JP2011091303A - 太陽電池裏面保護シート及びそれを用いた太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池裏面保護シート及びそれを用いた太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】強度、耐候性、耐熱性、耐水性、防湿性等に優れ、その経時的な耐久性を有することが求められる中で、充填層との良好な接着性を有し、かつ充填層との剥離がない太陽電池裏面保護シートおよびそれを用いた太陽電池モジュ−ルを提供する。
【解決手段】少なくとも充填材により太陽電池セルを固定する充填層と、該充填層の太陽光入射側に積層される表面保護シートと、その反対面側に積層される裏面保護シートとを備えてなる太陽電池モジュールのうち、裏面保護シートが、耐加水分解性を有し、相対温度指数(Relative Thermal Index)が100℃以上である耐候層22と、太陽電池セルからの放電を外部への放電を防止する絶縁層21と、絶縁性を有しかつ充填層への強接着可能な着色剤を添加した絶縁・易接着樹脂層23とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池を構成する裏面保護シート及びそれを用いた太陽電池モジュールに関し、とくに機械的強度、耐候性、耐水性、防湿性に優れるとともに、高い耐久性を示し、内蔵される太陽電池セルを安定的に保護することをできる太陽電池裏面保護シート及びそれを用いた太陽電池モジュールに関する。
近年、クリ−ンなエネルギー源としての太陽電池発電システムが発電手段の一つとして普及が進んでいる。太陽電池は太陽光をエネルギー源としているように、屋外に設置されるため、太陽光中に有害光、とくに紫外線や、年間を通して高温や低温に曝され、さらにはその温度差による、或いは風雨に暴露されることによる水気や湿気による、内蔵される太陽電池セルや配線等の腐食や劣化を生じさせることなく、長期間にわたる安定した発電が可能なように、太陽電池モジュールの外層に用いられる裏面保護シートは、内蔵される太陽電池セルや配線等を保護可能とする機能とともに自らは高い耐久性を求められている。
現在、種々の形態からなる太陽電池モジュ−ルが開発提案されており、一般に、太陽電池モジュ−ルは、例えば、結晶シリコン太陽電池セルあるいはアモルファスシリコン太陽電池セルなどを光起電力素子として使用し、図3に示すように、表面保護シ−ト層、充填剤層、光起電力素子、充填剤層、および裏面保護シ−ト層等の順に積層、真空吸引し加熱圧着によるラミネートを経て製造されている。太陽電池モジュ−ルを構成する裏面保護シ−ト層としては、強度に優れたプラスチック基材等が、一般的に使用されている。
太陽電池モジュ−ルを構成する裏面保護シ−ト層としては、強度、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐薬品性、光反射性、光拡散性、防湿性、防汚性等に優れ、その経時的な耐久性が高いことが必要とされている。
太陽電池裏面保護シートには、最も一般的に使用されているポリフッ化ビニルフィルム(PVF)とアルミニウム(Al)箔等の金属層、さらにポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)などがあり、例えばポリフッ化ビニルフィルム/アルミニウム/ポリフッ化ビニルフィルム、ポリフッ化ビニルフィルム/アルミニウム/ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム/アルミニウム/ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリフッ化ビニルフィルム/アルミニウム/ポリエチレンテレフタレートフィルム/ポリフッ化ビニルフィルムなどのように積層された複合フィルムとして用いられている。
ポリフッ化ビニルフィルム(PVF)は耐候性、耐加水分解性、光の反射性等は優れるが、電気絶縁性、ガスバリア性やフィルムの腰が弱く太陽電池の加工性に劣るため、太陽電池分野では、フィルムを厚くするか、上記のようにガスバリア層として金属層を設けている。さらにこれらの複合フィルムには太陽電池セルで起電した電力が配線を通してジャンクションボックスに導かれるよう導線を通す開口部(窓部)を設ける必要があり、さらに開口部の端面を絶縁テープにより被覆する絶縁処理(絶縁テープと貼付作業)を必要とし、また層間に金属層が存在するため、裏面保護シートに要求される部分放電電圧値に寄与する部分が薄くなるため、金属層より内側となる充填層側の層を厚くする必要が生じ、その分がコストアップとなっていた。
金属層に代えて透明蒸着バリアフィルム(「GLフィルム」凸版印刷製、「IBフィルム」大日本印刷製、「テックバリア」三菱樹脂製等)やバリア剤コーティングフィルム(「エコシアール」東洋紡製、「クラリスタ」クラレ製)を用いることで、上記のような絶縁処理は不要となる。
