JP6398265B2 - 太陽電池モジュール裏面保護シート - Google Patents

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Description

本発明は、太陽電池モジュール裏面保護シート、及び該裏面保護シートを用いた太陽電池モジュールに関する。
近年、環境に対する意識の高まりとともに太陽電池発電によるエネルギーの供給が注目され、また、実用化されている。
太陽光エネルギーを直接電気に変換する太陽電池の心臓部を構成する太陽電池素子は、単結晶、多結晶のシリコンセル(結晶系シリコンセル)を用いたものや、アモルファスシリコン、化合物半導体を用いたもの(薄膜系セル)等が用いられる。太陽光が上記太陽電池素子に入射することにより発電する機能を有している。一般に太陽電池素子は、実用的な電気出力を発生させるために複数の太陽電池素子を接続し、太陽電池素子を保護するため、太陽電池モジュールを形成して使用される。
太陽電池モジュールは、受光面をガラス等の透明前面基板で覆い、表面封止材層、太陽電池素子、背面封止材層、及び裏面保護シート等を順次積層し、これらを真空吸引して、封止材層を構成する樹脂の溶融温度以上で加熱する工程とプレス工程を経て、封止材層を溶融して貼り合わせる。
太陽電池モジュールは、屋外に設置して使用されることも多く、また、十数年から数十年の長期間にわたって安定的に動作することが求められる。従って、太陽電池モジュールに用いられる裏面保護シートは、主として太陽電池モジュールを構成する太陽電池素子の裏面側を保護するため、物理的強度に優れ、かつ耐候性、耐加水分解性等の耐久性を備えることが必要とされている。
また、特許文献1には、強度に優れ、更に、保護層との層間密着性、耐候性、耐湿熱性などの耐久性、耐擦傷性を改善する目的で、太陽電池モジュール用裏面保護シートの裏面側の最外層である電離放射線硬化樹脂層と、該樹脂層を形成する際の基材となるポリエステル系樹脂層との層間にプライマー層として、ウレタン系プレポリマーをイソシアネート系架橋剤で架橋硬化されたポリウレタン樹脂からなる層を形成した太陽電池モジュール用裏面保護シートが記載されている。
特許文献2には、太陽電池モジュールの裏面外側から保護層と熱可塑性樹脂から形成される基材とがこの順に積層されてなる太陽電池モジュール用裏面保護シートにおいて、前記保護層基材の間にプライマー層が形成され、プライマー層には、隠蔽性、更には意匠性等を付与するために酸化チタン等の白色顔料またはカーボンブラック等の黒色顔料、その他の添加剤を添加することが好ましいことが記載されている。
特開2011−071387号公報 特開2010−287662号公報
現在、このような太陽電池モジュール用裏面保護シ−トとしては、ガラスや金属板等も使用されているが、軽量化、低コスト化の観点から強度特性に優れたプラスチック(樹脂)基材等が最も一般的に使用されている。しかし、一方で、プラスチック(樹脂)基材は、ガラスや金属板に比べると、物理的強度や耐候性、耐加水分解性等の耐久性については劣るため、この欠点を補うためさまざまな工夫がなされている。
特に、太陽電池モジュールの透明前面基板、表面封止材層、太陽電池素子、背面封止材層、及び裏面保護シート等にプラスチック(樹脂)を多用している場合、太陽光中の紫外線は、これらのプラスチック(樹脂)の劣化に大きな影響を及ぼすことが知られている。従って、太陽電池モジュールに使用される透明前面基板、表面封止材層、太陽電池素子、背面封止材層、及び裏面保護シート、特に裏面保護シートには、紫外線の吸収、ないしは反射等の紫外線遮断性が強く求められている。
特許文献1、特許文献2に記載されたように、太陽電池用裏面保護シートに対する電離放射線硬化樹脂層の形成は、裏面保護シート自体の物理的強度や耐候性、耐加水分解性等の耐久性の向上に優れた効果を示す。
一方で、電離放射線硬化樹脂層に裏面保護シートに要求される紫外線遮断性能を満たす紫外線吸収剤を混入すると、表面洗浄性が低下し、汚れが付きやすくなる。これは、鳥の糞や施工塗料などがつくと、その部位から劣化が進み耐久性が低下することを意味する。さらに電離放射線硬化樹脂層に、本来期待された機能である物理的強度や、密着性、バリア性を低下させ、耐加水分解性等の耐久性を低下させる。
プライマー層に紫外線吸収顔料を添加する場合には、プライマー層に紫外線吸収顔料が過剰に添加されると、密着性が低下してプライマー層本来の役割が果たせない、塗工適性が悪くなり、生産性を低下させるなどの問題を生じる。また、紫外線吸収顔料の添加量が少ないと、十分な隠蔽性が得られず、紫外線による劣化を防止できないといった問題点がある。
以上の状況を鑑み、鋭意研究開発を進めたところ、電離放射線硬化樹脂層に添加する有機系の紫外線吸収剤及び光安定剤の量、及び、プライマー層に添加する紫外線吸収顔料の量を適切に調整することにより、上記課題を解決することを見出した。すなわち、本願発明の請求項1は、少なくとも耐候層A、熱可塑性樹脂を含む絶縁層B、及び封止材接着層Cがこの順に積層されてなる太陽電池モジュール裏面用保護シートであって、前記耐候層Aは2層以上で形成され、前記耐候層A中の前記絶縁層Bが積層される側とは反対側の層が電離放射線硬化性樹脂層であり、前記耐候層Aの前記絶縁層Bが積層される側とは反対側の外表面である前記電離放射線硬化性樹脂層62は、有機系の紫外線吸収剤または光安定剤を含み、前記電離放射線硬化性樹脂層(62)が有機系の紫外線吸収剤を含む場合には、電離放射線硬化性樹脂100質量部とした際に、前記有機系の紫外線吸収剤の含有率3.0質量部以下であり、または、前記電離放射線硬化性樹脂層(62)が光安定剤を含む場合には、電離放射線硬化性樹脂100質量部とした際に、前記光安定剤の含有率1.0質量部以下であり、前記耐候層A中の前記絶縁層Bが積層される側のプライマー層は、樹脂と紫外線吸収顔料とを含んでおり、前記プライマー層中の紫外線吸収顔料/紫外線吸収顔料以外の固形分の質量比が、1.0以上4.0以下である太陽電池モジュール裏面用保護シート60である。

加えて本発明の請求項2は、前記紫外線吸収顔料が、ルチル型の酸化チタンであり、平均粒子径が0.005μm以上10.000μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール裏面用保護シート60である。
加えて、本願発明の請求項3は、前記プライマー層63の厚みが0.5μm以上20.0μm以下であることを特徴とする請求項1又は、請求項2のいずれかに記載の太陽電池モジュール裏面用保護シート60である。
加えて、本願発明の請求項4は、前記プライマー層に含まれる樹脂は、ウレタン系プレポリマーをイソシアネート系架橋剤で架橋して形成されたウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の太陽電池モジュール裏面用保護シートである。
加えて、本願発明の請求項5は、請求項1から請求項4に記載のいずれかの太陽電池モジュール用裏面保護シート60を用いた太陽電池モジュール10である。
前記耐候層A中の前記絶縁層Bが積層される側とは反対側の層が電離放射線硬化性樹脂層62とすることで、十分な表面硬さを付与できることから耐擦傷性、耐加水分解性等の耐久性に優れた効果を示すことができ、且つ、前記耐候層Aの前記絶縁層Bが積層される側とは反対側の外表面である前記電離放射線硬化性樹脂層62の電離放射線硬化性樹脂100質量部とした際に、有機系の紫外線吸収剤の含有率を0.0質量部以上3.0質量部以下、および光安定剤の含有率を0.0質量部以上1.0質量部以下とすることで、有機系の紫外線吸収剤及び光安定剤の添加により、電離放射線硬化性樹脂層62の耐擦傷性、耐加水分解性等の耐久性を低下させることなく、耐候性を持たせることができる。
また、内側に形成されるプライマー層63が樹脂と紫外線吸収顔料とを含んでおり、前記プライマー層中の紫外線吸収顔料/紫外線吸収顔料以外の固形分の質量比が、1.0以上4.0以下であることで、プライマー層63の本来の役割である電離放射線硬化性樹脂層62と絶縁層Bもしくは、その間に設けられる層との密着力を低下することなく、電離放射線硬化性樹脂層62に紫外線遮断性能を持たせなくても、耐候層Aとして十分な紫外線遮断性能を実現できる。前記プライマー層中の紫外線吸収顔料/紫外線吸収顔料以外の固形分の質量比が高い方が塗布膜厚を薄くしても隠蔽性を保つことができる為に好ましい。紫外線吸収顔料の含有量が、1.0未満であると、耐候性を保つことができない場合があり、4.0を超えると密着性の低下につながる場合があり、また塗膜が脆くなる場合がある。
電離放射線硬化性樹脂層62に紫外線遮断性を持たせる目的で有機系の紫外線吸収剤及び光安定剤を過剰に添加する必要はないため、電離放射線硬化性樹脂層62本来の耐擦傷性、耐候性、耐加水分解性等の耐久性を損なうことなく生かす事が出来る。
従って、裏面保護シート60全体としては、優れた紫外線遮断性能を有するとともに、耐擦傷性、耐候性、耐加水分解性等の耐久性に優れた裏面保護シート60とすることができる。
本発明の太陽電池用裏面保護シートの模式的断面図である。 本発明の太陽電池用裏面保護シートを用いた太陽電池モジュールの一形態を示す模式的断面図である。 本発明の太陽電池用裏面保護シートの具体的な形態である第一の形態の模式的断面図である。 本発明のよりバリア性が求められる場合の太陽電池用裏面保護シートの具体的な形態である第二の形態の模式的断面図である
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて以下に詳しく説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
