JP6205783B2 - 太陽電池モジュールの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はポリエチレン系の太陽電池モジュール用の封止材及びその製造方法に関する。
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリーンなエネルギー源としての太陽電池が注目されている。現在、種々の形態からなる太陽電池モジュールが開発され、提案されている。一般に太陽電池モジュールは、透明前面基板と太陽電池素子と裏面保護シートとが、太陽電池モジュール用の封止材を介して積層された構成である。
太陽電池モジュール等を構成する各部材は、常時、強い紫外線、熱線、風雨等といった過酷な環境に曝されることになる。このため、太陽電池モジュールを構成する各部材は、これらの条件において、長期間に亘る耐久性を備える必要がある。
太陽電池モジュール用の封止材として、透明性、密着性等に優れるEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)をベース樹脂としたものが従来広く用いられてきた。しかし、近年においては、EVA同等の透明性を有し、EVAに比して耐加水分解性等に優れるポリエチレン系樹脂をベース樹脂とした封止材の開発が進んでいる。
このようなポリエチレン系樹脂をベース樹脂とした封止材として、低密度ポリエチレンに太陽電池モジュールとしての一体化の際の熱ラミネート時にのみ、実質的に架橋が進行する程度の適量の架橋剤を添加した、熱硬化系のポリエチレン封止材が開示されている(特許文献1参照)。
特開2012−54521号公報
特許文献1に記載の封止材は、ポリエチレン系樹脂特有の水蒸気バリアを備えつつ、且つ、EVA以上に低温域での柔軟性を有し、高温域での耐熱性も有する。即ち、太陽電池モジュール用の封止材として極めて好ましい物性を備えるものである。
しかしながら、一方で、封止材を太陽電池モジュールの一部として一体化するための熱ラミネート時の加熱温度は、120℃〜160℃以下程度で行うことが好ましく、そのような温度条件内で、特許文献1に記載の封止材の十分な架橋を進めるためには、架橋剤の1分間半減期温度は、事実上160℃〜180℃未満の範囲に限定されていた。上記加熱温度が、120℃未満であると封止材の柔軟性が低くなって太陽電池素子の割れ等を十分に防ぎえず、又、160℃を超えると、太陽電池素子への熱的ダメージが起こるとともに、太陽電池モジュールを構成する他部材の耐熱温度を超えてしまうからである。
そして、製膜時には架橋が進行せず、熱ラミネート時には十分に架橋が進行することが必須の製造条件である特許文献1に記載の封止材においては、上記の架橋剤を用いる限りは、その製膜時の成形温度が必然的に100℃以下に限定される。このような成形温度の限定は、押出し成形時の単位時間当りの封止材組成物の吐出量、即ち、封止材の生産性の向上の面でのボトルネックとなっていた。
低密度ポリエチレンをベース樹脂とし、水蒸気バリア性、低温域での柔軟性、高温域での耐熱性を併せ持ち、太陽電池モジュール用の封止材として極めて好ましい物性を保持するものでありながら、更に高い生産性で製造可能な封止材が求められていた。
本発明の目的は、低密度ポリエチレンをベース樹脂とし、太陽電池モジュール用の封止材として求められる諸物性を高い水準で備えるものであり、且つ、更に高い生産性で製造可能な太陽電池モジュール用の封止材を提供することである。
ここで、例えば、裏面保護材にガラス等高耐熱性の部材を用いる場合や、太陽電池素子として高温成形で行われる化合物系のCISやCIGS等の素子を採用する場合等には、太陽電池モジュールとしての一体化のための熱ラミネート時の加熱温度は、必ずしも上記範囲に限定されない。少なくともこれらの場合は、165℃程度の高温で上記の熱ラミネートを行うことが可能である。更に今後の太陽電池関連技術の開発の進展によっては、上記以外にも、より高温での処理が可能となる様々なケースが発現しうる。とすれば、従来の封止材の製造に係る加熱条件は必ずしも固定的なものではない。
この点にいち早く気づいた本発明者らは、従来、太陽電池モジュール用の封止材の製造においては、用いられることのなかった、1分間半減期温度が180℃以上である高温度反応タイプの架橋剤を、敢えて採用することにより、低密度ポリエチレンをベース樹脂とし、太陽電池モジュール用の封止材として求められる諸物性を高い水準で備えるものであり、且つ、更に高い生産性で製造可能な太陽電池モジュール用の封止材を提供しうることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 太陽電池モジュール用の封止材であって、密度0.900g/cm以下の低密度ポリエチレンと、1分間半減期温度が180℃以上250℃以下の架橋剤と、を含んでなり、前記架橋剤の前記封止材中の含有量比が0.3質量%以上2.0質量%未満である封止材。
(2) 前記架橋剤の1分間半減期温度が190℃以上210℃以下である(1)に記載の封止材。
(3) 前記低密度ポリエチレンのJIS K6922−2により測定した下記に定義する安全製膜温度(℃)、荷重2.16kgにおけるメルトマスフローレート(MFR)が4.0g/10min以上10.0g/10min以下である(1)又は(2)に記載の封止材。
