JP2014027155A - 太陽電池モジュール用裏面保護シート - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性、封止材密着性に優れ、且つ、太陽電池モジュールの発電効率の向上に寄与できる裏面保護シートを低コストで提供すること。
【解決手段】裏面側樹脂層61と、金属箔層63又は金属蒸着層と、中間樹脂層65と、プライマー層66と、が順次積層されており、金属箔層63と中間樹脂層65とは受光面側接着剤層64を介して積層されており、受光面側接着剤層64又は前記プライマー層66中に白色顔料が含有されている、太陽電池モジュール用の裏面保護シート6とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、太陽電池モジュール用裏面保護シートに関する。
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリーンなエネルギー源としての太陽電池が注目されている。一般に、太陽電池を構成する太陽電池モジュールは、受光面側から、透明前面基板、前面封止材、太陽電池素子、背面封止材及び裏面保護シートが順に積層された構成であり、太陽光が上記太陽電池素子に入射することにより発電する機能を有している。
太陽電池の更なる普及のために、太陽電池モジュールの更なる発電率向上が強く求められている。発電効率を向上させるためには、太陽電池モジュールへの入射光のうち、発電に寄与することなく太陽電池素子の周辺や素子間の隙間等を通過してしまった通過光を、光反射性を有する裏面保護シートによって反射して再び太陽電池素子へと向かわせて発電に寄与させることが考えられる。そのような光反射性を有する裏面保護シートとして、白色樹脂フィルム、金属酸化物を被着させた樹脂フィルム、耐加水分解性の樹脂フィルムを順次積層した裏面保護シートが提案されている(特許文献1)。
特許文献1に記載の裏面保護シートは、白色樹脂フィルムによって通過光を反射させるものであるが、白色樹脂フィルムにおいては、通過光の一部は吸収されてしまい反射率は不十分であった。又、より多くの通過光を太陽電池素子の表面へと向かわせるためには、裏面保護シートの拡散反射率を高めることが有効であるが、特許文献1に記載の裏面保護シートにおいては、正反射を少なくして拡散反射を増やすことについては何ら考慮されていない。
太陽電池モジュールの発電効率を更に向上させうる裏面保護シートとして、透明樹脂等からなる透光層と金属蒸着膜等からなる光反射層を備え、更に反射層に微細な凹凸部を設けたり(特許文献2)、或いは、透光層を特殊加工してプリズム層とすることにより(特許文献3)、通過光の反射率及び拡散反射率を高めた裏面保護シートが提案されている。
特開2002−100788号公報 特開2006−319250号公報 特開2011−129850号公報
しかしながら、特許文献2に記載の裏面保護シートは、微小なビーズや、マイクロレンズアレイのような特別の光拡散手段を要する。そして、それらの塗工には、極めて高度な塗工技術が要求される。
特許文献3に記載の裏面保護シートも、裏面保護シートに求められる耐候性や基材密着性には何ら寄与し得ない特殊な構造を有するプリズム層を、別途製造して追加的に積層するものである。
このように、単に、白色樹脂を用いるだけの従来品に近い簡易な構成の裏面保護シートでは、発電効率の向上が不十分であり、一方、特殊な構成要素を付加することによって発電効率を高めようというものは、いずれも製造コストが嵩むという問題があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、太陽電池モジュールの発電効率向上に寄与することのできる裏面保護シートを、簡易な構造で実現することにより低コストで提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、光反射性を有する従来の簡易な構成の太陽電池モジュール用裏面保護シートと、ほぼ同様の構成としながら、白色顔料を樹脂層等ではなく、接着剤層又はプライマー層に含有する構成とすることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
(1) 裏面側樹脂層と、金属箔層又は金属蒸着層と、中間樹脂層と、プライマー層と、が順次積層されており、前記金属箔層と前記中間樹脂層とは受光面側接着剤層を介して積層されており、前記受光面側接着剤層又は前記プライマー層中に白色顔料が含有されている、太陽電池モジュール用の裏面保護シート。
(2) 前記金属箔層又は前記金属蒸着層が、アルミニウム箔層である、(1)に記載の裏面保護シート。
(3) 前記受光面側接着剤層の塗布量が固形分換算で2.0g/m以上20g/m以下であるか、又は、前記プライマー層の塗布量が固形分換算で0.1g/m以上20g/m以下であり、前記受光面側接着剤層又は前記プライマー層中における前記白色顔料の含有量がPV比で0.1以上5.0以下である、(1)又は(2)に記載の裏面保護シート。
(4) 前記白色顔料が平均粒径0.1μm以上1.0μm以下の酸化チタンである、(1)から(3)のいずれかに記載の裏面保護シート。
(5) 前記プライマー層側から光を照射した場合の、波長750以上1500nm以下における拡散反射率が50%以上である、(1)から(4)のいずれかに記載の裏面保護シート。
(6) 前記中間樹脂層の、波長750以上1500nm以下における光線透過率が60%以上である、(1)から(5)のいずれかに記載の裏面保護シート。
本発明によれば、従来の光反射性を備える裏面保護シートの基本構成を保持したまま、白色顔料を添加する層を、接着層やプライマー層に限定することによって、最小限の追加コストのみで、太陽電池モジュールの発電効率を大きく向上させることができる裏面保護シートとすることができる。
本発明の裏面保護シートを用いた太陽電池モジュ−ルの層構成の一例を例示する断面の模式図である。 本発明の裏面保護シートを用いた太陽電池モジュールの断面の部分拡大模式図である。 本発明の裏面保護シートの層構成の一例を例示する断面の模式図である。 実施例、比較例、参考例の裏面保護シートの波長250nmから2600nmの光の拡散反射率(%)を示す図である。 実施例、比較例、参考例の裏面保護シートを構成する基材のうち、金属箔層又は金属蒸着層以外の基材からなる積層体の波長250nmから2600nmの光の拡散反射率(%)を示す図である。 実施例、比較例、参考例の裏面保護シートを構成する基材のうち、金属箔層又は金属蒸着層以外の基材からなる積層体の光線透過率(%)を示す図である。 実施例、比較例の裏面保護シートを構成する基材のうち、中間樹脂層として用いた透明樹脂フィルムの光線透過率(%)を示す図である。
以下、本発明の太陽電池モジュール用の裏面保護シートについて詳細に説明する。本発明は以下に記載される実施形態に限定されるものではない。
<太陽電池モジュールの基本構成>
先ず、本発明の太陽電池モジュール用の裏面保護シートを用いた太陽電池モジュールの基本構成について説明する。図1は、太陽電池モジュ−ルの層構成の一例を示す断面の模式図である。太陽電池モジュール1は、図1に示すように入射光7の受光面側から、透明前面基板2、前面封止材層3、太陽電池素子4、背面封止材層5、本発明の裏面保護シート6が順に積層された構成である。これらを順次積層し、次いで真空吸引等により一体化して加熱圧着するラミネ−ション法等の通常の成形法を利用し、上記の各層を一体成形体として加熱圧着成形して、太陽電池モジュ−ル1を製造することができる。
