JP7135939B2 - 太陽電池モジュール用の封止材一体型裏面保護シート及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は太陽電池モジュール用の封止材一体型裏面保護シート及びその製造方法に関する。
従来、太陽電池モジュールの層構成は、受光面側から、透明前面基板、前面封止材、太陽電池素子、背面封止材及び裏面保護シートが、この順に積層された構成が一般的である。
太陽電池モジュールを構成する上記の各部材のうち、封止材としては、透明性や施工性、製造コスト他等の観点から、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)かなる樹脂シートが汎用的に用いられていた。しかしながら、EVA樹脂は、長期間の使用に伴って徐々に分解する傾向があり、太陽電池モジュールの内部で劣化して強度が低下したり、太陽電池素子に影響を与える酢酸ガスを発生させたりする可能性がある。このため、EVA樹脂の代わりに、近年においては、ポリエチレン系の樹脂を使用した太陽電池モジュール用の封止材が提案されており、その需要が拡大している。
一方で、太陽電池モジュールの最外層に保護層として配置される裏面保護シートとしては、フッ素系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂を用いた樹脂シートが広く用いられている。
そして、近年においては、太陽電池モジュールに対する意匠上の要請による薄型化や、製造工程の簡略化による生産性向上を目的として、上記の封止材シートと裏面保護シートとが、予め一体品として形成されている、封止材一体型裏面保護シートの開発も進んでいる(特許文献1参照)。この封止材一体型裏面保護シートは、例えば、図1に示す封止材一体型裏面保護シート1のような配置態様で、太陽電池モジュール10に配置され、太陽電池モジュールの薄型化や生産性の向上に寄与している。
従来、封止材の製造においては、耐熱性を向上させる架橋処理が広く行われている。架橋処理を伴う封止材の製造方法として、例えば、封止材を構成する樹脂シートの一方の面から電離性放射線を照射することにより、シート厚さ方向に沿ってゲル分率、即ち架橋度が変化した構造の封止材を製造する方法が提案されている(特許文献2)。尚、このような製造方法によって得られる封止材は、相対的に架橋度の低い樹脂層が、太陽電池素子と接触してこれを封止する層となることが想定されている。
ここで、封止材層と裏面保護層とが予め一体化されている上記の封止材一体化型裏面保護シートの製造において、上記態様で架橋処理を行う場合、封止材一体化型裏面保護シートの封止材層を構成する樹脂シートの両面のうち、架橋度が高い方の面を裏面保護層シートに対面させ、架橋度の低い方の面を太陽電池素子に対面させた状態で太陽電池モジュールとしての一体化のための熱ラミネート加工を行うことが想定される。
しかしながら、長期にわたる高温下での使用に耐えうるだけの十分な耐熱性を備えさせるために必要十分な程度の架橋処理を封止材層に行おうとすると、太陽電池素子に対応する面における凹凸への追従性(以下、「モールディング特性」と言う)が不十分となってしまう。
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、太陽電池モジュールの薄型化と製造コスト低減に寄与しうる封止材一体型裏面保護シートであって、耐熱性と太陽電池と対面する面のモールディング性とを両立させることができる封止材一体型裏面保護シートを提供することを課題とする。
本発明者らは、封止材一体型裏面保護シートを構成する封止材層を、それぞれの表面近傍層における損失正接(tanδ)の値が一定範囲内の値となるようにした上で、損失正接(tanδ)の値が小さい方の面が裏面保護層と対面する層構成とすることにより、封止材一体化型裏面保護シート特有の上記問題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする封止材層と、ポリエステル系樹脂層を含んでなる裏面保護層と、が積層されてなる、太陽電池モジュール用の封止材一体型裏面保護シートであって、前記封止材層は、各表面からシート厚さ方向に沿ってシート総厚さの1/11の深さまでの範囲を占める部分を、それぞれ第1のスキン層及び第2のスキン層とし、厚さ方向の中心から上下にシート総厚さの3/5の範囲を占める部分をコア層とするとき、前記第1のスキン層の90℃における損失正接が0.5以上であって、且つ、前記コア層の90℃における損失正接よりも大きく、前記第2のスキン層の90℃における損失正接が0.5未満であって、且つ、前記コア層の90℃における損失正接よりも大きく、前記封止材層の両スキン層のうち、前記第2のスキン層が、前記裏面保護層と対面する態様で、前記封止材層と前記裏面保護層とが積層されてなる、封止材一体型裏面保護シート。
(2) 前記コア層の90℃における損失正接が、0.05以上0.3以下である、(1)に記載の封止材一体型裏面保護シート。
(3) 前記第1のスキン層の90℃における損失正接が0.7以上であって、前記第2のスキン層の90℃における損失正接が0.4未満である、(1)又は(2)に記載の封止材一体型裏面保護シート。
(4) (1)から(3)の何れかに記載の封止材一体型裏面保護シートが、太陽電池素子の背面側に前記第1のスキン層が対面する態様で、積層されている太陽電池モジュール。
(5) 前記封止材層の総厚さが150μm以上300μm以下であり、ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする封止材組成物を溶融成形してなる封止材と、裏面保護シートと、を積層して、封止材と裏面保護シートとが積層された材料積層体を得る材料積層体形成工程と、前記材料積層体形成工程の後に、前記材料積層体に、前記封止材の側から電離放射線の照射を行うことで前記封止材の架橋処理を行う架橋工程と、を含んでなる、(1)から(4)の何れかに記載の封止材一体型裏面保護シートの製造方法。