安全製膜温度(℃)とは、製膜対象の樹脂に含有される架橋剤の1分間半減期温度(℃)から70(℃)を引いた温度(℃)のことを言うものとする。
(4) (1)から(3)のいずれかに記載の太陽電池モジュール用の封止材の製造方法であって、密度0.900g/cm以下の低密度ポリエチレンと、1分間半減期温度が180℃以上250℃以下の架橋剤と、を含んでなる封止材組成物を、加熱成形する製膜工程を備え、前記架橋剤の封止材中組成物中の含有量比が、0.3質量部以上1.0質量部未満であり、前記製膜工程は、前記加熱成形を下記の加熱条件で行うことを特徴とする太陽電池モジュール用の封止材の製造方法。
加熱条件:加熱成形中の前記封止材組成物の樹脂温度が、前記架橋剤の1分間半減期温度未満であり、且つ、100℃以上130℃以下の温度範囲にあること。
(5) 前記製膜工程後の前記低密度ポリエチレンの前記安全製膜温度(℃)、荷重2.16kgにおけるメルトマスフローレート(MFR)が4.0g/10min以上10.0g/10min以下であることを特徴とする(4)に記載の太陽電池モジュール用の封止材の製造方法。
(6) (1)から(3)のいずれかに記載の太陽電池モジュール用の封止材と、その他の太陽電池モジュール構成部材とを、加熱圧着処理により積層一体化する一体化工程を備え、前記加熱圧着処理を下記の加熱条件で行うことを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
加熱条件:加熱圧着処理を行っている間の前記封止材の樹脂温度が165℃以上200℃以下であること。
本発明の太陽電池モジュール用の封止材及び封止材の製造方法によれば、低密度ポリエチレンをベース樹脂とし、太陽電池モジュール用の封止材として求められる諸物性を高い水準で備えるものであり、且つ、更に高い生産性で製造可能な太陽電池モジュール用の封止材を提供することができる。
本発明の封止材を用いた太陽電池モジュールについて、その層構成の一例を示す断面図である。
以下、本発明に係る太陽電池モジュール用の封止材組成物、太陽電池モジュール用の封止材とその製造方法、及び、太陽電池モジュールとその製造方法の順に詳細に説明する。
<封止材組成物>
本発明の太陽電池モジュール用の封止材の製造に用いる封止材組成物(以下、単に「封止材組成物」とも言う)は、低密度ポリエチレン樹脂をベース樹脂とし、且つ、1分間半減期温度が所定の高温度範囲にある架橋剤を含有するものである。この封止材組成物を用いて、所定の高温度範囲の加熱条件下で封止材を製膜することにより、本発明の封止材を、同等の物性を有する従来品よりも高い生産性で製造することができる。
封止材組成物は、密度が0.900g/cm以下の低密度ポリエチレンと、1分間半減期温度が180℃以上250℃以下である架橋剤と、を必須成分として含有する。以下、上記必須成分について説明した後、その他の樹脂、その他の成分について説明する。
[低密度ポリエチレン]
封止材組成物は、密度が0.900g/cm以下の低密度ポリエチレン(LDPE)、好ましくは直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)をベース樹脂として用いる。直鎖低密度ポリエチレンはエチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、その密度が0.900g/cm以下の範囲内、好ましくは0.890g/cm以下の範囲内、より好ましくは0.870g/cm以上0.885g/cm以下の範囲である。この範囲であれば、製膜時の加工適性を維持しつつ良好な柔軟性と透明性を付与することができる。
又、ベース樹脂として用いるポリエチレン系樹脂の、JIS K6922−2により測定した190℃、荷重2.16kgにおけるメルトマスフローレート(MFR)は、190℃において、20.0g/10分以上40.0g/10分以下である。架橋剤の1分間半減期温度を特有の高温度範囲に限定し、製膜時には架橋を進行させないことを特徴とする本発明の封止材においては、ベース樹脂のMFRが20.0g/10分以上であることによって、太陽電池モジュールとしてのモジュール化時、及び使用時において十分な柔軟性を有することができる。又、同MFRが40.0g/10分以下であることにより、太陽電池モジュールとしての使用時において十分な耐熱性を有することができる。尚、本明細書におけるメルトマスフローレート(MFR)とは、特に別途の断りのない限り、上記の通り、JIS K6922−2により測定した190℃、荷重2.16kgにおけるメルトマスフローレート(MFR)の値のことを言うものとする。但し、後に述べる架橋剤を含有する封止材のMFRについては、この限りではなく、架橋剤が反応を開始しない範囲の温度におけるMFRを別途定義する。
封止材組成物のベース樹脂として用いる上記のポリエチレン樹脂は、メタロセン系直鎖低密度ポリエチレンであることがより好ましい。メタロセン系直鎖低密度ポリエチレンは、シングルサイト触媒であるメタロセン触媒を用いて合成されるものである。このようなポリエチレンは、側鎖の分岐が少なく、コモノマーの分布が均一である。このため、上記ポリエチレンは、分子量分布が狭く、上記のような超低密度にすることが可能であり封止材に対して柔軟性を付与できる。又、上記ポリエチレンの採用により、柔軟性が付与される結果、封止材と透明前面基板との密着性、封止材と裏面保護シートとの密着性等の封止材と基材との密着性が高まる。
