JP2018060837A - 太陽電池モジュール用の封止材シート、それを用いた太陽電池モジュール、及び太陽電池モジュールの製造方法 - Google Patents

太陽電池モジュール用の封止材シート、それを用いた太陽電池モジュール、及び太陽電池モジュールの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】架橋工程が不要で生産性が高く、且つ、耐熱性とモールディング特性に加えて、更には、太陽電池モジュールとしての一体化時において厚さムラの発生も抑制することができる太陽電池モジュール用の封止材シートを提供すること。
【解決手段】密度が0.905g/cm以上0.925g/cm以下であるコア層11と、封止材シートの最表面に形成され、密度が0.875g/cm以上0.905g/cm以下であり、シラン変性ポリエチレン系樹脂を含有するスキン層12と、有する多層シートであって、線膨張係数の変化率がその温度の前後においてのみ局所的に増大する温度である変曲点温度が2つあり、2つの前記変曲点温度のうち低温側にある第1の変曲点温度が55℃以上70℃以下の範囲内にあり、変曲点温度のうち高温側にある第2の変曲点が80℃以上95℃以下の範囲内にある、封止材シート1とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池モジュール用の封止材シート、それを用いた太陽電池モジュール、及び太陽電池モジュールの製造方法に関する。
従来、太陽電池モジュールに使用される封止材シートとしては、両面ガラス保護基板型の太陽電池モジュールも含め、加工性、施工性、製造コスト等の観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)が、主に使用されてきた。しかし、EVA樹脂は、長期間の使用に伴って徐々に分解する傾向があり、太陽電池素子に影響を与える酢酸ガスを発生させる可能性がある。このため、近年では、EVA樹脂に代えてポリエチレン系の樹脂を使用した太陽電池モジュール用の封止材シートの需要が拡大しつつある(特許文献1参照)。
一般的にポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする太陽電池モジュール用の封止材シートでは、その密度を低密度にすることによって透明性や柔軟性を向上することができる。しかし、低密度化は、一方で耐熱性の不足という問題を引き起こす。そこで、特許文献2の封止材シートにおいては、架橋剤によって耐熱性を付与している。この場合、確かに耐熱性は向上するが、長期にわたる高温下での使用に耐えうるだけの十分な耐熱性を備えさせるために必要十分な程度の架橋処理を行うと、モジュール化の際に、対面する部材の表面の凹凸への追従性(以下、「モールディング特性」と言う)が維持できなくなるという問題があった。又、架橋処理を必須とする製造工程においては、成形中に架橋が進行すると製膜性が低下するため、成形を低温で行って架橋反応を成形後に再度行う等の配慮が必要であり、生産性の面でも更なる改善が求められていた。
このような課題を解決するための試みとして、封止材シートを多層構成とし、コア層とスキン層の材料樹脂の選択や添加物、各層の融点等を個別に最適化して、耐熱性とモールディング特性の両立を実現する対処方法が研究されている(特許文献2参照)。
しかしながら、太陽電池モジュールの封止材シートの製造においては、これを多層シートした場合、コア層とスキン層とで、ベース樹脂の融点の差異が一定以上に大きくなると太陽電池モジュールとしての一体化時における加熱処理時に、封止材シートの中心付近と周辺部付近において、厚さムラが発生してしまいやすくなることが、新たな問題として認識されるに至っている。
特開2009−10277号公報 国際公開第2012/073971号
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、ポリエチレン系樹脂を用いた封止材シートでありながら、架橋工程が不要で生産性が高く、且つ、耐熱性とモールディング特性に加えて、更には、太陽電池モジュールとしての一体化時において厚さムラの発生も抑制することができる太陽電池モジュール用の封止材シートを提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、封止材シートをスキン層−コア層−スキン層の構成からなる多層シートとし、線膨張係数の樹脂温度に対する変化率が局所的に増大する変曲点温度が、それぞれの特定温度範囲内の2カ所に存在することとなるように封止材シートの組成を最適化することによって、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 太陽電池モジュール用の封止材シートであって、ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、密度が0.905g/cm以上0.925g/cm以下であるコア層と、前記封止材シートの最表面に形成され、ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、密度が0.875g/cm以上0.905g/cm以下であり、シラン変性ポリエチレン系樹脂を含有するスキン層と、有する多層シートであって、JIS K 7197に準拠して測定した線膨張係数を、樹脂温度の関数として表した場合において、線膨張係数の変化率がその温度の前後においてのみ局所的に増大する温度である変曲点温度が2つあり、2つの前記変曲点温度のうち低温側にある第1の変曲点温度が55℃以上70℃以下の範囲内にあり、該変曲点温度のうち高温側にある第2の変曲点が80℃以上95℃以下の範囲内にある、封止材シート。
