JP6520257B2 - 太陽電池モジュール用の封止材シート、及び太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池モジュール用の封止材シート、及び太陽電池モジュール Download PDF

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Description

本発明は、太陽電池モジュール用の封止材シート、及びそれを用いた太陽電池モジュールに関する。本発明は、更に詳しくは、放熱性に優れる太陽電池モジュール用の封止材シートと、それを用いた太陽電池モジュールに関する。
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリーンなエネルギー源としての太陽電池が注目されている。太陽電池を構成する太陽電池モジュールには、太陽電池素子が含まれており、この太陽電池素子が、太陽光等の光エネルギーを電気エネルギーに変換する役割を担う。この太陽電池素子は、単結晶、多結晶のシリコンセル(結晶系シリコンセル)を用いたものや、アモルファスシリコン、化合物半導体を用いた薄膜系セル等が用いられている。
一般に、太陽電池モジュールは、透明前面基板、受光面側封止材シート、太陽電池素子、非受光面側封止材シート、及び必要に応じて配置される裏面側の保護部材を順次積層し、これらを真空吸引して加熱圧着するラミネーション法等により製造される。
太陽電池モジュールにおいて電気を生成する太陽電池素子は、一般に、温度の上昇に伴って発電効率が低下することが知られている。温度の上昇に伴う発電効率の低下は、結晶タイプのシリコン太陽電池素子で1℃上昇する毎に約0.50%低下し、温度上昇の影響か比較的小さいと言われているアモルファスシリコン太陽電池素子においても、1℃上昇する毎に約0.25%程度低下する。つまり、太陽光発電が有利となるはずの太陽光が強い場所においては、同時に太陽光によって太陽電池モジュールが加熱され、モジュール内の温度が過度に上昇し、これにより太陽電池素子の有する本来の発電効率が発揮されなくなってしまうという現象を引き起こす場合がある。
このような太陽電池素子の温度上昇を抑制する方法として、例えば、太陽電池モジュールの非受光面側の最外層側に、熱伝導率の高い伝熱部材やその他の放熱構造等からなる放熱構造体を設置して、これにより温度上昇の抑制を図る太陽電池モジュールが開示されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
しかしながら、放熱構造体を備える太陽電池モジュールの層構成としては、放熱構造体と太陽電池素子との間に熱伝導率が低い樹脂シート等からなる非受光面側用の封止材シートが配置されていることが一般的であり、この場合、この非受光面側用の封止材シートがモジュール内部から外部への放熱を促進するための熱伝導経路上のボトルネックとなり、これに起因して太陽電池モジュール全体の放熱性能が不十分となるケースが多く見られた。
一方、非受光面側用の封止材シートの熱伝導率を高める手段としては、封止材シートを形成する樹脂組成物中に熱伝導率の高い無機物を大量に添加してなる封止材シートが提案されている。(特許文献3参照)しかし、この封止材シートは、各種のフィラーとして一般的に必要とされている量よりも大量の無機物を添加することを必須の構成要件としている。よって、当該無機粒子のブリードアウトによる樹脂基材表面の劣化や密着性低下を引き起こす場合があり、又、材料費も割高になる点も好ましくなく、更なる改善策が求められていた。
特開平09−186353号公報 特開平11−036540号公報 特開2012−79988号公報
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、太陽電池モジュールの放熱性能の向上に寄与することができ、これにより、太陽電池モジュール発電効率の低下を防止することができる太陽電池モジュールの非受光面側用の封止材シートを提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、太陽電池モジュール用の封止材シートを各層の厚さ比が所定範囲内にある3層構造を有する多層シートとし、更に、当該多層シートの厚さ方向と面方向における熱伝導の異方性に着目し、それらを別途個別に最適化することによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 太陽電池モジュール用の封止材シートであって、中間層と最外層とからなる3層構造を有する多層シートであり、該多層シートの総厚さは、100μm以上250μm以下で、前記中間層と最外層の厚さ比が、最外層:中間層:最外層=1:3:1〜1:18:1の範囲であって、前記中間層は、密度0.870g/cm以上0.930g/cm未満のポリエチレン系樹脂である密着性樹脂(A)と、密度0.930g/cm以上0.980g/cm以下の熱可塑性樹脂である熱伝導性樹脂(B)と、熱伝導率が5W/mK以上の熱伝導性無機粒子(C)と、を含み、前記最外層は、前記密着性樹脂(A)を含み、前記熱伝導性無機粒子(C)を含まず、前記多層シートの厚さ方向の熱伝導率が、0.50W/mK以上であって、且つ、面方向における熱伝導率が、0.33W/mK以下である封止材シート。
(2) 前記多層シートの厚さ方向における熱伝導率が、0.55W/mK以上であって、前記中間層における前記熱伝導性無機粒子(C)の全樹脂成分に対する含有量が10質量%以下である(1)に記載の封止材シート。
