JP4792614B2 - 光学用易接着フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学用易接着フィルム、特に、優れた透明性、易接着性を有し且つ加熱処理による曇価上昇が小さい光学用易接着フィルムに関するものである。
【0002】
【従来技術】
二軸配向ポリエステルフィルムは優れた透明性、寸法安定性、耐薬品性から各種光学用フィルムとして多く利用されている。
特に、液晶表示装置に用いられるプリズムレンズシート用のベースフィルムやタッチパネル用ベースフィルム、バックライト用ベースフィルム、AR(アンチリフレクション)フィルム用のベースフィルムやCRT用の破砕防止フィルムの用途は、優れた強度、寸法安定性が要求されるため、100μm以上の比較的厚手のフィルムが好適に用いられる。この様な光学用フィルムに用いられるフィルムは、優れた透明性及びプリズムレンズ加工やハードコート加工、AR加工など後加工時にフィルムに積層する対象物に対し優れた易接着性が要求されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、一般に二軸配向ポリエステルフィルムは、概して他の材料、例えばアクリル系樹脂を主成分とするプリズムレンズやハードコートとの接着性が悪いことが知られている。このため、ポリエステルフィルムの表面に、ポリウレタン樹脂等よりなる易接着層を形成したものが、各種提案されている(例えば、特開平6−340049号公報)。しかし、ポリウレタン樹脂よりなる易接着層を形成したものでは、ハードコート層などの外層との接着力は向上するものの、基材であるポリエステルフィルムとの接着力が十分でなく、結果的に外層との十分な接着性が得られないという問題があった。
【0004】
また、プリズム加工やハードコート加工に際して、100〜150℃の加熱が必要となる場合がある。しかし、この工程を経た、従来の二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートを基材とした光学用易接着フィルムは、曇価の上昇や白色状の外観欠点が発生するという問題があった。これらは、得られた製品の視認性低下や品位低下につながることから、改善が望まれていた。
【0005】
そこで、本発明の目的は、前記問題点に鑑み、優れた透明性、易接着性を有し、プリズムレンズ加工工程等の後工程においても曇価上昇が小さい光学用易接着フィルムを提供することにある。
【0006】
上記本発明の課題は、以下の達成手段により達成される。
1.共重合ポリエステル系樹脂及びポリウレタン系樹脂からなる易接着層が少なくとも片面に積層されている二軸配向ポリエステルフィルムであって、窒素気流下、1013hPa以上2026hPa以下の加圧下で、180℃以上250℃以下に加熱し、12時間以上36時間以下の低オリゴマー化処理を行った固有粘度が0.45〜0.70dl/gの原料レジンを用い、原料レジンを再溶融してから押し出し冷却するまでの滞留時間を12分以内とすることにより得られうる、前記フィルムの全光線透過率が90%以上、さらに150℃で120分間加熱処理した時の曇価上昇が0.5%以下であることを特徴とする光学用易接着フィルム。
2.前記易接着層上に光硬化型アクリル系コート層を設けた時の接着性が85%以上であることを特徴とする1記載の光学用易接着フィルム。上記でいう接着性とは、JIS−K5400の8.5.1記載に準じた試験方法に基づき、下記式から求めた値を意味する。
接着性(%)=(1−剥がれ面積/評価面積)×100
3.前記ポリエステルフィルム中の環状3量体の含有量が5000ppm以下であることを特徴とする1または2記載の光学用易接着フィルム。
4.前記共重合ポリエステル系樹脂が分岐したグリコール成分を含有する共重合ポリエステル樹脂(A)でり、前記ポリウレタン系樹脂がブロックイソシアネート基を含有する樹脂(B)であり、樹脂(A)と樹脂(B)の重比が(A):(B)=90:10〜10:90であることを特徴とする1〜3のいずれかに記載の光学用易接着フィルム。
5.全光線透過率が90%以上で、かつ150℃で120分間加熱処理した時の曇価上昇が0.5%以下の光学用ポリエステルフィルムの製造方法であって、
窒素気流下、1013hPa以上2026hPa以下の加圧下で180℃以上250℃以下に加熱し、12時間以上36時間以下の低オリゴマー化処理を行った、固有粘度0.45〜0.70dl/gの原料レジンを用い、原料レジンを再溶融してから押し出し冷却するまでの滞留時間を12分以内とすることを特徴とする、光学用ポリエステルフィルムの製造方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光学用易接着フィルムにおける実施の形態を説明する。
本発明の基材フィルムである二軸配向ポリエステルフィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート又はこれらの樹脂の構成成分を主成分とする共重合体が用いられるが、中でもポリエチレンテレフタレートから形成された二軸配向フィルムが特に好適である。
【0008】
