脂肪族ポリカーボネートジオールと、脂肪族ジオールとイソホロンジイソシアネートを反応させる場合に使用することができる溶剤としては、これらの化合物を溶解させることができ、溶剤と反応しないものであれば、特に制限されるものではないが、溶剤等との相溶性とラミネート時の加工性の観点より酢酸エチル等のカルボン酸エステル系の溶剤を挙げることができる。
主剤成分である脂肪族ポリカーボネートジオールは、イソシアネート基を有する硬化剤成分と反応する。脂肪族ポリカーボネートジオールは、ポリウレタンジオールを製造する際に使用した上記の脂肪族ポリカーボネートジオールと同一のものを使用することができる。
主剤成分は、上記説明したポリウレタンジオールと脂肪族ポリカーボネートジオールとの混合物である。混合物中におけるポリウレタンジオールと脂肪族ポリカーボネートジオールの質量比率は、ポリウレタンジオール100質量部に対して、脂肪族ポリカーボネートジオール10から20質量部であることが好ましい。脂肪族ポリカーボネートジオールの量が10質量部以上であると、密着力が適度に低下するため好ましく、20質量部以下であると、ポリウレタンジオールと硬化剤との反応が起こり易くなるため好ましい。
なお、主剤には、主剤成分であるポリウレタンジオール、脂肪族ポリカーボネートジオールの他に、必要に応じて、粘着付与剤、安定化剤、充填剤、可塑剤、軟化点向上剤、触媒等を添加剤として混合することができる。粘着付与剤としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等が挙げられる。安定化剤としては、酸化防止剤、紫外線防止剤等が挙げられる。充填剤としては、無機フィラー等が挙げられる。
[硬化剤]
暗色接着剤の硬化剤は、ポリイソシアネート化合物を主成分とするものである。ポリイソシアネート化合物は、1分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物であり、このイソシアネート基が上記主剤のポリウレタンジオール化合物中の水酸基と反応することにより、ポリウレタンジオール化合物を架橋する。このようなポリイソシアネート化合物としては、上記主剤のポリウレタンジオール化合物を架橋することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ポリウレタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」)、イソシアヌレート変性のイソホロンジイソシアネート(以下、「ヌレート変性IPDI」)等を例示することができる。これらのポリイソシアネート化合物の中でも、HDIとヌレート変性IPDIとを組み合わせた混合物が水酸基に対する反応性を向上させる観点より好ましい。なお、硬化剤をHDIとヌレート変性IPDIとの混合物とする場合、HDIとヌレート変性IPDIは、70:30〜50:50(質量比)の範囲で使用することが好ましい。
[主剤と硬化剤の配合]
接着剤成分は、主剤と硬化剤を主成分とするものであるが、主剤と硬化剤の配合比率は、(ポリイソシアネート化合物由来のイソシアネート基)/(ポリウレタンジオール化合物由来の水酸基)の比が1.0〜3.5の範囲であることが好ましく、更に、1.2〜3.0の範囲にあることが好ましい。主剤成分のポリウレタンジオール化合物と硬化剤成分のポリイソシアネート化合物との配合比率が上記範囲にあることにより、各基材を強固に接合することができる接着剤を得ることができるため好ましい。
[オキサジン系顔料]
本願目的における意匠性を備えるための接着剤の着色材料としては、オキサジン系顔料を用いることができる。合成樹脂の着色用途としては、一般的には黒色の顔料として、カーボンブラック等の無機系顔料が広く用いられているが、本発明では、これをオキサジン系顔料に酸化チタンを併せて添加することにより、黒高反射接着層60を近赤外線を透過または反射する層とすることができる。また、必要に応じて、ピロール系、キナクリドン系、アゾ系、ペリレン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、インダスレン系、キノフタロン系、ペリノン系、フタロシアニン系等の顔料を加えることもできる。また、暗色系の有機顔料を添加することにより上記のポリウレタン/ポリカーボネートジオール系の接着剤は、熱耐久性や耐UV特性等の接着耐久性が向上する。この接着耐久性向上の観点からも、オキサジン系の有機顔料を用いることができる。有機顔料のみ色としては。黒高反射接着層の色調として、CIEのL表色系で、aが−1から2程度、bが−1から1程度、好ましくはaが0から1程度、bが0から−1程度であることが好ましい。
