JP3900191B2 - 積層熱可塑性樹脂フィルムおよび積層熱可塑性樹脂フィルムロール - Google Patents
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すなわち、本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムにおける第1の発明は、熱可塑性樹脂フィルムの片面または両面に、共重合ポリエステル系樹脂及びポリウレタン系樹脂を含む被覆層を有する積層熱可塑性樹脂フィルムであって、
前記被覆層は、共重合ポリエステル系樹脂を主成分とするポリエステル相Aとポリウレタン系樹脂を主成分とするポリウレタン相Bにミクロ相分離又はナノ相分離した構造を有し、かつ、走査型プローブ顕微鏡を位相測定モードで観察した際に、下記(1)式で定義される、前記被覆層表面のポリエステル相A(位相像で暗色相を示す)の面積比率(PEs表面分率)が5μm×5μmの測定面積で35%以上90%未満であることを特徴とする積層熱可塑性樹脂フィルムである。
PEs表面分率(%)=(ポリエステル相Aの面積/測定面積)×100
・・・(1)
なお、被覆層堅さ指数とは、先端に半径75μmのサファイヤが付いている針で、加重5gfをかけて被覆層の表面にキズを付け、三次元非接触表面形状計測装置でキズの凹凸形状を測定した時の隣り合う凸部と凹部との高低差を50箇所測定した際の各測定値の平均値を意味する。
である。
なお、上記被覆層の表面におけるPEs表面分率の測定は、前記の積層熱可塑性樹脂フィルムロールを巻きだし、該フィルムの長手方向(MD)について、フィルム物性が安定している定常領域の一端を第1端部、他端を第2端部としたとき、第1端部の内側2m以下で1番目の測定を、また、第2端部の内側2m以下で最終の測定を行うと共に、1番目の測定箇所から100m毎に行う。
密着性(%)=(1−升目の剥がれた個数/100個)×100
密着性(%)=(1−升目の剥がれた個数/100個)×100
本発明において、被覆層は、共重合ポリエステル系樹脂を主成分とするポリエステル相A(以下、PEs相と略記することもある。)と、ポリウレタン系樹脂を主成分とするポリウレタン相B(以下、PU相と略記することもある。)にミクロ相分離又はナノ相分離した構造を有する。そして、走査型プローブ顕微鏡を位相測定モードで観察した際に、下記(1)式で定義される、前記被覆層表面のポリエステル相A(位相像で暗色相を示す)の面積比率(PEs表面分率)が5μm×5μmの測定面積で35%以上90%未満であることに特徴を有する。
PEs表面分率(%)=(PEs相Aの面積/測定面積)×100 ・・・(1)
PEs表面分率が35%未満では、被覆層の表面におけるポリウレタン系樹脂を主成分とする相の表面分率が相対的に大きくなり、耐ブロッキング性が低下する頻度が増える。一方、PEs表面分率が90%以上では密着性が低下する頻度が増え、特に、無溶剤型のハードコート剤に対する密着性の低下が著しくなる。
フェーズモードでは、DFM動作をさせたときのカンチレバー振動の位相遅れを検出する。DFM動作では、共振させたカンチレバーの振動振幅が一定となるように探針・試料間の距離を制御して形状を測定する。ここで、カンチレバーを振動させるためのバイモルフ(圧電素子)を振動させる信号を,「入力信号」と呼んだ場合、位相測定モードでは、この「入力信号」 に対する実効的なカンチレバーの振動信号の位相遅れを振動振幅と同時に検出する。位相遅れは、表面物性の影響に敏感に応答し、軟らかい試料表面ほど遅れが大きくなる。この位相遅れの大きさを画像化することにより、表面物性の分布(位相像又はフェーズ像等と呼ばれる)を観察することが可能となる。よって、複数の物性の異なる樹脂相が表面に存在した場合、本測定法により、相分離構造の評価が可能となる。
本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムにおける被覆層は、共重合ポリエステル成分とポリウレタン成分を樹脂成分とし、かつ共重合ポリエステル系樹脂を主成分とするPEs相とポリウレタン系樹脂を主成分とするPU相に相分離しており、少なくともPEs相が連続構造を有していることが重要である。前記の2種類の樹脂を均一に混じり合わせることなく相分離させることによって、熱可塑性樹脂フィルムからなる基材フィルムに対して優れた密着性を有し、かつ比較的良好な耐溶剤性を有する共重合ポリエステル系樹脂と、耐溶剤性は劣るがハードコート層や拡散層、アクリレート系樹脂等多くの樹脂に対して優れた密着性を有するポリウレタン系樹脂がそれぞれの特性を相殺することなく、各々の樹脂の特長を十分に生かせるのである。
本発明において、基材となる熱可塑性樹脂フィルムとは、熱可塑性樹脂を溶融押出し又は溶液押出して得た未配向シートを、必要に応じ、長手方向又は幅方向の一軸方向に延伸し、あるいは二軸方向に逐次二軸延伸または同時二軸延伸し、熱固定処理を施したフィルムである。
本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムは、共重合ポリエステル系樹脂及びポリウレタン系樹脂を含む樹脂、水及びアルコールを含む分散媒、界面活性剤を主たる構成成分とする水性塗布液を、走行する熱可塑性樹脂フィルムの片面または両面に連続的に塗布する塗布工程、塗布層(被覆層)を乾燥する乾燥工程、次いで少なくとも一軸方向に延伸する延伸工程、さらに延伸された塗布フィルムを熱固定処理する熱固定処理工程を経て連続的に形成させて得た、ミクロ相分離構造またはナノ相分離構造を有する被覆層を設けた積層熱可塑性樹脂フィルムを製造する。また、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤から選ばれる少なくとも一種の架橋剤を塗布液に混合し、熱処理することで、共重合ポリエステル系樹脂に架橋構造を形成させてもよい。
(i) 塗布液の塗布直後から乾燥工程の入口までのフィルムの通過時間が2秒未満
