JP6405847B2 - ガラス密着シート - Google Patents
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Description
先ず、本発明のガラス密着シートを好適に用いることができる太陽電池モジュール10の基本構成について図4を用いて説明する。図4に示すように、太陽電池モジュール10は、非受光面側から、本発明のガラス密着シート1、セルガラス2、セルガラス2の表面に形成された薄膜系の太陽電池素子3、太陽電池素子3を覆って配置された受光面側封止材シート4、受光面側の最外層に配置された透明前面基板5が順に積層された構成である。
図1に示す通り、ガラス密着シート1は、基材層11上に、密着スキン層122が積層されている多層構造の樹脂シートである。図2に示すように、密着スキン層122は、密着コア層121を介して基材層11に積層されていることが好ましい。本明細書においては、以下、密着コア層121と密着スキン層122とを合わせてなる図2の多層構造の部分12Aのことを密着強化層とも言う。
基材層11は、ガラス密着シート1の基材として配置される樹脂層である。基材層11の材料としては、下記の樹脂材料をシート状に成型したものを用いることができる。例えば、ポリエチレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等、各種の樹脂シートを、基材層11の材料として用いることができる。これらの中でも、絶縁性能、機械強度、コスト、透明性等の物性及び経済性の観点からポリエチレンテレフタレート(PET)を、基材層11の材料として好ましく用いることができる。又、機械強度や水蒸気バリア性向上の更なる向上の観点から、上記PETの他に更に耐加水分解性PETを最外層に積層した多層シートを、基材層11の材料として、特に好ましく用いることができる。
密着スキン層122は、ガラス密着シート1の一方の最外層に配置される層である。又、密着スキン層122は、太陽電池モジュール10において、セルガラス2との密着面となり、ガラス密着シート1とセルガラス2との密着性を向上させる機能を発揮する層である。又、上述の通り、密着スキン層122は、基材層11の表面に直接積層されていてもよいし、或いは、密着コア層121のいずれか一の面若しくは両面に密着スキン層122が形成されている多層構造の密着強化層12として基材層11の表面に積層されていてもよい。
MFR(g/10min):JIS K7210に準拠して測定。具体的には、ヒーターで加熱された円筒容器内で合成樹脂を、190℃で加熱・加圧し、容器底部に設けられた開口部(ノズル)から10分間あたりに押出された樹脂量を測定した。試験機械は押出し形プラストメータを用い、押出し荷重については2.16kgとした。
密着スキン層122は、ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする密着スキン層組成物からなる。この密着スキン層組成物は、シラン変性ポリエチレンが所定の割合で含有されている。ここで、シラン変性ポリエチレンとは、低密度ポリエチレンにエチレン性不飽和シラン化合物がグラフト重合してなる樹脂である。又、密着スキン層組成物のベース樹脂であるポリエチレン系樹脂は、融点100℃未満の低密度ポリエチレン樹脂と融点125℃以上の高密度ポリエチレン樹脂とが、本発明独自の所定の割合で含有されている混合樹脂である。
MFR(g/10min):JIS K7210に準拠して測定。具体的には、ヒーターで加熱された円筒容器内で合成樹脂を、190℃で加熱・加圧し、容器底部に設けられた開口部(ノズル)から10分間あたりに押出された樹脂量を測定した。試験機械は押出し形プラストメータを用い、押出し荷重については2.16kgとした。
密着コア層121は、密着スキン層122と積層されて多層の密着強化層12を形成する場合において、密着強化層12に耐熱性や適度な剛性を付与するために配置される層である。密着コア層121は、ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする密着コア層組成物からなる。
