JP2011091303A - 太陽電池裏面保護シート及びそれを用いた太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも充填材により太陽電池セルを固定する充填層と、該充填層の太陽光入射側に積層される表面保護シートと、その反対面側に積層される裏面保護シートとを備えてなる太陽電池モジュールのうち、裏面保護シートが、耐加水分解性を有し、相対温度指数(Relative Thermal Index)が100℃以上である耐候層22と、太陽電池セルからの放電を外部への放電を防止する絶縁層21と、絶縁性を有しかつ充填層への強接着可能な着色剤を添加した絶縁・易接着樹脂層23とを備える。
【選択図】図1
Description
ポリフッ化ビニルフィルム(PVF)は耐候性、耐加水分解性、光の反射性等は優れるが、電気絶縁性、ガスバリア性やフィルムの腰が弱く太陽電池の加工性に劣るため、太陽電池分野では、フィルムを厚くするか、上記のようにガスバリア層として金属層を設けている。さらにこれらの複合フィルムには太陽電池セルで起電した電力が配線を通してジャンクションボックスに導かれるよう導線を通す開口部(窓部)を設ける必要があり、さらに開口部の端面を絶縁テープにより被覆する絶縁処理(絶縁テープと貼付作業)を必要とし、また層間に金属層が存在するため、裏面保護シートに要求される部分放電電圧値に寄与する部分が薄くなるため、金属層より内側となる充填層側の層を厚くする必要が生じ、その分がコストアップとなっていた。
この太陽電池裏面保護シートの構成例としては、(1)ポリフッ化ビニルフィルム(PVF)/ポリエチレンテレフタレート/ポリフッ化ビニルフィルム(PVF)、(2)(PVF)/ポリエチレンテレフタレート/透明エチレンビニル共重合体(EVA)、(3)耐加水分解ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート/易接着コート(プライマー層)があげられるが、(1)はPVFが高価であり、さらに部分放電対応としてPETの厚さをとる必要があることから、コストがかかる問題があり、(2)は充填材と同じ素材であるEVAを積層しているが、EVAが劣化し易い問題があり、(3)は部分放電対応としてPETの厚さをとる必要と易接着コートが別工程となるため、コストがかかる問題がある。
少なくとも充填材により太陽電池セルを固定する充填層と、該充填層の太陽光入射側に積層される表面保護シートと、その反対面側に積層される裏面保護シートとを備えてなる太陽電池モジュールのうち、裏面保護シートが、耐加水分解性を有し、相対温度指数(Relative Thermal Index)が100℃以上である耐候層と、太陽電池セルからの放電を外部への放電を防止する絶縁層と、絶縁性を有しかつ充填層への強接着可能な絶縁・易接着樹脂層とを備え、該絶縁・易接着樹脂層に着色剤を添加してなることを特徴とする太陽電池裏面保護シート(請求項1)。
である(請求項9)。
図3(a)の断面図に示す太陽電池モジュール1は、シリコン結晶系太陽電池セル2をインターコネクタ6により複数接続し、これを密封するエチレン−ビニルアセテート共重合体(EVA)に代表される充填層3と、両側に形成される表面保護層4及び裏面保護シート5を積層したシリコン結晶系太陽電池であり、太陽電池セル2で起電した電力が配線7を通してジャンクションボックス8に導かれるよう導線を通す開口部(図示しない)を裏面保護シート5に形成している。また、図3(b)の断面図に示す太陽電池モジュール11は、アモルファスシリコンなどの薄膜系太陽電池セル12と、これを密封する充填層3と、両側に形成される表面保護層4及び裏面保護シート5を積層した薄膜系太陽電池であり、同様に太陽電池セル2で起電した電力が配線7を通してジャンクションボックス8に導かれるよう導線を通す開口部(図示しない)を裏面保護シート5に形成している。
まず図1に示す裏面保護シート5は、耐候層22、絶縁層21、絶縁性を有しかつ充填層3への密着可能な絶縁・易接着樹脂層23が、耐候層22と絶縁層21とを接着する接着層24、絶縁層21と絶縁・易接着樹脂層23とを接着する接着層25を介して順次積層されている。
なお。絶縁層21の片面にキャスト製膜により耐候層22を形成してもよい。
これらは、フィルム又はシートの形状に加工されたものが用いられる。
耐候層22の厚さは、乾燥後、0.5〜100μmの範囲が望ましく、とくに好ましくは15〜75μmである。
なお、図2に示すように、この耐候層22は絶縁層21面に塗工した後、乾燥してキャスト用樹脂溶液中の溶剤を除去して形成する場合、下記に述べる接着層24は不要となる。
また、絶縁・易接着樹脂層23の厚さは、太陽電池モジュールに要求される部分放電電圧の条件を満たすことが必要であり、その状態に合わせて任意に厚さを設定することができる。
蒸着層26は、アルミニウムなどの金属や酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の無機酸化物をポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂フィルムからなる樹脂基材27上に、真空蒸着法やスパッタリング法等の形成手段により蒸着形成したものである。