又、メタロセン系直鎖低密度ポリエチレンは、結晶性分布が狭く、結晶サイズが揃っているので、結晶サイズの大きいものが存在しないばかりでなく、低密度であるために結晶性自体が低い。このため、シート状に加工した際の透明性に優れる。したがって、本発明の封止材組成物からなる封止材が透明前面基板と太陽電池素子との間に配置されても発電効率はほとんど低下しない。
直鎖低密度ポリエチレンのα−オレフィンとしては、好ましくは分枝を有しないα−オレフィンが好ましく使用され、これらの中でも、炭素数が6〜8のα−オレフィンである1−ヘキセン、1−ヘプテン又は1−オクテンが特に好ましく使用される。α−オレフィンの炭素数が6以上8以下であることにより、太陽電池モジュール用封止材に良好な柔軟性を付与することができるとともに良好な強度を付与することができる。その結果、封止材と基材との密着性が更に高まり、上記水分の浸入の問題を抑えることができる。
又、メタロセン系直鎖低密度ポリエチレンは、結晶性分布が狭く、結晶サイズが揃っているので、結晶サイズの大きいものが存在しないばかりでなく、低密度であるために結晶性自体が低い。このため、シート状に加工した際の透明性に優れる。したがって、特に、本発明の封止材組成物からなる封止材を特に透明前面基板と太陽電池素子との間に配置する場合に、メタロセン系直鎖低密度ポリエチレンの採用により、太陽電池モジュールの発電効率の向上に寄与することができる。
又、LLDPEのα−オレフィンとしては、好ましくは分枝を有しないα−オレフィンが好ましく使用され、これらの中でも、炭素数が6〜8のα−オレフィンである1−ヘキセン、1−ヘプテン又は1−オクテンが特に好ましく使用される。α−オレフィンの炭素数が6以上8以下であることにより、封止材に良好な柔軟性を付与することができるとともに良好な強度を付与することができる。その結果、封止材と基材との密着性が更に高まる。
封止材組成物を構成する低密度ポリエチレンには、更に、シラン変性ポリエチレン系樹脂を含有させてもよい。シラン変性ポリエチレン系樹脂は、主鎖となる直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)等に、エチレン性不飽和シラン化合物を側鎖としてグラフト重合してなるものである。このようなグラフト共重合体は、接着力に寄与するシラノール基の自由度が高くなるため、太陽電池モジュールにおける他の部材への封止材の接着性を向上することができる。
シラン変性ポリエチレン系樹脂は、例えば、特開2003−46105号公報に記載されている方法で製造でき、当該樹脂を太陽電池モジュール用封止材組成物の成分として使用することにより、強度、耐久性等に優れ、且つ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、その他の諸特性に優れ、更に、太陽電池モジュールを製造する加熱圧着等の製造条件に影響を受けることなく極めて優れた熱融着性を有し、安定的に、低コストで、種々の用途に適する太陽電池モジュールを製造しうる。
直鎖低密度ポリエチレンとグラフト重合させるエチレン性不飽和シラン化合物として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリペンチロキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリベンジルオキシシラン、ビニルトリメチレンジオキシシラン、ビニルトリエチレンジオキシシラン、ビニルプロピオニルオキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリカルボキシシランより選択される1種以上を使用することができる。
エチレン性不飽和シラン化合物の含量であるグラフト量は、後述するその他のポリエチレン系樹脂を含む封止材組成物中の全樹脂成分の合計100質量部に対して、例えば、0.001〜15質量部、好ましくは、0.01〜5質量部、特に好ましくは、0.05〜2質量部となるように適宜調整すればよい。本発明において、エチレン性不飽和シラン化合物の含量が多い場合には、機械的強度及び耐熱性等に優れるが、含量が過度になると、引っ張り伸び及び熱融着性等に劣る傾向にある。
封止材組成物に含まれる上記の密度が0.900g/cm以下のポリエチレンの含有量は、封止材組成物中の全樹脂成分の合計100質量部に対して、好ましくは10質量部以上100質量部以下、より好ましくは50質量部以上100質量部以下であり、更に好ましくは90質量部以上100質量部以下である。封止材の密度が0.900g/cm以下となる範囲内であれば他の樹脂を含んでいてもよい。これらは、例えば添加用樹脂として用いてもよく、後述のその他の成分をマスターバッチ化するために使用してもよい。
[架橋剤]
