JP2014237756A - 太陽電池モジュール用の封止材組成物及び封止材 - Google Patents

太陽電池モジュール用の封止材組成物及び封止材 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリエチレン系樹脂を用いた太陽電池モジュール用の封止材であって、架橋工程が不要で生産性が高く、且つ、太陽電池モジュール用の封止材に適する良好な柔軟性と、耐熱性と、を兼ね備えた封止材を提供すること。【解決手段】太陽電池モジュール用の封止材組成物を、架橋剤を含有せず、ベース樹脂(A)と、耐熱性樹脂(B)とを含み、前記ベース樹脂(A)は、融点70℃以下のポリエチレン系樹脂であり、前記耐熱性樹脂(B)は、融点125℃以上170℃以下の熱可塑性樹脂であり、前記封止材組成物中の前記耐熱性樹脂(B)の含有量が12質量%以上40質量%以下である太陽電池モジュール用の封止材組成物とする。【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池モジュール用の封止材組成物、及び太陽電池モジュール用の封止材に関する。
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリーンなエネルギー源としての太陽電池が注目されている。太陽電池を構成する太陽電池モジュールには、太陽電池素子が含まれ、この太陽電池素子が太陽光等の光エネルギーを電気エネルギーに変換する役割を担う。
太陽電池素子は、単結晶シリコン基板や多結晶シリコン基板を用いて作製することが多い。このため、太陽電池素子は、物理的衝撃に弱く、又、屋外に太陽電池モジュールを取り付けた場合に雨等からこれを保護する必要がある。又、太陽電池素子1枚では発生する電気出力が小さいため、複数の太陽電池素子を直並列に接続して、実用的な電気出力が取り出せるようにする必要がある。このため、複数の太陽電池素子を接続し、透明基板及び封止材で封入して太陽電池モジュールを作製することが通常行なわれている。一般に、太陽電池モジュールは、透明前面基板、封止材、太陽電池素子、封止材及び裏面保護シート等を順次積層し、これらを真空吸引して加熱圧着するラミネーション法等により製造される。
太陽電池モジュールに使用される封止材としては、その加工性、施工性、製造コスト、その他等の観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)が最も一般的なものとして使用されている。しかしながら、EVA樹脂は、長期間の使用に伴って徐々に分解する傾向があり、太陽電池モジュールの内部で劣化して強度が低下したり、太陽電池素子に影響を与える酢酸ガスを発生させたりする可能性がある。このため、EVA樹脂の代わりに、ポリエチレン等のポリオレフィン系の樹脂を使用した太陽電池モジュール用の封止材が提案されている(特許文献1及び2)。
ここで、一般にポリエチレン系樹脂主体の封止材においては、その密度を低密度にすることによって透明性や柔軟性を向上することができる。しかし、低密度化は、一方で耐熱性の不足という問題を引き起こす。そこで、特許文献1及び特許文献2の封止材においては、架橋剤によって耐熱性や難燃性を付与している。例えば特許文献1では1%程度の架橋剤が添加されており、特許文献2においてもゲル分率が30%以上となる量の架橋剤が添加されている。この場合、確かに耐熱性は向上するが、柔軟性の維持が困難となる。そして、成形中に架橋が進行すると製膜性が低下するため、特許文献1のように成形を低温で行なって架橋反応を成形後に再度行なう等の配慮が必要であり、生産性の面での更なる改善が強く求められていた。
特許文献3には、融点の異なる2種以上の樹脂を混合した最外層と、無機粒子等の結晶核剤を添加した封止材組成物からなる中間層と、を組合せた多層体とすることによって、架橋処理が不要でありながら、柔軟性と耐熱性を兼ね備えたものとすることを企図した太陽電池モジュール用の封止材が開示されている。
特開2000−91611号公報 特開2009−10277号公報 国際公開第2012/073971号
特許文献3に記載の封止材は、多層構造の積層体とすることを必須とし、更にそれらの各層の組合せを、特殊な構成に限定することにより、上記課題の解決を企図したものである。その最外層に用いる封止材組成物は、一般に広く流通する汎用タイプのポリエチレン樹脂とは耐熱特性の異なる特殊なエチレン−α−共重合体が選択されており、又、その中間層には結晶核剤の添加を必須としている。このように材料とその組合せ、及び、多層体としての積層構造を汎用品とは異なる特殊な範囲に限定することにより、封止材全体として、柔軟性と耐熱性のバランスを確保しているものである。