(2) 太陽電池モジュール用の封止材シートであって、ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、密度が0.905g/cm以上0.925g/cm以下であるコア層と、ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、密度が0.875g/cm以上0.905g/cm以下であり、シラン変性ポリエチレン系樹脂を含有するスキン層と、有する多層シートであって、融点が60℃以上70℃未満の低融点樹脂成分及び融点が95℃以上110℃以下の高融点樹脂成分と、を、いずれも前記封止材シートの全樹脂成分中において25質量%以上70質量%以下含有し、前記低融点樹脂成分の融点よりも20℃以上高く、前記高融点樹脂成分の融点よりも10℃以上低い融点を有する中間融点樹脂成分を、前記封止材シートの全樹脂成分中において5質量%以上15質量%以下含有する、封止材シート。
(3) (1)又は(2)に記載の封止材シートを含むモジュール構成部材を真空吸引により積層した後に、これを加熱圧着する真空加熱ラミネート方法によるものであり、
前記真空吸引後、加熱圧着を開始する時の前記封止材シートの樹脂温度が、前記第1の変曲点温度以上であり、前記加熱圧着を前記第2の変曲点温度以上で行う、太陽電池モジュールの製造方法。
本発明によれば、ポリエチレン系樹脂を用いた封止材シートでありながら、架橋工程が不要で生産性が高く、且つ、耐熱性とモールディング特性に加えて、更には、太陽電池モジュールとしての一体化時において厚さムラの発生も抑制することができる太陽電池モジュール用の封止材シートを提供することができる。
本発明の封止材シートの層構成を模式的に示す断面図である。 本発明の封止材シートと、薄膜系の太陽電池素子を用いてなる太陽電池モジュールの層構成の一例を模式的に示す断面図である。 図2の部分拡大図であり、薄膜系の太陽電池モジュールに用いた場合における本発明の封止材シートのモールディング特性の説明に供する図面である。 モールディング特性に劣る従来の封止材シートを薄膜系の太陽電池モジュールに用いた、従来の太陽電池モジュールの部分拡大断面図である。 本発明の封止材シートの樹脂温度と線膨張係数との相関を示すグラフである。
以下、本発明の太陽電池モジュール用の封止材シートの製造に用いることができる封止材組成物、本発明の太陽電池モジュール用の封止材シート、及び本発明の封止材シートを用いた太陽電池モジュールについて順次説明する。
<封止材シート>
本発明の封止材シートは、架橋処理を経ずに製造することができる熱可塑系のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とした太陽電池モジュール用の封止材シートであって、相対的に高密度密度で融点が高い層であるコア層と、封止材シートの最表面に形成される相対的に低密度で融点が低い層であるスキン層とを含んで構成される多層シートである。
ここで、本明細書における融点とは、測定対象物に含まれる各成分の固有の各融点とそれらの配合比率から計算して得られる融点の平均値のことを言うものとする。
例えば、封止材シート或いはそれを構成する各樹脂層のこの定義に係る融点は、示差走査熱量測定(DSC)により測定して得ることが可能である。DSC曲線の谷のピークが複数存在する場合は、そのうちのピーク面積が最も大きいピークが示す融点のことを、当該封止材シート或いは上記各樹脂層の融点とすることができる。
又、封止材シートから上記定義による融点を特定する他の方法としては、JISK7179に準拠して測定した測定線膨張係数を、樹脂温度の関数として表した場合において、線膨張係数が増加から減少に転じる際の極大値における温度である線膨張ピーク温度を測定することにより、近似的に求める方法によることも可能である。この方法によれば、概ね2℃以内程度のバラツキの範囲内で上記定義による融点を封止材シート等の完成品から特定することができる。
この封止材シートは、図5のグラフに示す通り、JIS K 7179に準拠して測定した線膨張係数を、樹脂温度の関数として表した場合において、線膨張係数の変化率がその温度の前後においてのみ局所的に増大する温度である変曲点温度が2つあり、この2つの変曲点温度のうち低温側にある第1の変曲点温度が55℃以上70℃以下の範囲内にあり、該変曲点温度のうち高温側にある第2の変曲点が80℃以上95℃以下の範囲内にあることを特徴とするものである。
本明細書における変曲点温度とは、例えば、図5における実施例1のグラフにおける点T1、T2のように、その樹脂温度の前後で、線膨張係数の変化率が、明確に変化する点のことを言う。より詳しくは、当該樹脂温度〜当該樹脂温度+3℃程度までの間における線膨張係数の変化率が、当該樹脂温度−3℃程度〜当該樹脂温度の間における線膨張係数の変化率よりも、増大しており、その増大の割合が少なくとも1.2倍以上、好ましくは1.35倍以上である温度のことを言うものとする。
封止材シートを、上述のように、変曲点温度が特定温度範囲内に2つあるものとするためには、それぞれ本発明特有の特定融点範囲にある低融点樹脂成分と高融点樹脂成分、及び、それらの中間の融点を有する中間融点樹脂成分とを、封止材シートの全樹脂成分中に所定比で含ませることによって実現することができる。
上記の低融点樹脂成分とは融点が60℃以上70℃未満の樹脂成分のことを言い、高融点樹脂成分とは融点が95℃以上110℃以下の樹脂成分のことを言う。本発明の封止材シートはこれらの低融点樹脂成分及び高融点樹脂成分をいずれも封止材シートの全樹脂成分中25質量%以上60質量%以上含有すればよい。