(ii) 乾燥工程において温度120〜150℃で0.1〜5秒間
(iii)乾燥工程において乾燥風の風速が30m/秒以上
(iv) 熱固定処理工程が、複数の熱固定ゾーンに連続して区分され、かつ各ゾーンは独立して温度制御が可能なように仕切られており、フィルムが通過する第1の熱固定ゾーンの温度が190〜200℃であり、最高温度に設定された熱固定ゾーンの温度が210〜240℃であり、第1熱固定ゾーンの出口から、最高温度に設定された熱固定ゾーン(なお、複数ある場合は、最も入口側の熱固定ゾーン)までのフィルムの通過時間が10秒以下
(v) ノニオン系界面活性剤またはカチオン系界面活性剤を、塗布液に対し0.01〜0.18質量%配合
(vi) 被覆層の最終塗布量が0.005〜0.20g/m2
(vii) 塗布液の塗布直後から乾燥工程の入口までのフィルムの通過時間が1.5秒未満
(viii)乾燥工程において、温度130〜150℃で0.5〜3秒間
(ix) 熱固定処理工程において、最高温度に設定された熱固定ゾーンの温度が225〜235℃であり、第1熱固定ゾーンの出口から、最高温度に設定された熱固定ゾーン(なお、複数ある場合は、最も入口側の熱固定ゾーン)までのフィルムの通過時間が5秒以下
(a)ポリエステル相とポリウレタン相にミクロ相分離またはナノ相分離し、ポリエステル相が特定の面積比(PEs表面分率)を有している
(b)被覆層の樹脂成分の組成比を表面と内部で変えることが可能である
(c)被覆層が架橋構造を有している
(d)被覆層に粒子を含有した場合、粒子がポリエステル相またはポリウレタン相に偏在している
本発明において被覆層は、塗布法を用いて形成される。塗布液に用いる材料は、樹脂及び分散媒あるいは溶媒である。本発明において、被覆層形成のために用いる塗布液は、水性であることが好ましい。また、本発明では、樹脂成分以外に、粒子及び界面活性剤を併用することが好ましい実施形態である。さらに、必要に応じて、帯電防止剤、紫外線吸収剤、有機潤滑剤、抗菌剤、光酸化触媒などの添加剤を用いることができる。また、塗布液には、樹脂の熱架橋反応を促進させるため、触媒を添加しても良く、例えば、無機物質、塩類、有機物質、アルカリ性物質、酸性物質および含金属有機化合物等、種々の化学物質が用いることができる。また、水溶液のpHを調節するために、アルカリ性物質あるいは酸性物質を添加してもよい。塗布液は、分散媒あるいは溶媒中に、撹拌下、樹脂を分散化または溶解し、次いで、粒子、界面活性剤のほかに、必要に応じて各種添加剤を併用し、所望する固形分濃度にまで希釈して調整する。
塗布液に用いる原料について、以下で詳しく説明する。
熱可塑性樹脂フィルムからなる基材に形成される被覆層の樹脂成分の構成割合は、共重合ポリエステル系樹脂(A)とポリウレタン系樹脂(B)を含む塗布液を調製する場合、樹脂(A)と樹脂(B)の固形分基準の質量比は、(A)/(B)=70/30〜30/70が好ましく、特に好ましくは60/40〜40/60の範囲である。本発明において、被覆層を構成する樹脂は前記の共重合ポリエステル系樹脂とポリウレタン系樹脂以外の第3の樹脂を併用することもできる。また、架橋剤を併用してもかまわない。
本発明の被覆層に用いる共重合ポリエステル系樹脂は、芳香族ジカルボン酸成分と、グリコール成分としてエチレングリコールと分岐したグリコールを構成成分とすることが好ましい。前記の分岐したグリコール成分とは、例えば、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジ−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、及び2,2−ジ−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムの被覆層に用いるポリウレタン系樹脂は、水溶性または水分散が可能な樹脂を使用することが好ましい。例えば、ブロック型イソシアネート基を含有する樹脂であって、末端イソシアネート基を親水性基で封鎖(以下、ブロックと略す)した、熱反応型の水溶性ウレタンなどが挙げられる。
本発明では、被覆層の耐湿熱性を向上させるために、塗布液に架橋剤を添加し、次いで熱処理を行うことにより、架橋構造を有する樹脂を含む被覆層を形成させる。架橋剤としては、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤から選ばれる少なくとも一種を用いる。架橋剤は、塗布液に使用する共重合ポリエステル樹脂との親和性、及び被覆層に要求される耐湿熱密着性を考慮しながら選定することができる。
本発明においては、溶媒とは、樹脂を溶解する液だけではなく、樹脂を粒子状に分散させるために用いる分散媒も広義的に含むものである。本発明を実施するためには、有機溶媒、水性溶媒等の各種溶媒を用いることができる。
本発明で被覆層形成のために使用する塗布液は、pHが5以上8未満の範囲であることが好ましい。塗布液のpHが5未満では、PEs表面分率が本発明の規定する範囲より大きくなりやすく、密着性に劣る傾向がある。一方、塗布液のpHが8以上では、粒子の種類によっては顕著な凝集が起こり、ヘーズが上昇し透明性が悪化するため好ましくない。pH調整剤としては、密着性、耐ブロッキング性、コート性に悪影響を及ぼさないか、無視できるものであれば特に限定されない。例えば、pHを高くする場合には重曹あるいは炭酸ナトリウムを、pHを低くする場合は酢酸等を用いることができる。
前記水性塗布液を基材フィルム表面に塗布する際には、該フィルムへの濡れ性を向上させ、塗布液を均一に塗布するために一般に界面活性剤が使用される。本発明では、それ以外に、被覆層表面で特定のPEs表面分率を制御するための手段の1つとして、界面活性剤を使用することができる。