本発明によれば、太陽電池モジュールの薄型化と製造コスト低減に寄与しうる封止材一体型裏面保護シートであって、耐熱性と太陽電池と対面する面のモールディング性とを両立させることができる封止材一体型裏面保護シートを提供することができる。
以下、本発明の封止材一体化裏面保護シートについて詳細に説明する。但し、本発明は以下に記載される実施形態に限定されるものではない。
<封止材一体型裏面保護シート>
図2に示す通り、本発明の封止材一体型裏面保護シート1は、主として太陽電池素子を太陽電池モジュール外部からの衝撃から保護する機能を果たす封止材層11と、主として太陽電池モジュール外部からの水分等の侵入を阻止するバリア性を有する裏面保護層12と、が一体積層されてなる多層シートである。封止材層11と、裏面保護層12と、は何れも各種の樹脂シート等により構成されるが、それぞれ求められる機能が異なるため、通常は異なる材料樹脂により構成される。
図2に示す通り、本発明の封止材一体型裏面保護シート1は、主として太陽電池素子を太陽電池モジュール外部からの衝撃から保護する機能を果たす封止材層11と、主として太陽電池モジュール外部からの水分等の侵入を阻止するバリア性を有する裏面保護層12と、が一体積層されてなる多層シートである。封止材層11と、裏面保護層12と、は何れも各種の樹脂シート等により構成されるが、それぞれ求められる機能が異なるため、通常は異なる材料樹脂により構成される。
そして、封止材一体型裏面保護シート1は、太陽電池モジュール10において、図1に示すように、太陽電池素子4の背面側に積層される。
封止材一体型裏面保護シート1の厚さは、以下に詳細を説明する封止材層11、裏面保護層12を含む総厚さが、175μm以上700μm以下であることが好ましい。
[封止材層]
封止材一体型裏面保護シート1を構成する封止材層11は、ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする封止材組成物からなる樹脂層である。尚、本明細書における「ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする封止材組成物」とは、ポリエチレン系樹脂が全樹脂成分中に占める質量割合で75%以上含まれる封止材組成物であることを意味する。この封止材組成物の詳細については後述する。
封止材一体型裏面保護シート1を構成する封止材層11は、ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする封止材組成物からなる樹脂層である。尚、本明細書における「ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする封止材組成物」とは、ポリエチレン系樹脂が全樹脂成分中に占める質量割合で75%以上含まれる封止材組成物であることを意味する。この封止材組成物の詳細については後述する。
そして、この封止材層11は、コア層とスキン層を含んでなる多層構造を有する。封止材層11の層構成は、図2に示す通り、コア層111の両面に第1のスキン層112と第2のスキン層113とが存在する構成である。但し、本明細書における、コア層111、第1のスキン層112及び第2のスキン層113については、必ずしも各層間が物理的に明確な界面で区切られる個別の樹脂層である必要はない。封止材一体型裏面保護シート1を構成する封止材層11は、追って詳述する通り、その厚さ方向における損失正接(tanδ)の傾斜分布が最適化されていることを必須の要件とするものであり、必ずしも、一般的な意味での多層シートであることが必須ではないからである。
本発明においては、封止材層11が明確な界面で区切られる3層構造を有さない場合も含めて、各表面からシート厚さ方向に沿ってシート総厚さの1/11の深さまでの範囲(例えば、総厚さが150μmの場合であれば深さ14μm以内の範囲、総厚さが400μmの場合であれば深さ36μm以内の範囲)を占める部分を、それぞれ第1及び第2のスキン層と規定する。又、シート厚さ方向の中心から上下にシート総厚さの3/5の範囲(例えば、総厚さが150μmの場合であればシート中心部の厚さ90μm囲、総厚さが400μmの場合であれば、シート中心部の厚さ240μmの範囲)を占める部分をコア層と規定する。そして、この規定による場合における各層の損失正接(tanδ)が、以下に詳細を示す通りに最適化されていることが封止材層11の主たる特徴である。
上記の損失正接につき、封止材層11においては、上記規定による第1のスキン層112の90℃における損失正接(tanδ)が0.5以上であって、且つ、コア層111の上記温度範囲での損失正接(tanδ)よりも大きくなるように封止材組成物の樹脂密度や架橋度が調整されている。そして、上記規定による第2のスキン層113の90℃での損失正接(tanδ)が0.5未満であって、且つ、コア層111の90℃での損失正接(tanδ)よりも小さくなるように封止材組成物の樹脂密度や架橋度が調整されている。
尚、上記の「90℃における損失正接(tanδ)」とは、一般的な太陽電池モジュールの熱ラミネーション工程において、封止材が実際に到達する樹脂温度値として代表的な温度範囲である90℃における損失正接(tanδ)を測定した値のことを言うものとする。損失正接(tanδ)の具体的な測定方法としては、下記実施例に示した方法により測定することができる。又、この封止材シートの樹脂温度は、加熱時の封止材シートの上面部に温度センサー熱電対を貼付し、温湿度データロガーを用いて測定することが可能であり、本発明における樹脂温度とは、例えば、そのようにして測定した封止材シートの樹脂温度のことを言うものとする。そして、本明細書における損失正接とは、特段の断りのない場合には、全て上記の通り、「90℃における損失正接(tanδ)」のことを言うものとする。