上記の中間融点樹脂成分とは、上記の低融点樹脂成分の融点よりも20℃以上高く、高融点樹脂成分の融点よりも10℃以上低い融点を有する樹脂成分のことを言う。本発明の封止材シートはこの中間融点樹脂成分を封止材シートの全樹脂成分中8質量%以上15質量%以上含有すればよい。
融点の異なる各樹脂成分の含有量比を上記範囲として形成することができる封止材組成物の詳細については後述する。尚、本明細書において、封止材シートの各層を形成する樹脂の融点とは、示差走査熱量測定(DSC)により測定して得ることができる樹脂の融点のことを言う。
図1に示す通り、封止材シート1は、コア層11を有し、コア層11の両面にスキン層12が形成されている。但し、コア層が多層構造を有し当該コア層内にその他の機能層が配置されている封止材シートであっても、本発明の構成要件を備えるコア層とスキン層を備え、且つ、本発明のその他の構成要件を備える封止材シートである限り本発明の範囲内である。尚、本明細書において、スキン層とは、多層の封止材シートの両最表面側に配置される層のことを言い、コア層とは多層の封止材シートにおける上記スキン層以外の内層のことを言う。コア層自体が更に多層の内部構造を有するものであってもよいが、単層構造のコア層の両面にスキン層が積層されている3層構造の封止材シート1が本発明の代表的な実施形態であり、以下、この封止材シート1を中心に本発明の説明を行う。
コア層11とスキン層12を含む3層構造の封止材シート1の密度は、全層平均で、0.895g/cm以上0.915g/cm以下であることが好ましい。コア層11の密度は0.905g/cm以上0.925g/cm以下であればよく、0.910g/cm以上0.920g/cm以下であることが好ましい。スキン層12の密度は、0.875g/cm以上0.905g/cm以下であればよく、0.880g/cm以上0.890g/cm以下であることが好ましい。
コア層11とスキン層12を含む3層構造の封止材シート1のMFRは、全層平均で、3.0g/10min以上5.0g/10min未満であり、3.3g/10min以上3.8g/10min未満であることが好ましい。封止材シート1のMFRが、5.0g/10min未満であることにより封止材シート1の必要な耐熱性を備えさせることができ、又、同MFRが3.0g/10min以上であることにより封止材シート1の必要なモールディング特性を備えさせることができる。
尚、本明細書中におけるMFRとは、特に断りのない限り、以下の方法により得られた値である。
MFR(g/10min):JIS K7210に準拠して測定。具体的には、ヒーターで加熱された円筒容器内で合成樹脂を、190℃で加熱・加圧し、容器底部に設けられた開口部(ノズル)から10分間あたりに押出された樹脂量を測定した。試験機械は押出し形プラストメータを用い、押出し荷重については2.16kgとした。
尚、多層の封止材シートのMFRは、全ての層が一体積層された多層状態のまま、上記処理による測定を行い、得た測定値を当該多層の封止材シートのMFRの値とした。
コア層11とスキン層12を含む3層構造の封止材シート1の総厚さは250μm以上600μm以下であることが好ましく、300μm以上550μm以下であることがより好ましい。総厚さが250μm未満であると充分に衝撃を緩和することができないが、総厚さが250μm以上であれば、例えば、総厚さ250μm程度に封止材シート1を薄膜化した場合においても、モールディング特性と耐熱性とを十分に好ましい水準において兼ね備えるものとすることができる。尚、総厚さが600μmを超えた場合、それ以上の衝撃緩和効果向上の効果は得がたく、太陽電池モジュールの薄膜化の要請にも対応できず、且つ、不経済であるので好ましくない。
又、封止材シート1におけるコア層11の厚さは、200μm以上400μm以下であり、好ましくは、250μm以上350μm以下である。又、スキン層12の各層毎の厚さは、30μm以上100μm以下であり、好ましくは、35μm以上80μm以下である。又、コア層の両面に積層されている2層のスキン層12の総厚さは、封止材シート1の総厚さの1/20以上1/3以下であり、好ましくは、1/15以上1/4以下である。封止材シート1の各層の厚さをこのような範囲とすることにより、封止材シート1の耐熱性とモールディング特性を良好な範囲に保持することができる。
封止材シート1のシート化は、通常の熱可塑性樹脂において通常用いられる成形法、即ち、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形、回転成形等の各種成形法により行われる。封止材シートが多層フィルムである場合のシート化の方法の一例として、3種の溶融混練押出機による共押出により成形する方法が挙げられる。
但し、上記いずれの成形方法においても、封止材シート1の製造における溶融成形温度は、当該封止材組成物に含有されるコア層用の封止材組成物のベース樹脂の融点+30℃以上であることが好ましい。具体的には175℃から230℃の高温とすることが好ましく、190℃から210℃の範囲の高温とすることがより好ましい。封止材シート1に用いる封止材組成物は、架橋剤を含有しない熱可塑系の組成物であるため、溶融成形中の不都合な架橋進行の制御を考慮する必要がない。これにより、ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする封止材シートの製造においては、従来一般的であった架橋処理を必須とする熱硬化型の封止材組成物を用いた場合の温度制限から解法され、生産性を向上させるために、より高い高温度域に溶融成形温度を設定することができる。これにより、封止材シート1は、従来の熱硬化型の封止材シートよりも高い生産性の下で製造することができる。