本発明においては、1分間半減期温度が180℃以上250℃以下、好ましくは、190℃以上210℃以下である架橋剤を用いる。1分間半減期温度を180℃以上とすることで、ベース樹脂の低密度ポリエチレンの製膜時の架橋の進行開始を十分に防ぐことができる。又、架橋剤の上限温度については、ベース樹脂の酸化劣化の観点から250℃程度である。
尚、太陽電池モジュールとしての一体化のための熱ラミネート工程内での架橋処理が必須である従来の熱硬化系の封止材の場合には、使用可能な架橋剤の1分間半減期温度の上限は、熱ラミネート工程での加熱温度及び加熱時間の条件に制約されるため180℃未満のものに事実上限定されていた。一方、本発明の封止材は、上記段落0012に記した具体例への適用と、近い将来に起こりえる様々な技術変化への対応として、太陽電池の封止材用としては、従来、全く使用されることのなかった1分間半減期温度が180度以上の架橋剤を敢えて選択するものである。
1分間半減期温度が180℃以上250℃以下である架橋剤の具体例として、例えば、2,5−ジメチル−2,5ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3,−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等を挙げることができる。
架橋剤の封止材組成物中における含有量比は、0.3質量%以上2.0質量%未満であり、より好ましくは、0.5質量%以上1.2質量%未満である。1分間半減期温度が180度以上である架橋剤の封止材組成物中の含有量比を0.3質量%以上とすることにより、165℃〜200℃で熱ラミネート処理を行う本発明の太陽電池モジュールの製造方法において、熱ラミネートによるモジュール化時に十分に架橋を進行させて、太陽電池モジュールとしての使用時において優れた耐熱性を有する封止材とすることができる。又、架橋剤の封止材組成物中の含有量比を2.0質量%未満とすることによって、100℃〜120℃程度の高温度での押出し成形を行っても、押出し成形中の封止材組成物の架橋の進行開始を防ぐことができ、これにより封止材組成物の押出し形成時の単位時間当りの吐出量の十分な増大が可能となる。尚、本発明の封止材は、製膜時には架橋が進行しないため、上記の封止材組成物中の架橋剤は、上記と同一の含有量比で、製膜後、モジュール化前の本発明の封止材中にも残存する。
[架橋助剤]
本発明の封止材組成物においては、架橋助剤は必須の構成要素ではないが、必要に応じて適宜使用することができる。ここで架橋助剤とは、例えば、多官能ビニル系モノマー及び/又は多官能エポキシ系モノマー等であり、具体的には、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート等のポリアリル化合物、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート等のポリ(メタ)アクリロキシ化合物、二重結合とエポキシ基を含むグリシジルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル及びエポキシ基を2つ以上含有する1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物を挙げることができる。
架橋助剤を使用する場合には、上記のなかでも、低密度ポリエチレンに対する相溶性が良好で、架橋によって結晶性を低下させ透明性を維持し、低温での柔軟性を付与する観点からTAICが好ましく使用できる。又、シランカップリング剤との反応性の観点から1,6−ヘキサンジオールジアクリレートも好ましく使用することができる。又、封止材組成物への架橋助剤の適量添加は、直鎖低密度ポリエチレンの結晶性を低下させ、より高い透明性を維持することもできる。
[その他の成分]
封止材組成物には、更にその他の成分を含有させることができる。例えば、本発明の封止材組成物から作製された太陽電池モジュール用の封止材に耐候性を付与するための耐候性マスターバッチ、各種フィラー、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の成分が例示される。これらの含有量は、その粒子形状、密度等により異なるものではあるが、それぞれ封止材組成物中に0.001〜5質量%の範囲内であることが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、太陽電池モジュール用封止材組成物に対して、長期に亘って安定した機械強度や、黄変やひび割れ等の防止効果等を付与することができる。
耐候性マスターバッチとは、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び上記の酸化防止剤等をポリエチレン等の樹脂に分散させたものであり、これを封止材組成物に添加することにより、太陽電池モジュール用の封止材に良好な耐候性を付与することができる。耐候性マスターバッチは、適宜作製して使用してもよいし、市販品を使用してもよい。耐候性マスターバッチに使用される樹脂としては、本発明に用いる直鎖低密度ポリエチレンでもよく、上記のその他の樹脂であってもよい。
尚、これらの光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び酸化防止剤は、それぞれ1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