[裏面保護シート]
まず、図1に本願発明の裏面保護シート60の断面の概略を示す。本願発明の裏面保護シート60は、図2に示した太陽電池モジュール10の反受光面の表面である裏面外側11となる耐候層Aの外表面61から少なくとも耐候層A、熱可塑性樹脂を含む絶縁層B、及び封止材接着層Cがこの順に積層されている。
(1)耐候層
耐候層Aは少なくとも、耐候層Aの外表面61が電離放射線硬化性樹脂組成物を電離放射線照射により架橋されて形成された電離放射線硬化性樹脂層62を有する層である。必要に応じて外層ベースフィルム64を設けてもよい。電離放射線硬化性樹脂層62と外層ベースフィルム64の間、又は、絶縁層Bの間に密着性の向上、耐候性の向上を目的としてプライマー層63を設けている。更にバリア性が必要な場合には、外層ベースフィルム64の片面にバリア層68を設けてもよい。
耐候層Aの典型的な第一の形態は、図3に記載したように、耐候層Aの外表面61から、電離放射線硬化性樹脂層62、プライマー層63、外層ベースフィルム64からなるものを例示できる。また、更にバリア性を付加したい場合には図4に示したようにプライマー層63と外層ベースフィルム64の間にバリア層68を形成することもできる。
(1−1)電離放射線硬化性樹脂層
電離放射線硬化性樹脂層62は、電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布後、電離放射線照射により架橋硬化して形成される電離放射線硬化性樹脂層62であり本発明に必須となる層である。本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シート60として、電離放射線硬化性樹脂層62を太陽電池モジュール10の裏面側の外表面61に積層することにより、耐候性、耐熱性、耐湿熱性等の耐久性や耐擦傷性を向上することが可能になる。該電離放射線硬化性樹脂層62は、太陽電池モジュール10とした際の裏面外側11の構成と一致すこととなる。
本発明において、電離放射線硬化性樹脂とは、電磁波または荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線、電子線などを照射することにより、架橋、硬化する樹脂を指す。
代表的な重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ多官能性(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。尚、ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。多官能性(メタ)アクリレート系モノマーとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートである。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレート系モノマーは1種を単独で用いることができ、また、2種以上を組み合わせて用いることもできる。本発明においては、前記多官能性(メタ)アクリレートと共に、その粘度を低下させるなどの目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で併用することができる。
重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系などが挙げられる。ここで、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化して得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化して得ることができる。ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合反応によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化して得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化して得ることができる。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂層62を形成する際に、前記電離放射線硬化性樹脂に必要に応じて、各種添加剤を配合して塗工液である電離放射線硬化性樹脂組成物を得ることができる。これらの添加剤としては、例えば、光重合用開始剤、耐候性改善剤、着色剤、ブロッキング防止剤、重合禁止剤、架橋剤、充填剤、粘度調整剤等が挙げられる。尚、電離放射線硬化性樹脂組成物としては電子線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂組成物を使用する場合には、光重合用開始剤を必要としないので、安定した硬化特性が得られる。
電離放射線硬化性樹脂組成物として紫外線硬化性樹脂組成物を用いる場合には、光重合用開始剤を樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができる。耐候性改善剤としては、公知の有機系紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤等を用いることができる。
前記電離放射線硬化性樹脂組成物にブロッキング防止剤を添加することにより、太陽電池モジュール用裏面保護シート60をロール等に巻き取る際のブロッキングを防止することができると共に耐擦傷性を向上することが可能になる。この場合に添加されるブロッキング防止剤として、無機質微粉末、有機質微粉末等を用いることができる。該無機質微粉末としては、酸化チタン、シリカ、タルク、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、合成ケイ酸塩、水酸化アルミニウム、ケイ酸微粉末等が使用でき、該有機質微粉末として、耐熱性を有するアクリル、ウレタン、ポリアミド系合成樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、尿素系樹脂等からなるフィラー、スチレン架橋フィラー、ベンゾグアナミン架橋フィラー、ワックスなどが挙げられる。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコールなどを用いることができる。架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などを用いることができる。充填剤としては、上述のブロッキング防止剤を用いることができる。粘度調整剤としては、上述の単官能性(メタ)アクリレートや有機溶剤を用いることができる。有機溶剤としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等を用いることができる。
本発明において、電離放射線硬化性樹脂層62への紫外線遮断を目的とした有機系の紫外線吸収剤の添加は、禁止されるものではない。しかし、物理的強度や、密着性、バリア性を低下させ耐候性、耐加水分解性等の耐久性を低下させることとなるので積極的に推奨するものではない。本発明においては、電離放射線硬化性樹脂層62への有機系の紫外線吸収剤の添加がなくても、プライマー層63により十分な紫外線遮断性能を有するものであるから、電離放射線硬化性樹脂層62は、物理的強度や、密着性、バリア性、耐候性、耐加水分解性等の耐久性を重視した組成であるべきである。
上記の考えに基づけば、電離放射線硬化性樹脂層62を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物に、紫外線遮断以外の目的、例えば、ブロッキング防止や、塗布性の改善目的で紫外線吸収顔料に転用できる材料として、酸化チタンなどを添加する場合にも、電離放射線硬化性樹脂層62としての物理的強度や、密着性、バリア性、耐候性、耐加水分解性等の耐久性の低下を防止する目的でその添加量は、電離放射線硬化性樹脂組成物の樹脂固形分を100質量部とした場合に、0.0質量部以上3.0質量部以下の範囲に抑えるべきである。
電離放射線硬化性樹脂組成物の樹脂固形分を100質量部とした場合の有機系の紫外線吸収剤の割合が3.0質量部を超えると、電離放射線硬化性樹脂層62の防汚性が低下し、太陽電池モジュール10として使用した際に、電離放射線硬化性樹脂層62の表面に施工時の塗料や、鳥などの糞が付着した場合、いつまでも残留しこの部位から電離放射線硬化性樹脂層62の劣化が促進されて太陽電池モジュール10の耐久性を悪くしてしまう。
同様に電離放射線硬化性樹脂組成物の樹脂固形分を100質量部とした場合の光安定剤の割合が1.0質量部を超えると、電離放射線硬化性樹脂層62の防汚性が低下し、太陽電池モジュール10として使用した際に、電離放射線硬化性樹脂層62の表面に施工時の塗料や、鳥などの糞が付着した場合、いつまでも残留しこの部位から電離放射線硬化性樹脂層62の劣化が促進されて太陽電池モジュール10の耐久性を悪くしてしまう。
なお、本発明において、紫外線吸収剤とは、紫外線の反射、吸収、波長変換を含む紫外線遮断機能を有する材料の総称として用いるものである。また、紫外線吸収剤のうち、酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛、タルク、シリカ、硫酸バリウム、水酸化カルシウムなどの樹脂に相溶しない無機系の紫外線吸収剤を紫外線吸収顔料と称している。さらに、前述の紫外線吸収顔料に含まれない有機系の紫外線吸収剤を有機系紫外線吸収剤と称して区別している。
