JP6686429B2 - 太陽電池モジュール用の封止材シート、及びそれを用いた太陽電池モジュール - Google Patents
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Description
本発明の封止材シートは、以下に詳細を説明する封止材組成物を溶融成形することによって製造することができる。この封止材組成物により、所定の層厚さでシート成形することにより、本発明の封止材シートを製造することができる。
封止材組成物のベース樹脂としては、低密度ポリエチレン系樹脂(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン系樹脂(LLDPE)、又はメタロセン系直鎖低密度ポリエチレン系樹脂(M−LLDPE)を好ましく用いることができる。中でも、耐熱性の観点から、低密度ポリエチレン系樹脂(LDPE)を封止材組成物として特に好ましく用いることができる。
MFR(g/10min):JIS K7210に準拠して測定。具体的には、ヒーターで加熱された円筒容器内で合成樹脂を、190℃で加熱・加圧し、容器底部に設けられた開口部(ノズル)から10分間あたりに押出された樹脂量を測定した。試験機械は押出し形プラストメータを用い、押出し荷重については2.16kgとした。
尚、封止材シートを多層シートとした場合のMFRは、全ての層が一体積層された多層状態のまま、上記処理による測定を行い、得た測定値を当該多層の封止材シートのMFR値とした。
封止材組成物には、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなるシラン共重合体(以下、「シラン変性ポリエチレン系樹脂」とも言う)を、必要に応じて、一定量含有させることがより好ましい。シラン変性ポリエチレン系樹脂は、主鎖となる直鎖低密度ポリエチレン系樹脂(LLDPE)等に、エチレン性不飽和シラン化合物を側鎖としてグラフト重合してなるものである。このようなグラフト共重合体は、接着力に寄与するシラノール基の自由度が高くなるため、太陽電池モジュールにおける他の部材への封止材シートの接着性を向上することができる。このシラン変性ポリエチレン系樹脂の封止材組成物中の含有量は、5質量%以上30質量%以下であることが好ましい。尚、上記のシラン変性ポリエチレン系樹脂におけるシラン変性量は、1.0質量%以上3.0質量%以下程度であることが好ましい。上記の封止材組成物中における好ましいシラン変性ポリエチレン系樹脂の含有量範囲は、上記シラン変性量がこの範囲内であることを前提としており、この変性量の変動に応じて適宜微調整することがより望ましい。
上記の封止材組成物を溶融形成してなる封止材シートは、厚さが、250μm以上600μm以下であることが好ましく、300μm以上550μm以下であることがより好ましい。厚さが250μm未満であると充分に衝撃を緩和することができないが、厚さが250μm以上であれば、例えば、厚さ250μm程度に封止材シートを薄膜化した場合においても、耐熱性とモールディング耐久性とを十分に好ましい水準において兼ね備えるものとすることができる。尚、厚さが600μmを超えた場合、それ以上の衝撃緩和効果向上の効果は得がたく、太陽電池モジュールの薄膜化の要請にも対応できず、且つ、不経済であるので好ましくない。
封止材シートを用いた太陽電池モジュール10の基本構成について、図1を参照しながら説明する。太陽電池モジュール10は、入射光の受光面側から、透明前面基板2、透明前面基板2の表面上に配置された薄膜系の太陽電池素子3、封止材シート1、及び裏面保護カバー4が順に積層された構成である。封止材シート1は、太陽電池素子3の非受光面側に積層されている。
以下において説明する封止材組成物原料を下記表1の割合(質量部)で混合し、それぞれ実施例、比較例の封止材シートの封止材組成物とした。それぞれの封止材組成物をφ30mm押出し機、200mm幅のTダイを有するフィルム成形機を用いて、押出し温度210℃、引き取り速度1.1m/minで各樹脂シートを作製し実施例及び比較例の封止材シートとした。実施例及び比較例の各封止材シートの厚さは、いずれも、総厚さ450μmとした。
(ベース樹脂)
ベース樹脂1(表中にて「1」と表記、以下同様):密度0.905g/cm3、融点98℃、190℃でのMFRが3.5g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(M−LLDPE)。
ベース樹脂2:密度0.898g/cm3、融点90℃、190℃でのMFRが3.5g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(M−LLDPE)。
ベース樹脂3:密度0.919g/cm3、融点105℃、190℃でのMFRが3.5g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(M−LLDPE)。