更に、本発明の封止材組成物に用いられる他の成分としては上記以外に、シランカップリング剤等の接着性向上剤、核剤、分散剤、レベリング剤、可塑剤、消泡剤、難燃剤等を挙げることができる。
<封止材>
本発明の封止材(以下、単に「封止材」とも言う)は、上記の封止材組成物を、下記に詳細を説明する本発明の製造方法で、シート状又はフィルム状に製膜することにより得ることができる。
製膜後、モジュール化前の封止材の、JIS K6922−2に準じて測定した100℃、荷重2.16kgにおけるメルトマスフローレート(MFR)は、1.3g/10分以上3.8g/10分以下であることが好ましい。架橋剤の1分間半減期温度を特有の高温度範囲に限定し、製膜時には架橋を進行させないことを特徴とする本発明の封止材においては、封止材の上記MFRが1.3g/10分以上であることによって、太陽電池モジュールとしてのモジュール化時、及び使用時において十分な柔軟性を有することができる。又、同MFRが3.8g/10分以下であることにより、太陽電池モジュールとしての使用時において十分な耐熱性を有することができる。
又、製膜後、モジュール化前の封止材の、JIS K6922−2に準じて測定した安全製膜温度(℃)、荷重2.16kgにおけるメルトマスフローレート(MFR)は、4.0g/10分以上10.0g/10分以下であることが好ましい。ここで、本明細書における「安全製膜温度」とは、製膜対象の樹脂に含有される架橋剤の1分間半減期温度(℃)から70℃を引いた温度のことを言うものとする。例えば、架橋剤の1分間半減期温度が200℃である場合には、この安全製膜温度は、200(℃)−70(℃)=130(℃)である。この安全製膜温度は、製膜温度がこの温度以下であることによって、製膜時の架橋開始による製膜不良をほぼ確実に避けることができるという意味で、操業時の製膜温度の上限値を設定する指標となる温度である。このような安全製膜温度におけるMFRを高く保つことによって封止材の生産性を高めることができる。具体的には、このMFRを4.0g/10分以上10.0g/10分以下の範囲となるように、各製造条件を調整することによって、封止材の生産性を極めて好ましい範囲にまで高めることができる。
製膜後、モジュール化前の封止材の数平均分子量は、ポリスチレン換算で3万以上9万以下であること好ましく、より好ましくは3万以上7万以下である。これにより、特に低温領域における柔軟性をEVA以上に維持できる。数平均分子量が3万未満であると封止材としての製膜が困難となるので好ましくなく、9万を超えると製膜時の製膜適性とモジュール化時の架橋速度が低下するので好ましくない。尚、数平均分子量の測定は、THF等の溶媒に溶解して、従来公知のGPC法により測定することができる。
製膜後、モジュール化前の封止材のゲル分率は0%である。尚、本明細書において、ゲル分率(%)とは、封止材0.1gを樹脂メッシュに入れ、60℃トルエンにて4時間抽出したのち、樹脂メッシュごと取出し乾燥処理後秤量し、抽出前後の質量比較を行い残留不溶分の質量%を測定しこれをゲル分率としたものである。ゲル分率0%とは、上記残留不溶分が実質的に0であり、封止材組成物の架橋反応が実質的に開始していない状態であることを言う。より具体的には、本発明における「ゲル分率0%」とは、上記残留不溶分が全く存在しない場合、及び、精密天秤によって測定した上記残留不溶分の質量%が0.05質量%未満である場合を言うものとする。このように本発明の封止材は、モジュール化前の封止材のゲル分率が0%であることにより、押出し機に何らの負担をかけることなく、良好な製膜状態を保ったまま、製膜時の樹脂温度の上限を従来よりも高くすることができる。よって、封止材の生産性の向上に寄与することができるものである。
[封止材の製造方法]
本発明の封止材の製造方法は、上記の封止材組成物を、通常の熱硬化性樹脂において通常用いられる成形法、即ち、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形、回転成形等の各種成形法により製膜(シート化)することにより行われる。尚、封止材が多層フィルムである場合のシート化の方法としては、一例として、2種以上の溶融混練押出機による共押出により成形する方法が挙げられる。
(製膜工程)
本発明の製造方法においては、封止材の製膜工程における加熱成形を以下の加熱条件の下で行う。即ち、加熱成形中の封止材組成物の樹脂温度が、使用する架橋剤の1分間半減期温度未満であり、且つ、100℃以上130℃以下の温度範囲にあるように加熱条件を調整して製膜工程を行う。尚、ここで、本明細書における「加熱成形中の封止材組成物の樹脂温度」とは、押し出し機の成形部分における樹脂温度のことを言うものとする。又、上記成形部分とは、例えばTダイ押し出し機におけるダイス部分のことを言う。尚、このような樹脂温度は、加熱時の封止材の上面部に温度センサー熱電対を貼付し、温湿度データロガーを用いることにより、測定することができる。
封止材の製膜時の樹脂温度の下限は、生産性向上の観点から、100℃以上とする。封止材の製膜時の樹脂温度が100℃未満であると、押出し時の封止材組成物の単位時間当りの吐出量の増大率が少なく、封止材の生産性向上の効果が不十分となる。