よって、特許文献3に記載の封止材は、上記課題を克服することができるとしても、それに伴う生産コストの上昇も不可避である。エネルギー問題に対する貢献を目指しての太陽電池の普及のためには、太陽電池モジュールに対するコストダウンの要請は尚強く、ポリエチレン系樹脂を用いた封止材についても、必要な物性を備えさせるだけではなく、生産性についても十分に高いものであることが強く求められている。この点、特許文献3に記載の封止材は、生産性の面で問題があり、コストダウンのための抜本的な改善策が模索されていた。
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、ポリエチレン系樹脂を用いた封止材でありながら、架橋工程が不要で生産性が高く、且つ、太陽電池モジュール用の封止材に適する良好な柔軟性と、耐熱性と、を兼ね備えた封止材を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)等の低融点のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、これに、適量の配合比で、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)等の相対的に高融点の耐熱性樹脂を添加してなる封止材組成物を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 太陽電池モジュール用の封止材組成物であって、架橋剤を含有せず、ベース樹脂(A)と、耐熱性樹脂(B)と、を含み、前記ベース樹脂(A)は、融点70℃以下のポリエチレン系樹脂であり、前記耐熱性樹脂(B)は、融点125℃以上170℃以下の熱可塑性樹脂であり、前記封止材組成物中の前記耐熱性樹脂(B)の含有量が12質量%以上40質量%以下である太陽電池モジュール用の封止材組成物。
(2) 前記ベース樹脂(A)が、密度が0.900g/cm以下のメタロセン系直鎖低密度ポリエチレンである(1)に記載の太陽電池モジュール用の封止材組成物。
(3) 前記耐熱性樹脂(B)が、密度0.930/cm以上0.970/cm以下の高密度ポリエチレン系樹脂である(1)又は(2)に記載の太陽電池モジュール用の封止材組成物。
(4) α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなる共重合体を、更に含有する(1)から(3)のいずれかに記載の太陽電池モジュール用の封止材組成物。
(5) (1)から(4)のいずれかに記載の封止材組成物を溶融成形してなる単層フィルムである太陽電池モジュール用の封止材。
(6) (5)に記載の封止材を積層してなる多層フィルムであって、最外層における前記耐熱性樹脂(B)の含有量が12質量%以上25質量%以下であり、前記最外層以外の中間層における前記耐熱性樹脂(B)の含有量が20質量%以上40質量%以下である太陽電池モジュール用の封止材。
(7) 前記多層フィルムが3層以上の層からなり、前記中間層にのみ顔料を含むことを特徴とする(6)に記載の太陽電池モジュール用の封止材。
(8) 前記耐熱性樹脂(B)の融点+30℃以上で前記溶融成形を行う(5)から(7)のいずれかに記載の太陽電池モジュール用の封止材の製造方法。
(9) (5)から(7)のいずれかに記載の太陽電池モジュール用の封止材を使用してなる太陽電池モジュール。
(10) (5)から(7)のいずれかに記載の太陽電池モジュール用の封止材が、太陽電池素子の非受光面側に配置されているに記載の太陽電池モジュール。
本発明によれば、ポリエチレン系樹脂を用いた封止材でありながら、架橋工程が不要で生産性が高く、且つ、太陽電池モジュール用の封止材に適する良好な柔軟性と、耐熱性と、を兼ね備えた封止材を提供することができる。
本発明の太陽電池モジュールの層構成の一例を示す断面図である。
<太陽電池モジュール用の封止材組成物>
本発明の太陽電池モジュール用の封止材(以下、単に、「封止材」とも言う)を製造するために用いる、本発明の太陽電池モジュール用の封止材組成物(以下、単に、「封止材組成物」とも言う)は、ベース樹脂(A)と、ベース樹脂(A)よりも融点の高い耐熱性樹脂(B)とを含んでなる組成物である。ベース樹脂(A)は、融点70℃以下の相対的に密度の低いポリエチレン系樹脂であり、その封止材組成物中の含有量は60質量%以上88質量%以下、好ましくは、70質量%以上80質量%以下である。又、耐熱性樹脂(B)は、融点125℃以上の相対的に密度が高いポリエチレン系樹脂、又は、その他の熱可塑性樹脂であり、その封止材組成物中の含有量は12質量%以上40質量%以下、好ましくは15質量%以上35質量%以下である。
上記封止材組成物は架橋剤を含有せず、封止材の成形時に架橋工程を必要としない熱可塑系の封止材組成物である。
本発明の太陽電池モジュール用の封止材は、上記封止材組成物からなる単層フィルム、或いは、上記封止材組成物からなる単層フィルムを積層してなる多層フィルムである。封止材が多層フィルムである場合、多層フィルムとして積層されるそれぞれの各単層フィルムを成形する封止材組成物は、上記のベース樹脂(A)と、耐熱性樹脂(B)との封止材組成物中の合計の含有量が75%以上である限り、各層ごとに組成や成分比の異なる封止材組成物を用いることができる。