(3) 前記最外層に含まれる前記密着性樹脂(A)の一部が、シラン変性ポリエチレン樹脂である(1)又は(2)に記載の封止材シート。
(4) (1)から(3)のいずれかに記載の封止材シートを、太陽電池素子の非受光面側に配置してなる太陽電池モジュール。
(5) 太陽電池モジュールの非受光面側の最外層側に、前記封止材シートを介して、放熱構造体が配置されている(4)に記載の太陽電池モジュール。
(6) 最外面上に、又は該最外面に近接して、前記太陽電池素子の受光面に入射光を導くことができる光反射板が設置されている(4)又は(5)に記載の太陽電池モジュール。
本発明によれば太陽電池モジュールの放熱性能の向上に寄与することができ、これにより、太陽電池モジュール発電効率の低下を防止することができる太陽電池モジュールの非受光面側用の封止材シートを提供することができる。
本発明の封止材シートの層構成の一例を示す断面模式図である。 本発明の封止材シートと、それを用いた太陽電池モジュールの層構成の一例を示す断面模式図である。 本発明の封止材シートと、それを用いた集光型の太陽電池モジュールの実施形態に係る層構成の一例を示す断面模式図である。
本発明の太陽電池モジュール用の封止材シート(以下、単に、「封止材シート」とも言う)は、図1に示す通り、中間層11と、封止材シートの両最表面を構成する最外層12とからなる3層構造を有する多層シートである。この多層シートは、熱伝導率について異方性を有するものであり、厚さ方向の熱伝導率と面方向の熱伝導率がそれぞれ本発明独自範囲に最適化されている。この熱伝導率の最適化は、多層シートの各層の厚さ比と、各層を構成する封止材組成物の組成の最適化によって行うことができる。封止材組成物の組成について、より具体的には、中間層11及び最外層12の各層を形成する封止材組成物として、密着性に優れる低密度のポリエチレン系樹脂(密着性樹脂)と熱伝導性に優れる高密度のポリエチレン系樹脂(熱伝導性樹脂)とを、各層用毎にそれぞれ異なる配合比でブレンドしたものを用いることができる。
ここで、本明細書における「3層構造を有する多層シート」とは、3層以上の層が積層されており、少なくとも本発明の所定範囲の組成からなる中間層と最外層とが積層されている多層シートである。本明細書における中間層とは、封止材シートの厚さ方向における最表面以外の部分に配置される層であり、最外層とは、封止材シートの最表面を形成する層のことを言う。例えば、中間層と最外層の間に、本発明の封止材シート特有の効果である優れた放熱性や良好な密着性に実質的な影響を与えない範囲で、光学特性や意匠性等の向上を目的とする他の何らかの機能層等が更に積層されているものであっても、本発明の構成用件を具備するものである限り本発明の範囲内である。
又、本発明の封止材シートは、例えば、図2に示す一般的な太陽電池モジュール10において、或いは、図3に示す、集光用の反射板を備える集光型の太陽電池モジュール10Aにおいて、いずれも太陽電池素子3の非受光面側に配置される非受光面側用の封止材シート1として用いられることにより特段の効果を奏しうるものである。
以下、先ずは、本発明の封止材シートを製造するために用いる封止材組成物について説明し、以後、本発明の封止材シート、及び、本発明の太陽電池モジュールの順に、その詳細を説明する。
<封止材組成物>
本発明の封止材シートの各層を構成する封止材組成物は、低密度ポリエチレンからなる密着性樹脂(A)と、密着性樹脂(A)よりも相対的に高密度で熱伝導率が高い熱可塑性樹脂である熱伝導性樹脂(B)とを、それぞれ各層毎に異なる所定の含有量比で配合することによって得ることができる。そして中間層用の封止材組成物は、更に上記各樹脂に加えて、酸化チタン等からなる熱伝導性無機粒子(C)を必須の成分として所定量範囲で含有する。
[密着性樹脂(A)]
密着性樹脂(A)として、0.870g/cm以上0.930g/cm以下、好ましくは0.870g/cm以上0.905g/cm以下の低密度ポリエチレン(LDPE)を用いることができる。尚、この樹脂は、融点100℃以下、より好ましくは融点70℃以下であることが好ましい。尚、密着性樹脂(A)として用いられた上記のポリエチレン系樹脂の密度は、完成品たる封止材において、その融点を測定することによっても特定可能である。具体的には、IR等で封止材に含有されている樹脂の分子構造が特定できれば、DSCで当該樹脂の融点を確認することにより、融点から密度を特定することができる。又、DSCで検知する熱量は定量性があるので、材料樹脂として密度が異なる樹脂が混合されている場合におけるそれらの含有量比についても特定することが可能である。この点は、下記の熱伝導性樹脂(B)においても同様である。
又、密着性樹脂(A)として用いるポリエチレン系樹脂は、より好ましくは、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、上記密度範囲にある直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いることができる。
又、密着性樹脂(A)としては、メタロセン系直鎖低密度ポリエチレン(M−LLDPE)を用いることが、更に好ましい。M−LLDPEは、シングルサイト触媒であるメタロセン触媒を用いて合成されるものである。このようなポリエチレンは側鎖の分岐が少なく、コモノマーの分布が均一である。このため、分子量分布が狭く、上記のような超低密度にすることが可能である。又、結晶性分布が狭く、結晶サイズが揃っているので、結晶サイズの大きいものが存在しないばかりでなく、低密度であるために結晶性自体が低い。このため、シート状に加工した際の加工適性や柔軟性に優れる。
