JP2001174627A - 赤外線吸収フィルター - Google Patents

赤外線吸収フィルター

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JP2001174627A
JP2001174627A JP36150099A JP36150099A JP2001174627A JP 2001174627 A JP2001174627 A JP 2001174627A JP 36150099 A JP36150099 A JP 36150099A JP 36150099 A JP36150099 A JP 36150099A JP 2001174627 A JP2001174627 A JP 2001174627A
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infrared
film
layer
resin
absorption filter
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JP36150099A
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Tetsuo Shimomura
哲生 下村
Shinya Onomichi
晋哉 尾道
Seiichiro Yokoyama
誠一郎 横山
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 近赤外線領域に吸収があり、可視領域の光透
過性が高く、かつ可視領域に特定波長の大きな吸収を持
つことがなく、また環境安定性や耐久性に優れ、さらに
光学欠点の少ない赤外線吸収フィルターを提供する。 【解決手段】 透明高分子フィルムの少なくとも片面に
赤外線吸収層を積層してなる赤外線吸収フィルターにお
いて、前記透明高分子フィルムは少なくとも片面に高分
子易接着層を積層したフィルムであって、かつ前記透明
高分子フィルム中には実質的に粒子を含有しておらず、
さらに前記透明高分子フィルム中に大きさ20μm以上
の異物がフィルムの単位面積当たり10個/m2以下で
あることを特徴とする赤外線吸収フィルター。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、赤外線吸収フィル
ターに関するもので、特に光学欠点となる異物が少な
く、可視光線領域に透過率が高く、かつ赤外線を遮断す
る赤外線吸収フィルターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、熱線吸収フィルターや、ビデオカ
メラ視感度補正用フィルターなどの赤外線吸収フィルタ
ーには、次に示されるような物が広く使われてきた。 燐酸系ガラスに、銅や鉄などの金属イオンを含有した
フィルター(特開昭60−235740号公報、特開昭
62−153144号公報など) 基板上に屈折率の異なる層を積層し、透過光を干渉さ
せることで特定の波長を透過させる干渉フィルター(特
開昭55−21091号公報、特開昭59−18474
5号公報など) 共重合体に銅イオンを含有するアクリル系樹脂フィル
ター(特開平6−324213号公報) バインダー樹脂に色素を分散した構成のフィルター
(特開昭57−21458号公報、特開昭57−198
413号公報、特開昭60−43605号公報など)
【0003】また、透明な電磁波吸収材料としても、従
来種々のものが検討されており、例えば以下の様な材料
などが挙げられる。さらに、これらを組合わせたものな
ども数多く提案されている。 導電性繊維の織物を用いた電磁波シールド材料 薄い金属板をエッチングしてメッシュを製作した電磁
波シールド材料 銀等の高導電性金属や、ITOやSnO2などの透明
導電材料をスパッタリングや真空蒸着法などを用いて薄
膜化した電磁波シールド材料
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来使用されてきた赤外線吸収フィルタには、それぞれ
以下に示すような問題点があった。
【0005】前記の方式の場合、近赤外領域に急峻な
吸収が有り、赤外線遮断率は非常に良好であるが、可視
領域の赤色の一部も大きく吸収してしまい、透過色は青
色に見える。ディスプレー用途では色バランスを重視さ
れ、このような用途に使用するのは不適切である。ま
た、ガラスであるために加工性にも問題がある。
【0006】前記の方式の場合、光学特性は自由に設
計でき、ほぼ設計と同等のフィルターを製造することが
可能であるが、その為には、屈折率差のある層の積層枚
数を非常に多くする必要があり、製造コストが高くなる
などの欠点がある。また、大面積を必要とする場合、全
面積にわたって高い精度の膜厚均一性が要求されるた
め、製造が困難である。
【0007】前記の方式の場合、前記の方式の欠点
であった加工性は改善される。しかし、前記の方式と
同様に、光学特性の設計の自由度が低い。また、可視領
域の赤色部分にも吸収が有り、フィルターが青く見えて
しまうという前記の方式の問題点は変わらない。さら
に、銅イオンの吸収が小さく、アクリル樹脂に含有でき
る銅イオン量も限られているため、アクリル樹脂を厚く
しなければならないという問題点もある。
【0008】前記の方式の場合、赤外線吸収色素とし
て、フタロシアニン系、ニッケル錯体系、ジイモニウム
塩系、アゾ化合物、ポリメチン系、ジフェニルメタン
系、トリフェニルメタン系、キノン系、など多くの色素
が用いられている。しかし、それぞれ単独では、吸収が
不十分であったり、可視領域で特定の波長の吸収が有る
などの問題点を有している。そのため、複数の色素を併
用することが行われている。しかしながら、複数の色素
を含有するフィルターを高温、高湿下に長時間放置する
と、色素の分解や酸化により色素が変成してしまい、可
視領域で吸収が発生したり、赤外線領域での吸収が無く
なってしまうなどの問題がある。また、これらのフィル
ターとして、基材フィルムにコーティングしたタイプの
場合、基材フィルムの透過率やヘイズ値によって光線透
過特性が悪くなるという問題もある。
【0009】また、前記〜の方式の赤外線吸収フィ
ルターと、前記〜記載の電磁波吸収材料を組み合わ
せた場合においても、上記の様な問題が改善されるわけ
ではない。
【0010】また、基材フィルムの原料樹脂中に異物が
存在すると、製膜時の延伸工程でこの異物の周囲でフィ
ルムの分子配向が乱れる。その結果、光学的歪みが発生
し、実際の異物の大きさよりかなり大きな欠点として認
識されるため、著しく品位を損なう。例えば、大きさ2
0μmの異物でも普通光学的に50μm以上の大きさと
して認識され、さらには100μm以上の大きさの光学
欠点として認識される場合もある。高透明なフィルムを
得るためには、基材フィルム中に易滑性を付与するため
の粒子を含有させないか、できるだけ粒子含有量を少量
にすることが好ましいが、粒子含有量が少ないほど、く
フィルムの透明性は高くなり、微小な異物による光学欠
点はより鮮明となる傾向にある。また、赤外線吸収フィ
ルターの基材フィルムの厚みは一般的に50μm以上あ
り、このような厚手のフィルムはフィルム単位面積当た
りの厚み方向の異物含有量が薄手のフィルムより多くな
る傾向があり、いっそうこの問題は大きい。
【0011】さらに、基材フィルム中に易滑性を付与す
るための粒子を含有させないか透明性を阻害しない程度
に粒子含有量を少なくした場合、一般に易接着層に易滑
性付与を目的とした粒子を含有させる必要があるが、こ
れらの粒子は透明性を阻害しないよう極めて粒径の小さ
な粒子を使用する必要がある。しかし、粒径の小さな微
細粒子は極めて凝集しやすく、粗大凝集物となる可能性
がある。この粗大凝集物を含有した易接着層を基材フィ
ルムに積層すると、この粗大凝集物が光学欠点となる。
【0012】すなわち、本発明の目的は、近赤外線領域
に吸収があり、可視領域の光透過性が高く、かつ可視領
域に特定波長の大きな吸収を持つことがなく、また環境
安定性や耐久性に優れ、さらに光学欠点の少ない赤外線
吸収フィルターを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
状況に鑑みなされたものであって、上記の課題を解決す
ることができた赤外線吸収フィルタ−とは、以下のとお
りである。
【0014】即ち、本発明の第1の発明は、透明高分子
フィルムの少なくとも片面に赤外線吸収層を積層してな
る赤外線吸収フィルターにおいて、前記透明高分子フィ
ルムは少なくとも片面に高分子易接着層を積層したフィ
ルムであって、かつ前記透明高分子フィルム中には実質
的に粒子を含有しておらず、さらに前記透明高分子フィ
ルム中に大きさ20μm以上の異物がフィルムの単位面
積当たり10個/m2であることを特徴とする赤外線吸
収フィルターである。
【0015】第2の発明は、第1の発明に記載の赤外線
吸収層が赤外線吸収色素及び高分子樹脂を主な構成成分
とし、前記高分子樹脂中に赤外線吸収色素が分散してお
り、前記赤外線吸収色素として、ジイモニウム塩系化合
物、含フッ素フタロシアニン系化合物、及びニッケル錯
体系化合物の少なくとも2種類を含有することを特徴と
する赤外線吸収フィルターである。第3の発明は、前記
赤外線吸収色素として、少なくともジイモニウム塩系化
合物を含有し、さらに含フッ素フタロシアニン系化合物
及びニッケル錯体系化合物の少なくとも1種類を含有す
ることを特徴とする第2の発明に記載の赤外線吸収フィ
ルターである。
【0016】第4の発明は、第3の発明に記載の赤外線
吸収層に含有されている赤外線吸収色素の配合比が、ジ
イモニウム塩系化合物1重量部当たり、含フッ素フタロ
シアニン系化合物が1.2〜0.01重量部、ニッケル
錯体系化合物が1〜0重量部であることを特徴とする赤
外線吸収フィルター。第5の発明は、前記赤外線吸収層
の構成成分である高分子樹脂がポリエステル樹脂である
ことを特徴とする第2乃至4の発明に記載の赤外線吸収
フィルターである。
【0017】第6の発明は、前記透明高分子フィルムが
二軸配向ポリエステルフィルムであることを特徴とする
第1乃至5の発明に記載の赤外線吸収フィルターであ
る。第7の発明は、前記高分子易接着層が共重合ポリエ
ステル系樹脂及びポリウレタン系樹脂からなることを特
徴とする第1乃至6の発明に記載の赤外線吸収フィルタ
ーである。第8の発明は、前記高分子易接着層中に粒子
を含有していることを特徴とする第1乃至7の発明に記
載の赤外線吸収フィルターである。
【0018】第9の発明は、前記高分子易接着層の表面