封止材の製膜時の樹脂温度の上限は、使用する架橋剤の1分間半減期温度に応じて、製膜時の加熱成形中に架橋の進行開始を防ぐことのできる範囲の温度であればよく、具体的には、使用する架橋剤の1分間半減期温度未満の温度であり、且つ、使用する架橋剤の1分間半減期温度との温度差が60℃以上であればよい。封止材の製膜時の樹脂温度が上記温度範囲を超えると、製膜中に架橋の進行が開始してしまい、ゲル物が発生する等して、製膜適性の面での問題が生じる。
製膜時の樹脂温度を、従来よりも高温である上記範囲とした場合であっても、本発明に係る封止材組成物は未架橋のままで製膜することができる。よって、高温製膜による押出し時の吐出量の増大が可能であり、優れた柔軟性、耐熱性を有する本発明の封止材を高い生産性の下で得ることができる。
又、上記樹脂温度が、上記温度範囲内である時間(この時間のことを「製膜時間」とも言う。より具体的には、成形機への封止材組成物投入から、成形部分から排出されるまでの時間のことを言う)については、15分以下であることが好ましい。
本発明の封止材の特徴はその生産性の高さにあることからも、製膜時間は可能な限り短時間であることが好ましいが、特に製膜時間が20分を超えると、本発明に係る封止材組成物を用いたとしても、ゲル物発生による生産性低下が起こる場合があり好ましくない。
上記製膜工程を経て成形された本発明の封止材は、封止材組成物段階における低密度を維持するものである。本発明の封止材の密度は、主たる原料である低密度ポリエチレン樹脂の密度と同等の0.900g/cm以下で増加せず、その高い透明性を維持するものとなっている。
以上より、本発明の封止材の製造方法によれば、熱硬化性の低密度ポリエチレンをベース樹脂とする封止材組成物の製膜時に、架橋の進行開始を避けながら100℃以上の高温で製膜することができる。よって、製膜時に押出機等にかかる負荷を低減して、吐出量を増大し、封止材の生産性を高めることができる。
<太陽電池モジュール>
図1は、本発明の封止材を用いた太陽電池モジュールについて、その層構成の一例を示す断面図である。本発明の太陽電池モジュール1は、入射光の受光面側から、透明前面基板2、前面封止材層3、太陽電池素子4、背面封止材層5、及び裏面保護シート6が順に積層されている。本発明の太陽電池モジュール1は、前面封止材層3及び背面封止材層5の少なくとも一方に上記の封止材を使用する。
[太陽電池モジュールの製造方法]
太陽電池モジュール1は、例えば、上記の透明前面基板2、前面封止材層3、太陽電池素子4、背面封止材層5、及び裏面保護シート6からなる部材を順次積層してから真空吸引等により一体化し、その後、熱ラミネート法等の成形法により、上記の部材を一体成形体として加熱圧着成形して製造することができる。
本発明の太陽電池モジュールの製造方法によれば、上記の加熱圧着処理を行っている間の封止材の樹脂温度が165℃以上200℃以下の範囲となるようにして、加熱圧着処理を行う。
尚、太陽電池モジュールの製造時における封止材の樹脂温度については、太陽電池モジュールの製造時と同一の構成で積層された封止材を含む積層体を、太陽電池モジュール製造時と同一の加熱条件により、試験的に熱ラミネート処理を行い、その際に、封止材の上面部には、温度センサー熱電対を貼付し、温湿度データロガーを用いることにより、測定することができる。本明細書における「加熱圧着処理を行っている間の封止材の樹脂温度」とは、そのようにして測定した温度プロファイルのことを言うものとする。
尚、「加熱圧着処理を行っている間の封止材の樹脂温度」を「上記温度範囲となるようにする」とは、例えば、バッチ処理により、封止材を一定温度で加熱している場合であっても、加熱時間等の調整によって、加熱中の封止材の樹脂温度が、最初に165℃以上に達した後、上記温度範囲から逸脱しない範囲で加熱を継続した場合等も含むものとする。
本発明の封止材を用いた前面封止材層3、背面封止材層5の加熱圧着成形後のゲル分率は10〜80%であることが好ましい。この範囲とすることで、太陽電池モジュール1を、高い透明性を有する封止材層を備え、且つ、好ましい耐熱性を有するものとすることができる。
尚、本発明の太陽電池モジュール1において、前面封止材層3及び背面封止材層5以外の部材である透明前面基板2、太陽電池素子4及び裏面保護シート6は、従来公知の材料を特に制限なく使用することができる。又、本発明の太陽電池モジュール1は、上記部材以外の部材を含んでもよい。尚、本発明の太陽電池モジュールの製造方法は単結晶型に限らず、薄膜型その他の全ての太陽電池モジュールの製造に適用できる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<封止材の製造>
下記組成からなる封止材組成物を混合して溶融し、常法Tダイ法により厚さ400μmとなるように製膜して、実施例、比較例の封止材を得た。
尚、製膜時の加熱成形中の加熱条件は、それぞれ表1に記載の通りとした。表1における温度とは、上記において定義した通りの「加熱成形中の封止材組成物の樹脂温度」のことを言う。
