JP6686431B2 - 太陽電池モジュール用の封止材シート及びそれを用いた太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池モジュール用の封止材シート及びそれを用いた太陽電池モジュール Download PDF

Info

Publication number
JP6686431B2
JP6686431B2 JP2015255339A JP2015255339A JP6686431B2 JP 6686431 B2 JP6686431 B2 JP 6686431B2 JP 2015255339 A JP2015255339 A JP 2015255339A JP 2015255339 A JP2015255339 A JP 2015255339A JP 6686431 B2 JP6686431 B2 JP 6686431B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solar cell
sheet
encapsulant
cell module
encapsulant sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015255339A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017118077A (ja
Inventor
靖史 白髭
靖史 白髭
伸也 米田
伸也 米田
康佑 佐伯
康佑 佐伯
直博 小保内
直博 小保内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2015255339A priority Critical patent/JP6686431B2/ja
Publication of JP2017118077A publication Critical patent/JP2017118077A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6686431B2 publication Critical patent/JP6686431B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Landscapes

  • Sealing Material Composition (AREA)
  • Photovoltaic Devices (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、太陽電池モジュール用の封止材シート及びそれを用いた太陽電池モジュールに関する。詳しくは、薄膜系の太陽電池素子を実装した太陽電池モジュール(以下、「薄膜系の太陽電池モジュール」とも言う)に好適に用いることができる封止材シート及びそれを用いた太陽電池モジュールに関する。
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリーンなエネルギー源としての太陽電池が注目されている。現在、種々の形態からなる太陽電池モジュールが開発され、提案されている。一般に太陽電池モジュールは、ガラス等からなる透明前面基板と太陽電池素子と裏面保護シートとが、封止材シートを介して積層された構成である。
太陽電池モジュールに使用される封止材シートとしては、その加工性、施工性、製造コスト、その他等の観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)が、旧来一般的なものとして使用されていたが、EVA樹脂は、長期間の使用に伴って徐々に分解する傾向があり、太陽電池素子に影響を与える酢酸ガスを発生させたりする可能性がある。このため、近年では、EVA樹脂に代えてポリエチレン系樹脂系の樹脂を使用した太陽電池モジュール用の封止材シートの需要が拡大しつつある(特許文献1参照)。
一般的にポリエチレン系樹脂主体の太陽電池モジュール用の封止材シートでは、その密度を低密度にすることによって透明性や柔軟性を向上することができる。しかし、低密度化は、一方で耐熱性の不足という問題を引き起こす。そこで、特許文献1の封止材シートにおいては、架橋剤によって耐熱性や難燃性を付与している。この場合、確かに耐熱性は向上するが、長期にわたる高温下での使用に耐えうるだけの十分な耐熱性を備えさせるために必要十分な程度の架橋処理を行うと、モジュール化の際に、対面する部材の表面の凹凸への追従性(以下、「モールディング特性」と言う)が維持できなくなるという問題があった。
又、架橋処理を必須とする製造工程においては、成形中に架橋が進行すると製膜性が低下するため、成形を低温で行なって架橋反応を成形後に再度行なう等の配慮が必要であり、生産性の面でも更なる改善が求められていた。
ここで、太陽電池素子には、単結晶シリコン基板や多結晶シリコン基板を用いて作製する結晶シリコン太陽電池の他、アモルファスシリコンや微結晶シリコンをガラス等の基板上に1μm程度若しくはそれ以下の極薄のシリコン膜を成形して作成する薄膜系の太陽電池素子がある。薄膜型太陽電池としては、例えば、アモルファスシリコン型薄膜型太陽電池、CIS系薄膜型太陽電池、CdTe系薄膜型太陽電池等を挙げることができる。なかでも、温度係数が小さく、大面積形成が容易であり、環境に対する負荷が小さいことから、CIS系薄膜型太陽電池が注目されている。
近年需要拡大傾向にある薄膜系の太陽電池素子を用いた太陽電池モジュールにおいては、この耐熱性とモールディング特性の両立が特に高い水準で要求される。例えば、架橋処理を経ずに耐熱性とモールディング特性を両立させることを企図したものとして、融点の異なる2種以上の樹脂を混合したスキン層と、無機粒子等の結晶核剤を添加した封止材組成物からなるコア層と、を組合せた多層シートとすることによって、架橋処理が不要でありながら、柔軟性と耐熱性を兼ね備えたものとすることを企図した太陽電池モジュール用の封止材シートが開示されている(特許文献2参照)。
特開2009−10277号公報 国際公開第2012/073971号
密度が0.910g/cm程度以上である相対的に密度が高いポリエチレン系樹脂を封止材組成物のベース樹脂とすることにより、架橋処理を経ずに必要な耐熱性を確保することを前提とする熱可塑系の封止材シートにおいては、材料樹脂の選択の段階で、完成品の耐熱性とモールディング特性の両立を担保する必要があり、このような要求に応えるための材料樹脂の選択についての客観的な選択基準は未だ確立されていない。
一方、特許文献2に記載の封止材シートは、多層構造の積層体とすることを必須とし、更にそれらの各層の組合せを、特殊な構成に限定することにより、上記課題の解決を企図したものである。そのスキン層に用いる封止材組成物は、一般に広く流通する汎用タイプのポリエチレン系樹脂とは耐熱特性の異なる特殊なエチレン−α−共重合体が選択されており、又、そのコア層には結晶核剤の添加を必須としている。そのため、生産コストの上昇も不可避であり、汎用タイプのポリエチレン系樹脂により形成される封止材シートであることが好ましい。
