JP2015170664A - 太陽電池モジュール用裏面保護シート - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の実施形態に係る裏面保護シートを、図2を用いて説明する。裏面保護シート6は、黒高反射接着層60と、反射層61と、透明密着層62とを有する。反射層61と透明密着層62は黒高反射接着層60を介して接着される。太陽電池モジュール1においては、反射層61がモジュールの最外層側に、透明密着層62がモジュールの内層側即ち、背面封止材層5の側に配置される。
黒高反射接着層60は、主として反射層61と透明密着層62を接合するために設けられる接着層である。本実施形態において黒高反射接着層60は、反射層61の上面、又は、該上面に対向する透明密着層62の下面に塗布された暗色接着剤が積層後に硬化することによって形成される。後述する通り、本発明に係る裏面保護シートにおいて黒高反射接着層60の配置はこれに限定されるものではないが、黒高反射接着層60がこの位置に形成されることにより、裏面保護シートを意匠性の面において好ましいものとしやすいというメリットがある。
主剤成分は、ポリウレタンジオールと脂肪族ポリカーボネートジオールとの混合物を含む、ポリウレタン/ポリカーボネートジオール系が好ましい。主剤を構成するポリウレタンジオール及び脂肪族ポリカーボネートジオールは、ともに水酸基を有するポリオールであり、イソシアネート基を有する硬化剤と反応して、接着剤層を構成するものである。本発明においては、主剤を特定のポリウレタンジオールと脂肪族ポリカーボネートジオールを所定量配合した混合物とすることによって、接着剤層の接着性及び耐候性を向上させている。
暗色接着剤の硬化剤は、ポリイソシアネート化合物を主成分とするものである。ポリイソシアネート化合物は、1分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物であり、このイソシアネート基が上記主剤のポリウレタンジオール化合物中の水酸基と反応することにより、ポリウレタンジオール化合物を架橋する。このようなポリイソシアネート化合物としては、上記主剤のポリウレタンジオール化合物を架橋することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ポリウレタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」)、イソシアヌレート変性のイソホロンジイソシアネート(以下、「ヌレート変性IPDI」)等を例示することができる。これらのポリイソシアネート化合物の中でも、HDIとヌレート変性IPDIとを組み合わせた混合物が水酸基に対する反応性を向上させる観点より好ましい。なお、硬化剤をHDIとヌレート変性IPDIとの混合物とする場合、HDIとヌレート変性IPDIは、70:30〜50:50(質量比)の範囲で使用することが好ましい。
接着剤成分は、主剤と硬化剤を主成分とするものであるが、主剤と硬化剤の配合比率は、(ポリイソシアネート化合物由来のイソシアネート基)/(ポリウレタンジオール化合物由来の水酸基)の比が1.0〜3.5の範囲であることが好ましく、更に、1.2〜3.0の範囲にあることが好ましい。主剤成分のポリウレタンジオール化合物と硬化剤成分のポリイソシアネート化合物との配合比率が上記範囲にあることにより、各基材を強固に接合することができる接着剤を得ることができるため好ましい。
本願目的における意匠性を備えるための接着剤の着色材料としては、オキサジン系顔料を用いることができる。合成樹脂の着色用途としては、一般的には黒色の顔料として、カーボンブラック等の無機系顔料が広く用いられているが、本発明では、これをオキサジン系顔料に酸化チタンを併せて添加することにより、黒高反射接着層60を近赤外線を透過または反射する層とすることができる。また、必要に応じて、ピロール系、キナクリドン系、アゾ系、ペリレン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、インダスレン系、キノフタロン系、ペリノン系、フタロシアニン系等の顔料を加えることもできる。また、暗色系の有機顔料を添加することにより上記のポリウレタン/ポリカーボネートジオール系の接着剤は、熱耐久性や耐UV特性等の接着耐久性が向上する。この接着耐久性向上の観点からも、オキサジン系の有機顔料を用いることができる。有機顔料のみ色としては。黒高反射接着層の色調として、CIEのL*a*b*表色系で、a*が−1から2程度、b*が−1から1程度、好ましくはa*が0から1程度、b*が0から−1程度であることが好ましい。
意匠性、近赤外線反射性及び隠蔽性等を高めるために酸化チタンの顔料を用いる。
上記の他、必要に応じてシランカップリング剤、粘着付与剤、安定化剤、充填剤、可塑剤、軟化点向上剤、触媒等を添加剤として混合することができる。シランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシラン、メチルトリエトキシシラン等のシランモノマー、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン、3−メタクリロキシプロピルエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメトキシシラン等のメタクリルシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシランを挙げることができる。粘着付与剤としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等が挙げられる。安定化剤としては、酸化防止剤、紫外線防止剤等が挙げられる。充填剤としては、無機フィラー等が挙げられる。