封止材層11の第1のスキン層112の損失正接(tanδ)は、上記の通り0.5以上であればよいが、0.7以上であることがより好ましい。封止材層11の第2のスキン層113の損失正接(tanδ)は、上記の通り0.5未満であればよいが、0.4未満であることがより好ましい。そして、封止材層11のコア層111の損失正接(tanδ)は、0.05以上0.3以下であることが好ましい。
上記の通りに厚さ方向における損失正接(tanδ)の傾斜が最適化されている封止材層11は、両スキン層のうち、損失正接(tanδ)がより小さい層である第2のスキン層113が、裏面保護層12と対面する態様で、裏面保護層12に積層される。
封止材層11は、各層の損失正接の値が、上記の通りに最適化されていることにより、太陽電池モジュール用の封止材層に求められる耐熱性、熱加工適性や、柔軟性、基材密着性及び太陽電池モジュールの薄型化への対応等、各種の要求物性を保持したまま、太陽電池モジュールとしての一体化時に発生する封止材一体型裏面保護シート特有のシワの発生を回避することができる。
封止材層11の厚さは、150μm以上400μm以下であることが好ましい。封止材層11の厚さを、150μm以上とすることで、太陽電池モジュール10に搭載される太陽電池素子4を衝撃から保護することができる。又、同厚さを400μm以下とすることで、封止材一体型裏面保護シート1の生産性を良好に維持することができる。
尚、封止材層11の厚さ300μm以下、好ましくは250μm以下とする場合には、図3のペネトレーションカーブから照射条件を決定して電離放射線の照射による架橋処理を行い、これにより各層の損失正接の値を最適化する製造方法により、封止材一体型裏面保護シート1を得ることができる。封止材層11の厚さ300μm以下である場合において、電離放射線照射の照射条件の決定方法については、電離放射線の加速電圧(kV)を200kV以上とすることが好ましい。図3に示すように、加速電圧が200kV以上であれば、照射面側の表面よりも封止材のコア層寄りの内部において吸収線量が最大となる。そのため、封止材の電離放射線の照射面側の表面は内側に比べ架橋の進行が抑制されることとなり、この表面側における柔軟性を良好に維持することができる。又、厚さが250μm以下であれば、更に、非照射面側である第2のスキン層の架橋を第1のスキン層以上に促進させて、各層の損失正接の値を、上記の通りに最適化することができる。
封止材層11を形成する封止材組成物は、ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする。このポリエチレン系樹脂として、具体的に、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度(LLDPE)等を好ましく用いることができる。中でも長期間の使用における耐加水分解性、柔軟性、透明性の観点から直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)であることが好ましく、メタロセン系直鎖低密度ポリエチレン(M-LLDPE)であることがより好ましい。
ポリエチレン系樹脂のメルトマスフローレート(MFR)は、190℃、荷重2.16kg、において1.0g/10分以上40g/10分以下であることが好ましく、2g/10分以上40g/10分以下であることが更に好ましい。MFRが上記の範囲であることにより、製膜時の加工適性を良好に維持することができる。
尚、本明細書中におけるMFRとは、特に断りのない限り、以下の方法により得られた値である。
MFR(g/10min):JIS K7210に準拠して測定。具体的には、ヒーターで加熱された円筒容器内で合成樹脂を、190℃で加熱・加圧し、容器底部に設けられた開口部(ノズル)から10分間あたりに押出された樹脂量を測定した。試験機械は押出し形プラストメータを用い、押出し荷重については2.16kgとした。
MFR(g/10min):JIS K7210に準拠して測定。具体的には、ヒーターで加熱された円筒容器内で合成樹脂を、190℃で加熱・加圧し、容器底部に設けられた開口部(ノズル)から10分間あたりに押出された樹脂量を測定した。試験機械は押出し形プラストメータを用い、押出し荷重については2.16kgとした。
ポリエチレン系樹脂としては、エチレンを重合して得られる通常のポリエチレンのみならず、α-オレフィン等のようなエチレン性の不飽和結合を有する化合物を重合して得られた樹脂、エチレン性不飽和結合を有する複数の異なる化合物を共重合させた樹脂、及びこれらの樹脂に別の化学種をグラフトして得られる変性樹脂等も用いることができる。なかでも、少なくともα-オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなるシラン変性ポリエチレン系樹脂を好ましく使用することができる。このような樹脂を使用することにより、透明前面基板や太陽電池素子等といった部材と封止材との接着性が得られる。
シラン変性ポリエチレン系樹脂は、少なくともα-オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物をコモノマーとし、必要に応じて更にその他の不飽和モノマーをコモノマーとして共重合して得られる共重合体であり、該共重合体の変性体ないし縮合体も含むものである。
シラン変性ポリエチレン系樹脂を構成するシラン共重合体としては、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、及びグラフト共重合体の何れであっても好ましく使用することができるが、グラフト共重合体であることがより好ましく、重合用ポリエチレンを主鎖とし、エチレン性不飽和シラン化合物が側鎖として重合したグラフト共重合体が更に好ましい。このようなグラフト共重合体は、接着力に寄与するシラノール基の自由度が高くなるため、太陽電池モジュールにおける他の部材への封止材の接着性を向上することができる。
