JP2018060837A - 太陽電池モジュール用の封止材シート、それを用いた太陽電池モジュール、及び太陽電池モジュールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】密度が0.905g/cm3以上0.925g/cm3以下であるコア層11と、封止材シートの最表面に形成され、密度が0.875g/cm3以上0.905g/cm3以下であり、シラン変性ポリエチレン系樹脂を含有するスキン層12と、有する多層シートであって、線膨張係数の変化率がその温度の前後においてのみ局所的に増大する温度である変曲点温度が2つあり、2つの前記変曲点温度のうち低温側にある第1の変曲点温度が55℃以上70℃以下の範囲内にあり、変曲点温度のうち高温側にある第2の変曲点が80℃以上95℃以下の範囲内にある、封止材シート1とする。
【選択図】図1
Description
前記真空吸引後、加熱圧着を開始する時の前記封止材シートの樹脂温度が、前記第1の変曲点温度以上であり、前記加熱圧着を前記第2の変曲点温度以上で行う、太陽電池モジュールの製造方法。
本発明の封止材シートは、架橋処理を経ずに製造することができる熱可塑系のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とした太陽電池モジュール用の封止材シートであって、相対的に高密度密度で融点が高い層であるコア層と、封止材シートの最表面に形成される相対的に低密度で融点が低い層であるスキン層とを含んで構成される多層シートである。
MFR(g/10min):JIS K7210に準拠して測定。具体的には、ヒーターで加熱された円筒容器内で合成樹脂を、190℃で加熱・加圧し、容器底部に設けられた開口部(ノズル)から10分間あたりに押出された樹脂量を測定した。試験機械は押出し形プラストメータを用い、押出し荷重については2.16kgとした。
尚、多層の封止材シートのMFRは、全ての層が一体積層された多層状態のまま、上記処理による測定を行い、得た測定値を当該多層の封止材シートのMFRの値とした。
封止材シート1は、以下に詳細を説明する封止材組成物を溶融成形することによって製造することができる。封止材組成物は、コア層用の封止材組成物とスキン層用の封止材組成物とを、それぞれ各層毎に使い分ける。そして、これらコア層用、スキン層用の各封止材組成物により、コア層を内層とし、スキン層を最表面の層とした3層構造の多層シートを成形することにより、封止材シート1を製造することができる。
コア層用の封止材組成物は、ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、架橋剤を含有せず、封止材シートの成形時に架橋工程を必要としない熱可塑系の封止材組成物である。又、ベース樹脂とする低密度ポリエチレン系樹脂(LDPE)等の他、シラン変性ポリエチレン系樹脂等のその他の樹脂やその他の成分を、本発明の効果を阻害しない範囲において適量含有しているものであってもよい。
スキン層用の封止材組成物も、コア層用の封止材組成物同様、ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、架橋剤を含有しない熱可塑系の封止材組成物である。又、その他の成分を、本発明の効果を阻害しない範囲において適量含有しているものであってもよい点においてもコア層用の封止材組成物同様である。
封止材シート1は、各層にシラン変性ポリエチレン系樹脂が含有されていることが好ましく、更に、各層に含有されているシラン変性ポリエチレン系樹脂は、「高分子量タイプのシラン変性ポリエチレン系樹脂」ことが好ましい。
数平均分子量 Mn=Σ(MiNi)/ΣNi
重量平均分子量 Mw=Σ(Mi2Ni)/ΣMiNi
分散度 d=Mw/Mn
封止材シート1を構成するコア層用及びスキン層用の各封止材組成物、構成する封止材組成物、特には、スキン層用の封止材組成物には、適宜、密着性向上剤を添加することができる。密着性向上剤としては、公知のシランカップリング剤を用いることができるが、エポキシ基を有するシランカップリング剤(以下、「エポキシ系シランカップリング剤」とも言う。)又は、メルカプト基を有するシランカップリング(以下、「メルカプト系シランカップリング剤」とも言う。)を、特に好ましく用いることができる。
