JP5380896B2 - 接着性改質基材フィルムおよびハードコートフィルム - Google Patents
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Description
すなわち、本発明では、将来のさらなる高速加工化という課題に対し、基材フィルムの表面に特定の樹脂を極限まで薄く塗布することで、干渉斑の低減と密着性の両立を図りつつ、優れた透明性と安定した摩擦特性が得られる接着性改質基材フィルムの提供を目指したものである。
(1)A層の少なくとも片面にB層が共押出法により積層されてなる二軸配向ポリエステルフィルムを基材フィルムとし、前記B層面に接着性改質層が積層されてなる接着性改質基材フィルムであって、前記B層は平均粒径1〜10μmの不活性粒子を含有し、前記接着性改質層はポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂、ならびに無機粒子を含有し、前記接着性改質層の塗布量が3〜12mg/m2であり、着性改質基材フィルムのヘーズが2.0%以下である、接着性改質基材フィルム。
(2)前記B層の厚みが3〜30μmであり、かつ前記B層中の不活性粒子の含有量が0.005〜0.1質量%である前記接着性改質基材フィルム。
(3)前記A層は実質的に粒子を含有しない前記接着性改質基材フィルム。
(4)前記密着性改質基材フィルムのB層側表面の中心面平均粗さ(SRa)が0.005〜0.05μmであり、十点平均粗さ(SRz)が0.5〜2.0μmである前記接着性改質基材フィルム。
(5)前記接着性改質層が共重合ポリエステルとポリウレタンと無機粒子とを含む前記接着性改質基材フィルム。
(6)前記接着性改質基材フィルムの前記接着性改質層面に未硬化の硬化型樹脂を塗布することによりハードコート層を積層したときに、前記ハードコート層が前記基材フィルムに直接積層され、前記基材フィルムと前記ハードコート層との境界領域に点在する有機−無機複合体を有するハードコートフィルム。
(7)前記ハードコート層の屈折率が1.60〜1.65である前記ハードコートフィルム。
(8)A層の少なくとも片面にB層が共押出法により積層されてなる二軸配向ポリエステルフィルムを基材フィルムとし、前記B層は平均粒径1〜10μmの不活性粒子を含有し、前記B層面に接着性改質層が積層されてなる基材フィルムであって、前記基材フィルムの表面上に直接積層されたハードコート層、ならびに、基材フィルムとハードコート層との境界領域に点在する有機−無機複合体を有するハードコートフィルムであって、有機−無機複合体は、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種の中に無機粒子が埋め込まれた構造をもち、前記有機−無機複合体は、複数の複合体が全部つながっているのではなく、離散的に存在しており、ハードコート層の屈折率が1.60〜1.65であることを特徴とするハードコートフィルム。
本発明における密着性改質基材フィルムは高い透明性を確保する必要があることから、フィルム全体、すなわち接着性改質基材フィルム全体として、ヘーズが2.0%以下であることが必要であり、更に好ましくは1.0%以下である。密着性改質基材フィルムのヘーズを2.0%以下にすることで、高い透明性が要求されるディスプレイ用途でも好適に用いることができる。さらに、密着性改質基材フィルムの全光線透過率は85%以上であることが望ましく、更に好ましくは88%以上である。密着性改質基材フィルムの全光線透過率を85%以上にすることで、ディスプレイ部材として用いた場合にも高い輝度が得られる。
粒子を電子顕微鏡で写真を撮り、最も小さい粒子1個の大きさが2〜5mmとなるような倍率で、300〜500個の粒子の最大径を測定し、その平均値を平均一次粒径または平均粒径とする。また、接着性改質基材フィルムの接着性改質層中の粒子の平均粒径を求める場合は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、倍率12万倍で接着性改質基材フィルムの断面を撮影し、複合体の粒子の最大径を求めることができる。凝集体からなる粒子の平均粒径は、接着性改質基材フィルムの接着性改質層の断面を、光学顕微鏡を用いて倍率200倍で200個以上撮影し、その最大径を測定する。