無機系である紫外線吸収顔料は、紫外線吸収剤としての耐久性に優れる。しかし、樹脂に添加した際に、添加量がある閾値より多くなると、樹脂層の物理的強度や、密着性、バリア性、耐候性、耐加水分解性等の耐久性が急速に低下する。
一方、有機系紫外線吸収剤は、無機系である紫外線吸収顔料と比べ、紫外線吸収剤としての耐久性には劣る。しかし、樹脂との親和性が高いため、樹脂に添加した際の、樹脂層の物理的強度や、密着性、バリア性、耐候性、耐加水分解性等の耐久性の低下への影響は、無機系である紫外線吸収顔料に比べれば緩慢である。
上記有機系の紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サルチレート系、アクリルニトリル系、金属錯塩系、ヒンダードアミン系、等から1種類、または複数種類を選択して使用することが出来る。
更に具体的には、有機系の紫外線吸収剤として、例えばベンゾトリアゾール系としては、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが好適であり。また、トリアジン系、具体的には、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]フェノール、1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリ[[3,5−ビス−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]などが好適であり。
また、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−ter t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2, 6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル− 4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。
本発明における電離放射線硬化性樹脂層62の形成については、前記の電離放射線硬化成分である重合性モノマーや重合性オリゴマー及び各種添加剤を、それぞれ所定の割合で均質に混合し、電離放射線硬化性樹脂組成物からなる塗工液を得ることができる。この塗工液の粘度は、後述の塗工方式により、基材の表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよく、特に制限はない。高粘度の塗工液を用いる場合は、塗工液を加温したり、有機溶剤等で希釈したりして、適正粘度まで低下させて塗工することもできる。本発明においては、このようにして得られた塗工液を、塗布する表面に、硬化後の厚さが好ましくは0.5μm以上30.0μm以下程度になるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート、ダイコート、スリットコート、カーテンコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。塗工液が硬化後に相対的に硬い層を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物系で構成される場合は、膜厚は比較的薄い方が電離放射線硬化性樹脂層62のクラックは生じにくく、一方、塗工液が硬化後に相対的に軟らかい層を形成する組成物系である場合には、膜厚は比較的厚い方でも、電離放射線硬化性樹脂層62のクラックは生じにくい傾向がある。
前述のようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させる場合、電離放射線の電子線源としては、コッククロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧10kV以上300kV以下程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましく、10kV以上180kV以下程度で硬化させることがより好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物を、紫外線により硬化させる場合には紫外線源としては、例えば超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト、メタルハライドランプ等の光源を使用すれば良い。紫外線光源は電子線源にくらべて、コンパクトで、安全であり、かつ安価に入手できる。しかし、紫外線は、物質を透過する能力が電子線にくらべて劣るため、重合開始剤の添加、紫外線吸収性の物質の介在に留意する必要があるが、光重合の開始を阻害しない範囲で、紫外線吸収剤を配合することができる。高圧水銀灯を用いる場合、例えば紫外線を30mJ/cm2以上1000mJ/cm2以下程度照射して紫外線硬化性樹脂を硬化させることができる。該電離放射線硬化樹脂中のラジカル重合性不飽和基の反応率が60%以上となるように電離放射線照射により架橋硬化することが望ましい。
尚、ラジカル重合性不飽和基(アクリロイル基)の反応性は、FT−IRチャートのラジカル重合性不飽和基の特性ピークの消失を観察することで評価した。反応率とは、次式で表される。次式において「特性ピーク高さ」とは、チャート上に示されたIR特性ピークの高さを測定した値であり、基準特性ピークとは電離放射線照射前後で変化のほとんどないピークのことであり、本実施例ではラジカル重合性不飽和基の特性ピーク高さはC=C二重結合由来の810cm-1、基準特性ピーク高さはC−H結合由来の2960cm-1の特性ピーク高さを用いた。
[1−(電離放射線照射後のラジカル重合性不飽和基の特性ピーク高さ/電離放射線照射後の基準特性ピーク高さ電離放射)÷(線照射前のラジカル重合性不飽和基の特性ピーク高さ/電離放射線照射前の基準特性ピーク高さ)]×100
電離放射線硬化性樹脂層62は、その表面のユニバーサル硬度が15N/mm2以上50N/mm2以下である。電離放射線硬化性樹脂層62の表面のユニバーサル硬度が50N/mm2を超えると、太陽電池モジュール10を作成する際に、受光面70をガラス等の前面透明基板30で覆い、前面封止材40、太陽電池素子20、背面封止材50、及び裏面保護シート60等を順次積層し、これらを真空吸引して、封止材を構成する樹脂の溶融温度以上で加熱する工程において、放射線硬化樹脂層である電離放射線硬化性樹脂層62にクラックが入る確率が高くなる。また、太陽電池の稼働時に熱サイクル等による、電離放射線硬化性樹脂層62とプライマー層63との熱膨張率・熱収縮率の差による収縮・膨張への追従性が低下して、応力が発生し、微細なひびの発生、密着性の低下等の不都合を生じ易くなるおそれがある。一方、前記ユニバーサル硬度15N/mm2以上とすることで、電離放射線硬化性樹脂層62の表面にタック性が発現するのを効果的に抑制でき、ゴミの付着や、裏面保護シートをロール形態や重ねて保管したときに裏面保護シート同士で貼り付いてしまう等の不都合(ブロッキング)を回避することが可能になる。
本発明において、ユニバーサル硬度は、硬度測定装置を用い、ガラス板上に膜厚10μmの電離放射線硬化性樹脂層62を配置して、測定された値である。具体的には、超微少硬度計「H−100V」(フィッシャーインストルメント社製)を用いて、測定圧子が2μmの深さに達した時点での試験加重と圧子が被測定物と接触している表面積から、下記式よりユニバーサル硬度を算出する。
ユニバーサル硬度=(試験荷重)/(試験荷重下での圧子の測定対象物との接触表面積)
測定条件測定機:超微少硬度計「H−100V」(フィッシャーインストルメント社製)
測定圧子:ビッカース四角錐ダイヤモンド圧子
測定環境:25℃、50%相対湿度(RH)
測定資料:ガラス板上に厚さ約10μmになるように、電離放射線硬化性樹脂層62形成用の電離放射線硬化性樹脂を塗布・乾燥した後、電離放射線を照射して測定試料を作製する。
最大押し込み深さ:2μm
荷重条件:試験荷重300mNに30秒で達する速度で、時間に比例して荷重を印加する。
尚、本発明における「ユニバーサル硬度」は、各試料ともランダムに10点測定し、その上下2点ずつを除いた6点の平均値をユニバーサル硬度で規定する硬度とする。
電離放射線硬化性樹脂層62の厚みは、0.5μm以上30.0μm以下が好ましく、2.0μm以上15.0μm以下がより好ましい。電離放射線硬化性樹脂層62の厚みが0.5μm未満では耐候性等が不十分となり電離放射線硬化性樹脂層62としての機能を充分に発揮し得なくなる。尚、電離放射線硬化性樹脂層62の厚みは、その断面を電子顕微鏡(例えば、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope))等により、測定することができる。
マット剤は、電離放射線硬化性樹脂層62の表面をマット化できるものであれば良く、公知又は市販のものを使用することができる。例えば、シリカ、シリコーン樹脂(パウダー、ビーズ)等の無機粒子;架橋アルキル、架橋スチレン、インゾグアナミン樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン、ポリアミド系合成繊維等の有機材料パウダーないしビーズ等が挙げられる。この中でも、特にシリカを好適に用いることができる。また、未処理のシリカを使用するのが好ましい。ワックス処理された有機処理シリカは、撥液性のあるものと併用すると、シート表面からブリードする可能性があるが、上記未処理シリカではそのような問題を未然に回避することができる。