ここで、一般に太陽電池素子は、300nm以上1500nm以下の光に対して高い分光感度を有している。より詳しくは、アモルファスシリコン型の太陽電池素子は、300nm以上1500nm以下、結晶型シリコン型の太陽電池素子は、300nm以上1200nm以下、CdTe型の太陽電池素子は400nm以上900nm以下、CIS型の太陽電池素子は、300nm以上1500nm以下、GaAs型の太陽電池素子は、300nm以上900nm以下の光に対して分光感度を有している。
図2は、太陽電池モジュール1の断面の一部を拡大して示す模式図であるが、図2に示す通り、裏面保護シート6を備えた太陽電池モジュール1においては、入射光のうち発電に寄与せずに裏面保護シート6に到達した通過光7Aを、裏面保護シート6で反射して太陽電池素子4の受光面へと到達させることができる。裏面保護シート6は、裏面保護シートに必須とされる耐候性や耐久性を維持しつつ、特に波長750以上1500nm以下における光の拡散反射率を好ましい範囲にまで高めたものである。よって、裏面保護シート6は、太陽電池モジュールの耐候性や耐久性を高める観点から好ましく用いることができ、且つ、太陽電池モジュールの発電効率の向上に寄与することができるものである。
尚、ここで、本明細書における裏面保護シートの拡散反射率とは、分光光度計(株式会社島津製作所製、UV−3100)により測定した値であり、硫酸バリウムの微粉末を固めた白板の拡散反射率を100%とする拡散反射率の相対値のことを言うものとする。
<裏面保護シート>
図3に示す通り、裏面保護シート6は、太陽電池モジュール1において非受光面である最外層側から、裏面側樹脂層61、裏面側樹脂層61上に非受光面側接着剤層62を介して積層される金属箔層63、金属箔層63上に受光面側接着剤層64を介して積層される中間樹脂層65、プライマー層66が順次積層されてなる積層体である。金属箔層63は、金属蒸着層であってもよく、その場合は、非受光面側接着剤層62と受光面側接着剤層64は必須の構成要件ではない。
ここで、一般に金属反射層は高い反射率で光線を反射する。よって、裏面保護シート6は、金属箔層63又は金属蒸着層(これらの2つの層を併せて、以下、「金属反射層」とも言う)の配置によっても、発電効率をある程度向上させることはできる。
しかし、金属反射層は、通過光7Aを全反射するため、金属反射層それ自体の拡散反射率は、太陽電池モジュールに求められる発電効率の向上に求められるものとしては十分とは言えない。例えば、金属反射層がアルミ箔である場合には、波長500nm以上2000nm以下の光に対する拡散反射率は30%〜45%に過ぎない。
そこで、裏面保護シート6においては、受光面側接着剤層64又はプライマー層66のいずれか、若しくはその両方の層に白色顔料を含有させることによって、当該白色顔料を含有する層を、高い光線透過率を有し、且つ、適度な光拡散機能を発揮しうる層とした。これにより、通過光7Aを、その減衰を最小限にとどめながら、効率よく屈折させて拡散させることができるものとした。尚、本明細書においては、受光面側接着剤層64又はプライマー層66のいずれか、若しくはその両方の層が、それらを白色層とすることによって上記のような光線透過率と光拡散機能を高めた層である場合には、当該白色層のことを「白色光拡散層」とも言うものとする。
尚、白色光拡散層については、光線透過率も高いものであることが好ましい。白色光拡散層の光線透過率が低いと、受光面側接着剤層64又はプライマー層66のいずれか、若しくはその両方の層の拡散反射率の効果は得られるが、金属箔による光反射の効果が得られないため好ましくない。
例えば、金属箔層63自体の平滑性が高い、いわゆる鏡面の場合においては、光の反射性は高いが光の直線性が強く拡散反射率は低いため、太陽電池素子4間を透過した光を反射しても、回り込んでセルの表面で受光しにくい。そこで、金属箔層63自体の平滑性が悪いいわゆるマット面とすることが考えられる。
しかし、金属箔層63自体の平滑性が悪い、いわゆるマット面の場合は、拡散反射率は高くなるが、高い絶縁性が必須である中間樹脂層65が、金属箔表面の凹凸による光の拡散性を低下させてしまうため、結局、拡散反射率は低下してしまう。
裏面保護シート6は、ごく薄い薄膜層である受光面側接着剤層64又はプライマー層66を白色層とすることによって、光線透過率と光線屈折性を最適化したものである。よって、これらの白色光拡散層の奏する作用効果によって、金属箔層63が上記いずれの態様である場合であっても、拡散反射率を十分に高いものとして、太陽電池モジュールの発電効率の向上に寄与することができる。
以下、裏面保護シート6を構成する各層毎にその詳細を説明するが、本発明の主たる作用効果である拡散反射率の向上に寄与する構成要件である金属箔層(金属蒸着層)、受光面側接着剤層、中間樹脂層、プライマー層について、順次説明し、その後、その他の層について説明する。
[金属箔層]
金属箔層63は、金属箔を材料とし、通過光7Aを反射する反射層として配置される金属反射層である。金属箔層63は、非受光面側接着剤層62を介して非受光面側に配置される裏面側樹脂層61と接着され、又、受光面側接着剤層64を介して受光面側に配置される中間樹脂層65と接着される。
金属箔層63は、金属反射層として通過光7Aを反射するために配置される層であるが、同時に高い耐久性を有し、且つ、水分、酸素等の太陽電池モジュール1内への侵入を防止する防湿性にも優れるため、太陽電池モジュール1の長期に渡る耐候性を向上させるものでもある。
金属箔層63の材料としてはアルミニウム箔、チタン箔、ステンレス箔、ニッケル箔、コバール箔、ニクロム箔、銅箔、ベリリウム銅箔、錫箔、鉛箔、亜鉛箔、 鉄箔、タンタル箔、ニオブ箔、ジルコニウム箔、金箔、銀箔、白金箔、パラジウム箔等の金属箔を用いることができるが、中でも経済的に安価なアルミニウム箔を好ましく用いることができる。アルミニウム箔の材質としては、アルミニウム又はアルミニウム合金があげられ、アルミニウム−鉄系合金(軟質材)を好ましく用いることができる。又、アルミニウム箔を用いる場合には、その厚みは7μm〜40μm程度とすることが好ましい。厚みが7μm未満であると積層時に皺が発生する等の不都合を生じるおそれがあるため好ましくなく、一方、40μmを超えても反射性能、及び防湿性は向上せず、コストが高くなるため好ましくない。
金属箔層63の表面形状については、平滑又は略平滑な平面であればよく、その表面に対して特段の形状加工は必要としない。このような平滑な金属箔面を反射層として配置することにより、従来の白色樹脂層を反射層として備える裏面保護シートよりも光線反射率、なかでも波長750nm〜1500nmの近赤外線の反射率を大幅に向上できる。尚、このような平滑な金属箔層63の表面においては、通過光7Aのほぼ全てが鏡面反射するが、裏面保護シート6は、受光面側接着剤層64や或いはプライマー層66等を白色光拡散層として備えることにより、金属箔層63の表面に特段の形状加工を施さなくても、十分に高い拡散反射率を有するものとなっている。
尚、金属箔層63の光線反射率を必要な程度に保持しうる範囲であれば、金属箔層63は、従来公知のその他の表面処理を施したものであってもよい。例えば、溶解、腐食を防止する観点から例えばクロメート処理、リン酸塩処理、潤滑性樹脂被覆処理等の表面処理が施されてもよく、接着性を促進する観点からカップリング処理等が施されていてもよい。