本発明の接着性改質基材フィルムは、基材フィルムの少なくとも片面に接着性改質層を積層してなる。本発明の接着性改質層は、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂、ならびに無機粒子を含有する。本発明の接着性改質層を構成するポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂は、基材フィルムおよびハードコート層の両方に対して接着性を有し、ハードコート剤に含まれる有機溶剤に適度に膨潤する。上述の樹脂は単独で用いてもよいし、異なる2種の樹脂、例えば、ポリエステル樹脂とウレタン樹脂、ポリエステル樹脂とアクリル樹脂、あるいはウレタン樹脂とアクリル樹脂を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、塗布法を用いる場合、塗布液に用いる材料は、樹脂及び分散媒あるいは溶媒である。本発明において、塗布液は、水性であることが好ましい。また、本発明では、樹脂成分以外に、無機粒子を併用する。さらに、界面活性剤を併用することが好ましく、必要に応じて、及び界面活性剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、有機潤滑剤、抗菌剤、光酸化触媒などの添加剤を用いることができる。
本発明において、複合体を構成する樹脂として、ポリエステル系樹脂、特に共重合ポリエステル(PEs)とポリウレタン系樹脂、特にポリウレタン(PU)を用いるのが接着性の観点から好ましい。この場合、塗布液中の共重合ポリエステル(PEs)とポリウレタン(PU)の固形分基準の質量比は、(PEs)/(PU)=70/30〜30/70が好ましく、特に好ましくは60/40〜40/60である。なお、複合体の樹脂は、前記の共重合ポリエステルとポリウレタン以外の第3の樹脂を併用することもできる。また、架橋剤を併用してもかまわない。
例えば、複合体にポリエステル系樹脂として共重合ポリエステルを用いる場合、芳香族ジカルボン酸成分と、グリコール成分としてエチレングリコールと分岐状グリコールを構成成分とすることが好ましい。前記の分岐状グリコールとは、例えば、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジ−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、及び2,2−ジ−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
ポリウレタン系樹脂として複合体が含み得るポリウレタンは、熱反応型ポリウレタン樹脂が好ましく、例えば、末端イソシアネート基を活性水素基で封鎖(以下ブロックと言う)した、水溶性または水分散性ポリウレタンなどが挙げられる。
複合体にアクリル系樹脂を用いる場合の水分散性または水溶性のアクリル樹脂とは、例えば、アクリレートおよび/またはメタクリレート樹脂、あるいは、これらと、スチレンなどの不飽和二重結合を有する、アクリル樹脂と共重合可能な脂肪族化合物または芳香族化合物との共重合体が挙げられる。ハードコート層に対する接着性の優れた接着性改質層として親水性に優れたアクリル−スチレン共重合樹脂として、乳化重合による水分散性アクリル−スチレンランダム共重合樹脂が最も好ましい。
本発明においては、溶媒とは、樹脂を溶解する液だけではなく、樹脂を粒子状に分散させるために用いる分散媒も広義的に含むものである。本発明を実施するためには、有機溶媒、水性溶媒等の各種溶媒を用いることができる。
前記の水性塗布液を熱可塑性樹脂フィルム(基材フィルム)の表面に塗布する際には、該フィルムへの濡れ性を向上させ、塗布液を均一に塗布するために一般に界面活性剤が使用することが好ましい。