又、太陽電池モジュールには、太陽電池素子の非受光面側の表面上には、金属等からなる太陽電池素子や電極や集電用のリード線が配置される。そのため、太陽電池モジュール用の封止材シートには、耐熱性とモールディング特性の他、金属との良好な密着性をも要求される。
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、ポリエチレン系樹脂を用いた封止材シートでありながら、架橋工程が不要で生産性が高く、耐熱性とモールディング特性を高い水準で備え、且つ金属との良好な密着性を有する太陽電池モジュール用の封止材シートを提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、高密度のポリエチレン系樹脂からなるコア層の両面に密着性に優れる低密度のポリエチレン系樹脂からなるスキン層を配置し、更に、コア層を形成するポリエチレン系樹脂の貯蔵弾性率(E‘)を特定範囲に最適化し、且つ、スキン層にエポキシ基又はメルカプト基を有するシランカップリング剤を含有することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1)コア層と、封止材シートの両最外層に配置されるスキン層と、を含む複数の層によって構成される多層の封止材シートであって、前記コア層は、密度0.910g/cm以上0.930g/cm以下のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、厚さが250μm以上600μm以下であり、該コア層の85℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下であって、前記スキン層は、いずれも、密度0.900g/cm以上0.910g/cm以下のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、エポキシ基又はメルカプト基を有するシランカップリング剤を含有し、厚さが30μm以上であり、且つ、該スキン層の総厚さは、前記封止材シートの総厚さの1/3以下である太陽電池モジュール用の封止材シート。
(2)前記シランカップリング剤の前記スキン層における含有量が、0.1質量%以上10.0質量%以下である(1)に記載の太陽電池モジュール用の封止材シート。
(3)(1)又は(2)に記載の封止材シートと、ガラス基板上に積層配置されている薄膜系の太陽電池素子と、を備える薄膜系の太陽電池モジュールであって、
前記ガラス基板、前記太陽電池素子、及び該太陽電池素子表面の金属電極が、前記封止材シートの同一面に密着している構成を含んでなる太陽電池モジュール。
(4)前記太陽電池素子の表面には集電用のタブ線が形成されていて、該タブ線が前記封止材シートの内部に埋まり込んでいて、
前記タブ線の厚さが、前記太陽電池素子の表面上における封止材シートの厚さの50%以上90%以下となっている、(3)に記載の太陽電池モジュール。
本発明の太陽電池モジュール用の封止材シートは、ポリエチレン系樹脂を用いた封止材シートでありながら、架橋工程が不要で生産性が高く、耐熱性とモールディング特性を高い水準で備え、且つガラスや金属との良好な密着性を有する太陽電池モジュール用の封止材シートである。
本発明の封止材シートの層構成を模式的に示す断面図である。 本発明の封止材シートと、薄膜系の太陽電池素子を用いた太陽電池モジュールの層構成の一例を模式的に示す断面図である。 図2の部分拡大図であり、薄膜系の太陽電池モジュールに用いた場合における本発明の封止材シートのモールディング特性の説明に供する図面である。 モールディング特性に劣る従来の封止材シートを薄膜系の太陽電池モジュールに用いた、従来の太陽電池モジュールの部分拡大断面図である。
以下、本発明の太陽電池モジュール用の封止材シートに好ましく用いることができる封止材組成物、本発明の太陽電池モジュール用の封止材シート、及び、本発明の封止材シートを用いた太陽電池モジュールについて順次説明する。
<封止材組成物>
本発明の封止材シートは、以下に詳細を説明する封止材組成物を溶融成形することによって得ることができる。封止材組成物は、コア層用の封止材組成物とスキン層用の封止材組成物とを、それぞれ各層の形成に使い分ける。そして、これらの各封止材組成物によって、各層の厚さ比が所定の厚さ比範囲にあり、コア層の両面にスキン層が積層されている3層構造の多層シートを成形することにより、例えば図1に示す封止材シート1に代表される本発明の封止材シートとすることができる。尚、本明細書において、スキン層とは、多層の封止材シートの両最表面側に配置される層のことを言い、コア層とは多層の封止材シートにおける上記スキン層以外の層のことを言う。コア層が単層構造でありその両面にスキン層が積層されている3層構造の封止材シート1が本発明の代表的な実施形態であり、以下、この封止材シート1を中心に本発明の説明を行う。
[コア層用の封止材組成物]
コア層用の封止材組成物のベース樹脂としては、低密度ポリエチレン系樹脂(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン系樹脂(LLDPE)、又はメタロセン系直鎖低密度ポリエチレン系樹脂(M−LLDPE)を好ましく用いることができる。中でも、太陽電池モジュールの長期信頼性の観点から、低密度ポリエチレン系樹脂(LDPE)をコア層用の組成物として特に好ましく用いることができる。
コア層用の封止材組成物のベース樹脂として用いる上記のポリエチレン系樹脂の密度は、0.910g/cm以上0.930g/cm以下であり、より好ましくは、0.920g/cm以下である。コア層用の封止材組成物のベース樹脂の密度を上記範囲とすることにより、架橋処理を経ることなく、封止材シート1に必要十分な耐熱性を備えさせることができる。
又、必要十分な耐熱性を保持した上で、封止材シート1に、更に十分なモールディング特性を付与するためには、コア層用の封止材組成物のベース樹脂とする上記の高密度のポリエチレン系樹脂を、封止材シート1の成形後におけるコア層11の貯蔵弾性率(E‘)を、以下の特定範囲とすることができるものに限定すればよい。具体的には、溶融成形後の封止材シート1のコア層11の85℃における貯蔵弾性率(E‘)を、架橋処理を経ずに、1.0×10Pa以上1.0×10以下、より好ましくは、1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下の範囲となるものにコア層用の封止材組成物を限定すればよい。封止材シート1の成形後のコア層11の貯蔵弾性率(E‘)が、上記範囲となるようにすることにより、封止材シート1を、耐熱性とモールディング特性とが、極めて高い水準で両立されたものとすることができる。
尚、本明細書における貯蔵弾性率(E‘)とは、一般的な太陽電池モジュールの使用環境において到達するモジュール内の最高温度が、概ね70℃〜85℃程度であることに鑑み、85℃の時点での貯蔵弾性率(E‘)のことを言うものとした。
