JP2016072599A - 太陽電池モジュール用の封止材シート組成物、封止材シート、及び太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池モジュール用の封止材シート組成物、封止材シート、及び太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】太陽電池モジュールの放熱性能の向上に寄与することができ、これにより、太陽電池モジュール発電効率の低下を防止することができる太陽電池モジュールの非受光面側用の封止材シートを提供すること
【解決手段】太陽電池モジュール用の封止材シート組成物を、密着性樹脂(A)と、熱伝導性樹脂(B)と、熱伝導性無機粒子(C)と、を含み、密着性樹脂(A)は、融点100℃以下のポリエチレン系樹脂であり、封止材シート組成物中の含有量が、5質量%以上55質量%以下であって、熱伝導性樹脂(B)は、融点125℃以上170℃以下の熱可塑性樹脂であり、封止材シート組成物中の含有量が、45質量%以上90%以下であって、熱伝導性無機粒子(C)は、熱伝導率が1W/mK以上の無機物からなり、封止材シート組成物中の含有量が5質量%以上40質量%以下である封止材シート組成物とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池モジュール用の封止材シート組成物、同組成物を用いた太陽電池モジュール用の封止材シート、及び同封止材シートを用いた太陽電池モジュールに関する。本発明は、更に詳しくは、放熱性に優れる太陽電池モジュール用の封止材シートと、これを用いた太陽電池モジュールに関する。
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリーンなエネルギー源としての太陽電池が注目されている。太陽電池を構成する太陽電池モジュールには、太陽電池素子が含まれており、この太陽電池素子が、太陽光等の光エネルギーを電気エネルギーに変換する役割を担う。この太陽電池素子は、単結晶、多結晶のシリコンセル(結晶系シリコンセル)を用いたものや、アモルファスシリコン、化合物半導体を用いた薄膜系セル等が用いられている。
一般に、太陽電池モジュールは、透明前面基板、受光面側封止材シート、太陽電池素子、非受光面側封止材シート、及び必要に応じて配置される裏面側の保護部材を順次積層し、これらを真空吸引して加熱圧着するラミネーション法等により製造される。
太陽電池モジュールにおいて電気を生成する太陽電池素子は、一般に、温度の上昇に伴って発電効率が低下することが知られている。温度の上昇に伴う発電効率の低下は、結晶タイプのシリコン太陽電池素子で1℃上昇する毎に約0.50%低下し、温度上昇の影響か比較的小さいと言われているアモルファスシリコン太陽電池素子においても、1℃上昇する毎に約0.25%程度低下する。つまり、太陽光発電が有利となるはずの太陽光が強い場所においては、同時に太陽光によって太陽電池モジュールが加熱され、モジュール内の温度が過度に上昇し、これにより太陽電池素子の有する本来の発電効率が発揮されなくなってしまうという現象を引き起こす場合がある。
このような太陽電池素子の温度上昇を抑制する方法として、例えば、太陽電池モジュールの非受光面側の最外層側に、熱伝導率の高い伝熱部材やその他の放熱構造等からなる放熱構造体を設置して、これにより温度上昇の抑制を図る太陽電池モジュールが開示されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
しかしながら、放熱構造体を備える太陽電池モジュールの層構成としては、放熱構造体と太陽電池素子との間に熱伝導率が低い樹脂フィルム等からなる非受光面側用の封止材シートが配置されていることが一般的であり、この場合、この非受光面側用の封止材シートがモジュール内部から外部への放熱を促進するための熱伝導経路上のボトルネックとなり、これに起因して太陽電池モジュール全体の放熱性能が不十分となるケースが多く見られた。
一方、非受光面側用の封止材シートの熱伝導率を高める手段としては、封止材シートを形成する樹脂組成物中に熱伝導率の高い無機物を大量に添加してなる封止材シートが提案されている。(特許文献3参照)しかし、この封止材シートは、各種のフィラーとして一般的に必要とされている量よりも大量の無機物を添加することを必須の構成要件としている。よって、当該無機粒子のブリードアウトによる樹脂基材表面の劣化や密着性低下を引き起こす場合があり、又、材料費も割高になる点も好ましくなく、更なる改善策が求められていた。
特開平09−186353号公報 特開平11−036540号公報 特開2012−79988号公報