(A):水溶性高分子。
(B):一般式R‐Si(OR’)3で表されるシランモノマー又はその加水分解物、一般式M(OR’)nで表される1種以上の金属アルコキシド又はその加水分解物、シランカップリング剤又はその加水分解物、またはこれらの混合物[但し、Rはアルキル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基から選ばれる官能基であり、R’はアルキル基などであり、Mは金属イオンであり、nはそのイオンの価数である。]。
本発明の裏面保護シートは、結晶系太陽電池セルおよび薄膜系太陽電池セル以外の有機化合物系太陽電池セル、無機化合物系太陽電池セルなどの構成の異なる太陽電池セルの裏面保護シートとして用いることができる。
耐候層22として厚さ25μmのポリフッ化ビニル樹脂フィルム(品名「PV2111」デュポン社製)、絶縁層21として厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(品名「S10」東レ社製)、絶縁・易接着樹脂層23として厚さ150μmのカーボンブラックを3%添加した黒色エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂フィルム(酢酸ビニル(VA)含有率5%)を、2液硬化型ウレタン系接着剤(品名「主剤A511/硬化剤A50」三井化学ポリウレタン(株))の塗布量5g/m2(乾燥後)により接着し、部分放電1000Vに対応可能な黒色の太陽電池裏面保護シートとした。
この太陽電池裏面保護シートを用いて、図3に示すように表面保護シート、充填層(EVA)、太陽電池セル、充填層(EVA)に積層し、150℃・30分・1torrの真空加熱によりラミネートして太陽電池モジュールを製作した。
耐候層22として厚さ25μmのポリフッ化ビニル樹脂フィルム(品名「PV2111」デュポン社製)、絶縁層21として厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(品名「S10」東レ社製)、絶縁・易接着樹脂層23として厚さ100μmの酸化チタンを5%添加した白色エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂フィルム(酢酸ビニル(VA)含有率5%)を、2液硬化型ウレタン系接着剤(品名「主剤A511/硬化剤A50」三井化学ポリウレタン(株))の塗布量5g/m2(乾燥後)により接着し、部分放電600Vに対応可能な白色の太陽電池裏面保護シートとした。
この太陽電池裏面保護シートを用いて、実施例1と同様に太陽電池モジュールを製作した。
耐候層22として厚さ25μmのポリフッ化ビニル樹脂フィルム(品名「PV2111」デュポン社製)、絶縁層21として厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(品名「S10」東レ社製)、絶縁・易接着樹脂層23として厚さ50μmのカーボンブラックを3%添加した黒色エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂フィルムを、2液硬化型ウレタン系接着剤(品名「主剤A511/硬化剤A50」三井化学ポリウレタン(株))の塗布量5g/m2(乾燥後)により接着し、コシのある部分放電1000Vに対応可能な黒色の太陽電池裏面保護シートとした。
この太陽電池裏面保護シートを用いて、実施例1と同様に太陽電池モジュールを製作した。
耐候層として厚さ25μmのポリフッ化ビニル樹脂フィルム(品名「PV2111」デュポン社製)、絶縁層として厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(品名「S10」東レ社製)、絶縁・易接着樹脂層として厚さ150μmの透明エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂フィルム(酢酸ビニル(VA)含有率5%)を、2液硬化型ウレタン系接着剤(品名「主剤A511/硬化剤A50」三井化学ポリウレタン(株))の塗布量5g/m2(乾燥後)により接着し、部分放電1000Vに対応可能な太陽電池裏面保護シートとした。
この太陽電池裏面保護シートを用いて、実施例1と同様に太陽電池モジュールを製作した。
耐候層として厚さ25μmのポリフッ化ビニル樹脂フィルム(品名「PV2111」デュポン社製)、絶縁層として厚さ250μmの白色ポリエチレンテレフタレートフィルム(品名「E20」東レ社製)を、2液硬化型ウレタン系接着剤(品名「主剤A511/硬化剤A50」三井化学ポリウレタン(株))の塗布量5g/m2(乾燥後)により接着し、さらに絶縁・易接着樹脂層としてアクリル系易接着コート薬剤を絶縁層の白色ポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布量10g/m2(乾燥後)を塗工接着し、部分放電1000Vに対応可能な白色の太陽電池裏面保護シートとした。
この太陽電池裏面保護シートを用いて、実施例1と同様に太陽電池モジュールを製作した。