及び/又は内部に、100μm以上の最大径を有する粗
大物が高分子易接着層の単位面積当たり3個/m2以下
であることを特徴とする第1乃至8の発明に記載の赤外
線吸収フィルターである。第10の発明は、前記透明高
分子フィルムのヘイズ値が1.0%以下であることを特
徴とする第1乃至9の発明に記載の赤外線吸収フィルタ
ーである。第11の発明は、前記赤外線吸収層の構成成
分である高分子樹脂のガラス転移温度が、赤外線吸収フ
ィルターを利用する機器の使用保証温度以上であること
を特徴とする第1乃至10の発明に記載の赤外線吸収フ
ィルターである。
【0019】第12の発明は、前記赤外線吸収フィルタ
ーの最外層に反射防止層を積層されていることを特徴と
する第1乃至11の発明に記載の赤外線吸収フィルター
である。第13の発明は、前記赤外線吸収フィルターの
最外層に防眩処理層を積層されていることを特徴とする
第1乃至11の発明に記載の赤外線吸収フィルターであ
る。第14の発明は、プラズマディスプレーの前面板と
して使用されることを特徴とする第1乃至13の発明に
記載の赤外線吸収フィルターである。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の赤外線吸収フィルター
は、透明高分子フィルムを基材とし、前記基材の少なく
とも片面に赤外線吸収層を積層し、さらに前記透明高分
子フィルムの少なくとも片面には高分子易接着層を積層
した構成を有することを特徴としている。
【0021】(赤外線吸収層の構成)本発明の赤外線吸
収フィルターにおいて、赤外線吸収層は赤外線吸収色素
と高分子樹脂を主な構成成分とする。本発明では、赤外
線吸収色素を高分子樹脂中に分散させ、さらにこれを透
明高分子フィルムの少なくとも片面にコーティングする
ことが、生産性、加工性、コスト面から好ましい。この
際、基材の透明高分子フィルムと赤外線吸収層との密着
性を向上させるために、前記透明高分子フィルムと赤外
線吸収層との中間には高分子易接着層を有していること
が好ましい。
【0022】本発明において、赤外線吸収層に含有させ
る赤外線吸収色素としては、ジイモニウム塩系化合物、
含フッ素フタロシアニン系化合物、及びニッケル錯体系
化合物のうち少なくとも2種類を併用することが好まし
い。また、前記赤外線吸収層に含有させる赤外線吸収色
素として、少なくともジイモニウム塩系化合物を含有
し、さらに含フッ素フタロシアニン系化合物及びニッケ
ル錯体系化合物の少なくとも1種類を含有させることが
特に好ましい。さらに、前記赤外線吸収色素の配合比
を、ジイモニウム塩系化合物1重量部当たり、含フッ素
フタロシアニン系化合物が1.2〜0.01重量部、ニ
ッケル錯体系化合物が1〜0重量部とすることは、
(1)近赤外線領域での吸収があり、(2)可視領域で
光透過性が高く、(3)可視領域に特定波長の大きな吸
収を持たない、赤外線吸収フィルターを得るのに好適で
ある。
【0023】上記の赤外線吸収色素としては、次のよう
な色素が市販されており、入手可能である。ジイモニウ
ム塩系化合物としては、日本化薬社製Kayasorb IRG-02
2、IRG-023など、含フッ素フタロシアニン系化合物とし
ては、日本触媒社製ExcolorIR1、IR2、IR3、IR4、TX-E
X808K、TX-EX810Kなど、ニッケル錯体系化合物として
は、三井化学社製SIR-128、SIR-130、SIR-132、SIR-159
などが挙げられるが、上記赤外線吸収色素は一例であ
り、特に限定されるものではない。
【0024】また、前記赤外線吸収層の構成成分とし
て、赤外線吸収色素を分散するために高分子樹脂を用い
ることが好ましい。色素の安定性の点から、前記高分子
樹脂のガラス転移温度は、本発明の赤外線吸収フィルタ
ーを使用する環境下での想定保証温度以上の温度である
ことが好ましい。電子機器の想定保証温度は、一般に8
0℃であるため、前記高分子樹脂のガラス転移温度は8
0℃以上が好ましく、85〜110℃の範囲がより好ま
しい。この範囲にガラス転移温度がある場合、赤外線吸
収層をコーティング法で基材の透明高分子フィルムに積
層した場合のコーティング適性と耐久性を両立すること
ができる。ここでいう耐久性とは、高温、高湿下で長時
間保管した後の、例えば温度60℃、湿度95%の雰囲
気下でサンプルを500時間放置した後の、分光特性の
劣化が低いことを意味する。さらに、赤外線吸収色素を
高分子樹脂中に高濃度で分散させることもできるという
利点もある。前記高分子樹脂としては、ポリエステル樹
脂が好ましい。上記ポリエステル樹脂は多価カルボン酸
成分及び多価アルコール成分とから合成される。
【0025】ポリエステル樹脂を構成する多価カルボン
酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソ
フタル酸、1,5−ナフタルレンジカルボン酸、2,6
−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、スルホテレフ
タル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル
酸、4−スルホナフタレン−2,7ジカルボン酸、5
〔4−スルホフェノキシ〕イソフタル酸、スルホテレフ
タル酸などの芳香族ジカルボン酸及びそのエステル形成
性誘導体;p−オキシ安息香酸、p−(ヒドロキシエト
キシ)安息香酸などの芳香族オキシカルボン酸及びその
エステル形成性誘導体;コハク酸、アジピン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸などの脂肪
族ジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体;フマ−
ル酸、マレイン酸、イタコン酸、ヘキサヒドロフタル
酸、テトラヒドロフタル酸などの不飽和脂肪族ジカルボ
ン酸及びそのエステル形成性誘導体;脂環族ジカルボン
酸及びそのエステル形成性誘導体などが挙げられる。ま
た、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸な
どの三価以上の多価カルボン酸も例示される。
【0026】前記ポリエステル樹脂を構成する多価アル
コ−ル酸成分としては、脂肪族多価アルコ−ル類、脂環
族多価アルコ−ル類、芳香族多価アルコ−ル類などが例
示できる。脂肪族多価アルコ−ル類としては、エチレン
グリコ−ル、プロピレングリコ−ル、1,3−プロパン
ジオ−ル、2,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジ
オ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサン
ジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、ジエチレングリコ
−ル、ジプロピレングリコ−ル、2,2,4−トリメチ
ル−1,3−ペンタンジオ−ル、ポリエチレングリコ−
ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレング
リコ−ルなどの脂肪族ジオ−ル類、トリメチロ−ルエタ
ン、トリメチロ−ルプロパン、グリセリン、ペンタエル
スリト−ルなどのトリオ−ルおよびテトラオ−ル類など
が例示できる。
【0027】脂環族多価アルコ−ル類としては、1,4
−シクロヘキサンジオ−ル、1,4−シクロヘキサンジ
メタノ−ル、スピログリコ−ル、水素化ビスフェノ−ル
A、水素化ビスフェノ−ルAなどのエチレンオキサイド
付加物またはプロピレンオキサイド付加物、トリシクロ
デカンジオ−ル、トリシクロデカンジメタノ−ル、トリ
シクロデカンジエタノール、ジメチルトリシクロデカン
ジプロピロール、トリシクロデカンジブチロール、ジメ
チルトリシクロデカンジメタノール、ジエチルトリシク
ロデカンジメタノール、テトラメチルシクロデカンジメ
タノール、ヘキサメチルトリシクロデカンジメタノー
ル、オクタメチルトリシクロデカンジメタノールなどが
例示できる。
【0028】芳香族多価アルコ−ル類としては、9,9
−ビス−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−
フルオレン、9,9−ビス−(4−(2−ヒドロキシエト
キシ)−3−メチルフェニル)−フルオレン、9,9−ビ
ス−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチ
ルフェニル)−フルオレン、9,9−ビス−(4−(2−
ヒドロキシエトキシ)−3−エチルフェニル)−フルオ
レン、9,9−ビス−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)
−3,5−ジエチルフェニル)−フルオレン、1,1−ビ
ス−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)シクロヘ
キサン、1,1−ビス−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)
−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス−
(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェ
ニル)シクロヘキサン、1,1−ビス−(4−(2−ヒドロ
キシエトキシ)−3−エチルフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5
−ジエチルフェニル)シクロヘキサンパラキシレングリ
コ−ル、メタキシレングリコ−ル、オルトキシレングリ
コ−ル、1,4−フェニレングリコ−ル、1,4−フェ
ニレングリコ−ルなどのエチレンオキサイド付加物、ビ
スフェノ−ルA、ビスフェノールAなどのエチレンオキ
サイド付加物またはプロピレンオキサイド付加物などが
例示できる。
【0029】さらに、ポリエステルポリオ−ルとして、
ε−カプロラクトンなどのラクトン類を開環重合して得
られる、ラクトン系ポリエステルポリオ−ル類などを例
示することができる。これらのほかに、ポリエステル高
分子末端の極性基を封鎖する目的で単官能単量体をポリ
エステルに導入する場合がある。
【0030】単官能単量体としては、安息香酸、クロロ
安息香酸、ブロモ安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸、
スルホ安息香酸モノアンモニウム塩、スルホ安息香酸モ