貯蔵弾性率(E‘)の測定方法については、下記実施例に示す方法により測定することができる。又、この封止材シートの樹脂温度は、加熱時の封止材シートの上面部に温度センサー熱電対を貼付し、温湿度データロガーを用いて測定することが可能であり、本発明における樹脂温度とは、例えば、そのようにして測定した封止材シートの樹脂温度のことを言うものとする。
コア層用の封止材組成物のベース樹脂として用いるポリエチレン系樹脂の融点については、融点90℃以上120℃以下であることが好ましく、融点100℃以上115℃以下であることがより好ましい。コア層用の封止材組成物のベース樹脂の融点を上記融点範囲とすることにより、封止材シート1の耐熱性とモールディング特性とを、より確実に好ましい範囲内に保持することができる。
コア層用の封止材組成物のベース樹脂として用いるポリエチレン系樹脂のメルトマスフローレート(MFR)は、190℃、荷重2.16kg、において2.0g/10分以上7.5g/10分以下であることが好ましく、3.0g/10分以上6.0g/10分以下であることがより好ましい。コア層用の封止材組成物のベース樹脂のMFRを上記範囲とすることにより、封止材シートの耐熱性とモールディング特性とを、より確実に好ましい範囲内に保持することができる。又、製膜時の加工適性を十分に高めて封止材シート1の生産性の向上にも寄与することができる。
尚、本明細書中におけるMFRとは、特に断りのない限り、以下の方法により得られた値である。
MFR(g/10min):JIS K7210に準拠して測定。具体的には、ヒーターで加熱された円筒容器内で合成樹脂を、190℃で加熱・加圧し、容器底部に設けられた開口部(ノズル)から10分間あたりに押出された樹脂量を測定した。試験機械は押出し形プラストメータを用い、押出し荷重については2.16kgとした。
尚、多層の封止材シートのMFRは、全ての層が一体積層された多層状態のまま、上記処理による測定を行い、得た測定値を当該多層の封止材シートのMFR値とした。
コア層用の封止材組成物に含まれる上記のベース樹脂の含有量は、コア層用の封止材組成物中の全樹脂成分に対して、好ましくは70質量%以上99質量%以下、より好ましくは80質量%以上99質量%以下であり、更に好ましくは90質量%以上99質量%以下である。これらは、例えば添加用樹脂として用いてもよく、その他の添加成分をマスターバッチ化するための他の樹脂として使用してもよい。尚、本明細書において全樹脂成分という場合は、上記の他の樹脂を含む。尚、このコア層用の封止材組成物は、架橋剤を含有せず、封止材シートの成形時に架橋工程を必要としない熱可塑系の封止材組成物である。
[スキン層用の封止材組成物]
スキン層用の封止材組成物のベース樹脂としては、コア層用の封止材組成物と同様に、低密度ポリエチレン系樹脂(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン系樹脂(LLDPE)、又はメタロセン系直鎖低密度ポリエチレン系樹脂(M−LLDPE)を好ましく用いることができる。中でも、モールディング特性の観点から、メタロセン系直鎖低密度ポリエチレン系樹脂(M−LLDPE)をスキン層用の組成物として特に好ましく用いることができる。
スキン層用の封止材組成物のベース樹脂として用いる上記のポリエチレン系樹脂の密度は、0.890g/cm以上0.910g/cm以下であり、より好ましくは、0.899g/cm以下である。スキン層用の封止材組成物のベース樹脂の密度を上記範囲とすることにより、封止材シート1の密着性を好ましい範囲に保持することができる。
スキン層用の封止材組成物のベース樹脂として用いるポリエチレン系樹脂の融点については、融点70℃以上100℃以下であることが好ましく、融点80℃以上95℃以下であることがより好ましい。スキン層用の封止材組成物のベース樹脂の密度及び融点を上記範囲とすることにより、太陽電池モジュールとしての一体化時における封止材シートの密着性を更に確実に向上させることができる。
スキン層用の封止材組成物のベース樹脂として用いるポリエチレン系樹脂のメルトマスフローレート(MFR)は、190℃、荷重2.16kg、において2.0g/10分以上7.0g/10分以下であることが好ましく、2.5g/10分以上6.0g/10分以下であることがより好ましい。スキン層用の封止材組成物のベース樹脂のMFRを上記範囲とすることにより、封止材シートの密着性を更に確実に好ましい範囲内に保持することができる。又、製膜時の加工適性を十分に高めて封止材シートの生産性の向上に寄与することができる。
スキン層用の封止材組成物に含まれる上記のベース樹脂の含有量は、スキン層用の封止材組成物中の全樹脂成分に対して、好ましくは60質量%以上99質量%以下、より好ましくは75質量%以上99質量%以下であり、更に好ましくは90質量%以上99質量%以下である。これらは、例えば添加用樹脂として用いてもよく、その他の添加成分をマスターバッチ化するための他の樹脂として使用してもよい。尚、本明細書において全樹脂成分という場合は、上記の他の樹脂を含む。尚、このスキン層用の封止材組成物も、架橋剤を含有せず、封止材シートの成形時に架橋工程を必要としない熱可塑系の封止材組成物である。
[シランカップリング剤]
スキン層用の封止材組成物には、エポキシ基又はメルカプト基を有するシランカップリング剤が含有される。スキン層にポキシ基又はメルカプト基を有するシランカップリング剤が含有されることでスキン層とガラス及び金属との良好な密着性を更に有するものとすることができる。
エポキシ系シランカップリング剤又はメルカプト系シランカップリング剤については、いずれを用いても、太陽電池モジュール用の封止材シートのガラス、金属、及びポリアミド系樹脂への密着性を同時に高めることができる。この目的を達成するために、いずれのシランカップリング剤も好ましく用いることができる。
エポキシ系シランカップリング剤とは、一般式[R3−Si−R4(3−m)R5](mは1〜3の整数を表し、R3はエポキシ基を表し、R4はアルキル基を表し、R5はアルコキシ基を表す)で表されるものであり、例としては、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらは単独又は2種以上使用してもよい。尚、エポキシ系のシランカップリング剤は特に限定されず、公知のシランカップリング剤を好ましく用いることができる。例えば、「KBM303」、「KBM−403」(いずれも「信越シリコーン株式会社」製)があり、市場から容易に入手できる。
メルカプト系シランカップリング剤とは、一般式[R1−Si(OR2)](R1はメルカプトアルキル基を、R2はアルキル基をそれぞれ表わす)で表されるものであり、例としては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトメチルトリメトキシシラン及びγ−メルカプトエチルトリメトキシシラン等があげられる。尚、メルカプト系のシランカップリング剤は特に限定されず、公知のシランカップリング剤を好ましく用いることができる。例えば、「KBM802」(信越シリコーン株式会社製)があり、市場から容易に入手できる。