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、大量の無機粒子の添加による密着性低下等のリスクや、製造費用の増大を回避しつつ、太陽電池モジュールの放熱性能の向上に寄与することができ、これにより、太陽電池モジュール発電効率の低下を防止することができる太陽電池モジュールの非受光面側用の封止材シートを提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、ポリエチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂をベース樹脂とし、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)等の相対的に熱伝導率が高い熱伝導性樹脂と、低密度ポリエチレン(LDPE)等の熱伝導率は低いが柔軟性等に優れる密着性樹脂と、適量比で配合してなる封止材シート組成物を用いることにより、熱伝導性無機粒子の過剰な添加を回避しながら、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 太陽電池モジュール用の封止材シート組成物であって、密着性樹脂(A)と、熱伝導性樹脂(B)と、熱伝導性無機粒子(C)と、を含み、前記密着性樹脂(A)は、融点100℃以下のポリエチレン系樹脂であり、前記封止材シート組成物中の含有量が、5質量%以上55質量%以下であって、前記熱伝導性樹脂(B)は、融点125℃以上170℃以下の熱可塑性樹脂であり、前記封止材シート組成物中の含有量が、45質量%以上90%以下であって、前記熱伝導性無機粒子(C)は、熱伝導率が1W/mK以上の無機物からなり、前記封止材シート組成物中の含有量が5質量%以上40質量%以下である、太陽電池モジュール用の封止材シート組成物。
(2) 前記熱伝導性無機粒子(C)が、熱伝導率が15W/mK以下の無機物からなる(1)に記載の封止材シート組成物。
(3) 前記熱伝導性無機粒子(C)が、熱伝導率が5W/mK以上の無機物からなる(1)又は(2)に記載の封止材シート組成物。
(4) 前記熱伝導性無機粒子(C)の前記封止材シート組成物中の含有量が6質量%以上18質量%以下である(1)から(3)のいずれかに記載の封止材シート組成物。
(5) 前記熱伝導性無機粒子(C)が、酸化チタンである(1)から(4)のいずれかに記載の封止材シート組成物。
(6) 前記密着性樹脂(A)が、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレンである(1)から(5)のいずれかに記載の封止材シート組成物。
(7) α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなる共重合体を、更に含有する(1)から(6)のいずれかに記載の封止材シート組成物。
(8) (1)から(7)のいずれかに記載の封止材シート組成物を溶融成形してなる樹脂フィルムである太陽電池モジュール用の封止材シート。
(9) 熱伝導率が0.45W/mK以上である(8)に記載の封止材シート。
(10) 厚さ150μm以上200μm以下である(9)又は(10)に記載の封止材シート。
(11) 中間層と該中間層の両面に積層されている最外層からなる3層構造を有する多層フィルムであり、単層バルク換算時の組成比において、前記密着性樹脂(A)の含有量が、5質量%以上55質量%以下であって、前記熱伝導性樹脂(B)の含有量が、45質量%以上90%以下である、(8)から(10)のいずれかに記載の封止材シート。
(12) (9)から(11)のいずれかに記載の封止材シートを、太陽電池素子の非受光面側に配置してなる太陽電池モジュール。
本発明によれば、大量の無機粒子の添加による密着性低下等のリスクやコスト増大を回避しつつ、太陽電池モジュールの放熱に寄与することができ、これにより、太陽電池モジュール発電効率の低下を防止することができる非受光面側用の封止材シートを提供することができる。
本発明の封止材シートを用いた太陽電池モジュールの層構成の一例を示す断面模式図である。
<封止材シート組成物>
本発明の太陽電池モジュール用の封止材シート(以下、単に、「封止材シート」とも言う)は、一例として、図1に示すような、太陽電池モジュール10において、太陽電池素子3の非受光面側に配置される非受光面側用の封止材シート1として用いられるものである。そして、この封止材シートは、太陽電池モジュールに優れた放熱性能を付与することができるものであることをその特徴とする。そして、このような封止材シートを製造するために用いる本発明の太陽電池モジュール用の封止材シート組成物(以下、単に、「封止材シート組成物」とも言う)は、ポリエチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂をベース樹脂とし、低密度ポリエチレン等からなる密着性樹脂(A)と、密着性樹脂(A)よりも相対的に高密度で熱伝導率が高い熱伝導性樹脂(B)と、酸化チタン等からなる熱伝導性無機粒子(C)とを、所定の含有量比で配合することによって得ることができる。尚、本発明の封止材シート組成物は、架橋剤を含有しない熱可塑系の組成物である。
[密着性樹脂(A)]
密着性樹脂(A)として用いるポリエチレン系樹脂は、封止材シート組成物を構成する樹脂成分として、相対的に密度の低いポリエチレン系樹脂であることが好ましい。具体的には、融点100℃以下、好ましくは融点70℃以下の低密度ポリエチレン(LDPE)を用いることができる。