封止材シート1は、従来公知の様々な太陽電池モジュールに汎用的に用いることができる。一般に、太陽電池モジュールにおいては、太陽電池素子の両面にこれを挟んで封止する態様で封止材シートが配置されるが、封止材シート1は、太陽電池素子の両面に封止材シートとして配置することもできるし、いずれか一方の面の封止材シートのみを、封止材シート1とすることもできる。又、封止材シート1は、例えば薄膜系の太陽電池モジュール等太陽電池素子上にリード線等相対的に高さの大きい凸部が形成されている太陽電池モジュールに、特に好ましく用いることができる。
太陽電池モジュール10は、封止材シート1を含む構成部材を順次積層してから真空吸引等により一体化し、その後、ラミネーション法等の成形法により、上記の部材を一体成形体として加熱圧着成形して製造することができる。
以下において説明する封止材組成物原料を下記表1の割合(質量部)で混合し、それぞれ実施例、比較例の封止材シートのコア層用の封止材組成物及びスキン層用の封止材組成物とした。それぞれの封止材組成物をφ30mm押出し機、200mm幅のTダイを有するフィルム成形機を用いて、押出し温度210℃、引き取り速度1.1m/minでコア層用及びスキン層用とするための各樹脂シートを作製し、これらの各樹脂シートを積層して、コア層と両最表面に配置されるスキン層とを備える実施例及び比較例の3層構造の封止材シートを製造した。実施例及び比較例の各封止材シートの厚さは、いずれも、総厚さ450μmとした。実施例及び比較例の3層構造の封止材シートの各層の厚さの比については、いずれの封止材シートについてもスキン層:コア層:スキン層の厚さ比が、1:5.5:1となるようにした。
ポリエチレン系樹脂1〜4(表中にて、それぞれ「PE1〜4」」と表記)
:いずれも、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(M−LLDPE)。密度、融点、190℃でのMFRについては、それぞれ表1記載の通り。
シラン変性ポリエチレン系樹脂1(表中にて、「PS1」と表記)
:密度0.900g/cm3、MFRが2.0g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂100質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.15質量部とを混合し、200℃で溶融、混練して得たシラン変性ポリエチレン系樹脂。密度0.900g/cm3、MFR1.0g/10分。融点90℃。
シラン変性ポリエチレン系樹脂2(表中にて、「PS2」と表記)
:密度0.880g/cm3、MFRが3.5g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂100質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.15質量部とを混合し、200℃で溶融、混練して得たシラン変性ポリエチレン系樹脂。密度0.880g/cm3、MFR2.0g/10分。融点60℃。
5mm×20mmにカットした実施例及び比較例の各封止材シートについて、JIS K7197に準拠して線膨張係数を測定した。測定は、以下の測定装置及び測定条件により行った。
測定装置:セイコーインスツルメンツ製熱機械的装置(TMA/SS−6000)
定荷重引張モード:20mN、測定温度範囲:−50℃〜110℃
上記測定により得た各実施例比較例の封止材シートの線膨張ピーク温度及び線膨張収束点温度は表1に示す通りであった。尚、図5は、特に実施例1と比較例2について、上記の通り測定した線膨張係数を、樹脂温度の関数として表したグラフである。同図より、実施例1のみが、変曲点温度が2つあり、第1の変曲点温度が55℃以上70℃以下の範囲内(60℃)、にあり、第2の変曲点が80℃以上95℃以下の範囲内(83℃)にあることが分かる。
表面がフラットな白板強化ガラスの面上に、リード線(250μm径)を配置し、更に当該リード線を覆って、150mm×150mmにカットした実施例、比較例の各封止材シートを積層したものを設定温度150℃、真空吸引3分、大気圧加圧7分で真空加熱ラミネータ処理を行い、それぞれの実施例、比較例について太陽電池モジュール評価用サンプルを得た。この加熱処理中におけるラミネート中の封止材シートの樹脂温度(到達温度)は147℃であった。これらの太陽電池モジュール評価用サンプルについて、目視観察し、下記の評価基準により、モールディング特性を評価した。
(評価基準) A:封止材シートが対面する基材面の凹凸に完全に追従。空隙の形成は観察されなかった。