また、見かけ比重が0.05g/cm3以上0.40g/cm3以下、0.45g/cm3以上1.00g/cm3以下のシリカを併用することが好ましい。見かけ比重が小さいシリカは特に艶消し剤として使用し、見かけ比重が大きなシリカは特に減摩剤粒子として使用するのが好ましい。添加量の制限はないが、0.05g/cm3以上0.40g/cm3以下のシリカは、電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して通常0.5質量部以上40.0質量部以下、特に5.0質量部以上30.0質量部以下とすることが好ましい。また、0.45g/cm3以上1.00g/cm3以下のシリカは、電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して通常2.5質量部以上10.0質量部以下とすることが好ましい。なお、0.05g/cm3以上0.40g/cm3以下のシリカは、上述した未処理のシリカとすることが望ましい。
マット剤の粒径も限定的でなく、用途等に応じて適宜決定することができる。一般的には、粒径0.1μm以上30.0μm以下程度とし、特に粒径3.0μm以上6.0μm以下の範囲とすることがより好ましい。
(1−2)外層ベースフィルム
電離放射線硬化性樹脂層62やプライマー層63、バリア層68は、裏面保護シート60の基材層66としての役割を果たす絶縁層Bと直接積層してもよいが、電離放射線硬化性樹脂層62やプライマー層63、バリア層68を形成する際の基材として、外層ベースフィルム64を使用してもよい。外層ベースフィルム64を用いることで、電離放射線硬化性樹脂層62形成の際に照射される電離放射線によるダメージから絶縁層Bを保護することができるとともに、バリア層68を真空プロセスで形成する際に巻き取りの径に対するフィルムの長さを長くする事が出来るため生産性が向上しコストを低減することができる。また、外層ベースフィルム64に長期耐久温度性や耐加水分解性等の耐候性材料を使用することで、裏面保護シート60の耐候性を向上することもできる。
外層ベースフィルム64の材料としてはポリエステル樹脂を用いることができる。ポリエステル系樹脂を形成するポリエステル系樹脂の原料ジカルボン酸化合物としては、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸等を用いることができる。上記芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸等を挙げることができる。上記脂肪族ジカルボン酸成分としては、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を挙げることができる。
上記ジカルボン酸化合物を1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、さらには、ヒドロキシエトキシ安息香酸等のオキシ酸等を一部共重合してもよい。前記ポリエステル系樹脂の原料ジオール化合物としては、上記ジカルボン酸と縮合し、ポリエステル系樹脂を構成できるものであれば特に限定されない。このようなジオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2’−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を挙げることができる。上記ジオール化合物として、1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
上記ジカルボン酸化合物と、上記ジオール化合物とが縮合して形成されるポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを用いることが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。上記ポリエチレンテレフタレート樹脂は、強靭性、剛性、および耐熱性等に優れているために外層ベースフィルム64としての使用に適している。外層ベースフィルム64の厚みは、40μm以上70μm以下程度が好ましい。外層ベースフィルム64の厚みが前記40μm以上で基材としての機能を効果的に発揮することができる。
(1−3)プライマー層
本発明において、外層ベースフィルム64上、または絶縁層B上に電離放射線硬化性樹脂層62を積層する際に密着性を向上させるために、外層ベースフィルム64、または絶縁層Bと電離放射線硬化性樹脂層62間にプライマー層63を設けることを特徴とする。プライマー層は、樹脂と紫外線吸収顔料を含んでおり、前記プライマー層中の紫外線吸収顔料/紫外線吸収顔料以外の固形分の質量比が、1.0以上4.0以下であることを特徴とする。プライマー層は、プライマー層63形成用塗工液を塗布、乾燥することで形成することができる。
本実施形態において紫外線吸収顔料以外の固形分とは、後述する樹脂材料と、場合によって添加される硬化剤、あるいは、増粘剤、難燃剤、酸化防止剤、耐候性改善剤、着色剤等の種々のプラスチック配合剤や添加剤、及び、着色剤に配合される、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等を含む概念である。
プライマー層63に使用する樹脂材料は、電離放射線硬化性樹脂層62と外層ベースフィルム64、または絶縁層B間の密着性を向上するものであれば特に制限されるものではないが、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂等を挙げることができる。上記樹脂その他等から選択される1種類または2種類以上を組み合わせたものを使用することができ、また、上記樹脂を共重合したものを使用することもできる。また、耐久性を付与するには、上記樹脂を主剤とし硬化剤を用いた組成物が好適に使用できる。硬化剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが用いられる。ポリイソシアネート化合物が好ましく使用される。
プライマー層63を形成する樹脂材料は、硬化剤を含んでいてもよく、硬化剤として一般に使用されるイソシアネート系硬化剤には、環状構造を有するイソシアヌレートタイプと鎖状構造を有するアロファネートタイプがある。イソシアヌレート系イソシアネートは、例えば、イソシアヌレート化触媒の存在下、有機ジイソシアネートを反応させて得られる。アロファネート変性イソシアネートは、例えば、アロファネート化触媒の存在下、ジオール化合物と有機ジイソシアネートを反応させて得られる。有機ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3、5、5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートが好ましい。
プライマー層を形成する樹脂材料としては、ウレタン系プレポリマーをイソシアネート系架橋剤で架橋硬化して形成されるポリウレタン樹脂が好ましい。ウレタン系プレポリマーをイソシアネート系架橋剤で架橋硬化して形成されるポリウレタン樹脂からなるプライマー層63にポリウレタン樹脂を使用することにより、該ポリウレタン樹脂が架橋硬化する際に電離放射線硬化性樹脂層62と外層ベースフィルム64、または絶縁層B上の間の密着性の向上が発現し、電離放射線硬化性樹脂層62と外層ベースフィルム64、または絶縁層B上との間で経時変化による劣化を原因とする密着性の低下を抑制したり、温度変化による膨張・収縮に対する追従性が向上したりして、クラック、剥離等の発生を顕著に抑制することができる。また、ポリウレタン樹脂は、柔軟性と耐湿熱性にも優れているので、太陽電池モジュール用裏面保護シート60におけるプライマー層63として、長期間の使用においても該層間において層間剥離、クラック等の発生を顕著に抑制する効果を発揮する。
上記プライマー層63を形成するための組成物において、硬化剤である変性イソシアネートの含有量は、プライマー層63を形成する樹脂組成分100質量部に対し、5.0質量部以上50.0質量部以下の範囲が好ましい。硬化剤の含有量がこの範囲内であると、十分な接着強度を有し、かつ長時間経過後の密着性が低下しないなどの利点がある。
本発明において、プライマー層には、紫外線吸収顔料がむくまれていることを特徴とする。紫外線吸収顔料は、紫外線吸収剤のうち、プライマー層を構成する樹脂と相溶しない無機系の紫外線吸収剤である。無機系の紫外線吸収顔料としては、酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛、タルク、シリカ、硫酸バリウム、水酸化カルシウムなどあり、特に平均粒径が0.005μm以上10.000μm以下程度の酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを好ましく用いることができる。これらの無機系の紫外線吸収顔料からなる群から選択される少なくとも1種類のものを使用することができる。また、これらの無機系の紫外線吸収顔料からなる群から複数の紫外線吸収顔料を組み合わせて使用してもよい。
これらの紫外線吸収顔料の中でも酸化チタンは、その紫外線遮断性能、安定し且つ、長期間その性能が劣化しない点、廉価である点から適した材料である。特に触媒活性が低く長期間太陽光にさらされても樹脂分を劣化させないという観点から、ルチル型結晶の酸化チタンが適している。酸化チタンの粒径は、平均粒径で0.005μm以上10.000μm以下であることが望ましい。平均粒径で0.005μm以下になると紫外線の波長以下の粒径の数が多くなり、紫外線の遮蔽効果が悪くなる。また、平均粒径が10.000μmより大きくなると、粒子間の隙間が大きくなって隠蔽性を確保するために厚塗りする必要が生じ不経済であるばかりでなく、塗工性が悪化する。