又、密着性樹脂(A)の密度は、0.910g/cm以下、好ましくは0.870g/cm以上0.890g/cm以下である。尚、ベース樹脂(A)として用いられた上記のポリエチレン系樹脂の密度は、完成品たる封止材において、その融点を測定することによっても特定可能である。具体的には、IR等で封止材に含有されている樹脂の分子構造が特定できれば、DSCで当該樹脂の融点を確認することにより、融点から密度を特定することができる。又、DSCで検知する熱量は定量性があるので、材料樹脂として密度が異なる樹脂が混合されている場合におけるそれらの含有量比についても特定することが可能である。この点は、下記の熱伝導性樹脂(B)においても同様である。
又、密着性樹脂(A)として用いるポリエチレン系樹脂は、より好ましくは、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、上記融点範囲にある直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いることができる。これらの密着性樹脂(A)の封止材シート組成物中の含有量は5質量%以上55質量%以下、好ましくは、8質量%以上40質量%以下である。密着性樹脂(A)の種類と融点範囲、及び封止材シート組成物中の含有量を上記の通りとすることにより、封止材シートに求められる必要最小限の柔軟性を担保することができる。
又、密着性樹脂(A)としては、メタロセン系直鎖低密度ポリエチレン(M−LLDPE)を用いることが、より好ましい。M−LLDPEは、シングルサイト触媒であるメタロセン触媒を用いて合成されるものである。このようなポリエチレンは側鎖の分岐が少なく、コモノマーの分布が均一である。このため、分子量分布が狭く、上記のような超低密度にすることが可能である。又、結晶性分布が狭く、結晶サイズが揃っているので、結晶サイズの大きいものが存在しないばかりでなく、低密度であるために結晶性自体が低い。このため、シート状に加工した際の加工適性や柔軟性に優れる。
密着性樹脂(A)として用いるポリエチレン系樹脂のメルトマスフローレート(MFR)は、190℃、荷重2.16kg、において1.0g/10分以上40g/10分以下であることが好ましく、2g/10分以上40g/10分以下であることが更に好ましい。MFRが上記の範囲であることにより、製膜時の加工適性に優れた封止材シート組成物とすることができる。尚、本明細書中におけるMFRとは、特に断りのない限り、以下の方法により得られた値である。
MFR(g/10min):JIS K7210に準拠して測定。具体的には、ヒーターで加熱された円筒容器内で合成樹脂を、190℃で加熱・加圧し、容器底部に設けられた開口部(ノズル)から10分間あたりに押出された樹脂量を測定した。試験機械は押出し形プラストメータを用い、押出し荷重については2.16kgとした。
[熱伝導性樹脂(B)]
熱伝導性樹脂(B)として用いる熱可塑性樹脂は、封止材シート組成物を構成する樹脂成分として、相対的に密度の高い熱可塑性樹脂であることが好ましい。具体的には、融点125℃以上170℃以下、好ましくは融点130℃以上160℃以下の高密度ポリエチレン(HDPE)を用いることができる。又、密着性樹脂(A)の密度は、0.920g/cm以上0.970g/cm以下のポリエチレン、好ましくは、0.935g/cm以上0.965g/cm以下である。又、熱伝導性樹脂(B)としては、上記融点範囲にあるその他の熱可塑性樹脂も用いることができる。これらの熱伝導性樹脂(B)の封止材シート組成物中の含有量は、45質量%以上90質量%以下、好ましくは60質量%以上85質量%以下である。熱伝導性樹脂(B)の種類と融点範囲、及び封止材シート組成物中の含有量を上記の通りとすることにより、密着性樹脂(A)の有する柔軟性を保持したまま、十分な耐熱性と、本願発明の効果を発揮するために必要な熱伝導性を封止材シートに備えさせることができる。
熱伝導性樹脂(B)の封止材シート組成物中の含有量が45質量%未満であると、本発明に係る封止材シートとしての放熱性が不十分となり、一方、熱伝導性樹脂(B)の同含有量が90質量%を超えると、封止材シートとしての柔軟性が不十分となる。又、熱伝導性樹脂(B)を、密着性樹脂(A)と同様にポリエチレン系樹脂とすることにより、両樹脂間の高い相溶性により、良好な成形性・分散性を得ることができる。
又、熱伝導性樹脂(B)としては、上記ポリエチレン樹脂の他にも、融点が125℃以上170℃以下の範囲にあるその他の熱可塑性樹脂を用いることができる。一例として、ポリプロピレン樹脂(PP)中に、エチレン−プロピレンゴム(EPDM、EPM)を微分散させた熱可塑性エラストマーであるオレフィン系エラストマー等を好ましく用いることができる。上記オレフィン系エラストマーは、ポリエチレンとは非相溶ではあるが、柔軟性が高く且つ耐熱性を有するため、封止材シートに好ましい柔軟性と耐熱性を付与可能である。そして、PP特有の脆化性については、密着性樹脂(A)として用いるポリエチレン系樹脂で補完できる。よって、上記オレフィン系エラストマーは、熱伝導性樹脂(B)として好ましく用いることができる。
熱伝導性樹脂(B)としてポリエチレンを用いる場合、ポリエチレン樹脂のメルトマスフローレート(MFR)は、190℃、荷重2.16kg、において0.1g/10分以上40g/10分以下であることが好ましく、0.1g/10分以上15g/10分以下であることが更に好ましい。熱伝導性樹脂(B)のMFRが上記の範囲であることにより、製膜時の加工適性に優れるとともに、封止材シートに優れた耐熱性及びそれに基づく優れた耐久性を付与することができる封止材シート組成物とすることができる。