<封止材組成物>
封止材シート1は、以下に詳細を説明する封止材組成物を溶融成形することによって製造することができる。封止材組成物は、コア層用の封止材組成物とスキン層用の封止材組成物とを、それぞれ各層毎に使い分ける。そして、これらコア層用、スキン層用の各封止材組成物により、コア層を内層とし、スキン層を最表面の層とした3層構造の多層シートを成形することにより、封止材シート1を製造することができる。
[コア層用の封止材組成物]
コア層用の封止材組成物は、ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、架橋剤を含有せず、封止材シートの成形時に架橋工程を必要としない熱可塑系の封止材組成物である。又、ベース樹脂とする低密度ポリエチレン系樹脂(LDPE)等の他、シラン変性ポリエチレン系樹脂等のその他の樹脂やその他の成分を、本発明の効果を阻害しない範囲において適量含有しているものであってもよい。
コア層用の封止材組成物のベース樹脂としては、低密度ポリエチレン系樹脂(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン系樹脂(LLDPE)、又はメタロセン系直鎖低密度ポリエチレン系樹脂(M−LLDPE)を好ましく用いることができる。中でも、太陽電池モジュールの長期信頼性の観点から、低密度ポリエチレン系樹脂(LDPE)をコア層用の封止材組成物として特に好ましく用いることができる。尚、本明細書において「ベース樹脂」とは、当該ベース樹脂を含有してなる樹脂組成物において、当該樹脂組成物の樹脂成分中で含有量比の最も大きい樹脂のことを言うものとする。
コア層用の封止材組成物は、上記のベース樹脂に加えて、更に、シラン変性ポリエチレン系樹脂を、所定量含有させることが好ましい。コア層用の封止材組成物においては、シラン変性ポリエチレン系樹脂は必ずしも必須の成分ではないが、コア層用の封止材組成物シラン変性ポリエチレン系樹脂を添加する場合には、これをポリスチレン換算による重量平均分子量が、70000以上、融点が90℃程度のシラン変性ポリエチレン系樹脂とし、封止材シートにおいて中間融点樹脂成分として作用させることが好ましい。
コア層用の封止材組成物の密度は、0.905g/cm以上0.925g/cm以下であり、好ましくは、0.910g/cm以上0.920g/cm以下である。コア層用の封止材組成物の密度を上記範囲とすることにより、架橋処理を経ることなく、封止材シート1において耐熱性とモールディング特性をバランスよく備えさせることができる。
コア層用の封止材組成物は、上述の高融点樹脂成分、低融点樹脂成分を必須の成分として含み、更に中間融点樹脂成分を含むことが好ましい。これらの樹脂成分の割合は特定の割合に限定されないが、スキン層も含む封止材シート1の全層において、融点の異なる上記の3種類の樹脂成分が上記の特定割合で含有されることとなるように、適宜調整すればよい。特定割合とは、上述の通り、封止材シートの全樹脂成分中において、低融点樹脂成分及び融点樹脂成分については、いずれも25質量%以上70質量%以下、中間融点樹脂成分については5質量%以上15質量%以下の割合である。
又、封止材シート全層での各樹脂成分の含有量比が上記割合となるような調整であることを前提として、コア層用の封止材組成物の融点は、70℃以上110℃以下であることが好ましく、80℃以上100℃以下であることがより好ましい。封止材シート1のコア層11の融点を上記範囲に保持することができる限りにおいて、融点の異なるポリエチレン系樹脂を適宜混合してコア層用の封止材組成物とすることができる。例えば、融点60℃、90℃、105℃の3種類のポリエチレン系樹脂を、各、15質量部、8質量部、82質量部ずつ混合してなる樹脂組成物によれば、コア層全体の融点を97℃とすることができ、このような材料樹脂の配合例を、コア層用の封止材組成物の好ましい樹脂配合例として例示することができる。
コア層用の封止材組成物の融点を上記の通り、70℃以上に保持することにより、封止材シート1に必要な耐熱性を付与することができる。又、封止材シートとしてのシート化のための溶融成形時、及び、太陽電池モジュールとしての一体化のための熱ラミネーション処理時の加熱条件との関係において、コア層用の封止材組成物の融点は一般的に110℃以下程度であればよく、封止材シート1のモールディング特性を十分に高めるためには、コア層用の封止材組成物の融点は、100℃以下であることがより好ましい。
コア層用の封止材組成物のメルトマスフローレート(MFR)は3.0g/10min以上5.0g/10min未満であればよく、その限りにおいて、MFR0.8g/10min以上5.0g/10min未満のポリエチレン系樹脂を適宜混合して用いることができる。コア層用の封止材組成物のMFRを上記範囲とすることにより、封止材シート1に耐熱性とモールディング特性とをバランスよく備えさせることができる。
[スキン層用の封止材組成物]
スキン層用の封止材組成物も、コア層用の封止材組成物同様、ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、架橋剤を含有しない熱可塑系の封止材組成物である。又、その他の成分を、本発明の効果を阻害しない範囲において適量含有しているものであってもよい点においてもコア層用の封止材組成物同様である。
スキン層用の封止材組成物のベース樹脂としては、コア層用の封止材組成物と同様に、低密度ポリエチレン系樹脂(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン系樹脂(LLDPE)、又はメタロセン系直鎖低密度ポリエチレン系樹脂(M−LLDPE)を好ましく用いることができる。中でも、モールディング特性の観点から、メタロセン系直鎖低密度ポリエチレン系樹脂(M−LLDPE)をスキン層用の組成物として特に好ましく用いることができる。