接着性改質層に含まれる無機粒子としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、非晶性シリカ、結晶性のガラスフィラー、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、シリカーアルミナ複合酸化物粒子、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン、マイカなどの無機粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋アクリル系樹脂粒子、架橋メタクリル酸メチル系粒子、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物粒子、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物粒子、ポリテトラフルオロエチレン粒子などの耐熱性高分子粒子が挙げられる。
粒子を電子顕微鏡で写真を撮り、最も小さい粒子1個の大きさが2〜5mmとなるような倍率で、300〜500個の粒子の最大径を測定し、その平均値を平均一次粒径または平均粒径とする。また、接着性改質基材フィルムの接着性改質層中の粒子の平均粒径を求める場合は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、倍率12万倍で接着性改質基材フィルムの断面を撮影し、複合体の粒子の最大径を求めることができる。凝集体からなる粒子の平均粒径は、接着性改質基材フィルムの接着性改質層の断面を、光学顕微鏡を用いて倍率200倍で300〜500個撮影し、その最大径を測定する。
携帯電話、PDA、モバイル型コンピュータのように、情報端末を屋外で使用する機会が増えている。さらに、カーナビゲーションなどに用いられるタッチパネルのように、夏場に高温になる車内で使用される材料も増えている。したがって、このような高温、高湿の過酷な環境下でも品質変化が少ないハードコートフィルム、すなわち、耐湿熱接着性に優れたフィルムが、このような用途では要望されている。
前記の水性塗布液を塗布する工程は、該フィルムの製造工程中に塗布するインラインコート法が好ましい。さらに好ましくは、結晶配向が完了する前の基材フィルムに塗布する。水性塗布液中の固形分濃度は、2質量%以下であることが好ましく、特に好ましくは1質量%以下である。固形分濃度の下限は0.1質量%が好ましく、さらに好ましくは0.3質量%である。該水性塗布液が塗布されたフィルムは、配向および熱固定のためにテンターに導かれ、そこで加熱されて、熱架橋反応により安定な被膜を形成し、接着性改質基材フィルムとなる。
(a)ハードコート層
ハードコート層を構成する硬化型樹脂としては、電離放射線硬化型樹脂が好ましい。電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、下記の樹脂が挙げられる。
(a)ハードコート層とは反対面に、ハードコート層、光拡散層、プリズム状レンズ層、電磁波吸収層、近赤外線遮断層、透明導電層から選択される、少なくとも1層の光学機能層を積層した光学機能性フィルム。
(b)ハードコート層の上に、反射防止層または防汚層を積層した光学機能性フィルム。
本発明の接着性改質基材フィルムの接着性改質層表面上にハードコート層を積層した際、ハードコート層は基材フィルムに直接積層され、基材フィルムとハードコート層との境界領域には有機−無機複合体(以下、単に「複合体」とも表記する。)が点在する。有機−無機複合体は、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種の中に無機粒子が埋め込まれた構造をもつ。
ポリエステル0.1gをフェノール/テトラクロロエタン(容積比3/2)の混合溶液25g中に溶解させ、30℃にてオストワルド粘度計を用いて測定した。
不活性粒子を走査型電子顕微鏡(日立製作所製、S−51O型)で観察し、粒子の大きさに応じて適宜倍率を変え、写真撮影したものを拡大コピーした。次いで、ランダムに選んだ少なくとも200個以上の粒子について各粒子の外周をトレースし、画像解析装置にてこれらのトレース像から粒子の円相当径を測定し、これらの平均を平均粒子径とした。
JIS−K7105に準じ、濁度計(NHD2000、日本電色工業製)を使用して、基材フィルムのヘーズ、全光線透過率を測定した。