[熱伝導性無機粒子]
熱伝導性無機粒子(C)としては、少なくとも封止材シート組成物の樹脂成分である密着性樹脂や熱伝導性樹脂及びその他の含有樹脂よりも熱伝導率の高い無機物からなる粒子を適宜用いることができる。より具体的には、熱伝導性無機粒子(C)は、少なくとも1W/mK以上の熱伝導率を有する無機物からなるものであることが好ましく、5W/mK以上の熱伝導率を有する無機物からなるものであることがより好ましい。このような熱伝導性無機粒子(C)の封止材シート組成物中の含有量は、5質量%以上40質量%以下とする。このように熱伝導率の高い無機物からなる熱伝導性無機粒子(C)の封止材シート組成物中の含有量を上記範囲に限定することにより、封止材シートの密着性等を損なうことなく、所望の熱伝導性を封止材シートに備えさせることができる。熱伝導性無機粒子(C)の封止材シート組成物中の含有量が5質量%未満であると、本発明に係る封止材シートとしての放熱性向上効果が不十分となり、一方、熱伝導性無機粒子(C)の同含有量が40質量%を超えると、製膜性の低下やブリードアウト等による封止材シートの平滑性の低下が問題となる。
熱伝導性無機粒子(C)として用いることができる熱伝導率の高い無機物の具体例としては、酸化チタン(熱伝導率5.12W/mK)、炭酸カルシウム(熱伝導率3.59W/mK)、硫酸バリウム(熱伝導率1.31W/mK)、二酸化ケイ素(熱伝導率7.6W/mK)等を挙げることができる。中でも、封止材シート組成物に白色顔料として添加されることにより、非受光面側に配置する封止材シートの光線反射性や意匠性の向上にも併せて寄与することができる酸化チタンを、本発明の封止材シート組成物に用いる熱伝導性無機粒子(C)として、特に好ましく用いることができる。
尚、熱伝導率が酸化チタンよりも更に高い無機物として、酸化アルミニウム(熱伝導率21W/mK)、窒化ホウ素(熱伝導率40〜60W/mK)、窒化珪素(熱伝導率23W/mK)等が知られている。しかしながら、上記のうち、酸化アルミニウムは硬度が硬すぎるため、成型時に成型機内部を傷つけるリスクが大きく本発明への使用は困難である。又、窒化ホウ素は経済性が極めて悪く、窒化珪素は意匠性や反射性能等で酸化チタンよりも劣る等の問題がある。このことから、本発明の封止材組成物に用いることができる熱伝導性無機粒子(C)としては、上記の酸化チタンをより好ましく用いることができる。
ここで、一般に、無機粒子の封止材シート組成物中への添加は、その封止材シートの基材密着性を低下させる傾向がある。本発明の封止材シート組成物は、封止材シートの熱伝導性の向上を、主として封止材シート組成物中の樹脂成分の組成の最適化によって発現させるものとした。これにより、熱伝導性無機粒子(C)の添加は、補助的な効果を得ることができる範囲で足りるものとした。よって、熱伝導性無機粒子(C)の添加量を、必要最小限に抑えて、無機粒子の過剰な添加による封止材シートの密着性低下を回避することができる。例えば、熱伝導性無機粒子(C)を上記の酸化チタン(熱伝導率5.12W/mK)とした場合、封止材シート組成物中の熱伝導性無機粒子(C)の含有量を5質量%以上とすることより、封止材シートを十分に好ましい熱伝導性を有するものとすることができる。
尚、本発明の封止材シートは柔軟性や積層加工時のモールディング特性については、必ずしも特段に優れたものではなく、それらの特性については、必要最低限の物性を保持した上で、熱伝導性の向上を最優先とする設計思想に基づくものである。よって、特に、例えば、薄膜系の太陽電池素子を搭載した太陽電池モジュール等、電極等の凹凸が少なく、非受光面側の封止材シートと太陽電池素子との界面に凹凸が比較的少なくなる太陽電池素子を搭載した太陽電池モジュールに、極めて好ましく用いることができるものである。
[シラン変性ポリエチレン系樹脂]
尚、本発明の封止材シート組成物には、上記の密着性樹脂(A)及び熱伝導性樹脂(B)に加えて、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなるシラン共重合体(以下、「シラン変性ポリエチレン樹脂」とも言う)を一定量含有させることがより好ましい。シラン変性ポリエチレン系樹脂は、主鎖となる直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)等に、エチレン性不飽和シラン化合物を側鎖としてグラフト重合してなるものである。このようなグラフト共重合体は、接着力に寄与するシラノール基の自由度が高くなるため、太陽電池モジュールにおける他の部材への封止材シートの接着性を向上することができる。このシラン変性ポリエチレン系樹脂の封止材シート組成物中の含有量は5質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
シラン変性ポリエチレン系樹脂は、例えば、特開2003−46105号公報に記載されている方法で製造でき、当該樹脂を太陽電池モジュール用の封止材シート組成物の成分として使用することにより、強度、耐久性等に優れ、且つ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、その他の諸特性に優れ、更に、太陽電池モジュールを製造する加熱圧着等の製造条件に影響を受けることなく極めて優れた熱融着性を有し、安定的に、低コストで、種々の用途に適する太陽電池モジュールを製造しうる。