封止材シート1に用いるスキン層用の封止材組成物は、上記のベース樹脂に加えて、更に、シラン変性ポリエチレン系樹脂を含有することが好ましい。スキン層用の封止材組成物においては、シラン変性ポリエチレン系樹脂は必ずしも必須の成分ではないが、スキン層用の封止材組成物シラン変性ポリエチレン系樹脂を添加する場合には、これをポリスチレン換算による重量平均分子量が、70000以上であって、融点が90℃程度のシラン変性ポリエチレン系樹脂とし、封止材シートにおいて中間融点樹脂成分として作用させることが好ましい。
スキン層用の封止材組成物の密度は、0.880g/cm以上0.910g/cm以下であり、より好ましくは、0.899g/cm以下である。スキン層用の封止材組成物の密度を上記範囲とすることにより、封止材シート1の密着性を好ましい範囲に保持することができる。
スキン層用の封止材組成物の融点は70℃以上90℃以下であればよく、70℃以上80℃以下であることが好ましい。コア層同様にスキン層の融点を上記範囲に保持することができる限りにおいて、融点の異なるポリエチレン系樹脂を適宜混合してスキン層用の封止材組成物とすることができる。例えば、融点60℃、90℃、97℃の3種類のポリエチレン系樹脂を、各、65質量部、8質量部、20質量部ずつ混合しなる樹脂組成物によれば、コア層全体の融点を73℃とすることができるが、このような材料樹脂の配合例を、コア層用の封止材組成物の好ましい樹脂配合例として例示することができる。スキン層用の封止材組成物の融点を70℃以上とすることにより、封止材シート1に必要な耐熱性を付与することができる。又、スキン層用の封止材組成物の融点を90℃以下とすることにより、太陽電池モジュールとしての一体化時における封止材シートのモールディング特性を好ましい範囲に保持することができる。
スキン層用の封止材組成物のメルトマスフローレート(MFR)は3.0g/10min以上5.0g/10min未満であればよく、その限りにおいて、MFR0.8g/10min以上5.0g/10min未満のポリエチレン系樹脂を適宜混合して用いることができる。スキン層用の封止材組成物のMFRを上記範囲とすることにより、封止材シート1に耐熱性とモールディング特性とをバランスよく備えさせることができる。
[シラン変性ポリエチレン系樹脂]
封止材シート1は、各層にシラン変性ポリエチレン系樹脂が含有されていることが好ましく、更に、各層に含有されているシラン変性ポリエチレン系樹脂は、「高分子量タイプのシラン変性ポリエチレン系樹脂」ことが好ましい。
シラン変性ポリエチレン系樹脂とは、主鎖となる直鎖低密度ポリエチレン系樹脂(LLDPE)等に、エチレン性不飽和シラン化合物を側鎖としてグラフト重合してなるものである。又、本明細書における「シラン変性ポリエチレン系樹脂」とは、少なくともα−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物をコモノマーとし、必要に応じて更にその他の不飽和モノマーをコモノマーとして共重合して得られる共重合体であり、該共重合体の変性体ないし縮合体も含むものとする。
又、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体又はその変性ないし縮合体としては、例えば、α−オレフィンの1種ないし2種以上と、必要ならば、その他の不飽和モノマーの1種ないし2種以上とを、所望の反応容器を使用し、上記と同様に、ラジカル重合開始剤及び必要ならば連鎖移動剤の存在下で、同時に或いは段階的に重合させ、次いで、その重合によって生成するポリオレフィン系重合体に、エチレン性不飽和シラン化合物の1種ないし2種以上をグラフト共重合させ、更には、必要に応じて、その共重合体によって生成するグラフト共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させて、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体又はその変性ないし縮合体を製造することができる。
シラン変性ポリエチレン系樹脂としては、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであっても好ましく使用することができるが、グラフト共重合体であることがより好ましく、重合用ポリエチレンを主鎖とし、エチレン性不飽和シラン化合物が側鎖として重合したグラフト共重合体が更に好ましい。このようなグラフト共重合体は、接着力に寄与するシラノール基の自由度が高くなるため、太陽電池モジュールにおける他の部材、特にガラス基板等への封止材シートの密着性を向上することができる。
シラン変性ポリエチレン系樹脂を構成する際のエチレン性不飽和シラン化合物の含量としては、全共重合体質量に対して、例えば、0.001〜15質量%位、好ましくは、0.01〜5質量%位、特に好ましくは、0.05〜2質量%位が望ましいものである。α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体を構成するエチレン性不飽和シラン化合物の含量が上記範囲である場合には、特に封止材シートのガラスとの密着性が顕著に向上する。シラン化合物の含量が上記範囲を超えると、封止材シートの引っ張り伸び及び熱融着性等が劣る傾向にあるため好ましくない。