実施例、比較例において、密着性改質基材フィルムのB層側表面を、触針式三次元粗さ計(SE−3AK、株式会社小阪研究所社製)を用いて、針の半径2μm、荷重30mgの条件下に、フィルムの長手方向にカットオフ値0.25mmで、測定長1mmにわたり、針の送り速度0.1mm/秒で測定し、2μmピッチで500点に分割し、各点の高さを三次元粗さ解析装置(SPA−11)に取り込ませた。これと同様の操作をフィルムの幅方向について2μm間隔で連続的に150回、すなわちフィルムの幅方向0.3mmにわたって行い、解析装置にデータを取り込ませた。次に解析装置を用いて中心面平均粗さ(SRa)、十点平均粗さ(SRz)を求めた。
両面テープを貼り付けた厚さ5mmのガラス板に、実施例及び比較例で得られたハードコートフィルムのハードコート層を表側とし、反対面を貼り付けた。次いで、ハードコート層を貫通して、基材フィルムに達する100個の升目状の切り傷を、隙間間隔2mmのカッターガイドを用いて付けた。次いで、粘着テープ(ニチバン社製、405番;24mm幅)を升目状の切り傷面に貼り付けた。貼り付け時に界面に残った空気を消しゴムで押して、完全に密着させた後、粘着テープを勢いよく垂直に引き剥がして下記の式から密着性を目視により求めた。なお、1個の升目内で部分的に剥がれているものも、剥がれた個数に含める。
密着性(%)=(1−升目の剥がれた個数/100個)×100
接着性(%)が90〜100%を◎
接着性(%)が80〜89%を○
接着性(%)が0〜79%を×、とした。
実施例及び比較例で得られハードコートフィルムを10cm×15cmの面積に切り出し、試料フィルムを作製した。この試料フィルムのハードコート層とは反対面に、黒色光沢テープを貼り合わせ、ハードコート面を上面にして、3波長形昼白色蛍光灯(ナショナル パルック、F.L 15EX−N 15W)を光源として、斜め上方より反射光を目視で観察した。目視で観察した結果を、下記の基準でランク分けをする。なお、観察は該評価に精通した5名で行ない、最も多いランクを評価ランクとする。仮に、2つのランクで同数となった場合には、3つに分かれたランクの中心を採用した。例えば、◎と○が各2名で△が1名の場合は○を、◎が1名で○と△が各2名の場合には○を、◎と△が各2名で○が1名の場合には○を、それぞれ採用する。
◎:あらゆる角度からの観察でも虹彩状色彩が見られない
○:ある角度によっては僅かに虹彩状色彩が見られる
△:僅かに虹彩状色彩が観察される
×:はっきりとした虹彩状色彩が観察される
JIS K 7142に基づき、アッベ屈折率計を用いて測定を行った。
実施例及び比較例で得られたハードコート剤(A)を塗布したハードコートフィルムの試料を可視光硬化型樹脂(日本電子データム社製、D−800)に包埋し、室温で可視光にさらして硬化させた。得られた包埋ブロックから、ダイアモンドナイフを装着したウルトラミクロトームを用いて70〜100nm程度の厚みの超薄切片を作製し、四酸化ルテニウム蒸気中で30分間染色した。この染色された超薄切片を、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、TEM2010)を用いて、ハードコート層の断面を観察し、独立した有機−無機複合体の有無を調べた。なお、写真の拡大倍率は、10,000〜100,000倍の範囲で適宜設定する。なお、本発明の実施例1では、拡大倍率を80,000倍(加速電圧200kv)とした。
縦方向に連続したテープ状サンプル(横方向5cm×縦方向1m)を採取し、(株)セイコー・イーエム製電子マイクロメータ、ミリトロン1240を用いて、1cmピッチで20点の厚みを測定し、その平均値として求めた。
(1)塗布液Aの調合
接着性改質層を得るための塗布液Aを以下の方法に従って調製した。
(共重合ポリエステル樹脂の合成)
ジメチルテレフタレート(95質量部)、ジメチルイソフタレート(95質量部)、エチレングリコール(35質量部)、ネオペンチルグリコール(145質量部)、酢酸亜鉛(0.1質量部)および三酸化アンチモン(0.1質量部)を反応容器に仕込み、180℃で3時間かけてエステル交換反応を行った。次に、5−ナトリウムスルホイソフタル酸(6.0質量部)を添加し、240℃で1時間かけてエステル化反応を行った後、250℃で減圧下(10〜0.2mmHg)、2時間かけて重縮合反応を行い、数平均分子量が19,500で、ガラス転移温度が62℃である共重合ポリエステル樹脂(A)を得た。