[ベース樹脂(A)]
ベース樹脂(A)として用いる低融点のポリエチレン系樹脂としては、融点70℃以下で、密度が0.900g/cm以下、好ましくは0.870g/cm以上0.890g/cm以下の低密度ポリエチレン(LDPE)を用いることができる。又、より好ましくは、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、その密度が上記範囲にある直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いることができる。ベース樹脂(A)の種類、融点、及び密度範囲を上記範囲とすることにより、封止材に好ましい柔軟性を付与することができる。
ベース樹脂(A)としては、メタロセン系直鎖低密度ポリエチレン(M−LLDPE)を用いることが更に好ましい。M−LLDPEは、シングルサイト触媒であるメタロセン触媒を用いて合成されるものである。このようなポリエチレンは側鎖の分岐が少なく、コモノマーの分布が均一である。このため、分子量分布が狭く、上記のような超低密度にすることが可能である。又、結晶性分布が狭く、結晶サイズが揃っているので、結晶サイズの大きいものが存在しないばかりでなく、低密度であるために結晶性自体が低い。このため、シート状に加工した際の加工適性や柔軟性に優れる。
LLDPEのα−オレフィンとしては、好ましくは分枝を有しないα−オレフィンが好ましく使用され、これらの中でも、炭素数が6〜8のα−オレフィンである1−ヘキセン、1−ヘプテン又は1−オクテンが特に好ましく使用される。α−オレフィンの炭素数が6以上8以下であることにより、封止材に良好な柔軟性を付与することができるとともに良好な強度を付与することができる。その結果、封止材とその他の基材との間の密着性が高まり、封止材とその他の基材との間への水分の浸入を抑えることができる。
ベース樹脂(A)として用いるポリエチレン系樹脂のメルトマスフローレート(MFR)は、190℃、荷重2.16kg、において1.0g/10分以上40g/10分以下であることが好ましく、2g/10分以上40g/10分以下であることが更に好ましい。MFRが上記の範囲であることにより、製膜時の加工適性に優れた封止材組成物とすることができる。
本明細書中におけるMFRとは、特に断りのない限り、以下の方法により得られた値である。
MFR(g/10min):JIS K7210に準拠して測定。具体的には、ヒーターで加熱された円筒容器内で合成樹脂を、190℃で加熱・加圧し、容器底部に設けられた開口部(ノズル)から10分間あたりに押出された樹脂量を測定した。試験機械は押出し形プラストメータを用い、押出し荷重については2.16kgとした。
尚、多層フィルムである封止材については、全ての層が一体積層された多層状態のまま、上記処理による測定を行い、得た測定値を当該多層の封止材のMFR値とした。
[耐熱性樹脂(B)]
耐熱性樹脂(B)として用いる高融点の熱可塑性樹脂としては、融点125℃以上170℃以下で、密度が0.930g/cm以上0.970g/cm以下、好ましくは、0.935g/cm以上0.965g/cm以下の高密度ポリエチレン(HDPE)を用いることができる。耐熱性樹脂(B)として、上記融点、及び密度範囲にあるHDPEを、上述した通りの配合比で封止材組成物に含有させることにより、ベース樹脂(A)の有する柔軟性を保持したまま、必要な耐熱性を封止材に備えさせることができる。又、耐熱性樹脂(B)を、ベース樹脂(A)と同様にポリエチレン系樹脂とすることにより、両樹脂間の高い相溶性により、良好な成形性・分散性を得ることができる。
又、耐熱性樹脂(B)としては、上記HDPEの他にも、融点が上記と同じく125℃以上170℃以下の範囲にあるその他の熱可塑性樹脂を用いることができる。一例として、ポリプロピレン樹脂(PP)中に、エチレン−プロピレンゴム(EPDM、EPM)を微分散させた熱可塑性エラストマーであるオレフィン系エラストマー等を好ましく用いることができる。上記オレフィン系エラストマーは、ポリエチレンとは非相溶ではあるが、柔軟性が高く且つ耐熱性を有するため、封止材に好ましい柔軟性と耐熱性を付与可能である。そして、PP特有の脆化性については、ベース樹脂(A)として用いるポリエチレン系樹脂で補完できる。よって、上記オレフィン系エラストマーは、耐熱性樹脂(B)として好ましく用いることができる。
ベース樹脂(B)としてHDPEを用いる場合、ポリエチレン樹脂のメルトマスフローレート(MFR)は、190℃、荷重2.16kg、において0.1g/10分以上40g/10分以下であることが好ましく、0.1g/10分以上15g/10分以下であることが更に好ましい。ベース樹脂(B)のMFRが上記の範囲であることにより、製膜時の加工適性に優れるとともに、封止材に優れた耐熱性及びそれに基づく優れた耐久性を付与することができる封止材組成物とすることができる。
[シラン変性ポリエチレン系樹脂]