二軸配向ポリエステルフィルムを形成する樹脂として、ポリエステル共重合体を用いる場合、そのジカルボン酸成分としてはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、及び2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、トリメリロット酸及びピロメリロット酸等の多官能カルボン酸等が用いられる。また、グリコール成分としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール及びネオペンチルグリコール等の脂肪酸グリコール;p−キシレングリコール等の芳香族グリコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール;平均分子量が150〜20000のポリエチレングリコール等が用いられる。好ましい共重合体の比率は20%未満である。20%以上ではフィルム強度、透明性、耐熱性が劣る場合がある。また、上記ポリエステル系樹脂には、各種の添加剤が含有されていても良い。添加剤として、例えば、帯電防止剤、UV吸収剤、安定剤等が挙げられる。また、本発明のポリエステル系基材フィルムには、易滑性付与を目的とした不活性粒子は、透明性の点から、含有させないことが望ましい。
【0009】
本発明者らは、従来の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが、加熱により曇価が上昇する主要因が白色状欠点であり、この白色状欠点がオリゴマーの主成分である環状3量体であることを見出した。そこで、鋭意検討の結果、原料となるポリエチレンテレフタレートレジン中に含まれる環状3量体の含有量を低減すること、及びフィルム製膜工程における溶融押し出し工程からキャスティング工程までの滞留時間を短縮することがフィルム中の環状3量体の含有量を低減するのに最も有効であることを解明した。これらの手段により、フィルム中に含まれる環状3量体の含有量を5000ppm以下に、さらに好ましくは4500ppm以下に制御することができ、その結果、光学用易接着フィルムを150℃で120分間加熱処理した時の曇価上昇を0.5%以下に抑えることができるに至った。
【0010】
すなわち、本発明の光学用易接着フィルムを150℃で120分間加熱処理した時に、該フィルムの曇価上昇を0.5%以下とするためには、フィルム中に含まれる環状3量体の含有量を5000ppm以下とすることが有効である。
【0011】
ポリエチレンテレフタレートフィルム中の環状3量体に代表されるオリゴマー量を低減するためには、まず原料レジンを窒素などの不活性ガス雰囲気下、1013hPaより高く2026hPa以下の加圧下で、180℃以上250℃以下に加熱し、12時間以上36時間以下の低オリゴマー化処理を行うことが好ましい。より好ましくは、1013hPaより高く1420hPa以下の加圧下で、200℃以上230℃以下に加熱し、12時間以上36時間以下の低オリゴマー化処理を行う。
【0012】
このとき、雰囲気に酸素が存在すると酸化反応による着色などの障害が発生し、水蒸気が存在すると加水分解反応によってポリエチレンテレフタレートの重合度が低下しフィルムの強度低下などの障害が発生する。不活性雰囲気の気圧が1013hPaより低い場合には、外気とともに酸素や水蒸気が侵入しないよう特別に設計された装置が必要となり、2026hPaより高い気圧下で処理をしても低オリゴマー化の効果は変わらない。
【0013】
低オリゴマー化処理の温度が250℃より高いと、レジンの融着や溶融、変色などの障害を招きやすくなる。一方、180℃より低いと、十分な低オリゴマー化効果が得られにくい。処理時間が12時間より短いときも、十分な低オリゴマー化効果が得られず、36時間より長く処理を続けてもフィルムの熱処理によるヘイズ上昇に及ぼす効果は変わらない。
【0014】
レジンの低オリゴマー化処理に引き続き、触媒活性を低下させる失活処理を行っても良い。このような処理としては、例えば、酸化、還元、水和などの化学処理、およびまたは音波、電磁波照射などの物理処理などが挙げられる。また、ポリマーのアルコール末端に、例えばエーテル化などの化学修飾を施して環状3量体などのオリゴマー再生反応を抑止しても良い。
【0015】
このような触媒の失活処理やオリゴマー再生抑止処理を行わない場合、フィルムの製造のために原料レジンを再溶融した際に、時間の経過とともにオリゴマーが再生する。従って再溶融してから押し出し冷却するまでの滞留時間12分以内に制御することにより、フイルム製膜後の環状3量体含有量を5000ppm以下に抑制することができ、その結果、加熱後の曇価上昇の少ないフィルムを製造することができる。
【0016】
また、二軸配向ポリエステルフィルムの原料であるポリエステル樹脂ペレットの固有粘度は、0.45〜0.70dl/gの範囲が好ましい。固有粘度が0.45dl/g未満であると、耐引き裂き性向上効果が悪化する。一方、固有粘度が0.70dl/gを超えると、濾圧上昇が大きくなり高精度濾過が困難となる。
【0017】
本発明の光学易接着フィルムの易接着層は、二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に積層されており、未延伸または一軸延伸後のポリエステルフィルムの少なくとも片面に易接着層を設け、その後少なくとも一軸方向に延伸・熱固定処理するインラインコート法により積層することが好ましい。インラインコート法により積層された易接着層に、適切な粒径の微粒子を含有させ、易接着層表面に凹凸を形成させることにより、良好な滑り性、巻き取り性、耐スクラッチ性を付与することができる。このため、二軸配向ポリエステルフィルム中に微粒子を含有させる必要がなく、高透明性を保持することができる。
【0018】
本発明でいう易接着とは、段落番号[0061]に記載の方法にしたがって測定したときの光硬化型アクリル系コート層との接着性が85%以上有するものを意味し、好ましくは90%以上であり、特に好ましくは95%以上である。
【0019】