B:2mm2以内の気泡が5個以内観察された。
C:封止材シートの一部が対面する基材面の凹凸に完全に追従せず、リード線の近辺に一部ラミネート不良部分(空隙)が形成された。
評価結果を「モールディング特性」として表2に記す。
耐熱性試験として耐熱クリープ試験を行った。上記評価例1と同じガラス板に5cm×7.5cmに切り出した実施例、比較例の封止材シートを1枚重ね置き、その上から5cm×7.5cmの評価例1と同じガラス板を重ね置き、評価例1と同条件で真空加熱ラミネータ処理を行い評価用試料を作成した。この後、大判ガラスを垂直に置き、105℃で12時間放置し、放置後の5cm×7.5cmのガラス板の移動距離(mm)を測定し、評価した。評価は以下の基準で行った。
(評価基準) A:0.0mm以上0.5mm未満
B:0.5mm以上1.0mm未満
C:1.0mm以上
40cm×40cmの上記評価例1と同じガラス板に40cm×40cmに切り出した実施例、比較例の封止材シートを1枚重ね置き、その上から40cm×40cmの評価例1と同じガラス板を重ね置き、評価例1と同条件で真空加熱ラミネータ処理を行い評価用試料を作成した。この後、基板中央部と端部での膜厚を比較することにより、封止材シートの厚さ均一性を測定した。
測定は、株式会社ミツトヨ製「マイクロメーター」により行った。
評価は以下の基準で行った。
尚、真空吸引後加熱圧着を開始する時の封止材シートの樹脂温度は90℃であり、実施例1の封止材シートの第1の変曲点温度が(60℃)以上であり、加熱圧着温度は、第2の変曲点を上回る温度(157℃)となっていた。
(評価基準) A:最大膜厚と最小膜厚の差(レンジ)が60μm未満
B:最大膜厚と最小膜厚の差(レンジ)が60μm以上
評価結果を「均一性」として表2に記す。
11 コア層
12 スキン層
2 透明前面基板
3 太陽電池素子
31 金属電極
32 リード線
4 裏面保護基板
10 太陽電池モジュール
Claims (3)
- 太陽電池モジュール用の封止材シートであって、
ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、密度が0.905g/cm3以上0.925g/cm3以下であるコア層と、前記封止材シートの最表面に形成され、ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、密度が0.875g/cm3以上0.905g/cm3以下であり、シラン変性ポリエチレン系樹脂を含有するスキン層と、有する多層シートであって、
JIS K7197に準拠して測定した線膨張係数を、樹脂温度の関数として表した場合において、線膨張係数の変化率がその温度の前後においてのみ局所的に増大する温度である変曲点温度が2つあり、2つの前記変曲点温度のうち低温側にある第1の変曲点温度が55℃以上70℃以下の範囲内にあり、該変曲点温度のうち高温側にある第2の変曲点が80℃以上95℃以下の範囲内にある、封止材シート。 - 太陽電池モジュール用の封止材シートであって、
ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、密度が0.905g/cm3以上0.925g/cm3以下であるコア層と、
ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、密度が0.875g/cm3以上0.905g/cm3以下であり、シラン変性ポリエチレン系樹脂を含有するスキン層と、有する多層シートであって、
融点が60℃以上70℃未満の低融点樹脂成分及び融点が95℃以上110℃以下の高融点樹脂成分と、を、いずれも前記封止材シートの全樹脂成分中において25質量%以上70質量%以下含有し、前記低融点樹脂成分の融点よりも20℃以上高く、前記高融点樹脂成分の融点よりも10℃以上低い融点を有する中間融点樹脂成分を、前記封止材シートの全樹脂成分中において5質量%以上15質量%以下含有する、封止材シート。 - 請求項1又は2に記載の封止材シートを含むモジュール構成部材を真空吸引により積層した後に、これを加熱圧着する真空加熱ラミネート方法によるものであり、
前記真空吸引後、加熱圧着を開始する時の前記封止材シートの樹脂温度が、前記第1の変曲点温度以上であり、前記加熱圧着を前記第2の変曲点温度以上で行う、太陽電池モジュールの製造方法。
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