ここで太陽電池は、太陽光を受けて電気に変換するため、太陽電池セルからなる太陽電池モジュールは高い発電効率が求められており、その向上の一手段として、太陽電池モジュールを透過してくる太陽光を、太陽電池セルを保持する充填材(太陽電池セルの裏側)や裏面保護シートによって反射させ、太陽電池モジュールに再入光させるために、裏面保護シートを白色とすることが提案されている(特許文献1、2、3)。
また、太陽電池の太陽電池セル以外の構造が表面から透けて見える、内部のさまざまな構成材の色による調和の乱れや建物の色とのバランスを欠くとの指摘がなされ、この意匠性の問題に対して、充填層(封止層)や裏面保護シートを着色することが提案されている(特許文献4、5)。
この太陽電池裏面保護シートは、強度、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐薬品性、光反射性、光拡散性、防湿性、防汚性等を満たすものとして耐候層をはじめ、複数の層を積層している。
この太陽電池裏面保護シートの構成例としては、(1)ポリフッ化ビニルフィルム(PVF)/ポリエチレンテレフタレート/ポリフッ化ビニルフィルム(PVF)、(2)(PVF)/ポリエチレンテレフタレート/透明エチレンビニル共重合体(EVA)、(3)耐加水分解ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート/易接着コート(プライマー層)があげられるが、(1)はPVFが高価であり、さらに部分放電対応としてPETの厚さをとる必要があることから、コストがかかる問題があり、(2)は充填材と同じ素材であるEVAを積層しているが、EVAが劣化し易い問題があり、(3)は部分放電対応としてPETの厚さをとる必要と易接着コートが別工程となるため、コストがかかる問題がある。
特開昭60−250946号公報 特許第3776082号公報 特開2005−79170号公報 特開2001−111077号公報 特開2004−200322号公報
そこで、本発明は、強度、耐候性、耐熱性、耐水性、防湿性等に優れ、その経時的な耐久性を有することが求められる中で、充填層との良好な接着性を有し、かつ充填層との剥離がない太陽電池裏面保護シートおよびそれを用いた太陽電池モジュ−ルを提供することを目的とする。
上記課題を解決すべくなされた本発明は、
少なくとも充填材により太陽電池セルを固定する充填層と、該充填層の太陽光入射側に積層される表面保護シートと、その反対面側に積層される裏面保護シートとを備えてなる太陽電池モジュールのうち、裏面保護シートが、耐加水分解性を有し、相対温度指数(Relative Thermal Index)が100℃以上である耐候層と、太陽電池セルからの放電を外部への放電を防止する絶縁層と、絶縁性を有しかつ充填層への強接着可能な絶縁・易接着樹脂層とを備え、該絶縁・易接着樹脂層に着色剤を添加してなることを特徴とする太陽電池裏面保護シート(請求項1)。
これにより、裏面保護シートの耐候層は、強度、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐薬品性である耐久性を示し、その他面側に絶縁性を有しかつ充填層への強接着可能な絶縁・易接着樹脂層と、液晶ポリマーフィルムと絶縁・易接着樹脂層とを接着する接着層を設けることで、裏面保護シートの層間や、裏面保護シートと充填層との密着性を保ち、経時変化における層間の剥離が生じる問題を低減することができる。
絶縁・易接着樹脂層が、酢酸ビニル(VA)含有率を2〜20重量%のエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)であることを特徴とする(請求項2)。
着色剤としてカーボンブラックからなる黒色顔料を1重量%以上添加してなることを特徴とする(請求項3)。
着色剤として酸化チタンまたは硫酸バリウムからなる白色顔料を2重量%以上添加してなることを特徴とする(請求項4)。
絶縁層が100℃以上の耐熱性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムであることを特徴とする(請求項5)。
縁層の厚さが前記絶縁・易接着樹脂の厚さに比べ相対的に薄いことを特徴とする(請求項6)。
耐候層、絶縁層、絶縁・易接着層の各層間を接着する接着剤が、耐加水分解性の高いポリカーボネート系接着剤、ゴム系接着剤、ポリウレタン系接着剤の一液または硬化剤或いは架橋剤を併用する二液硬化型であることを特徴とする(請求項7)。
耐候層と絶縁層との間にバリア層を有することを特徴とする(請求項8)。
請求項1〜8のいずれかに記載の太陽電池裏面保護シートを、充填材により太陽電池セルを固定する充填層に積層してなることを特徴とする太陽電池モジュール。