[金属蒸着層]
裏面保護シート6においては、上記の通り金属反射層としての役割を果たす金属箔層63に代えて、同様の表面形状、反射性能を有する金属蒸着層を金属反射層として形成してもよい。金属蒸着層は、裏面側樹脂層61上に、金属蒸着膜を形成してなる金属反射層であり、裏面保護シート6において、金属箔層63と同様の作用効果を奏するものである。
裏面側樹脂層61上に、金属蒸着膜を形成する方法は、特に制限されるものではなく、公知の蒸着方法を使用することができる。このような蒸着方法としては真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンクラスタービーム法等の物理気相成長法やプラズマ化学気相法、熱化学気相法、光化学気相法等の化学気相成長法が挙げられる。
金属蒸着層としては、蒸着が容易でしかも光反射性能を発現する金属が用いられる。このような金属としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、プラチナ、亜鉛、クロム、アルミニウム、の金属が好ましい。
金属蒸着層の厚さは、特に制限されるものではないが、5nm以上1000nm以下であることが好ましく、20nm以上70nm以下であることがより好ましい。金属蒸着層の厚さが5nm以上であることにより、十分な光反射性を付与することができ、金属蒸着層の厚さが1000nm以下であることにより、金属蒸着層自体の割れやクラッキングの発生を抑制することができる。
[受光面側接着剤層]
受光面側接着剤層64は、金属箔層63の表面上に中間樹脂層65を接着する層であり、金属箔層63の受光面側の表面、又は、その表面に対向する中間樹脂層65の下面側の表面に塗布された接着剤が、金属箔層63と中間樹脂層65の積層後に硬化することによって形成される。
この受光面側接着剤層64を白色光拡散層とする場合には、通過光7Aを受光面側接着剤層64内で効率よく屈折させて拡散させることにより、裏面保護シート6の拡散反射率を高めることができる。
受光面側接着剤層64を形成するための接着剤として、金属箔層63を形成する下記の金属箔と、中間樹脂層65を形成する樹脂シート等とを接着可能な接着剤を適宜用いることができる。具体的には、下記に例示する接着剤を、受光面側接着剤層64を形成するための接着剤としても好ましく用いることができる。但し、受光面側接着剤層64を白色光拡散層とする場合には、後述する白色接着剤を用いる。
受光面側接着剤層64を形成するための接着剤の具体例は以下の通りである。ポリエステルジオール化合物、ポリカーボネートジオール化合物、又はポリウレタンジオール化合物を含む主剤とポリイソシアネート化合物からなる硬化剤を主成分とした接着剤を好ましく用いることができるがこれに限られない。具体的な例として、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマー、或は、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、ポリエチレン系樹脂或はポリプロピレン系樹脂等からなるポリオレフィン系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂又はメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコ−ン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤、その他等の接着剤(耐久性接着剤に準ずる樹脂)を用いることができる。
主剤成分としてポリウレタンジオール化合物を含み、硬化剤成分としてポリイソシアネート化合物を含む接着剤である場合には、それらの配合比率である(ポリイソシアネート化合物由来のイソシアネート基)/(ポリウレタンジオール化合物由来の水酸基)の比は、1.0〜3.5の範囲であることが好ましく、更に、1.2〜3.0の範囲にあることが好ましい。配合比率が上記範囲にあることにより、裏面保護シート6を構成する各基材を強固に接合することができる。
尚、主剤には、上記主剤成分の他に、必要に応じて、粘着付与剤、安定化剤、充填剤、可塑剤、軟化点向上剤、触媒等を添加剤として混合することができる。粘着付与剤としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等が挙げられる。安定化剤としては、酸化防止剤、紫外線防止剤等が挙げられる。充填剤としては、無機フィラー等が挙げられる。
上記の他、接着剤には、必要に応じてシランカップリング剤、粘着付与剤、安定化剤、充填剤、可塑剤、軟化点向上剤、触媒等を添加剤として混合することができる。シランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシラン、メチルトリエトキシシラン等のシランモノマー、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン、3−メタクリロキシプロピルエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメトキシシラン等のメタクリルシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシランを挙げることができる。粘着付与剤としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等が挙げられる。安定化剤としては、酸化防止剤、紫外線防止剤等が挙げられる。充填剤としては、無機フィラー等が挙げられる。
尚、上記シランカップリング剤の添加量は、接着剤の主剤と硬化剤との合計100質量部に対し、1から3質量%のシランカップリング剤であることが好ましい、シランカップリング剤の添加量が1質量%以上であると密着力が良好となるため好ましく、3質量%以下であると耐久性が向上するため好ましい。
上記の接着剤組成物として、良好な塗布性及びハンドリング適正を得るために、溶剤成分を添加することが好ましい。このような溶剤成分としては、上記酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等のカルボン酸エステルを挙げることができるがこれに限定されない。尚、既に述べたように上記接着剤は、主剤と硬化剤の2液剤として構成されるが、主剤で使用される溶剤成分と硬化剤で使用される溶剤成分はそれぞれ独立に選択され、同一でも異なっていてもよい。
上記の接着剤を調整するための接着剤組成物は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの組成物形態でもよく、更に、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよい。
上記の接着剤は、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、その他等のコート法、或は、印刷法等によって、裏面側樹脂層61を形成する樹脂シート又は金属箔層63を形成する下記のアルミ箔等の各表面上に塗布することができる。
(白色接着剤)