本発明の光学用易接着フィルムの易接着層は、主な樹脂成分として、共重合ポリエステル系樹脂及びポリウレタン系樹脂を含有している。共重合ポリエステル系樹脂単独では、ポリエステル系基材フィルムとの接着性は十分であるが、プリズムレンズやハードコートに用いられるアクリル系樹脂との接着性に劣る。また、ポリウレタン系樹脂単独ではアクリレート系樹脂との接着性には優れるがポリエステル系基材フィルムとの接着性に劣る。
【0020】
本発明の易接着層に用いる共重合ポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸成分と分岐したグリコール成分を構成成分とする。前記の分岐したグリコール成分とは、例えば、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジ−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、及び2,2−ジ−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
【0021】
上記の分岐したグリコール成分は、全グリコール成分の中に、好ましくは10モル%以上の割合で、さらに好ましくは20モル%以上の割合で含有される。上記化合物以外のグリコール成分としては、エチレンリコールが最も好ましい。少量であれば、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールまたは1,4−シクロヘキサンジメタノールなどを用いても良い。
【0022】
共重合ポリエステル系樹脂に構成成分として含有される、ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸およびイソフタル酸が最も好ましい。少量であれば他のジカルボン酸、特に、ジフェニルカルボン酸及び2,6−ナルタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸を加えて共重合させてもよい。前記ジカルボン酸成分の他に、水分散性を付与させるため、5−スルホイソフタル酸を1〜10モル%の範囲で使用するのが好ましく、例えば、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレンイソフタル酸−2,7−ジカルボン酸および5−(4−スルフォフェノキシ)イソフタル酸及びその塩類等を挙げることができる。
【0023】
本発明の光学用易接着フィルムの易接着層に用いるポリウレタン樹脂は、例えば、ブロック型イソシアネート基を含有する樹脂であって、末端イソシアネート基を親水性基で封鎖(以下ブロックと言う)した、熱反応型の水溶性ウレタンなどが挙げられる。上記イソシアネート基のブロック化剤としては、重亜硫酸塩類及びスルホン酸基を含有したフェノール類、アルコール類、ラクタム類オキシム類及び活性メチレン化合物類等が挙げられる。ブロック化されたイソシアネート基はウレタンプレポリマーを親水化あるいは水溶化する。フィルム製造時の乾燥あるいは熱セット過程で、上記樹脂に熱エネルギーが与えられると、ブロック化剤がイソシアネート基からはずれるため、上記樹脂は自己架橋した編み目に混合した水分散性共重合ポリエステル樹脂を固定化するとともに、上記樹脂の末端基等とも反応する。塗布液調整中の樹脂は親水性であるため耐水性が悪いが、塗布、乾燥、熱セットして熱反応が完了すると、ウレタン樹脂の親水基すなわちブロック化剤がはずれるため、耐水性が良好な塗膜が得られる。
【0024】
上記ブロック化剤の内、熱処理温度、熱処理時間が適当で、工業的に広く用いられるものとして、重亜硫酸塩類が最も好ましい。上記樹脂において使用される、ウレタンプレポリマーの化学組成としては、(1)分子内に2個以上の活性水素原子を有する、有機ポリイソシアネート、あるいは分子内に少なくとも2個の活性水素原子を有する分子量が200〜20,000の化合物、(2)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する、有機ポリイソシアネート、あるいは、(3)分子内に少なくとも2個活性水素原子を有する鎖伸長剤を反応せしめて得られる、末端イソシアネート基を有する化合物である。
【0025】
上記(1)の化合物として一般に知られているのは、末端又は分子中に2個以上のヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基あるいはメルカプト基を含むものであり、特に好ましい化合物としては、ポリエーテルポリオールおよびポリエーテルエステルポリオール等が挙げられる。 ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキシド及び、プロピレンオキシド等アルキレンオキシド類、あるいはスチレンオキシドおよびエピクロルヒドリン等を重合した化合物、あるいはそれらのランダム重合、ブロック重合あるいは多価アルコールへの付加重合を行って得られた化合物がある。
【0026】
ポリエステルポリオール及びポリエーテルエステルポリオールとしては、主として直鎖状あるいは分岐状の化合物が挙げられる。コハク酸、アジピン酸、フタル酸及び無水マレイン酸等の多価の飽和あるいは不飽和カルボン酸、あるいは該カルボン酸無水物等と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール及びトリメチロールプロパン等の多価の飽和及び不飽和アルコール類、比較的低分子量のポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール等のポリアルキレンエーテルグリコール類、あるいはそれらアルコール類の混合物とを縮合することにより得ることができる。