本発明に用いる界面活性剤は、精製したものを用いることが好ましい。上市されている界面活性剤は、一般に、微量な不純物を含有している場合が多い。特に、不純物であるポリエチレングリコールは、その含有量によっては良好な相分離構造を得るのを阻害する場合がある。これを防止するために、不純物を界面活性剤から除去する前処理を行い、精製した界面活性剤を使用することが好ましい。
少なくとも界面活性剤とポリエチレングリコールを溶解可能な有機溶媒に溶解し、低温で静置し、主成分である界面活性剤を飽和沈降させ、次いで濾過し、純度を向上させた界面活性剤を取り出す方法が挙げられる。パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物系界面活性剤の場合、イソプロピルアルコールに30℃の温浴上で加熱溶解して0℃で24時間程度静置後、沈殿物を濾過し取り出すことによって純度を向上させた界面活性剤を得ることができる。
本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムのヘーズは1.5%以下であることが、透明性が高度に要求される光学機能性フィルムまたは光学機能性シートの基材フィルムとして使用する際に、重要である。前記のヘーズは1.0%以下であることがさらに好ましい。ヘーズが1.5%を超えると、フィルムをLCD用のレンズフィルムや、バックライト用基材フィルム等に用いた場合、画面の鮮明度が低下するので好ましくない。
第1の利点は、被覆層の樹脂成分と屈折率が比較的近いため、高透明のフィルムを得やすいという点である。第2の利点は、シリカ粒子は相分離したポリウレタン系樹脂相に偏在しやすいという特徴があり、被覆層表面に存在するポリウレタン系樹脂相の耐ブロッキング性に劣るという、ポリウレタン形樹脂固有の性質を補完することができる点である。これは、シリカ粒子とポリウレタン系樹脂との表面エネルギーが共重合ポリエステル系樹脂よりも近く、親和性が高いためと考えられる。
粒子を電子顕微鏡で写真を撮り、最も小さい粒子1個の大きさが2〜5mmとなるような倍率で、300〜500個の粒子の最大径を測定し、その平均値を平均一次粒径または平均粒径とする。また、積層フィルムの被覆層中の粒子の平均粒径を求める場合は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、倍率12万倍で積層フィルムの断面を撮影し、被覆層の断面に存在する粒子の最大径を求めることができる。凝集体からなる粒子Bの平均粒径は、積層フィルムの被覆層の断面を、光学顕微鏡を用いて倍率200倍で300〜500個撮影し、その最大径を測定する。
前記水性塗布液を塗布する工程は、該フィルムの製造工程中に塗布するインラインコート法が好ましい。さらに好ましくは、結晶配向が完了する前の基材フィルムに塗布する。水性塗布液中の固形分濃度は、30質量%以下であることが好ましく、特に好ましくは10質量%以下である。固形分濃度の下限は1質量%が好ましく、さらに好ましくは3質量%、特に好ましくは5質量%である。該水性塗布液の塗布量該水性塗布液が塗布されたフィルムは、配向および熱固定のためにテンターに導かれ、そこで加熱されて、熱架橋反応により安定な被膜を形成し、ポリエステル系積層フィルムとなる。
未乾燥時の塗布量(以下、ウェット塗布量と略す)は、2g/m2以上10g/m2未満とすることが好ましい。ウェット塗布量が2g/m2未満で、設計のドライ塗布量(最終被覆層の塗布量)を得ようとすると、塗布液の固形分濃度を高くする必要がある。塗布液の固形分濃度を高くすると、塗布液の粘度が高くなるため、スジ状の塗布斑が発生しやすい。一方、ウェット塗布量が10g/m2以上では、乾燥炉内の乾燥風の影響を受けやすく、塗布斑が発生しやすい。なお、埃の付着による欠点を防止するために、クリーン度をクラス5000以下のクリーンな環境下で塗布液を塗布することが好ましい。
本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法において、基材フィルムに塗布液を塗布後、薄く塗工された塗膜を乾燥する。一般に、塗布液を塗布後、塗膜を乾燥させる際、テンターの予熱ゾーンを利用して乾燥させる場合が多い。この場合、製膜設備の大きさフィルムの走行速度にも依存するが、一般に塗布から乾燥開始までの時間は少なくとも5秒程度かかる。この間に、塗布液の溶媒である水とアルコールのバランスがくずれ、親水性の高いポリウレタン成分が被覆層表面に偏析しやすくなる。そのため、最終的に得られる積層熱可塑性樹脂フィルムにおいて、被覆層表面のPEs表面分率を特定の範囲に制御することが困難となる。本発明では、塗膜の乾燥を専用とする乾燥炉(プレドライヤー)を塗布装置のフィルム進行方向出口の極力近くに配置し、塗布液をポリエステルフィルムに塗布後、直ちに乾燥させることが重要なポイントである。
第1乾燥ゾーンでは、乾燥風の風速を20〜50m/秒、乾燥風の給気風量を100〜150m3/秒、排気風量を150〜200m3/秒に設定する。第2乾燥ゾーンから第4乾燥ゾーンまでは、給気風量を60〜140m3/秒、排気風量を100〜180m3/秒に設定する。いずれの乾燥ゾーンにおいても、コーター側に乾燥風が流れないように設定し、引き続いてフィルムの端部をクリップで把持して、温度100〜140℃で、風速10〜20m/秒の熱風ゾーンに導き、幅方向に2〜6倍に延伸する。
本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法において、横延伸工程、熱固定処理工程、冷却工程は、10〜30ゾーンに連続して区分され、かつ各ゾーンは独立して温度制御が可能なように仕切られ、かつ各ゾーン間で急激な温度変化が起きないように設計している。特に、横延伸ゾーン後半から熱固定最高温度設定ゾーンにおいて、段階的に昇温させることで、隣接するゾーン間の急激な温度変化を抑えることができる。本発明において、被覆層表面に特異な相分離構造を有する積層熱可塑性樹脂フィルムを製造する際、特に、乾燥工程や熱固定処理工程では温度制御が非常に重要である。また、被覆層を構成する樹脂に架橋構造を形成させるためには、熱固定処理工程における温度が非常に重要であり、この温度は架橋反応速度に大きく影響する。以下、その実施態様を詳細に説明する。