封止材シートの金属との密着性については、上述した通り、主として、シランカップリング剤の添加によって向上するが、その際、シラン共重合体が封止材組成物中に含有されていると、ガラス密着性も併せて十分に向上する。封止材組成物中に、シラン共重合体と特定のシランカップリング剤を適切に組合せて添加することにより、金属とガラスに対する密着性を同時に好ましい範囲に向上することができる。
密着性向上剤として、シランカップリング剤を添加する場合、その含有量は、封止材組成物の全樹脂成分に対して0.1質量%以上10.0質量%以下であり、上限は好ましくは5.0質量%以下である。シランカップリング剤の含有量が上記範囲にあり、且つ、封止材組成物を構成するポリオレフィン系の樹脂に適量のエチレン性不飽和シラン化合物の含量されているときには、密着性がより好ましい範囲へと向上する。尚、この範囲を超えると、製膜性が低下したり、又、シランカップリング剤が経時により凝集固化し封止材シート表面で粉化する、所謂ブリードアウトが発生する場合があり好ましくない。
[その他の材料]
コア層用の封止材組成物及びスキン層用の封止材組成物(以下、併せて「封止材組成物」とも言う)ともに、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなるシラン共重合体(以下、「シラン変性ポリエチレン系樹脂」とも言う)を、必要に応じて、各封止材組成物に一定量含有させることがより好ましい。シラン変性ポリエチレン系樹脂は、主鎖となる直鎖低密度ポリエチレン系樹脂(LLDPE)等に、エチレン性不飽和シラン化合物を側鎖としてグラフト重合してなるものである。このようなグラフト共重合体は、接着力に寄与するシラノール基の自由度が高くなるため、太陽電池モジュールにおける他の部材への封止材シート1の接着性を向上することができる。このシラン変性ポリエチレン系樹脂の封止材組成物中の含有量は、コア層用の封止材組成物においては2質量%以上20質量%以下、スキン層用の封止材組成物においては、5質量%以上40質量%以下であることが好ましい。特にスキン層用の封止材組成物には、10%以上のシラン変性ポリエチレンが含有されていることがより好ましい。尚、上記のシラン変性ポリエチレン系樹脂におけるシラン変性量は、1.0質量%〜3.0質量%程度であることが好ましい。上記の封止材組成物中における好ましいシラン変性ポリエチレン系樹脂の含有量範囲は、上記シラン変性量がこの範囲内であることを前提としており、この変性量の変動に応じて適宜微調整することが望ましい。
シラン変性ポリエチレン系樹脂は、例えば、特開2003−46105号公報に記載されている方法で製造でき、当該樹脂を太陽電池モジュール用の封止材組成物の成分として用いることにより、強度、耐久性等に優れ、且つ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、その他の諸特性に優れ、更に、太陽電池モジュールを製造する加熱圧着等の製造条件に影響を受けることなく極めて優れた熱融着性を有し、安定的に、低コストで、種々の用途に適する太陽電池モジュールを製造しうる。
封止材組成物には、更にその他の成分を含有させることができる。例えば、封止材シートに耐候性を付与するための耐候性マスターバッチ、各種フィラー、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の成分が例示される。これらの含有量は、その粒子形状、密度等により異なるものではあるが、それぞれ封止材組成物中に0.001質量%以上5質量%程度の範囲内であることが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、封止材シートに、長期に亘る安定した機械強度や、黄変やひび割れ等の防止効果等を付与することができる。
<封止材シート>
封止材シート1は、コア層11を有し、コア層11の両面にスキン層12が配置されている。但し、コア層が多層構造を有し当該コア層内にその他の機能層が配置されている封止材シートであっても、本発明の構成要件を備えるコア層とスキン層を備え、且つ、本発明のその他の構成要件を備える封止材シートである限り本発明の範囲内である。
コア層11とスキン層12を含む3層構造の封止材シート1の総厚さは250μm以上600μm以下であることが好ましく、300μm以上550μm以下であることがより好ましい。総厚さが250μm未満であると充分に衝撃を緩和することができないが、総厚さが250μm以上であれば、例えば、総厚さ250μm程度に封止材シート1を薄膜化した場合においても、モールディング性と耐熱性とを十分に好ましい水準において兼ね備えるものとすることができる。尚、総厚さが600μmを超えた場合、それ以上の衝撃緩和効果向上の効果は得がたく、太陽電池モジュールの薄膜化の要請にも対応できず、且つ、不経済であるので好ましくない。
又、封止材シート1におけるコア層11の厚さは、200μm以上400μm以下であり、好ましくは、250μm以上350μm以下である。又、スキン層12の各層毎の厚さは、30μm以上100μm以下であり、好ましくは、35μm以上80μm以下である。又、コア層の両面に積層されている2層のスキン層12の総厚さは、封止材シート1の総厚さの1/3以上1/20以下であり、好ましくは、1/4以上1/15以下である。封止材シート1の各層の厚さをこのような範囲とすることにより、封止材シート1の耐熱性とモールディング特性を良好な範囲に保持することができる。
又、封止材シート1は、コア層の11の貯蔵弾性率(E‘)が、1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下、より好ましくは、1.0×10Pa以上1.0×10Paの範囲である。封止材シート1の成形後のコア層11の貯蔵弾性率(E‘)が、上記範囲となるようにすることにより、封止材シート1を、耐熱性とモールディング特性とが、極めて高い水準で両立されたものとすることができる。
上記封止材シートのシート化は、通常の熱可塑性樹脂において通常用いられる成形法、即ち、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形、回転成形等の各種成形法により行われる。封止材シートが多層フィルムである場合のシート化の方法としては、一例として、3種の溶融混練押出機による共押出により成形する方法が挙げられる。
但し、上記いずれの成形方法においても、封止材シート1の製造における溶融成形温度は、当該封止材組成物に含有されるコア層用の封止材組成物のベース樹脂の融点+30℃以上であることが好ましい。具体的には175℃から230℃の高温とすることが好ましく、190℃から210℃の範囲の高温とすることがより好ましい。封止材シート1に用いる封止材組成物は、架橋剤を含有しない熱可塑系の組成物であるため、溶融成形中の不都合な架橋進行の制御を考慮する必要がない。これにより、ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする封止材シートの製造においては、従来一般的であった架橋処理を必須とする熱硬化型の封止材組成物を用いた場合の温度制限から解法され、生産性を向上させるために、より高い高温度域に溶融成形温度を設定することができる。これにより、封止材シート1は、従来の熱硬化型の封止材シートよりも高い生産性の下で製造することができる。
