JP2016068478A - 裏面保護シート - Google Patents
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Abstract
Description
拡散角度分布の測定は、JIS Z 8722「色の測定方法−反射及び透過物体色」4.33「分光立体角反射率の測定方法」方法a(二光路の分光測光器を用いて置換方式による場合)に準じて行う。
先ず、本発明の裏面保護シートを用いた太陽電池モジュールの基本構成について説明する。図1は、太陽電池モジュ−ルの層構成の一例を示す断面模式図である。太陽電池モジュール10は、図1に示すように入射光6の受光面側から、透明前面基板5、受光面側封止材シート4、太陽電池素子3、非受光面側封止材シート2、本発明の裏面保護シート1が順に積層された構成である。これらを順次積層し、次いで真空吸引等により一体化して加熱圧着するラミネ−ション法等の通常の成形法を利用し、上記の各層を一体成形体として加熱圧着成形して、太陽電池モジュール10を製造することができる。
図3に示す通り、裏面保護シート1は、基材層11と、裏面保護シート1の少なくともいずれか一方の最表面に形成される密着強化層12とを備える多層構成の樹脂シートである。裏面保護シート1の、基材層11と、密着強化層12とは、接着剤層(図示せず)を介して一体化されていることが好ましい。裏面保護シート1の総厚さは、特に限定されないが、10μm以上500μm以下の範囲の厚さを一般的な例として挙げることができる。そして、図1に示す通り、裏面保護シート1は、この密着強化層12が非受光面側封止材シート2と対面する態様で太陽電池モジュール10内に配置されて用いられる。
基材層11は、裏面保護シート1の基材として配置される樹脂層である。基材層11の材料としては、下記の樹脂材料をシート状に成型したものを用いることができる。例えば、ポリエチレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等、各種の樹脂シートを、基材層11として用いることができる。これらの中でも、絶縁性能、機械強度、コスト、透明性等の物性及び経済性の観点からポリエチレンテレフタレート(PET)を、基材層11の材料として好ましく用いることができる。又、機械強度や水蒸気バリア性向上の更なる向上の観点から、上記PETの他に更に耐加水分解性PETを最外層に積層した多層シートを、基材層11として、特に好ましく用いることができる。
密着強化層12は、裏面保護シート1の一方の最外層に配置される層であり、太陽電池モジュール10において、非受光面側封止材シート2との密着面となり、裏面保護シート1と非受光面側封止材シート2との間の密着性を向上させる機能を備える層である。一般に非受光面側封止材シート2は、エチレン−酢酸ビニルアルコール共重合体樹脂(EVA樹脂)、又は架橋処理をされた低密度ポリエチレン樹脂等からなる。密着強化層12は、裏面保護シート1と、特にこれらの樹脂からなる非受光面側封止材シート2との間に高い密着性を備えさせるものである。
密着コア層121は、密着強化層12に耐熱性や適度な剛性を付与するために配置される層である。密着コア層121は、ポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂等のオレフィン系樹脂をベース樹脂として形成される。
密着スキン層122は、密着強化層12と封止材シートとの充分な密着性を発現させる機能を備える層である。そのために、密着スキン層122は、例えば、融点120℃以上140℃以下のポリプロピレン樹脂を50質量%以上含有するものであることが好ましい。
密着スキン層及び密着コア層には、更にその他の成分を含有させることができる。例えば、裏面保護シート1に、耐候性を付与するための各種の耐候性マスターバッチ、各種フィラー、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の成分が例示される。これらの添加剤を含むことにより、裏面保護シート1に、長期に亘る安定した機械強度の向上や、黄変やひび割れ等の防止効果等を付与することができる。
本発明の裏面保護シートの製造方法について説明する。裏面保護シート1は、基材層11を構成する基材樹脂シートを形成する基材樹脂シート形成工程と、密着強化層12を構成する密着性樹脂シートを形成する密着性樹脂シート形成工程と、基材樹脂シートに密着性樹脂シートを積層して一体化する一体化工程とを経ることによって製造することができる。