本発明では、被覆層の相分離が顕著に進行を開始する温度設定ゾーンから熱固定処理工程の最高温度設定ゾーン入口に達するまでのフィルムの通過時間は、3秒以上20秒未満が好ましく、特に好ましくは4秒以上15秒未満である。
一般に、横延伸工程、熱固定処理工程、冷却工程は、隣接する各ゾーンの急激な温度変化を抑制するために、テンター内で10〜30ゾーンに分割され、各ゾーンで独立して温度制御がなされている。特に、横延伸ゾーンの後半から熱固定処理工程の最高温度に設定されたゾーンにおいては、各ゾーンの温度をフィルム進行方向に対して段階的に昇温させて、各熱固定ゾーン間での急激な温度変化がおきないようにすることが好ましい。
前記熱固定処理工程は、複数の熱固定ゾーンに連続して区分され、かつ各ゾーンは独立して温度制御が可能なように仕切られている。熱固定ゾーンは、2〜10段の熱固定ゾーンが連続して配列された工程、好ましくは4〜8段の工程に分割し、この多段に分割された熱固定ゾーンで積層フィルムの温度制御管理をすることが好ましい。
(1−1) 相分離構造の評価
被覆層の相分離構造の評価は、走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー製、SPI3800Nシステム/SPA300)を使用し、位相測定モード(フェーズモード)にて行った。位相像では、位相遅れが大きいほど明るく、逆に位相遅れが小さいほど暗く表現される。位相遅れが小さいということは、他の相に比べ硬いあるいは比較的吸着力が小さいことを意味する。本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムの被覆層において、暗色相がポリエステル相Aであり、明色層がポリウレタン層である。
(1−2−1) 画像解析法
この2値化した画像を同ソフトウェアにて、輝度(黒、白)を横軸とし、度数を縦軸としたヒストグラムを表示させ、黒色部の面積比率を求め、PEs表面分率とした。
前記のPEs表面分率の測定は、画像解析法以外に、ペーパーウェイト法を用いて行うこともできる。測手順は下記の通りである。
前記によって得られたフェーズモード画像をビットマップ形式のデジタル画像として保存した。次いで、この画像をプリンター(Xerox製、DocuPrintC830)にて、A4版上質紙に印刷出力した。出力した画像(200mm×200mm)について、500ルクスの照明下の明るい室内で、目視確認にて画像内の明色相と暗色相の境界を、4B鉛筆で明確にした。この際、明色相内に存在する径0.1μm以下の暗色相は、明色相に偏在する被覆層中に含有させた粒子であることが確認されているため、境界線を引くことは行わず、明色相に含むものとした。その後、明色相と暗色相を明確にした境界線上をカッターナイフで切り分けることで分割し、明色相(ポリウレタン層(B))と暗色相(ポリエステル相A)の紙の質量を測定し、明色層と暗色層の紙の総質量に対する暗色相(ポリエステル相A)の質量の比率を%の単位で求め、それをPEs表面分率とした。
(a)フィルムロールの長手方向
長さ1000m以上、幅50mm以上の積層熱可塑性樹脂フィルムロールを巻きだし、該フィルムの長手方向(MD)について、前記被覆層表面のポリエステル相A(位相像で暗色相を示す)の面積比率(PEs表面分率)を下記の箇所で測定し、得られたPEs表面分率の最大値と最小値の差を求めた。
被覆層表面のPEs表面分率の測定は、フィルム物性が安定している定常領域の一端を第1端部、他端を第2端部としたとき、第1端部の内側2m以下で1番目の測定を、また、第2端部の内側2m以下で最終の測定を行うと共に、1番目の測定箇所から100m毎に行う。
長さ1000m以上、幅50mm以上の積層熱可塑性樹脂フィルムロールを巻きだし、該フィルムの幅方向(TD)について、前記の積層熱可塑性樹脂フィルムロールを巻きだし、フィルムを幅方向に4等分し、それぞれの中央部において、被覆層表面のポリエステル相A(位相像で暗色相を示す)の面積比率(PEs表面分率)を測定し、幅方向の被覆層表面のPEs表面分率の最大値と最小値の差を求めた。この測定は、フィルムの幅方向を小幅サイズにスリットする前のジャンボロールで行ってもよい。
前記のフェーズモード画像において、異なる測定箇所10箇所について、共重合ポリエステル系樹脂を主成分とするポリエステル相Aの短軸方向の幅が最も細い箇所で1μmを越えるものの有無を調べた。
前記の走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー製、SPI3800Nシステム/SPA300)を使用し、位相測定モード(フェーズモード)によって得られたフェーズモード画像(ビットマップ形式、512×512ピクセル)を画像処理ソフトウェア(Adobe製、Photoshop ver7.0)に読み込ませ、画像の大きさが205mm×205mmになるようにディスプレイ上に表示させた(図1、図8を参照)。次いで、同ソフトウェアの鉛筆ツール(マスター直径:3px)により、明色相と暗色相の境界に、黒色の線を描き両相の境界を明確にした(図2、図9を参照)。この時、画面上の大きさで明色相内にある径2mm以下の暗色部は、明色相に偏在する粒子であると判断し、境界線を引く操作はこの部分に対しては行わなかった。例えば、シリカ粒子を用いた場合には、このように明色層に偏在することが確認できている。
JIS K7136に準拠し、ヘーズメーター(日本電色製、NDH2000)を用いて、フィルム試料の異なる箇所3ヶ所についてヘーズを測定し、その平均値を用いた。
(5−1) 溶剤希釈型の光硬化型アクリル系ハードコート層との密着性