本発明の封止材組成物には、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなるシラン共重合体(以下、「シラン変性ポリエチレン樹脂」とも言う)を、上記ベース樹脂(A)及び耐熱性樹脂(B)に、更に加えて、封止材組成物に一定量含有させることが好ましい。シラン変性ポリエチレン系樹脂は、主鎖となる直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)等に、エチレン性不飽和シラン化合物を側鎖としてグラフト重合してなるものである。このようなグラフト共重合体は、接着力に寄与するシラノール基の自由度が高くなるため、太陽電池モジュールにおける他の部材への封止材の接着性を向上することができる。このシラン変性ポリエチレン系樹脂の封止材組成物中の含有量は5質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
シラン変性ポリエチレン系樹脂は、例えば、特開2003−46105号公報に記載されている方法で製造でき、当該樹脂を太陽電池モジュール用の封止材組成物の成分として使用することにより、強度、耐久性等に優れ、且つ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、その他の諸特性に優れ、更に、太陽電池モジュールを製造する加熱圧着等の製造条件に影響を受けることなく極めて優れた熱融着性を有し、安定的に、低コストで、種々の用途に適する太陽電池モジュールを製造しうる。
直鎖低密度ポリエチレンとグラフト重合させるエチレン性不飽和シラン化合物として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリペンチロキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリベンジルオキシシラン、ビニルトリメチレンジオキシシラン、ビニルトリエチレンジオキシシラン、ビニルプロピオニルオキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリカルボキシシランより選択される1種以上を使用することができる。
エチレン性不飽和シラン化合物の含量であるグラフト量は、後述するその他のポリエチレン系樹脂を含む封止材組成物中の全樹脂成分の合計100質量部に対して、例えば、0.001〜15質量部、好ましくは、0.01〜5質量部、特に好ましくは、0.05〜2質量部となるように適宜調整すればよい。本発明において、エチレン性不飽和シラン化合物の含量が多い場合には、機械的強度及び耐熱性等に優れるが、含量が過度になると、引っ張り伸び及び熱融着性等に劣る傾向にある。
[顔料]
一般的には太陽電池モジュール用の封止材は発電効率最大化の観点から高い透明性を求められる。但し、太陽電池モジュールにおいて太陽電池素子の非受光面側に配置される封止材については、必ずしも透明性は必須ではない。むしろ、モジュール内での太陽光線を拡散反射することによる発電効率の向上や、或いは、意匠性の向上を目的として、白色の封止材とすることが求められる場合がある。
上記の要請に応えるために、太陽電池モジュール用の封止材を白色の封止材とするには、従来公知の白色顔料等を封止材組成物中に添加する方法が考えられる。本発明においても顔料の添加によって白色の封止材とすることができるが、その場合に、封止材組成物に添加する白色顔料は、特に限定されず、酸化チタン、酸化亜鉛等の従来公知の白色顔料を用いることができる。一般に白色層は可視光線の領域にある太陽光について効率よく反射するため、特に太陽電池モジュールにおいて太陽電子素子の非受光面側に配置される封止材を白色封止材とすることにより、太陽電池モジュールの発電効率向上に大きく寄与することができる。又、意匠性に係る要請にも好ましい態様において応えることができる。
本発明の封止材を白色の封止材とする場合、封止材組成物に添加する白色顔料は、粒径が0.5μm以上1.5μm以下であることが好ましい。白色顔料の粒径が上記範囲にあれば、当該白色層は可視光線の領域に加えて近赤外線をも効率よく反射するため、太陽電池モジュールの発電効率向上に更に大きく寄与することができる。
粒径は、日本電子社製の透過型電子顕微鏡(JEM−1230)を用いて白色顔料の一次粒子径を写真に撮影した後、その画像をマウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(MAC−View Ver.3)にて統計処理を行い算出して得られる値を採用する。粒径の算出にあたっては体積基準の円相当径を採用する。
ここで、一般に、白色顔料の封止材組成物中への添加はその封止材の基材密着性を低下させる傾向がある。そこで、本発明の封止材組成物は、特に封止材を多層の封止材とする場合においては、複数の層のうち、特に他の基材との密着面となる最外層以外の中間層を成形する封止材組成物にのみ、必要十分な量の白色顔料を添加することによって、封止材の密着性低下を回避することができる。即ち、本発明の封止材組成物によれば、太陽電池モジュール用の封止材としての好ましい柔軟性や密着性を維持したまま、所望の程度にまで十分に着色した白色の封止材とすることができる。