ノナトリウム塩、シクロヘキシルアミノカルボニル安息
香酸、n−ドデシルアミノカルボニル安息香酸、ターシ
ャルブチル安息香酸、ナフタレンカルボン酸、4−メチ
ル安息香酸、3−メチル安息香酸、サリチル酸、チオサ
リチル酸、フェニル酢酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、
イソ酪酸、オクタンカルボン酸、ラウリル酸、ステアリ
ル酸、およびこれらの低級アルキルエステル、などのモ
ノカルボン酸類、あるいは脂肪族アルコ−ル、芳香族ア
ルコ−ル、脂環族アルコ−ルなどのモノアルコ−ルを用
いることができる。
【0031】本発明においては、これらのうち不飽和単
量体を必須成分とし、他の成分はポリエステル樹脂のガ
ラス転移温度、モノマ−との相溶性、等により適宜選択
される。
【0032】(透明高分子フィルムの原料樹脂)本発明
の赤外線吸収層の基材となる透明高分子フィルムを構成
する樹脂は、ポリエステル系、アクリル系、セルロース
系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリオレフィ
ン系、ポリ塩化ビニル系、ポリカーボネート、フェノー
ル系、ウレタン系樹脂などが挙げられるが、特に限定さ
れない。なかでも、環境負荷、コストパフォーマンスな
どの観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレ
ートなどのポリエステル系樹脂が好ましい。なかでも、
ポリエチレンテレフタレート(以後、PETと略す)が
特に好適である。以下、PETを例に挙げ詳しく説明す
る。
【0033】PET樹脂の製造は、テレフタル酸とエチ
レングリコールを出発原料としエステル化反応を経て重
縮合する公知の直接重合法、またはテレフタル酸ジメチ
ルとエチレングリコールを出発原料としエステル交換反
応を経て重縮合する公知のエステル交換法のいずれかを
用いることができる。直接重合法の場合、PET樹脂中
に含有させるものとしては、重縮合触媒(Sb23、S
bグリコラートなど)、熱安定化剤(トリメチルフォス
フェートなどのP系化合物)、静電印密着法を用いて未
延伸フィルムを製造する際の密着性改良剤(グリコール
可溶性のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩など)が
挙げられる。エステル交換法の場合、上記化合物のほか
にエステル交換反応触媒(Mg、Ca、Zn、Mnなど
の酢酸塩など)が必要である。特に、重縮合触媒として
Sb23を使用した場合、重合時及び/または未延伸P
ETフィルムの製造時に、Sb23が金属Sbに還元さ
れ、フィルム表面に凝集物として析出しやすくなる。こ
れがフィルムにおける光学欠点の原因の1つとなるた
め、重縮合時間を著しく遅くしない範囲で、できるだけ
Sb23の含有量を低減させることが好ましい。
【0034】PETフィルム中に大きさ20μm以上の
異物をフィルムの単位面積当たり10個/m2以下とす
るためには、PET樹脂中のSb23の含有量をSb元
素として50〜250ppmとすることが好ましく、5
0〜200ppmがさらに好ましく、特に好ましくは7
0〜150ppmである。また、PET樹脂中には、一
般に易滑性付与などを目的で不活性粒子及び内部析出粒
子を含有させるが、透明性を向上させ、かつ上記異物を
低減する点から、これらの粒子は実質上含有させないこ
とが必要である。粒子を実質上含有していないとは、フ
ィルム中の粒子含有量が、蛍光X線で分析した際の検出
限界よりも少ない含有量であることを意味する。
【0035】さらに、重縮合完了後PET樹脂を孔径
(95%カット)が7μm以下のナスロン製フィルター
で濾過処理を行なったり、溶融樹脂をストランド状に冷
却水中に押し出す際に予め冷却水を濾過処理(孔径:1
μm以下)し、かつこの工程を密閉した部屋とし、ヘパ
フィルターで環境中の1μm以上の異物を低減させてお
くことは、基材フィルムの原料となるPET樹脂中の大
きさ20μm以上の異物をフィルムの単位面積当たり1
0個/m2以下とするのに好ましい。
【0036】また、PET樹脂の固有粘度は、0.45
〜0.70dl/gの範囲が好ましい。さらに好ましく
は0.50〜0.67dl/gであり、特に好ましくは
0.55〜0.65dl/gである。固有粘度が0.4
5dl/gよりも低いと、フィルム製造時に破断が多発
し、かつ強伸度特性が不十分となる。一方、0.70d
l/gより大きいと、濾圧上昇が大きくなり異物除去の
ための高精度濾過が困難となり好ましくない。
【0037】(透明高分子フィルムの製造) A.未延伸フィルムの製造 不活性粒子及び内部析出粒子を実質的に含有していない
PET樹脂を十分に真空乾燥した後、押出し機に供給
し、約280℃でシート状に溶融押出しし、冷却固化せ
しめて未延伸PETシートを製膜する。この際、PET
樹脂中に含まれている異物をさらに除去するために、溶
融樹脂が約280℃に保たれた任意の場所で、樹脂中に
含まれる異物を除去するために高精度濾過を行う。
【0038】溶融樹脂の高精度濾過に用いられる濾材
は、特に限定はされないが、ステンレス焼結体の濾材の
場合、原料PET樹脂中の触媒や添加物、反応缶壁から
の落下物、外部コンタミ物に起因する粗大異物及び高融
点有機物などの大きさ20μm以上の異物をフィルムの
単位面積当たり10個/m2以下とするのに好適であ
る。溶融樹脂の高精度濾過に用いられる濾材の濾過粒子
サイズ(初期濾過効率95%)を15μm以下とするこ
とが好ましい。濾材の濾過粒子サイズが15μmを超え
ると、20μm以上の異物の除去が不十分となりやす
い。濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が15μm
以下の濾材を使用して溶融樹脂の高精度濾過を行うこと
により、生産性が低下する場合があるが、光学欠点が少
なく、かつ透明性に優れたPETフィルムを得るには極
めて重要である。
【0039】溶融樹脂の押出し工程において濾材を通過
する微細な異物であっても、シート状溶融物の冷却過程
において異物の周囲で結晶化が進み、これが延伸工程に
おいて延伸の不均一性を引き起こし、微小な厚みの差異
を生じせしめレンズ状態となる。この微小な厚みの差異
がある部分では、光はレンズがあるかの様に屈折又は散
乱し、肉眼で観察した時には実際の異物より大きく見え
る様になる。この微小な厚みの差は、凸部の高さと凹部
の深さの差として観測することができ、凸部の高さが1
μm以上で、凸部に隣接する凹部の深さが0.5μm以
上であると、レンズ効果により、大きさが20μmの形
状の物でも肉眼的には50μm以上の大きさとして認識
され、さらには100μm以上の大きさの光学欠点とし
て認識される場合もある。本発明で使用する高透明なフ
ィルムを得るためには、基材フィルム中に易滑性を付与
するための粒子を実質上含有させないことが好ましい
が、透明性が高いほど微小な凹凸による光学欠点はより
鮮明となる傾向にある。また、厚手のフィルムの表面は
薄手のフィルムより急冷となりにくく、結晶化が進む傾
向にあるため、未延伸フィルム作成時にフィルム全体を
急冷することが必要となる。
【0040】未延伸フィルムを冷却する方法としては、
溶融樹脂を回転冷却ドラム上にダイスからシート状に押
し出し、シート状溶融物を静電印可密着法により回転冷
却ドラムに密着させながら、急冷してシートとする公知
の方法が適用できる。このシート状物のエア面(冷却ド
ラムと接触する面との反対面)を冷却する方法として
は、高速気流を吹きつけて冷却する方法が有効である。
【0041】B.延伸フィルムの製造 本発明の赤外線吸収フィルターの基材となる透明高分子
フィルムは、少なくとも一軸方向に延伸したフィルムで
あることが好ましく、二軸延伸フィルムであることが特
に好ましい。二軸延伸フィルムは下記のような条件で製
造する。得られた未延伸フィルムを、80〜120℃に
加熱したロールで長手方向に2.5〜5.0倍延伸し
て、一軸配向PETフィルムを得る。さらに、フィルム
の端部をクリップで把持して、80〜180℃に加熱さ
れた熱風ゾーンに導き、乾燥後幅方向に2.5〜5.0
倍に延伸する。引き続き200〜240℃の熱処理ゾー
ンに導き、1〜60秒間の熱処理を行い、結晶配向を完
了させる。この熱処理工程中で、必要に応じて、幅方向
及び/又は長手方向に3〜10%の弛緩処理を施しても
よい。
【0042】C.高分子易接着層の積層 本発明において、透明高分子フィルムの少なくとも片面
に高分子易接着層を積層していることが必要である。高
分子易接着層は、上記フィルム製造工程中の任意の段階
で、PETフィルムの少なくとも片面に、水溶性または
水分散性樹脂からなる高分子易接着樹脂の塗布液を塗布
・乾燥させて積層することが好ましい。
【0043】上記水性塗布液を塗布する工程は、通常の
塗布工程、すなわち二軸延伸し熱固定した基材フィルム
に塗布する工程でもよいが、該フィルムの製造工程中に
塗布するインラインコート法が好ましい。さらに好まし
くは、結晶配向が完了する前の基材フィルムに塗布す
る。なお、未延伸フィルム作成後から塗布工程における
空気中のクリーン度(0.5μ以上の粒子数/ft3
を、クラス100,000となるようヘパフィルターに
よりコントロールすることは、フィルム表面に付着する
異物を低減させるのに有効である。
【0044】未延伸あるいは一軸延伸後のポリエステル
フィルム基材に上記塗布液を塗布した後、乾燥、延伸す
る場合、塗布後の乾燥工程では水等の溶剤分のみを取り
除きかつ塗布層の架橋反応が進行しない温度及び時間を
選定することが重要である。乾燥温度は70〜140℃
で行うことが好ましく、乾燥時間は塗布液及び塗布量に
応じて調整するが、温度(℃)と時間(秒)の温度積とし
て3000以下が好ましい。
【0045】水性塗布液中の固形分濃度は、30重量%
以下であることが好ましく、特に好ましくは10重量%
以下である。該水性塗布液が塗布・乾燥されたフィルム
は、延伸および熱固定のためにテンターに導かれ、そこ
で加熱されて、熱架橋反応により安定な被膜を形成し、
ポリエステル系積層フィルムとなる。インキとの良好な
密着性を得るためには、熱処理工程において100℃以
上でかつ1分間以上熱処理し、また熱処理後の易接着層
の塗布量を0.05g/m2以上となるように塗工する
ことが好ましい。
【0046】上記水性塗布液の塗布方法は、公知の方法
で行うことができる。例えば、リバースロールコート
法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシ
ュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤ
ーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸コート法
およびカーテンコート法などが挙げられ、これらの方法
を単独で、あるいは組み合わせることができる。
【0047】本発明の透明高分子フィルムに積層する高
分子易接着樹脂は、特に限定されるものではないが、例
えば水性ポリエステル樹脂、水性ポリウレタン樹脂、水
性アクリル樹脂等が挙げられる。なかでも、前記の共重
合ポリエステル系樹脂及びポリウレタン樹脂を主な構成
成分とする高分子樹脂は、基材のPETフィルムや赤外
線吸収層との接着性に優れ、かつ赤外線吸収フィルター
の最外層に積層される反射防止層や防眩処理層との接着
性にも優れており、さらに高い透明性も有することから
好適である。したがって、基材のPETフィルムの赤外
線吸収層を積層する表面、及び基材のPETフィルムの
反射防止層あるいは防眩処理層を積層する表面には、前
記の高分子易接着層、特に共重合ポリエステル系樹脂及
びポリウレタン樹脂を主な構成成分とする高分子樹脂か
らなる易接着層を設けておくことが好ましい。
【0048】高分子易接着層を構成する高分子樹脂とし
て、共重合ポリエステル系樹脂を単独で使用した場合に
は、基材のPETフィルムとの接着性は十分であるが、
赤外線吸収フィルターの最外層に積層される反射防止層
や防眩処理層や赤外線吸収層を溶剤系でコーティングす
る場合に接着性が不十分となる。また、ポリウレタン系
樹脂を単独で使用した場合には、基材のPETフィルム
や赤外線吸収層との接着性に劣る。
【0049】前記高分子易接着層の構成成分である共重
合ポリエステル系樹脂とは、分岐したグリコール成分を
構成成分とする。分岐したグリコール成分とは、例え
ば、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2
−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2
−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2
−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、
2−メチル−2−イソプロピル−1,3−プロパンジオ
ール、2−メチル−2−n−ヘキシル−1,3−プロパ
ンジオール、2、2−ジエチル−1,3−プロパンジオ
ール、2−エチル−2−n−ブチル−1,3−プロパン
ジオール、2−エチル−2−n−ヘキシル−1,3−プ
ロパンジオール、2,2−ジ−n−ブチル−1,3−プ
ロパンジオール、2−n−ブチル−2−プロピル−1,
3−プロパンジオール、及び2,2−ジ−n−ヘキシル
−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
【0050】上記の分岐したグリコール成分は全グリコ
ール成分の中に、好ましくは10モル%以上の割合で、
さらに好ましくは20モル%以上の割合で含有される。
上記化合物以外のグリコール成分としては、エチレング
リコールが最も好ましい。少量であれば、ジエチレング
リコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘ
キサンジオールまたは1,4−シクロヘキサンジメタノ
ールなどを用いても良い。
【0051】前記の共重合ポリエステル系樹脂の構成成
分であるジカルボン酸成分としては、テレフタル酸およ
びイソフタル酸が最も好ましい。少量であれば他のジカ
ルボン酸、例えばジフェニルカルボン酸、2,6−ナル
タレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸を加えて
共重合させてもよい。
【0052】上記ジカルボン酸成分のほかの酸成分とし
て、水分散性を付与させるために、5−スルホイソフタ
ル酸を1〜10モル%の範囲で使用するのが好ましく、
例えばスルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、
4−スルホナフタレンイソフタル酸−2,7−ジカルボ
ン酸、5−(4−スルフォフェノキシ)イソフタル酸及
びその塩類などが挙げられる。
【0053】前記高分子易接着層の他の構成成分である
ポリウレタン樹脂とは、例えば、ブロック型イソシアネ
ート基を含有する樹脂であって、末端イソシアネート基
を親水性基で封鎖(以下ブロックと言う)した、熱反応
型の水溶性ウレタンなどが挙げられる。上記イソシアネ
ート基のブロック化剤としては、重亜硫酸塩類及びスル
ホン酸基を含有したフェノール類、アルコール類、ラク
タム類オキシム類及び活性メチレン化合物類等が挙げら
れる。ブロック化されたイソシアネート基はウレタンプ
レポリマーを親水化あるいは水溶化する。フィルム製造
時の乾燥あるいは熱セット過程で、上記樹脂に熱エネル
ギーが与えられると、ブロック化剤がイソシアネート基
からはずれるため、上記樹脂は自己架橋した編み目に混
合した水分散性共重合ポリエステル樹脂を固定化すると
ともに上記樹脂の末端基等とも反応する。塗布液調整中
の樹脂は親水性であるため耐水性が悪いが、塗布、乾
燥、熱セットして熱反応が完了すると、ウレタン樹脂の
親水基すなわちブロック化剤がはずれるため、耐水性が
良好な塗膜が得られる。上記ブロック化剤の内、熱処理
温度、熱処理時間が適当で、工業的に広く用いられるも
のとしては重亜硫酸塩類が最も好ましい。
【0054】上記樹脂において使用される、ウレタンプ
レポリマーの化学組成としては(1)分子内に2個以上
の活性水素原子を有する、有機ポリイソシアネート、あ
るいは分子内に少なくとも2個の活性水素原子を有する
分子量が200〜20,000の化合物、(2)分子内
に2個以上のイソシアネート基を有する、有機ポリイソ
シアネート、あるいは、(3)分子内に少なくとも2個
活性水素原子を有する鎖伸長剤を反応せしめて得られ
る、末端イソシアネート基を有する化合物である。
【0055】上記(1)の化合物として一般に知られて
いるのは、末端又は分子中に2個以上のヒドロキシル
基、カルボキシル基、アミノ基あるいはメルカプト基を
含むものであり、特に好ましい化合物としては、ポリエ
ーテルポリオールおよびポリエーテルエステルポリオー
ルなどが挙げられる。
【0056】ポリエーテルポリオールとしては、例えば
エチレンオキシド及び、プロピレンオキシドなどのアル
キレンオキシド類、あるいはスチレンオキシドおよびエ
ピクロルヒドリン等を重合した化合物、あるいはそれら
のランダム重合、ブロック重合あるいは多価アルコール
への付加重合を行って得られた化合物がある。ポリエス
テルポリオール及びポリエーテルエステルポリオールと
しては、主として直鎖状あるいは分岐状の化合物が挙げ
られる。これらのポリオールは、コハク酸、アジピン
酸、フタル酸及び無水マレイン酸などの飽和あるいは不
飽和の多価カルボン酸あるいは該カルボン酸無水物など
と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,
4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6
−ヘキサンジオール及びトリメチロールプロパンなどの
飽和及び不飽和の多価アルコール類、比較的低分子量の
ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコー
ルなどのポリアルキレンエーテルグリコール類、あるい
はそれらアルコール類の混合物とを縮合することにより
得ることができる。
【0057】さらに、ポリエステルポリオールとして
は、ラクトン及びヒドロキシ酸から得られるポリエステ
ル類、またポリエーテルエステルポリオールとしては、
予め製造されたポリエステル類にエチレンオキシドある
いはプロピレンオキシドなどを付加せしめたポリエーテ
ルエステル類も使用することができる。上記(2)の有
機ポリイソシアネートとしては、トルインジイソシアネ
ートの異性体類、4,4−ジフェニルメタンジイソシア
ネートなどの芳香族ジイソシアネート類、キシリレンジ
イソシアネートなどの芳香族脂肪族ジイソシアネート
類、イソホロンジイソシアネート及び4,4−ジシクロ
ヘキシルメタンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシ
アネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、および
2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネー
トなどの脂肪族ジイソシアネート類、あるいはこれらの
化合物を単一であるいは複数併用して、トリメチロール
プロパン等とあらかじめ付加させたポリイソシアネート
類が挙げられる。
【0058】上記(3)の少なくとも2個の活性水素を
有する鎖伸長剤としては、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、1,4−ブタンジオール、及び1,6
−ヘキサンジオールなどのグリコール類、グリセリン、
トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトール
などの多価アルコール類、エチレンジアミン、ヘキサメ
チレンジアミン、およびピペラジンなどのジアミン類、
モノエタノールアミンおよびジエタノールアミンなどの
アミノアルコール類、チオジエチレングルコールまどの
チオジグリコール類、あるいは水が挙げられる。上記
(3)のウレタンポリマーを合成するには通常、上記鎖
伸長剤を用いた一段式あるいは多段式イソシアネート重
付加方法により、150℃以下、好ましくは70〜12
0℃の温度において、5分ないし数時間反応させる。活
性水素原子に対するイソシアネート基の比は、1以上で
あれば自由に選べるが、得られるウレタンプレポリマー
中に遊離のイソシアネート基が残存することが必要であ
る。
【0059】さらに、遊離のイソシアネート基の含有量
は10重量%以下であればよいが、ブロック化された後
のウレタンポリマー水溶液の安定性を考慮すると、7重
量%以下であるのが好ましい。得られた上記ウレタンプ
レポリマーは、好ましくは重亜硫酸塩を用いてブロック
化を行う。重亜硫酸塩水溶液と混合し、5分〜1時間、
よく攪拌しながら反応を進行させる。反応温度は60℃