フィルム試料の被覆層面に、ハードコート剤(大日精化製、セイカビームEXF01(B))50質量部、トルエン25質量部、メチルエチルケトン25質量部を混合し、良く攪拌した塗布剤をワイヤバーにて塗布し、70℃で1分間乾燥し溶剤を除去した後、高圧水銀灯で200mJ/cm2、照射距離15cm、走行速度5m/分の条件下で、厚み3μmのハードコート層を有するハードコートフィルムを得た。
密着性(%)=(1−升目の剥がれた個数/100個)×100
清浄に保った厚さ5mmのガラス板上に、ハードコート剤(大日精化製、セイカビームEXF01(B))約5gをのせ、フィルム試料の被覆層面とハードコート剤が接するように重ね合わせ、フィルム試料の上から幅10cm、直径4cmの手動式荷重ゴムローラーでハードコート剤を引き延ばすように圧着した。次いで、フィルム面側から、高圧水銀灯で500mJ/cm2、照射距離15cm、走行速度5m/分の条件下で、紫外線を照射して、ハードコート層を硬化させた。
密着性(%)=(1−升目の剥がれた個数/100個)×100
2枚のフィルム試料の被覆層面同士を重ね合わせ、これに1kgf/cm2 の圧力を50℃、60%RHの雰囲気下で24時間密着させた後、剥離し、その剥離状態を下記の基準で判定した。
○:被覆層の転移がなく軽く剥離できるもの
△:剥離音は発生し、部分的に被覆層が相手面に転移しているもの
×:2枚のフィルムが固着し剥離できないもの、あるいは剥離できても基材ポリエステ ルフィルムが劈開しているもの
フィルム試料の被覆層に、表面性測定器(新東亜化学製、HEIDON14)を用いてキズを付けた。この時キズを付ける針として、先端に半径75μmのサファイヤが付いている純正の針を用いた。針の走行速度は150mm/分、加重は5gfとした。
・プロファイルモード:ウェーブモード
・対物レンズ:10倍
・解像度:160×160ピクセル
・測定長:207.1nm
(1)塗布液の調合
本発明に用いる塗布液を以下の方法に従って調製した。ジメチルテレフタレート95質量部、ジメチルイソフタレート95質量部、エチレングリコール35質量部、ネオペンチルグリコール145質量部、酢酸亜鉛0.1質量部および三酸化アンチモン0.1質量部を反応容器に仕込み、180℃で3時間かけてエステル交換反応を行った。次に、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6.0質量部を添加し、240℃で1時間かけてエステル化反応を行った後、250℃で減圧下(10〜0.2mmHg)、2時間かけて重縮合反応を行い、数平均分子量19,500、軟化点60℃の共重合ポリエステル系樹脂を得た。
原料ポリマーとして、粒子を含有していない、固有粘度が0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂ペレットを135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した。次いで、乾燥後のPET樹脂ペレットを押し出し機に供給し、約285℃でシート状に溶融押し出して、表面温度20℃に保った金属ロール上で急冷固化し、キャストフィルムを得た。この際、溶融樹脂中の異物を除去する濾材として、濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が15μmのステンレス製焼結濾材を用いた。
(a)塗布液の受け皿の容量と循環用タンクの容量比=1/50
(b)循環用タンクの容量と調合用タンクの容量比=1/40
実施例1において、塗布液に用いる界面活性剤として、実施例1と同様の方法で前処理したフッ素系カチオン型界面活性剤(株式会社ネオス製、フタージェント310)の10質量%水溶液を用いた、塗布液Bに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例1の熱固定処理工程において、各熱固定ゾーンの温度を、第1熱固定ゾーンで190℃、第2熱固定ゾーンで205℃、第3熱固定ゾーンで220℃、第4熱固定ゾーンで220℃としたこと以外は実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例1において、塗布液中の共重合ポリエステル系樹脂とポリウレタン系樹脂との質量比を60/40に変更した下記の塗布液Cに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
(塗布液Cの調合)
実施例1で用いた共重合ポリエステル系樹脂(A)の30質量%水分散液を9.0質量部、実施例1で用いたポリウレタン系樹脂(B)の20質量%水溶液を9.0質量部、エラストロン用触媒(第一工業製薬製、Cat64)を0.3質量部、水を40.6質量部、およびイソプロピルアルコールを37.3質量部、それぞれ混合した。さらに、実施例1で使用した界面活性剤水溶液を0.6質量部、粒子Aとしてコロイダルシリカ(日産化学工業製、スノーテックスOL;平均粒径40nm)の20質量%水分散液を2.3質量部、粒子Bとして乾式法シリカ(日本アエロジル製、アエロジルOX50;平均粒径200nm、平均一次粒径40nm)の3.5質量%水分散液を0.5質量部添加し、5質量%重曹水溶液にてpH調整して、濾過性能5μmと1μmのフィルターを順に通過させて塗布液Cとした。
実施例1において、塗布液中の共重合ポリエステル系樹脂とポリウレタン系樹脂との質量比を40/60に変更した下記の塗布液Dに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
(塗布液Dの調合)
実施例1で用いた共重合ポリエステル系樹脂(A)の30質量%水分散液を6.0質量部、実施例1で用いたポリウレタン系樹脂(B)の20質量%水溶液を13.5質量部、エラストロン用触媒(第一工業製薬製、Cat64)を0.3質量部、水を38.9質量部、およびイソプロピルアルコールを37.5質量部、それぞれ混合した。さらに、実施例1で用いた界面活性剤の10質量%水溶液を0.6質量部、粒子Aとしてコロイダルシリカ(日産化学工業製、スノーテックスOL;平均粒径40nm)の20質量%水分散液を2.3質量部、粒子Bとして乾式法シリカ(日本アエロジル製、アエロジルOX50;平均粒径200nm、平均一次粒径40nm)の3.5質量%水分散液を0.5質量部添加し、5質量%重曹水溶液にてpHを6.2に調整して、濾過性能5μmと1μmのフィルターを順に通過させて塗布液Dとした。