[その他の成分]
本発明の封止材組成物に用いるポリエチレン系樹脂としては、上記のシラン変性ポリエチレン樹脂の他にも、エチレンを重合して得られる通常のポリエチレン樹脂のみならず、α−オレフィン等のようなエチレン性の不飽和結合を有する化合物を重合して得られた樹脂、エチレン性不飽和結合を有する複数の異なる化合物を共重合させた樹脂、及びこれらの樹脂に別の化学種をグラフトして得られる変性樹脂等を適宜用いることができる。
又、封止材組成物には、更にその他の成分を含有させることができる。例えば、本発明の太陽電池モジュール用の封止材組成物から作製された太陽電池モジュール用の封止材に耐候性を付与するための耐候性マスターバッチ、各種フィラー、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の成分が例示される。これらの含有量は、その粒子形状、密度等により異なるものではあるが、それぞれ封止材組成物中に0.001〜5質量%の範囲内であることが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、封止材組成物からなる封止材に対して、長期に亘る安定した機械強度の向上や、黄変やひび割れ等の防止効果等を付与することができる。
耐候性マスターバッチとは、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び上記の酸化防止剤等をポリエチレン等の樹脂に分散させたものであり、これを封止材組成物に添加することにより、封止材に良好な耐候性を付与することができる。耐候性マスターバッチは、適宜作製して使用してもよいし、市販品を使用してもよい。これらの光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び酸化防止剤は、それぞれ1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。尚、耐候性マスターバッチに使用されるポリエチレン等の樹脂としては、ベース樹脂(A)と同様のLLDPE等でもよく、その他の樹脂であってもよい。
更に、本発明の太陽電池モジュール用の封止材組成物に用いられる他の成分としては上記以外に、シランカップリング剤等の接着性向上剤、核剤、分散剤、レベリング剤、可塑剤、消泡剤、難燃剤等を挙げることができる。
<太陽電池モジュール用の封止材>
太陽電池モジュール用の封止材は、上記の封止材組成物を、従来公知の方法で溶融成形することにより、単層又は多層のシート状又はフィルム状としたものである。尚、本発明におけるシート状とはフィルム状も含む意味であり両者に差はない。
上記封止材のシート化は、通常の熱可塑性樹脂において通常用いられる成形法、即ち、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形、回転成形等の各種成形法により行われる。尚、封止材が多層フィルムである場合のシート化の方法としては、一例として、2種以上の溶融混練押出機による共押出により成形する方法が挙げられる。
但し、上記いずれの成形方法においても、本発明の封止材組成物を用いた封止材の製造における溶融成形温度は、当該封止材組成物に含有される耐熱性樹脂(B)の融点+30℃以上であることが好ましい。具体的には175℃から230℃の高温とすることが好ましく、190℃から210℃の範囲の高温とすることがより好ましい。本発明の封止材組成物は、架橋剤を含有しない熱可塑系の組成物であるため、溶融成形中の不都合な架橋進行の制御を考慮する必要がない。これにより、本発明の封止材の製造においては、従来一般的であった架橋処理を必須とする熱硬化型の封止材組成物を用いた場合の温度制限から解法され、生産性を向上させるために、より高い高温度域に溶融成形温度を設定することができる。これにより、本発明の封止材は、従来の熱硬化型の封止材よりも高い生産性の下で製造することができる。
本発明の封止材は、融点が特定の低融点範囲にあるベース樹脂(A)に、融点が特定の高融点範囲にある耐熱性樹脂(B)を、本願特有の配合比で含有するものとすることにより、入手容易な汎用性の高い樹脂からなるものでありながら、従来品において両立が困難であった、柔軟性と耐熱性を、太陽電池用の封止材として極めて好ましい水準において、両立させたものである。又、この封止材は、架橋処理が不要であり、且つ、入手容易な汎用性の高い樹脂によって製造可能であり、生産性向上の観点においても極めて好ましいものである。