密着性樹脂(A)として用いるポリエチレン系樹脂のメルトマスフローレート(MFR)は、190℃、荷重2.16kg、において1.0g/10分以上40g/10分以下であることが好ましく、2g/10分以上40g/10分以下であることがより好ましい。MFRが上記の範囲であることにより、製膜時の加工適性に優れた封止材シート組成物とすることができる。尚、本明細書中におけるMFRとは、特に断りのない限り、以下の方法により得られた値である。
MFR(g/10min):JIS K7210に準拠して測定。具体的には、ヒーターで加熱された円筒容器内で合成樹脂を、190℃で加熱・加圧し、容器底部に設けられた開口部(ノズル)から10分間あたりに押出された樹脂量を測定した。試験機械は押出し形プラストメータを用い、押出し荷重については2.16kgとした。
[熱伝導性樹脂(B)]
熱伝導性樹脂(B)として、密着性樹脂(A)よりも相対的に密度の高い熱可塑性樹脂を用いることができる。具体的には、熱伝導性樹脂(B)の密度は、0.930g/cm以上0.980g/cm以下、好ましくは、0.935g/cm以上0.980g/cm以下である。尚、この樹脂は、融点125℃以上170℃以下、より好ましくは融点130℃以上160℃以下であることが好ましい。熱伝導性樹脂(B)として、上記密度範囲にある高密度ポリエチレン(HDPE)を特に好ましく用いることができる、又、熱伝導性樹脂(B)としては、上記密度範囲にあるその他の熱可塑性樹脂も用いることができる。
熱伝導性樹脂(B)としては、上記ポリエチレン樹脂の他にも、密度は、0.930g/cm以上0.980g/cm以下であり、融点が125℃以上170℃以下の範囲にあるその他の熱可塑性樹脂を用いることができる。一例として、ポリプロピレン樹脂(PP)中に、エチレン−プロピレンゴム(EPDM、EPM)を微分散させた熱可塑性エラストマーであるオレフィン系エラストマー等を好ましく用いることができる。上記オレフィン系エラストマーは、ポリエチレンとは非相溶ではあるが、柔軟性が高く且つ耐熱性を有するため、封止材シートに好ましい柔軟性と耐熱性を付与可能である。そして、PP特有の脆化性については、密着性樹脂(A)として用いるポリエチレン系樹脂で補完できる。よって、上記オレフィン系エラストマーは、熱伝導性樹脂(B)として好ましく用いることができる。
熱伝導性樹脂(B)としてポリエチレン系樹脂を用いる場合、同樹脂のメルトマスフローレート(MFR)は、190℃、荷重2.16kg、において0.1g/10分以上40g/10分以下であることが好ましく、0.1g/10分以上15g/10分以下であることが更に好ましい。熱伝導性樹脂(B)のMFRが上記の範囲であることにより、製膜時の加工適性に優れるとともに、封止材シートに優れた耐熱性及びそれに基づく優れた耐久性を付与することができる封止材シート組成物とすることができる。尚、熱伝導性樹脂(B)を、密着性樹脂(A)と同様にポリエチレン系樹脂とすることにより、両樹脂間の高い相溶性により、良好な成形性・分散性を得ることができる。
[熱伝導性無機粒子]
熱伝導性無機粒子(C)としては、少なくとも封止材シート組成物の樹脂成分である密着性樹脂や熱伝導性樹脂及びその他の含有樹脂よりも熱伝導率の高い無機物からなる粒子を適宜用いることができる。より具体的には、熱伝導性無機粒子(C)は、5W/mK以上の熱伝導率を有する無機物からなるものを用いることができる。
熱伝導性無機粒子(C)として用いることができる熱伝導率の高い無機物の具体例としては、酸化チタン(熱伝導率5.12W/mK)、二酸化ケイ素(熱伝導率7.6W/mK)等を挙げることができる。中でも、封止材シート組成物に白色顔料として添加されることにより、非受光面側に配置する封止材シートの光線反射性や意匠性の向上にも併せて寄与することができる酸化チタンを、本発明の封止材シート組成物に用いる熱伝導性無機粒子(C)として、特に好ましく用いることができる。
尚、熱伝導率が酸化チタンよりも更に高い無機物として、酸化アルミニウム(熱伝導率21W/mK)、窒化ホウ素(熱伝導率40〜60W/mK)、窒化珪素(熱伝導率23W/mK)等が知られている。しかしながら、上記のうち、酸化アルミニウムは硬度が硬すぎるため、成型時に成型機内部を傷つけるリスクが大きく本発明への使用は困難である。又、窒化ホウ素は経済性が極めて悪く、窒化珪素は意匠性や反射性能等で酸化チタンよりも劣る等の問題がある。このことから、本発明の封止材組成物に用いることができる熱伝導性無機粒子(C)としては、上記の酸化チタンをより好ましく用いることができる。
[シラン変性ポリエチレン系樹脂]
尚、本発明の封止材シート組成物のうち、特に最外層用の封止材組成物においては、密着性樹脂(A)の一部をα−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなるシラン共重合体(以下、「シラン変性ポリエチレン樹脂」とも言う)が配合されていることがより好ましい。シラン変性ポリエチレン系樹脂は、主鎖となる直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)等に、エチレン性不飽和シラン化合物を側鎖としてグラフト重合してなるものである。このようなグラフト共重合体は、接着力に寄与するシラノール基の自由度が高くなるため、太陽電池モジュールにおける他の部材への封止材シートの接着性を向上することができる。よって、最外層を構成する密着性樹脂(A)の一部をシラン変性ポリエチレン樹脂とすることによって、高い放熱性能を有する本発明の封止材シートに、良好な密着性を保持させることができる。