上記の暗色接着剤組成物として、良好な塗布性及びハンドリング適性を得るために、溶剤成分を添加することが好ましい。このような溶剤成分としては、上記酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等のカルボン酸エステルを挙げることができるがこれに限定されない。なお、既に述べたように上記接着剤は、主剤と硬化剤の2液剤として構成されるが、主剤で使用される溶剤成分と硬化剤で使用される溶剤成分はそれぞれ独立に選択され、同一でも異なっていてもよい。
以上説明した暗色接着剤組成物を反射層61及び/又は透明密着層62上に塗布又は積層して乾燥硬化することにより黒高反射接着層60を形成することができる。その結果、例えば黒高反射接着層60は、図2に示すように透明密着層62の太陽電池保護シート6における裏側の面、すなわち、透明密着層62と反射層61との間に配置される。塗布の方法としては、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、その他等のコート法、或いは、印刷法等によって塗布することができる。固形塗布量が少なすぎると太陽電池モジュール用裏面保護シートの色調が太陽電池素子の色調と大きく変わってしまうため、意匠性の面で好ましいものではなくなる上、可視光における隠蔽率が低下する。一方、固形塗布量が多すぎると近赤外線反射率は低下してしまう。そのため、固形分量は7g/m2以上18g/m2以下であることが望ましく、10g/m2以上15g/m2以下であることがさらに望ましい。また、黒高反射接着層60の厚さは、7〜18μmの範囲であることが好ましく、10〜15μmの範囲にあることがより好ましい。この範囲であれば、太陽電池モジュール用シート積層部材に必要な接着強度等に応じて適宜変更すればよく、また、この範囲であることにより、近赤外線を効率よく反射することできる。
反射層61は、白色顔料を含む樹脂シート又は白色顔料を含むコート層(塗布膜や印刷膜)を形成した樹脂シートからなり、近赤外線を反射する白色樹脂層である。反射層61は黒高反射接着層60を透過してきた近赤外線を反射することにより、太陽電池モジュール1の発電効率向上に寄与する。なお、本明細書では、樹脂をシート状に加工したものの名称として樹脂シートという用語を使用するが、この用語は、樹脂フィルムも含む概念として使用される。
透明密着層62は、エチレン−酢酸ビニルアルコール共重合体樹脂(EVA樹脂)、又はポリエチレン等のポリオレフィンを使用した背面封止材層5と、裏面保護シート6との接着性を向上させる機能を有する。また、透明密着層62には、反射層61で反射された近赤外線を透過するものであること、また、意匠性の要請より透明若しくは半透明であることが求められる。このような観点から透明密着層62には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)を用いることが好ましい。これらの樹脂のなかでも、とりわけ透明性が高く外観上の濁りが少なく意匠性の面で優れるPETを、特に好ましく用いることができる。なお、「全光線を透過」とは、全光線透過率が80%以上である。
本発明の裏面保護シート6には、本発明の効果を害さない範囲で、その他の層を設けてもよい。例えば、上記の反射層61の更に外側にフッ素系樹脂やポリエチレンテレフタレート(PET)等からなる耐候層を更に設けてもよい。この場合は意匠性向上のために耐候層を暗色としてもよい。或いは、反射層61と透明密着層62の間に、例えば裏面保護シート6の強度を増すための他の透明な補強層を設けてもよい。
裏面保護シート6は、反射層61と透明密着層62の間に黒高反射接着層60を設けて、ドライラミネート加工により製造することができる。なお、その他の層を設けることにより、接着剤層が複数の層となる場合にも、同様の方法で各層を密着させて積層することができる。
本発明に係る裏面保護シートの近赤外反射性、色調及び透過率(隠蔽性)を評価するために、以下に示す方法で裏面保護シートを製造し、近赤外反射性、色調及び透過率を測定した。
[主剤]
窒素雰囲気下、攪拌機、窒素導入管を備えたフラスコに、エチレングリコール(32.3質量部)、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(270.8質量部)、1、6−ヘキサンジオール(122.9質量部)、アジピン酸(228.1質量部)、イソフタル酸(664質量部)を加え、180℃から220℃にて窒素にてバブリングさせ、酸価2mgKOH/gまで反応させ、酢酸エチル(860質量部)を加え、ポリエステルジオールHの50%溶液を得た。得られた樹脂の水酸基価は、32mgKOH/gであり、数平均分子量は約3500であった。
