JP2008147530A - 太陽電池用バックシート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有機フィルムの片面に第1の易接着層、有機フィルムのもう一方の面に第2の易接着層を積層し、前記第1の易接着層上にハードコート層を積層することを特徴とする太陽電池用バックシート。前記第2の易接着層上に耐水層が形成された太陽電池用バックシート。
【選択図】図1
Description
一般的な太陽電池はアルミニウム箔にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを積層した基板、封止膜用透明接着剤、シリコン発電素子、封止膜用透明接着剤およびガラス板を順次積層した構成を有する。封止膜用透明接着剤は加熱溶融して架橋硬化させることができるため、加熱処理によって基板、シリコン発電素子およびガラス板とを一体化させることができる。封止膜用透明接着剤としてはエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)フィルムが汎用されている。
上記基板として使用されるアルミニウム等の金属箔は、光をほとんど透過させないものである。したがって、太陽電池の発電量は受光面としてのガラス板を透過する太陽光のみに依存するものであった。
本発明におけるバックシートは、両面受光型太陽電池の裏面側を表面保護する部材であって、図1に示すように、有機フィルム30の片面に第1の易接着層20およびハードコート層10が順次積層され、有機フィルム30のもう一方の面に第2の易接着層21が積層された構成を成す。該ハードコート層10の上面が対象物からの反射光を受光する面である。
図2は、第2の易接着層21上に隣接して、耐水層40を積層した実施態様であって、これにより、バックシートの透湿度を減少させることができる。
なお、本発明におけるバックシートは、光透過量を維持するために、有機フィルム30、第1の易接着層20、ハードコート層10、第2の易接着層21、耐水層40に紫外線吸収剤を含有させる必要がない。
すなわち、図3においては、本発明のバックシートを構成する第2の易接着層21上に封止膜用透明接着剤50を設け、シリコン発電素子60と隣接させ、シリコン発電素子60のもう一方の側には封止膜用透明接着剤51、ガラス板70を順次設けてなるものである。シリコン発電素子60を挟む封止膜用透明接着剤50および51は加熱により、シリコン発電素子60を封止することができ、一体化構成を有する太陽電池として使用することができる。
一方、図4は、図2で示したバックシートを使用した太陽電池の事例である。
[有機フィルム]
有機フィルムは光透過量が優れたもの、具体的には90%以上の光透過率を有するものであれば特に限定されるわけではないが、例えば、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、アクリル樹脂、ポリカーボネート等の各フィルムを挙げることができる。本願発明における有機フィルムはポリエチレンテレフタレートであることが好ましく、上記フィルムの厚さは6〜250μm程度であることが好ましい。
なお、これらの有機フィルムに紫外線吸収剤を含有させることは、光透過量が減少することから好ましくない。
以下に、第1の易接着層および第2の易接着層について説明する。
第1の易接着層とは、有機フィルムとハードコート層との接着性が優れたものをいう。具体的には、該易接着層を介して有機フィルムとハードコート層とを加熱により貼着した後、JIS−K5400に準じたクロスカット剥離試験における有機フィルムカット片の残存率が90%以上であるものを意味する。
第2の易接着層とは、有機フィルムと封止膜用透明接着剤(EVA)との接着性が優れたものをいう。具体的には、該易接着層を介して有機フィルムと封止膜用透明接着剤とを加熱により貼着した後、JIS−K7127に準じた引き剥がし試験において、これらの構成体を引き剥がす前に、有機フィルムが破けてしまう程度の接着性を有するものを意味する。
第1の易接着層および第2の易接着層には、ポリウレタン系、ポリエステル系、アクリル系等の熱可塑性樹脂を主成分として含有することが好ましい。これらは常温下でほとんどタック性を有さないものであり、且つ、加熱時においてタック性を有するものであればよい。したがって、ガラス転移点が20〜100℃の範囲内にあることが好ましく、30〜80℃にあることがより好ましい。該ガラス転移点が20℃未満の場合には、易接着層が常温においてタック性を有しやすく、易接着層と易接着層を重ね合わせた際に接着してしまう場合があり、取扱性に問題を生じてしまう。100℃超の場合は、有機フィルム、ハードコート層、封止膜用透明接着剤および耐水層との接着性が減少する恐れや、易接着層が脆くなって密着性が保てなくなる場合がある。また、第1の易接着層と第2の易接着層は同じものを用いてもよいし、異なるものを用いてもよい。なお、ここでいうガラス転移温度は示差走査熱量計(DSC)による測定に基づくものを意味する。
本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムの被覆層に用いるポリウレタン系樹脂は、特に限定されないが、例としては、ブロック型イソシアネート基を含有する樹脂であって、末端イソシアネート基を親水性基で封鎖(以下ブロックともいう)した、熱反応型の水溶性ウレタンなどが挙げられる。上記イソシアネート基を親水性基で封鎖するためのブロック化剤としては、重亜硫酸塩類及びスルホン酸基を含有したフェノール類、アルコール類、ラクタム類、オキシム類及び活性メチレン化合物類等が挙げられる。ブロック化されたイソシアネート基はウレタンプレポリマーを親水化あるいは水溶化する。フィルム製造時の乾燥あるいは熱セット過程で、上記ポリウレタン樹脂に熱エネルギーが与えられると、ブロック化剤がイソシアネート基からはずれるため、上記ポリウレタン樹脂は自己架橋した編み目に、混合した水分散性共重合ポリエステル樹脂を固定化するとともに、上記共重合ポリエステル樹脂の末端基等とも反応する。塗布液調製中の樹脂は、親水性であるために耐水性が悪いが、塗布、乾燥、熱セットして熱反応が完了すると、ウレタン樹脂の親水基すなわちブロック化剤がはずれるため、耐水性が良好な塗膜が得られる。上記ブロック化剤の内、フィルム製造工程における熱処理温度、熱処理時間でブロック化剤がイソシアネート基からはずれる点、及び工業的に入手可能な点から、重亜硫酸塩類が最も好ましい。