である(請求項9)。
本発明の太陽電池裏面保護シートおよびそれを用いた太陽電池モジュールは、強度、耐候性、耐熱性、防湿性、耐水性等を有し、とくに層間の密着性とその経時的耐久性に優れ、より低コストで安全な、充填層との良好な接着性を有し、かつ充填層との剥離がない。
本発明の第1の実施形態の太陽電池裏面シートの一例を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態の太陽電池裏面シートの一例を示す断面図である。 (a)、(b)は、太陽電池裏面保護シートを用いた太陽電池モジュールの概略断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図3(a)の断面図に示す太陽電池モジュール1は、シリコン結晶系太陽電池セル2をインターコネクタ6により複数接続し、これを密封するエチレン−ビニルアセテート共重合体(EVA)に代表される充填層3と、両側に形成される表面保護層4及び裏面保護シート5を積層したシリコン結晶系太陽電池であり、太陽電池セル2で起電した電力が配線7を通してジャンクションボックス8に導かれるよう導線を通す開口部(図示しない)を裏面保護シート5に形成している。また、図3(b)の断面図に示す太陽電池モジュール11は、アモルファスシリコンなどの薄膜系太陽電池セル12と、これを密封する充填層3と、両側に形成される表面保護層4及び裏面保護シート5を積層した薄膜系太陽電池であり、同様に太陽電池セル2で起電した電力が配線7を通してジャンクションボックス8に導かれるよう導線を通す開口部(図示しない)を裏面保護シート5に形成している。
この太陽電池モジール1、11において、耐熱性、耐候性や防湿性等の諸機能を満たす本発明の太陽電池裏面保護シートを図1および図2に基づき説明する。
まず図1に示す裏面保護シート5は、耐候層22、絶縁層21、絶縁性を有しかつ充填層3への密着可能な絶縁・易接着樹脂層23が、耐候層22と絶縁層21とを接着する接着層24、絶縁層21と絶縁・易接着樹脂層23とを接着する接着層25を介して順次積層されている。
なお。絶縁層21の片面にキャスト製膜により耐候層22を形成してもよい。
図2に示す裏面保護シート5は、耐候層22と絶縁層21との層間にバリア層25を形成したものであり、水蒸気透過率がより小さくする(水分バリア性に優れる)ことが要求される場合に、形成するものであり、水分の透過による充填材の剥離防止や変色防止、さらには太陽電池セルの配線の腐蝕を防止する効果を有する。
耐候層22は、耐加水分解性を有し、相対温度指数(Relative Thermal Index)が100℃以上である、強度、耐候性、耐熱性、耐水性、防湿性等に優れ、その経時的な耐久性を有する耐候性フィルムとして、ポリフッ化ビニル樹脂(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ化エチレンプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン‐ペルフルオロアルキルビニルエーテル樹脂(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などがあり、また耐加水分解性樹脂フィルムとして、高温高湿下において長時間の使用であっても、樹脂の加水分解が抑制され、樹脂フィルムの機械特性が実用上問題のないレベルに保持できる、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル樹脂フィルムやポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート等の樹脂フィルムが挙げられ、なかでも強度、寸法安定性、熱安定性に優れるポリエステル樹脂フィルムが好ましく、とくにポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
これらは、フィルム又はシートの形状に加工されたものが用いられる。
なお、他の形成方法として、例えばポリフッ化ビニル樹脂をジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレンカーボネイド、非プロトン性溶媒などから選択される溶剤に溶解したキャスト用樹脂溶液を用いて溶剤キャスト法により絶縁層21に塗工した後、乾燥してキャスト用樹脂溶液中の溶剤を除去して耐候層を形成することも可能である。溶剤キャスト法では、キャスト用樹脂溶液が塗布時、溶液の有する展性と凝集性等によって塗膜の厚さを平準化する、所謂セルフレベリング機能を有し、塗膜の乾燥時、キャスト用樹脂溶液中の樹脂濃度に相当して厚さが減ずるので、塗布時の塗膜厚のバラツキは樹脂濃度に応じて小さくなる。
耐候層22の厚さは、乾燥後、0.5〜100μmの範囲が望ましく、とくに好ましくは15〜75μmである。