<太陽電池モジュール>
封止材シート1を用いた太陽電池モジュール10の基本構成について、図2を参照しながら説明する。太陽電池モジュール10は、入射光の受光面側から、透明前面基板2、透明前面基板2の表面上に配置された薄膜系の太陽電池素子3、封止材シート1、及び裏面保護カバー4が順に積層された構成である。封止材シート1は、太陽電池素子3の非受光面側に積層されている。
ここで、太陽電池モジュール10には、図3に示す通り、太陽電池素子3の非受光面側の表面上には、金属電極31や集電用のリード線32による凹凸が存在する。従来のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする封止材シートを用いた場合、架橋処理や単なる高密度化によって耐熱性を担保しようとすると、図4に示すように、モールディング特性の不足による空隙Vの形成が起こる場合があり、これが問題となっていた。
しかし、耐熱性とモールディング特性を高い水準で両立させた封止材シート1を、この凹凸面に配置した場合には、封止材シート1は、図3に示す通り、太陽電池素子3の非受光面側の表面上に存在する金属電極31や集電用のリード線32による凹凸にも十分に回り込み、上記の空隙Vの形成を防ぐことができる。
より具体的には、リード線32が厚さ(d)250μm程度以上の肉厚のリード線である場合に、封止材シート1は、従来品とは顕著に異なる特段の効果を発揮する。例えば、図4に示すように、肉厚のリード線32が配置されている場合に、従来の一般的なポリエチレン樹脂からなる封止材シート1Aを、当該凹凸面上に配置したとき、一般的には、封止材シート1Aの厚さ(d)に対するリード線32の厚さ(d)が、大凡の目安として、50%を超えた場合に、上記の空隙Vの形成が問題となることが多かった。しかし、図3に示すように、封止材シート1を、このような凹凸面に配置した場合においては、封止材シート1の厚さ(d)に対するリード線32の厚さ(d)が90%以下であれば、上記の空隙Vの形成を十分に防ぐことができる。尚、本発明においては、リード線が交差して配置されている場合等、複数のリード線が積層されている状態が存在する場合においては、積層されている部分におけるそれらの複数のリード線の厚さの合計を、上記に言うところの「リード線の厚さ」と考えるものとする。
又、封止材シート1のスキン層11には、エポキシ基又はメルカプト基を有するシランカップリング剤が含有されている。そのため、金属電極31や集電用のリード線32との初期密着性が高く、モールディング特性が高い。又、封止材シート1にエポキシ基又はメルカプト基を有するシランカップリング剤が含有されていることにより太陽電池モジュールの長期にわたる高温下での使用においても十分にモールディング特性を維持することができる。したがって、本発明の封止材シートは、上記の空隙Vの形成を更に防ぐことができる。
透明前面基板2は、太陽電池モジュール10の耐候性、耐衝撃性、耐久性を維持しつつ、且つ、太陽光線を高い透過率で透過させるものであれば特定の材料からなるものに限定されないが、透明前面基板2がガラス基板である場合に、封止材シート1は、その優れたガラス及び金属密着性に基づいて、従来品とは顕著に異なる特段の効果を発揮する。
太陽電池素子3としては、例えば、アモルファスシリコン型、結晶シリコン型、CdTe型、CIS型、GaAs型、その他、特に限定なく従来公知の様々な太陽電池素子を用いることができる。
裏面保護カバー4は、水蒸気バリア性や耐候性等太陽電池モジュールの最外層に配置される保護層に通常求められる物性を有する樹脂シートを用いることができる。又、裏面保護カバー4は、透明前面基板2と同様のガラス基板であってもよい。封止材シート1は、金属及びガラスのいずれにも良好な密着性を有するものであるため、裏面保護カバー4がガラス製の基板である場合にも好ましく用いることができる。
又、太陽電池モジュール10の層構成は、上記実施形態に限られない。封止材シート1は、ガラスと金属の両方に対して密着性を有するため、その特性を生かして、ガラス基材と金属性の太陽電池モジュールを含む様々な構成の太陽電池モジュールに好ましく用いることができる。例えば、太陽電池モジュールにおいて、封止材シートの一方の面が金属面と対向し、もう一方の面がガラス層と対向する構成となる場合においても、封止材シート1を好ましく用いることができる。
更に、本発明の太陽電池モジュールの好ましい他の実施形態として、集電シートと、封止材シート1と、が一体化されている構成を含む太陽電池モジュールを挙げることができる。集電シートとは、一般にはバックコンタクト型の太陽電池素子からの集電を目的として配置される太陽電池モジュールの構成部材であり、樹脂基材の表面に集電用の導電性の回路が形成されているものである。この集電シートの回路及び太陽電池素子上に積層する封止材シートには、衝撃緩衝機能や、更には絶縁機能まで求められるため、集電シート上の凹凸形状に対するモールディング特性については、特段に高い水準の物性が要求される。上述の通り、本発明の封止材シートは、極めて良好なモールディング特性を有するものであるため、上記構成を含む太陽電池モジュールにおいても、好ましく用いることができる。
太陽電池モジュール10は、例えば、太陽電池素子3を形成した透明前面基板2、封止材シート1、及び裏面保護カバー4からなる部材を順次積層してから真空吸引等により一体化し、その後、ラミネーション法等の成形法により、上記の部材を一体成形体として加熱圧着成形して製造することができる。
以上、実施形態を示して本発明を具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲において、適宜変更を加えて実施することができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<太陽電池モジュール用の封止材シートの製造>
以下において説明する封止材組成物原料を下記表1の割合(質量部)で混合し、それぞれ実施例、比較例の封止材シートのコア層用の封止材組成物及びスキン層用の封止材組成物とした。それぞれの封止材組成物をφ30mm押出し機、200mm幅のTダイを有するフィルム成形機を用いて、押出し温度210℃、引き取り速度1.1m/minでコア層用及びスキン層用とするための各樹脂シートを作製し、これらの各樹脂シートを積層して、コア層と両最表面に配置されるスキン層とを備える実施例及び比較例1〜2の3層構造の封止材シートを製造した。実施例及び比較例の各封止材シートの厚さは、いずれも、総厚さ450μmとした。実施例及び比較例1〜2の3層構造の封止材シートの各層の厚さの比については、いずれの封止材シートについてもスキン層:コア層:スキン層の厚さ比が、1:8:1(スキン層(2層の合計)の総厚さが、封止材シートの総厚さの1/4)となるようにした。尚、比較例3については、コア層用の封止材組成物を用いて、厚さ450μmの単層の封止材シートを形成した。
封止材シート用の各樹脂シートを成形するための封止材組成物原料としては、以下の原料を使用した。
(コア層用の封止材組成物用のベース樹脂)