実施例1において、塗布量を最終的な固形分量として0.12g/m2となるようにしたこと以外は実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例1において、塗布液中の界面活性剤の配合量を0.03質量%に変更した、下記の塗布液Eを用いること以外は実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
(塗布液Eの調合)
実施例1の塗布液の調合において、フッ素系ノニオン型界面活性剤(大日本インキ化学工業製、メガファックF142D)の10質量%水溶液を0.3質量部、水を38.2質量部、およびイソプロピルアルコールを39.3質量部に変更した。
実施例1において、塗布液中の界面活性剤の配合量を0.10質量%に変更した、下記の塗布液Fを用いたこと以外は実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
(塗布液Fの調合)
実施例1の塗布液の調合において、フッ素系ノニオン型界面活性剤(大日本インキ化学工業製、メガファックF142D)の10質量%水溶液を1.0質量部、水を37.5質量部、およびイソプロピルアルコールを39.3質量部に変更した。
実施例1において、塗布から乾燥炉入口までのフィルムの通過時間を0.7秒間、乾燥時間を0.8秒間、さらに熱固定処理工程における各ゾーンの通過時間を3.5秒間、フィルム厚さを100μmに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例1において、塗布から乾燥炉入口までのフィルムの通過時間を1.0秒間、乾燥時間を1.9秒間、さらに熱固定処理工程における各ゾーンの通過時間を6.6秒間、フィルム厚さを188μmに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例1において、塗布液のpHを5質量%の炭酸ナトリウム水溶液を用いて7.9に調整した塗布液Gに変更すること以外は実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例1において、一軸配向ポリエステルフィルムの両面に被覆層を塗布したこと以外は実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。なお、フィルムへの塗布から乾燥炉入口までのフィルムの通過時間は、片面が0.8秒間であり、反対面は1.0秒間であった。
実施例1において、塗布量を最終的な固形分量として0.02g/m2となるようにしたこと以外は実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例1において、界面活性剤の前処理を行わなかった塗布液Hを用いたこと以外は実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの被覆層の表面における、走査型プローブ顕微鏡(SPM)による共重合ポリエステル系樹脂とポリウレタン系樹脂との相分離構造は、判別はできるがやや不明確であった。
実施例1において、塗布液の分散媒(水/IPA)の質量比を50/50に変更した下記の塗布液Iを用いたこと以外は実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
(塗布液Iの調合)
実施例1の塗布液の調合において、実施例1で用いたポリエステル系樹脂(A)の30質量%水分散液を7.5質量部、実施例1で用いたポリウレタン系樹脂(B)の20質量%水溶液を11.3質量部、エラストロン用触媒(第一工業製薬製、Cat64)を0.3質量部、水を30.4質量部、およびイソプロピルアルコールを46.8質量部、それぞれ混合した。さらに、実施例1で用いた界面活性剤の10質量%水溶液を0.6質量部、粒子Aとしてコロイダルシリカ(日産化学工業製、スノーテックスOL;平均粒径40nm)の20質量%水分散液を2.3質量部、粒子Bとして乾式法シリカ(日本アエロジル製、アエロジルOX50;平均粒径200nm、平均一次粒径40nm)の3.5質量%水分散液を0.5質量部添加し、5質量%重曹水溶液にてpHを6.2に調整し、濾過性能5μmと1μmのフィルターを順に通過させて塗布液Iとした。
実施例1において、塗布液のpHを酢酸で4.6に変更した、塗布液Jを用いたこと以外は実施例1と同様の方法で、厚みが125μmの積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例1において、ポリウレタン系樹脂(B)を下記のポリウレタン系樹脂に変更した、塗布液Kを用いたこと以外は実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。ポリウレタン系樹脂は、下記の方法で得た。
(ポリウレタン系樹脂の調製)
アジピン酸//1.6ーヘキサンジオール/ネオペンチルグリコール(モル比:4//3/2)の組成からなるポリエステルジオール(OHV:111.8eq/ton、AV:1.1eq/ton)を93質量部、キシリレンジイソシアネートを22質量部混合し、窒素気流下、95〜100℃で1時間反応させて、ウレタンプレポリマー(NCO/OH比:1.50、遊離イソシアネート基:理論値3.29質量%、実測値3.16質量%)を得た。
(1)塗布液Lの調合