シラン変性ポリエチレン系樹脂は、例えば、特開2003−46105号公報に記載されている方法で製造でき、当該樹脂を太陽電池モジュール用の封止材シート組成物の成分として使用することにより、強度、耐久性等に優れ、且つ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、その他の諸特性に優れ、更に、太陽電池モジュールを製造する加熱圧着等の製造条件に影響を受けることなく極めて優れた熱融着性を有し、安定的に、低コストで、種々の用途に適する太陽電池モジュールを製造しうる。
直鎖低密度ポリエチレンとグラフト重合させるエチレン性不飽和シラン化合物として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリペンチロキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリベンジルオキシシラン、ビニルトリメチレンジオキシシラン、ビニルトリエチレンジオキシシラン、ビニルプロピオニルオキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリカルボキシシランより選択される1種以上を使用することができる。
エチレン性不飽和シラン化合物の含量であるグラフト量は、後述するその他のポリエチレン系樹脂を含む封止材シート組成物中の全樹脂成分の合計100質量部に対して、例えば、0.001〜15質量部、好ましくは、0.01〜5質量部、特に好ましくは、0.05〜2質量部となるように適宜調整すればよい。本発明において、エチレン性不飽和シラン化合物の含量が多い場合には、機械的強度及び耐熱性等に優れるが、含量が過度になると、引っ張り伸び及び熱融着性等に劣る傾向にある。
[中間層用の封止材組成物]
封止材シートの中間層を形成する中間層用の封止材組成物(以下「中間層用封止材組成物」とも言う)は、上記の密着性樹脂(A)及び熱伝導性樹脂(B)、及び、熱伝導性無機粒子を、それぞれ以下の配合比で含有する。
中間層用封止材組成物における、全樹脂成分に対する密着性樹脂(A)の含有量は、5質量%以上73質量%以下、好ましくは5質量%以上30質量%以下である。封止材組成物中の密着性樹脂(A)の上記含有量を5質量%以上とすることにより、封止材シートに求められる必要最小限の柔軟性を担保することができる。又、封止材組成物中の密着性樹脂(A)の上記含有量を73質量%以下とすることにより、封止材シートに求められる必要最小限の放熱性能を担保することができる。
中間層用封止材組成物における、密着性樹脂(A)は、その一部が、上記のシラン変性ポリエチレン樹脂によって構成されていてもよい。但し、主に封止材シートの密着性の向上に寄与するシラン変性ポリエチレン樹脂の添加は、最外層のみへの添加とすることがより好ましい。
中間層用封止材組成物における全樹脂成分に対する熱伝導性樹脂(B)の含有量は、27質量%以上95質量%以下、好ましくは、70質量%以上92質量%以下である。熱伝導性樹脂(B)の含有量を27質量%以上95質量%以下の範囲とすることにより、封止材シートに必要とされる柔軟性を保持したまま、十分な耐熱性と熱伝導性とを封止材シートに備えさせることができる。これにより、本発明の封止材シートは高温下における使用時に特に優れた放熱性能を発揮しうるものとなる。又、熱伝導性樹脂(B)の含有量を70質量%以上とすることにより、熱伝導性無機粒子(C)の添加量をより少なく抑えたまま、優れた放熱性能を発揮する封止材シートとすることができる。
中間層用封止材組成物における全樹脂成分に対する熱伝導性無機粒子(C)の含有量は、5質量%以上40質量%以下である。熱伝導率の高い無機物からなる熱伝導性無機粒子(C)の封止材組成物中の含有量を40質量%以下に限定することにより、封止材シートの密着性等を損なうことなく、優れた熱伝導性を封止材シートに備えさせることができる。
ここで、一般に、無機粒子の封止材組成物中への添加は、その封止材シートの密着性を低下させる傾向がある。本発明の封止材シートは、放熱性を担保するための厚さ方向の熱伝導率の向上を、主として封止材組成物中の樹脂成分の組成の最適化によって発現させることができる。これにより、熱伝導性無機粒子(C)の添加は、補助的な効果を得ることができる範囲で足りるものとすることができる。例えば、熱伝導性無機粒子(C)を上記の酸化チタン(熱伝導率5.12W/mK)とし、且つ、熱伝導性樹脂(B)の含有量を80質量%以上とした場合には、中間層用の封止材シート組成物中の熱伝導性無機粒子(C)の必要な含有量は5質量%以上であり、5質量%以上10質量%以下程度の範囲の含有量で十分な放熱性を備える封止材シートを得ることができる。後に実施例において示す通り、熱伝導性無機粒子(C)の全樹脂成分に対する含有量が7質量%という極めて少ない含有量であっても、本発明の封止材シートは、厚さ方向の熱伝導率を0.55W/mK以上とすることができ、これにより十分に好ましい熱伝導性を発揮することができる。よって、上記の通りに熱伝導性樹脂(B)と熱伝導性無機粒子(C)の添加量を最適化することにより、無機粒子の過剰な添加による封止材シートの密着性低下と製造コストの増加を回避することができる。
(その他の成分)
又、本発明の封止材シート組成物に用いるポリエチレン系樹脂としては、エチレンを重合して得られる通常のポリエチレン樹脂のみならず、α−オレフィン等のようなエチレン性の不飽和結合を有する化合物を重合して得られた樹脂、エチレン性不飽和結合を有する複数の異なる化合物を共重合させた樹脂、及びこれらの樹脂に別の化学種をグラフトして得られる変性樹脂等を適宜用いることができる。