【0027】
さらに、ポリエステルポリオールとしては、ラクトン及びヒドロキシ酸から得られるポリエステル類、またポリエーテルエステルポリオールとしては、あらかじめ製造されたポリエステル類にエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド等を付加せしめたポリエーテルエステル類も使用することができる。
【0028】
上記(2)の有機ポリイソシアネートとしては、トルイレンジイソシアネートの異性体類、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート及び4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、および2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、あるいはこれらの化合物を単一あるいは複数でトリメチロールプロパン等とあらかじめ付加させたポリイソシアネート類が挙げられる。
【0029】
上記(3)の少なくとも2個の活性水素を有する鎖伸長剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオール等のグリコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトール等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、およびピペラジン等のジアミン類、モノエタノールアミンおよびジエタノールアミン等のアミノアルコール類、チオジエチレングルコール等のチオジグリコール類、あるいは水が挙げられる
【0030】
ウレタンプレポリマーを合成するには通常、上記鎖伸長剤を用いた一段式あるいは多段式イソシアネート重付加方法により、150℃以下、好ましくは70〜120℃の温度において、5分〜数時間反応させる。活性水素原子に対するイソシアネート基の比は、1以上であれば自由に選べるが、得られるウレタンプレポリマー中に遊離のイソシアネート基が残存することが必要である。さらに、遊離のイソシアネート基の含有量は10重量%以下であればよいが、ブロック化された後のウレタンポリマー水溶液の安定性を考慮すると、7重量%以下であるのが好ましい。
【0031】
得られた上記ウレタンプレポリマーは、好ましくは重亜硫酸塩を用いてブロック化を行う。重亜硫酸塩水溶液と混合し、5分〜1時間、よく攪拌しながら反応を進行させる。反応温度は60℃以下とするのが好ましい。その後、水で希釈して適当な濃度にして、熱反応型水溶性ウレタン組成物とする。該組成物は使用する際、適当な濃度および粘度に調製するが、通常80〜200℃前後に加熱すると、ブロック剤の重亜硫酸塩が解離し、活性なイソシアネート基が再生するために、プレポリマーの分子内あるいは分子間で起こる重付加反応によってポリウレタン重合体が生成したり、また他の官能基への付加を起こす性質を有するようになる。
【0032】
上記に説明したブロック型イソシアネート基を含有する樹脂(B)の1例としては、第一工業製薬(株)製の商品名エラストロンが代表的に例示される。エラストロンは、重亜硫酸ソーダによってイソシアネート基をブロックしたものであり、分子末端に強力な親水性を有する、カルバモイルスルホネート基が存在するため、水溶性となっている。
【0033】
本発明で使用される、分岐したグリコール成分を含有する共重合ポリエステル樹脂(A)およびブロック型イソシアネート基を含有する樹脂(B)を混合して塗布液を調製する場合、樹脂(A)と樹脂(B)との重量比は(A):(B)=9
0:10〜10:90が好ましく、更に好ましくは(A):(B)=80:20〜20:80の範囲である。固形分重量に対する上記樹脂(A)の割合が10重量%未満では、基材フィルムへの塗布性が不良で、表面層と該フィルムとの間の接着性が不十分となる。固形分重量に対する上記樹脂(B)の割合が10重量%未満の場合には、UV硬化タイプのハードコートにおいては実用性のある接着性が得られない。
【0034】
本発明において、易接着層形成のための塗布液に水性塗布液を用いるのが好ましい。該水性塗布液の組成物には、易接着性を消失しない限りにおいて、帯電防止剤、紫外線吸収防止剤、可塑剤、無機及び/又は有機の不活性粒子、顔料、有機潤滑剤、抗菌剤等の種々の添加剤を混合してもよい。さらに、塗布液が水性であるため、その寄与効果を消失しない限りにおいて、性能向上のために、他の水溶性樹脂、水分散性樹脂およびエマルジョン等を塗布液に添加してもよい。
【0035】
本発明で使用される水性塗布液には、熱架橋反応を促進させるため、触媒を添加しても良く、例えば、無機物質、塩類、有機物質、アルカリ性物質、酸性物質および含金属有機化合物等、種々の化学物質が用いられる。また水溶液のpHを調節するために、アルカリ性物質あるいは酸性物質を添加してもよい。
【0036】
上記水性塗布液を基材フィルム表面に塗布する際には、該フィルムへの濡れ性を上げ、塗布液を均一にコートするために、公知のアニオン性活性剤およびノニオン性の界面活性剤を必要量添加して用いることができる。塗布液に用いる溶剤は、水の他にエタノール、イソプロピルアルコールおよびベンジルアルコール等のアルコール類を、全塗布液に占める割合が50重量%未満となるまで混合してもよい。さらに、10重量%未満であれば、アルコール類以外の有機溶剤を溶解可能な範囲で混合してもよい。ただし、塗布液中、アルコール類とその他の有機溶剤との合計は、50重量%未満とする。
【0037】