本発明の封止材を多層の封止材とする場合においては、各層ごとの耐熱性樹脂(B)の含有量が異なる封止材とすることが好ましい。封止材は、後に説明する通り、太陽電池モジュール内において、一方の面が太陽電池素子の電極面と密着して使用されることが一般的である。その場合、封止材は、特に太陽電池素子の電極面と密着する面について、該電極面の凹凸にかかわらず高い密着性を発現可能な高いモルディング特性を有するものであることが好ましい。本発明の封止材は、単層の封止材である場合においても、好ましい柔軟性及び耐熱性を備えうるものではあるが、各層ごとの耐熱性樹脂(B)の含有量をそれぞれ最適化することによって、相対的に耐熱性樹脂(B)の含有量の少ない層を太陽電池素子の電極面と密着させて使用する側の最外層に配置することにより、封止材として好ましい耐熱性を保持しつつ、太陽電池素子との密着面におけるモルディング特性を更に高めることができる。
例えば、3層以上の層からなる多層フィルムである封止材においては、最外層の厚さは、30μm以上120μm以下であり、且つ、最外層以外の全ての層からなる中間層と最外層の厚さの比は、最外層:中間層:最外層=1:3:1〜1:8:1の範囲であることが好ましい。このようにすることにより、封止材としての好ましい耐熱性を保持しつつ、最外層における好ましいモルディング特性を備えることができ、更に製造コストも低く抑えることができる。
本発明の封止材は、上述した通り、発電効率向上や意匠性の向上を目的として白色の封止材とすることもできる。本発明の封止材組成物は、耐熱性樹脂(B)として、HDPEを用いるものであることにより、低密度のポリエチレン樹脂のみからなる封止材組成物を用いた封止材よりも、実用上支障のない範囲とは言えるが、若干、透明性が劣ることとなる傾向がある。しかし、例えば、反射効率や意匠性に優れる白色の封止材として太陽電池モジュール素子の非受光面側に配置して用いる場合においては、透明性の若干の劣化は全く問題とならない。むしろそのような場合においては、本発明の封止材は、発電効率と意匠性に優れ、且つ、柔軟性とそれに基づくモールディング特性、及び、耐熱性とそれに基づく耐久性が、従来のポリエチレン系の封止材よりも極めて高い水準で両立されているものとして、極めて好ましく用いることができる。
<太陽電池モジュール>
本発明の太陽電池モジュールの一例について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の太陽電池モジュールについて、その層構成の一例を示す断面図である。本発明の太陽電池モジュール1は、入射光の受光面側から、透明前面基板2、前面封止材層3、太陽電池素子4、背面封止材層5、及び裏面保護シート6が順に積層されている。本発明の太陽電池モジュール1は、前面封止材層3及び背面封止材層5の少なくともいずれか一方の層を本発明の封止材を用いて構成するものである。
本発明の封止材は、前面封止材層3及び背面封止材層5のいずれの層を構成する封止材として用いることができる。但し、封止材を上述した通りの態様で白色の封止材とした場合には、特に、太陽電池モジュール1において、背面封止材層5として、好ましく用いることができる。このような構成とすることにより、上述した通りの作用効果により、発電効率と意匠性を高めた太陽電池モジュール1とすることができる。
太陽電池モジュール1は、例えば、上記の透明前面基板2、前面封止材層3、太陽電池素子4、背面封止材層5、及び裏面保護シート6からなる部材を順次積層してから真空吸引等により一体化し、その後、ラミネーション法等の成形法により、上記の部材を一体成形体として加熱圧着成形して製造することができる。
又、太陽電池モジュール1は、通常の熱可塑性樹脂において通常用いられる成形法、例えば、Tダイ押出成形等により、太陽電池素子4の表面側及び裏面側のそれぞれに、前面封止材層3及び背面封止材層5を溶融積層して、太陽電池素子4を前面封止材層3及び背面封止材層5でサンドし、次いで、透明前面基板2及び裏面保護シート6を順次積層し、次いで、これらを真空吸引等により一体化して加熱圧着する方法で製造してもよい。
尚、本発明の太陽電池モジュール1において、前面封止材層3及び背面封止材層5以外の部材である透明前面基板2、太陽電池素子4及び裏面保護シート6は、従来公知の材料を特に制限なく使用することができる。又、本発明の太陽電池モジュール1は、上記部材以外の部材を含んでもよい。尚、本発明の封止材は単結晶型に限らず、薄膜型その他の全ての太陽電池モジュールに適用できる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<太陽電池モジュール用の封止材の製造>
(単層フィルム)
下記表1の組成(表1中の融点、軟化温度以外の数値の単位は、全て、質量%)の封止材組成物を混合し単層用のブレンドとした。上記ブレンドをφ30mm押出し機、200mm幅のTダイスを有するフィルム成形機を用いて、押出し温度210℃、引き取り速度1.1m/minで総厚600μmの単層の太陽電池モジュール用の封止材を作製した(実施例1〜5、比較例1〜11)。
(多層フィルム)