プライマー層63に含まれる紫外線吸収顔料の割合は、前記プライマー層中の紫外線吸収顔料/紫外線吸収顔料以外の固形分の質量比が、1.0以上4.0以下であることが好ましい。紫外線吸収顔料/紫外線吸収顔料以外の固形分の質量比が、1.0未満であると紫外線遮蔽性能が劣る為に十分な耐候性が得られない場合があり、また、隠蔽性が劣り意匠性にも問題を生じる場合がある。また。紫外線吸収顔料/紫外線吸収顔料以外の固形分の質量比が、4.0より多いと、外層ベースフィルム64、または絶縁層B間の密着性が低下する。プライマー層63の形成の際、塗工適性が悪くなり、膜均一性が落ちるとともに生産性も低下してしまう。
また、上記の紫外線吸収顔料に加えて、太陽光中の有害な紫外線を吸収して、分子内で無害な熱エネルギーへと変換し、上記樹脂中の光劣化開始の活性種が励起されるのを防止する材料として有機系の紫外線吸収剤を併用することもできる。
上記有機系の紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サルチレート系、アクリルニトリル系、金属錯塩系、ヒンダードアミン系、等から1種類、または複数種類を選択して使用することが出来る。
更に具体的には、有機系の紫外線吸収剤として、例えばベンゾトリアゾール系としては、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが好適であり。また、トリアジン系、具体的には、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]フェノール、1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリ[[3,5−ビス−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]などが好適であり。
プライマー層63には、例えば、耐熱性、耐候性、物理的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、色調、塗工適性、等を改良、改質する目的で、増粘剤、難燃剤、酸化防止剤、耐候性改善剤、着色剤等の種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができる。その添加量としては、極微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。例えば、などが挙げられる。着色剤は、色調を整える範囲で添加することが出来る。着色剤としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料;アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料;酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の真珠光沢顔料;蛍光顔料;夜光顔料等が挙げられる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの着色剤には、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等をさらに配合してもよい。
プライマー層63を形成する材料は、塗布特性をよくするために有機溶剤添加し、プライマー層63形成用塗工液としてもよい。有機溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤などが挙げられる。これらの溶剤(又は分散媒)は、1種単独又は2種以上を混合して使用できる。
プライマー層63の形成は、例えば、上記プライマー層63形成用塗工液を外層ベースフィルム64、または、絶縁層B上に塗布され、乾燥後加熱下に架橋硬化されて形成される。前記プライマー層63形成用塗工液の塗布方法としては、硬化後の厚さが0.5μm以上20.0μm以下になるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート、ダイコート、スリットコート、カーテンコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより行い、未硬化樹脂層を形成させる。次に、加熱によりプライマー層63を硬化させる。プライマー層63の硬化後の厚みが前記0.5μm未満では電離放射線硬化性樹脂層62との密着性が充分でなく、また、十分な紫外線遮蔽性能が発揮できない。一方、プライマー層63の硬化後の厚みが20.0μmを超えるとコストが高くなり経済上の不都合を生ずる。尚、プライマー層63の形成は、実用的には外層ベースフィルム64、または、絶縁層B上にプライマー層63と電離放射線硬化性樹脂層62を塗布して逐次的に硬化させる、下記方法を採用することが望ましい。
外層ベースフィルム64、または、絶縁層B上にプライマー層63形成用塗工液を塗布し、該層が乾燥した後に電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布する。その後、先ず電離放射線硬化性樹脂組成物からなる電離放射線硬化性樹脂層62を電離放射線照射により架橋硬化させて形成し、次に、加熱によりプライマー層63を架橋硬化させて形成する。尚、プライマー層63を架橋硬化させて形成する際、40℃以上45℃以下程度の弱加熱下に7日間程度エージングさせて硬化することが好ましい。このような硬化方法を採用することにより、プライマー層63が確実に架橋硬化するばかりでなく、プライマー層63を形成する樹脂中のイソシアネート残基が外層ベースフィルム64、または、絶縁層Bを形成する樹脂中の水酸基残基、及び電離放射線硬化性樹脂層62を形成する樹脂中の水酸基残基との間で付加反応を進行させて両層間の密着性を一層向上させる効果が発現する。
(1−4)バリア層
裏面保護シート60に高いバリア性が要求される場合には、図4に示したように、外層ベースフィルム64を構成するフィルムの表面に金属もしくは金属酸化物の蒸着膜、またはアルミニウム箔を積層することができる。
外層ベースフィルム64を構成するフィルムに金属または金属酸化物蒸着膜を形成し水蒸気バリア層として、外層ベースフィルム64を構成するフィルムに形成する金属または金属酸化物の蒸着膜について説明すると、該金属または金属酸化物の蒸着膜としては、例えば、物理気相成長法(PVD法)、または、化学気相成長法(CVD法)、あるいは、その両者を併用して、金属または金属酸化物の蒸着膜の1層からなる単層膜あるいは2層以上からなる多層膜または複合膜を製造して形成することができる。かかる物理気相成長法による金属または金属酸化物の蒸着膜としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンクラスタービーム法等の物理気相成長法を用いて金属または金属酸化物の蒸着膜を形成することができる。具体的には、金属または金属酸化物を原料とし、これを加熱し、蒸気化して基材フィルムの上に蒸着する真空蒸着法、または、原料として金属または金属酸化物を使用し、必要ならば、酸素ガス等を導入して酸化させて基材フィルムの上に蒸着する酸化反応蒸着法、更に、酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて金属または金属酸化物の蒸着膜を形成することができる。蒸着材料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビーム加熱方式等にて行うことができる。
上記の異種の金属または金属酸化物の蒸着膜の2層以上からなる複合膜としては、まず、外層ベースフィルム64を構成するフィルムの上に、化学気相成長法により、緻密で、柔軟性に富み、比較的にクラックの発生を防止し得る金属酸化物の蒸着膜を設け、次いで、該金属酸化物の蒸着膜の上に、物理気相成長法による金属酸化物の蒸着膜を設けて、2層以上からなる複合膜からなる金属酸化物の蒸着膜を構成することが望ましい。一方、外層ベースフィルム64を構成するフィルムの上に、先に、物理気相成長法により、金属酸化物の蒸着膜を設け、次に、化学気相成長法により、緻密で、柔軟性に富み、比較的にクラックの発生を防止し得る金属酸化物の蒸着膜を設けて、2層以上からなる複合膜からなる金属酸化物の蒸着膜を構成することもできる。
アルミニウム箔水蒸気バリア層において外層ベースフィルム64を構成するフィルムにアルミニウム箔を積層する場合には、その厚みは20μm以上40μm以下程度とすることが好ましい。厚みが上記範囲未満では積層時に皺が発生する等の不都合を生じてバリア機能を充分に発揮しないおそれがあり、一方、上記範囲を超えるとコストが高くなり経済上の問題を生ずる。
(2)絶縁層
本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シート60を構成する絶縁層Bは、太陽電池素子20及び太陽電池モジュール10中の配線と外部の絶縁を担うと共に、該裏面保護シート60中で支持体としての役目を有しているが、更にその使用目的により、強度、剛性、水蒸気バリア性、耐候性、耐熱性、耐加水分解性、光反射性、意匠性等の機能が必要とされる場合がある。絶縁層Bが支持体等としての機能を発揮するには少なくとも熱可塑性樹脂1層、又は2層以上から形成される。更に水蒸気バリア性が必要とされる場合には、該1層、又は2層以上の熱可塑性樹脂の少なくとも1層の片面に金属もしくは金属酸化物蒸着膜を設けた水蒸気バリア層、又はアルミニウム箔からなる水蒸気バリア層を形成することができる。