ジメチルテレフタレート33.7質量部、ジメチルイソフタレート20.0質量部、5−Naスルホジメチルイソフタレート9.1質量部、エチレングリコール40.0質量部ジエチレングリコール10.0質量部、酢酸カルシウム・1水塩0.049質量部を混合し、200〜230℃で理論量のメタノールが留出するまでエステル交換を行った。次に、正燐酸0.09質量部を加え、減圧下、280℃で重合し、共重合ポリエステル系樹脂を得た。
原料ポリマーとして、粒子を含有していない、固有粘度が0.66dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂ペレットを135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押し出し機に供給し、約285℃でシート状に溶融押し出して、表面温度60℃に保った金属ロール上で急冷固化し、キャストフィルムを得た。この際、実施例1と同様に溶融樹脂の異物を除去する濾材として、濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が15μmのステンレス製焼結濾材を用いた。
得られた積層ポリエステルフィルムの被覆層表面において、共重合ポリエステル系樹脂とポリウレタン系樹脂との相分離構造は不明確であった。
(1)塗布液Mの調合
実施例1で用いた共重合ポリエステル系樹脂(A)の30質量%水分散液を3.0質量部、実施例1で用いたポリウレタン系樹脂(B)の20質量%水溶液を18.0質量部、エラストロン用触媒(第一工業製薬製、Cat64)を0.3質量部、水を70.7質量部、およびイソプロピルアルコールを4.7質量部、それぞれ混合した。さらに、界面活性剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸の10質量%水溶液を0.6質量部、粒子Aとしてコロイダルシリカ(日産化学工業製、スノーテックスOL;平均粒径40nm)の20質量%水分散液を2.3質量部、粒子Bとして乾式法シリカ(日本アエロジル製、アエロジルOX50;平均粒径200nm、平均一次粒径40nm)の3.5質量%水分散液を0.5質量部添加し、塗布液Mとした。塗布液MのPHは、pH調整を行わなかったため、4.8であった。
原料ポリマーとして、実施例1で用いた粒子を含有しない、固有粘度が0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂ペレットを135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押し出し機に供給し、約285℃でシート状に溶融押し出して、表面温度20℃に保った金属ロール上で急冷固化し、キャストフィルムを得た。この際、溶融樹脂の異物を除去する濾材として、濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が15μmのステンレス製焼結濾材を用いた。
得られた積層ポリエステルフィルムの被覆層表面において、共重合ポリエステル系樹脂とポリウレタン系樹脂との相分離構造は観察できなかった。
(1)塗布液Nの調合
実施例1で用いた共重合ポリエステル系樹脂(A)の30質量%水分散液を7.5質量部、実施例1で用いたポリウレタン系樹脂(B)の20質量%水溶液を11.3質量部、エラストロン用触媒(第一工業製薬製、Cat64)を0.3質量部、水を40.5質量部およびイソプロピルアルコールを39.5質量部、それぞれ混合した。さらに、前処理をしていないフッ素系ノニオン界面活性剤(大日本インキ化学工業製、メガファックF142D)の10質量%水溶液を0.6質量部、粒子Bを使用せず、粒子Aとして凝集体シリカ(富士シリシア化学製、サイリシア310;平均粒径1.4μm)の3.5質量%水分散液を0.03質量部添加して、塗布液Nとした。なお、塗布液NのpH調整は行わなかった。塗布液NのPHは4.6であった。
原料ポリマーとして、実施例1で用いた粒子を含有しない、固有粘度が0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂ペレットを押し出し機に供給し、約285℃でシート状に溶融押し出して、表面温度20℃に保った金属ロール上で急冷固化し、キャストフィルムを得た。この際、溶融樹脂の異物を除去する濾材として、濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が15μmのステンレス製焼結濾材を用いた。
実施例1において、塗布液Aをフィルムに塗布してから乾燥炉入口までのフィルムの通過時間を3.2秒間とした以外は実施例1と同様の方法で、フィルム厚さが125μmの積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例1で用いた共重合ポリエステル系樹脂(A)の30質量%水分散液を3.0質量部、実施例1で用いたポリウレタン系樹脂(B)の20質量%水溶液を18.0質量部、エラストロン用触媒(第一工業製薬製、Cat64)を0.3質量部、水を37.3質量部、およびイソプロピルアルコールを37.8質量部、それぞれ混合した。さらに、実施例1で用いた界面活性剤の10質量%水溶液を0.6質量部、粒子Aとしてコロイダルシリカ(日産化学工業製、スノーテックスOL;平均粒径40nm)の20質量%水分散液を2.3質量部、粒子Bとして乾式法シリカ(日本アエロジル製、アエロジルOX50;平均粒径200nm、平均一次粒径40nm)の3.5質量%水分散液を0.5質量部添加し、5質量%重曹水溶液にてpHを6.2に調整し、塗布液Oとした。塗布液として、前記の塗布液Oを用いたこと以外は実施例1と同様の方法で、フィルム厚さが125μmの積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例1で用いた共重合ポリエステル系樹脂(A)の30質量%水分散液を12.0質量部、実施例1で用いたポリウレタン系樹脂(B)の20質量%水溶液を4.5質量部、エラストロン用触媒(第一工業製薬製、Cat64)を0.3質量部、水を42.3質量部およびイソプロピルアルコールを37.2質量部、それぞれ混合し、さらに実施例1で用いた界面活性剤の10質量%水溶液を0.6質量部、粒子Aとしてコロイダルシリカ(日産化学工業製、スノーテックスOL;平均粒径40nm)の20質量%水分散液を2.3質量部、粒子Bとして乾式法シリカ(日本アエロジル製、アエロジルOX50;平均粒径200nm、平均一次粒径40nm)の3.5質量%水分散液を0.5質量部添加し、5質量%重曹水溶液にてpHを6.2に調整し、塗布液Pとした。