直鎖低密度ポリエチレンとグラフト重合させるエチレン性不飽和シラン化合物として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリペンチロキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリベンジルオキシシラン、ビニルトリメチレンジオキシシラン、ビニルトリエチレンジオキシシラン、ビニルプロピオニルオキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリカルボキシシランより選択される1種以上を使用することができる。
エチレン性不飽和シラン化合物の含量であるグラフト量は、後述するその他のポリエチレン系樹脂を含む封止材シート組成物中の全樹脂成分の合計100質量部に対して、例えば、0.001〜15質量部、好ましくは、0.01〜5質量部、特に好ましくは、0.05〜2質量部となるように適宜調整すればよい。本発明において、エチレン性不飽和シラン化合物の含量が多い場合には、機械的強度及び耐熱性等に優れるが、含量が過度になると、引っ張り伸び及び熱融着性等に劣る傾向にある。
[その他の成分]
又、本発明の封止材シート組成物に用いるポリエチレン系樹脂としては、上記のシラン変性ポリエチレン樹脂の他にも、エチレンを重合して得られる通常のポリエチレン樹脂のみならず、α−オレフィン等のようなエチレン性の不飽和結合を有する化合物を重合して得られた樹脂、エチレン性不飽和結合を有する複数の異なる化合物を共重合させた樹脂、及びこれらの樹脂に別の化学種をグラフトして得られる変性樹脂等を適宜用いることができる。
又、封止材シート組成物には、更にその他の成分を含有させることができる。例えば、本発明の太陽電池モジュール用の封止材シート組成物から作製された太陽電池モジュール用の封止材シートに耐候性を付与するための耐候性マスターバッチ、各種フィラー、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の成分が例示される。これらの含有量は、その粒子形状、密度等により異なるものではあるが、それぞれ封止材シート組成物中に0.001〜5質量%の範囲内であることが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、封止材シート組成物からなる封止材シートに対して、長期に亘る安定した機械強度の向上や、黄変やひび割れ等の防止効果等を付与することができる。
耐候性マスターバッチとは、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び上記の酸化防止剤等をポリエチレン等の樹脂に分散させたものであり、これを封止材シート組成物に添加することにより、封止材シートに良好な耐候性を付与することができる。耐候性マスターバッチは、適宜作製して使用してもよいし、市販品を使用してもよい。これらの光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び酸化防止剤は、それぞれ1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。尚、耐候性マスターバッチに使用されるポリエチレン等の樹脂としては、密着性樹脂(A)と同様のLLDPE等でもよく、その他の樹脂であってもよい。
更に、本発明の太陽電池モジュール用の封止材シート組成物に用いられる他の成分としては上記以外に、シランカップリング剤等の接着性向上剤、核剤、分散剤、レベリング剤、可塑剤、消泡剤、難燃剤等を挙げることができる。
尚、以上説明した本発明の封止材シート組成物は、その樹脂成分中における密着性樹脂(A)と熱伝導性樹脂(B)の含有量比については、55:45〜5:95の範囲であることが好ましい。又、封止材シート組成物の樹脂成分の平均密度は、0.930g/cm以上0.950g/cm以下の範囲であることが好ましい。
<封止材シート>
本発明の封止材シートは、太陽電池素子の非受光面側であって、太陽電池モジュールの非受光面側の最外層に配置される裏面側部材との間に配置される。裏面側部材は限定されないが、熱伝導性に優れる放熱層であることが好ましい。本発明の封止材シートは、太陽電池素子の非受光面側に配置されるものであるため、透明性は特に要求されないが、高い熱伝導率を有することを特徴とする。このような特性を有する本発明の封止材シートは、上記の封止材シート組成物を、従来公知の方法で溶融成形することにより、単層又は多層のシート状又はフィルム状としたものである。尚、本発明におけるシート状とはフィルム状も含む意味であり両者に差はない。
上記封止材シートのシート化は、通常の熱可塑性樹脂において通常用いられる成形法、即ち、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形、回転成形等の各種成形法により行われる。尚、封止材シートが多層フィルムである場合のシート化の方法としては、一例として、2種以上の溶融混練押出機による共押出しにより成形する方法が挙げられる。