シラン変性ポリエチレン系樹脂におけるエチレン性不飽和シラン化合物の含有量としては、全質量に対して、例えば、0.001質量%以上15質量%以下、好ましくは、0.01質量%以上5質量%以下、特に好ましくは、0.05質量%以上2質量%以下が望ましいものである。本実施形態において、α-オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体を構成するエチレン性不飽和シラン化合物の含有量が多い場合には、機械的強度及び耐熱性等に優れるが、含有量が過度になると、引っ張り伸び及び熱融着性等に劣る傾向にある。
封止材組成物には、必要最小限度の架橋剤を含有させてもよいが、架橋剤は添加しないことがより好ましい。有機過酸化物等の架橋剤を添加したには、太陽電池モジュールとの一体化のための熱ラミネート処理時に、デガスによる発泡等の問題が生じるリスクが高まるからである。
又、架橋助剤についても使用しないことが好ましい。ここで架橋助剤とは、例えば、多官能ビニル系モノマー及び/又は多官能エポキシ系モノマー等である。「実質的に架橋助剤を使用せず」とは、架橋効果を示さない程度の量が不純物的に含有しても本発明の範囲内であることを意味し、その量は例えば組成物中に0.01質量%未満である。
[裏面保護層]
封止材一体型裏面保護シート1を構成する裏面保護層12は、バリア性を備える樹脂からなる単層の樹脂層として形成することができる。或いは、この裏面保護層12は、バリア性を有する層を含む多層構造の樹脂積層体としても形成することもできる。
封止材一体型裏面保護シート1を構成する裏面保護層12は、バリア性を備える樹脂からなる単層の樹脂層として形成することができる。或いは、この裏面保護層12は、バリア性を有する層を含む多層構造の樹脂積層体としても形成することもできる。
裏面保護層12を形成する材料樹脂としては、従来、太陽電池モジュール用の裏面保護シートとして用いられてきた各種の樹脂を用いることができる。例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂を、裏面保護層12を形成する材料樹脂として用いることができる。これらの中でも、絶縁性能、機械強度、コスト、透明性等の物性及び経済性の観点からポリエチレンテレフタレート(PET)を好ましく用いることができる。尚、上記ポリエチレンテレフタレート(PET)の融点は260℃程度であり、その他のポリエステル系樹脂についても融点は220℃~280℃程度の範囲にある。何れも封止材層11を形成するオレフィン系樹脂よりは十分に高い融点であり、一般的な太陽電池モジュールの製造時の加熱温度(150℃以下)によっては溶融しない高融点の樹脂である。
裏面保護層12が多層構造である場合の層構成については、機械強度や水蒸気バリア性向上、及び経済性への配慮という観点から、封止材層と対向する内層側の層をPETで形成し、最外層側に露出する外層側の層22を耐加水分解性ポリエチレンテレフタレート(耐加水分解性PET)で形成し、これらの各層を、接着剤層を介して一体化した構成を特に好ましい層構成の具体例として挙げることができる。
裏面保護層12の厚さは、特に限定されないが、裏面保護層12に要求される水蒸気のバリア性等の物性を維持することできる範囲で、封止材一体型裏面保護シート1に要求される厚さを考慮して適宜決定すればよい。裏面保護層12の厚さは、25μm以上300μm以下であることが好ましく、25μm以上200μm以下であることがより好ましい。裏面保護層12の厚さが25μm以上であることにより、封止材一体型裏面保護シート1に好ましい耐久性、耐候性を付与することができる。太陽電池モジュールを薄型化する要請が存在すること、及び、経済性の観点から、裏面保護層12の厚さは300μm以下であることが好ましい。
<封止材一体型裏面保護シートの製造方法>
以上、詳細を説明した封止材一体型裏面保護シート1の製造方法は、特定の製法に限定されないが、例えば、以下に詳細を説明する製造方法によって製造することができる。
以上、詳細を説明した封止材一体型裏面保護シート1の製造方法は、特定の製法に限定されないが、例えば、以下に詳細を説明する製造方法によって製造することができる。
[材料積層体形成工程]
材料積層体形成工程は、ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする封止材組成物を溶融成形してなる封止材層11を形成する樹脂基材又は樹脂材料と、裏面保護層12を形成する樹脂基材とを積層して、これらが積層されてなる材料積層体を得る工程である。
材料積層体形成工程は、ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする封止材組成物を溶融成形してなる封止材層11を形成する樹脂基材又は樹脂材料と、裏面保護層12を形成する樹脂基材とを積層して、これらが積層されてなる材料積層体を得る工程である。
上記各樹脂基材又は樹脂材料を積層して材料積層体を得る方法は特定の方法に限定されない。例えば、予めシート化されている封止材シートと裏面保護シートとを、接着剤により接合するドライラミネーション法によることもできるし、或いは、予めシート化されている裏面保護シート上に、封止材組成物を溶融押し出しして積層する押出しコートラミネート法によることもできる。
材料積層体をドライラミネーション法により形成する場合、接着剤として電離放射線硬化型の接着剤を用いることが好ましい。電離放射線硬化型の接着剤とは、電離放射線を照射することにより、ラジカル重合を起こし三次元硬化する接着剤である。このような接着剤として、例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ロジン系アクリレート等を主剤樹脂とする各種の接着剤が挙げられる。