基材層11を形成する基材樹脂シートは、上記において説明したPET等の樹脂材料を、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法、その他の成膜化法等により成膜することにより形成することができる。尚、基材樹脂シートは、本発明の効果を害さない範囲で、上記樹脂材料の他に顔料等のその他の添加物を含むものであってもよい。
密着強化層12を形成する密着性樹脂シートは、オレフィン系樹脂、好ましくはポリプロピレン(PP)を主成分とし、所定の無機フィラーを含有する密着コア層用の樹脂組成物と、密着スキン層用の樹脂組成物とを、公知の共押出し法により一体成形することにより得ることができる。
上記において説明した基材樹脂シート、密着性樹脂シート、及び必要に応じて同様の方法によって形成したその他の層を形成するシートを積層して、更に一体化することにより、本発明の裏面保護シート1を得ることができる。各シートの一体化は従来公知のドライラミネート法によることができる。ラミネート接着剤は従来公知のものが利用でき特に限定されず、ウレタン系、エポキシ系等の主剤と硬化剤とからなる2液硬化型のドライラミネート接着剤等が適宜使用可能である。
太陽電池モジュール10は、例えば、上記の透明前面基板5、受光面側封止材シート4、太陽電池素子3、非受光面側封止材シート2、及び裏面保護シート1からなる部材を順次積層してから真空吸引等により一体化し、その後、ラミネーション法等の成形法により、上記の部材を一体成形体として加熱圧着成形して製造することができる。例えば真空熱ラミネート加工による場合、ラミネート温度は、130℃〜180℃の範囲内とすることが好ましい。又、ラミネート時間は、5〜20分の範囲内が好ましく、特に8〜15分の範囲内が好ましい。このようにして、上記各層を一体成形体として加熱圧着成形して、太陽電池モジュ−ル10を製造することができる。
上記に記載の「裏面保護シートの製造方法」に準じて、下記に記載の各樹脂シート材料をドライラミネート加工により一体化して、図3及び図4に示す層構成の裏面保護シートを製造し、それぞれ実施例及び比較例の裏面保護シートとした。
下記の各層用の組成物を共押し出しによって多層フィルムとして成形し、厚さ60μm(密着スキン層3μm/密着コア層54μm/密着スキン層3μm)、又は厚さ100μm(密着スキン層5μm/密着コア層90μm/密着スキン層5μm)の樹脂シートとし、各実施例、比較例の裏面保護シートの密着強化層を構成する密着性樹脂シートとした。
(密着コア層用組成物)
ベース樹脂:下記のホモPP樹脂を用いた。
ホモPP(融点164℃)とエチレンを含有するランダムPP樹脂(融点140℃、エチレン含有量3質量%)と、エラストマーPP樹脂(融点125℃、エチレン含有量7質量%)とを、8:1:1の割合で混錬したPP系樹脂を用いた。
無機フィラー:以下の通り、酸化チタン及びタルクを用いた。但し、比較例1〜2については、下記の無機フィラーのうちタルクを添加しないものとした。
酸化チタン:下記の酸化チタンを、ベース樹脂中の含有量がそれぞれ表1に示す含有量(質量%)となるようにベース樹脂中に混錬した。
「Ti−pure R105(Dupont製)」、平均粒径0.2〜0.25μm
タルク:下記のタルクを、ベース樹脂及び上記酸化チタン100質量部に対する含有量がそれぞれ表1に示す含有量(質量部)となるようにベース樹脂中に混錬した。
「ミクロエース(日本タルク製)」、平均粒径(長径)2.5μm
(密着スキン層用組成物)
ベース樹脂:ホモPP(融点164℃)とエチレンを含有するランダムPP樹脂(融点140℃、エチレン含有量3質量%)と、エラストマーPP樹脂(融点125℃、エチレン含有量7質量%)とを、8:1:1の割合で混錬したPP系樹脂を用いた。
基材樹脂シートとしては下記のPETフィルムとHR−PETフィルムを用いた。そして、これらをドライラミネート法で積層して、基材樹脂シートとした。
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム:厚さ188μm(商品名「ルミラーS10」、東レ社製)
耐加水分解ポリエチレンテレフタレート(HR−PET)フィルム:厚さ50μm(商品名「ルミラーX10S」、東レ社製)
