JP7088255B2 - 太陽電池モジュール用の封止材一体型裏面保護シート、及び、それを用いてなる太陽電池モジュール - Google Patents
太陽電池モジュール用の封止材一体型裏面保護シート、及び、それを用いてなる太陽電池モジュール Download PDFInfo
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Description
図1又は図2に示す通り、本発明の太陽電池モジュール用の封止材一体型裏面保護シート10は、主として太陽電池素子を太陽電池モジュール外部からの衝撃から保護する機能を果たす封止材層1と、主として太陽電池モジュール外部からの水分等の侵入を阻止するバリア性を有する裏面保護層2と、が一体積層されてなる多層シートである。封止材層1と裏面保護層2はいずれも各種の樹脂シート等により構成されるが、それぞれ求められる機能が異なるため、通常は異なる材料樹脂により構成される。そしてこれらの異なる樹脂からなる各樹脂層は、通常、接着剤を用いたドライラミネート法によって積層一体化される。
封止材一体型裏面保護シート10を構成する封止材層1は、コア層とスキン層を含んでなる多層構造を有する。封止材層1は、図1に示す通り、コア層11の両面に外側スキン層12と内側スキン層13とが積層される層構成である。封止材層1は、各層毎に以下に説明する樹脂組成物成分を、それぞれ最適な組成で配合することにより、太陽電池モジュール用の封止材層に求められる耐熱性、熱加工適性や、柔軟性、基材密着性及び太陽電池モジュールの薄型化への対応等、各種の要求物性を保持したまま、太陽電池モジュールとしての一体化時に発生する封止材一体型裏面保護シート特有のシワの発生を回避することができる。
コア層11は、封止材層1に、主として、耐熱性や適度な剛性を付与する機能を有する。コア層11は、低密度ポリエチレンをベース樹脂とするコア層組成物からなる。コア層組成物は、更に所定の含有量比の範囲内でポリプロピレンを混合することが好ましい。尚、本発明に用いる樹脂組成物中の各樹脂の含有量比は、例えば、DSC(示差走査熱量測定)やIR(赤外分光法)で検出されるピーク比等から分析することができる。
コア層11を形成するコア層組成物は、密度0.910g/cm3以上0.950g/cm3以下の低密度ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする。この低密度ポリエチレン系樹脂のコア層組成物の全樹脂成分中における含有量比は60質量%以上95質量%以下であればよく、好ましくは75質量%以上85質量%以下である。そして、このベース樹脂の融点を上述の範囲とする。
封止材一体型裏面保護シート10の封止材層1を構成するスキン層は、外側スキン層12と内側スキン層13との樹脂組成が異なることにより、通常の3層構成の樹脂シートとは異なる非対称の層構成を形成していることを、その特徴とする。
スキン層を形成するスキン層組成物は、密度0.880g/cm3以上0.910g/cm3未満の低密度ポリエチレンをベース樹脂とする。この低密度ポリエチレン系樹脂のスキン層組成物の全樹脂成分中における含有量比は80質量%以上100質量%以下であればよく、好ましくは98質量%以上100質量%以下である。そして、このベース樹脂の融点を上述の範囲とする。
スキン層組成物及びコア層組成物には、更にその他の成分を含有させることができる。例えば、封止材層1に、耐候性を付与するための各種の耐候性マスターバッチ、各種フィラー、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の成分が例示される。これらの含有量は、その粒子形状、密度等により異なるものではあるが、それぞれ封止材組成物中に0.001質量%以上5質量%以下の範囲内であることが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、封止材層1に、長期に亘る安定した機械強度の向上や、黄変やひび割れ等の防止効果等を付与することができる。
封止材一体型裏面保護シート10を構成する裏面保護層2は、バリア性を備える樹脂からなる単層の樹脂層として形成することができる。或いは、封止材一体型裏面保護シート10を構成する裏面保護層2は、単層の樹脂層とその他の層とが積層されて構成される、バリア性を有する多層構造の層としても形成することもできる。
本発明の封止材一体型裏面保護シートの製造方法について説明する。封止材一体型裏面保護シート10は、裏面保護層2を形成する裏面保護シートを形成する「裏面保護シート形成工程」と、封止材層1を形成する封止材シートを形成する「封止材シート形成工程」と、裏面保護層シートに封止材シートを積層して一体化する「一体化工程」と、を経ることによって製造することができる。
裏面保護層シートは、上記において説明したPET等の樹脂材料を、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法、その他の成膜化法等により成膜することにより形成することができる。尚、裏面保護層2は、本発明の効果を害さない範囲で、上記樹脂材料の他に顔料等のその他の添加物を含むシートからなるものであってもよい。