耐候層として厚さ25μmのポリフッ化ビニル樹脂フィルム(品名「PV2111」デュポン社製)、絶縁層として厚さ250μmの白色ポリエチレンテレフタレートフィルム(品名「E20」東レ社製)、絶縁・易接着樹脂層として厚さ25μmのポリフッ化ビニル樹脂フィルム(品名「PV2111」デュポン社製)を2液硬化型ウレタン系接着剤(品名「主剤A511/硬化剤A50」三井化学ポリウレタン(株))の塗布量5g/m2(乾燥後)により接着し、部分放電1000Vに対応可能な白色の太陽電池裏面保護シートとした。
この太陽電池裏面保護シートを用いて、実施例1と同様に太陽電池モジュールを製作した。
実施例1〜実施例3と比較例1〜3で得られた太陽電池裏面保護シートをそれぞれ部分放電電圧値、UV照射絶縁・易接着樹脂層(EVA)面状態、EVAラミネート強度を所定の評価方法により評価し、さらに絶縁加工や資材などのコストの評価を行い、評価結果を表1に示す。
<評価方法>
(1)部分放電電圧:IEC60664−1:2007 Clause6.1.3.5にて測定(V)
(2)剛性(コシ):太陽電池裏面保護シートを手で曲げて柔軟・中・硬いの3段階に評価
(3)UV照射後のEVA面:JIS K 7350−2(キセノンアーク光源)に従い太陽電池裏面保護シートの絶縁・易接着樹脂層面にUV照射後、目視で状態を評価
(4)EVAへの密着性:充填材を太陽電池裏面保護シートに絶縁・易接着樹脂層面を内側に挟み、下記条件にてラミネート後、15mm幅にカット、各太陽電池裏面保護シートを90°方向に引っ張りラミネート強度を測定スピード300mm/minで測定(N/15mm)
EVA充填材(商品名「Ultra Pearl PV−45FR00S」サンビック社製 厚さ450μm)/(商品名「RC02B−45T」三井ファブロ社製 厚さ450μm)
ラミネート条件:150℃の温度で3分間、真空脱泡処理後、150℃の温度で11分間、大気圧プレスを用いて加圧
なお、実施例1〜実施例3と比較例1〜3ので得られた太陽電池裏面保護シートを用いた太陽電池モジュールに太陽光を照射し出力試験を行ったところ、いずれも良好な出力結果が得られた。
2 … 太陽電池セル
3 … 充填層
4 … 表面保護層
5 … 裏面保護シート
6 … インターコネクタ
7 … 配線
8 … ジャンクションボックス
11… 太陽電池モジュール
12… 太陽電池セル
21… 絶縁層
22… 耐候層
23… 絶縁・易接着樹脂層
24… 接着層
25… バリア層
26… 蒸着層
27… 樹脂基材
Claims (9)
- 少なくとも充填材により太陽電池セルを固定する充填層と、該充填層の太陽光入射側に積層される表面保護シートと、その反対面側に積層される裏面保護シートとを備えてなる太陽電池モジュールのうち、前記裏面保護シートが、耐加水分解性を有し、相対温度指数(Relative Thermal Index)が100℃以上である耐候層と、太陽電池セルからの放電を外部への放電を防止する絶縁層と、絶縁性を有しかつ前記充填層への強接着可能な絶縁・易接着樹脂層とを備え、該絶縁・易接着樹脂層に着色剤を添加してなることを特徴とする太陽電池裏面保護シート。
- 前記絶縁・易接着樹脂層が、酢酸ビニル(VA)含有率を2〜20重量%のエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池裏面保護シート。
- 前記着色剤としてカーボンブラックからなる黒色顔料を1重量%以上添加してなることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池裏面保護シート。
- 前記着色剤として酸化チタンまたは硫酸バリウムからなる白色顔料を2重量%以上添加してなることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池裏面保護シート。
- 前記絶縁層が100℃以上の耐熱性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムであることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池裏面保護シート。
- 前記絶縁層の厚さが前記絶縁・易接着樹脂の厚さに比べ相対的に薄いことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池裏面保護シート。
- 前記耐候層、前記絶縁層、前記絶縁・易接着層の各層間を接着する接着剤が、耐加水分解性の高いポリカーボネート系接着剤、ゴム系接着剤、ポリウレタン系接着剤の一液または硬化剤或いは架橋剤を併用する二液硬化型であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池裏面保護シート。
- 前記耐候層と前記絶縁層との間にバリア層をすることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池裏面保護シート。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の太陽電池裏面保護シートを、充填材により太陽電池セルを固定する充填層に積層してなることを特徴とする太陽電池モジュール。
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