受光面側接着剤層64を白色光拡散層とする場合には、以下に説明する白色接着剤を用いる。白色接着剤としては、上記において例示した接着剤に、更に、白色顔料を添加したものを用いることができる。白色接着剤は、硬化した状態において波長750nm以上1500nm以下の光線をよく透過させる特性を有する接着剤であることが好ましい。尚、「波長750nm以上1500nm以下の光線をよく透過させる」とは、受光面側接着剤層64において波長750nm以上1500nm以下の光線を20%以上透過、好ましくは30%以上透過、更に好ましくは40%以上を透過させることを意味する。
白色接着剤中の白色顔料の含有量は、白色顔料の質量/主剤の質量であるPV比で0.1以上5以下の範囲内であることが好ましい。PV比が上記範囲にあることにより、波長750nm〜1500nmの近赤外線を十分に透過させ、効率よく屈折させて拡散させる接着剤層を形成することができる。PV比が上記範囲より低い場合には、光の屈折性が低く、拡散反射が向上せず、上記範囲より高い場合には、インキの粘度が上昇し、コーティングした際に均一な塗膜になりにくく、また、金属箔層63と中間樹脂層65との密着力が低下し、特に耐加水分解性試験後の接着力が低下する。
(白色顔料)
白色接着剤に添加する、白色顔料として、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク等の無機着色剤、架橋ポリスチレン樹脂、架橋アクリル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機着色剤を用いることができる。
上記白色顔料は、平均粒径が0.1以上1.0μm以下の白色顔料を好ましく用いることができる。又、白色顔料の平均粒径は0.2以上0.4μmμm以下であることがより好ましい。白色顔料の平均粒径が上記範囲にあれば、白色層は波長750nm〜1500nmの近赤外線をよく透過させ、効率よく屈折させて拡散反射率を向上させることができる。平均粒径が0.2μm以上0.4μm以下の白色顔料の代表例は酸化チタンであり、本発明においても、白色顔料として、酸化チタンを特に好ましく用いることができる。尚、本明細書においては、以下、顔料の粒径とは、特段の指定のない限り、当該顔料の平均粒径のことを言うものとする。
粒径の値については、日本電子社製の透過型電子顕微鏡(JEM−1230)を用いて白色顔料の一次粒子径を写真に撮影した後、その画像をマウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(MAC−View Ver.3)にて統計処理を行い算出して得られる値を採用する。粒径の算出にあたっては体積基準の円相当径を採用する。
本発明に係る白色接着剤においては、粒径が0.1以上1.0μmの酸化チタン等の白色顔料が好ましく、粒径が0.2以上0.4μm以下の酸化チタン等の白色顔料を特に好ましく用いることができる。白色の受光面側接着剤層64の光線透過率を好ましい範囲にし、よって、裏面保護シート6の拡散反射率を向上することができるからである。好ましい光線透過率とは、例えば、およそ750nm以上1500nm以下の波長領域において、光線透過率が20%以上、好ましくは30%以上、更に好ましくは40%以上である機能を意味する。
以上説明した白色接着剤を金属箔層63の上面及び/又は中間樹脂層65の下面上に塗布又は積層して乾燥硬化することにより白色の受光面側接着剤層64を形成することができる。塗布の方法としては、非受光面側接着剤層62に用いた接着剤と同様の方法、即ち、グラビアロールコート法等のコート法、或いは、その他の印刷法等によって塗布することができる。塗布量は、固形分換算で2.0g/m以上20.0g/m以下とし、白色の受光面側接着剤層64の塗布量は、2.0g/m以上20.0g/m以下であることが好ましい。塗布量と厚さが、この範囲であれば、太陽電池モジュール用シート積層部材に必要な接着強度等に応じて適宜変更すればよく、又、塗布量と厚さが、この範囲であることにより、波長750nm〜1500nmの近赤外線を十分に透過させて、近赤外線を効率よく屈折させて拡散させることができる。
又、白色接着剤における白色顔料の含有量、粒径、及び白色接着剤の塗布量を上記範囲とする限り、受光面側接着剤層64を着色しない場合と同様に、受光面側接着剤層64に好ましい接着性を付与することができる。
[中間樹脂層]
中間樹脂層65を構成する材料としては、強度に優れ、且つ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、電気絶縁性に優れた樹脂が好ましく、特に、光学的透明性、均一性のあるものが好ましい。例えば、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状オレフィン樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等があげられる。これら樹脂には、耐候性をあげる目的で、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤等を添加してもよい。特に、顔料等を添加していないポリエチレンテレフタレート樹脂が好ましく用いられ、透明なものと乳白色なものがありどちらも好ましく用いられる。乳白色のものは波長750nmにおける光線透過率が60%から75%程度である。
裏面保護シート6の拡散反射率を最大化するために、中間樹脂層65は光線透過率が高いものであることが好ましい。具体的には、特に、波長750nm以上2600nm以下における光線透過率が60%以上であることが好ましい。中間樹脂層65の光線透過率をこの範囲とすることによって、金属箔層63の高い光線反射率と、受光面側接着剤層64、プライマー層66の光拡散機能を有効に拡散反射率の向上に結びつけることができる。
[プライマー層]
プライマー層66は、中間樹脂層65の受光面側の表面に形成される背面封止材層5との接着性向上を目的とした薄膜層である。
プライマー層66は、中間樹脂層65の表面の背面封止材層5に対する接着性を高めうる薄膜層であればよく、特に限定はされないが、ポリイソシアネート化合物による架橋樹脂として形成されている薄膜樹脂層を好ましい一例として上げることができる。このようなプライマー層は、架橋性主剤樹脂と、ポリイソシアネート化合物等の硬化剤と、必要に応じて添加されるその他の密着性向上成分等の添加剤を含む混合物からなるプライマー・コーティング液を、中間樹脂層65の表面に塗布し、塗布されたプライマー・コーティング液を被膜形成させることにより形成することができる。
(プライマー・コーティング液)
プライマー・コーティング液に用いる架橋性主剤樹脂は、特に限定されないが、例えば、架橋性置換基含有アクリル樹脂、或いは、架橋性置換基含有ウレタン樹脂等を好ましく用いることができる。架橋樹脂が架橋アクリル樹脂の場合、例えば、主剤樹脂が架橋性置換基含有アクリル樹脂であり、これとポリイソシアネート化合物との反応によって架橋アクリル樹脂が得られる。又、架橋樹脂が架橋ウレタン樹脂の場合、例えば、主剤樹脂がポリオールであり、これとポリイソシアネート化合物(概念としてイソシアネート基末端のウレタンプレポリマーを含む)との反応によって架橋ウレタン樹脂が得られる。
