JP2017112246A - 太陽電池モジュール用の封止材一体型裏面保護シート、及び、それを用いてなる太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
Description
JISZ8722に準拠して測定した、標準光源D65によるCIE系色座標が、−5≦a*≦5且つ−5≦b*≦5の範囲の色を暗色とする。
図1又は図2に示す通り、本発明の太陽電池モジュール用の封止材一体型裏面保護シート10は、主として太陽電池素子を太陽電池モジュール外部からの衝撃から保護する機能を果たす封止材層1と、主として太陽電池モジュール外部からの水分等の侵入を阻止するバリア性を有する裏面保護層2と、が一体積層されてなる多層シートである。封止材層1と裏面保護層はいずれも各種の樹脂シート等により構成されるが、それぞれ求められる機能が異なるため、通常は異なる材料樹脂により構成される。そしてこれらの異なる樹脂からなる各樹脂層は、通常、接着剤を用いたドライラミネート法によって積層一体化される。
封止材一体型裏面保護シート10を構成する封止材層1は、EVA、或いは、低密度ポリエチレン(LDPE)、メタロセン系直鎖低密度ポリエチレン(M−LLDPE)等のオレフィン系樹脂をベース樹脂とする単層又は多層の樹脂層として形成することができる。封止材層1の樹脂組成は特に限定されないが、例えば、封止材層をスキン−コア−スキンの多層構成とし、コア層のみに高密度ポリエチレン(HDPE)や、或いは、ポリプロピレン等の耐熱性に優れる樹脂成分を添加することにより、封止材層に求められる耐熱性、を保持したまま、封止材層を薄くして、太陽電池モジュールの薄型化の要請に対応することもできる。封止材層1の厚さは、特に限定されないが、少なくともタブ線31以上の厚さであり、且つ400μm以下の範囲であることが好ましい。
封止材一体型裏面保護シート10を構成する裏面保護層2は、図1に示すようにバリア性を備える樹脂からなる単層の樹脂層として形成することができる。或いは、封止材一体型裏面保護シート10を構成する裏面保護層2は、図2に示すように、単層の樹脂層とその他の層とが積層されて構成される、バリア性を有する多層構造の層として形成することもできる。
上述の通り、封止材一体型裏面保護シート10のいずれかの接着剤層を「暗色」に着色した層である暗色接着剤層6は、上述の通り、太陽電池モジュール100としての一体化時に裏面保護層2の側におけるタブ線31の隠蔽を目的として配置されている。暗色接着剤層6は、封止材一体型裏面保護シート10の構造上、隠蔽の必要の有無にかかわらず存在する層であるので、太陽電池モジュールの薄型化と製造コスト低減という封止材一体型裏面保護シート10の本来奏し得る効果を阻害せずに、タブ線31の隠蔽機能を付与することができる。暗色接着剤層6は、上記の通り、封止材一体型裏面保護シート10の多層構造中に存在する接着剤層のうち少なくともいずれか一の接着剤層を暗色に着色した層であればよい。
封止材一体型裏面保護シート10の製造方法について説明する。封止材一体型裏面保護シート10は、裏面保護層2を形成する「裏面保護シート形成工程」と、封止材層1を形成する「封止材シート形成工程」と、裏面保護層2に封止材層1を積層して一体化する「一体化工程」と、を経ることによって製造することができる。
裏面保護層2を、図1に示す単層の樹脂シートからなる構成によるものとする場合には、上記において説明したPET等の樹脂材料を、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法、その他の成膜化法等により成膜することにより形成することができる。
封止材層1は、公知の押出し法等により上記の材料樹脂を一体成形してシート化することにより得ることができる。
封止材層1と、裏面保護層2と、を積層して、更に一体化することにより、封止材一体型裏面保護シート10を得ることができる。各層の一体化は従来公知のドライラミネート法によることができる。ラミネート接着剤は従来公知のものが利用でき特に限定されず、ウレタン系、エポキシ系等の主剤と硬化剤とからなる2液硬化型の接着剤等が適宜使用可能である。封止材層1と、裏面保護層2との界面に存在する接着剤層を暗色接着剤層6とする場合には、接着剤としては上記の暗色接着剤を用いる。
本発明の封止材一体型裏面保護シート10を用いた太陽電池モジュール100の基本構成について、図3を参照しながら説明する。太陽電池モジュール100は、非受光面側から、封止材一体型裏面保護シート10、太陽電池素子3、受光面側封止材シート4、受光面側の最外層に配置される透明前面基板5が順に積層された構成である。封止材一体型裏面保護シート10は、封止材層1が太陽電池素子3の非受光面側と対面する態様で配置される。
太陽電池モジュール100は、例えば、上記の透明前面基板5、受光面側封止材シート4、太陽電池素子3、及び封止材一体型裏面保護シート10からなる部材を順次積層してから真空吸引等により一体化し、その後、ラミネーション法等の成形法により、上記の部材を一体成形体として加熱圧着成形して製造することができる。例えば真空熱ラミネート加工による場合、ラミネート温度は、130℃以上170℃以下の範囲内とすることが好ましい。又、ラミネート時間は、5分以上20分以下の範囲内が好ましく、特に8分以上15分以下の範囲内が好ましい。このようにして、上記各層を一体成形体として加熱圧着成形して、太陽電池モジュール100を製造することができる。
[封止材層用の樹脂シートの作製]