密着コア層121を形成する密着コア層組成物は、全樹脂成分中の含有量比において、相対的に密度の高い耐熱成分、即ち、融点125℃以上の高密度ポリエチレン樹脂を、50質量%以上95質量%以下含有するものであることが好ましく、より好ましくは70質量%以上90質量%以下含有する。又、密着コア層組成物は、相対的に密度の低い密着成分、即ち、融点100℃未満の低密度ポリエチレン樹脂は含有しないことが好ましい。密着コア層組成物が上記密着成分を含有する場合であっても、上記含有量比における含有量が30質量%以下であることで、十分な耐熱性を保持することができる。が好ましい。密着コア層121は、所定含有量比以上の耐熱成分を含有してなる密着コア層組成物からなる場合にガラス密着シートにより好ましい耐熱性を付与する耐熱性強化層である。
密着スキン層組成物及び密着コア層組成物には、更にその他の成分を含有させることができる。例えば、ガラス密着シート1に、耐候性を付与するための各種の耐候性マスターバッチ、各種フィラー、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の成分が例示される。これらの含有量は、その粒子形状、密度等により異なるものではあるが、それぞれ封止材組成物中に0.001質量%以上5質量%以下の範囲内であることが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、ガラス密着シート1に、長期に亘る安定した機械強度の向上や、黄変やひび割れ等の防止効果等を付与することができる。
本発明のガラス密着シートの製造方法について説明する。ガラス密着シート1は、基材層11を構成する基材層用樹脂シートを形成する「基材層用樹脂シート形成工程」と、少なくとも密着スキン層122を含んでなる密着強化層12を構成する密着強化層用樹脂シートを形成する「密着強化層用樹脂シート形成工程」と、基材層用樹脂シートに密着層用樹脂シートを積層して一体化する「シート一体化工程」と、を経ることによって製造することができる。
基材層11を形成する基材層用樹脂シートは、上記において説明したPET等の樹脂材料を、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法、その他の成膜化法等により成膜することにより形成することができる。尚、基材層用樹脂シートは、本発明の効果を害さない範囲で、上記樹脂材料の他に顔料等のその他の添加物を含むものであってもよい。
密着強化層12を形成する密着強化層用樹脂層シートは、単層の密着スキン層122を密着強化層とする場合には、上記の密着スキン層組成物を公知の押出し法によりシート化することにより得ることができる。又、密着強化層を密着コア層121と密着スキン層122とからなる多層構成とする場合には、上記の密着スキン層組成物と密着コア層組成物とを、公知の共押出し法により一体成形して多層シート化することにより得ることができる。
基材層11を形成する基材層用樹脂シートと、密着スキン層122又は、多層の密着強化層12を形成する密着強化層用シートと、及び必要に応じて同様の方法によって形成したその他の層を形成するシートとを適宜積層して、更に一体化することにより、本発明のガラス密着シート1を得ることができる。各シートの一体化は従来公知のドライラミネート法によることができる。ラミネート接着剤は従来公知のものが利用でき特に限定されず、ウレタン系、エポキシ系等の主剤と硬化剤とからなる2液硬化型のドライラミネート接着剤等が適宜使用可能である。尚、上述の通り、シート一体化工程は、押出しコートラミネート法や、その応用形態であるサンドイッチラミネート法によることもできる。
太陽電池モジュール10は、例えば、ガラス密着シート1、薄膜系の太陽電池素子3を搭載したセルガラス2、受光面側封止材シート4、及び透明前面基板5からなる部材を順次積層してから真空吸引等により一体化し、その後、ラミネーション法等の成形法により、上記の部材を一体成形体として加熱圧着成形して製造することができる。例えば真空熱ラミネート加工による場合、ラミネート温度は、130℃〜180℃の範囲内とすることが好ましい。又、ラミネート時間は、5〜20分の範囲内が好ましく、特に8〜15分の範囲内が好ましい。このようにして、上記各層を一体成形体として加熱圧着成形して、太陽電池モジュール10を製造することができる。
上記記載の「ガラス密着シートの製造方法」に準じて、実施例、比較例のガラス密着シートを作成した。