架橋性置換基含有アクリル樹脂としては、一種又は二種以上のアクリル酸化合物と架橋性置換基を有するモノマーとを共重合させたものや、一種又は二種以上のアクリル酸化合物と架橋性置換基を有するモノマーと、一種又は二種以上のエチレン性モノマーとを共重合させたものが使用される。このような架橋性置換基含有アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル化合物と、(メタ)アクリル酸若しくはアルキル基としてメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等を有するアルキル(メタ)アクリレート系モノマーと、を共重合させたものが挙げられる。又、共重合のために使用されるモノマーとして、更に、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる)、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルコキシ(メタ)アクリルアミド(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等が挙げられる)、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有モノマー、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、マレイン酸、アルキルマレイン酸モノエステル、フマル酸、アルキルフマル酸モノエステル、イタコン酸、アルキルイタコン酸モノエステル、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ブタジエン等のエチレン性不飽和結合を有する各種の化合物を使用してもよい。これらの中でも(メタ)アクリル酸メチルとアクリル酸2−エチルヘキシルとの共重合体、少なくとも(メタ)アクリル酸メチルとアクリル酸2−エチルヘキシルと水酸基含有(メタ)アクリレートからなる共重合体が好適に使用される。又、このような樹脂の好ましい質量平均分子量としては、1000〜300000が挙げられる。
プライマー・コーティング液に用いる架橋性置換基含有ウレタン樹脂は、ポリイソシアネート化合物と反応するための水酸基を複数有し、ポリイソシアネート化合物と反応して架橋されることにより、硬化して強固な被膜を形成する。主剤樹脂は、溶剤可溶性の樹脂又は溶剤に分散可能な樹脂から選択される。主剤樹脂としては従来のポリオール系化合物を使用することができる。例えば、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール等が挙げられ、単独若しくは複数種使用される。これらの中でもポリカーボネート系ポリオールが好ましく用いられ、特に常温で液体のポリカーボネート系ポリオールが好ましい。ウレタン結合中に反応性基として活性水素基を有するため、他の樹脂と比較すると低い水酸基価で架橋することができる。好ましい水酸基価の範囲は0から50である。更に、ポリアミン、ポリアミンのアルキレンオキシド付加物、アミド基含有ポリオール、ポリカルボン酸等が、本願発明の趣旨に反しない範囲で含有されていてもよい。上記ポリアミンとしては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン等の脂肪族ポリアミン、1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’−、2,4’−又は2,2’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン等の脂環族ポリアミン、m−又はp−キシリレンジアミン、1,3−又は1,4−テトラメチルキシリレンジアミン等の芳香脂肪族ポリアミン、2,4−又は2,6−トリレンジアミン、4,4’−、2,4’−又は2,2’−ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ポリアミンが例示できる。又、前記アミド基含有ポリオールとしては、ヒドロキシアルキルアミド等が例示できる。前記ポリカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族ポリカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ポリカルボン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ポリカルボン酸が例示できる。
ポリイソシアネート化合物は、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物である。上記のように、ポリイソシアネート化合物は、主剤樹脂を架橋して硬化(高分子量化)させ、プライマー層66に含まれる樹脂を形成させる。このとき、ポリイソシアネート化合物は、主剤樹脂とともにプライマー層66に含まれる樹脂の一部となる。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族系、脂環式系、芳香族系、芳香族−脂肪族系等が挙げられるが、易接着層が長期間に亘って外部環境に曝されることに伴う着色を抑制するという観点からは、脂肪族系、脂環式系のポリイソシアネート化合物が好ましく使用される。
ポリイソシアネート化合物の具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等といった炭素数3〜12の脂肪族イソシアネート;1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等といった炭素数5〜18の脂環式ジイソシアネート;これらのジイソシアネートの変性物(ビューレット、イソシアヌレート変性物等)等が挙げられる。これらは、単独で、又は2種以上を併用して使用することができる。又、架橋樹脂が架橋ウレタン樹脂の場合には末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーであってもよい。
その他の添加剤は、プライマー層66に対して、耐候性、耐光性、耐熱性、耐湿性、難燃性等を付与するために必要に応じて添加される。又、添加剤は、コーティング液の安定性、塗工性、乾燥性、耐ブロッキング性等を向上させるためにも必要に応じて添加される。その他の添加剤として、具体的には、イソシアネート系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、及びメチル/フェニル系シランカップリング剤等のシランカップリング剤、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等の有機金属配位化合物、及び、その他の分散剤、消泡剤、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、酸化防止剤等が例示される。これらは、公知のものを特に制限なく使用することができ、プライマー・コーティング液やプライマー層66に求められる性能に応じて、適宜選択される。
裏面保護シート基材の表面にプライマー・コーティング液を塗布する方法としては、従来公知の方法を特に制限なく使用することができる。このような塗布方法としては、印刷法、グラビアコーターによるコーティング法、ロールコーティング法、スプレーコティング法、ディップコーティング法、ベタコーティング法、はけ塗り法等が例示される。