封止材シート1においては、以上説明したシラン変性ポリエチレン系樹脂の中でも、特定の分子量範囲にある「高分子量タイプのシラン変性ポリエチレン系樹脂」を、スキン層用の封止材組成物への必須の添加樹脂として用いることが好ましい。この「高分子量タイプのシラン変性ポリエチレン系樹脂」の分子量はポリスチレン換算の重量平均分子量が70000以上120000以下であり、好ましくは90000以上120000以下である。尚、シラン変性ポリエチレン系樹脂の分子量が120000を超えると、MFRが3.0g/10min以上5.0g/10min以下程度であることが好ましいものとして想定されるベース樹脂との相溶性が悪化するため好ましくない。
封止材シート1を構成する各樹脂成分の分子量の測定は、従来公知のGPC法を用いて行うことができる。尚、ポリオレフィンは常温で溶媒に溶けにくいため、トリクロロベンゼン、o-ジクロロベンゼンなどを溶媒として用い140〜150℃の高温GPCで測定することが好ましい。特に封止材シート1の場合において、スキン層12に含まれるシラン変性ポリエチレン系樹脂の分子量を測定するためには、多層シートである封止材シート1のスキン層を分離して、GPC−FTIR等により分子量測定と成分分析を組み合わせることにより、IRにより同定された成分に相当する分子量を読み取ることで、シラン変性ポリエチレン系樹脂の分子量を特定することが可能である。尚、封止材シート1のスキン層中に分子量Mi(g/mol)のポリマーがNi(個)ある場合の数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、分散度dは、それぞれ以下の式によって定義される。
数平均分子量 Mn=Σ(MiNi)/ΣNi
重量平均分子量 Mw=Σ(MiNi)/ΣMiNi
分散度 d=Mw/Mn
[その他の添加成分]
封止材シート1を構成するコア層用及びスキン層用の各封止材組成物、構成する封止材組成物、特には、スキン層用の封止材組成物には、適宜、密着性向上剤を添加することができる。密着性向上剤としては、公知のシランカップリング剤を用いることができるが、エポキシ基を有するシランカップリング剤(以下、「エポキシ系シランカップリング剤」とも言う。)又は、メルカプト基を有するシランカップリング(以下、「メルカプト系シランカップリング剤」とも言う。)を、特に好ましく用いることができる。
コア層用及びスキン層用の各封止材組成物には、更にその他の成分を含有させることができる。例えば、封止材シートに耐候性を付与するための耐候性マスターバッチ、各種フィラー、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の成分が例示される。これらの含有量は、その粒子形状、密度等により異なるものではあるが、それぞれ封止材組成物中に0.001質量%以上5質量%程度の範囲内であることが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、封止材シートに、長期に亘る安定した機械強度や、黄変やひび割れ等の防止効果等を付与することができる。
<太陽電池モジュール>
封止材シート1は、従来公知の様々な太陽電池モジュールに汎用的に用いることができる。一般に、太陽電池モジュールにおいては、太陽電池素子の両面にこれを挟んで封止する態様で封止材シートが配置されるが、封止材シート1は、太陽電池素子の両面に封止材シートとして配置することもできるし、いずれか一方の面の封止材シートのみを、封止材シート1とすることもできる。又、封止材シート1は、例えば薄膜系の太陽電池モジュール等太陽電池素子上にリード線等相対的に高さの大きい凸部が形成されている太陽電池モジュールに、特に好ましく用いることができる。
図2は、本発明の封止材シート1を用いて構成することができる薄膜系の太陽電池モジュール10について、その層構成の一例を示す断面図である。太陽電池モジュール10は、入射光の受光面側から、透明前面基板2、透明前面基板2の表面上に配置された薄膜系の太陽電池素子3、封止材シート(封止材シート1)、及び裏面保護基板4が順に積層された構成である。薄膜系の太陽電池モジュール10においては、封止材シート(封止材シート1)は、太陽電池素子3の非受光面側に積層されている。
ここで、太陽電池モジュール10においては、図3に示す通り、太陽電池素子3の非受光面側の表面上に、金属電極31や集電用のリード線32による凹凸が存在する。従来のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする封止材シートを用いた場合、架橋処理や単なる高密度化によって耐熱性を担保しようとすると、図4に示すように、モールディング特性の不足による空隙Vの形成が起こる場合があり、これが問題となっていた。
しかし、耐熱性とモールディング特性を高い水準で両立させた封止材シート1を、この凹凸面に配置した場合には、封止材シート1は、図3に示す通り、太陽電池素子3の非受光面側の表面上に存在する金属電極31や集電用のリード線32による凹凸にも十分に回り込み、上記の空隙Vの形成を防ぐことができる。つまり、封止材シート1は、太陽電池モジュール10のように太陽電池素子の表面にリード線32等の凸部によって形成される凹凸が存在する場合に、特に好ましく用いることができる。当該凹凸の凸部の厚さが、封止材シート1の厚さの50%以上90%以下である場合に、封止材シートのモールディング特性は、特によく発揮され、上記の通り、太陽電池素子の表面状の凹凸の存在に起因する空隙Vの形成を十分に防ぐことができる。