オキサジン系有機顔料としては、例えば特開2003−105217号公報に記載されているようなジオキサジン系化合物等が好適に使用でき特に限定されない。好ましい含有量が固形分質量比で10%から30%が程度である。
[酸化チタン]
意匠性、近赤外線反射性及び隠蔽性等を高めるために酸化チタンの顔料を用いる。
顔料全体に対する酸化チタンの含有量を上げると、近赤外線反射率は上がるが太陽電池モジュール用裏面保護シートの色調が太陽電池素子の色調と大きく変わってしまうため、意匠性の面で好ましいものであるとはいえない。そのため、酸化チタンの含有量を顔料全体の10質量%から20質量%にする。10質量%未満又は20質量%を超えると色調の観点から好ましくない。
[シランカップリング剤等の添加剤]
上記の他、必要に応じてシランカップリング剤、粘着付与剤、安定化剤、充填剤、可塑剤、軟化点向上剤、触媒等を添加剤として混合することができる。シランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシラン、メチルトリエトキシシラン等のシランモノマー、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン、3−メタクリロキシプロピルエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメトキシシラン等のメタクリルシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシランを挙げることができる。粘着付与剤としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等が挙げられる。安定化剤としては、酸化防止剤、紫外線防止剤等が挙げられる。充填剤としては、無機フィラー等が挙げられる。
なお、上記シランカップリング剤の添加量は、接着剤の主剤と硬化剤との合計100質量部に対し、1から3質量%のシランカップリング剤であることが好ましい、シランカップリング剤の添加量が1質量%以上であると密着力が良好となるため好ましく、3質量%以下であると耐久性が向上するため好ましい。
[溶剤]
上記の暗色接着剤組成物として、良好な塗布性及びハンドリング適性を得るために、溶剤成分を添加することが好ましい。このような溶剤成分としては、上記酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等のカルボン酸エステルを挙げることができるがこれに限定されない。なお、既に述べたように上記接着剤は、主剤と硬化剤の2液剤として構成されるが、主剤で使用される溶剤成分と硬化剤で使用される溶剤成分はそれぞれ独立に選択され、同一でも異なっていてもよい。
(黒高反射接着層の形成)
以上説明した暗色接着剤組成物を反射層61及び/又は透明密着層62上に塗布又は積層して乾燥硬化することにより黒高反射接着層60を形成することができる。その結果、例えば黒高反射接着層60は、図2に示すように透明密着層62の太陽電池保護シート6における裏側の面、すなわち、透明密着層62と反射層61との間に配置される。塗布の方法としては、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、その他等のコート法、或いは、印刷法等によって塗布することができる。固形塗布量が少なすぎると太陽電池モジュール用裏面保護シートの色調が太陽電池素子の色調と大きく変わってしまうため、意匠性の面で好ましいものではなくなる上、可視光における隠蔽率が低下する。一方、固形塗布量が多すぎると近赤外線反射率は低下してしまう。そのため、固形分量は7g/m以上18g/m以下であることが望ましく、10g/m以上15g/m以下であることがさらに望ましい。また、黒高反射接着層60の厚さは、7〜18μmの範囲であることが好ましく、10〜15μmの範囲にあることがより好ましい。この範囲であれば、太陽電池モジュール用シート積層部材に必要な接着強度等に応じて適宜変更すればよく、また、この範囲であることにより、近赤外線を効率よく反射することできる。