以下とするのが好ましい。その後、水で希釈して適当な
濃度にして、熱反応型水溶性ウレタン組成物とする。該
組成物は使用する際、適当な濃度および粘度に調製する
が、通常80〜200℃前後に加熱すると、ブロック剤
の重亜硫酸塩が解離し、活性なイソシアネート基が再生
するために、プレポリマーの分子内あるいは分子間で起
こる重付加反応によってポリウレタン重合体が生成した
り、また他の官能基への付加を起こす性質を有するよう
になる。
【0060】上記のブロック型イソシアネート基を含有
するポリウレタン樹脂(B)としては、第一工業製薬
(株)製の商品名エラストロンが例示される。エラスト
ロンは、重亜硫酸ソーダによってイソシアネート基をブ
ロックしたものであり、分子末端に強力な親水性を有す
る、カルバモイルスルホネート基が存在するため、水溶
性となっている。
【0061】本発明で使用される、分岐したグリコール
成分を含有する共重合ポリエステル樹脂(A)およびブ
ロック型イソシアネート基を含有するポリウレタン樹脂
(B)を混合して塗布液を調製する場合、樹脂(A)と
樹脂(B)の重量比は(A):(B)=90:10〜1
0:90が好ましく、更に好ましくは(A):(B)=
80:20〜20:80の範囲である。易接着層の全固
形分重量に対する上記樹脂(A)の重量比が10%未満
では、基材フィルムへの塗布性が不十分となりやすく、
高分子易接着層と基材フィルムとの間の接着性が不十分
となる傾向がある。一方、易接着層の全固形分重量に対
する上記樹脂(B)の重量比が10%未満の場合には、
UV硬化タイプのハードコートにおいては実用性のある
接着性が得られにくい。
【0062】本発明で使用される水性塗布液には、熱架
橋反応を促進させるため、触媒を添加しても良く、例え
ば無機物質、塩類、有機物質、アルカリ性物質、酸性物
質および含金属有機化合物等、種々の化学物質が用いる
ことができる。また水溶液のpHを調節するために、ア
ルカリ性物質あるいは酸性物質を添加してもよい。
【0063】上記水性塗布液を基材フィルム表面に塗布
する際には、該フィルムへの濡れ性を向上させ、塗布液
を均一にコートするために、公知のアニオン性活性剤お
よびノニオン性の界面活性剤を必要量使用することがで
きる。塗布液に用いる溶剤は、水のほかに、エタノー
ル、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコールなど
のアルコール類を、全塗布液に占める割合が50重量%
未満となるまで混合してもよい。さらに、10重量%未
満であれば、アルコール類以外の有機溶剤を溶解可能な
範囲で混合してもよい。ただし、塗布液中、アルコール
類とその他の有機溶剤との合計は、50重量%未満とす
る。
【0064】有機溶剤の添加量が50重量%未満であれ
ば、塗布乾燥時に乾燥性が向上するとともに、水のみの
場合と比較して塗布膜の外観向上の効果がある。50重
量%を越えると、溶剤の蒸発速度が速く塗工中に塗布液
の濃度変化が起こり、粘度が上昇して塗工性が低下する
ために、塗布膜の外観不良を起こす恐れがあり、さらに
は火災などの危険性も考えられる。
【0065】本発明では基材フィルム中に易滑性付与な
どを目的とした粒子を含有していないため、上記水性塗
布液中に粒子を含有させ、易接着層表面に適度な突起を
形成させることが好ましい。かかる粒子の例としては、
炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリ
ン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、
フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化
モリブデンなどの無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸
カルシウム等の有機粒子を挙げることができる。これら
の中でも、シリカ粒子はポリエステル樹脂と屈折率が比
較的近く、高い透明性を有するフィルムを得ることがで
きるため、最も好適である。
【0066】上記水性塗布液に含有する粒子の平均粒径
は、0.01〜1.0μmが好ましく、0.03〜0.
5μm以下が特に好ましい。平均粒径が1.0μmを超
えると、フィルム表面が粗面化し、フィルムの透明性が
低下する傾向がある。一方、平均粒径が0.01μm未
満では、フィルムの滑り性、巻き性、ブロッキング性な
どが不十分となりやすい。
【0067】また、上記易接着層中の粒子含有量は、
0.01〜60重量%が好ましく、0.05〜30重量
%がさらに好ましく、さらに好ましくは0.1〜10重
量%である。易接着層中の粒子含有量が60重量%を超
えると、フィルムの透明性が悪化しやすくなり、さらに
易接着性が損なわれることがある。一方、易接着層中の
粒子含有量が0.01重量%未満では、フィルムの滑り
性、巻き性、ブロッキング性などが不十分となりやす
い。
【0068】易接着層中に、前記粒子を2種類以上配合
してもよく、同種の粒子で粒径の異なるものを併用して
もよい。いずれにしても、粒子全体の平均粒径、および
合計の含有量が上記した範囲を満足することが好まし
い。
【0069】上記塗布液を塗布する際には、塗布液中の
粒子の粗大凝集物を除去するために、塗布直前に塗布液
が精密濾過されるように濾材を配置することが好まし
い。
【0070】本発明で用いられる塗布液を精密濾過する
ための濾材の濾過粒子サイズを25μm以下(初期濾過
効率95%)とすることは、高分子易接着層の表面及び
/又は内部に、100μm以上の最大径を有する粗大物
を高分子易接着層の単位面積当たり3個/m2以下とす
るのに好適である。濾材の濾過粒子サイズが25μm以
上では粗大凝集物を十分除去できず、除去できなかった
多くの粗大凝集物は塗布乾燥後、易接着層が一軸延伸あ
るいは二軸延伸された際に、延伸応力により粗大凝集物
が広がり、100μm以上の凝集物として認識され、結
果として多くの光学欠点が発生する傾向がある。
【0071】塗布液を精密濾過するための濾材のタイプ
は上記性能を有していれば特に限定されないが、例えば
フィラメント型、フェルト型、メッシュ型が好適であ
る。塗布液を精密濾過するための濾材の材質は、上記粗
大凝集物の除去性能を有し、且つ塗布液に悪影響を及ば
さなければ特に限定はされないが、例えばステンレス、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンなどの材質が
好適である。
【0072】上記水性塗布液中には、易接着性及び透明
性を阻害しない範囲で、粒子以外に帯電防止剤、紫外線
吸収防止剤、可塑剤、抗菌剤、顔料、潤滑剤などの種々
の添加剤を混合してもよい。
【0073】得られた易接着層を有する透明高分子フィ
ルムの厚みは、50〜300μmが好ましく、特に好ま
しくは100〜250μmである。フィルム厚みが50
μm未満では、剛性が不十分となり好ましくない。一
方、フィルム厚みが300μmを超えると、フィルム中
に存在する光学欠点となる異物が増加し、全光線透過率
を低下させるので好ましくない。
【0074】さらに、前記易接着層を有する透明高分子
フィルム中に大きさ20μm以上の異物がフィルムの単
位面積当たり10個/m2以下であることが必要であ
り、好ましくは8個/m2以下、特に好ましくは6個/
2以下である。大きさ20μm以上の異物が10個/
2を越えると、フィルム全体のヘイズ値が上がり、全
光線透過率の低下を招いたりする。さらに、光学欠点の
原因ともなり、赤外線吸収フィルターとして好ましくな
い。
【0075】大きさ20μm以上の異物がフィルムの単
位面積当たり10個/m2以下とするためには、上記で
説明したように、例えばフィルム用原料としてPET樹
脂を使用する場合、以下の方法が好適である。 (1)PET製造時の重縮合触媒であるSb23の含有
量を通常より少なくすること(PETに対してSb元素
として50〜250ppmが好ましく、50〜200p
pmがさらに好ましく、特に好ましくは70〜150p
pm)。 (2)不活性粒子及び内部析出粒子を実質上含有させな
いこと。 (3)重縮合完了後PET樹脂を孔径(95%カット)
が5μm以下のナスロン製フィルターで濾過処理を行な
ったり、溶融樹脂をストランド状に冷却水中に押し出す
際に予め冷却水を濾過処理(孔径:1μm以下)し、か
つこの工程をカーテンで仕切り、ヘパフィルターで環境
中の1μm以上の異物を除去すること。 (4)PETフィルム製造時の押出し工程で溶融PET
樹脂を高精度濾過(濾材の初期濾過効率95%での濾過
粒子サイズ:≦15μm)とすること。
【0076】本発明の赤外線吸収フィルターの基材とな
る透明高分子フィルムは、ヘイズ値が1.0%以下であ
ることが好ましい。さらに好ましくは0.8%以下、特
に好ましくは0.6%以下である。ヘイズ値が1.0%
を超えると、この透明高分子フィルムを基材とする赤外
線吸収フィルターを使用したディスプレーの画面の鮮明
度が低下するので好ましくない。ヘイズ値を1.0%以
下とするためには、前記のフィルム中に不活性粒子及び
内部析出粒子を実質上含有させなず、かつ前述の粗大異
物を除去する手段を採用し、さらに高分子易接着層を構
成する樹脂として、共重合ポリエステル系樹脂及びポリ
ウレタン樹脂を主な構成成分とする高分子樹脂を用いる
ことが有効である。
【0077】(赤外線吸収フィルターの製造)前記で得
られた透明高分子フィルムの少なくとも片面に高分子易
接着層を積層したフィルムに、赤外線吸収層を積層す
る。赤外線吸収層の積層は透明高分子フィルムの易接着
面でも良いし、易接着層のない面でもかまわない。
【0078】また、本発明の赤外線吸収フィルターの耐
光性を一層向上させるために、UV吸収剤を赤外線吸収
層に含有させてもよい。さらに、耐候性及び耐溶剤性を
一層向上させるために、赤外線吸収色素を分散する高分
子樹脂を、架橋剤を用いて架橋させても良い。
【0079】但し、透明高分子フィルムの両面に赤外線
吸収層を積層させた赤外線フィルターを製造する場合、
赤外線吸収層によりフィルムの両面が平滑になるため、
量産時ロール状に巻き取ることが困難となる。そこで、
前記赤外線吸収層の少なくとも片面に不活性粒子を含有
させ、赤外線吸収層表面に凹凸を形成させることによ
り、滑り性、巻き性、ブロッキング性などのハンドリン
グ特性を改善させることが好ましい。不活性粒子は、赤
外線吸収色素を分散させる高分子樹脂中に混合しておく
ことが好ましい。不活性粒子としては、透明性の点よ
り、可視光線の波長よりも短波長である平均粒径が0.