又、封止材シート組成物には、更にその他の成分を含有させることができる。例えば、本発明の太陽電池モジュール用の封止材シート組成物から作製された太陽電池モジュール用の封止材シートに耐候性を付与するための耐候性マスターバッチ、各種フィラー、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、シランカップリング剤等の接着性向上剤、核剤、分散剤、レベリング剤、可塑剤、消泡剤、難燃剤等の成分が例示される。これらの含有量は、その粒子形状、密度等により異なるものではあるが、それぞれ封止材シート組成物中に0.001質量%以上5質量%以下の範囲内であることが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、封止材シート組成物からなる封止材シートに対して、長期に亘る安定した機械強度の向上や、黄変やひび割れ等の防止効果等を付与することができる。
[最外層用の封止材組成物]
封止材シートの最外層を形成する最外層用の封止材組成物(以下「最外層用封止材組成物」とも言う)は、密着性樹脂(A)を、以下の配合比で含有する。熱伝導性樹脂(B)については以下の範囲で少量含有することが好ましく、熱伝導性無機粒子(C)は含有しない。
最外層用封止材組成物における、全樹脂成分に対する密着性樹脂(A)の含有量は、50質量%以上100質量%以下、好ましくは70質量%以上90質量%以下である。封止材組成物中の密着性樹脂(A)の含有量を50質量%以上とすることにより、封止材シートに求められる必要最小限の柔軟性を担保することができる。又、最外層用の封止材組成物における密着性樹脂(A)の含有量を70質量%以上とすることにより、中間層の熱伝導性を向上させるために、熱伝導性樹脂(B)の含有量を80質量%以上とした場合においても、本発明の封止材シートの優れた密着性を十分に保持することができる。
又、最外層用封止材組成物における、密着性樹脂(A)は、その一部、好ましくは、密着性樹脂(A)のうちの30質量%〜60質量%程度が、上記のシラン変性ポリエチレン樹脂であることが好ましい。これにより、上述の通り、高い放熱性能を有する本発明の封止材シートに、より良好な密着性を保持させることができる。
最外層用封止材組成物に熱伝導性樹脂(B)を含有させる場合、全樹脂成分に対する熱伝導性樹脂(B)の含有量は、50質量%以下、好ましくは10質量%以上30質量%以下である。封止材組成物中の熱伝導性樹脂(B)の含有量は、0質量%であってもよいが、同含有量を10質量%以上とすることにより、密着性樹脂(A)の有する柔軟性を保持したまま、より好ましい耐熱性と、本願発明の効果を発揮するために必要な熱伝導性を封止材シートに備えさせることができる。
又、最外層用封止材組成物には熱伝導性無機粒子(C)は含有しないものとする。これにより、熱伝導性無機粒子(C)の添加に起因する封止材シートの密着性の低下をより確実に回避することができる。又、例えば酸化チタン等の白色顔料を熱伝導性無機粒子(C)として最外層に添加した場合、モジュール化時等、封止材シートに高い熱負荷がかかると、太陽電池素子の受光面上へ最外層中の白色顔料が回り込こんで発電効率を低下させる場合がある。しかし、最外層に熱伝導性無機粒子(C)は含有しない上記構成によれば、これを回避することもできる。
尚、本発明の封止材シートは柔軟性や積層加工時のモールディング特性については、必ずしも特段に優れたものではなく、それらの特性については、必要最低限の物性を保持した上で、熱伝導性の向上を最優先とする設計思想に基づくものである。但し、太陽電池素子と対面する位置に積層されることを想定して必要な金属密着性は保持させるようにした。よって、例えば、薄膜系の太陽電池素子を搭載した太陽電池モジュール等、電極等の凹凸が少なく、非受光面側の封止材シートと太陽電池素子との界面に配線等による凹凸が比較的少なくなる太陽電池素子を搭載した太陽電池モジュールに、極めて好ましく用いることができるものである。
上記の「太陽電池素子との界面に凹凸が比較的少なくなる太陽電池素子を搭載した太陽電池モジュール」への本発明の封止材シートの好ましい実施形態として、より具体的には以下の実施形態を例示することができる。例えば、上記の界面における配線厚み等による凹凸差が100μm以下の場合においては、本発明の封止材シートの厚さを150μm〜220μm程度としたとしても、必要十分なモールディング性を発揮して太陽電池素子と十分な密着性で密着することができる。これにより、本発明の封止材特有の優れた熱伝導性に由来する優れた放熱特性を、本発明の封止材シートを用いた太陽電池モジュールに付与することができる、という例である。
(その他の成分)
最外層用封止材組成物にも中間層用封止材組成物と同様に、上述したその他の成分を、本発明の効果の発現を阻害しない範囲で必要に応じて添加することができる。
<封止材シート>
本発明の封止材シートは、特に、厚さ方向の高い熱伝導率を有し、同時に面方向(封止材シート表面に平行な方向)の熱伝導率については一定値以下に抑えたものであることをその特徴とする。具体的には、封止材シートを構成する多層シートの厚さ方向の熱伝導率が、0.50W/mK以上、好ましくは、0.55W/mK以上であって、且つ、面方向における熱伝導率が、0.33W/mK以下、好ましくは、0.30W/mK以下である。厚さ方向の熱伝導率を0.50W/mK以上とすることにより、封止材シートに十分な放熱性を備えさせることができる。一方、面方向への熱伝導性の高さは本発明の封止材シートには求められておらず、これを所定値以下に抑えた場合に、求められる密着性が保持できることが分かっている。つまり、熱伝導率の異方性に着目して、直接的には、製品の最終段階におけるこれら両値をそれぞれ最適範囲に制御することのみによって、封止材シートの放熱性と密着性を担保しているものである点に本発明の封止材シートの新規な点がある。