なお、暗色性接着剤組成物はこれに限らず、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの組成物形態でもよく、また、その性状は、フィルム・シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、更に、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよい。溶液型の接着剤とする場合は、全固形物中の質量比で、顔料が、20〜60質量%、主剤樹脂が20〜60質量%となるように混合した固形物を溶剤に添加して、該固形物の全組成物中での質量比が10%以上60%以下となるように組成物を調整すればよい。
<反射層>
反射層61は、白色顔料を含む樹脂シート又は白色顔料を含むコート層(塗布膜や印刷膜)を形成した樹脂シートからなり、近赤外線を反射する白色樹脂層である。反射層61は黒高反射接着層60を透過してきた近赤外線を反射することにより、太陽電池モジュール1の発電効率向上に寄与する。なお、本明細書では、樹脂をシート状に加工したものの名称として樹脂シートという用語を使用するが、この用語は、樹脂フィルムも含む概念として使用される。
反射層61を構成する樹脂シートとしては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(四フッ化エチレン・エチレン共重合体)等のフッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)等のポリエステル系樹脂等の樹脂シートを好ましく用いることができる。ここで、本実施形態では反射層61は太陽電池モジュール1における最外層に配置されるため、高い耐候性、バリア性、耐加水分解性が求められる。そのような観点から以上のうちでも、ETFEに代表されるフッ素系樹脂或いはPETに代表されるポリエステル系樹脂を用いることが特に好ましい。
反射層61は、近赤外線を反射する機能を有する必要がある。そのために、粒径が0.5μm以上1.5μm以下の白色顔料を含む白色樹脂層を用いることが好ましく、粒径が0.8μm以上1.2μm以下であることがより好ましい。また、反射層61においては、粒径が0.8μm以上1.2μm以下の白色顔料の粒子が、全白色顔料の粒子中の80質量%以上であることが好ましい。白色顔料の粒径及び配分比を上記の範囲にすることにより、白色樹脂層は近赤外線を効率よく反射するため、上記白色顔料は太陽電池モジュールの発電効率向上に寄与する。近赤外線を反射とは、例えば、およそ750nm以上2200nm以下の波長領域において、積分反射率が85%以上である機能を意味する。
粒径が0.5μm以上1.5μm以下の白色顔料の代表例は酸化チタンであり、本発明においても、白色顔料として、酸化チタンを用いることが好ましい。ここで、酸化チタンには表面処理された酸化チタンも含まれる。例えば、酸化チタンの場合、その製造は、以下のようにして行うことができる。
含水酸化チタンを原料とし、そこに酸化チタン分に対して酸化アルミニウム換算で0.1質量%以上0.5質量%以下のアルミニウム化合物と炭酸カリウム換算で0.1質量%以上0.5質量%以下のカリウム化合物、及び、酸化亜鉛換算で0.2質量%以上1.0質量%以下の亜鉛化合物を添加し、乾燥、焙焼することによって製造することができる。
反射層61の製造方法については、例えば、樹脂シート上に白色顔料を含むコート層を形成する方法、樹脂シート中に白色顔料を練り込む方法が挙げられる。いずれも、特に限定はなく従来公知の方法により製造することができる。
樹脂シート上に白色顔料を含むコート層(塗布膜や印刷膜)を形成する場合は、通常の塗料用ないしインキ用ビヒクルを主成分とし、これに、白色顔料を添加し、更に、必要ならば、紫外線吸収剤、架橋剤、その他の添加剤を任意に添加し、塗料ないしインキ組成物を調整し、基材フィルムの表面に、通常のコ−ティング法或いは印刷法等を用いて塗布ないし印刷し、その塗布膜或いは印刷膜を形成することができる。