[架橋工程]
架橋工程とは、材料積層体形成工程で得た上記の材料積層体に、封止材層を形成する層の側から電離放射線の照射を行うことで封止材層の架橋処理を行う工程である。
架橋工程とは、材料積層体形成工程で得た上記の材料積層体に、封止材層を形成する層の側から電離放射線の照射を行うことで封止材層の架橋処理を行う工程である。
ここで、図3には、ペネトレーションカーブと呼ばれる電離放射線の照射線量(kGy)と照射対象物への電離放射線の浸透深さ(g/m2)との関係を現した理論スペクトルが示されている。図3から分かるように、吸収線量は厚み方向に沿って変化し、電離放射線照射の照射面側の表面が最も吸収線量が高くなり、厚み方向に沿って吸収線量が減衰する。本製造方法においては、このペネトレーションカーブを利用して、封止材一体型裏面保護シートの封止材層の損失正接の傾斜配分を最適化するための電離放射線照射の照射条件を決定することができる。
そして、電離放射線照射の照射線量(kGy)については、上記のペネトレーションカーブ、封止材層11を形成する樹脂の密度(g/cm3)、封止材層11の厚さ(μm)、及び、電離放射線の加速電圧(V)から、封止材の電離放射線の照射面側の反対の最表面に吸収される電離放射線の吸収線量の理論値を計算することができる。この電離放射線の照射面側の反対の最表面に吸収される電離放射線の吸収線量の理論値と、封止材層の損失正接の傾斜配分の態様には強い相関があるので、封止材一体型裏面保護シート1の製造においては、上記の吸収線料の理論値を最適化することにより、封止材一体型裏面保護シート1の品質を安定的に維持することが可能である。
<太陽電池モジュール>
図1は、封止材一体型裏面保護シート1を用いてなる太陽電池モジュール10である。太陽電池モジュール10は、同図に示す通り、透明前面基板2、前面封止材3、太陽電池素子4、封止材一体型裏面保護シート1を順次積層してから真空吸引等により一体化し、その後、ラミネーション法等の成形法により、上記の部材を一体成形体として加熱圧着成形して製造することができる。封止材一体型裏面保護シート1については、上述の通り、第1のスキン層112が、太陽電池素子4の背面側に対面する態様で積層されるようにして用いる。
図1は、封止材一体型裏面保護シート1を用いてなる太陽電池モジュール10である。太陽電池モジュール10は、同図に示す通り、透明前面基板2、前面封止材3、太陽電池素子4、封止材一体型裏面保護シート1を順次積層してから真空吸引等により一体化し、その後、ラミネーション法等の成形法により、上記の部材を一体成形体として加熱圧着成形して製造することができる。封止材一体型裏面保護シート1については、上述の通り、第1のスキン層112が、太陽電池素子4の背面側に対面する態様で積層されるようにして用いる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[封止材層の材料]
ベース樹脂1(表1中にて「PE1」と表示)
:メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M-LLDPE)。密度0.880g/cm3、融点60℃。
ベース樹脂2(表1中にて「PE2」と表示)
:メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M-LLDPE)。密度0.898g/cm3、融点90℃。
ベース樹脂3(表1中にて「PE3」と表示)
:低密度ポリエチレン(LDPE)。密度0.919g/cm3、融点106℃。
耐熱性樹脂材料(表1中にて「PP」と表示)
:ホモポリプロピレン(ホモPP)。密度0.900g/cm3、融点165℃。
密着性樹脂材料(表1中にて「PEs」と表示)
:シラン変性ポリエチレン系樹脂1(表中にて、「PS1」と表記):密度0.900g/cm3のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂100質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.15質量部とを混合し、200℃で溶融、混練して得たシラン変性ポリエチレン系樹脂。密度0.900g/cm3、融点90℃。
耐候性マスターバッチ(表1中にて「W-MB」と表示)
:密度0.898g/cm3のチーグラー直鎖状低密度ポリエチレンを粉砕したパウダー100質量部に対して、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤3.4質量部とベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤0.6質量部とヒンダードアミン系光安定化剤0.1質量部と、リン系熱安定化剤0.5質量部とを混合して溶融、加工し、ペレット化したマスターバッチ。
[裏面保護層の材料]
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム
:PETフィルム(「メリネックス」(帝人デュポン社製)厚さ188μm、密度1.40g/cm3)
ベース樹脂1(表1中にて「PE1」と表示)
:メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M-LLDPE)。密度0.880g/cm3、融点60℃。
ベース樹脂2(表1中にて「PE2」と表示)
:メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M-LLDPE)。密度0.898g/cm3、融点90℃。
ベース樹脂3(表1中にて「PE3」と表示)
:低密度ポリエチレン(LDPE)。密度0.919g/cm3、融点106℃。
耐熱性樹脂材料(表1中にて「PP」と表示)