下記表1の組成(表1中の融点以外の数値の単位は、全て、質量部)の樹脂組成物を混合し密着スキン層用のブレンドとして用いた。上記ブレンドをφ30mm押出し機、200mm幅のTダイスを有するシート成形機を用いて、押出し温度210℃、引き取り速度1.1m/minで、密着スキン層を構成するための総厚さ60μmの単層の密着スキン層用シートを作製した。(実施例1、比較例1〜6)。
下記表2の組成の2種類の樹脂組成物を混合し、それぞれ表1に記載の通りに密着コア層用のブレンドとして使い分けた。そして、この密着コア層用のブレンドと、表1の組成の密着スキン層用のブレンドとを、φ30mm押出し機、200mm幅のTダイスを有するシート成形機を用いて、押出し温度210℃、引き取り速度1.1m/minでシート成型し、それらを積層して、3層の密着強化層用シートを作製した。この密着強化層用シートの厚さは、総厚さを60μmとし、密着スキン層:密着コア層:密着スキン層の厚さの比を1:4:1とした。(実施例2〜5、比較例7〜10)。
高密度ポリエチレン(HDPE、表中「HD」と表記):密度0.963g/cm3、融点135℃。MFRが7.0g/10分。
低密度ポリエチレン(LDPE、表中「LD」と表記):密度0.918g/cm3、融点106℃。MFRが2.3g/10分。
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、表中「LLD」と表記):密度0.905g/cm3、融点97℃。MFR3.5g/10分。
シラン変性ポリエチレン系樹脂(表中「Si」と表記):密度0.900g/cm3、MFR1.2g/10分のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)98質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.1質量部と、を混合し、200℃で溶融、混練し、密度0.903g/cm3、MFR1.0g/10分であるシラン変性透明樹脂を得た。
白色顔料マスターバッチ(表中で「白MB」と表記):平均粒径0.3μmの酸化チタンを、上記の高密度ポリエチレン(HDPE)40質量部に対し、60質量部を混合し、200℃で溶融、混練し、ペレット状に成形したものを用いた。
耐候性マスターバッチ(表中で「耐候MB」と表記):上記の高密度ポリエチレン(HDPE)を粉砕したパウダー100質量部に対して、ベンゾフェノール系紫外線吸収剤3.8質量部とヒンダードアミン系光安定化剤5質量部と、リン系熱安定化剤0.5質量部とを混合して溶融、加工し、ペレット状に成形したものを用いた。
実施例、比較例のガラス密着シートについて、下記の方法により、各シートの密着スキン層(実施例1〜3、比較例1〜6)、又は密着強化層(実施例4〜6、比較例7〜9)について、140℃の複素粘度を測定した。各シートについて、結果を表3に示す。ただし、実施例2と3については、特に試験用に、各密着スキン層用のブレンドから厚さ10μmの単層のシートを押出し成形したものを試験用シートとした。
[複素粘度の試験方法]
複素粘度は、回転型レオメーター(Anton Paar製 MCR301)を用いて、パラレルプレートジオメトリー(直径8mm)、応力0.5N、歪み5%、角速度0.1(1/s)、昇温速度5℃/minの条件にて測定した。
(評価基準)
尚、140℃における複素粘度の値を下記の評価基準に基づいてA〜Cの3段階で評価した。
実施例1〜3、比較例1〜6については、以下の評価基準を用いた。
A:140℃における複素粘度が、1.0E+4Pa・S以上1.0E+6Pa・S未満。
B:140℃における複素粘度が、1.0E+6Pa・S以上5.0E+6Pa・S未満。
C:140℃における複素粘度が、1.0E+4Pa・S未満、又は、同複素粘度が、5.0E+6Pa・S以上。
実施例4〜6、比較例7〜9比較例1〜6については、以下の評価基準を用いた。
A:140℃における複素粘度が、5.0E+5Pa・S以上1.0E+8Pa・S以下。
B:140℃における複素粘度が、5.0E+5Pa・S未満、又は、同複素粘度が、1.0E+8Pa・Sより大きい。
<MFR>