より具体的には、リード線32が厚さ(d)250μm程度以上の肉厚のリード線である場合に、封止材シート1は、従来品とは顕著に異なる特段の効果を発揮する。例えば、図5に示すように、肉厚のリード線32が配置されている場合に、従来の一般的なポリエチレン樹脂からなる封止材シート1を、当該凹凸面上に配置したとき、一般的には、封止材シート1の厚さ(d)に対するリード線32の厚さ(d)が、大凡の目安として、50%を超えた場合に、上記の空隙Vの形成が問題となることが多かった。しかし、図4に示すように、封止材シート1を、このような凹凸面に配置した場合においては、封止材シート1の厚さ(d)に対するリード線32の厚さ(d)が90%以下であれば、上記の空隙Vの形成を十分に防ぐことができる。尚、本発明においては、リード線が交差して配置されている場合等、複数のリード線が積層されている状態が存在する場合においては、積層されている部分におけるそれらの複数のリード線の厚さの合計を、上記に言うところの「リード線の厚さ」即ち「凸部の厚さ」と考えるものとする。
[太陽電池モジュールの製造方法]
太陽電池モジュール10は、封止材シート1を含む構成部材を順次積層してから真空吸引等により一体化し、その後、ラミネーション法等の成形法により、上記の部材を一体成形体として加熱圧着成形して製造することができる。
ここで上記製造方法に用いられる一般的なラミネータにおいては、この真空吸引中の加熱温度が封止材シートの中央部付近と端部付近で大きく異なり、中央部では加熱が過剰になり端部ではこれが不足する傾向がある。従来の熱可塑系の多層シートを封止材シートして用いた場合においては、これに起因して加熱圧着直前の時点での封止材シートの表面における溶融軟化の度合いも大きくばらつき、結果として加熱圧着時後の封止材シートの厚みにばらつきが生じてしまう場合があった。
封止材シート1は、高融点樹脂成分と低融点樹脂成分の混合により耐熱性とモールディング性を両立させ、更に中間融点樹脂成分を適量加えることにより、上記の封止材シート表面の溶融軟化の度合いのバラつきを軽減して、上記の封止材シートの厚さのばらつきを抑制することができるものである。
本発明の太陽電池モジュールの製造方法においては、真空吸引後、加熱圧着を開始する時の封止材シートの樹脂温度が、第1の変曲点温度以上で前記第2の変曲点温度以下となるように加熱条件を調整することにより、上記効果を享受することができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<太陽電池モジュール用の封止材シートの製造>
以下において説明する封止材組成物原料を下記表1の割合(質量部)で混合し、それぞれ実施例、比較例の封止材シートのコア層用の封止材組成物及びスキン層用の封止材組成物とした。それぞれの封止材組成物をφ30mm押出し機、200mm幅のTダイを有するフィルム成形機を用いて、押出し温度210℃、引き取り速度1.1m/minでコア層用及びスキン層用とするための各樹脂シートを作製し、これらの各樹脂シートを積層して、コア層と両最表面に配置されるスキン層とを備える実施例及び比較例の3層構造の封止材シートを製造した。実施例及び比較例の各封止材シートの厚さは、いずれも、総厚さ450μmとした。実施例及び比較例の3層構造の封止材シートの各層の厚さの比については、いずれの封止材シートについてもスキン層:コア層:スキン層の厚さ比が、1:5.5:1となるようにした。
封止材シート用の各樹脂シートを成形するための封止材組成物の材料樹脂としては、以下の原料を使用した。
ポリエチレン系樹脂1〜4(表中にて、それぞれ「PE1〜4」」と表記)
:いずれも、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(M−LLDPE)。密度、融点、190℃でのMFRについては、それぞれ表1記載の通り。
シラン変性ポリエチレン系樹脂1(表中にて、「PS1」と表記)
:密度0.900g/cm、MFRが2.0g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂100質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.15質量部とを混合し、200℃で溶融、混練して得たシラン変性ポリエチレン系樹脂。密度0.900g/cm、MFR1.0g/10分。融点90℃。
シラン変性ポリエチレン系樹脂2(表中にて、「PS2」と表記)
:密度0.880g/cm、MFRが3.5g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂100質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.15質量部とを混合し、200℃で溶融、混練して得たシラン変性ポリエチレン系樹脂。密度0.880g/cm、MFR2.0g/10分。融点60℃。
Figure 2018060837
<線膨張率の測定>
5mm×20mmにカットした実施例及び比較例の各封止材シートについて、JIS K7197に準拠して線膨張係数を測定した。測定は、以下の測定装置及び測定条件により行った。
測定装置:セイコーインスツルメンツ製熱機械的装置(TMA/SS−6000)
定荷重引張モード:20mN、測定温度範囲:−50℃〜110℃
上記測定により得た各実施例比較例の封止材シートの線膨張ピーク温度及び線膨張収束点温度は表1に示す通りであった。尚、図5は、特に実施例1と比較例2について、上記の通り測定した線膨張係数を、樹脂温度の関数として表したグラフである。同図より、実施例1のみが、変曲点温度が2つあり、第1の変曲点温度が55℃以上70℃以下の範囲内(60℃)、にあり、第2の変曲点が80℃以上95℃以下の範囲内(83℃)にあることが分かる。
<評価例1:モールディング特性>