01〜0.1μmのシリカ、アルミナなどの金属酸化物
や、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹
脂の微粒子を使用するることができる。
【0080】基材の透明高分子フィルムの少なくとも片
面に赤外線吸収層を積層する際、メチルエチルケトン、
テトラヒドロフラン、トルエンなどの溶剤で高分子樹脂
を溶解させ、次いで赤外線吸収色素を分散させた塗布液
を基材フィルムの少なくとも片面に塗布乾燥させること
が好ましい。
【0081】基材フィルムの両面に赤外線吸収層を塗布
する場合、その方法は特に限定されるものではないが、
一例として次に様な方法を用いることができる。例え
ば、一つのコーティングライン上に複数個のコーターヘ
ッドを設けることにより、両面を同時にコーティングし
両面同時に乾燥させる方法、または、初めに片面にコー
ティングし乾燥させた後、再度裏面をコーティングし乾
燥させる方法などが挙げられる。
【0082】本発明の赤外線吸収フィルターは、赤外線
吸収層と同一面または反対面に金属メッシュ導電層を積
層することが好ましい。金属メッシュ導電層を積層する
ことにより、ディスプレーから放出される有害電磁波を
除去することが可能となる。金属メッシュ導電層として
は、電気電導性の高い金属箔をエッチング処理を施し
て、メッシュ状にしたものや、金属繊維を使った織物状
のメッシュや、高分子繊維の表面に金属をメッキ等の手
法を用いて付着させた繊維を用いても良い。
【0083】上記電磁波吸収層に用いられる金属メッシ
ュの開口率は、ディスプレー用途に用いた場合を考慮す
ると、50%以上とすることが好ましい。前記電磁波吸
収層に使用される金属は、電気電導性が高く、かつ安定
性が良ければ、いかなる金属でも良く、特に限定される
ものではない。加工性、コストなどの観点より、好まし
くは、銅、ニッケル、タングステンなどが良い。
【0084】また、本発明の赤外線吸収フィルターは、
最外層に耐スクラッチ性改善のために、ハードコート処
理層(HC)を設けてもよい。このハードコート処理層
(HC)としては、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹
脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹
脂、シリコン系樹脂、ポリイミド系樹脂などの硬化性樹
脂を単体もしくは混合した架橋性樹脂硬化物層が好まし
い。
【0085】このハードコート処理層(HC)の厚さ
は、1〜50μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは
2〜30μmの範囲である。厚さが1μmより薄い場合
は、耐スクラッチ性が不十分となり、50μmを越える
厚さでは、ハードコート用樹脂のコーティングの速度が
著しく遅くなり、生産性の面で好ましくない。
【0086】ハードコート処理層(HC)を積層する方
法としては、透明高分子フィルムの赤外線吸収層を設け
た面の反対側の面に、上記の樹脂をグラビア方式、リバ
ース方式、ダイ方式などでコーティングした後、熱、紫
外線、電子線等のエネルギーを印加して硬化させる方法
が好ましい。
【0087】また、本発明の赤外線吸収フィルターは、
プラズマディスプレイなどに用いた場合の視認性向上の
ために、最外層に、防眩処理層(AG)を設けてもよ
い。防眩処理層(AG)は、硬化性樹脂をコーティン
グ、乾燥後にエンボスロールで表面に凹凸を形成し、こ
の後熱、紫外線、電子線等のエネルギーを印加し、硬化
させることにより製造することができる。前記硬化性樹
脂としては、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ア
クリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリ
コン系樹脂、ポリイミド系樹脂などの単体もしくは混合
したものが好ましい。
【0088】さらに、本発明赤外線吸収フィルタをディ
スプレーに用いた際に可視光線の透過率をさらに向上さ
せるために、最外層に反射防止処理層(AR)を設けて
もよい。この反射防止処理層(AR)には、プラスチッ
クフィルムの屈折率とは異なる屈折率を有する材料を単
層もしくは2層以上の積層するのが好ましい。単層構造
の場合、プラスチックフィルムよりも小さな屈折率を有
する材料を用いるのがよい。また、2層以上の多層構造
とする場合は、プラスチックフィルムと隣接する層に
は、プラスチックフィルムよりも大きな屈折率を有する
材料を用い、この上の層にはこれよりも小さな屈折率を
有する材料を選ぶことが好ましい。このような反射防止
処理層(AR)を構成する材料としては、有機材料でも
無機材料でも上記の屈折率の関係を満足すれば特に限定
されないが、例えば、CaF2、MgF2、NaAl
4、SiO2、ThF4、ZrO2、Nd23、Sn
2、TiO 2、CeO2、ZnS、In23などの誘電
体を用いるのが好ましい。
【0089】この反射防止処理層(AR)の積層方法
は、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオン
プレーティング法などのドライコーティングプロセスで
も、グラビア方式、リバース方式、ダイ方式などのウェ
ットコーティングプロセスでもよい。
【0090】さらに、このハードコート処理層(H
C)、防眩処理層(AG)、反射防止処理層(AR)の
積層に先立って、前処理として、コロナ放電処理、プラ
ズマ処理、スパッタエッチング処理、電子線照射処理、
紫外線照射処理、プライマ処理、易接着処理などの公知
の処理を施してもよい。
【0091】
【実施例】次に、本発明の赤外線吸収フィルターの製造
方法について、実施例を用いて詳しく説明するが、当然
これに限定されるものではない。実施例及び比較例で使
用した「部」は、特に断らない限り、「重量部」を意味
する。また、本明細書中で使用した特性値の評価は下記
の方法によった。
【0092】(1)ポリエステル樹脂の固有粘度 1,1,2,2−テトラクロロエタン/フェノ−ル(重
量比:2/3)の混合溶媒中で、30℃での溶液粘度か
ら求めた。
【0093】(2)光硬化型アクリル系コート層との接
着性 実施例及び比較例で得たフィルムの易接着層面に、大日
精化社製ハードコート剤(セイカビームEXF01
(B))を#8ワイヤバーを用いて塗布し、70℃で1
分間乾燥し、溶剤を除去した後、高圧水銀灯で200m
J/cm2、照射距離15cm、走行速度5m/分の条
件下で、厚み3μmのハードコート層を形成した。得ら
れたフィルムをJIS−K5400の8.5.1記載に
準じた試験方法で接着性を求めた。
【0094】具体的には、易接着層を貫通して基材フィ
ルムに達する100個の升目状の切り傷を、隙間間隔2
mmのカッターガイドを用いて付けた。次いで、セロハ
ン粘着テープ(ニチバン社製405番;24mm幅)を
升目状の切り傷面に張り付け、消しゴムでこすって完全
に付着させた後、垂直に引き剥がし、易接着層面に残存
する升目の個数を目視により数え、下記の式から接着性
を求めた。升目にハードコート層が部分的に残存してい
るものは、易接着層面に残存する升目の個数から除外し
た。 接着性(%)=(残存する升目の個数/初期の升目の個
数)×100
【0095】(3)フィルム中異物及び塗布液中粗大凝
集物の大きさ 以下に説明する光学欠点検出装置により、250mm×
250mmのフィルム片16枚について、光学的に50
μm以上の大きさと認識される光学欠点を検出した。 (光学欠点の検出原理)投光器として20W×2灯の蛍
光灯をXYテーブル下方400mmに配置し、スリット
幅10mmのマスクを設ける。投光器と受光器を結ぶ線
上と測定するフィルム面の鉛直方向となす角度を12度
で光を入射すると、そこに光学欠点が存在するとその部
分が光り輝き、その光量をXYテーブル上方500mm
に配置したCCDイメージセンサカメラで電気信号に変
換し、その電気信号を増幅し、微分してスレッシュホー
ルドレベルとコンパレータで比較して、光学欠点の検出
信号を出力する。また、CCDイメージセンサカメラか
ら入力されたビデオ信号を画像手順により光学欠点の大
きさを計測し設定された大きさの光学欠点の位置を表示
する。
【0096】前述の光学欠点検出装置を用い、検出した
欠点部分から異物による光学欠点、及び塗布液中の粗大
凝集物による光学欠点を選び出し、さらに適当な大きさ
に切り取って、スケール付き顕微鏡でフィルム面に対し
て垂直方向から観察した時の大きさを測定した。異物に
よる光学欠点の場合は、異物の大きさの最大径を測定
し、20μm以上の大きさの異物をフィルム単位面積
(1m2)当たりの個数で求めた。塗布液中の粗大凝集
物の場合、粗大凝集物の最大径を測定し、100μm以
上の大きさの異物を易接着層の単位面積(1m2)当た
りの個数で求めた。
【0097】(4)ヘイズ値 JIS−K7105に準じ、ヘイズメーター(東京電色
工業社製モデルTC−H3DP)を用いて測定した。
【0098】(5)分光特性 自記分光光度計(日立U−3500型)を用い、波長1
500〜200nmの範囲で測定した。
【0099】(6)環境安定性 温度60℃、湿度95%の雰囲気下でサンプルを500
時間放置した後、上記記載の分光特性を測定した。