実施例、比較例のガラス密着シートについて、上述の方法により、複素粘度の試験と同様にして得た各シートの密着スキン層(実施例1〜3、比較例1〜6)、について、MFRを測定した。各シートについて、結果を表3に示す。ただし、実施例2と3については、複素粘度の試験と同様に試験用に各密着スキン層用のブレンドから単層のシートを成形したものを試験用シートとした。
A:MFRが、3.0g/10分以上20g/10分以下。
B:MFRが、上記Aの範囲外であり、且つ、1.0g/10分以上30g/10分以下。
C:MFRが、1.0g/10分未満、又は、30g/10分よりも大きい。
15mm幅にカットした実施例、比較例の各ガラス密着シートを、それぞれガラス基板(青板ガラス JPT3.2 75mm×50mm×3.2mm)上に密着させて、下記ラミネート条件で、真空加熱ラミネート処理を行い、それぞれの実施例、比較例について評価用積層体試料を得た。これらの評価用積層体試料について、下記の「ガラス密着強度試験方法」により、ガラス密着強度を測定して密着性を評価した。
(ラミネート条件) 真空引き:5.0分
加圧(0kPa〜100kPa):1.0分
圧力保持(100kPa):10.0分
温度150℃
上記太陽電池モジュール評価用サンプルにおいて、ガラス基板上に密着しているガラス密着シートを、剥離試験機(テンシロン万能試験機 RTF−1150−H)にて垂直剥離(50mm/min)試験を行いガラス密着強度を測定した。それぞれの実施例及び比較例について測定結果を、以下の評価基準により評価した。評価結果を表3に「ガラス密着」として示す。
A:40N/15mm以上
B:25N/15mm以上40N/15mm未満
C:25N/15mm未満
実施例、比較例のガラス密着シートについて、以下の方法で、カール変形の発生の程度を測定し、ハンドリング性について評価した。結果を表3に示す。
[カール変形測定試験方法]
上記のガラス密着シートを16cm角に切出し、試料中央の13cm角部分の対角線上に切込みを入れる。サンプルを60℃で24時間静置後、室温で1時間静置した後、切込み先端の高さを測定し、カール変形を評価した。
[評価基準]
A:27mm未満のものを特に好ましいものとして評価した。
B:27mm以上31mm未満のものを好ましいものとして評価した。
C:31mm以上のものを好ましくないものとして評価した。
11 基材層
12 密着強化層
121 密着コア層
122 密着スキン層
2 セルガラス
3 太陽電池素子
4 受光面側封止材シート
5 透明前面基板
10 太陽電池モジュール
Claims (6)
- 基材層と、ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする密着スキン層組成物からなる密着スキン層と、を含んでなる多層シートであって、
前記密着スキン層組成物は、低密度ポリエチレンにエチレン性不飽和シラン化合物をグラフト重合したシラン変性ポリエチレン系樹脂を含んでなり、
前記密着スキン層は、140℃における複素粘度が、1.0E+4Pa・S以上5.0E+6Pa・S以下である、ガラス密着シート。 - 前記密着スキン層組成物中のポリエチレン系樹脂100質量部に対する前記エチレン性不飽和シラン化合物のグラフト量が、0.1質量部以上1.0質量部以下である請求項1に記載のガラス密着シート。
- 前記密着スキン層と前記基材層との間に、ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする密着コア層組成物からなる密着コア層が積層されていて、
前記密着スキン層と前記密着コア層の積層体である密着強化層の140℃における複素粘度が、5.0E+5Pa・S以上1.0E+8Pa・S以下である、請求項1又は2に記載のガラス密着シート。 - 前記密着コア層が、有色の無機フィラーを含有する請求項1から3のいずれかに記載のガラス密着シート。
- 前記基材層が、ポリエチレンテレフタレート層及び/又は耐加水分解ポリエチレンテレフタレート層を含んで構成されている請求項1から4のいずれかに記載のガラス密着シート。
- 請求項1から5のいずれかに記載のガラス密着シートが、前記密着スキン層とガラス面とが対面する態様で積層されている太陽電池モジュール。
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