但し、上記いずれの成形方法においても、本発明の封止材シート組成物を用いた封止材シートの製造における溶融成形温度は、当該封止材シート組成物に含有される熱伝導性樹脂(B)の融点+30℃以上であることが好ましい。具体的には175℃から230℃の高温とすることが好ましく、190℃から210℃の範囲の高温とすることがより好ましい。本発明の封止材シート組成物は、架橋剤を含有しない熱可塑系の組成物であるため、溶融成形中の不都合な架橋進行の制御を考慮する必要がない。これにより、本発明の封止材シートの製造においては、従来一般的であった架橋処理を必須とする熱硬化型の封止材シート組成物を用いた場合の温度制限から解法され、生産性を向上させるために、より高い高温度域に溶融成形温度を設定することができる。
本発明の封止材シートは、上記の封止材シート組成物からなる単層フィルム、或いは、上記の封止材シート組成物からなる単層フィルムを積層してなる多層フィルムである。本発明の封止材シートは厚さを300μm以下とすることによって、封止材シートとしての好ましい放熱性能を保持することができる。但し、本発明の封止材シートの厚さは、150μm以上200μm以下とすることが好ましい。本発明の封止材シートが3層構造の多層フィルムである場合、各層の厚さ比は、1:10:1〜1:16:1程度であることが好ましい。
通常、封止材シートの厚さが極端に薄くなると、外部からの衝撃や、放熱粒子の絶対量不足による放熱性能不足となり好ましくない。しかし、本発明の封止材シートは、150μm以上200μmの厚さであるとき、それらの問題を回避し、同時に極限まで薄膜化されたことによって樹脂の蓄熱性を抑えることもできる。
又、後に示すように太陽電池モジュールの最外層に配置される放熱層と対面する形で配置される場合において、尚且つ、例えば、当該放熱層が一定の剛性を有する場合等においては、200μm以下、100μm程度の厚さであっても、モジュール外部からの衝撃等から太陽電池素子を保護する機能については十分であり、そのような薄型の封止材シートとすることによって、更に太陽電池モジュールの放熱性能を高めることができる。
本発明の封止材シートが多層フィルムである場合、多層フィルムとして積層されるそれぞれの各単層フィルムを成形する封止材シート組成物は、密着性樹脂(A)と、熱伝導性樹脂(B)との封止材シート組成物中の合計の含有量が75%以上である限り、各層毎に組成や成分比の異なる封止材シート組成物を用いることができる。
又、本発明の封止材シートは、単層の封止材シートである場合においても、好ましい柔軟性及び耐熱性を備えうるものではあるが、各層ごとの熱伝導性樹脂(B)の含有量をそれぞれ最適化することによって、相対的に熱伝導性樹脂(B)の含有量の少ない層を太陽電池素子の電極面と密着させて使用する側の最外層に配置することにより、封止材シートとして好ましい耐熱性を保持しつつ、太陽電池素子との密着面における必要なモールディング特性を確保することができる。例えば、最外層の厚さが、合計で60μm以下である場合には、当該最外層については、熱伝導性樹脂(B)を含有しない樹脂によって形成してもよい。
又、例えば封止材シートが3層構造を有する多層フィルムである場合、最外層には、熱伝導性無機粒子(C)を添加せず透明層としてもよい。このような3層構造の封止材シートであっても、各層における各組成物の含有量比の平均値が本発明の範囲内にあれば、即ち、単層バルク換算時の組成比が本発明の範囲内であれば、層構成にかかわらず本発明の範囲内である。
本発明の封止材シートは、上述した通り、太陽電池素子に直接入射しなかった太陽光線を反射して太陽電池素子に再度誘導することによる発電効率の向上や、或いは、意匠性の向上を目的として白色の封止材シートとすることができる。本発明の封止材シート組成物は、熱伝導性樹脂(B)として、HDPE等の相対的に高密度の樹脂を用いるものであることにより、低密度のポリエチレン樹脂のみからなる封止材シート組成物を用いた封止材シートよりも、実用上支障のない範囲とは言えるが、若干、透明性が劣ることとなる傾向がある。しかし、例えば、反射効率や意匠性に優れる白色の封止材シートとして太陽電池モジュール素子の非受光面側に配置して用いる場合においては、透明性の若干の劣化は全く問題とならない。むしろそのような場合においては、本発明の封止材シートは、太陽電池モジュールの発電効率を高水準に維持し、意匠性にも優れ、且つ、柔軟性とそれに基づくモールディング特性、及び、耐熱性とそれに基づく耐久性が、従来のポリエチレン系の封止材シートよりも極めて高い水準で両立されているものとして、極めて好ましく用いることができる。
<太陽電池モジュール>
本発明の封止材シートを用いた太陽電池モジュールの一実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の封止材シートを用いた太陽電池モジュールについて、その層構成の一例を示す断面図である。太陽電池モジュール10は、入射光の受光面側から、透明前面基板4、受光面側用の封止材シート2、太陽電池素子3、本発明の非受光面側用の封止材シート1、及び、裏面側部材として、放熱層5が、順に積層されている。放熱層5としては、熱伝導性に優れる材料からなる従来公知の各種の放熱シート等を適宜選択して用いることができる。太陽電池モジュール10は、熱伝導性に優れる封止材シート1を非受光面側に配置することによって、太陽電池モジュール全体の放熱性能を十分に向上させたことを特徴とする。