得られた共重合ポリエステル系樹脂300質量部とブチルセロソルブ140質量部を160℃で3時間撹拌し粘稠な溶融液を得、この溶融液に水を徐々に添加し1時間後に均一な淡白色の固形分濃度15%の水分散液を得た。
アジピン酸//1.6ーヘキサンジオール/ネオペンチルグリコール(モル比:4//2/3)の組成からなるポリエステルジオール(OHV:2000eq/ton)100質量部と、キシリレンジイソシアネートを41.4質量部混合し、窒素気流下、80〜90℃で1時間反応させた後、60℃まで冷却し、テトラヒドロフラン70質量部を加えて溶解し、ウレタンプレポリマー溶液(NCO/OH比:2.2、遊離イソシアネート基:3.30質量%)を得た。引き続き、前記のウレタンプレポリマー溶液を40℃にし、次いで、20質量%の重亜硫酸ナトリウム水溶液を45.5質量部加えて激しく撹拌を行いつつ、40〜50℃で30分間反応させた。遊離イソシアネート基含有量(固形分換算)の消失を確認した後、乳化水で希釈し、固形分20質量%の重亜硫酸ソーダでブロックしたイソシアネート基を含有する自己架橋型ポリウレタン系樹脂水溶液(B)を得た。ガラス転移温度は45℃であった。
A層用原料として、不活性粒子を含有していない、固有粘度が0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂ペレットAを、135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した。次いで、乾燥後のPETペレットをA層用押出機(1)に供給した。B層用原料として、上述の樹脂ペレットAと、平均粒径2.3μmの不定形塊状シリカ粒子を1500ppm含有した、固有粘度0.62dl/gの樹脂ペレットBを、80:20の比率で混合した後、135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した。次いで、乾燥後のPETペレットをB層用押出機(2)に供給した。押出機に供給したポリマーを、285℃に溶融した後、それぞれ濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が15μmの濾過材でろ過し、B層/A層/B層となるように積層し、積層比率が5/90/5となるように押出機の吐出量を調整した後、285℃でTダイスから層状に押出し、25℃の回転式冷却ロールに密着固化させて未延伸PETフィルムを得た。
得られた接着性改質基材フィルムの接着性改質層面に下記ハードコート剤をドライ厚みで3μmとなるように塗布し、80℃で3分間乾燥させた。次いで、高圧水銀灯で1000mJ/cm2の条件下で紫外線を照射し、樹脂を硬化させ、ハードコート層を形成させた。
紫外線硬化型アクリレートモノマー、酸化ジルコニウム超微粒子、メチルエチルケトンを主成分とする、有機/無機ハイブリッド系ハードコート剤(JSR株式会社製、デソライト Z7410B;固形分濃度:50質量%)。これより得られたハードコート層の屈折率は1.65であった。
実施例1において、樹脂ペレットBの代わりに、平均粒径3.5μmの不定形塊状シリカ粒子を1500ppm含有した、固有粘度0.62dl/gの樹脂ペレットCを使用した以外は実施例1と同様の方法で接着性改質基材フィルムを得た。
実施例1において、樹脂ペレットBの代わりに、平均粒径4.0μmの不定形塊状シリカを1500ppm含有した、固有粘度0.62dl/gの樹脂ペレットDを使用した以外は実施例1と同様の方法で接着性改質基材フィルムを得た。
実施例1において、樹脂ペレットAと樹脂ペレットBの比率を90:10にて混合した以外は実施例1と同様の方法で接着性改質基材フィルムを得た。
実施例1において、密着性改質層の塗布量を9mg/m2とした以外は実施例1と同様の方法で接着性改質基材フィルムを得た。
実施例1において、樹脂ペレットBの代わりに、平均粒径0.5μmの不定形塊状シリカを1500ppm含有した、固有粘度0.62dl/gの樹脂ペレットEを使用した以外は実施例1と同様の方法で接着性改質基材フィルムを得た。得られたフィルムは透明性には非常に優れるが、ハンドリング性が悪かった。