有機溶剤の添加量が50重量%未満であれば、塗布乾燥時に乾燥性が向上するとともに、水のみの場合と比較して塗布膜の外観向上の効果がある。50重量%以上では、溶剤の蒸発速度が速く塗工中に塗布液の濃度変化が起こり、粘度が上昇して塗工性が低下するために、塗布膜の外観不良を起こす恐れがあり、さらには火災などの危険性も考えられる。
【0038】
また、易接着層の塗布量(フィルム単位面積当りの固形分重量)は、0.05〜0.50g/m2が好ましい。塗布量が0.05g/m2未満であると、接着性が不十分となる。塗布量が0.50g/m2を超えると、全光線透過率が低下し、好ましくない。
【0039】
本発明の光学易接着フィルムの全光線透過率は90%以上である必要があり、91%以上が好ましく、特に好ましくは92%以上である。全光線透過率が90%未満であると、フィルムをLCD用のレンズフィルムや、バックライト用ベースフィルム等に用いた場合、画面の鮮明度が低下するので好ましくない。
【0040】
本発明の光学易接着フィルムの全光線透過率を90%以上にするためには、基材フィルム中に易滑性付与のための粒子を含有させないことが好ましい。基材フィルム中に易滑性付与のための粒子を含有しない場合、易接着層に耐スクラッチ性、フィルムの巻き取り性を向上させるために、易接着層中に適当な粒子を含有させることが好ましい。
【0041】
かかる粒子の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子を挙げることができる。なかでもシリカ粒子はポリエステル樹脂と屈折率が比較的近く、高透明のフィルムを得やすいため最も好適である。
【0042】
本発明では、易接着層に2種類の不活性粒子(粒子A及び粒子B)を含有させることが好ましい。粒子Aの平均粒径は20〜300nmが好ましく、さらに好ましくは30〜100nmである。粒子Aの平均粒径が20nm未満であると、耐スクラッチ性が悪化する傾向がある。一方、粒子Aの平均粒径が300nmを超えると、全光線透過率が低くなる傾向がある。
【0043】
粒子Aのみでは耐スクラッチ性が不十分であるため、耐スクラッチ性をさらに向上させるために、粒子Bを易接着層中に粒子Aと併用して含有させることが好ましい。粒子Bの平均粒径は300〜1000nmが好ましく、さらに好ましくは400〜800nmである。粒子Bの平均粒径が300nm未満であると、耐スクラッチ性が悪化する傾向がある。一方、粒子Bの平均粒径が1000nmを超えると、全光線透過率が低くなる傾向がある。また、粒子Bは一次粒子が凝集した凝集粒子であることが好ましく、凝集状態での平均粒径と一次粒子との平均粒径の比を6倍以上とすることが耐スクラッチ性の点から好ましい。
【0044】
さらに、易接着層中の粒子Aと粒子Bの含有量比(A/B)を5〜30とし、かつ粒子Bの含有量を易接着層の固形分に対し0.1〜1重量%とすることは、本発明で規定した全光線透過率と耐スクラッチ性を両立させるのに好適である。上記範囲になるようそれぞれの粒子含有量を設定することが好ましい。特に、易接着層の固形分に対し、粒子Bの含有量が1重量%を超えると、全光線透過率の低下が著しい。上記に記載した易接着層の固形分とは、樹脂A、樹脂B、粒子A、及び粒子Bの固形分量の総和を意味する。易接着層中に含有させる不活性粒子として、2種類の粒径及び形態の異なるシリカ粒子を用い、粒子Aとして球状単分散シリカを、粒子Bとして凝集体シリカをそれぞれ前記範囲内の含有量及びその比率とし、さらに塗布量を前記範囲内にすることは、本発明で規定した全光線透過率と耐スクラッチ性を両立させるのに特に好適である。
【0045】
さらに、本発明の光学易接着フィルムの全光線透過率を90%以上にするためには、塗布液及び基材フィルム中の異物の除去、及び未延伸シート作成時のシート全体(特にチルロールに接触しない面)を急冷することが有効である
【0046】
塗布液を精密濾過するための濾材は、濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が25μm以下であることが好ましい。濾過粒子サイズが25μmを超えると、粗大凝集物の除去が不十分となりやすい。そのため、濾過で除去できなかった粗大凝集物は、塗布乾燥後の一軸延伸又は二軸延伸工程での延伸応力により広がって、100μm以上の凝集物として認識され、フィルムの全光線透過率を低下させる原因となる。
【0047】
塗布液を精密濾過するための濾材のタイプは、上記性能を有していれば特に限定はなく、例えば、フィラメント型、フェルト型、メッシュ型が挙げられる。塗布液を精密濾過するための濾材の材質は、上記性能を有しかつ塗布液に悪影響を及ばさない限り特に限定はなく、例えば、ステンレス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が挙げられる。
【0048】
基材フィルムについても、原料樹脂中に含まれている異物を除去するために、溶融押出しの際に溶融樹脂が約280℃に保たれた任意の場所で、高精度濾過を行う。溶融樹脂の高精度濾過に用いられる濾材は、特に限定はされないが、ステンレス焼結体の濾材の場合、Si、Ti、Sb、Ge、Cuを主成分とする凝集物及び高融点有機物の除去性能に優れ好適である。溶融樹脂の高精度濾過に用いられる濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)は15μm以下が好ましい。濾材の濾過粒子サイズが15μmを超えると、20μm以上の異物の除去が不十分となりやすい。濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が15μm以下の濾材を使用して溶融樹脂の高精度濾過を行うことにより生産性が低下する場合があるが、全光線透過率の高い光学用フィルムを得るには極めて好適である。