封止材層シートは、上述のスキン層組成物とコア層組成物とを、公知の共押出し法により一体成形して多層シート化することにより形成することができる。
封止材層1を構成する封止材シートと、裏面保護層2を構成する裏面保護シートと、及び必要に応じて同様の方法によって形成したその他の層を形成するシートとを適宜積層して、更に一体化することにより、本発明の封止材一体型裏面保護シート10を得ることができる。各シートの一体化は従来公知のドライラミネート法によることができる。ラミネート接着剤は従来公知のものが利用でき特に限定されず、ウレタン系、エポキシ系等の主剤と硬化剤とからなる2液硬化型のドライラミネート接着剤等が適宜使用可能である。尚、この一体化工程は、押出しコートラミネート法や、その応用形態であるサンドイッチラミネート法によることもできる。
本発明の封止材一体型裏面保護シート10を用いた太陽電池モジュール100の基本構成について、図3を参照しながら説明する。太陽電池モジュール100は、非受光面側から、封止材一体型裏面保護シート10、太陽電池素子3、受光面側封止材シート4、受光面側の最外層に配置される透明前面基板5が順に積層された構成である。封止材一体型裏面保護シート10は、封止材層1が太陽電池素子3の非受光面側と対面する態様で配置される。
太陽電池モジュール100は、例えば、上記の透明前面基板5、受光面側封止材シート4、太陽電池素子3、及び封止材一体型裏面保護シート10からなる部材を順次積層してから真空吸引等により一体化し、その後、ラミネーション法等の成形法により、上記の部材を一体成形体として加熱圧着成形して製造することができる。例えば真空熱ラミネート加工による場合、ラミネート温度は、130℃~180℃の範囲内とすることが好ましい。又、ラミネート時間は、5~20分の範囲内が好ましく、特に8~15分の範囲内が好ましい。このようにして、上記各層を一体成形体として加熱圧着成形して、太陽電池モジュール100を製造することができる。
下記の材料を用いて、上記(封止材シート形成工程)の欄に記載の製造方法により、実施例、比較例の封止材一体型裏面保護シートを構成する封止材シートを作成した。
低密度ポリエチレン1(LDPE、表中「LD1」と表記):密度0.920g/cm3、融点123℃。
低密度ポリエチレン2(LDPE、表中「LD2」と表記):密度0.920g/cm3、融点105℃。
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、表中「LLD」と表記):密度0.898g/cm3、融点97℃。
シラン変性ポリエチレン系樹脂(表中「SiLD」と表記):密度0.901g/cm3、MFR1.1g/10分のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M-LLDPE)98質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.1質量部と、を混合し、200℃で溶融、混練し、密度0.901g/cm3のシラン変性透明樹脂を得た。
ポリプロピレン(PP、表中「PP」と表記):ホモポリプロピレン。密度0.900g/cm3、融点155℃。MFR8.5g/10分(230℃)。
白色顔料:平均粒径0.2μmの酸化チタン。全ての実施例及び比較例の封止材シートのコア層のみに、樹脂成分100質量部当り7質量部添加。
紫外線吸収剤:ケミプロ化成株式会社製、商品名KEMISORB12。全ての実施例、比較例のコア層及びスキン層用の各封止材組成物に、いずれも0.3質量部添加。
耐候安定剤:BASF株式会社製、商品名Tinuvin622SF。全ての実施例、比較例のコア層及びスキン層用の各封止材組成物に、いずれも0.2質量部添加。
酸化防止剤:チバ・ジャパン株式会社製、商品名Irganox1076。全ての実施例、比較例のコア層及びスキン層用の各封止材組成物に、いずれも0.05質量部添加。
上記各実施例、比較例の封止材シートと、表面にコロナ処理を施したPETフィルム(帝人デュポン社製、「Melinex S」、厚さ125μm)と、を、従来公知のドライラミネート法で積層して各実施例、比較例の封止材一体型裏面保護シートを得た。
白板半強化ガラス、太陽電池素子(Q-CELLS社製、セルQ6LTT-200/152 156mm)(2×2個)を、受光面側用の封止材シート、及び実施例、比較例の各「封止材一体型裏面保護シート」を、それぞれ白板半強化ガラス/受光面側用の封止材シート/太陽電池素子/封止材/封止材一体型裏面保護シートの順で積層し、下記のラミネート条件で、真空加熱ラミネート処理を行い、それぞれの実施例、比較例について太陽電池モジュール評価用サンプルを得た。
このサンプルをラミネータから取り出した直後に、同ラミネータの下部にある熱板及び天板部のラバー部分を目視で観察して、ラミネート加工時のラミネータ汚染の有無について評価した。評価結果を表1に「ラミネータ汚染」として示す。
(ラミネート条件) 真空引き:5.0分
加圧(0kPa~100kPa):1.0分