なお、図2に示すように、この耐候層22は絶縁層21面に塗工した後、乾燥してキャスト用樹脂溶液中の溶剤を除去して形成する場合、下記に述べる接着層24は不要となる。
絶縁層21は、太陽電池内部の発電素子である太陽電池セルで発生した電気を外部に放電することを防ぐものであり、厚くなるほど絶縁性が高くなるが、コストがかかるため、太陽電池裏面保護シートの規格である部分放電電圧値の数値に応じた厚さとすることができ、100℃以上の耐熱性と剛性(コシ)を有するポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく、剛性を有すると25μm以上がよい。25μm未満である場合は、貼り合わせて積層する際に太陽電池裏面保護シート全体としてコシがないため、太陽電池モジュール製造時の作業性が著しく悪くなる。
絶縁・易接着樹脂層23は、絶縁性を有するとともに、太陽電池セル2を内包する充填層3(特に架橋型EVA)と強接着する、酢酸ビニル(VA)含有率が2〜20重量%であるエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂がよい。酢酸ビニル(VA)含有率は2%未満では充填層3のエチレン酢酸ビニル共重合体からなる充填材との密着性が悪くなり、20%を超えるとブロッキングしやすくなるため、製膜し難くなる。
また、絶縁・易接着樹脂層23の厚さは、太陽電池モジュールに要求される部分放電電圧の条件を満たすことが必要であり、その状態に合わせて任意に厚さを設定することができる。
この絶縁・易接着樹脂層23は、太陽電池モジュールとして使用されると、エチレン酢酸ビニル共重合体が透過してくる太陽光により強度が劣化するため、着色剤としてカーボンブラックからなる黒色顔料を1重量%以上添加、或いは酸化チタンまたは硫酸バリウムからなる白色顔料を2重量%以上添加し、かつ厚さを30μm以上とすることにより、絶縁・易接着樹脂層23内部への紫外線(UV)の暴露を防止することができる。上記顔料の上記添加量を下回る場合は太陽光の紫外線により絶縁・易接着樹脂層23は劣化を生じる。
接着層24は、耐候層22と絶縁層21、絶縁層21と絶縁・易接着樹脂層23の各層間を接着するものであり、例えばポリエーテルポリウレタン系、ポリエステルポリウレタン系、ポリエステル系などを主剤としポリイソシアネートを硬化剤とするドライラミネート用接着剤が作業性のよいことから好適である。他にSBS、SBRなどを主剤とするゴム系接着剤、ポリカーボネートを主剤とするポリカーボネート系接着剤が挙げられる。
なお、図2のバリア層25は、例えばアルミニウムなどの金属箔からなる金属箔層(図示しない)や樹脂基材に蒸着層26を設けた積層体であり、接着層24を介して耐候層22と絶縁層21との間で接着される。
蒸着層26は、アルミニウムなどの金属や酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の無機酸化物をポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂フィルムからなる樹脂基材27上に、真空蒸着法やスパッタリング法等の形成手段により蒸着形成したものである。
さらに図示しないが、上記蒸着層に下記の(A)と(B)とを含む化合物からなるオーバーコート層が積層し、バリア性を向上されせることも可能である。
(A):水溶性高分子。
(B):一般式R‐Si(OR’)3で表されるシランモノマー又はその加水分解物、一般式M(OR’)nで表される1種以上の金属アルコキシド又はその加水分解物、シランカップリング剤又はその加水分解物、またはこれらの混合物[但し、Rはアルキル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基から選ばれる官能基であり、R’はアルキル基などであり、Mは金属イオンであり、nはそのイオンの価数である。]。
これらを順次形成した裏面保護シート5は、表面保護層4とともに太陽電池セルを密封するエチレン−ビニルアセテート共重合体に代表される充填層3の両側に積層され、太陽電池モジュール1、11が形成できる。
本発明の裏面保護シートは、結晶系太陽電池セルおよび薄膜系太陽電池セル以外の有機化合物系太陽電池セル、無機化合物系太陽電池セルなどの構成の異なる太陽電池セルの裏面保護シートとして用いることができる。
<実施例1>
耐候層22として厚さ25μmのポリフッ化ビニル樹脂フィルム(品名「PV2111」デュポン社製)、絶縁層21として厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(品名「S10」東レ社製)、絶縁・易接着樹脂層23として厚さ150μmのカーボンブラックを3%添加した黒色エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂フィルム(酢酸ビニル(VA)含有率5%)を、2液硬化型ウレタン系接着剤(品名「主剤A511/硬化剤A50」三井化学ポリウレタン(株))の塗布量5g/m(乾燥後)により接着し、部分放電1000Vに対応可能な黒色の太陽電池裏面保護シートとした。