【0049】
溶融樹脂の押出し工程において濾材を通過する微細な異物であっても、シート状溶融物の冷却過程において異物の周囲で結晶化が進み、これが延伸工程において延伸の不均一性を引き起こし、微小な厚みの差異を生じせしめレンズ状態となる。ここでは光はレンズがあるかの様に屈折又は散乱し、肉眼で観察した時には実際の異物より大きく見える様になる。この微小な厚みの差は、凸部の高さと凹部の深さの差として観測することができ、凸部の高さが1μm以上で、凸部に隣接する凹部の深さが0.5μm以上であると、レンズ効果により、大きさが20μmの形状の物でも肉眼的には50μm以上の大きさとして認識され、さらには100μm以上の大きさの光学欠点として認識される場合もある。高透明なフィルムを得るためには、基材フィルム中に易滑性を付与するための粒子を含有させない方が望ましいが、粒子添加量が少なく透明性が高い程、微小な凹凸による光学欠点はより鮮明となる傾向にある。また、厚手のフィルムの表面は薄手のフィルムより急冷となりにくく、結晶化が進む傾向にあるため、未延伸シート作成時フィルム全体を急冷することが必要となる。未延伸シートを冷却する方法としては、溶融樹脂を回転冷却ドラム上にダイスからシート上に押し出し、シート状溶融物を回転冷却ドラムに密着させながら、急冷してシートとする公知の方法が適用できる。このシート状物のエア面(冷却ドラムと接触する面との反対面)を冷却する方法としては、高速気流を吹きつけて冷却する方法が有効である。
【0050】
次に、本発明の光学用易接着フィルムの製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略称する)を例にして説明するが、当然これに限定されるものではない。
易滑性付与を目的とした不活性粒子を実質的に含有していないPETのペレットを十分に真空乾燥した後、押出し機に供給し、約280℃でシート状に溶融押出しし、冷却固化せしめて未延伸PETシートを製膜する。この際、溶融樹脂が約280℃に保たれた任意の場所で、樹脂中に含まれる異物を除去するために前記高精度濾過を行う。上記の「不活性粒子を実質的に含有していないPET」とは、PET中の不活性粒子濃度が、蛍光X線で分析した際に検出限界よりも少ない濃度のことを意味する。
【0051】
得られた未延伸シートを、80〜120℃に加熱したロールで長手方向に2.5〜5.0倍延伸して、一軸配向PETフィルムを得る。さらに、フィルムの端部をクリップで把持して、80〜180℃に加熱された熱風ゾーンに導き、乾燥後幅方向に2.5〜5.0倍に延伸する。引き続き200〜240℃の熱処理ゾーンに導き、1〜60秒間の熱処理を行い、結晶配向を完了させる。この熱処理工程中で、必要に応じて、幅方向及び/又は長手方向に3〜10%の弛緩処理を施してもよい。
【0052】
この工程中の任意の段階でポリエステルフィルムの少なくとも片面に、前記の共重合ポリエステル及びポリウレタン樹脂の水溶液を塗布する。
上記水性塗布液を塗布するには、公知の任意の方法で行うことができる。例えば、リバースロール・コート法、グラビア・コート法、キス・コート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法およびカーテン・コート法などが挙げられ、これらの方法を単独であるいは組み合わせて行うことができる。
【0053】
上記水性塗布液を塗布する工程は、通常の塗布工程、すなわち二軸延伸し熱固定した基材フィルムに塗布する工程でもよいが、該フィルムの製造工程中に塗布するインラインコート法が好ましい。さらに好ましくは、結晶配向が完了する前の基材フィルムに塗布する。未延伸あるいは一軸延伸後のポリエステルフィルム基材に上記塗布液を塗布した後、乾燥、延伸する場合、塗布後の乾燥工程では水等の溶剤分のみを取り除きかつ塗布層の架橋反応が進行しない温度及び時間を選定することが重要である。乾燥温度は70〜140℃で行うことが好ましく、乾燥時間は塗布液及び塗布量に応じて調整するが、温度(℃)と時間(秒)の温度積として3000以下が好ましい。
【0054】
水性塗布液中の固形分濃度は、30重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは10重量%以下である。該水性塗布液が塗布・乾燥されたフィルムは、延伸および熱固定のためにテンターに導かれ、そこで加熱されて、熱架橋反応により安定な被膜を形成し、ポリエステル系積層フィルムとなる。インキとの良好な密着性を得るためには、熱処理工程において100℃以上でかつ1分間以上熱処理し、また熱処理後の易接着層の塗布量を0.05g/m2以上となるように塗工することが好ましい。
【0055】
本発明における光学易接着フィルムの厚みは、50〜300μmが好ましく、特に好ましくは100〜250μmである。フィルム厚みが50μm未満では、剛性が不十分となり好ましくない。一方、フィルム厚みが300μmを超えると、フィルム中に存在する光学欠点となる異物が増加し、全光線透過率を低下させるので好ましくない。
【0056】
かくして得られた光学易接着フィルムは、透明性、易接着性に優れ、かつ後加工時の熱処理工程において曇価上昇が小さいという特徴を有しており、プリズムレンズシート用ベースフィルムやAR(アンチリフレクション)フィルム用ベースフィルム及びCRT用破砕防止フィルム等に好適に使用することができる。
【0057】
【実施例】
次に、本発明の光学用易接着ポリエステルフィルムの製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略称する)を例にして説明するが、当然これに限定されるものではない。実施例及び比較例中の「部」は、特に断らない限り、「重量部」のことである。また、本明細書中の特性の評価は下記の方法によった。