太陽電池モジュール10は、例えば、上記の透明前面基板4、受光面側用の封止材シート2、太陽電池素子3及び本発明の非受光面側用の封止材シート1等からなる部材を順次積層してから真空吸引等により一体化し、その後、ラミネーション法等の成形法により、上記の部材を一体成形体し、更に一体化された上記の積層体に放熱層5を積層することにより製造することができる。
尚、本発明の太陽電池モジュール10において、非受光面側用の封止材シート1以外の各部材は、従来公知の材料を特に制限なく使用することができる。又、本発明の太陽電池モジュール10は、上記部材以外の部材を含んでもよい。尚、本発明の封止材シートは単結晶型に限らず、薄膜型その他の全ての太陽電池モジュールに適用できる。
尚、本発明の封止材シートを用いた太陽電池モジュールの好ましい他の実施形態として、上記の構成に加えて、更に光反射板を配置した太陽電池モジュールを挙げることができる。より具体的には、太陽電池素子から所定の距離をおいて、太陽電池モジュールのいずれかの最外面に近接した位置に、入射光を効率的に集光して、太陽電池素子に極めて強い光を導くことができる凹面鏡等の光反射板を配置したタイプの、所謂集光型の太陽電池モジュールを例示することができる。一般的にこのタイプの太陽電池モジュールは、砂漠地帯等、特段の高温環境下で使用されることが想定されていることも多く、太陽電池モジュールに特に優れた放熱性が要求されるため、本発明の封止材シートを極めて好ましく用いることができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<封止材シートの製造>
下記表1の組成(表1中の熱伝導率、膜厚以外の数値の単位は、全て、質量%)の封止材シート組成物を混合し単層用のブレンドとした。上記ブレンドをφ30mm押出し機、200mm幅のTダイスを有するフィルム成形機を用いて、押出し温度210℃、引き取り速度1.1m/minで厚さ200μmの単層の樹脂シートである太陽電池モジュール用の封止材シートを作製した(実施例1〜3、比較例1〜3)。
又、それらの各単層の樹脂シートを積層して中間層とその両面に最外層が積層されてなる3層構造の多層シートである太陽電池モジュール用の封止材シートを作成した(実施例4〜5)。実施例4及び5の各封止材の総厚さと各層の厚さ比は、総厚さ200μm、中間層の厚さが150μm、両最外層の厚さがそれぞれ25μmとした。尚、実施例4及び5の封止材シートの単層バルク換算での組成比における組成比については表2に示す。
封止材シート組成物原料としては、以下の原料を使用した。
(密着性樹脂(A))
密着性樹脂A1(表1中で「A1」と表記):密度0.880g/cm、融点57.55℃、190℃でのMFRが3.5g/10分のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)
密着性樹脂A2(表1中で「A2」と表記):密度0.905g/cm、融点97.0℃、190℃でのMFRが3.5g/10分のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)
(熱伝導性樹脂(B))
熱伝導性樹脂B1(表1中で「B1」と表記):密度0.963g/cm、融点135.0℃、190℃でのMFRが7.0g/10分の高密度ポリエチレン(HDPE)
熱伝導性樹脂B2(表1中で「B2」と表記):密度0.924g/cm、融点106.0℃、230℃でのMFRが2.1g/10分の高密度ポリエチレン(HDPE)
(熱伝導性無機粒子(C))
酸化チタンT1(表1中で「T1」と表記):平均粒径0.3μmの酸化チタンを、密度0.900g/cmであり、190℃でのMFRが3.5g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)40質量部に対し、60質量部を混合し、200℃で溶融、混練し、ペレット状に成形したものを用いた。尚、この酸化チタンの熱伝導率は、5.12W/mKであった。表1には封止材組成物中の酸化チタンの含有量(質量%)を記載した。
<評価例1>
上記の方法で作製した実施例、比較例の太陽電池モジュール用の封止材シートについて、それぞれ下記の方法で熱伝導率を測定した。結果を表1に示す。
[熱伝導率の測定方法]
ISO 22007−2に準じ、測定機器として「TPS−2500S(京都電子工業社製)」を用いて、シートの厚み方向の熱伝導率を測定した。
<評価例2>
上記の方法で作製した実施例、比較例の太陽電池モジュール用の封止材シートについて、製膜性を評価した。製膜性の評価は、上記の封止材シートの製造過程における実施例、比較例の各封止材シートの態様を目視で観察することにより行った。表1に結果を示す通り、実施例3については、製膜は十分に可能ではあったが、製造プロセスのなかで、異物を除去するメッシュの目詰まりが早く、トータルの生産性において若干の問題が生じることが分った。
<太陽電池モジュールの製造>