尚、本明細書において「厚さ方向の伝導率」とは、ISO 22007−2に準拠して測定した熱伝導率であって、図1のz方向、即ち測定対象の多層シートの表面に対して垂直な方向への熱伝導率のことを言い、「面方向の伝導率」とは、同測定方法による熱伝導率であって、同表面に平行な方向への熱伝導率のことを言う。測定対象物質が熱物性について異方性を有する場合、これらの各方向への伝導率は、例えば、「TPS−2500S(京都電子工業社製)」等のホットディスク方式による熱物性測定装置によって、厚さ方向の伝導率については、測定装置のセンサ面に対して法線方向について測定し、又、面方向の伝導率については、測定装置のセンサ面に対して平行方向について測定することにより、正確に測定することができる。
尚、本発明の封止材シートの製造においては、完成品の厚さ方向と面方向それぞれの熱伝導率を、例えば、上記の熱物性測定装置を用いて、必要に応じて適宜チェックすることによって、封止材シートの品質管理を迅速且つ簡便に行うことも可能である。多層シートの熱伝導率の異方性に着目し、厚さ方向の熱伝導率を一定以上とした時に、面方向の熱伝導率をそれにも関わらず、所定値以下に抑えるという形でプロセス管理を行うことにより、放熱性と密着性を兼ね備える封止材シートを安定的に量産することができる。
又、封止材組成物からの多層のシートの成形は、従来公知の溶融成形方法、例えば、2種以上の溶融混練押出機による共押出しにより成形する方法等、通常の熱可塑性樹脂において通常用いられる成形法により行うことができる。
尚、本発明の封止材シートの製造における溶融成形温度は、使用する封止材組成物に含有される熱伝導性樹脂(B)の融点+30℃以上であることが好ましい。具体的には175℃から230℃の高温とすることが好ましく、190℃から210℃の範囲の高温とすることがより好ましい。本発明の封止材シート組成物は、架橋剤を含有しない熱可塑系の組成物であるため、溶融成形中の不都合な架橋進行の制御を考慮する必要がない。これにより、本発明の封止材シートの製造においては、従来一般的であった架橋処理を必須とする熱硬化型の封止材シート組成物を用いた場合の温度制限から解放され、生産性を向上させるために、より高い高温度域に溶融成形温度を設定することができる。
本発明の封止材シートの総厚さは、100μm以上250μm以下であり、好ましくは150μm以上200μm以下である。各層の厚さ比は、最外層:中間層:最外層=1:3:1〜1:18:1の範囲であり、好ましくは1:5:1〜1:9:1の範囲である。封止材シートの総厚さ及び各層の厚さ比を上記範囲内とすることによって、十分な放熱性能を保持することができ、更に製造コストも低く抑えることができる。
又、本発明の封止材シートは、上述の通り、多層シート全体として、厚さ方向と面方向の各方向毎に、それぞれ好ましい熱伝導率を有するもとのするために、多層シートを構成する各単層毎に、厚さと熱伝導性樹脂(B)の含有量とを、それぞれ最適範囲に調整するものである。よって、本発明の封止材シートは、相対的に熱伝導性樹脂(B)の含有量の少ない層が太陽電池素子の電極面と密着させて使用する側の最外層に配置されたものすることができる。この結果、封止材シート全体として好ましい熱物性を保持しつつ、太陽電池素子との密着面における必要なモールディング特性を確保することができる。例えば、最外層の厚さが、合計で60μm以下である場合には、当該最外層については、熱伝導性樹脂(B)を含有しない樹脂によって形成しても厚さ方向の熱伝導率を十分に維持することができ、これにより優れた放熱性能を保持することができる。
本発明の封止材シートは、主として太陽電池素子の非受光面側に配置されて使用されることを想定している。よって高い透明性は特に要求されず、透明性を担保するための組成の制限に縛られることなく、本発明の効果を実質的に妨げない範囲で、必要に応じて各種の添加剤を更に含むものとすることもできる。例えば、本発明の封止材シートは、太陽電池素子に直接入射しなかった太陽光線を反射して太陽電池素子に再度誘導することによる発電効率の向上や、或いは、意匠性の向上を目的として白色の封止材シートとすることができる。本発明の封止材シート組成物は、熱伝導性樹脂(B)として、HDPE等の相対的に高密度の樹脂を用いるものであることにより、低密度のポリエチレン樹脂のみからなる封止材シート組成物を用いた封止材シートよりも、実用上支障のない範囲とは言えるが、若干、透明性が劣ることとなる傾向がある。しかし、例えば、反射効率や意匠性に優れる白色の封止材シートとして太陽電池モジュール素子の非受光面側に配置して用いる場合においては、透明性の若干の劣化は全く問題とならない。むしろそのような場合においては、本発明の封止材シートは、太陽電池モジュールの発電効率を高水準に維持し、意匠性にも優れ、且つ、柔軟性とそれに基づくモールディング特性、及び、耐熱性とそれに基づく耐久性が、従来のポリエチレン系の封止材シートよりも極めて高い水準で両立されているものとして、極めて好ましく用いることができる。
通常、封止材シートの厚さが極端に薄くなると、外部からの衝撃や、放熱粒子の絶対量不足による放熱性能不足となり好ましくない。しかし、本発明の封止材シートは、150μm以上220μm以下の厚さであるとき、それらの問題を回避し、同時に極限まで薄膜化されたことによって樹脂の蓄熱性を抑えることもできる。