【0058】
(1)全光線透過率の測定
ヘイズメーター(東京電色工業社製モデルTC−H3DP)を用いて測定した。
【0059】
(2)曇価上昇値
実施例及び比較例で得たフィルムの易接着層をメチルエチルケトンで除去した後、150℃で120分熱処理し、加熱処理前後の曇価を測定してその差を上昇値とした。曇価の測定は、ヘイズメーター(東京電色工業社製モデルTC−H3DP)を用いた。
【0060】
(3)白色状の外観欠点の有無
艶消し黒色板を背後に設置し、蛍光灯下で評価面積1m2を目視観察した。目視により認識できる白色状の外観欠点が1ヶ以上検出された場合を有、検出されなかった場合を無とした。
【0061】
(4)光硬化型アクリル系コート層との接着性
実施例及び比較例で得たフィルムの易接着層面に、大日精化社製ハードコート剤(セイカビームEXF01(B))を#8ワイヤバーを用いて塗布し、70℃で1分間乾燥し、溶剤を除去した後、高圧水銀灯で200mJ/cm2、照射距離15cm、走行速度5m/分の条件下で、厚み3μmのハードコート層を形成した。得られたフィルムをJIS−K5400の8.5.1記載に準じた試験方法で接着性を求めた。
具体的には、易接着層を貫通して基材フィルムに達する100個の升目状の切り傷を、隙間間隔2mmのカッターガイドを用いて付けた。次いで、セロハン粘着テープ(ニチバン社製405番;24mm幅)を升目状の切り傷面に張り付け、消しゴムでこすって完全に付着させた後、垂直に引き剥がして目視により下記の式から接着性を求めた。
接着性(%)=(1−剥がれ面積/評価面積)×100
【0062】
(実施例1)
(1)塗布液の調整
本発明に用いる塗布液を以下の方法に従って調製した。ジメチルテレフタレート95部、ジメチルイソフタレート95部、エチレングリコール35部、ネオペンチルグリコール145部、酢酸亜鉛0.1部および三酸化アンチモン0.1部を反応容器に仕込み、180℃で3時間かけてエステル交換反応を行った。
次に、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6.0部を添加し、240℃で1時間かけてエステル化反応を行った後、250℃で減圧下(13〜0.3hPa)で2時間かけて重縮合反応を行い、分子量19500、軟化点60℃のポリエステル樹脂を得た。
【0063】
得られたポリエステル樹脂(A)の30%水分散液を6.7部、重亜硫酸ソーダでブロックしたイソシアネート基を含有する自己架橋型ポリウレタン樹脂(B)の20%水溶液(第一工業製薬製:商品名 エラストロンH−3)を40部、エラストロン用触媒(第一工業製薬製:商品名 Cat64)を0.5部、水を44.3部およびイソプロピルアルコールを5部、それぞれ混合し、さらにアニオン系界面活性剤の10%水溶液を0.6部、球状シリカ粒子A(日産化学工業社製:スノーテックスOL、平均粒径40nm)の20%水分散液を1.8部、乾式法シリカ粒子B(日本アエロジル社製;アエロジルOX50、平均粒径500nm、平均一次粒径40nm)の4%水分散液を1.1部添加し塗布液とした。
【0064】
(2)易接着フィルムの製膜
公知の連続重合法で得られた、固有粘度が0.62dl/gでかつ不活性粒子を実質上含有していないポリエチレンテレフタレート(PET)を、1115hPaの窒素気流下、220℃で24時間熱処理し、固有粘度が0.62dl/g、環状3量体の含有量が3000ppmのPETレジンペレットを得た。該ペレットを135℃で6時間減圧(1.3hPa)乾燥した後、押し出し機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出して、表面温度20℃に保った金属ロール上で急冷固化し、厚さ1400μmのキャストフィルムを得た。この際、溶融から急冷固化までの滞留時間を6分とした。また、溶融樹脂の異物除去用濾材として、濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が15μmのステンレス製焼結濾材を用いた。
【0065】
次に、このキャストフィルムを加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで100℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向に3.5倍延伸して一軸配向PETフィルムを得た。次いで、前記塗布液を濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)25μmのフェルト型ポリプロピレン製濾材で精密濾過し、リバースロール法で一軸配向PETフィルムの片面に塗布後引き続いて、フィルムの端部をクリップで把持してテンターの予熱ゾーンにおいて80℃で20秒間塗布層を乾燥させた後、横延伸ゾーンで幅方向に130℃で4.0倍に延伸した。続いて240℃で熱固定を行い、さらに200℃で3%の横緩和を行い、厚さ188μmの二軸配向PETフィルムを得た。得られたフィルムの塗布層中の粒子Aと粒子Bの含有量比は8であり、粒子Bの含有量は塗布層の固形分比で0.42重量%であった。また、塗布量は固形分量として0.10g/m2であった。結果を表1に示す。
【0066】
(実施例2)
塗布液の調整において、粒子Aと粒子Bの含有量比を20、粒子Bの含有量を易接着層の固形分に対して0.17重量%とし、溶融から急冷固化までの滞留時間を12分としたこと以外は、実施例1と同様の方法で光学用易接着フィルムを得た。なお、塗布液中の固形分濃度は実施例1と同様になるよう、水及びイソプロピルアルコールの添加量を両者の添加量比を一定にしながら調整した。結果を表1に示す。