上記方法で塗布されたコーティング塗膜に含まれる溶剤を蒸発させる方法としては、従来公知の方法を特に制限なく使用することができる。このような蒸発方法としては、加熱法、減圧乾燥法、熱風乾燥法、自然乾燥法等が例示されるが、特に限定されない。コーティング塗膜に含まれる溶剤を蒸発させる条件は、使用される溶剤に合わせて適宜設定すればよいが、加熱時間及び加熱温度については、ギヤオーブンを使用する場合には15秒〜5分間、60℃〜200℃の範囲であることが好ましく、30秒〜2分間、70℃〜120℃であることが更に好ましい。このように加熱することにより、好ましい耐ブロッキング性及び接着性が発現する。溶剤を蒸発させたコーティング塗膜は、架橋反応を十分に行わせるための養生に付されることが好ましい。養生の条件は、使用される主剤樹脂及び硬化剤の種類に応じて適宜設定すればよいが、例えば、40℃〜60℃で3〜7日間放置することが挙げられる。
コーティング塗膜から溶剤が蒸発除去されると、主剤樹脂、硬化剤、及びコーティング液に添加したその他の添加剤が基材の表面に残って薄膜を形成する。この薄膜が硬化してプライマー層66となる。
(白色プライマー・コーティング液)
プライマー層66も、受光面側接着剤層64と同様、白色光拡散層とすることにより、裏面保護シート6の拡散反射率の向上に寄与することができる。特に、金属箔層63に代えて、金属反射層として金属蒸着膜を配置した場合等、受光面側接着剤層64が形成されていないか、或いは、受光面側接着剤層64を白色光拡散層とはしていない場合に、このプライマー層66を白色光拡散層とすることが必須となる。プライマー層66を白色光拡散層とするためには、上記のプライマー・コーティング液に白色顔料を添加した白色プライマー・コーティング液を用いればよい。
白色プライマー・コーティング液に用いる白色顔料としては、上記において説明した受光面側接着剤層64を白色光拡散層とする際に用いる白色顔料と同種、同粒径の白色顔料を同様の態様で用いることができる。具体的には、粒径が0.1μm以上1.0μmの酸化チタン等の白色顔料が好ましく、粒径が0.2μm以上0.4μm以下の酸化チタン等の白色顔料を特に好ましく用いることができる。又、プライマー・コーティング液における白色顔料の含有量は、白色接着剤の場合と同様、PV比で0.1以上5.0以下であることが好ましい。
以上説明した白色プライマー・コーティング液を用いて、上述した着色を行わないプライマー層66と同様の方法で、中間樹脂層65の受光面側の表面にプライマー層66を白色光拡散層として形成することができる。塗布量は、固形分換算で0.1g/m以上20g/m以下であることが好ましい。塗布量と厚さが、この範囲であれば、太陽電池モジュール用シート積層部材に必要な接着強度等に応じて適宜変更すればよく、又、塗布量と厚さが、この範囲であることにより、波長750nm以上1500nm以下の近赤外線を十分に透過させて、近赤外線を効率よく屈折させて拡散させることができる。
又、白色プライマー・コーティング液における白色顔料の含有量、粒径、及び白色接着剤の塗布量を上記範囲とする限り、プライマー層66を白色光拡散層としない場合と同様に、プライマー層66に、十分な接着性を付与することができ、又、耐ブロッキング性が良好な加工性を付与することができ、コストも抑えることがきる。
[裏面側樹脂層]
裏面側樹脂層61には、耐候性に優れる各種の樹脂シートを用いることができる。例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、フッ素系樹脂等である。これらの中でも、耐加水分解性、水蒸気バリア性等に優れるフッ素系樹脂や、ほぼ同等の物性を備えつつ、製造コストを抑えることができるポリエチレンテレフタレート(PET)を特に好ましく用いることができる。
裏面側樹脂層61は、上記の樹脂シートを着色したものを用いてもよい。着色された耐候性の樹脂シートを用いることにより、着色されたバックシート、更には、着色された太陽電池モジュールとしての使用目的や使用態様に応じた意匠上の各種の要請に応えることができる。
[非受光面側接着剤層]
非受光面側接着剤層62は、裏面側樹脂層61の表面上に金属箔層63を接着する層であり、裏面側樹脂層61の上面、又は、その上面に対向する金属箔層63の下面に塗布された接着剤が裏面側樹脂層61と金属箔層63の積層後に硬化することによって形成される。
非受光面側接着剤層62を形成するための接着剤として、裏面側樹脂層61を形成する樹脂シート等と金属箔層63を形成する下記の金属箔を接着可能な接着剤を適宜用いることができる。具体的な例としては、上記の受光面側接着剤層64を形成するための接着剤として例示したウレタン系接着剤(白色顔料を含有しないもの)等を好ましく用いることができる。又、接着方法についても上記と同様の方法で行うことができる。
以上、説明した通り、裏面保護シート6は、波長750nm以上1500nm以下の近赤外線を高い光線反射率で反射することができる金属反射層と、通過光を効率よく拡散させることができる白色光拡散層を組み合わせることによって、簡易な構成でありながら、太陽電池モジュール1の発電効率を大幅に向上させることができる。従来の裏面保護シートで、発電効率の向上や、或いは意匠性の改善を目的としてシート内に白色の層を設ける場合には、本発明の裏面保護シート6における裏面側樹脂層61や中間樹脂層65に対応する基材樹脂層やプライマー層66に対応する封止材接着層に白色顔料を高充填で含有させたり、空洞を設けていた。一定の厚みを有するこれらの基材樹脂層に白色顔料を高充填で含有させたり、空洞を設けると、高い光拡散機能を有するが、膜厚を厚くする必要があるため、経済性に劣ることと、顔料を高充填することや、空洞を設けることにより、引張強度の低下があるといった問題がある。裏面保護シート6は、ごく薄い薄膜層である受光面側接着剤層64又はプライマー層66を白色層とすることによって、光線透過率と光線屈折性を最適化したものであり、これにより、裏面保護シートの拡散反射率を向上させたものである。
[その他の層]
本発明の裏面保護シート6には、本発明の効果を害さない範囲で、その他の層を設けてもよい。例えば、金属箔層63よりも非受光面側寄りに、裏面保護シート6の強度を増すための他の補強層(図示せず)を設けてもよい。又、金属箔層63と中間樹脂層65の間に、他の透明な補強層(図示せず)を設けてもよい。
<太陽電池モジュール用裏面保護シートの製造方法>
最後に、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートの製造方法について説明する。本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートの製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、各層の間に接着剤層を設けて、ドライラミネート加工により製造することができる。尚、上記白色接着剤層は、裏面保護シートを製造するための接着剤層の機能も有する。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1〜5>
下記表1に示す組成、及び以下に記す方法で、図3に示す層構成の多層構成の裏面保護シートを実施例の裏面保護シートとして製造した。
裏面側樹脂層を構成する樹脂フィルムとして下記の耐候性樹脂フィルム、金属箔層を構成する金属箔として下記のアルミ箔、中間樹脂層を構成する樹脂フィルムとして、下記の透明樹脂フィルムを用いた。非受光面側接着剤層を形成する接着剤としては、下記の透明接着剤、受光面側接着剤層を形成する接着剤として、下記の透明接着剤又は白色接着剤のいずれかを用いて、それぞれ、塗布量5.0g/m(乾燥状態)でコーティングして接着剤層を形成し、上記各フィルム部材を従来公知のドライラミネート法により積層した。そして、積層後の中間樹脂層の表面上に、以下に記す方法により、下記のプライマー・コーティング液のいずれかをミヤバー法により、塗布量2.0〜8.0g/m(乾燥状態)で塗布し、続いて塗布されたプライマー・コーティング液から、1分間、70℃、ドライヤー乾燥により溶剤成分を蒸発させてプライマー層を形成した。形成後、更に、45℃で3日間放置して養生し、実施例1〜5の裏面保護シートを得た。