:ホモポリプロピレン(ホモPP)。密度0.900g/cm3、融点165℃。
密着性樹脂材料(表1中にて「PEs」と表示)
:シラン変性ポリエチレン系樹脂1(表中にて、「PS1」と表記):密度0.900g/cm3のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂100質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.15質量部とを混合し、200℃で溶融、混練して得たシラン変性ポリエチレン系樹脂。密度0.900g/cm3、融点90℃。
耐候性マスターバッチ(表1中にて「W-MB」と表示)
:密度0.898g/cm3のチーグラー直鎖状低密度ポリエチレンを粉砕したパウダー100質量部に対して、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤3.4質量部とベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤0.6質量部とヒンダードアミン系光安定化剤0.1質量部と、リン系熱安定化剤0.5質量部とを混合して溶融、加工し、ペレット化したマスターバッチ。
[裏面保護層の材料]
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム
:PETフィルム(「メリネックス」(帝人デュポン社製)厚さ188μm、密度1.40g/cm3)
[製造例1:電離放射線の照射による架橋処理を行う封止材の製造]
下記の材料積層体形成工程を行う前に、予め、ベース樹脂(PE1)、密着性樹脂材料(PEs)、及び、架橋剤マスターバッチ(WrMB)を、下記表1の割合(質量部)で混合した封止材組成物を、押出し温度210℃、引き取り速度1.1m/minで押し出し成形して厚さ200μmの封止材シート1を製造した。この封止材シート1の密度は、0.880g/cm3であった。
下記の材料積層体形成工程を行う前に、予め、ベース樹脂(PE1)、密着性樹脂材料(PEs)、及び、架橋剤マスターバッチ(WrMB)を、下記表1の割合(質量部)で混合した封止材組成物を、押出し温度210℃、引き取り速度1.1m/minで押し出し成形して厚さ200μmの封止材シート1を製造した。この封止材シート1の密度は、0.880g/cm3であった。
(材料積層体形成工程)
上記の封止材シート1にウレタンアクリレート系の接着剤をグラビアコートし(塗布量:5g/m2)その上に裏面保護層を形成する上記のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを積層して、乾燥(80℃、30秒)、エージング(60℃、120時間)により一体化して材料積層体1を得た。
上記の封止材シート1にウレタンアクリレート系の接着剤をグラビアコートし(塗布量:5g/m2)その上に裏面保護層を形成する上記のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを積層して、乾燥(80℃、30秒)、エージング(60℃、120時間)により一体化して材料積層体1を得た。
(架橋工程)
更に、上記の材料積層体1に対して電離線放射線(電子線)の照射による架橋工程を行うことにより、実施例1及び比較例1の封止材一体化裏面保護シートを得た。電子線照射装置としては、「EC250/15/180L(岩崎電気株式会社製)」を用いた。加速電圧、照射強度は表2のように設定し、封止材の側から電子線を照射した。尚、表2には、封止材の厚さ(200μm)、封止材の密度(0.880g/cm3)及び電離放射線の吸収線量と浸透深さとの関係を現した理論スペクトル(ペネトレーションカーブ)から、求めた材料積層体1を構成する封止材の電離放射線の非照射面側における電離放射線の吸収線量の理論値を求めて、表2に記した。
更に、上記の材料積層体1に対して電離線放射線(電子線)の照射による架橋工程を行うことにより、実施例1及び比較例1の封止材一体化裏面保護シートを得た。電子線照射装置としては、「EC250/15/180L(岩崎電気株式会社製)」を用いた。加速電圧、照射強度は表2のように設定し、封止材の側から電子線を照射した。尚、表2には、封止材の厚さ(200μm)、封止材の密度(0.880g/cm3)及び電離放射線の吸収線量と浸透深さとの関係を現した理論スペクトル(ペネトレーションカーブ)から、求めた材料積層体1を構成する封止材の電離放射線の非照射面側における電離放射線の吸収線量の理論値を求めて、表2に記した。
[製造例2:各層毎に融点の異なる樹脂を用いた封止材の製造]
上記封止材の材料を、それぞれ表3の組成で混合したものを、実施例2、比較例2~4の各封止材シートのコア層用及びスキン層のブレンドとして、それぞれ使い分けた。そして、これらの各ブレンドを、押出し温度210℃での共押し出しによって多層シートとして成形し、第1のスキン層/コア層/第2のスキン層からなる3層構成の封止材シートとした。これらの各封止材シート(実施例2、比較例2~4)の総厚さと各層の厚さは、何れも、各スキン層50μm、コア層250μm、層厚さ350μmとした。
上記封止材の材料を、それぞれ表3の組成で混合したものを、実施例2、比較例2~4の各封止材シートのコア層用及びスキン層のブレンドとして、それぞれ使い分けた。そして、これらの各ブレンドを、押出し温度210℃での共押し出しによって多層シートとして成形し、第1のスキン層/コア層/第2のスキン層からなる3層構成の封止材シートとした。これらの各封止材シート(実施例2、比較例2~4)の総厚さと各層の厚さは、何れも、各スキン層50μm、コア層250μm、層厚さ350μmとした。