表面がフラットな白板強化ガラスの面上に、リード線(250μm径)を配置し、更に当該リード線を覆って、150mm×150mmにカットした実施例、比較例の各封止材シートを積層したものを設定温度150℃、真空吸引3分、大気圧加圧7分で真空加熱ラミネータ処理を行い、それぞれの実施例、比較例について太陽電池モジュール評価用サンプルを得た。この加熱処理中におけるラミネート中の封止材シートの樹脂温度(到達温度)は147℃であった。これらの太陽電池モジュール評価用サンプルについて、目視観察し、下記の評価基準により、モールディング特性を評価した。
(評価基準) A:封止材シートが対面する基材面の凹凸に完全に追従。空隙の形成は観察されなかった。
B:2mm以内の気泡が5個以内観察された。
C:封止材シートの一部が対面する基材面の凹凸に完全に追従せず、リード線の近辺に一部ラミネート不良部分(空隙)が形成された。
評価結果を「モールディング特性」として表2に記す。
<評価例2:耐熱性試験>
耐熱性試験として耐熱クリープ試験を行った。上記評価例1と同じガラス板に5cm×7.5cmに切り出した実施例、比較例の封止材シートを1枚重ね置き、その上から5cm×7.5cmの評価例1と同じガラス板を重ね置き、評価例1と同条件で真空加熱ラミネータ処理を行い評価用試料を作成した。この後、大判ガラスを垂直に置き、105℃で12時間放置し、放置後の5cm×7.5cmのガラス板の移動距離(mm)を測定し、評価した。評価は以下の基準で行った。
(評価基準) A:0.0mm以上0.5mm未満
B:0.5mm以上1.0mm未満
C:1.0mm以上
<評価例3:封止材厚さの均一性>
40cm×40cmの上記評価例1と同じガラス板に40cm×40cmに切り出した実施例、比較例の封止材シートを1枚重ね置き、その上から40cm×40cmの評価例1と同じガラス板を重ね置き、評価例1と同条件で真空加熱ラミネータ処理を行い評価用試料を作成した。この後、基板中央部と端部での膜厚を比較することにより、封止材シートの厚さ均一性を測定した。
測定は、株式会社ミツトヨ製「マイクロメーター」により行った。
評価は以下の基準で行った。
尚、真空吸引後加熱圧着を開始する時の封止材シートの樹脂温度は90℃であり、実施例1の封止材シートの第1の変曲点温度が(60℃)以上であり、加熱圧着温度は、第2の変曲点を上回る温度(157℃)となっていた。
(評価基準) A:最大膜厚と最小膜厚の差(レンジ)が60μm未満
B:最大膜厚と最小膜厚の差(レンジ)が60μm以上
評価結果を「均一性」として表2に記す。
Figure 2018060837
表1、表2及び図5より、本発明の封止材シートは、ポリエチレン系樹脂を用いた封止材シートでありながら、架橋工程が不要で生産性が高く、且つ、耐熱性とモールディング特性に加えて、更には、太陽電池モジュールとしての一体化時において厚さムラの発生も抑制することができる太陽電池モジュール用の封止材シートであることが分かる。
1 封止材シート
11 コア層
12 スキン層
2 透明前面基板
3 太陽電池素子
31 金属電極
32 リード線
4 裏面保護基板
10 太陽電池モジュール

Claims (3)

  1. 太陽電池モジュール用の封止材シートであって、
    ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、密度が0.905g/cm以上0.925g/cm以下であるコア層と、前記封止材シートの最表面に形成され、ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、密度が0.875g/cm以上0.905g/cm以下であり、シラン変性ポリエチレン系樹脂を含有するスキン層と、有する多層シートであって、
    JIS K7197に準拠して測定した線膨張係数を、樹脂温度の関数として表した場合において、線膨張係数の変化率がその温度の前後においてのみ局所的に増大する温度である変曲点温度が2つあり、2つの前記変曲点温度のうち低温側にある第1の変曲点温度が55℃以上70℃以下の範囲内にあり、該変曲点温度のうち高温側にある第2の変曲点が80℃以上95℃以下の範囲内にある、封止材シート。
  2. 太陽電池モジュール用の封止材シートであって、
    ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、密度が0.905g/cm以上0.925g/cm以下であるコア層と、
    ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、密度が0.875g/cm以上0.905g/cm以下であり、シラン変性ポリエチレン系樹脂を含有するスキン層と、有する多層シートであって、
    融点が60℃以上70℃未満の低融点樹脂成分及び融点が95℃以上110℃以下の高融点樹脂成分と、を、いずれも前記封止材シートの全樹脂成分中において25質量%以上70質量%以下含有し、前記低融点樹脂成分の融点よりも20℃以上高く、前記高融点樹脂成分の融点よりも10℃以上低い融点を有する中間融点樹脂成分を、前記封止材シートの全樹脂成分中において5質量%以上15質量%以下含有する、封止材シート。
  3. 請求項1又は2に記載の封止材シートを含むモジュール構成部材を真空吸引により積層した後に、これを加熱圧着する真空加熱ラミネート方法によるものであり、
    前記真空吸引後、加熱圧着を開始する時の前記封止材シートの樹脂温度が、前記第1の変曲点温度以上であり、前記加熱圧着を前記第2の変曲点温度以上で行う、太陽電池モジュールの製造方法。
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