【0100】(実施例1) (1)高分子易接着層用塗布液の調整 本発明で透明高分子フィルムに積層する高分子易接着層
に用いる塗布液を以下の方法に従って調製した。ジメチ
ルテレフタレート95部、ジメチルイソフタレート95
部、エチレングリコール35部、ネオペンチルグリコー
ル145部、酢酸亜鉛0.1部および三酸化アンチモン
0.1部を反応容器に仕込み、180℃で3時間かけて
エステル交換反応を行った。次に、5−ナトリウムイソ
フタル酸6.0部を添加し、240℃で1時間かけてエ
ステル化反応を行った後、250℃で減圧下(13.3
〜0.267hPa)で2時間かけて重縮合反応を行
い、分子量19,500、軟化点60℃のポリエステル
樹脂を得た。
【0101】得られたポリエステル樹脂(A)の30%
水分散液を6.7部、重亜硫酸ソーダでブロックしたイ
ソシアネート基を含有する自己架橋型ポリウレタン樹脂
(B)の20%水溶液(第一工業製薬製:商品名エラス
トロンH−3)を40部、エラストロン用触媒(Cat
64)を0.5部、水を44.3部およびイソプロピル
アルコールを5部、それぞれ混合し、さらにアニオン系
界面活性剤の10%水溶液を0.6部、球状シリカ粒子
A(日産化学工業社製:スノーテックスOL、平均粒径
40nm)の20%水分散液を1.8部、乾式法シリカ
粒子B(日本アエロジル社製;アエロジルOX50、平
均粒径500nm、平均一次粒径40nm)の4%水分
散液を1.1部添加し塗布液とした。(以下、塗布液A
Bと略記する。)
【0102】(2)PET樹脂の製造 エステル化反応缶を昇温し、200℃に到達した時点
で、テレフタル酸を86.4重量部及びエチレングリコ
ールを64.4重量部からなるスラリーを仕込み、攪拌
しながら触媒として三酸化アンチモンを0.017重量
部及びトリエチルアミンを0.16重量部添加した。次
いで、加圧昇温を行いゲージ圧3.5kg/cm2、2
40℃の条件で、加圧エステル化反応を行った。その
後、エステル化反応缶内を常圧に戻し、酢酸マグネシウ
ム4水和物0.071重量部、次いでリン酸トリメチル
0.014重量部を添加した。さらに、15分かけて2
60℃に昇温し、リン酸トリメチル0.012重量部、
次いで酢酸ナトリウム0.0036重量部を添加した。
15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応
缶に移送し、減圧下260℃から280℃へ徐々に昇温
し、285℃で重縮合反応を行った。重縮合反応終了
後、95%カット径が5μmのナスロン製フィルターで
濾過処理を行った。ヘパフィルターで空気中の1μm以
上の異物を減少させた密閉された部屋で、予め濾過処理
(孔径:1μm以下)を行った冷却水を用いて、溶融樹
脂をノズルから押し出し、このストランド状PET樹脂
をカットしてPETチップを得た。得られたPETチッ
プ(A)は、固有粘度が0.616dl/g、Sb含有
量が144ppm、Mg含有量が58ppm、P量が4
0ppm、カラーL値が56.2、カラーb値が1.6
であり、不活性粒子及び内部析出粒子は実質上含有して
いなかった。
【0103】(3)易接着フィルムの製膜 フィルム用原料として上記PETチップ(A)を使用
し、135℃で6時間減圧乾燥(1.33hPa)した
後、押し出し機に供給した。この際、溶融樹脂を濾過粒
子サイズ(初期濾過効率95%)15μmのステンレス
製焼結濾材を用いて、濾過処理を行った。次いで、約2
80℃の溶融樹脂をダイスからシート状に溶融押し出し
て、表面温度20℃に保った金属冷却ロール(チルロー
ル)上で静電気を印可して急冷固化させ、厚さ1400
μmの未延伸フィルムを得た。
【0104】次に、この未延伸フィルムを加熱されたロ
ール群及び赤外線ヒーターを用いてで100℃に加熱
し、その後周速差のあるロール群で長手方向に3.5倍
延伸して一軸配向PETフィルムを得た。
【0105】その後、前記塗布液を濾過粒子サイズ(初
期濾過効率95%)25μmのフェルト型ポリプロピレ
ン製濾材で精密濾過し、リバースロール法で前記一軸配
向PETフィルムの片面に塗布、乾燥した。なお、未延
伸キャストフィルム製造後から塗布工程における空気中
のクリーン度(0.5μ以上の粒子数/ft3)はクラ
ス100,000となるようヘパフィルターによりコン
トロールした。引き続いて、フィルムの端部をクリップ
で把持してテンターの予熱ゾーンにおいて80℃で20
秒間塗布層を乾燥させた後、横延伸ゾーンで幅方向に1
30℃で4.0倍に延伸した。続いて240℃で熱固定
処理を行い、さらに200℃で3%の横緩和処理を行
い、厚さ100μmの易接着層を有する二軸配向PET
フィルムを得た。また、塗布量は固形分量として0.1
0g/m2であった。得られた易接着層を有する二軸配
向PETフィルムの評価結果を表3に示す。
【0106】(4)赤外線吸収層用高分子樹脂の製造 分散媒となるベースポリエステルを以下の要領で製作し
た。温度計、撹拌機を備えたオ−トクレ−ブ中に、 テレフタル酸ジメチル 136重量部、 イソフタル酸ジメチル 58重量部 エチレングリコール 96重量部、 トリシクロデカンジメタノール 137重量部 三酸化アンチモン 0.09重量部 を仕込み170〜220℃で180分間加熱してエステ
ル交換反応を行った。次いで反応系の温度を245℃ま
で昇温し、系の圧力1.33〜13.3hPaとして1
80分間反応を続けた結果、共重合ポリエステル樹脂
(A1)を得た。共重合ポリエステル樹脂(A1)の固
有粘度は0.4dl/g、ガラス転移温度は90℃であ
った。
【0107】また、NMR分析による共重合ポリエステ
ル樹脂(A1)の構成成分の組成比は、 酸成分 テレフタル酸 71mol% イソフタル酸 29mol% アルコール成分 エチレングリコール 28mol% トリシクロデカンジメタノール 72mol% であった。
【0108】(5)赤外線吸収フィルターの製造 次に、フラスコ中に、溶剤、前記共重合ポリエステル樹
脂(A1)、及び赤外線吸収色素を表1に示すような組
成で添加し、加熱しながら攪拌し、赤外線吸収色素及び
共重合ポリエステル樹脂(A1)を溶解した。更に溶解
した樹脂を前記易接着PETフィルム基材の易接着層面
に、ギャップが100μmのアプリケーターを用いて塗
布し、乾燥温度90℃で1時間乾燥させた。乾燥後の塗
布層の厚みは25μmであった。得られた赤外線吸収フ
ィルターは、目視での色目はダークグレーであった。図
1にその分光特性を示す。図1に示すように、波長40
0nmから650nmまでの可視領域においては吸収が
平らで、波長700nm以上では急峻に吸収がある赤外
線吸収フィルターが得られた。また、ヘイズ値は0.5
%と極めて小さく高透明であった。
【0109】得られた赤外線吸収フィルターを温度60
℃、湿度95%RHの雰囲気中に500hr放置し、再
度分光特性を測定したところ図2のようになり、若干の
色変化は見られるが、近赤外線吸収特性を維持してい
た。また、得られたフィルターを、プラズマディスプレ
ーの前面に配置したところ、色目の変化はなく、コント
ラストが向上し、かつ近赤外線の放射も低減していた。
【0110】
【表1】
【0111】(実施例2)実施例1で製造した赤外線吸
収フィルターを用い、前記赤外線吸収フィルターの赤外
線吸収層とは反対側の透明なポリエステルフィルムの面
に、ハードコート処理層(HC)を設けた。ハードコー
ト剤としては、エポキシアクリル樹脂100部にベンゾ
フェノン4部を加えた紫外線硬化型樹脂組成物を用い、
バーコート法で成膜後、80℃で5分間の予備乾燥を行
い、500mJ/cm2の紫外線照射により硬化させ
た。硬化後のハードコート処理層(HC)の厚さは5μ
mであった。
【0112】次に、厚さ9μmの銅箔をUV硬化型接着
剤を介して赤外線吸収層の上部に貼合わせ、フォトレジ
ストを用いて貼り合わされた銅箔をパターンニングし、
エッチング処理を施して、電磁波シールド層を形成し
た。この時の銅箔線幅は15μm、ピッチは115μ
m、開口率は75%であった。
【0113】上記の様に、ハードコート層、電磁波シー
ルド層を赤外線吸収層と共に積層した赤外線吸収フィル
ターの分光特性を図3に示す。図3で示されるように、
前記赤外線吸収フィルターは、近赤外線を吸収し、色調
がグレーで、且つ電磁波を吸収しながらも高い可視光線
透過率を有していることがわかった。また、得られた赤
外線吸収フィルターを温度60℃、湿度95%RHの雰
囲気中に500hr放置し、再度分光特性を測定したと
ころ、若干の色変化は見られるが、近赤外吸収特性を維
持していた。さらに、得られた赤外線吸収フィルター
を、プラズマディスプレー等の前面に配置したところ、
色目の変化はなく、コントラストが向上しかつ、近赤外
線の放射及び電磁波の放射も低減していた。
【0114】(比較例1)フィルム用PET樹脂(B)
として、平均粒径(遠心沈降式光透過型粒度分布測定
法;島津製作所製 SA−CP3)が1.0μmのシリ
カ粒子のエチレングリコールスラリー(11重量%)
を、2番目のトリメチルフォスフェート添加後に生成P
ET樹脂に対しシリカ粒子として2000ppmをエス
テル化反応缶に添加したこと、及び重縮合反応完了後に
95%カット径が28μmのナスロン製フィルターで濾
過処理を行ったこと以外は、実施例1と同様な方法でP