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDIアダクト:2官能)とイソシアヌレート変性のイソホロンジイソシアネート(ヌレート変性IPDI)の混合物を使用した。上記アダクト変性HDI及びヌレート変性IPDIの混合比(HDIアダクト):(ヌレート変性IPDI)を6:4(質量比)とした。
有機顔料:ジオキサジン化合物(商品名:バイオレット23、粒径:0.08μm)、イソインドリン(黄)(商品名:C.I.Pigment Yellow 139、粒径:0.15μm〜0.20μm)、フタロシアニン(商品名:C.I.Pigment Green 36粒径:0.15μm〜0.20μm)の混合顔料
酸化チタン:ルチル系酸化チタン
溶剤:酢酸エチル
上記主剤(固形分率50質量%)、上記硬化剤(固形分率47±2質量%)、上記有機顔料(固形分率27質量%)及び上記酸化チタン(固形分率3質量%)を、上記溶剤に溶解させて、固形分塗布量7〜18g/m2(硬化後膜厚7〜18μm)となるように調整して製造し、塗布、乾燥、硬化した。
[主剤]
接着剤1と同様に調整して製造した。
[硬化剤]
有機顔料を(固形分率24質量%)及び酸化チタン(固形分率6質量%)としたこと以外は接着剤1と同様に調整して製造した。
有機顔料を(固形分率30質量%)とし、酸化チタンを含有しなかったこと以外は接着剤1同様に調整して製造した。
反射層となる樹脂基材として下記の樹脂を用いた。
反射層:白色PET188μm
黒高反射接着層を構成する接着剤として接着剤1〜接着剤3を用いた。
透明密着層となる樹脂基材として下記の樹脂を用いた。
透明密着層:ポリエチレン60μm
実施例1〜24、比較例1の試料に対して下記の方法で近赤外反射性に関する試験を行い、測定結果により近赤外反射性を評価した。
具体的には、分光光度計(島津製作所製UV−3100PC)により、波長650nm〜1200nmの範囲の電磁波を透明密着層側から照射し、実施例1〜24、比較例1の各試料の近赤外反射率を測定することにより行った。各実施例及び比較例の赤外線反射率の測定結果を表2に示す。
<評価2(色調試験)>
色調試験は、実施例1〜14及び比較例1の裏面保護シートサンプルから疑似モジュールを新たに作成し、疑似モジュールの色座標を測定することにより行った。
疑似モジュールは、透明前面基盤層としてガラスを、封止材層としてエチレン−酢酸ビニルアルコール共重合体樹脂(EVA)450μmを、裏面保護シートとして本実施例比較例に係るサンプルを、透明前面基板/前面封止材層/背面封止材層/裏面保護シートの順番で積層させ、真空ラミネートにより作成した。(真空ラミネート条件:温度150℃、真空時間5分間、プレス時間9分間)
JISZ8722に準拠し、D65光源、10°視野角の条件によって、KONICA MINOLTA分光測色計CM−700dを用いて各疑似モジュールサンプルを透明前面基盤層側から光源を当てることで測定を行った。本試験により得られた色座標の結果を表3、図3及び図4に示す。
実施例1〜24、比較例1の各試料の可視光における透過率を測定することにより隠蔽性試験を行った。具体的には、各試料測定を、分光光度計(島津製作所製UV−3100PC)により、波長380nm〜810nmの範囲の電磁波を透明密着層側から照射することによりその透過率を測定した。各実施例及び比較例の透過率の測定結果を表4に示す。
2 透明前面基板
3 前面封止材層
4 太陽電池素子
5 背面封止材層
6 裏面保護シート
60 黒高反射接着層
61 反射層
62 透明密着層
Claims (6)
- 太陽電池モジュール用裏面保護シートにおいて最外層に配置され、
全光線を透過する透明密着層と、650nm以上1200nm以下の近赤外線を反射する反射層とを、
少なくとも含む複数の層を積層してなる太陽電池モジュール用裏面保護シートであって、
前記複数の層の間に形成される接着層のうちの少なくとも一つの層が、黒高反射接着層であり、
前記黒高反射接着層は、樹脂及び顔料を含む接着剤からなり、
前記顔料は、オキサジン系顔料と酸化チタンとを含有し、
前記酸化チタンの含有量が前記顔料全体の10質量%以上20質量%以下であることを特徴とする太陽電池モジュール用裏面保護シート。 - 前記黒高反射接着層の色調が−1.0≦a*≦1.0かつ−5.0≦b*≦−1.0である請求項1に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
- 前記黒高反射接着層における暗色接着剤の固形分塗布量が7〜18g/m2である請求項1又は請求項2に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
- 前記黒高反射接着層を介して前記反射層と前記透明密着層とが積層されている請求項1から請求項3いずれかに記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
- 前記反射層が、白色顔料を含む樹脂からなる白色樹脂層である請求項1から請求項4いずれかに記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
- 請求項1から請求項5いずれかに記載の太陽電池モジュール用裏面保護シートを積層してなる太陽電池モジュールであって、太陽電池素子がシリコン単結晶型である太陽電池モジュール。
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