上記の各封止材シート(実施例2、比較例2~4)に、ウレタンアクリレート系の接着剤をグラビアコートし(塗布量:5g/m2)その上に裏面保護層を形成する上記のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを積層して、乾燥(80℃、30秒)、エージング(60℃、120時間)により一体化して、実施例2、比較例2~4の実施例2及び比較例2~4の封止材一体化裏面保護シートを得た。
[試験例1:各層の損失正接(tanδ)]
実施例及び比較例の各封止材一体化裏面保護シートについて、封止材層の各層毎の損失正接(tanδ)を下記の測定方法によって測定し、各層毎の損失正接(tanδ)の測定値を表2及び表3に記した。
実施例及び比較例の各封止材一体化裏面保護シートについて、封止材層の各層毎の損失正接(tanδ)を下記の測定方法によって測定し、各層毎の損失正接(tanδ)の測定値を表2及び表3に記した。
(損失正接(tanδ)測定方法)
実施例1及び比較例1については、各層を5×20mmに切り出したものを各層毎の損失正接(tanδ)測定用の試料とし、実施例2及び比較例2~4については、各封止材シートの各層と実施例同一組成、同一厚さからなり、同一成型条件で成型した単層のシートを各層毎の損失正接(tanδ)測定用の試料とし、UBM社製レオゲル・E-4000で測定を実施。引っ張りモードにて下記条件のもと測定した。
損失正接(tanδ)測定条件
:初期荷重100g、連続加振モード、波形:正弦波、周波数10hz、昇温速度3℃/min。
実施例1及び比較例1については、各層を5×20mmに切り出したものを各層毎の損失正接(tanδ)測定用の試料とし、実施例2及び比較例2~4については、各封止材シートの各層と実施例同一組成、同一厚さからなり、同一成型条件で成型した単層のシートを各層毎の損失正接(tanδ)測定用の試料とし、UBM社製レオゲル・E-4000で測定を実施。引っ張りモードにて下記条件のもと測定した。
損失正接(tanδ)測定条件
:初期荷重100g、連続加振モード、波形:正弦波、周波数10hz、昇温速度3℃/min。
[試験例2:モールディング性]
(太陽電池モジュール評価用試料の製造)
実施例、比較例の各封止材一体型裏面保護シートを用いた以下の層構成からなる積層体を真空ラミネートにより一体化して、「太陽電池モジュール評価用試料」を作成した。
(太陽電池モジュール評価用試料の層構成)
:ガラス基板(400mm×400mm、厚さ3.2mm)/前面封止材(:密度0.880g/cm3の低密度ポリエチレンフィルム、405mm×405mm、厚さ180μm)/太陽電池素子(:多結晶シリコン基板を用いて作製する結晶シリコン太陽電池素子。(Motech、IM156B3)を4(=2×2)枚配置)/封止材一体型裏面保護シート(各実施例・比較例の封止材一体型裏面保護シート、410mm×410mm)
真空ラミネートは、下記条件で行った。
(真空ラミネート条件)
(a)真空引き:6.0分
(b)加圧(0kPa~70kPa):1.5分
(c)圧力保持(70kPa):11.0分
(d)温度165℃
(モールディング性試験)
実施例、比較例の各封止材一体型裏面保護シートを用いて作成した上記の各太陽電池モジュール評価用試料について、目視により、下記の基準でモールディング性の評価を行った。結果については「モールディング性」として、表4に示す。
(評価基準)
A:封止材層(第1のスキン層)が、対面する太陽電池素子の背面側の凹凸に完全に追従。
B:封止材層(第1のスキン層)が、対面する太陽電池素子の背面側の凹凸に概ね追従。長さ0.5mm以下幅5mm以下の微細な密着不良が3か所以下で生じている。
C:封止材層(第1のスキン層)が、対面する太陽電池素子の背面側の凹凸に追従せず、長さ0.5mm以下幅5mm以下の微細な密着不良が4か所以上で観察されるか、或いは、長さ5mm又は幅5mmを超える密着不良が生じている。
(太陽電池モジュール評価用試料の製造)
実施例、比較例の各封止材一体型裏面保護シートを用いた以下の層構成からなる積層体を真空ラミネートにより一体化して、「太陽電池モジュール評価用試料」を作成した。
(太陽電池モジュール評価用試料の層構成)
:ガラス基板(400mm×400mm、厚さ3.2mm)/前面封止材(:密度0.880g/cm3の低密度ポリエチレンフィルム、405mm×405mm、厚さ180μm)/太陽電池素子(:多結晶シリコン基板を用いて作製する結晶シリコン太陽電池素子。(Motech、IM156B3)を4(=2×2)枚配置)/封止材一体型裏面保護シート(各実施例・比較例の封止材一体型裏面保護シート、410mm×410mm)
真空ラミネートは、下記条件で行った。
(真空ラミネート条件)
(a)真空引き:6.0分
(b)加圧(0kPa~70kPa):1.5分
(c)圧力保持(70kPa):11.0分
(d)温度165℃
(モールディング性試験)
実施例、比較例の各封止材一体型裏面保護シートを用いて作成した上記の各太陽電池モジュール評価用試料について、目視により、下記の基準でモールディング性の評価を行った。結果については「モールディング性」として、表4に示す。
(評価基準)
A:封止材層(第1のスキン層)が、対面する太陽電池素子の背面側の凹凸に完全に追従。
B:封止材層(第1のスキン層)が、対面する太陽電池素子の背面側の凹凸に概ね追従。長さ0.5mm以下幅5mm以下の微細な密着不良が3か所以下で生じている。
C:封止材層(第1のスキン層)が、対面する太陽電池素子の背面側の凹凸に追従せず、長さ0.5mm以下幅5mm以下の微細な密着不良が4か所以上で観察されるか、或いは、長さ5mm又は幅5mmを超える密着不良が生じている。
[試験例3:太陽電池素子保護性試験]
(太陽電池素子保護性試験)
実施例、比較例の各封止材一体型裏面保護シートを用いて作成した上記の各太陽電池モジュール評価用試料について、EL発光試験機により、下記の基準で真空ラミネート時の太陽電池素子保護性の評価を行った。結果については「太陽電池素子保護性」として、表4に示す。