上記の実施例及び比較例の各封止材シート及び下記の裏面保護シートを用いて、実施例及び比較例の評価用の各太陽電池モジュール試料を製造した。180mm□、厚さ3.2mmの白板半強化ガラス(AGCファブリテック(株)製:3KWE33)、受光面側封止材シート(密度0.882のg/cmのM−LLDPE樹脂シート厚さ450μm)、配線接続した5インチ単結晶太陽電池素子、テープ形温度センサ(安立計器(株)製:ST−14K−060−GW1−ANP)、非受光面側封止材シートとして用いる実施例、比較例の各封止材シート、及び裏面保護シート(ポリエチレンテレフタレート(PET):厚さ188μm)をこの順序で積層し、下記のラミネート条件で、真空加熱ラミネート処理を行い、それぞれの実施例、比較例について太陽電池モジュール評価用試料を得た。
(ラミネート条件) 真空引き:5.0分
加圧(0kPa〜100kPa):1.0分
圧力保持(100kPa):10.0分
温度165℃
<評価例3>
上記の方法で作製した実施例、比較例の太陽電池モジュール評価用試料の放熱性能について下記の試験方法により評価した。結果を表1に示す。
[放熱性試験]
JIS C 8912に基づいて放熱性を評価した。ソーラーシミュレータ((株)三永電機製:XES−155S1)にてAM1.5G相当の照度100mW/cmの疑似太陽光を照射し、有効面積を11cm□と規定するSUSマスクを、実施例、比較例の太陽電池モジュール評価用試料の受光部側に載せて、セル温度を90分後に測定した。各サンプルにおけるセル温度の変化を測定した。そして、90分後の温度上昇が最も大きかった比較例5の試験直後の温度を基準値とし、各サンプルの試験直後の温度と当該基準値との温度差を以下の基準で評価した。結果を「放熱性」として、下記表1に示す。表1に示す通り、本発明の封止材は、その熱伝導率が、0.45W/mK以上である時に極めて優れた放熱性能を発揮するものであることが分かる。
○:90分後のセルの温度差が3℃以上
△:同温度差が0℃よりも大きく3℃未満
×:同温度差が0℃以下
Figure 2016072599
Figure 2016072599
表1及び表2より、本発明の太陽電池モジュール用の封止材シートは、太陽電池モジュールの放熱性能の向上に寄与することができ、これにより、太陽電池モジュール発電効率の低下を防止することができる太陽電池モジュールの非受光面側用の封止材シートであることが分かる。
1 非受光面側用の封止材シート
2 受光面側用の封止材シート
3 太陽電池素子
4 透明前面基板
5 放熱層
10 太陽電池モジュール

Claims (12)

  1. 太陽電池モジュール用の封止材シート組成物であって、
    密着性樹脂(A)と、熱伝導性樹脂(B)と、熱伝導性無機粒子(C)と、を含み、
    前記密着性樹脂(A)は、融点100℃以下のポリエチレン系樹脂であり、前記封止材シート組成物中の含有量が、5質量%以上55質量%以下であって、
    前記熱伝導性樹脂(B)は、融点125℃以上170℃以下の熱可塑性樹脂であり、前記封止材シート組成物中の含有量が、45質量%以上90%以下であって、
    前記熱伝導性無機粒子(C)は、熱伝導率が1W/mK以上の無機物からなり、前記封止材シート組成物中の含有量が5質量%以上40質量%以下である、太陽電池モジュール用の封止材シート組成物。
  2. 前記熱伝導性無機粒子(C)が、熱伝導率が15W/mK以下の無機物からなる請求項1に記載の封止材シート組成物。
  3. 前記熱伝導性無機粒子(C)が、熱伝導率が5W/mK以上の無機物からなる請求項1又は2に記載の封止材シート組成物。
  4. 前記熱伝導性無機粒子(C)の前記封止材シート組成物中の含有量が6質量%以上18質量%以下である請求項1から3のいずれかに記載の封止材シート組成物。
  5. 前記熱伝導性無機粒子(C)が、酸化チタンである請求項1から4のいずれかに記載の封止材シート組成物。
  6. 前記密着性樹脂(A)が、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレンである請求項1から5のいずれかに記載の封止材シート組成物。
  7. α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなる共重合体を、更に含有する請求項1から6のいずれかに記載の封止材シート組成物。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の封止材シート組成物を溶融成形してなる樹脂フィルムである太陽電池モジュール用の封止材シート。
  9. 熱伝導率が0.45W/mK以上である請求項8に記載の封止材シート。
  10. 厚さ150μm以上200μm以下である請求項8又は9に記載の封止材シート。
  11. 中間層と該中間層の両面に積層されている最外層からなる3層構造を有する多層フィルムであり、
    単層バルク換算時の組成比において、
    前記密着性樹脂(A)の含有量が、5質量%以上55質量%以下であって、
    前記熱伝導性樹脂(B)の含有量が、45質量%以上90%以下である、請求項8から10のいずれかに記載の封止材シート。
  12. 請求項8から11のいずれかに記載の封止材シートを、太陽電池素子の非受光面側に配置してなる太陽電池モジュール。
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