ベース樹脂1(表中にて「1」」と表記、以下同様):密度0.919g/cm、融点105℃、190℃でのMFRが3.5g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(M−LLDPE)。
ベース樹脂2:密度0.880g/cm、融点60℃、190℃でのMFRが3.5g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(M−LLDPE)。
ベース樹脂3:密度0.898g/cm、融点90℃、190℃でのMFRが3.5g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(M−LLDPE)。
ベース樹脂4:密度0.963g/cm、融点135℃、190℃でのMFRが7.0g/10分である高密度ポリエチレン(HDPE)
(スキン層用の封止材組成物用のベース樹脂)
ベース樹脂3:スキン層用の封止材組成物のベース樹脂としては、上記のベース樹脂3を用いた。
(シランカップリング剤)
カップリング剤1(表中にて「1」」と表記、以下同様):メルカプト基を有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製KBM802)
カップリング剤2:エポキシ基を有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製KBM403)
(その他の添加剤)
耐候剤マスターバッチ:ベース樹脂(密度0.919g/cm、融点105℃、190℃でのMFRが3.5g/10分のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂)100質量部に対して、KEMISTAB62(HALS):0.6質量部。KEMISORB12(UV吸収剤):3.5質量部。KEMISORB79(UV吸収剤):0.6質量部。耐候剤マスターバッジは、全ての実施例、比較例のコア層用及びスキン層用の組成物に10質量部ずつ添加した。
シラン変性ポリエチレン系樹脂:密度0.900g/cm、MFRが2.0g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂100質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.15質量部とを混合し、200℃で溶融、混練して得たシラン変性ポリエチレン系樹脂。密度0.901g/cm、MFR1.0g/10分。融点100℃。シラン変性ポリエチレン系樹脂は、全ての実施例、比較例のコア層用の組成物に3質量部ずつ、同スキン層用の組成物に5質量部ずつ添加した。
<各層の貯蔵弾性率(E‘)>
実施例、比較例の各層の貯蔵弾性率(E‘)をそれぞれ単膜にて以下の測定方法により、DMA測定し、85℃時点での貯蔵弾性率(E‘)を各試料ごとに比較した。
(測定方法) 実施例、比較例の封止材シートを5mm×20mmに切り出したものを試料とし、UBM社製レオゲル・E−4000で測定を実施。引っ張りモードにて下記条件のもと測定した。
初期荷重100g、連続加振モード、波形:正弦波、周波数10hz、昇温速度3℃/min。
結果を表1に示す。
尚、コア層の貯蔵弾性率(E‘)は、多層の封止材シートの全層の貯蔵弾性率(E‘)と、各層の組成や各層の厚さ比からも推定可能である。具体的な例として、上記測定方法によって、実施例1の多層の封止材シートについて全層での貯蔵弾性率(E‘)を測定したところ、同封止材シートのコア層単膜の貯蔵弾性率(E‘)が、1.50×10Pa(表1参照)であるのに対して、全層における貯蔵弾性率(E‘)は、1.40×10Paであった。スキン層の厚さ比が所定の厚さ比内に限定されている本発明の封止材シートにおいて、スキン層の物性の影響によって全層の貯蔵弾性率(E‘)が微減しているが、その変動量は、上記程度のごく僅かな変動であることが確認されている。
<評価例1:モールディング特性>
表面がフラットな白板強化ガラスの面上に、リード線(250μm径)を配置し、更に当該リード線を覆って、150mm×150mmにカットした実施例、比較例の各封止材シートを積層したものを設定温度165℃、真空引き3分、大気圧加圧7分で真空加熱ラミネータ処理を行い、それぞれの実施例、比較例について太陽電池モジュール評価用サンプルを得た。この加熱処理中におけるラミネート中の封止材シートの樹脂温度(到達温度)は162℃であった。これらの太陽電池モジュール評価用サンプルについて、目視観察し、下記の評価基準により、モールディング特性を評価した。
(評価基準) A:封止材シートが対面する基材面の凹凸に完全に追従し、空隙の形成は観察されなかった。
B:2mm以内の気泡が5個以内観察された。
C:封止材シートの一部が対面する基材面の凹凸に完全に追従せず、リード線の近辺に一部ラミネート不良部分(空隙)が形成された。
<評価例2:耐熱性試験>
耐熱性試験として耐熱クリープ試験を行った。上記評価例1と同じガラス板に5cm×7.5cmに切り出した実施例、比較例の封止材シートを1枚重ね置き、その上から5cm×7.5cmの評価例1と同じガラス板を重ね置き、評価例1と同条件で真空加熱ラミネータ処理を行い評価用試料を作成した。この後、大判ガラスを垂直に置き、105℃で12時間放置し、放置後の5cm×7.5cmのガラス板の移動距離(mm)を測定し、評価した。評価は以下の基準で行った。
(評価基準) A:0.00mm
B:0.00mm超え1.0mm未満
C:1.0mm以上
評価結果を「耐熱性」として表1に記す。
<評価例3:金属初期密着性>
[金属密着性試験]
15mm幅にカットした実施例、比較例の封止材シートを、それぞれ金属(厚さ35μmのクロム))にそれぞれ密着させて、上記評価例1と同様の条件により真空加熱ラミネータ処理を行い、それぞれの実施例、比較例について金属密着性試験評価用サンプルを得た。これらの各金属層密着性試験評価用サンプルについて、下記の試験条件における密着強度を測定して密着性を評価した。
測定は、上記の金属密着性試験評価用サンプルにおいて、金属上に密着している封止材シートを、剥離試験機(テンシロン万能試験機 RTF−1150−H)にて垂直剥離(50mm/min)試験を行った。
(評価基準) A:15N/15mm以上
B:10N/15mm以上15N/15mm未満
C:10N/15mm未満
評価結果を「Cr初期密着性」として表1に記す。
<評価例4:金属初期密着耐久性>
上記金属密着性試験評価用サンプルについて、JIS C8917に準拠し、試験槽内において温度85℃、湿度85%の条件下で、500時間の保存試験を行い、保存試験後の密着強度を評価例3と同様に試験を上記同様の評価基準にて評価を行った。評価結果を「Cr密着耐久性」として表1に記す。
Figure 0006686431
表1より、本発明の封止材シートは、耐熱性とモールディング特性を高い水準で備え、且つ金属との良好な密着性を有するものであることが分かる。
1 封止材シート
11 コア層
12 スキン層
2 透明前面基板
3 太陽電池素子
31 金属電極
32 リード線
4 裏面保護カバー
10 太陽電池モジュール