ベース樹脂4:密度0.920g/cm3、融点120℃、190℃でのMFRが2.1g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(M−LLDPE)。
ベース樹脂5:密度0.880g/cm3、融点60℃、190℃でのMFRが3.5g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(M−LLDPE)。
(その他の添加剤)
耐候剤マスターバッチ:それぞれの組成物のベース樹脂と同一のベース樹脂100質量部に対して、KEMISTAB62(HALS):0.6質量部。KEMISORB12(UV吸収剤):3.5質量部。KEMISORB79(UV吸収剤):0.6質量部。耐候剤マスターバッジは、全ての実施例、比較例の封止材組成物に10質量部ずつ添加した。
シラン変性ポリエチレン系樹脂:それぞれの組成物のベース樹脂と同一のベース樹脂100質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.15質量部とを混合し、200℃で溶融、混練して得たシラン変性ポリエチレン系樹脂。シラン変性ポリエチレン系樹脂は、全ての実施例、比較例の封止材組成物に10質量部ずつ添加した。
実施例、比較例の封止材シートの貯蔵弾性率(E‘)をそれぞれ以下の測定方法により、DMA測定し、85℃時点での貯蔵弾性率(E‘)を各試料ごとに比較した。
(測定方法) 実施例、比較例の封止材シートを5mm×20mmに切り出したものを試料とし、UBM社製レオゲル・E−4000で測定を実施。引っ張りモードにて下記条件のもと測定した。
初期荷重100g、連続加振モード、波形:正弦波、周波数10hz、昇温速度3℃/min
結果を表1に示す。
表面がフラットな白板強化ガラスの面上に、リード線(250μm径)を配置し、更に当該リード線を覆って、150mm×150mmにカットした実施例、比較例の各封止材シートを積層したものを設定温度165℃、真空引き3分、大気圧加圧7分で真空加熱ラミネータ処理を行い、それぞれの実施例、比較例について太陽電池モジュール評価用サンプルを得た。この加熱処理中におけるラミネート中の封止材シートの樹脂温度(到達温度)は162℃であった。これらの太陽電池モジュール評価用サンプルについて、下記ダンプヒート(D.H.)試験後の状態を目視観察し、下記の評価基準により、モールディング耐久性を評価した。D.H.試験は、JIS C8917に準拠し、試験槽内温度85℃、湿度85%の条件下で評価用サンプルモジュールの耐久性試験を500時間行った。
(評価基準) A:封止材シートが対面する基材面の凹凸に完全に追従。空隙の形成は観察されなかった。
B:2mm2以内の気泡が5個以内観察された。
C:封止材シートの一部が対面する基材面の凹凸に完全に追従せず、リード線の近辺に一部ラミネート不良部分(空隙)が形成された。
評価結果を「モールディング耐久性」として表1に記す。
耐熱性試験として耐熱クリープ試験を行った。評価例1と同じガラス板に5cm×7.5cmに切り出した実施例、比較例の封止材シートを2枚重ね置き、その上から5cm×7.5cmの評価例1と同じガラス板を重ね置き、上記評価例1と同条件で真空加熱ラミネータ処理を行い評価用試料を作成した。この後、大判ガラスを垂直に置き、105℃で12時間放置し、放置後の5cm×7.5cmのガラス板の移動距離(mm)を測定し、評価した。評価は以下の基準で行った。
(評価基準) A:0.00mm
B:0.00mm超え1.0mm未満
C:1.0mm以上
評価結果を「耐熱性」として表1に記す。
2 透明前面基板
3 太陽電池素子
31 金属電極
32 リード線
4 裏面保護カバー
10 太陽電池モジュール
Claims (4)
- 密度0.900g/cm3以上0.930g/cm3以下で、融点が90℃以上100℃以下のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする熱可塑系の封止材組成物からなり、厚さが250μm以上600μm以下であり、85℃における貯蔵弾性率が1.0×106Pa以上7.0×106Pa以下である太陽電池モジュール用の封止材シート。
- 85℃における貯蔵弾性率が1.0×10 6 Pa以上5.0×10 6 Pa以下である、請求項1に記載の太陽電池モジュール用の封止材シート。
- 請求項1又は2に記載の封止材シートと、ガラス基板上に積層配置されている薄膜系の太陽電池素子と、を備える薄膜系の太陽電池モジュールであって、
前記封止材シートの同一面に、前記ガラス基板及び前記太陽電池素子が密着している構成を含んでなる太陽電池モジュール。 - 前記太陽電池素子の表面には集電用のタブ線が形成されていて、該タブ線が前記封止材シートの内部に埋まり込んでいて、
前記タブ線の厚さが、前記太陽電池素子の表面上における封止材シートの厚さの50%以上90%以下となっている、請求項3に記載の太陽電池モジュール。
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