絶縁層Bを形成する熱可塑性樹脂基材に使用可能な、強度等に優れた樹脂としては、例えば、物理的、化学的、あるいは、物理的強度に優れ、かつ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐薬品性、防湿性、意匠性、その他等の諸特性に優れ、その長期間の使用に対し性能劣化等を最小限に抑え、耐久性に富み、その保護の機能性に優れ、軽く、かつ、加工性等に優れ、そのハンドリングし易い等の利点を有し、更に、より低コストで安全性に富む樹脂の1種ないし2種以上を使用することができる。具体的には、上記の樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、その他等の各種の樹脂を使用することができる。
尚、上記ポリプロピレン系樹脂を使用する場合にフィルム又はシートとしては延伸と無延伸のいずれのも使用することができ、また、耐加水分解性が要求される場合には、ポリエステル系樹脂として、オリゴマーの含有量が0.1質量%以上0.6質量%以下であり、さらにカルボキシル末端基量が3当量/トン以上15当量/トン以下程度である耐加水分解性ポリエステル樹脂を使用することもできる。本発明においては、上記の樹脂の中でも、高密度ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、又はポリエステル系樹脂が好ましい。絶縁層Bに種々の機能を付与するために、絶縁層Bを形成するいずれかの1層、又は2層以上の層に以下の添加剤を配合することができる。
絶縁層Bに光反射機能を付与するため絶縁層Bを形成するいずれかの層に添加する白色顔料としては、上述した白色層用透明樹脂に均一に分散することができ、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シート60を太陽電池モジュール10に用いた場合に、上記太陽電池モジュール10に含まれる太陽電池素子20を透過した光を効率よく反射することができるものであれば特に限定されるものではない。このような白色顔料としては、具体的には、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム等の金属酸化物;炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機化合物のうちの1種類のみを単独で用いても良く、2種類以上を併用して用いても良い。本発明においては、なかでも酸化チタン、酸化ケイ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウムを好ましく用いることができる。本発明に用いられる白色顔料の粒径としては、光を反射することができるものであれば特に限定されるものではないが、平均粒径が、0.1μm以上10.0μm以下の範囲が好ましく、0.1μm以上3.0μm以下の範囲がより好ましい。白色層の厚みは、太陽電池モジュール10とした際に、十分な強度等を示すことができるものであれば特に限定されるものではないが、35μm以上200μm以下が好ましく、80μm以上180μm以下がより好ましい。
絶縁層Bを形成するいずれかの層に意匠性等の点から、カーボンブラックのような黒色顔料を添加することができる。
その他の添加剤として、上記の各種の樹脂の1種ないし2種以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができる。その添加量としては、極微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
絶縁層Bを形成するフィルムないしシ−トの製造
本発明において、上記絶縁層Bを構成する各フィルムないしシートとしては、例えば、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレ−ション法、その他等の製膜化法を用いて、上記の各種の樹脂を単独で製膜化する方法、あるいは、2種以上の各種の樹脂を使用して多層共押し出し製膜化する方法、更には、2種以上の樹脂を使用し、製膜化する前に混合して製膜化する方法等により、各種の樹脂のフィルムないしシートを製造することができる。更に、例えば、テンター方式、あるいは、チューブラー方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸してなる各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。本発明において、絶縁層Bを構成する樹脂層のうち支持体としての機能が要求される基材層66の厚みは80μm以上150μm以下が好ましく、90μm以上120μm以下がより好ましい。
(3)封止材接着層
本発明においては、裏面保護シート60と背面封止材50との密着性を向上する目的で封止材接着層Cが設けられている。封止材接着シートCは、少なくとも裏面保護シート60の最も受光面70に近い面、すなわち封止材接着層Cの最も受光面70に近い面に易接着層67が形成されている。
易接着層67の材料としては、背面封止材50の材料であるフッ素系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸又はメタクリル酸共重合体、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレンフィン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、シリコン系樹脂、エポキシ系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、その他等の樹脂の1種ないし2種以上の混合物など、モジュール作成時に熱圧着された際に優れた接着性を有する材料であれば、特に制限のあるものではない。背面封止材50と同系統材料のフィルム、シートもしくは、塗布膜が使用可能である。
フィルムとしては、白色もしくは透明のポリオレフィン系の材料高密度ポリエチレン(HDPE)、または無延伸ポリプロピレン系樹脂(CPP)などが好適に用いられる。易接着層67は裏面保護シート60の基材層66と背面封止材50との密着性を向上させる機能を有する。又、これらの易接着層67を形成する前記透明ポリエステル系樹脂層、又は透明延伸ポリプロピレン系層に白色粒子を配合して太陽光反射機能を付与することができる。
(4)接着層
本願発明において耐候層Aと絶縁層Bの間、及び絶縁層Bを形成する複数の熱可塑性樹脂の間、絶縁層Bと封止材接着層Cの間の積層にドライラミネート積層法が採用される場合、接着層65を形成してもよい。接着層65を構成するラミネート用接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマー、あるいは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤、その他等の接着剤を使用することができる。
上記の接着剤の組成系は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの組成物形態でもよく、また、その性状は、フィルム・シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、更に、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよい。上記の接着剤は、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、その他等のコート法、あるいは、印刷法等によって施すことができ、そのコーティング量としては、0.1g/m2以上10.0g/m2以下(乾燥状態)程度が望ましい。なお、本発明において、樹脂のフィルムないしシートを使用し、ドライラミネートによる積層を行う場合には、その表面に、予め、コロナ放電処理、オゾン処理、あるいは、プラズマ放電処理等の表面改質前処理を任意に施すことができる。上記接着剤中には、紫外線劣化等を防止するために、光安定剤、紫外線吸収剤および/または酸化防止剤を添加することができる。
(5)太陽電池モジュール用裏面保護シートの製造方法
本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シート60の厚みは、太陽電池モジュール10を形成させた際に、十分な強度等を示すことができるものであれば特に限定されるものではないが、150μm以上450μm以下の範囲であることが好ましく、200μm以上350μm以下の範囲がより好ましい。本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シート60の製造方法としては、絶縁層Bまたは外層ベースフィルム64上に、プライマー層63と電離放射線硬化性樹脂層62をそれぞれ塗工後、硬化により形成し、絶縁層B及び封止材接着層Cを構成する上記各層が密着性良く積層されたものとすることができるものであれば特に限定されるものではない。
[太陽電池モジュール]
本発明の太陽電池モジュール10は、前面透明基板30、前面封止材40、太陽電池素子20、背面封止材50、及び裏面保護シート60がこの順に配置された太陽電池モジュール10であって、前記裏面保護シート60は、太陽電池モジュール10の裏面外側11から、少なくとも電離放射線硬化性樹脂層62とプライマー層63を有する耐候層A、熱可塑性樹脂を含む絶縁層B、封止材接着層Cがこの順に積層されてなり、電離放射線硬化性樹脂層62が電離放射線硬化性樹脂組成物を電離放射線照射により架橋硬化して形成された層であることを特徴とする。図2に例示するように、本発明の太陽電池モジュール10は、例えば、少なくとも、太陽電池モジュール用裏面保護シート60である裏面保護シート60と、該裏面保護シート60上に形成された、背面封止材50と、該背面封止材50上に形成された、太陽電池素子20と、該太陽電池素子20上に形成された前面封止材40と、該前面封止材40上に形成された前面透明基板30とから構成されるものである。尚、図2中の裏面保護シート60は、図1、図3、又は図4に例示された、本発明の態様に係る太陽電池モジュール用裏面保護シ−トである。