下記の各フィルム、金属箔を、各層の基材として用いた。
耐候性樹脂フィルム:白色ETFEシート、商品名「アフレックス」(旭硝子社製)、厚さ25μm、粒径300nmの酸化チタン20質量%含有
透明樹脂フィルム1(表1において「透明PET」と表記):ポリエチレンテレフタレート(PET)シート、商品名「ルミラーS10」(東レ社製)、厚さ250μm。この透明樹脂フィルム1の光線透過率(下記評価例1の光線透過率の測定方法による)は、波長400nm〜1500nmの範囲で85%以上(図7参照)である。
アルミ箔:商品名「ニッパク#30」(日本製箔株式会社製)、厚さ30μm
下記の接着剤材料に、下記溶剤を加えて、それぞれ透明接着剤、白色接着剤を作製した。
透明接着剤(表1において「透明AD」と表記)
主剤:「A1143」硬化剤「A50」(ともに三井化学社製)
溶剤:トルエン:メチルエチルケトン=1:1の混合液
白色接着剤(表1において「白色AD」と表記)
主剤:透明接着剤に同じ
硬化剤:透明接着剤に同じ
溶剤::透明接着剤に同じ
白色顔料:酸化チタン、「D918」(堺化学株式会社製)、粒径0.26μm、主剤と硬化剤との固形分合計量に対する質量割合が100質量%となるように配合した。
下記のプライマー・コーティング液材料を、下記に記載の配合で調合し、更に、下記溶剤を加えて、それぞれ透明コーティング液、白色コーティング液を固形分濃度60質量%で調整した。
透明プライマー・コーティング液(表1において「透明Pr」と表記)
主剤:架橋性置換基含有アクリル樹脂(固形分40%、Tg41℃、酸価5.9、水酸基価19、重量平均分子量25000)、100質量部
硬化剤:ポリイソシアネート化合物、製品名「コロネートHX」(固形分80%、日本ポリウレタン工業株式会社製)、2.29質量部
有機金属配位化合物:アルミニウムトリスアセチルアセトネート、製品名「アルミキレートA(W)」(川研ファインケミカル社製)、主剤と硬化剤との合計量に対する質量割合が1.0質量%となるように配合した。
シランカップリング剤:メルカプト基含有メトキシ/エトキシシランオリゴマー、製品名「X−41−1805」(信越シリコーン株式会社製)。主剤と硬化剤との合計量に対する質量割合が1.5質量%となるように配合した。
溶剤:トルエン:メチルエチルケトン=1:1の混合液
白色プライマー・コーティング液(表1において「白色Pr」と表記)
主剤:透明プライマー・コーティング液に同じ。
硬化剤:透明プライマー・コーティング液に同じ。
有機金属配位化合物:透明プライマー・コーティング液に同じ。
シランカップリング剤:透明プライマー・コーティング液に同じ。
白色顔料:酸化チタン、「D918」(堺化学株式会社製)、粒径0.26μm、主剤と硬化剤との固形分合計量に対する質量割合が100質量%となるように配合
溶剤:トルエン:透明プライマー・コーティング液に同じ。
<比較例、参考例>
下記表1に示す組成、及び以下に示す方法で、図3に示す層構成に準じた構成であり、その透明な層を白色の層に置き換えたり、或いは、白色の層を透明な層に置き換えた裏面保護シートを実施例と同じくドライラミネート法により製造した。中間樹脂層を構成する樹脂フィルムとして、表1に示す通り、実施例と同じ透明樹脂フィルム1又は下記の白色樹脂フィルム1のいずれかを用い、又、受光面側接着剤層を形成する接着剤として、白色接着剤に代えて、実施例で用いた透明接着剤を用いた他は、実施例と同じ材料、同じ製造条件で比較例及び参考例の裏面保護シートを作製した。
下記の各フィルムを、中間樹脂層の基材として用いた。
透明樹脂フィルム1:実施例に同じ
白色樹脂フィルム1(表1において「白色空洞PET」と表記):厚さ250μmの白色空洞含有ポリエチレンテレフタレート(PET)シート(東洋紡績株式会社製、商品名「クリスパーK1212」)
尚、上述した通り、上記透明樹脂フィルム1の光線透過率(下記評価例1の光線透過率の測定方法による)は、尚、上記白色樹脂フィルムの光線透過率は、波長400nm以上1500nm以下の範囲で6%未満であった。
Figure 2014027155
<評価例1(拡散反射率と透過率)>
実施例1〜5、比較例、参考例の裏面保護シートについて、波長域毎の拡散反射率と透過率を評価した。評価は以下の方法で測定した数値に基づいて行った。
分光光度計(株式会社島津製作所製、UV−3100)を用いて、実施例1〜5及び比較例、参考例の裏面保護シートのプライマー層側から光を入射したときの、波長250nmから2600nmの光の拡散反射率(%)を、分光光度計(株式会社島津製作所製、UV−3100)により測定した値であり、硫酸バリウムの微粉末を固めた白板の拡散反射率を100%とする拡散反射率の相対値とした。評価結果を図4に示した。
又、実施例1〜5及び比較例、参考例の裏面保護シートにおいて、アルミ箔と耐候性樹脂フィルムを除き、受光面側接着剤層、中間樹脂層、プライマー層からなる基材積層体(以下において、単に「基材積層体」と言う。)にプライマー層側から光を入射したときの、波長250nmから2600nmの光の拡散反射率(%)を測定した。評価結果を図5に示した。
又、分光光度計(株式会社島津製作所製、UV−3100)を用いて、実施例1〜5及び比較例、参考例の裏面保護シートの上記の基材積層体にプライマー層側から光を入射したときの、波長250nmから2600nmの光の光線透過率(%)を測定した。評価結果を図6に示した。
図4に示す結果より、本発明の裏面保護シートは、波長750nm以上1500nm以下の近赤外線の拡散反射率が高いことが確認された。この結果は、本発明の裏面保護シートを用いて太陽電池モジュールを作製した場合に、波長750nm以上1500nm以下の光線の金属反射層での反射と、白色光拡散層における拡散によって、太陽電池モジュールの発電効率が向上することを意味する。
又、図5及び図6から、本発明の裏面保護シートを構成する白色のプライマー層や接着剤層は、それ自体の拡散反射率は高くはないが(図5参照)、白色層でありながら光を十分に透過することによって、アルミ箔の反射光を活用して、裏面保護シートの波長750nm以上1500nm以下の近赤外線に対する拡散反射率を十分に高めることができるものであることが確認された。
<評価例2(耐久性)>
実施例1〜5、比較例、参考例の裏面保護シートについて耐久性を評価した。評価は以下の方法で測定した数値に基づいて行った。結果を表2に示す。
(破断強度試験)
それぞれ中間樹脂層として、実施例1〜5及び比較例に使用の透明PETと、参考例に使用の白色空洞PETについて、ISO527−3に準じて、それぞれの破断強度を測定した。各樹脂を長さ130mm幅10mm巾に切って試験片とし、テンシロンにて、引っ張り速度100mm/分で、チャック間距離100mmにて測定し結果を表2に示した。破断強度については、120MPa以上のものを好ましいものと評価して「A」とし、120MPa未満のものを好ましくないものと評価して「C」とした。結果を表2に示す。
(剥離試験)