(評価基準)
A:全ての太陽電池素子の全面において全く割れが生じていない。
B:一部の太陽電池素子において割れが生じているが全ての太陽電池素子において発光は確認できる。
C:一部の太陽電池素子において割れが生じ発光が確認できない。
(太陽電池素子保護性試験)
実施例、比較例の各封止材一体型裏面保護シートを用いて作成した上記の各太陽電池モジュール評価用試料について、EL発光試験機により、下記の基準で真空ラミネート時の太陽電池素子保護性の評価を行った。結果については「太陽電池素子保護性」として、表4に示す。
(評価基準)
A:全ての太陽電池素子の全面において全く割れが生じていない。
B:一部の太陽電池素子において割れが生じているが全ての太陽電池素子において発光は確認できる。
C:一部の太陽電池素子において割れが生じ発光が確認できない。
[試験例4:太陽電池モジュールの耐熱耐久性]
(耐熱耐久性試験)
JIS C8917に準拠し、試験槽内温度85℃、湿度85%の条件下で、実施例、比較例の各封止材一体型裏面保護シートについて、ヒートサイクル(H.C.)試験を行い、0時間の時点と、1500時間経過後のPmax値をそれぞれ測定し、0時間の時点のPmax値に対する1500時間経過後のPmax値の維持率を、Pmax維持率(%)として算出した。尚、Pmax値とは、太陽電池の出力が最高となる動作点での最高出力値であり、JIS-C8935-1995に基づき、環境試験前後のモジュールの発電出力を測定した。Pmax維持率(%)は、Pmax維持率=1500時間経過後のPmax値/0時間の時点のPmax値により算出し、この値について、下記の基準で評価した。結果については「モジュール耐熱耐久性」として、表4に示す。
(評価基準)
A:Pmax維持率が、95%以上
B:Pmax維持率が、90%以上95%未満
C:Pmax維持率が、90%未満
(耐熱耐久性試験)
JIS C8917に準拠し、試験槽内温度85℃、湿度85%の条件下で、実施例、比較例の各封止材一体型裏面保護シートについて、ヒートサイクル(H.C.)試験を行い、0時間の時点と、1500時間経過後のPmax値をそれぞれ測定し、0時間の時点のPmax値に対する1500時間経過後のPmax値の維持率を、Pmax維持率(%)として算出した。尚、Pmax値とは、太陽電池の出力が最高となる動作点での最高出力値であり、JIS-C8935-1995に基づき、環境試験前後のモジュールの発電出力を測定した。Pmax維持率(%)は、Pmax維持率=1500時間経過後のPmax値/0時間の時点のPmax値により算出し、この値について、下記の基準で評価した。結果については「モジュール耐熱耐久性」として、表4に示す。
(評価基準)
A:Pmax維持率が、95%以上
B:Pmax維持率が、90%以上95%未満
C:Pmax維持率が、90%未満
表4に示される試験結果より、本発明の封止材一体型裏面保護シートは、太陽電池モジュールの薄型化と製造コスト低減に寄与しうる封止材一体型裏面保護シートであって、耐熱性と太陽電池と対面する面のモールディング性とを両立させることができるものであることが分かる。
1 封止材一体型裏面保護シート
11 封止材層
111 コア層
112 第1のスキン層
113 第2のスキン層
12 裏面保護層
2 透明前面基板
3 前面封止材
4 太陽電池素子
10 太陽電池モジュール
11 封止材層
111 コア層
112 第1のスキン層
113 第2のスキン層
12 裏面保護層
2 透明前面基板
3 前面封止材
4 太陽電池素子
10 太陽電池モジュール
Claims (5)
- ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする封止材層と、
ポリエステル系樹脂層を含んでなる裏面保護層と、
が積層されてなる、太陽電池モジュール用の封止材一体型裏面保護シートであって、
前記封止材層は、
各表面からシート厚さ方向に沿ってシート総厚さの1/11の深さまでの範囲を占める部分を、それぞれ第1のスキン層及び第2のスキン層とし、厚さ方向の中心から上下にシート総厚さの3/5の範囲を占める部分をコア層とするとき、
前記第1のスキン層の90℃における損失正接が0.5以上であって、且つ、前記コア層の90℃における損失正接よりも大きく、
前記第2のスキン層の90℃における損失正接が0.5未満であって、且つ、前記コア層の90℃における損失正接よりも大きく、
前記封止材層の両スキン層のうち、前記第2のスキン層が、前記裏面保護層と対面する態様で、前記封止材層と前記裏面保護層とが積層されてなる、封止材一体型裏面保護シート。 - 前記コア層の90℃における損失正接が、0.05以上0.3以下である、請求項1に記載の封止材一体型裏面保護シート。
- 前記第1のスキン層の90℃における損失正接が0.7以上であって、
前記第2のスキン層の90℃における損失正接が0.4未満である、
請求項1又は2に記載の封止材一体型裏面保護シート。 - 請求項1から3の何れかに記載の封止材一体型裏面保護シートが、太陽電池素子の背面側に前記第1のスキン層が対面する態様で、積層されている太陽電池モジュール。
- 前記封止材層の総厚さが150μm以上300μm以下であり、
ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする封止材組成物を溶融成形してなる封止材と、裏面保護シートと、を積層して、封止材と裏面保護シートとが積層された材料積層体を得る材料積層体形成工程と、
前記材料積層体形成工程の後に、前記材料積層体に、前記封止材の側から電離放射線の照射を行うことで前記封止材の架橋処理を行う架橋工程と、を含んでなる、
請求項1から4の何れかに記載の封止材一体型裏面保護シートの製造方法。
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