本発明によれば、裏面保護シート60を用いることによって、十分な表面硬さにより耐擦傷性、バリア性、耐候性、耐加水分解性に等の耐久性に優れるとともに、非受光面側において優れた紫外線遮蔽性能が得られ、耐候性に優れた太陽電池モジュール10を作成することが可能となる。以下、本発明の太陽電池モジュール10の各構成について説明する。
[太陽電池素子]
本発明に用いられる太陽電池素子20としては、一般的な太陽電池素子を用いることができる。具体的には、単結晶シリコン型太陽電池素子、多結晶シリコン型太陽電池素子等の結晶シリコン太陽電子素子、シングル接合型あるいはタンデム構造型等からなるアモルファスシリコン太陽電池素子、ガリウムヒ素(GaAs)やインジウム燐(InP)等のIII−V族化合物半導体太陽電子素子、カドミウムテルル(CdTe)や銅インジウムセレナイド(CuInSe2)等のII−VI族化合物半導体太陽電子素子、有機太陽電池素子等を用いることができる。また本発明に用いられる太陽電池素子20としては、薄膜多結晶性シリコン太陽電池素子、薄膜微結晶性シリコン太陽電池素子、薄膜結晶シリコン太陽電池素子とアモルファスシリコン太陽電池素子とのハイブリット素子等も使用することができる。
[透明前面板]
本発明に用いられる前面透明基板30としては、太陽光の透過性を有する基板であれば特に限定されず、例えば、ガラス板、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂(各種のナイロン)、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等の各種の樹脂フィルムを用いることができる。また、前面透明基板30の厚みは、所望の強度を実現できる範囲内であれば特に限定されるものではないが、通常、12μm以上7000μm以下が好ましく、25μm以上4000μm以下がより好ましい。
[前面封止材]
本発明に用いられる前面封止材40としては、太陽光に対する透過性を有し、太陽電池素子20の裏面の平滑性を保持するための熱可塑性、太陽電池の保護の点で耐スクラッチ性、衝撃吸収性を有し、かつ、上記前面透明基板30および太陽電池素子20に対して接着性を示すものであれば特に限定されない。このような前面封止材40を構成する材料の具体例としては、例えば、フッ素系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸又はメタクリル酸共重合体、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレンフィン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、シリコン系樹脂、エポキシ系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、その他等の樹脂の1種ないし2種以上の混合物を使用することができる。なお、本発明においては、前面封止材40を構成する樹脂には、耐熱性、耐光性、耐水性等の耐候性等を向上させるために、その透明性を損なわない範囲で、例えば、架橋剤、熱酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、光酸化防止剤、その他等の添加剤を任意に添加し、混合することができる。本発明においては、太陽光の入射側である前面封止材40としては、耐光性、耐熱性、耐水性等の耐候性を考慮すると、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂が望ましい素材である。尚、上記の充填剤層の厚さは、200μm以上1000μm以下が好ましく、350μm以上600μm以下がより好ましい。
さらに、本発明に用いられる前面封止材40は、全光線透過率が、70%以上100%以下の範囲が好ましく、80%以上100%以下の範囲がより好ましく、90%以上100%以下の範囲が更に好ましい。上記全光透過率が、上記範囲内であることにより太陽電池モジュール10の発電効率が損なわれるのを抑制することができる。尚、上記全光線透過率は、通常の方法により測定することができ、例えば日本電色工業(株)製、型式:HAZEメータ NDH2000等により測定することができる。
[背面封止材]
本発明に用いられる背面封止材50は、裏面保護シート60との接着性を有し、太陽電池素子20の裏面の平滑性を保持するための熱可塑性を有し、太陽電池の保護の点で耐スクラッチ性、衝撃吸収性を有し、かつ、耐熱性、耐光性、耐水性等の耐候性を有するものであれば特に限定されない。上記背面封止材50としては、例えば、フッ素系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸又はメタクリル酸共重合体、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレンフィン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、シリコン系樹脂、エポキシ系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、その他等の樹脂の1種ないし2種以上の混合物を使用することができる。なお、背面封止材50を構成する樹脂には、耐熱性、耐光性、耐水性等の耐候性等を向上させるために、例えば、架橋剤、熱酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、光酸化防止剤、その他等の添加剤を任意に添加し、混合することができる。なお、背面封止材50の厚さは、200μm以上1000μm以下好ましく、350μm以上600μm以下がより好ましい。さらに、背面封止材50としては、複数のシートが積層された構成を有するものであっても良い。このような複数のシートが積層された構成としては、例えば、無機蒸着膜を有するガスバリア性シートが積層された構成や、強靭性シートが積層された構成を例示することができる。
その他にも本発明においては、太陽光の吸収性、補強、その他等の目的のもとに、さらに、他の層を任意に加えて積層することができるものである。このような他の層としては、例えば、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸又はメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネ−ト系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロース等の公知の樹脂フィルムないしシートから任意に選択して使用することができる。
<太陽電池モジュールの作成>
本発明において前面透明基板30、前面封止材40、太陽電池素子20、背面封止材50、及び裏面保護シート60をこの順で積層した後、これらを加熱圧着する方法としては、上記各構成を密着できる方法であれば特に限定されず、一般的に公知の方法を用いることができる。このような方法としては、例えば、前面透明基板30、前面封止材40、太陽電池素子20、背面封止材50、及び裏面保護シート60をこの順で積層した後、これらを一体として、真空吸引して加熱圧着するラミネーション法等を例示することができる。上記ラミネーション法を用いた際のラミネート温度は、通常、90℃以上230℃以下が好ましく、110℃以上190℃以下がより好ましい。なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に本実施例、比較例で評価用に作製した樹脂層、及び評価方法を記載するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(1)太陽電池モジュール用裏面保護シート中の各層の形成に使用した塗工液、及び樹脂フィルム
[実施例1]
実施例1においては、電離放射線硬化性樹脂層62の形成に使用した電離放射線硬化性樹脂組成物(塗工液)は、1分子中に少なくとも2個のラジカル重合性不飽和基を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを50質量部、1分子中に3個以上15個以下のラジカル重合・性不飽和基を有する脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを50質量部に紫外線吸収剤を1重量部、光安定剤を0.3重量比で配合し両末端反応性シリコーンアクリレートを10質量部加えたものを用いた。
プライマー層63の形成に使用した塗工液は、ポリカーボネートジオールとイソホロンジイソシアネートとから得られる、末端に水酸基を有するウレタンプレポリマー100質量部に対し、架橋剤としてHDI変性イソシアヌレート17質量部を添加し、これにプライマー層中の紫外線吸収顔料/紫外線吸収顔料以外の固形分の質量比が3になるよう平均粒径0.3μmの酸化チタンを添加し、有機溶剤MEKを塗工適正粘度に調整し、プライマー層用塗工液を調製した。
裏面保護シート60の外層ベースフィルム64に使用したポリエステル樹脂フィルムは、厚さ50μmの耐加水分解性二軸延伸ポリエステルフィルム(東レ(株)製、商品名:ルミラーX10S)を使用した。
裏面保護シート60の基材層66に透明二軸延伸ポリエステルフィルムに帝人・デュポンフィルム社製メリネックスS(188μm)を使用した。