ISO11339に準じて測定した。15mm巾に切れ目を入れ、テンシロンにて、引っ張り速度50mm/分で、アルミ箔と昼間樹脂層の層間のT字剥離試験を実施した。裏面保護シート用のいずれかの樹脂基材が破断した場合は、表中に基材破断(※1)と記した。又、その他、いずれの層間に剥離が見られたかについても、表中に記した。上記、剥離試験は、湿熱耐久(85℃85%RH1000h)試験を行い、試験終了後25℃50%RH下で48時間放置後、密着耐久性を評価した。剥離強度が湿熱耐久試験前と比較して70%以上を合格として「A」とし、70%未満を不合格として「C」とした。結果を表3に示す。
Figure 2014027155
Figure 2014027155
表2及び表3から本発明の裏面保護シートは、太陽電池モジュール用の裏面保護シートとして好ましい耐久性を備えるものであることが確認された。
<評価例3(封止材密着性)>
上記実施例1〜5と比較例、参考例の裏面保護シートのプライマー層側の表面と、下記封止材からなる背面封止材シートと強化ガラスとを150℃×15分間真空プレスして積層した後の裏面保護シートと背面封止シートの接着強度を、ISO 8510−2に準拠し、180℃剥離試験を基材幅15mm、剥離速度50mm/minの条件でN/15mm幅として測定した。初期値と、湿熱耐久(85℃85%RH)試験(1000時間)後の耐久値を測定し、剥離強度が30N/15mm以上、及び、耐久試験後の剥離強度が初期値と比較して70%以上を合格として「A」と示し、70%未満を不合格として「C」と示した。結果を表4に示す。
封止材1(架橋剤無のポリエチレン系樹脂)
シラン変性透明樹脂:密度0.898g/cm3であり、190℃でのメルトマスフローレートが2g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(以下、M−LLDPEと称する。)98質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.1質量部とを混合し、200℃で溶融、混練し、シラン変性透明樹脂を得た。
耐候性マスターバッチ:密度0.920g/cm3のチーグラー直鎖状低密度ポリエチレンを粉砕したパウダー100質量部に対して、ベンゾフェノール系紫外線吸収剤3.8質量部とヒンダードアミン系光安定化剤5質量部と、リン系熱安定化剤0.5質量部とを混合して溶融、加工し、ペレット化したマスターバッチを得た。
上記のシラン変性透明樹脂20質量部、耐候性マスターバッチ5質量部、添加用ポリエチレンとしての密度0.905g/cm3のメタロセン直鎖状低密度ポリエチレン80質量部とを混合し、φ150mm押出し機、1000mm幅のTダイスを有するフィルム成形機を用いて、押出し温度230℃、引き取り速度2.3m/minで厚さ400μmの封止材シートを作製した。
封止材2(架橋剤有のポリエチレン系樹脂)
シラン変性透明樹脂:密度0.881g/cmであり、190℃でのMFRが2g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)98質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.1質量部とを混合し、200℃で溶融、混練し、密度0.884g/cm、190℃でのMFRが1.8g/10分であるシラン変性透明樹脂を得た。
耐候性マスターバッチ:密度0.880g/cmのチーグラー直鎖状低密度ポリエチレンを粉砕したパウダー100質量部に対して、ベンゾフェノール系紫外線吸収剤3.8質量部とヒンダードアミン系光安定化剤5質量部と、リン系熱安定化剤0.5質量部とを混合して溶融、加工し、ペレット化したマスターバッチを得た。
架橋剤コンパウンド樹脂1:密度0.880g/cm、190℃でのMFRが3.1g/10分のM−LLDPEペレット100質量部に対して、架橋剤として2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン0.1質量部を含浸させコンパウンドペレットを得た。
上記のシラン変性透明樹脂20質量部、耐候性マスターバッチ5質量部、架橋剤コンパウンド樹脂1の80質量部を混合し、φ30mm押出し機、200mm幅のTダイスを有するフィルム成形機を用いて、押出し温度210℃、引き取り速度1.1m/minで厚さ400μmの封止材シートを作製した。
封止材3(架橋剤有のポリエチレン系樹脂)
EVA(酢酸ビニル含量28%、三井デュポンポリケミカル製、商品名EVAFLEX/EV250グレード)の100質量部に対して、架橋剤(Lupersol101)1.5質量部、酸化防止剤(NAUGARD−P)0.2質量部、UV吸収剤(Tinuvin7709の0.1質量部とCyasorb UV−531の0.3質量部)を配合したものを用いた。成膜温度は90℃〜100℃のTダイ法により厚さ400μmの封止材シートを作成した。
Figure 2014027155
表4から本発明の裏面保護シートは、太陽電池モジュール用の裏面保護シートとして好ましい封止材密着性を備えるものであることが確認された。
以上の試験結果より、本発明の裏面保護シートは、太陽電池モジュール用の裏面保護シートに必須である耐久性や封止材密着性を十分に備えるものであること、そして、従来の裏面保護シートの層構成を大きく変更することなく、太陽電池モジュールの発電効率に寄与する波長750nm以上1500nm以下の近赤外線の拡散反射率を十分に向上させたものであることが理解できる。即ち、本発明の裏面保護シートは低コストで太陽電池モジュールの発電効率の向上に寄与できるものであることが分かる。
1 太陽電池モジュール
2 透明前面基板
3 前面封止材層
4 太陽電池素子
5 背面封止材層
6 裏面保護シート
61 裏面側樹脂層
62 非受光面側接着剤層
63 金属箔層
64 受光面側接着剤層
65 中間樹脂層
66 プライマー層
7 入射光
7A 通過光

Claims (6)

  1. 裏面側樹脂層と、金属箔層又は金属蒸着層と、中間樹脂層と、プライマー層と、が順次積層されており、
    前記金属箔層と前記中間樹脂層とは受光面側接着剤層を介して積層されており、
    前記受光面側接着剤層又は前記プライマー層中に白色顔料が含有されている、太陽電池モジュール用の裏面保護シート。
  2. 前記金属箔層又は前記金属蒸着層が、アルミニウム箔層である、請求項1に記載の裏面保護シート。
  3. 前記受光面側接着剤層の塗布量が2.0g/m以上20.0g/m以下であるか、又は、前記プライマー層の塗布量が、固形分換算で0.1g/m以上20.0g/m以下であり、
    前記受光面側接着剤層又は前記プライマー層中における前記白色顔料の含有量がPV比で0.1以上5以下である、請求項1又は2に記載の裏面保護シート。
  4. 前記白色顔料が平均粒径0.1μm以上1.0μm以下の酸化チタンである、請求項1から3のいずれかに記載の裏面保護シート。
  5. 前記プライマー層側から照射した場合の、波長750nm以上1500nm以下における拡散反射率が50%以上である、請求項1から4のいずれかに記載の裏面保護シート。
  6. 前記中間樹脂層の、波長750nm以上1500nm以下における光線透過率が60%以上である、請求項1から5のいずれかに記載の裏面保護シート。
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