圧力保持(100kPa):10.0分
温度150℃
(ラミネータ汚染有無評価基準)
A:樹脂汚れなし。
B:ラミネータ付属の刷毛で1往復、撫でることにより除去可能な程度の樹脂汚れがある。
C:上記刷毛による除去が不可能な程度の樹脂汚れがある。
上記の各太陽電池モジュール評価用サンプルについて、EL発光試験機で測定し、ラミネート加工時の太陽電池素子の保護性能を評価した。評価結果を表3及び表4に「セル保護性能」として示す。
(セル保護性能評価基準)
A:全ての太陽電池素子の全面に割れが無い
B:一部の太陽電池素子に割れはあるが、全面に発光が確認できるもの
C:割れがあり発光が確認できない場所があるもの
上記の各太陽電池モジュール評価用サンプルについて、封止材層表面におけるシワの発生の有無を目視により確認した。但し、本評価を検証するための試験においては、シワ発生にはガラスの反りが熱伝導に影響していると考え、評価用サンプルを設置後30秒後にラミネートを開始した。尚、この方法によるラミネート開始時には、各実施例、比較例において、ガラス板端部の一部に熱源からの微細な遊離が観察された。
(シワ発生抑制効果評価基準)
A:シワの発生なし。
B:図4のシワの写真とは異なり封止材層が折りたたまれていないシワ発生が確認される。
C:図4のシワの写真のように封止材層が折りたたまれたシワが確認される。
耐熱性については下記の耐熱クリープ試験により測定評価した。結果を表3に示す。
7.5×5.0cmにカットした実施例、比較例の製膜後の封止材シートを、ガラス基板(白板フロート半強化ガラス JPT3.2 150mm×150mm×3.2mm)上に2枚重ね置き、その上からガラス基板(白板フロート半強化ガラス JPT3.2 75mm×50mm×3.2mm)を重ね置き、上記の「ラミネート加工時のラミネータ汚染有無評価」試験時と同一の熱ラミネート条件により、真空加熱ラミネータ処理を行い、それぞれの実施例、比較例について太陽電池モジュール評価用サンプルを得た。これらの太陽電池モジュール評価用サンプルについて、下記条件による耐熱クリープ試験を行い、耐熱性を評価した。
太陽電池モジュール評価用サンプルを垂直に置き、100℃で12時間放置し、放置後のガラス基板(白板フロート半強化ガラス JPT3.2 75mm×50mm×3.2mm)の移動距離を計測評価した。それぞれの実施例、比較例の製膜後の封止材シートについて測定結果を、以下の評価基準A~Cにより評価した。
(耐熱性評価基準) A:2.0mm未満
B:2.0mm以上6.0mm未満
C:6.0mm以上
11 コア層
12 外側スキン層
13 内側スキン層
2、7 裏面保護層
3 太陽電池素子
4 受光面側封止材シート
5 透明前面基板
6 非受光面側封止材シート
10 封止材一体型裏面保護シート
100 太陽電池モジュール
Claims (7)
- オレフィン系樹脂をベース樹脂とする封止材層と、ポリエステル系樹脂層を含んでなる裏面保護層とが積層されてなる、太陽電池モジュール用の封止材一体型裏面保護シートであって、
前記封止材層は、
密度0.910g/cm 3 以上0.950g/cm 3 以下の低密度ポリエチレンを60質量%以上含有するコア層と、
密度0.880g/cm 3 以上0.910g/cm 3 未満の低密度ポリエチレンを60質量%以上含有し前記裏面保護層に対面する内側スキン層と、
密度0.880g/cm 3 以上0.910g/cm 3 未満の低密度ポリエチレンを60質量%以上含有し前記封止材一体型裏面保護シートの最表面に露出される外側スキン層と、からなる3層構造を有し、
前記内側スキン層と前記外側スキン層に含まれる低密度ポリエチレンの融点は、前記コア層に含まれる低密度ポリエチレンの融点よりも低く、
前記内側スキン層は、ポリプロピレンを含有し、
前記内側スキン層のポリプロピレンの含有量が20質量%以下であり、
前記外側スキン層は、ポリプロピレンを実質的に含有しない、
封止材一体型裏面保護シート。 - 前記内側スキン層のポリプロピレンの含有量が5質量%以上である、
請求項1に記載の封止材一体型裏面保護シート。 - 前記内側スキン層と前記外側スキン層に含まれる低密度ポリエチレンの融点は、前記コア層に含まれる低密度ポリエチレンの融点よりも低い、
請求項1又は2に記載の封止材一体型裏面保護シート。 - 前記封止材層は、全層の厚さが200μm以上400μm以下である、
請求項1から3のいずれかに記載の封止材一体型裏面保護シート。 - 前記裏面保護層が、ポリエチレンテレフタレート層及び/又は耐加水分解性ポリエチレンテレフタレート層を含んで構成されている、
請求項1から4のいずれかに記載の封止材一体型裏面保護シート。 - 請求項1から5のいずれかに記載の封止材一体型裏面保護シートが、太陽電池素子の非受光面側に、前記外側スキン層が対面する態様で積層されている、
太陽電池モジュール。 - 最表面にガラス性の透明前面基板が配置されていて、該透明前面基板の面積が1m2以上である、
請求項6に記載の太陽電池モジュール。
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