実施例及び比較例の裏面保護シートを用いて実施例及び比較例の太陽電池モジュールを作成し、太陽電池モジュールとしてのPV特性を評価した。具体的には、アスデン株式会社製単結晶セル(ASG−180A)の上下に下記の封止材シートを積層して、非受光面側の最外層に実施例又は比較例の各裏面保護シートを、受光面側の最外層に青板ガラスを積層して熱ラミネーション法により一体化して太陽電池モジュールの実施例及び比較例の評価用モジュール試料を得た。試験は、各評価用モジュール試料につきソーラーシュミレータ(英弘精機株式会社製EWXS−300S−50)を用いて、セル裏面温度25℃、照度100mW/cm2の条件で短絡電流値を測定することによって行った。結果を表2及び表3に示す。
実施例1と11、及び比較例1の裏面保護シートについて、拡散反射率と、臨界角45°以上における反射光強度積算総和を求めた。評価は以下の方法で測定した数値に基づいて行った。結果を表3に示す。
波長700μmの光に対する拡散反射率を以下の方法で測定した。
拡散反射率の測定は、各裏面保護シートの密着強化層側から光を入射したときの、波長700nmの光の拡散反射率(%)を、分光光度計(株式会社島津製作所製、UV−3100)により測定した値であり、硫酸バリウムの微粉末を固めた白板の拡散反射率を100%とする拡散反射率の相対値とした。
JIS Z 8722「色の測定方法−反射及び透過物体色」4.33「分光立体角反射率の測定方法」方法a(二光路の分光測光器を用いて置換方式による場合)に準じて行った。
拡散角度分布の測定は、以下の手順で行った。先ず、上記実施例及び比較例の裏面保護シートについて、受光角度30°から75°の範囲で5°ずつ角度を変え、波長700nmの光の反射光強度を測定した。図5は、その結果をグラフ化したものである。縦軸の反射光強度は完全拡散(ランバート散乱)における各受光角度における輝度を1とした場合の相対値を示す。次に、受光角度45°以上の反射光強度の総和、即ち45°から75°の範囲における積分値を算出した。
11 基材層
12 密着強化層
121 密着コア層
122 密着スキン層
2 非受光面側封止材シート
3 太陽電池素子
4 受光面側封止材シート
5 透明前面基板
6 入射光
6A 通過光
10 太陽電池モジュール
Claims (8)
- 基材層と、オレフィン系樹脂をベース樹脂とする密着強化層と、を含む多層シートからなる裏面保護シートであって、
前記密着強化層は、密着コア層と、該密着強化層の最表面に形成される密着スキン層とを含んでなり、
前記密着コア層には、酸化チタン及びタルクが含有されていて、
前記密着コア層を構成する樹脂成分中の前記酸化チタンの含有量が15質量%以上25質量%以下であって、
前記密着コア層を構成する樹脂成分及び酸化チタン100質量部に対するタルクの含有量が3質量部以上20質量部以下である裏面保護シート。 - 前記密着コア層の厚さが60μm未満であって、該密着コア層を構成する樹脂成分及び酸化チタン100質量部に対するタルクの含有量が、4質量部以上11質量部以下である請求項1に記載の裏面保護シート。
- 前記密着コア層の厚さが80μm以上100μm未満であって、該密着コア層を構成する樹脂成分及び酸化チタン100質量部に対するタルクの含有量が、8質量部以上17質量部以下である請求項1に記載の裏面保護シート。
- 前記密着強化層を構成する前記密着コア層及び前記密着スキン層のベース樹脂が、いずれもポリプロピレンである請求項1から3のいずれかに記載の裏面保護シート。
- 前記密着コア層を形成する樹脂内において、前記タルクが、該タルクの長軸方向と前記密着コア層を形成する樹脂の押出し方向とが略平行となる態様で配向している請求項1から4のいずれかに記載の裏面保護シート。
- 下記の拡散角度分布の測定よって得た、0°入光時の受光角45°以上の反射光の反射光強度の積算総和が5.4以上である請求項1から5のいずれかに記載の裏面保護シート。
拡散角度分布の測定は、JIS Z 8722「色の測定方法−反射及び透過物体色」4.33「分光立体角反射率の測定方法」方法a(二光路の分光測光器を用いて置換方式による場合)に準じて行う。 - 前記基材層が、ポリエチレンテレフタレート層及び/又は耐加水分解ポリエチレンテレフタレート層を含んで構成されている請求項1から6のいずれかに記載の裏面保護シート。
- 請求項1から7のいずれかに記載の裏面保護シートを太陽電池素子の非受光面側に配置してなる太陽電池モジュール。
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