又、各封止材の成膜適性の評価の指標とするため、各封止材の製膜時の樹脂温度、及び安全製膜温度におけるMFRを測定した。このMFRの測定は、JIS K6922−2による測定方法に準じ、但し、各封止材毎の測定時の温度条件のみを、各封止材毎の上記製膜時の樹脂温度(表1における製膜条件、温度(℃)の欄に記載の温度)、或いは、各樹脂の安全製膜温度とした。結果を表1に示す。
(ベース樹脂)
MFRの異なる下記の2種のLLDPE(樹脂M1又はM2)のいずれか75質量部と、シラン変性ポリエチレン系樹脂(樹脂S)25質量部を混合溶融したものを封止材組成物のベース樹脂とした。
LLDPE(樹脂M1)
:ポリエチレン系樹脂(LLDPE):エチレンと1−ヘキセンとの共重合体であり、密度0.880g/cm、MFR30g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン。ポリスチレン換算の数平均分子量55000。
LLDPE(樹脂M2)
:ポリエチレン系樹脂(LLDPE)。エチレンと1−ヘキセンとの共重合体であり、密度0.880g/cm、MFR24g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン。ポリスチレン換算の数平均分子量63000。
(架橋剤)
下記の4種の架橋剤(架橋剤1〜4)を用い、各実施例、比較例の封止材組成物に、それぞれ表1に示す量(質量部)を添加した。
2,5−ジメチル−2,5ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3(架橋剤1)
:1分間半減期温度192℃。アルケマ吉富株式会社製、商品名:「ルペロックス130」
ジ−t−ブチルパーオキサイド(架橋剤2)
:1分間半減期温度197℃。アルケマ吉富株式会社製、商品名:「ルペロックスDI」
2,5−ジメチル−2,5ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(架橋剤3)
:1分間半減期温度177℃。アルケマ吉富株式会社製、商品名:「ルペロックス101」
t‐ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(架橋剤4)
:1分間半減期温度166℃。アルケマ吉富株式会社製、商品名「ルペロックスTBEC」。
(密着性向上剤)
密着性向上剤としてシランカップリング剤を用いた。シランカップリング剤は、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名KBM503)を用い、全ての実施例、比較例の封止材組成物に、0.5質量部添加した。
(その他の添加剤)
UV吸収剤(ケミプロ化成株式会社製、商品名KEMISORB12)を全ての実施例、比較例、参考例の封止材組成物に、0.25質量部添加した。
耐候安定剤(チバ・ジャパン株式会社製、商品名Tinuvin770)を全ての実施例、比較例、参考例の封止材組成物に、0.2質量部添加した。
酸化防止剤(チバ・ジャパン株式会社製、商品名Irganox1076)を全ての実施例、比較例、参考例の封止材組成物に、0.05質量部添加した。
<評価例1>
実施例、比較例、それぞれの封止材の製膜適性を評価した。結果を表1に示す。
実施例、比較例のそれぞれの封止材について、上記において説明した方法によりゲル分率、及び製膜時におけるMFRを測定し、成膜適性を評価した。結果は表1に示す通りとなった。但し、MFRは、製膜温度におけるMFR1と安全製膜温度(=1分間半減期温度(℃)−70(℃))におけるMFR2を測定し、それぞれ表1に記載した。尚、比較例2については、安全製膜温度を超える製膜温度(1分間半減期温度−56℃)で、製膜を行ったところ、架橋が進行してしまい、ゲルの発生により、製膜が不可能であったため、MFRの測定は行っていない。
Figure 0006205783
表1より、本発明の封止材は、未架橋のままゲル分率を0%に保持しつつ、高温度で製膜を行うことによって得ることができるものであり、製膜工程における生産性の観点から極めて優れた封止材であることが分かる。尚、生産性評価の基準としては、安全製膜温度におけるMFRが4.0g/10min以上の封止材を生産性の観点において好ましいものとして評価した。
又、実施例3の結果より、製膜温度の上限を高めることにより、高い生産性で製造可能な樹脂のMFRの範囲も広がることが分かる。
<評価例2>
30mm×75mmにカットした実施例、比較例の封止材を、それぞれガラス基板(青板ガラス 30mm×75mm×3.2mm)に上に積層し、熱ラミネート後の封止材の膜厚が360〜400μとなるようにスペーサーを挟んだ状態で、真空加熱ラミネート処理を行い、同処理後のそれぞれの封止材のHAZEを(%)下記の試験方法により測定して太陽電池モジュールとしての一体化後における透明性を評価した。真空加熱ラミネート処理のラミネート条件は、下記の通りとした。
(ラミネート条件) (a)真空引き:5.0分
(b)加圧(0kPa〜100kPa):1.0分
(c)圧力保持(100kPa):10.0分
(d)温度165℃
[ヘーズ(%)の試験方法]
JISK7136に沿って、株式会社村上色彩研究所 ヘーズ・透過率系HM150にて測定した。それぞれの実施例、比較例、及び試験例について測定結果を、以下の評価基準により評価した。評価結果を表2に示す。