ガラス転移点が20〜100℃の範囲にあるポリエステル系樹脂としては、以下のような多塩基酸またはそのエステル形成誘導体とポリオールまたはそのエステル形成誘導体とから形成される。すなわち、多塩基酸成分としてはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等が挙げられる。これらの酸成分を好ましくは2種以上用いて共重合ポリエステル樹脂を合成する。また、若干量であれば不飽和多塩基酸成分のマレイン酸、イタコン酸等や、p−ヒドロキシ安息香酸等の如きヒドロキシカルボン酸を併用することもできる。また、ポリオール成分としては、エチレングリコール、1、4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1、6−ヘキサンジオール、1、4−シクロヘキサンジメタノール、キシレングリコール、ジメチロールプロパン、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール等が挙げられる。
ガラス転移点が20〜100℃の範囲にあるアクリル系樹脂としては、以下に例示するようなアクリルモノマーを重合してなるアクリル樹脂が挙げられる。このアクリルモノマーとしては、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等);2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の水酸基含有モノマー;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等のカルボキシ基、スルホキシ基またはその塩を含有するモノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N、N−ジアルキルアクリルアミド、N、N−ジアルキルメタクリルアミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)、N−アルコキシアクリルアミド、N−アルコキシメタクリルアミド、N、N−ジアルコキシアクリルアミド、N、N−ジアルコキシメタクリルアミド(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等)、アクリロイルモルホリン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド等のアミド基を含有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物のモノマー;ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリアルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキルフマール酸モノエステル、アルキルイタコン酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ブタジエン等のモノマーが挙げられる。
本発明でいうハードコート層は紫外線硬化性樹脂により形成されることが好ましい。
紫外線硬化性樹脂は公知のものを使用することができるが、一般に、多官能性モノマー、単官能性モノマー、重合性オリゴマー、光重合開始剤および添加剤から構成される。また、紫外線硬化性樹脂にシリコーンを含有させることもできる。
また重合性オリゴマー、多官能性モノマー、単官能性モノマーおよび光重合開始剤は、それぞれ1種用いても良く、2種以上組み合わせて用いてもよい。
前記図2で述べた耐水層とは透湿度を向上させるために設けるものであり、且つ、シリコン発電素子上の封止膜用透明接着剤との接着力が優れたものをいう。易接着層および封止膜用透明接着剤との接着力を向上させるためには、該耐水層として紫外線硬化性樹脂を使用することが好ましく、紫外線硬化性アクリル樹脂やアクリルシリコン樹脂等を好適に使用することができる。
ここで、透明接着剤との接着力が優れたものとは、JIS−K7127による測定方法により、封止膜用透明接着剤と耐水層とを剥離することができずに、その構成物自体が引き裂かれてしまうものをいう。
以下、本発明を実施例によって説明する。
100μm厚のPETフィルム(帝人デュポンフィルム社製 商品名:テトロンHB)において、第1の易接着層を設けない以外は実施例1と同様にしてハードコート層を形成させバックシートを作製した。
実施例1のバックシートにおいて、第2の易接着層を設けていないPET上に、直接EVAシートを重ね80℃の温度で予備圧着した。EVAシート上にガラス板を重ね、定法に従い真空ラミネーターにて150℃、真空3分間、加圧8分間、プレス圧力0.5〜1atmで加熱加圧圧着することによりバックシート積層体を作製した。
実施例1のバックシートにおいて、第2の易接着層を設けていないPET上に、コロナ処理を行った以外は比較例2と同様にしてバックシート積層体を作製した。
紫外線吸収剤2重量部を加えた以外は実施例3と同様にしてバックシート積層体を作製した。
実施例1、2および比較例1で作製したバックシートにおいて、有機フィルムとハードコート層との接着性を測定するために、JIS−K5400に準じてクロスカット剥離試験を行った。有機フィルムカット片の残存率が90%以上であるものを○、100%であったものを◎とし、90%未満のものを×とした。
表面硬度はJIS−K5401により測定し、ハードコート層における硬度(鉛筆強度)を示した。
耐摩耗性は、ハードコート層上にスチールウール磨耗試験(荷重250g/cm)において、目視により傷が認められなかったものを○、認められたものを×とした。
曇価はJIS−K7105により測定し、1%未満を○、1%以上を×とした。
透湿度はJIS−K7126により測定し、2.0g/m2・day未満を○、2.0g/m2・day以上を×とした。
以上の結果を表1にまとめた。
20 第1の易接着層
21 第2の易接着層
30 有機フィルム
40 耐水層
50、51 封止膜用透明接着剤
60 シリコン発電素子
70 ガラス板
Claims (5)
- 有機フィルムの片面に第1の易接着層、有機フィルムのもう一方の面に第2の易接着層を積層し、前記第1の易接着層上にハードコート層を積層したことを特徴とする太陽電池用バックシート。
- 第2の易接着層上に耐水層を積層したことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用バックシート。
- 前記第1の易接着層の有機フィルム/ハードコート層間の剥離強度が、JIS−K5400に準じた有機フィルムカット片の残存率で90%以上であることを特徴とする請求項1乃至2に記載の太陽電池用バックシート。
- 前記第1および第2の易接着層が、ポリウレタン系、ポリエステル系およびアクリル系から選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1乃至3に記載の太陽電池用バックシート。
- 前記第1および第2の易接着層のガラス転移温度が20〜100℃であることを特徴とする請求項1乃至4に記載の太陽電池用バックシート。
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