この太陽電池裏面保護シートを用いて、図3に示すように表面保護シート、充填層(EVA)、太陽電池セル、充填層(EVA)に積層し、150℃・30分・1torrの真空加熱によりラミネートして太陽電池モジュールを製作した。
<実施例2>
耐候層22として厚さ25μmのポリフッ化ビニル樹脂フィルム(品名「PV2111」デュポン社製)、絶縁層21として厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(品名「S10」東レ社製)、絶縁・易接着樹脂層23として厚さ100μmの酸化チタンを5%添加した白色エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂フィルム(酢酸ビニル(VA)含有率5%)を、2液硬化型ウレタン系接着剤(品名「主剤A511/硬化剤A50」三井化学ポリウレタン(株))の塗布量5g/m(乾燥後)により接着し、部分放電600Vに対応可能な白色の太陽電池裏面保護シートとした。
この太陽電池裏面保護シートを用いて、実施例1と同様に太陽電池モジュールを製作した。
<実施例3>
耐候層22として厚さ25μmのポリフッ化ビニル樹脂フィルム(品名「PV2111」デュポン社製)、絶縁層21として厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(品名「S10」東レ社製)、絶縁・易接着樹脂層23として厚さ50μmのカーボンブラックを3%添加した黒色エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂フィルムを、2液硬化型ウレタン系接着剤(品名「主剤A511/硬化剤A50」三井化学ポリウレタン(株))の塗布量5g/m(乾燥後)により接着し、コシのある部分放電1000Vに対応可能な黒色の太陽電池裏面保護シートとした。
この太陽電池裏面保護シートを用いて、実施例1と同様に太陽電池モジュールを製作した。
<比較例1>
耐候層として厚さ25μmのポリフッ化ビニル樹脂フィルム(品名「PV2111」デュポン社製)、絶縁層として厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(品名「S10」東レ社製)、絶縁・易接着樹脂層として厚さ150μmの透明エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂フィルム(酢酸ビニル(VA)含有率5%)を、2液硬化型ウレタン系接着剤(品名「主剤A511/硬化剤A50」三井化学ポリウレタン(株))の塗布量5g/m(乾燥後)により接着し、部分放電1000Vに対応可能な太陽電池裏面保護シートとした。
この太陽電池裏面保護シートを用いて、実施例1と同様に太陽電池モジュールを製作した。
<比較例2>
耐候層として厚さ25μmのポリフッ化ビニル樹脂フィルム(品名「PV2111」デュポン社製)、絶縁層として厚さ250μmの白色ポリエチレンテレフタレートフィルム(品名「E20」東レ社製)を、2液硬化型ウレタン系接着剤(品名「主剤A511/硬化剤A50」三井化学ポリウレタン(株))の塗布量5g/m(乾燥後)により接着し、さらに絶縁・易接着樹脂層としてアクリル系易接着コート薬剤を絶縁層の白色ポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布量10g/m(乾燥後)を塗工接着し、部分放電1000Vに対応可能な白色の太陽電池裏面保護シートとした。
この太陽電池裏面保護シートを用いて、実施例1と同様に太陽電池モジュールを製作した。
<比較例3>
耐候層として厚さ25μmのポリフッ化ビニル樹脂フィルム(品名「PV2111」デュポン社製)、絶縁層として厚さ250μmの白色ポリエチレンテレフタレートフィルム(品名「E20」東レ社製)、絶縁・易接着樹脂層として厚さ25μmのポリフッ化ビニル樹脂フィルム(品名「PV2111」デュポン社製)を2液硬化型ウレタン系接着剤(品名「主剤A511/硬化剤A50」三井化学ポリウレタン(株))の塗布量5g/m(乾燥後)により接着し、部分放電1000Vに対応可能な白色の太陽電池裏面保護シートとした。
この太陽電池裏面保護シートを用いて、実施例1と同様に太陽電池モジュールを製作した。
<評価>
実施例1〜実施例3と比較例1〜3で得られた太陽電池裏面保護シートをそれぞれ部分放電電圧値、UV照射絶縁・易接着樹脂層(EVA)面状態、EVAラミネート強度を所定の評価方法により評価し、さらに絶縁加工や資材などのコストの評価を行い、評価結果を表1に示す。