実施例1において、樹脂ペレットBを使用しなかった以外は実施例1と同様の方法で接着性改質基材フィルムを得た。得られたフィルムは透明性には非常に優れるが、ハンドリング性が悪かった。
実施例1において、B層/A層/B層の比率を20/60/20とした以外は実施例1と同様の方法で接着性改質基材フィルムを得た。得られたフィルムは透明性に劣るものであった。
実施例1において、塗布液Aを塗布しなかった以外は実施例1と同様の方法で接着性改質基材フィルムを得た。得られたフィルムはハードコート層との密着性が非常に劣るものであった。
塗布液Aを下記に示す塗布液Bとし、塗布量を100mg/m2とした以外は実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを得た。得られたフィルムにハードコート層を塗布した時、基材フィルムとハードコート層との境界領域に複合体が点在するのではなく、基材フィルムとハードコート層の間に、塗布液Bに由来する独立した層が形成されるに至り、ハードコート層と塗布液Bの層間で干渉縞が発生した。
(接着性改質塗布液Bの調合)
実施例1で得られた共重合ポリエステル(A)を固形分濃度30質量%とした以外は実施例1と同様にして得た共重合ポリエステル(A)の水分散液を7.5質量部と固形分濃度20質量%のポリウレタン系樹脂(B)水溶液を11.3質量部、触媒としてジブチルチンラウレートを0.02質量部、水を37.9質量部およびイソプロピルアルコールを39.6質量部、それぞれ混合した。さらに、フッ素系ノニオン型界面活性剤の10質量%水溶液を0.3質量部、粒子Aとして平均粒径40nmのコロイダルシリカの20質量%水分散液を2.3質量部、粒子Bとして平均粒径200nm(平均一次粒径40nm)の乾式法シリカの3.5質量%水分散液を0.5質量部添加した。次いで、5質量%の重曹水溶液で塗布液のpHを6.2に調整し、濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が10μmのフィルターで精密濾過し、塗布液Bを調整した。
Claims (7)
- A層の少なくとも片面にB層が共押出法により積層されてなる二軸配向ポリエステルフィルムを基材フィルムとし、前記B層面に接着性改質層が積層されてなる接着性改質基材フィルムであって、
前記A層は実質的に粒子を含有せず、
前記B層は、その厚みが3〜30μmであり、かつ前記B層は平均粒径2〜5μmの不活性粒子を0.01〜0.05質量%含有し、
前記接着性改質層はポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂、ならびに無機粒子を含有し、
前記接着性改質層の塗布量が3〜12mg/m2であり、
接着性改質基材フィルムのヘーズが2.0%以下である、
接着性改質基材フィルム。 - 前記無機粒子は平均粒径が20〜150nmであり、接着性改質層全量に占める無機粒子の含有量が0.1質量%以上20質量%以下である、請求項1に記載の接着性改質基材フィルム。
- 接着性改質層は、さらに、平均粒径160〜1000nmの無機粒子を含有する請求項2記載の接着性改質基材フィルム。
- 前記基材フィルムのB層側表面の中心面平均粗さ(SRa)が0.005〜0.05μmであり、十点平均粗さ(SRz)が0.5〜2.0μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の接着性改質基材フィルム。
- 前記接着性改質層が共重合ポリエステルとポリウレタンと無機粒子とを含む請求項1〜4のいずれかに記載の接着性改質基材フィルム。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の接着性改質基材フィルムの前記接着性改質層面に未硬
化の硬化型樹脂を塗布することによりハードコート層を積層したときに、前記ハードコー
ト層が前記基材フィルムに直接積層され、前記基材フィルムと前記ハードコート層との境
界領域に点在する有機−無機複合体を有するハードコートフィルム。 - 前記ハードコート層の屈折率が1.60〜1.65である請求項6に記載のハードコー
トフィルム。
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