密度0.900g/cm3であり、190℃でのメルトマスフローレートが3g/10分である直鎖状低密度ポリエチレンをベース樹脂とし、酸化チタンをベース樹脂100質量部に対して5質量部の割合で添加した組成物を材料樹脂として用いて、φ90mm押し出し機、1200mm幅のTダイスを有するフィルム成形機を用いて、厚さ400μmの樹脂シートを作製した。これを裁断し、180mm×180mmの大きさの封止材層用のシートを作製した。
厚さ125μmの白色ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET、帝人(株)製:テトロン)と、厚さ50μmの耐加水分解PET(HR−PET)とを、ドライラミネート法で貼りあわせて2層構造の樹脂シートを作成した。これを裁断し、180mm×180mmの大きさの裏面保護層用のシートを作製した。ドライラミネート用の接着剤としては、それぞれ下記の接着剤を表1に示す通りに使い分け、いずれも接着剤層の厚さ(乾燥塗膜厚さ)が5μmとなる塗布量とした。
接着剤1(透明接着剤):ポリウレタン樹脂を主剤樹脂とする透明接着剤
接着剤2(暗色接着剤A):接着剤1にカーボンブラックを、主剤樹脂に対して20質量%の割合で混合した暗色接着材
接着剤3:(暗色接着剤B):接着剤1に下記の暗色顔料を主剤樹脂に対して20質量%の割合で混合した暗色接着材
暗色顔料:ベンズイミダゾロン系顔料(PigmentBrown25、粒径0.08μm)、非晶質型フタロシアニン系顔料青(PigmentBlue15、粒径0.15μm以上0.20μm以下)を50:50の配合比で混合した顔料。
上記の封止材層用のシートと、裏面保護層用のシートを、ドライラミネート法で貼りあわせて、封止材一体型裏面保護シートを作製した。ドライラミネートには、上記の接着剤をそれぞれ表1に示す通りに使い分け、いずれも接着剤層の厚さ(乾燥塗膜厚さ)が5μmとなる塗布量とした。
真空加熱ラミネーション装置の裏面側離型シートの上に、上記の封止材層用のシート、太陽電池素子、及び上記の封止材一体型裏面保護シートをこの順で重ね合わせて積層体とし、真空加熱ラミネーション加工を行った。真空加熱ラミネーション加工における条件は、温度140℃、真空引き時間3.0分、上方からの圧力60kPaとし、加圧保持時間を7分間とした。太陽電池素子は結晶シリコン型(厚さ200μm程度)とし、同太陽電池素子の非受光面側(封止材一体型裏面保護シートと対面する側の面)には、10mm間隔で10本からなるタブ線を配置した。タブ線の幅は380μm、厚さは380μmとした。
実施例、比較例の各太陽電池モジュール試料について、目視により、裏面保護層側におけるタブ線の隠蔽性を目視による官能試験により確認した。結果は表2の通りであった。
実施例、比較例の各太陽電池モジュール試料について、目視により、裏面保護層側におけるタブ線の隠蔽性を目視による官能試験により確認した。結果は表2の通りであった。
暗色接着剤層を裏面保護層の内部に形成した実施例1と、暗色接着剤層を封止材層と裏面保護層との界面に形成した実施例3とにつき、封止材層側における、400nm−1200nmの波長の光線の平均反射率を測定した。測定は、V7300(日本分光社製)により行った。結果を表3に示す。
2 裏面保護層
21 内層側保護層
22 外層側保護層
3 太陽電池素子
31 タブ線
4 受光面側封止材シート
5 透明前面基板
6 暗色接着剤層
7 透明接着剤層
8 非受光面側封止材シート
9 裏面保護シート
10 封止材一体型裏面保護シート
100 太陽電池モジュール
Claims (7)
- 封止材層と、裏面保護層とが、積層されてなる封止材一体型裏面保護シートであって、
前記裏面保護層は、単層の樹脂層、又は単層の樹脂層を含んで構成される多層構造からなり、
前記封止材層と前記裏面保護層との間の界面、或いは、前記裏面保護層の多層構造を構成する各層の間の界面のうちのいずれかの界面に存在する接着剤層のうち、少なくともいずれかの一の接着剤層が、下記の規定による暗色の外観を有する暗色接着剤層である封止材一体型裏面保護シート。
JISZ8722に準拠して測定した、標準光源D65によるCIE系色座標が、−5≦a*≦5且つ−5≦b*≦5の範囲の色を暗色とする。 - 前記封止材層が、オレフィン系樹脂をベース樹脂とする樹脂層であって、
前記裏面保護層は、ポリエステル系樹脂又はフッ素系樹脂をベース樹脂とする単層の樹脂層を含んで構成される請求項1に記載の封止材一体型裏面保護シート。 - 前記裏面保護層は、複数の保護シートが接着剤層を介して積層されてなる多層構造からなり、前記多層構造を構成する各層間の界面のうちのいずれかの界面に存在する接着剤層が、前記暗色接着剤層である請求項1又は2に記載の封止材一体型裏面保護シート。
- 前記裏面保護層の厚さが50μm以上250μm以下であって、
前記封止材層を含めた総厚さが、450μm以上650μm以下である請求項1から3のいずれかに記載の封止材一体型裏面保護シート。 - 前記裏面保護層が、耐加水分解ポリエチレンテレフタレート層を含んで構成されている請求項1から4のいずれかに記載の封止材一体型裏面保護シート。
- 請求項1から5のいずれかに記載の封止材一体型裏面保護シートが、太陽電池素子の非受光面側に前記封止材層が対面する態様で積層されていて、
前記太陽電池素子の非受光面側にはタブ線が形成されていて、該タブ線の厚みと前記封止材層の厚さとの差が10μm以上30μm以下である太陽電池モジュール。 - 封止材一体型裏面保護シートを構成する封止材層の厚さが400μm以下である請求項6に記載の太陽電池モジュール。
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