<評価方法>
(1)部分放電電圧:IEC60664−1:2007 Clause6.1.3.5にて測定(V)
(2)剛性(コシ):太陽電池裏面保護シートを手で曲げて柔軟・中・硬いの3段階に評価
(3)UV照射後のEVA面:JIS K 7350−2(キセノンアーク光源)に従い太陽電池裏面保護シートの絶縁・易接着樹脂層面にUV照射後、目視で状態を評価
(4)EVAへの密着性:充填材を太陽電池裏面保護シートに絶縁・易接着樹脂層面を内側に挟み、下記条件にてラミネート後、15mm幅にカット、各太陽電池裏面保護シートを90°方向に引っ張りラミネート強度を測定スピード300mm/minで測定(N/15mm)
EVA充填材(商品名「Ultra Pearl PV−45FR00S」サンビック社製 厚さ450μm)/(商品名「RC02B−45T」三井ファブロ社製 厚さ450μm)
ラミネート条件:150℃の温度で3分間、真空脱泡処理後、150℃の温度で11分間、大気圧プレスを用いて加圧

なお、実施例1〜実施例3と比較例1〜3ので得られた太陽電池裏面保護シートを用いた太陽電池モジュールに太陽光を照射し出力試験を行ったところ、いずれも良好な出力結果が得られた。
表1の評価に基づき、総合評価を◎・・・良、○・・・可、×・・・不可とした。
表1に示す通り、本発明の太陽電池裏面保護シートは、強度、耐候性等を有し、とくに絶縁・易接着樹脂層面と充填層との層間の密着性とその経時的耐久性に優れ、より低コストで安全な、充填層との良好な接着性を有し、かつ充填層との剥離を生じることがない。
1 … 太陽電池モジュール
2 … 太陽電池セル
3 … 充填層
4 … 表面保護層
5 … 裏面保護シート
6 … インターコネクタ
7 … 配線
8 … ジャンクションボックス
11… 太陽電池モジュール
12… 太陽電池セル
21… 絶縁層
22… 耐候層
23… 絶縁・易接着樹脂層
24… 接着層
25… バリア層
26… 蒸着層
27… 樹脂基材

Claims (9)

  1. 少なくとも充填材により太陽電池セルを固定する充填層と、該充填層の太陽光入射側に積層される表面保護シートと、その反対面側に積層される裏面保護シートとを備えてなる太陽電池モジュールのうち、前記裏面保護シートが、耐加水分解性を有し、相対温度指数(Relative Thermal Index)が100℃以上である耐候層と、太陽電池セルからの放電を外部への放電を防止する絶縁層と、絶縁性を有しかつ前記充填層への強接着可能な絶縁・易接着樹脂層とを備え、該絶縁・易接着樹脂層に着色剤を添加してなることを特徴とする太陽電池裏面保護シート。
  2. 前記絶縁・易接着樹脂層が、酢酸ビニル(VA)含有率を2〜20重量%のエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池裏面保護シート。
  3. 前記着色剤としてカーボンブラックからなる黒色顔料を1重量%以上添加してなることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池裏面保護シート。
  4. 前記着色剤として酸化チタンまたは硫酸バリウムからなる白色顔料を2重量%以上添加してなることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池裏面保護シート。
  5. 前記絶縁層が100℃以上の耐熱性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムであることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池裏面保護シート。
  6. 前記絶縁層の厚さが前記絶縁・易接着樹脂の厚さに比べ相対的に薄いことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池裏面保護シート。
  7. 前記耐候層、前記絶縁層、前記絶縁・易接着層の各層間を接着する接着剤が、耐加水分解性の高いポリカーボネート系接着剤、ゴム系接着剤、ポリウレタン系接着剤の一液または硬化剤或いは架橋剤を併用する二液硬化型であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池裏面保護シート。
  8. 前記耐候層と前記絶縁層との間にバリア層をすることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池裏面保護シート。
  9. 請求項1〜9のいずれかに記載の太陽電池裏面保護シートを、充填材により太陽電池セルを固定する充填層に積層してなることを特徴とする太陽電池モジュール。
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