又、下記表2の組成(表2中の融点、軟化温度以外の数値の単位は、全て、質量%)の封止材組成物を混合し3層のフィルムを成型するための中間層用及び最外層用のブレンドとした。上記ブレンドを、それぞれ、φ30mm押出し機、200mm幅のTダイスを有するフィルム成形機を用いて、押出し温度210℃、引き取り速度1.1m/minでフィルム成型し、それらを積層して、3層の太陽電池モジュール用の封止材を作製した。この封止材の層厚は、総厚を600μmとし、最外層:中間層:最外層の厚さの比を1:5:1とした。(実施例8〜10、比較例12〜13)。
封止材組成物原料としては、以下の原料を使用した。
(ベース樹脂(A))
ベース樹脂A1(表1中で「A1」と表記):密度0.881g/cm、190℃でのMFRが3.5g/10分のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)
ベース樹脂A2(表1中で「A2」と表記):密度0.905g/cm、190℃でのMFRが3.5g/10分のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)
ベース樹脂A3(表1中で「A3」と表記):密度0.919g/cm、190℃でのMFRが2.3g/10分の低密度ポリエチレン(LDPE)
(耐熱性樹脂(B))
耐熱性樹脂B1(表1中で「B1」と表記):密度0.963g/cm、190℃でのMFRが7.0g/10分の高密度ポリエチレン(HDPE)
耐熱性樹脂B2(表1中で「B2」と表記):密度0.890g/cm、230℃でのMFRが2.5g/10分のポリプロピレン(PP)系エラストマー。(商品名:「ゼラスMC717R4」、三菱化学社製)
(シラン変性ポリエチレン系樹脂(Si樹脂))
シラン変性ポリエチレン系樹脂(Si樹脂)S1(表1中で「S1」と表記):密度0.900g/cmであり、190℃でのMFRが1.2g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)98質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.1質量部と、を混合し、200℃で溶融、混練し、密度0.903g/cm、190℃でのMFRが1.0g/10分であるシラン変性透明樹脂を得た。
(白色顔料)
酸化チタンT1(表1中で「T1」と表記):平均粒径0.3μmの酸化チタンを、密度0.900g/cmであり、190℃でのMFRが3.5g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)40質量部に対し、60質量部を混合し、200℃で溶融、混練し、ペレット状に成形したものを用いた。
(耐候性マスターバッチ)
耐候性MB1(表1中で「MB1」と表記):密度0.880g/cmのチーグラー直鎖状低密度ポリエチレンを粉砕したパウダー100質量部に対して、ベンゾフェノール系紫外線吸収剤3.8質量部とヒンダードアミン系光安定化剤5質量部と、リン系熱安定化剤0.5質量部とを混合して溶融、加工し、ペレット化したマスターバッチを得た。
上記の方法で作製した実施例、比較例の太陽電池モジュール用の封止材について、密着性、耐熱性、太陽電池素子の保護性能について評価した。その結果を表1及び2に示す。
<密着性試験>
15mm幅にカットした実施例、比較例の各封止材を、それぞれガラス基板(白板フロート半強化ガラス JPT3.2 75mm×50mm×3.2mm)上に密着させて、下記ラミネート条件で、真空加熱ラミネート処理を行い、それぞれの実施例、比較例について太陽電池モジュール評価用サンプルを得た。これらの太陽電池モジュール評価用サンプルについて、下記の「ガラス密着強度試験方法」により、ガラス密着強度を測定して密着性を評価した。
(ラミネート条件) 真空引き:5.0分
加圧(0kPa〜100kPa):1.0分
圧力保持(100kPa):10.0分
温度165℃
[ガラス密着強度試験方法]
上記太陽電池モジュール評価用サンプルにおいて、ガラス基板上に密着している封止材を、剥離試験機(テンシロン万能試験機 RTF−1150−H)にて垂直剥離(50mm/min)試験を行いガラス密着強度を測定した。それぞれの実施例及び比較例について測定結果を、以下の評価基準により評価した。評価結果を表1及び表2に「密着性」として示す。
A:40N/15mm以上
B:25N/15mm以上40N/15mm未満
C:25N/15mm未満
<耐熱性試験>
7.5×5.0cmにカットした実施例、比較例の各封止材を、ガラス基板(白板フロート半強化ガラス JPT3.2 150mm×150mm×3.2mm)上に2枚重ね置き、その上からガラス基板(白板フロート半強化ガラス JPT3.2 75mm×50mm×3.2mm)を重ね置き、上記密着性試験と同じラミネート条件で真空加熱ラミネート処理を行い、それぞれの実施例、比較例について太陽電池モジュール評価用サンプルを得た。これらの太陽電池モジュール評価用サンプルについて、下記の「ガラス密着強度試験方法」により、耐熱クリープを測定し、耐熱性を評価した。