Claims (2)

  1. 封止材シートと、ガラス基板上に積層配置されている薄膜系の太陽電池素子と、を備える薄膜系の太陽電池モジュールであって、
    前記ガラス基板、前記太陽電池素子、及び該太陽電池素子表面の金属電極が、前記封止材シートの同一面に密着している構成を含んでなり、
    前記封止材シートは、
    コア層と、封止材シートの両最外層に配置されるスキン層と、を含む複数の層によって構成される多層の封止材シートであって、
    前記コア層は、密度0.910g/cm 以上0.930g/cm 以下のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、厚さが250μm以上600μm以下であり、該コア層の85℃における貯蔵弾性率が1.0×10 Pa以上1.0×10 Pa以下であって、
    前記スキン層は、いずれも、密度0.900g/cm 以上0.910g/cm 以下のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、エポキシ基又はメルカプト基を有するシランカップリング剤を含有し、厚さが30μm以上であり、且つ、該スキン層の総厚さは、前記封止材シートの総厚さの1/3以下であり、
    前記太陽電池素子の表面には集電用のタブ線が形成されていて、該タブ線が前記封止材シートの内部に埋まり込んでいて、
    前記タブ線の厚さが250μm以上であって、前記太陽電池素子の表面上における封止材シートの厚さの50%以上90%以下となっている、太陽電池モジュール。
  2. 前記シランカップリング剤の前記スキン層における含有量が、0.1質量%以上10.0質量%以下である請求項1に記載の太陽電池モジュール。
JP2015255339A 2015-12-25 2015-12-25 太陽電池モジュール用の封止材シート及びそれを用いた太陽電池モジュール Active JP6686431B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015255339A JP6686431B2 (ja) 2015-12-25 2015-12-25 太陽電池モジュール用の封止材シート及びそれを用いた太陽電池モジュール