<太陽電池モジュール>
本発明の封止材シートを用いた太陽電池モジュールの一実施形態について、図面を参照しながら説明する。図2は、本発明の封止材シートを用いた太陽電池モジュールの一例について、その層構成の一例を示す断面図である。図2に示す太陽電池モジュール10は、入射光の受光面側から、透明前面基板4、受光面側用の封止材シート2、太陽電池素子3、本発明の非受光面側用の封止材シート1、及び、裏面側部材として、放熱層5が、順に積層されている。放熱層5としては、熱伝導性に優れる材料からなる従来公知の各種の放熱シート等を適宜選択して用いることができる。太陽電池モジュール10は、熱伝導性に優れる封止材シート1を非受光面側に配置することによって、太陽電池モジュール全体の放熱性能を十分に向上させることができる。
太陽電池モジュール10は、例えば、上記の透明前面基板4、受光面側用の封止材シート2、太陽電池素子3及び本発明の非受光面側用の封止材シート1等からなる部材を順次積層してから真空吸引等により一体化し、その後、ラミネーション法等の成形法により、上記の部材を一体成形体し、更に一体化された上記の積層体に放熱層5を積層することにより製造することができる。太陽電池モジュール10の最外層に配置される放熱層5と対面する形で配置される場合において、尚且つ、例えば、放熱層5が一定の剛性を有する場合等においては、封止材シート1は、200μm以下、100μm程度の厚さであっても、モジュール外部からの衝撃等から太陽電池素子3を保護する機能については十分であり、そのような薄型の封止材シートとすることによって、更に太陽電池モジュール10の放熱性能を高めることができる。
尚、本発明の太陽電池モジュール10において、非受光面側用の封止材シート1以外の各部材は、従来公知の材料を特に制限なく使用することができる。又、本発明の太陽電池モジュール10は、上記部材以外の部材を含んでもよい。尚、本発明の封止材シートは単結晶型に限らず、薄膜型その他の全ての太陽電池モジュールに適用できる。
尚、本発明の封止材シートを用いた太陽電池モジュールの好ましい他の実施形態として、上記の構成に加えて、更に光反射板7を配置した太陽電池モジュール10A(図3)を挙げることができる。図3に示す通り、太陽電池モジュール10Aは、太陽電池素子3から所定の距離をおいて、太陽電池モジュール10Aの最外面に近接した位置に、入射光Lを集光して太陽電池素子3に極めて強い光を導くことができる凹面鏡等の光反射板7を配置したタイプの、所謂集光型の太陽電池モジュールである。一般的にこのタイプの太陽電池モジュールは、砂漠地帯等、特段の高温環境下で使用されることが想定されていることも多く、太陽電池モジュール10Aには、特に優れた放熱性が要求されるため、本発明の封止材シート1を極めて好ましく用いることができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<太陽電池モジュール用の封止材シートの製造>
以下において説明する封止材組成物原料を下記表1の割合(質量部)で混合し、それぞれ実施例、比較例の封止材シートの中間層用封止材組成物及び最外層用封止材組成物とした。それぞれの封止材組成物をφ30mm押出し機、200mm幅のTダイを有するフィルム成形機を用いて、押出し温度210℃、引き取り速度1.1m/minで中間層用及び最外層用とするための各樹脂シートを作製し、これらの各樹脂シートを積層して、中間層と両最外層を備える実施例及び比較例の3層構造の封止材シートを製造した。実施例、比較例の各封止材の総厚さと、各層の厚さ及び総厚さに対する各層の厚さ比は、それぞれ下記表2に記載の通りとした。
封止材用の各樹脂シートを成形するための封止材組成物原料としては、以下の原料を使
[密着性樹脂(A)]
(密着性樹脂A1)(表1中で「A1」と表記):密度0.880g/cm、融点57.55℃、190℃でのMFRが3.5g/10分のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)
(密着性樹脂A2)(表1中で「A2」と表記):密度0.905g/cm、MFRが3.5g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン100質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.15質量部とを混合し、200℃で溶融、混練して得たシラン変性ポリエチレン系樹脂。密度0.905g/cm、MFR1.0g/10分。融点60℃。
[熱伝導性樹脂(B)]
(熱伝導性樹脂B1)(表1中で「B1」と表記):密度0.963g/cm、融点135.0℃、190℃でのMFRが7.0g/10分の高密度ポリエチレン(HDPE)
[熱伝導性無機粒子(C)]
(熱伝導性無機粒子C1)(表1中で「C1」と表記):平均粒径0.3μmの酸化チタン。この酸化チタンの熱伝導率は、5.12W/mKであった。熱伝導性無機粒子については、表1に封止材組成物の全樹脂成分に対する酸化チタンの含有量(質量%)を記載した。
<評価例1:熱伝導率>
上記の方法で作製した実施例、比較例の太陽電池モジュール用の封止材シートについて、それぞれ下記の方法で厚さ方向及び面方向の熱伝導率を測定した。結果を表1に示す。
[熱伝導率の測定方法]