[耐熱クリープ試験方法]
上記の太陽電池モジュール評価用サンプルを垂直に置き、130℃で12時間放置し、放置後のガラス基板(白板フロート半強化ガラス JPT3.2 75mm×50mm×3.2mm)の移動距離を計測評価した。実施例、比較例の各封止材についての測定結果を、以下の評価基準により評価した。評価結果を表1及び表2に「耐熱性」として示す。
A:1.0mm未満
B:3.0mm以上6.0mm未満
C:6.0mm以上
<太陽電池素子の保護性能(柔軟性)評価試験>
白板半強化ガラス、タブ線接着済みの太陽電池素子、太陽電池用バックシート、及び実施例、比較例の各封止材を、それぞれ白板半強化ガラス/封止材/タブ線接着済みの太陽電池素子/封止材/バックシートの順で積層し、密着性試験と同じラミネート条件で、真空加熱ラミネート処理を行い、それぞれの実施例、比較例について太陽電池モジュール評価用サンプルを得た。これらの太陽電池モジュール評価用サンプルについて、下記の「外観、及びEL発光試験方法」により、セル破損の有無を測定して太陽電池素子の保護性能(柔軟性)を評価した。評価結果を表1及び表2に「柔軟性」として示す。
[外観、及びEL発光試験方法]
上記の太陽電池モジュール評価用サンプルを目視し、太陽電池素子への破損(クラック)の有無を評価した。外観上破損のないものについては下記の「EL発光試験」を実施し、微細な破損(マイクロクラック)の有無を評価し、実施例、比較例の各封止材についての測定結果を、以下の評価基準により評価した。評価結果を表1及び表2に「柔軟性」として示す。上記の「EL発光試験」とは、太陽電池素子に順バイアス印加をかけたものと、逆バイアス印加をかけたものの発光現象を高精細カメラで撮影し、それぞれを画像解析することでセルのクラック有無を確認する試験のことを言う。
A:破損なし
B:EL発光試験上破損あり
C:外観上破損あり
Figure 2014237756
Figure 2014237756
表1及び表2から、融点の異なるポリエチレン系樹脂を本願特有の配合比で配合した本発明の封止材組成物を用いて製造した封止材は、架橋工程が不要であるため生産性が高く、且つ、太陽電池モジュール用の封止材に適する良好な柔軟性と、耐熱性と、を兼ね備えた封止材であることが分かる。
1 太陽電池モジュール
2 透明前面基板
3 前面封止材層
4 太陽電池素子
5 背面封止材層
6 裏面保護シート

Claims (10)

  1. 太陽電池モジュール用の封止材組成物であって、
    架橋剤を含有せず、ベース樹脂(A)と、耐熱性樹脂(B)と、を含み、
    前記ベース樹脂(A)は、融点70℃以下のポリエチレン系樹脂であり、
    前記耐熱性樹脂(B)は、融点125℃以上170℃以下の熱可塑性樹脂であり、
    前記封止材組成物中の前記耐熱性樹脂(B)の含有量が12質量%以上40質量%以下である太陽電池モジュール用の封止材組成物。
  2. 前記ベース樹脂(A)が、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレンである請求項1に記載の太陽電池モジュール用の封止材組成物。
  3. 前記耐熱性樹脂(B)が、密度0.930/cm以上0.970/cm以下のポリエチレンである請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール用の封止材組成物。
  4. α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなる共重合体を、更に含有する請求項1から3のいずれかに記載の太陽電池モジュール用の封止材組成物。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の封止材組成物を溶融成形してなる単層フィルムである太陽電池モジュール用の封止材。
  6. 請求項5に記載の封止材を積層してなる多層フィルムであって、
    最外層における前記耐熱性樹脂(B)の含有量が12質量%以上25質量%以下であり、前記最外層以外の中間層における前記耐熱性樹脂(B)の含有量が20質量%以上40質量%以下である太陽電池モジュール用の封止材。
  7. 前記多層フィルムが3層以上の層からなり、前記中間層にのみ顔料を含むことを特徴とする請求項6に記載の太陽電池モジュール用の封止材。
  8. 前記耐熱性樹脂(B)の融点+30℃以上で前記溶融成形を行う請求項5から7のいずれかに記載の太陽電池モジュール用の封止材の製造方法。
  9. 請求項5から7のいずれかに記載の太陽電池モジュール用の封止材を使用した太陽電池モジュール。
  10. 請求項5から7のいずれかに記載の太陽電池モジュール用の封止材が太陽電池素子の非受光面側に配置されている太陽電池モジュール。
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