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015255339A JP6686431B2 (ja) 2015-12-25 2015-12-25 太陽電池モジュール用の封止材シート及びそれを用いた太陽電池モジュール

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017118077A JP2017118077A (ja) 2017-06-29
JP6686431B2 true JP6686431B2 (ja) 2020-04-22

Family

ID=59234552

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015255339A Active JP6686431B2 (ja) 2015-12-25 2015-12-25 太陽電池モジュール用の封止材シート及びそれを用いた太陽電池モジュール

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6686431B2 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012195561A (ja) * 2011-03-01 2012-10-11 Dainippon Printing Co Ltd 太陽電池モジュール用封止材シート
WO2013077866A1 (en) * 2011-11-22 2013-05-30 3M Innovative Properties Company Integrated films for use in solar modules
JP6303371B2 (ja) * 2013-09-30 2018-04-04 大日本印刷株式会社 太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017118077A (ja) 2017-06-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5594959B2 (ja) 太陽電池素子封止材
JP6191252B2 (ja) 太陽電池モジュール用の封止材組成物及び封止材
WO2012105512A1 (ja) 太陽電池用表面保護材及びそれを用いて作製された太陽電池モジュール
JP6520257B2 (ja) 太陽電池モジュール用の封止材シート、及び太陽電池モジュール
JP2024063196A (ja) 太陽電池モジュール用の封止材シート及びそれを用いた太陽電池モジュール
JP2016039363A (ja) 太陽電池モジュール用の封止材組成物、封止材、及び太陽電池モジュール
JP6686430B2 (ja) 太陽電池モジュール用の封止材シート及びそれを用いた太陽電池モジュール
JP2016195190A (ja) 太陽電池モジュール用封止材シート及びそれを用いてなる封止材一体型裏面保護シート
JP6686431B2 (ja) 太陽電池モジュール用の封止材シート及びそれを用いた太陽電池モジュール
JP6686429B2 (ja) 太陽電池モジュール用の封止材シート、及びそれを用いた太陽電池モジュール
JP6672567B2 (ja) 太陽電池モジュール用の同時押出バックシート
EP3164891B1 (en) Mono-backsheet for solar cell modules
WO2017006695A1 (ja) 太陽電池モジュール用の封止材シート及びそれを用いてなる封止材一体型裏面保護シート
JP2014013791A (ja) 太陽電池モジュール用保護フィルム及びこれを用いた太陽電池モジュール
JP2013077818A (ja) 太陽電池用保護材
JP2017118074A (ja) 太陽電池モジュール用の封止材シート、及びそれを用いた太陽電池モジュール
JP2012138509A (ja) 太陽電池モジュール用封止材用組成物、及び太陽電池モジュール用封止材シート
JP2016174124A (ja) 太陽電池モジュール用の封止材シート、及び太陽電池モジュール
JP2019077733A (ja) 樹脂シート、合わせガラスおよび太陽電池モジュール
JP2017017257A (ja) 太陽電池モジュール用封止材シート及びそれを用いてなる封止材一体型裏面保護シート
JP6547464B2 (ja) 太陽電池モジュール用の封止材一体型裏面保護シート及びそれを用いてなる太陽電池モジュール
JP2015211208A (ja) 樹脂封止シート
JP2012176608A (ja) 太陽電池用表面保護材及びそれを用いて作製された太陽電池モジュール
KR20100079901A (ko) 에틸렌-비닐아세테이트 필름 및 이를 포함하는 태양전지 모듈
JP2020141075A (ja) 薄膜系太陽電池モジュール

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20160928

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181029

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190903

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190830

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20191101

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191224

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200303

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200316

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6686431

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150