裏面保護シート60の易接着層67に白色高密度ポリエチレン(HDPE)フィルム白色HDPE層には、厚さ60μmの白色高密度ポリエチレンフィルム(白色顔料として、平均粒径5μmの酸化チタンが8質量%、及び平均粒径0.3μmの酸化チタンが3質量%となるように配合されたもの)を用いた。
その他接着剤層の形成には2液ウレタン系接着剤を使用した。
[比較例1]
比較例1においては、電離放射線硬化性樹脂層62の形成に使用した電離放射線硬化性樹脂組成物(塗工液)は、1分子中に少なくとも2個のラジカル重合性不飽和基を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを50質量部、1分子中に3個以上15個以下のラジカル重合・性不飽和基を有する脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを50質量部に紫外線吸収剤を4重量比、光安定剤を1.5重量比で配合し両末端反応性シリコーンアクリレートを10質量部加えたものを用いた。
プライマー層63、面保護シート60の形成については、上記実施例1と同様のものを使用した。
[比較例2]
比較例2においては、プライマー層63の形成に使用した塗工液は、ポリカーボネートジオールとイソホロンジイソシアネートとから得られる、末端に水酸基を有するウレタンプレポリマー100質量部に対し、架橋剤としてHDI変性イソシアヌレート17質量部を添加し、これにプライマー層中の紫紫外線吸収顔料/紫外線吸収顔料以外の固形分の質量比が5になるよう平均粒径0.3μmの酸化チタンを添加し、有機溶剤MEKを塗工適正粘度に調整し、プライマー層用塗工液を調製した。
電離放射線硬化性樹脂層62の形成に使用した電離放射線硬化性樹脂組成物(塗工液)及び裏面保護シート60の形成については、上記実施例1と同様のものを使用した。
(2)裏面封止シートの作製
太陽電池モジュール用裏面保護シート60の一部を形成する、電離放射線硬化性樹脂層62、プライマー層63、及びポリエステル系樹脂層よりなる外層ベースフィルム64からなる耐候層Aおよび裏面保護シート60を作製し、評価を行った。
耐候層Aの作製は、電離放射線硬化性樹脂層62、プライマー層63、及びポリエステル系樹脂層よりなる外層ベースフィルム64からなる耐候層Aを下記方法により作製した。
(イ)コロナ処理を施した表面張力が60dyneを示すポリエステル系樹脂層よりなる外層ベースフィルム64上に、プライマー層形成用塗工液を架橋硬化後の厚みが3μmになるようにMEKで粘度を調整した後、塗布し、乾燥後電離放射線硬化性樹脂層62を硬化後の厚みが5μmになるように電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し乾燥させた。
(ロ)電離放射線硬化性樹脂組成物からなる層に、電子線照射装置(岩崎電気(株)製、型式:エレクトロカーテンEC250/150/180L)を用いて酸素濃度100ppm以下の窒素中雰囲気下において、加速電圧125kV吸収線量50kGy、搬送速度10m/minの条件で架橋硬化させ、電離放射線硬化性樹脂層62を形成した。
(ハ)電離放射線硬化性樹脂組成物を電離放射線照射により架橋硬化させて電離放射線硬化性樹脂層62を形成し、次に、40℃以上45℃以下程度の加熱下に7日間エージングさせて塗工液を架橋硬化させて、ウレタン樹脂からなるプライマー層63を形成することにより、耐候層Aを作製した。
裏面保護シートの作製は、耐候層Aの電離放射線硬化性樹脂層62とは反対側に、2液ウレタン系接着剤を5μm塗工し、次に透明二軸延伸PETフィルム(帝人・デュポン社製メリネックスS 厚み188μm)を貼り合わせ、次に、2液ウレタン系ウレタン接着剤を5μm塗工し、白色HDPE60μmを貼り合わせた。これを40℃の加熱下で7日間硬化させ、太陽電池モジュール用裏面シートを作製した。
[比較例3]
比較例3においては、電離放射線硬化性樹脂層62の形成に使用した電離放射線硬化性樹脂組成物(塗工液)及び、プライマー層63の形成に使用した塗工液については実施例1と同様であるが、裏面封止シートの作製において、(ロ)の電子線照射に替えて、全長12mの乾燥炉にて、炉内温度80℃にて30m/minの速度で熱乾燥し太陽電池モジュール用裏面シートを作製した。
(3)太陽電池モジュールの作製
硝子よりなる前面透明基板30の上に前面封止材40、太陽電池素子20、背面封止材50、上記で作成した実施例1及び、比較例1から比較例3の裏面保護シート60を積層して、真空熱ラミネート加工により150℃にて4分間の真空引き後、9分間加圧することによって太陽電池モジュール10を作製した。
(4)評価方法
裏面保護シートを作製した後、裏面保護シートについて以下の評価を行った。結果は表1に記載した。
(4−1)密着性試験
セロファンテープ(ニチバン(株)製、商品名:セロテープ(登録商標)CT405AP−24)を電離放射線硬化性樹脂層62に貼付け、十分密着させた後、引きはがす操作を1回実施した後、電離放射線硬化性樹脂層62の脱離の有無を確認した。
評価基準は下記の通りとし、○の場合のみ合格とした。
○:脱離がなかった、△:部分的に脱離した、×:全面脱離した
(4−2)耐スチールウール試験
スチールウール(#0000)を用いて、化粧シートの電離放射線硬化性樹脂層62を一定の荷重(1500g/cm2)で10往復擦った後の表面状態(傷つきの有無)を評価した。傷つきが認められた場合を「×」、傷つきが認められなかった場合を「○」と評価した。
(4−3)耐候性試験評価方法
以下条件で耐侯性試験後の外観の変化(特に表面の微細なひび割れや脱離)、密着性を評価した。試験機:メタルウェザー試験機(ダイプラ・ウィンテス(株)製、型式:KW−R5TP)条件:下記の24時間1サイクルを6度繰り返す6サイクル試験を行った。フィルターはKF−1フィルターを用いた。・照度60mW/cm2、ブラックパネル温度63℃、相対湿度50%で20時間、・照度0mW/cm2(暗闇)、ブラックパネル温度30℃、相対湿度98%で4時間、・明暗切替時に10秒散水。表面の微細なひび割れや脱離が認められたものを「×」、表面の微細なひび割れや脱離がみられなかったものを「○」と評価した。
Figure 0006398265
これらの評価の結果、本発明に該当する実施例1においては、モジュール時のクラックが発生せず、優れた耐擦傷性(耐スチールウール試験)を示すとともに、実用レベルの優れた耐候性を示すことが明らかとなった。
実施例1の太陽電池用集電シートを用いて作製した太陽電池モジュールは、屋外の環境で3500時間放置する試験を行った結果、太陽電池モジュール10の発電効率の低下もなく、優れた耐久性を示すものであった。ただし、比較例1(電離放射線硬化性樹脂層62に光吸収剤、光安定剤が多いサンプル)については、裏面に汚れの付着が目立っていた。
本発明の裏面保護シート60を用いることにより、太陽電池モジュール10とした際にも優れた物理的強度や耐候性、耐加水分解性等の耐久性を安定的に備えた太陽電池モジュールを実現できる。
10:太陽電池モジュール
11:(太陽電池モジュールの)裏面外側
20:太陽電池素子
30:透明前面基板
40:前面封止材
50:背面封止材
60:裏面保護シート
61:耐候層の外表面
62:電離放射線硬化性樹脂層
63:プライマー層
64:外層ベースフィルム
65:接着層
66:基材層
67:易接着層
68:バリア層
70:受光面
A:耐候層
B:絶縁層
C:封止材接着層

Claims (4)

  1. 少なくとも耐候層(A)、熱可塑性樹脂を含む絶縁層(B)、及び封止材接着層(C)がこの順に積層されてなる太陽電池モジュール裏面用保護シートであって、
    前記耐候層(A)は2層以上で形成され、
    前記耐候層(A)中の前記絶縁層(B)が積層される側とは反対側の層が電離放射線硬化性樹脂層であり、
    前記耐候層(A)の前記絶縁層(B)が積層される側とは反対側の外表面である前記電離放射線硬化性樹脂層(62)は、有機系の紫外線吸収剤または光安定剤を含み、
    前記電離放射線硬化性樹脂層(62)が有機系の紫外線吸収剤を含む場合には、前記電離放射線硬化性樹脂100質量部とした際に、前記有機系の紫外線吸収剤の含有率3.0質量部以下であり、または、前記電離放射線硬化性樹脂層(62)が光安定剤を含む場合には、前記電離放射線硬化性樹脂100質量部とした際に、前記光安定剤の含有率1.0質量部以下であり、
    前記耐候層(A)中の前記絶縁層(B)が積層される側のプライマー層は、樹脂と紫外線吸収顔料とを含んでおり、
    前記プライマー層中の紫外線吸収顔料/紫外線吸収顔料以外の固形分の質量比が、1.0以上4.0以下である
    太陽電池モジュール裏面用保護シート。
  2. 前記紫外線吸収顔料が、ルチル型の酸化チタンであり、平均粒子径が0.005μm以上10.000μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール裏面用保護シート。
  3. 前記プライマー層の厚みが0.5μm以上20.0μm以下であることを特徴とする請求項1又は、請求項2のいずれかに記載の太陽電池モジュール裏面用保護シート。
  4. 前記プライマー層に含まれる樹脂は、ウレタン系プレポリマーをイソシアネート系架橋剤で架橋して形成されたウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の太陽電池モジュール裏面用保護シート。
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