樹脂シート中に白色顔料を練り込む場合は、樹脂シートを構成する樹脂を主成分とし、これに、白色顔料を添加し、更に、必要ならば、その他等の添加剤を任意に添加し、樹脂組成物を調整し、例えば、押し出し法、Tダイ法等のフィルム成形法により、フィルムないしシートを製造し、白色顔料を練り込み加工してなるシートを製造することができる。
<透明密着層>
透明密着層62は、エチレン−酢酸ビニルアルコール共重合体樹脂(EVA樹脂)、又はポリエチレン等のポリオレフィンを使用した背面封止材層5と、裏面保護シート6との接着性を向上させる機能を有する。また、透明密着層62には、反射層61で反射された近赤外線を透過するものであること、また、意匠性の要請より透明若しくは半透明であることが求められる。このような観点から透明密着層62には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)を用いることが好ましい。これらの樹脂のなかでも、とりわけ透明性が高く外観上の濁りが少なく意匠性の面で優れるPETを、特に好ましく用いることができる。なお、「全光線を透過」とは、全光線透過率が80%以上である。
<その他の層>
本発明の裏面保護シート6には、本発明の効果を害さない範囲で、その他の層を設けてもよい。例えば、上記の反射層61の更に外側にフッ素系樹脂やポリエチレンテレフタレート(PET)等からなる耐候層を更に設けてもよい。この場合は意匠性向上のために耐候層を暗色としてもよい。或いは、反射層61と透明密着層62の間に、例えば裏面保護シート6の強度を増すための他の透明な補強層を設けてもよい。
裏面保護シートにその他の層を設ける場合には、各層を接着するための接着層が複数の位置に形成される場合がある。このとき透明密着層62と黒高反射接着層60の間に配置される各層が透明であれば、複数の接着層のうち、反射層61よりも透明密着層側にある任意の接着層を黒高反射接着層60とすることにより、外観を暗色としつつ、十分な耐候性及び耐久性を備え、太陽電池モジュールの発電効率の向上に充分に寄与しうる裏面保護シートとすることができる。このような裏面保護シートも本発明の範囲である。
また、例えば、近赤外線を反射する反射層とオキサジン系顔料及び酸化チタンを含有する樹脂からなる黒色層を積層してなる裏面保護シートにおいても、そのような黒色層と他の層との接着剤による貼り合わせが必要であり接着層が設けられる場合が多い。このような裏面保護シートにおいても、着色機能を接着層に付与することで、容易に暗色層の色味の濃淡調整が可能となるメリットがある。本願発明の構成要件を満たす限りこのような裏面保護シートも本発明の範囲である。
<太陽電池モジュール用裏面保護シートの製造方法>
裏面保護シート6は、反射層61と透明密着層62の間に黒高反射接着層60を設けて、ドライラミネート加工により製造することができる。なお、その他の層を設けることにより、接着剤層が複数の層となる場合にも、同様の方法で各層を密着させて積層することができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例等に限定されるものではない。
<試験例>
本発明に係る裏面保護シートの近赤外反射性、色調及び透過率(隠蔽性)を評価するために、以下に示す方法で裏面保護シートを製造し、近赤外反射性、色調及び透過率を測定した。
[暗色接着剤(接着剤1)]
[主剤]
窒素雰囲気下、攪拌機、窒素導入管を備えたフラスコに、エチレングリコール(32.3質量部)、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(270.8質量部)、1、6−ヘキサンジオール(122.9質量部)、アジピン酸(228.1質量部)、イソフタル酸(664質量部)を加え、180℃から220℃にて窒素にてバブリングさせ、酸価2mgKOH/gまで反応させ、酢酸エチル(860質量部)を加え、ポリエステルジオールHの50%溶液を得た。得られた樹脂の水酸基価は、32mgKOH/gであり、数平均分子量は約3500であった。