ET樹脂を得た。得られたPET樹脂(B)は、固有粘
度が0.616dl/g、Sb含有量が144ppm、
Mg含有量が58ppm、P量が40ppm、カラーL
値が57.6、カラーb値が1.2であり、シリカ粒子
をPETに対して2000ppm含有していた。
【0115】前記の粒子を含有していないPET樹脂
(A)と上記シリカ粒子含有PET樹脂(B)を90:
10の重量比で混合し、PET樹脂の溶融押出し工程で
溶融樹脂を濾過処理する際に濾過粒子サイズ(初期濾過
効率95%)20μmのステンレス製焼結濾材を用いた
こと以外は、実施例1と同様にして、片面に易接着層を
有する二軸配向PETフィルムを得た。次いで、赤外線
吸収層の構成成分である高分子樹脂を比重1.26、ガ
ラス転移温度67℃の共重合ポリエステル樹脂(東洋紡
績社製、バイロンRV200)に変更し、さらに赤外線
吸収色素をジイモニウム塩系化合物単独とし、表2に示
すような組成にすること以外は、実施例1と同様にして
赤外線吸収層用塗布液を調整した。
【0116】前記シリカ粒子含有PET樹脂を用い、実
施例1と同様の方法で、易接着層を片面に有する厚みが
100μmの二軸配向PETフィルムを得た。得られた
易接着層を有する二軸配向PETフィルムの評価結果を
表3に示す。この二軸配向PETフィルムに、ギャップ
が100μmのアプリケーターを用いて、前記赤外線吸
収層用塗布液を二軸配向PETフィルムの易接着層の表
面に塗布し、乾燥温度90℃で1時間乾燥させた。乾燥
後の赤外線吸収層の厚みは25μmであった。
【0117】
【表2】
【0118】得られた赤外線吸収フィルターの目視での
色目は、褐色に着色してしまっていた。また、図4にそ
の分光特性を示す。図4に示されるように、波長400
nmから650nmまでの可視領域において、約550
nmにピークを持つような山形の特性になる赤外線吸収
フィルターが得られた。また、ヘイズ値は2.6%と高
くなった。
【0119】また、得られた赤外線吸収フィルターを温
度60℃、湿度95%RHの雰囲気中に500hr放置
し再度分光特性を測定したところ、近赤外線領域の吸収
が無くなっていた。さらに、色目も緑色に変化してい
た。次いで、得られた赤外線吸収フィルターをプラズマ
ディスプレーの前面に配置したところ、色バランスが崩
れ、緑がかった色調となった。
【0120】(比較例2)比較例1で製造した赤外線吸
収フィルターを用い、前記赤外線吸収フィルターの赤外
線吸収層と反対側の透明ポリエステルフィルム表面に、
ハードコート処理層(HC)を設けた。ハードコート剤
としては、エポキシアクリル樹脂100部にベンゾフェ
ノン4部を加えた紫外線硬化型樹脂組成物を用い、バー
コート法で成膜後、80℃で5分間の予備乾燥を行い、
500mJ/cm2の紫外線照射により硬化させた。硬
化後のハードコート処理層(HC)の厚さは5μmであ
った。
【0121】次に、厚さ9μmの銅箔をUV硬化型接着
剤を介して赤外線吸収層の上部に貼合わせ、フォトレジ
ストを用いて貼り合わされた銅箔をパターンニングし、
エッチング処理を施して、電磁波シールド層を形成し
た。この時の銅箔線幅は15μm、ピッチは115μ
m、開口率は75%であった。
【0122】上記の様に、ハードコート層、電磁波シー
ルド層を赤外線吸収層と共に積層した赤外線吸収フィル
ターの分光特性を図5に示す。図5に示すように、前記
赤外線吸収フィルターは、近赤外線および電磁波を吸収
するものの、色調が緑味を帯びたフィルターとなった。
また、ヘイズ値は2.0%と高くなった。さらに、得ら
れた赤外線吸収フィルターを温度60℃、湿度95%R
Hの雰囲気中に500hr放置し、再度分光特性を測定
したところ、近赤外吸収特性が無くなっていた。
【0123】
【表3】
【0124】
【発明の効果】本発明の赤外線吸収フィルターは、近赤
外線領域に広く吸収を有し、可視領域の透過率が高く、
かつ特定の可視領域波長を大きく吸収することがなく、
また環境安定性や耐久性に優れ、さらに光学欠点が少な
いため、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶
ディスプレイ(LCD)、カーナビゲーションシステム
などのリモコン誤動作防止用フィルター、ビデオカメラ
視感度補正用フィルター、熱線吸収フィルターなどに好
適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の赤外線吸収フィルターの分光特性を
示した説明図である。
【図2】実施例1の赤外線吸収フィルターを、温度60
℃、湿度95%の雰囲気中に500hr放置後の赤外線
吸収フィルターの分光特性を示した説明図である。
【図3】実施例2の赤外線吸収フィルターの分光特性を
示した説明図である。
【図4】比較例1の赤外線吸収フィルターの分光特性を
示した説明図である。
【図5】比較例2の赤外線吸収フィルターの分光特性を
示した説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H048 CA04 CA12 CA19 CA24 2K009 AA04 AA05 AA15 BB24 CC06 CC14 CC21 CC34 CC35 DD02 DD03 DD04 DD06 EE03

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明高分子フィルムの少なくとも片面に
    赤外線吸収層を積層してなる赤外線吸収フィルターにお
    いて、前記透明高分子フィルムは少なくとも片面に高分
    子易接着層を積層したフィルムであって、かつ前記透明
    高分子フィルム中には実質的に粒子を含有しておらず、
    さらに前記透明高分子フィルム中に大きさ20μm以上
    の異物がフィルムの単位面積当たり10個/m2以下で
    あることを特徴とする赤外線吸収フィルター。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の赤外線吸収層が赤外線吸
    収色素及び高分子樹脂を主な構成成分とし、前記高分子
    樹脂中に赤外線吸収色素が分散しており、前記赤外線吸
    収色素として、ジイモニウム塩系化合物、含フッ素フタ
    ロシアニン系化合物、及びニッケル錯体系化合物の少な
    くとも2種類を含有することを特徴とする赤外線吸収フ
    ィルター。
  3. 【請求項3】 前記赤外線吸収色素として、少なくとも
    ジイモニウム塩系化合物を含有し、さらに含フッ素フタ
    ロシアニン系化合物及びニッケル錯体系化合物の少なく
    とも1種類を含有することを特徴とする請求項2記載の
    赤外線吸収フィルター。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の赤外線吸収層に含有され
    ている赤外線吸収色素の配合比が、ジイモニウム塩系化
    合物1重量部当たり、含フッ素フタロシアニン系化合物
    が1.2〜0.01重量部、ニッケル錯体系化合物が1
    〜0重量部であることを特徴とする赤外線吸収フィルタ
    ー。
  5. 【請求項5】 前記赤外線吸収層の構成成分である高分
    子樹脂がポリエステル樹脂であることを特徴とする請求
    項2乃至4記載の赤外線吸収フィルター。
  6. 【請求項6】 前記透明高分子フィルムが二軸配向ポリ
    エステルフィルムであることを特徴とする請求項1乃至
    5記載の赤外線吸収フィルター。
  7. 【請求項7】 前記高分子易接着層が共重合ポリエステ
    ル系樹脂及びポリウレタン系樹脂からなることを特徴と
    する請求項1乃至6記載の赤外線吸収フィルター。
  8. 【請求項8】 前記高分子易接着層中に粒子を含有して
    いることを特徴とする請求項1乃至7記載の赤外線吸収
    フィルター。
  9. 【請求項9】 前記高分子易接着層の表面及び/又は内
    部に、100μm以上の最大径を有する粗大物が高分子
    易接着層の単位面積当たり3個/m2以下であることを
    特徴とする請求項1乃至8記載の赤外線吸収フィルタ
    ー。
  10. 【請求項10】 前記透明高分子フィルムのヘイズ値が
    1.0%以下であることを特徴とする請求項1乃至9記
    載の赤外線吸収フィルター。
  11. 【請求項11】 前記赤外線吸収層の構成成分である高
    分子樹脂のガラス転移温度が、赤外線吸収フィルターを
    利用する機器の使用保証温度以上であることを特徴とす
    る請求項1乃至10記載の赤外線吸収フィルター。
  12. 【請求項12】 前記赤外線吸収フィルターの最外層に
    反射防止層を積層されていることを特徴とする請求項1
    乃至11記載の赤外線吸収フィルター。
  13. 【請求項13】 前記赤外線吸収フィルターの最外層に
    防眩処理層を積層されていることを特徴とする請求項1
    乃至12記載の赤外線吸収フィルター。
  14. 【請求項14】 プラズマディスプレーの前面板として
    使用されることを特徴とする請求項1乃至13記載の赤
    外線吸収フィルター。
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