【0067】
(実施例3)
塗布液の調整において、粒子Aと粒子Bの含有量比を12、粒子Bの含有量を易接着層の固形分に対して0.41重量%とした以外は、実施例1と同様の方法で光学用易接着フィルムを得た。なお、塗布液中の固形分濃度は実施例1と同様になるよう、水及びイソプロピルアルコールの添加量を両者の添加量比を一定にしながら調整した。結果を表1に示す。
【0068】
(比較例1)
塗布液の調整において、ポリエステル樹脂(A)を添加しないこと以外は、実施例1と同様の方法で光学用易接着フィルムを得た。この時の粒子Aと粒子Bの含有量比は8、粒子Bの含有量は易接着層の固形分に対して0.52重量%であった。なお、塗布液中の固形分濃度は実施例1と同様になるよう、水及びイソプロピルアルコールの添加量を両者の添加量比を一定にしながら調整した。結果を表1に示す。
【0069】
(比較例2)
塗布液の調整において、ウレタン樹脂(B)を添加しないこと以外は、実施例1と同様の方法で光学用易接着フィルムを得た。この時の粒子Aと粒子Bの含有量比は8、粒子Bの含有量は易接着層の固形分に対して1.82重量%であった。なお、塗布液中の固形分濃度は実施例1と同様になるよう、水及びイソプロピルアルコールの添加量を両者の添加量比を一定にしながら調整した。結果を表1に示す。
【0070】
(比較例3)
塗布液の調整において、粒子Aとして平均粒径1400nm(富士シリシア社製サイリシア310番)の凝集体シリカ粒子を用いた以外は、実施例1と同様の方法で光学用易接着フィルムを得た。この時の粒子Aと粒子Bの含有量比は8、粒子Bの含有量は易接着層の固形分に対して0.42重量%であった。なお、塗布液中の固形分濃度は実施例1と同様になるよう、水及びイソプロピルアルコールの添加量を両者の添加量比を一定にしながら調整した。結果を表1に示す。
【0071】
(比較例4)
塗布液の調整において、粒子Aと粒子Bを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で光学用易接着フィルムを得た。なお、塗布液中の固形分濃度は実施例1と同様になるよう、水及びイソプロピルアルコールの添加量を両者の添加量比を一定にしながら調整した。結果を表1に示す。
【0072】
(比較例5)
環状3量体の含有量が10000ppmのPETレジンをポリエステルフィルムの原料レジンとして使用する以外は、実施例1と同様にして光学用易接着フィルムを得た。結果を表1に示す。
【0073】
(比較例6)
滞留時間が25分であること以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。結果を表1に示す。
【0074】
【表1】
Figure 0004792614
【0075】
【発明の効果】
本発明の光学用易接着フィルムは、易接着性、耐スクラッチ性、透明性に優れ、且つ後工程において曇価上昇が小さいため、各種光学用部材の全般にわたり使用される光学用フィルムとして、特にプリズムシート用のベースフィルムやバックライト用ベースフィルムとして有用である。

Claims (5)

  1. 共重合ポリエステル系樹脂及びポリウレタン系樹脂からなる易接着層が少なくとも片面に積層されている二軸配向ポリエステルフィルムであって、
    窒素気流下、1013hPa以上2026hPa以下の加圧下で、180℃以上250℃以下に加熱し、12時間以上36時間以下の低オリゴマー化処理を行った固有粘度が0.45〜0.70dl/gの原料レジンを用い、
    原料レジンを再溶融してから押し出し冷却するまでの滞留時間を12分以内とすることにより得られうる、
    前記フィルムの全光線透過率が90%以上、さらに150℃で120分間加熱処理した時の曇価上昇が0.5%以下であることを特徴とする光学用易接着フィルム。
  2. 前記易接着層上に光硬化型アクリル系コート層を設けた時の接着性が85%以上であることを特徴とする請求項1記載の光学用易接着フィルム。上記でいう接着性とは、JIS−K5400の8.5.1記載に準じた試験方法に基づき、下記式から求めた値を意味する。
    接着性(%)=(1−剥がれ面積/評価面積)×100
  3. 前記ポリエステルフィルム中の環状3量体の含有量が5000ppm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の光学用易接着フィルム。
  4. 前記共重合ポリエステル系樹脂が分岐したグリコール成分を含有する共重合ポリエステル樹脂(A)でり、前記ポリウレタン系樹脂がブロックイソシアネート基を含有する樹脂(B)であり、樹脂(A)と樹脂(B)の重比が(A):(B)=90:10〜10:90であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学用易接着フィルム。
  5. 全光線透過率が90%以上で、かつ150℃で120分間加熱処理した時の曇価上昇が0.5%以下の光学用ポリエステルフィルムの製造方法であって、
    窒素気流下、1013hPa以上2026hPa以下の加圧下で180℃以上250℃以下に加熱し、12時間以上36時間以下の低オリゴマー化処理を行った、固有粘度0.45〜0.70dl/gの原料レジンを用い、
    原料レジンを再溶融してから押し出し冷却するまでの滞留時間を12分以内とすることを特徴とする、光学用ポリエステルフィルムの製造方法。
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