A:4.0%未満
B:4.0%以上5.5%未満
C:5.5%以上
<評価例3>
実施例、比較例の製膜後の封止材について、下記の方法により、それぞれ、耐熱クリープを測定し、耐熱性評価の指標値とした。
[耐熱クリープ試験(mm)の試験方法]
7.5×5.0cmにカットした実施例、比較例の製膜後の封止材を、ガラス基板(白板フロート半強化ガラス JPT3.2 150mm×150mm×3.2mm)上に2枚重ね置き、その上からガラス基板(白板フロート半強化ガラス JPT3.2 75mm×50mm×3.2mm)を重ね置き、評価例2と同じラミネート条件で真空加熱ラミネート処理を行い、それぞれの実施例、比較例について太陽電池モジュール評価用サンプルを得た。これらの太陽電池モジュール評価用サンプルについて、下記の試験条件における耐熱クリープ試験を行い、耐熱性を評価した。
上記の太陽電池モジュール評価用サンプルを垂直に置き、140℃で12時間放置し、放置後のガラス基板(白板フロート半強化ガラス JPT3.2 75mm×50mm×3.2mm)の移動距離を計測評価した。それぞれの実施例、比較例、及び試験例の製膜後の封止材について測定結果を、以下の評価基準により評価した。評価結果を表2に示す。
A:4.0mm未満
B:4.0mm以上6.0mm未満
C:6.0mm以上
<評価例4>
15mm幅にカットした実施例、比較例、及び試験例の封止材を、それぞれガラス基板(白板フロート半強化ガラス JPT3.2 75mm×50mm×3.2mm)上に密着させて、評価例1と同じラミネート条件で、真空加熱ラミネート処理を行い、それぞれの実施例、比較例について太陽電池モジュール評価用サンプルを得た。これらの太陽電池モジュール評価用サンプルについて、下記の試験条件におけるガラス密着強度を測定してガラス密着性を評価した。
[ガラス密着強度(N/15mm)の試験方法]
剥離試験方法:上記太陽電池モジュール評価用サンプルにおいて、ガラス基板上に密着している封止材を、剥離試験機(テンシロン万能試験機 RTF−1150−H)にて垂直剥離(50mm/min)試験を行いガラス密着強度を測定した。それぞれの実施例及び比較例について測定結果を、以下の評価基準により評価した。評価結果を表2に示す。
A:30N/15mm以上
B:25N/15mm以上30N/15mm未満
C:25N/15mm未満
Figure 0006205783
又、表2より、本発明の封止材は、太陽電池モジュールに求められる重要な物性である透明性、耐熱性、密着性において十分に好ましい物性を有する封止材であることが分かる。
表1及び2より、本発明の封止材は、架橋剤の1分間半減期温度を本発明の独自の高温度範囲に限定することにより、透明性、耐熱性、密着性の全てにおいて、従来品と同等かそれ以上の十分に好ましい物性を有するものとなっており(表2)、且つ、生産性の面では、従来品を大きく上回る(表1)、優れた封止材となっていることが分かる。
1 太陽電池モジュール
2 透明前面基板
3 前面封止材層
4 太陽電池素子
5 背面封止材層
6 裏面保護シート

Claims (3)

  1. 密度0.900g/cm 以下の低密度ポリエチレンと、
    1分間半減期温度が180℃以上250℃以下の架橋剤と、を含んでなる封止材組成物を、ゲル分率を0%に維持したまま、加熱成形する封止材製膜工程と、
    前記封止材製膜工程で得たゲル分率0%の封止材と、その他の太陽電池モジュール構成部材とを、加熱圧着処理により積層一体化する一体化工程と、を備え、
    前記架橋剤の前記封止材組成物中の含有量比が、0.3質量部以上2.0質量部未満であり、前記封止材製膜工程は、前記加熱成形を下記の加熱条件で行うことを特徴とし、
    前記一体化工程は、前記加熱圧着処理を下記の加熱条件で行うことを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
    封止材製膜工程における加熱条件:加熱成形中の前記封止材組成物の樹脂温度が、前記架橋剤の1分間半減期温度未満であり、且つ、100℃以上130℃以下の温度範囲にあること。
    一体化工程における加熱圧着処理の加熱条件:加熱圧着処理を行っている間の前記封止材の樹脂温度が165℃以上200℃以下であること。
  2. 前記架橋剤の1分間半減期温度が190℃以上210℃以下である請求項1に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  3. 前記封止材製膜工程後の前記低密度ポリエチレンのJIS K6922−2により測定した下記に定義する安全製膜温度(℃)、荷重2.16kgにおけるメルトマスフローレート(MFR)が4.0g/10min以上10.0g/10min以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
    安全製膜温度とは、製膜対象の樹脂に含有される架橋剤の1分間半減期温度(℃)から70(℃)を引いた温度(℃)のことを言うものとする。
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