ISO 22007−2に準じ、測定機器として「TPS−2500S(京都電子工業社製)」を用いて、シートの厚さ方向及び面方向の熱伝導率を測定した。測定時には測定実施の必要に応じて適宜測定対象の封止材シートを重ねて、150℃100kPaにて10分間圧着して上記測定を行った。厚さ方向の伝導率については、測定装置のセンサ面に対して法線方向について測定し、又、面方向の伝導率については、測定装置のセンサ面に対して平行方向について測定した。
<評価例2:密着性>
上記の方法で作製した実施例、比較例の太陽電池モジュール用の封止材シートについて、下記の方法で密着性を測定した。結果を表1に示す。
[金属密着性試験]
15mm幅にカットした実施例、比較例の封止材シートを、それぞれ銅箔(75mm×50mm×0.035mm)上に密着させて、下記熱ラミネート条件(a)〜(d)で、真空加熱ラミネータ処理を行い、それぞれの実施例、比較例について金属密着性評価用サンプルを得た。これらの各金属密着性評価用サンプルについて、下記の試験条件における密着強度を測定して金属密着性を評価した。
測定は、上記の金属密着性評価用サンプルにおいて、銅箔上に密着している封止材シートを、剥離試験機(テンシロン万能試験機 RTF−1150−H)にて垂直剥離(50mm/min)試験を行い、測定結果を、以下の評価基準A〜Dにより評価した。
(ラミネート条件) 真空引き:5.0分
加圧(0kPa〜100kPa):1.0分
圧力保持(100kPa):10.0分
温度165℃
(評価基準) ○:10.0N/15mm以上
△:5.0N/15mm以上10.0N/15mm未満
×:5.0N/15mm未満
<太陽電池モジュールの製造>
上記の実施例及び比較例の各封止材シート及び下記の裏面保護シートを用いて、実施例及び比較例の評価用の太陽電池モジュール試料を製造した。180mm□、厚さ3.2mmの白板半強化ガラス(AGCファブリテック(株)製:3KWE33)、受光面側封止材シート(密度0.882のg/cmのM−LLDPE樹脂シート厚さ450μm)、配線接続した5インチ単結晶太陽電池素子、テープ形温度センサ(安立計器(株)製:ST−14K−060−GW1−ANP)、非受光面側封止材シートとして用いる上記の実施例、比較例の各封止材シート、及び裏面保護シート(ポリエチレンテレフタレート(PET):厚さ188μm)をこの順序で積層し、上記評価例2における条件と同一のラミネート条件で、真空加熱ラミネート処理を行い、各太陽電池モジュール評価用試料を得た。
<評価例3:放熱性>
上記の方法で作製した実施例、比較例の太陽電池モジュール評価用試料の放熱性能について下記の試験方法により評価した。結果を表2に示す。
[放熱性試験]
JIS C 8912に基づいて放熱性を評価した。ソーラーシミュレータ((株)三永電機製:XES−155S1)にてAM1.5G相当の照度100mW/cmの疑似太陽光を照射し、有効面積を11cm□と規定するSUSマスクを、実施例、比較例の太陽電池モジュール評価用試料の受光部側に載せて、セル温度を90分後に測定した。各サンプルにおけるセル温度の変化を測定した。そして、90分後の温度上昇が最も大きかった比較例3の試験直後の温度を基準値とし、各サンプルの試験直後の温度と当該基準値との温度差を以下の基準で評価した。結果を「放熱性」として、下記表1に示す。
○:90分後のセルの温度差が3℃以上
△:同温度差が0℃よりも大きく3℃未満
×:同温度差が0℃以下
Figure 0006520257
Figure 0006520257
表1及び表2より、層構成と組成の調整により、厚さ方向及び面方向の熱伝導率を最適化した本発明の封止材シートは、金属密着性と放熱性とを高い水準で兼ね備えるものであることが分かる。よって、本発明の封止材シートは、高温度地域の長期使用が想定される太陽電池モジュールにおいて太陽電池素子の非受光面側に対面する位置に配置される封止材シートとして、極めて好ましく用いることができるものであることが分かる。
1 非受光面側用の封止材シート
2 受光面側用の封止材シート
3 太陽電池素子
4 透明前面基板
5 放熱層
6 反射板
10、10A 太陽電池モジュール

Claims (4)

  1. 太陽電池モジュール用の封止材シートであって、
    中間層と最外層とからなる3層構造を有する多層シートであり、
    該多層シートの総厚さは、150μm以上200μm以下で、前記中間層と最外層の厚さ比が、最外層:中間層:最外層=1:11:1〜1:18:1の範囲であって、尚且つ、前記最外層の厚さが合計で60μm以下であって、
    前記中間層は、密度0.870g/cm以上0.930g/cm未満のポリエチレン系樹脂である密着性樹脂(A)と、密度0.930g/cm以上0.980g/cm以下の熱可塑性樹脂である熱伝導性樹脂(B)と、熱伝導率が5W/mK以上の熱伝導性無機粒子(C)と、を含み、
    前記最外層は、前記密着性樹脂(A)を含み、
    前記熱伝導性無機粒子(C)を含まず、
    前記最外層に含まれる前記密着性樹脂(A)の一部が、シラン変性ポリエチレン樹脂であって、
    前記多層シートの厚さ方向の熱伝導率が、0.50W/mK以上であ封止材シート。
  2. 請求項1記載の封止材シートを、太陽電池素子の非受光面側に配置してなる太陽電池モジュール。
  3. 太陽電池モジュールの非受光面側の最外層側に、前記封止材シートを介して、放熱構造体が配置されている請求項に記載の太陽電池モジュール。
  4. 最外面上に、又は該最外面に近接して、前記太陽電池素子の受光面に入射光を導くことができる光反射板が設置されている請求項又はに記載の太陽電池モジュール。
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