窒素雰囲気下、攪拌機を備えたフラスコに数平均分子量1000の脂肪族ポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ社製、商品名「デュラノールT5651」以下、「PDC1000」と略す。)を100質量部、上記ポリエステルジオールH(50質量部)、1、6−ヘキサンジオール(2質量部)、イソホロンジイソシアネート(23.8質量部)、酢酸エチル(175.8質量部)を加え、赤外線吸収スペクトルにて、2270cm−1のイソシアネートの吸収が消失するまで加熱還流させ、ポリウレタンジオールの50%溶液を得た。得られた樹脂の水酸基価は、14mgKOH/gであり、数平均分子量は約8000であった。
上記のポリウレタンジオール100質量部と脂肪族ポリカーボネートジオール(B)(PDC1000)の15質量部を混合して主剤を調整した。
[硬化剤]
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDIアダクト:2官能)とイソシアヌレート変性のイソホロンジイソシアネート(ヌレート変性IPDI)の混合物を使用した。上記アダクト変性HDI及びヌレート変性IPDIの混合比(HDIアダクト):(ヌレート変性IPDI)を6:4(質量比)とした。

有機顔料:ジオキサジン化合物(商品名:バイオレット23、粒径:0.08μm)、イソインドリン(黄)(商品名:C.I.Pigment Yellow 139、粒径:0.15μm〜0.20μm)、フタロシアニン(商品名:C.I.Pigment Green 36粒径:0.15μm〜0.20μm)の混合顔料

酸化チタン:ルチル系酸化チタン
溶剤:酢酸エチル
上記主剤(固形分率50質量%)、上記硬化剤(固形分率47±2質量%)、上記有機顔料(固形分率27質量%)及び上記酸化チタン(固形分率3質量%)を、上記溶剤に溶解させて、固形分塗布量7〜18g/m(硬化後膜厚7〜18μm)となるように調整して製造し、塗布、乾燥、硬化した。
[暗色接着剤(接着剤2)]
[主剤]
接着剤1と同様に調整して製造した。
[硬化剤]
有機顔料を(固形分率24質量%)及び酸化チタン(固形分率6質量%)としたこと以外は接着剤1と同様に調整して製造した。
[暗色接着剤(接着剤3)]
有機顔料を(固形分率30質量%)とし、酸化チタンを含有しなかったこと以外は接着剤1同様に調整して製造した。
[試料作製方法(実施例1〜24、比較例1)]
反射層となる樹脂基材として下記の樹脂を用いた。
反射層:白色PET188μm
黒高反射接着層を構成する接着剤として接着剤1〜接着剤3を用いた。
透明密着層となる樹脂基材として下記の樹脂を用いた。
透明密着層:ポリエチレン60μm
[実施例1〜12]:上記反射層1からなるシート上に、接着剤1をグラビアコート(固形分塗布量は7g/m〜18g/m)し、厚み7μm〜18μm(乾燥状態)の接着剤層を形成し、上記透明密着層を積層し、45〜55℃、168時間のエージング処理をして過熱硬化させることにより試料を作成した。
[実施例13〜24]:接着剤2をグラビアコート(塗布量は7g/m〜18g/m)したこと以外は実施例1〜12と同様に資料を作成した。
[比較例1]:上記反射層1からなるシート上に、接着剤3をグラビアコート(塗布量は8g/mしたこと以外は実施例1〜12と同様に試料を作成した。
Figure 2015170664
<評価1(赤外線反射率試験)>
実施例1〜24、比較例1の試料に対して下記の方法で近赤外反射性に関する試験を行い、測定結果により近赤外反射性を評価した。
具体的には、分光光度計(島津製作所製UV−3100PC)により、波長650nm〜1200nmの範囲の電磁波を透明密着層側から照射し、実施例1〜24、比較例1の各試料の近赤外反射率を測定することにより行った。各実施例及び比較例の赤外線反射率の測定結果を表2に示す。
Figure 2015170664
表2から、比較例1と比べ、実施例1〜11及び実施例13〜24はより近赤外線の反射率が高いことが分かり、実施例1〜11及び実施例13〜24を用いた太陽電池モジュール用裏面保護シートは、より発電効率の向上に寄与しえる太陽電池モジュール用裏面保護シートであることが分かる。
<評価2(色調試験)>
色調試験は、実施例1〜14及び比較例1の裏面保護シートサンプルから疑似モジュールを新たに作成し、疑似モジュールの色座標を測定することにより行った。
疑似モジュールは、透明前面基盤層としてガラスを、封止材層としてエチレン−酢酸ビニルアルコール共重合体樹脂(EVA)450μmを、裏面保護シートとして本実施例比較例に係るサンプルを、透明前面基板/前面封止材層/背面封止材層/裏面保護シートの順番で積層させ、真空ラミネートにより作成した。(真空ラミネート条件:温度150℃、真空時間5分間、プレス時間9分間)
JISZ8722に準拠し、D65光源、10°視野角の条件によって、KONICA MINOLTA分光測色計CM−700dを用いて各疑似モジュールサンプルを透明前面基盤層側から光源を当てることで測定を行った。本試験により得られた色座標の結果を表3、図3及び図4に示す。
Figure 2015170664
表3及び図3,4から、比較例1に比べ、実施例1〜12及び実施例16〜24はより太陽電池素子の色座標に近づいていることが分かる。また、実施例1〜12及び実施例16〜24を用いた太陽電池モジュール用裏面保護シートは、より意匠性に優れている太陽電池モジュール用裏面保護シートであることが分かる。
<評価3(隠蔽性試験)>
実施例1〜24、比較例1の各試料の可視光における透過率を測定することにより隠蔽性試験を行った。具体的には、各試料測定を、分光光度計(島津製作所製UV−3100PC)により、波長380nm〜810nmの範囲の電磁波を透明密着層側から照射することによりその透過率を測定した。各実施例及び比較例の透過率の測定結果を表4に示す。
Figure 2015170664
表4から、比較例1に比べ、実施例1〜12及び実施例16〜24は、波長380nmから810nmの範囲において、より透過率が下がっていることから、実施例1〜12及び実施例16〜24を用いた太陽電池モジュール用裏面保護シートは、より隠蔽性に優れている太陽電池モジュール用裏面保護シートであることが分かる。
以上より、本発明の裏面保護シートは、意匠性にかかる需要者の要求を満たすために、太陽電池素子の外観の色調に近づいた裏面保護シートでありながら、より大きな赤外線反射率及び隠蔽性を備え、太陽電池モジュールの発電効率の向上に充分に寄与しうるものであることが分かる。
1 太陽電池モジュール
2 透明前面基板
3 前面封止材層
4 太陽電池素子
5 背面封止材層
6 裏面保護シート
60 黒高反射接着層
61 反射層
62 透明密着層

Claims (6)

  1. 太陽電池モジュール用裏面保護シートにおいて最外層に配置され、
    全光線を透過する透明密着層と、650nm以上1200nm以下の近赤外線を反射する反射層とを、
    少なくとも含む複数の層を積層してなる太陽電池モジュール用裏面保護シートであって、
    前記複数の層の間に形成される接着層のうちの少なくとも一つの層が、黒高反射接着層であり、
    前記黒高反射接着層は、樹脂及び顔料を含む接着剤からなり、
    前記顔料は、オキサジン系顔料と酸化チタンとを含有し、
    前記酸化チタンの含有量が前記顔料全体の10質量%以上20質量%以下であることを特徴とする太陽電池モジュール用裏面保護シート。
  2. 前記黒高反射接着層の色調が−1.0≦a≦1.0かつ−5.0≦b≦−1.0である請求項1に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
  3. 前記黒高反射接着層における暗色接着剤の固形分塗布量が7〜18g/mである請求項1又は請求項2に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
  4. 前記黒高反射接着層を介して前記反射層と前記透明密着層とが積層されている請求項1から請求項3いずれかに記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
  5. 前記反射層が、白色顔料を含む樹脂からなる白色樹脂層である請求項1から請求項4いずれかに記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
  6. 請求項1から請求項5いずれかに記載の太陽電池モジュール用裏面保護シートを積層してなる太陽電池モジュールであって、太陽電池素子がシリコン単結晶型である太陽電池モジュール。
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