塗布液として、前記の塗布液Pを用いたこと以外は実施例1と同様の方法で、フィルム厚みが125μmの積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例1において、各熱固定処理工程における温度を、第1熱固定ゾーンで190℃、第2熱固定ゾーンで195℃、第3熱固定ゾーンから第5熱固定ゾーンで200℃としたこと以外は実施例1と同様の方法で、フィルム厚みが125μmの積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの被覆層表面において、共重合ポリエステル系樹脂とポリウレタン系樹脂との相分離構造は観察できなかった。
実施例1において、乾燥炉内の風速を15m/秒とした以外は実施例1と同様の方法で、フィルム厚みが125μmの積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例1において、塗布量を最終的な固形分量として0.20g/m2となるようにしたこと以外は実施例1と同様の方法で、フィルム厚みが125μmの積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例1において、塗布液のpHを5質量%の炭酸ナトリウム水溶液で9.0に調整した塗布液Qを用いたこと以外は実施例1と同様の方法で、フィルム厚みが125μmの積層ポリエステルフィルムを得た。
(比較例11)
実施例1において、塗布液中に界面活性剤を配合せずに調整した塗布液Rを用いたこと以外は実施例1と同様の方法で、フィルム厚みが125μmの積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例1で用いた共重合ポリエステル系樹脂(A)の30質量%水分散液を7.5質量部、実施例1で用いたポリウレタン系樹脂(B)の20質量%水溶液を11.3質量部、エラストロン用触媒(第一工業製薬製、Cat64)を0.3質量部、水を40.5質量部およびイソプロピルアルコールを39.5質量部、それぞれ混合した。さらに、さらに、実施例1で用いた界面活性剤の10質量%水溶液を0.6質量部、粒子Aとして凝集体シリカ(富士シリシア化学製、サイリシア310;平均粒径1.4μm)の3.5質量%水分散液を4.3質量部添加し、5質量%重曹水溶液にてpHを6.2に調整して、濾過性能5μmと1μmのフィルターを順に通過させて塗布液Sとした。なお、粒子Bは塗布液に配合しなかった。前記の塗布液Sを用いた以外は実施例1と同様の方法で、フィルム厚みが125μmの積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例1において、塗布液中の界面活性剤の量のみを固形分で0.60質量%となるように調合した塗布液Tを用いた以外は実施例1と同様の方法で、フィルム厚みが125μmの積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例1において、各熱固定処理工程における温度を、第1熱固定ゾーンで200℃、第2熱固定ゾーンで210℃、第3熱固定ゾーンで215℃、第4熱固定ゾーンで220℃、第5熱固定ゾーンで225℃、第6熱固定ゾーンで230℃、第7熱固定ゾーンで170℃とし、第7熱固定ゾーンにて幅方向に3%の緩和処理したこと以外は実施例1と同様の方法で、フィルム両端部のコートされていない部分をトリミングした、フィルム厚みが125μmの積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例1において、実施例1で用いた共重合ポリエステル系樹脂(A)の30質量%水分散液を7.5質量部、実施例1で用いたポリウレタン系樹脂(B)の20質量%水溶液を11.3質量部、エラストロン用触媒(第一工業製薬製、Cat64)を0.3質量部、水51.0質量部およびイソプロピルアルコールを26.2質量部、それぞれ混合した。さらに、実施例1で用いた界面活性剤の10質量%水溶液を0.6質量部、粒子Aとしてコロイダルシリカ(日産化学工業製、スノーテックスOL;平均粒径40nm)の20質量%水分散液を2.3質量部、粒子Bとして乾式法シリカ(日本アエロジル製、アエロジルOX50;平均粒径200nm、平均一次粒径40nm)の3.5質量%水分散液を0.5質量部添加し、5質量%重曹水溶液にてpHを6.2に調整し塗布液Uを用いたこと以外は実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例1において、塗工装置として、塗布液の受け皿の容量、循環用タンクの容量、及び調合用タンクの容量の比が、下記の条件を有する塗工装置を用いた以外は実施例1と同様の方法で、フィルムの長さが2000m、幅が1000mm、厚みが125μmの積層ポリエステルフィルムロールを得た。
(a)塗布液の受け皿の容量/循環用タンクの容量=1/5
(b)循環用タンクの容量/調合用タンクの容量=1/50
(c)アプリケーションロール及びメタリングロールの真円度と円筒度:6/1000mm
(d)コーターから乾燥炉の間にピンチロールの設置なし
実施例及び比較例で得られたフィルム試料を、温度60℃、相対湿度90%の環境下で1000時間保管した。次いで、清浄に保った厚さ5mmのガラス板上に、無溶剤型の光硬化性アクリル系樹脂であるハードコート剤(大日精化製、セイカビームEXF01(B))約5gをのせ、上記フィルム試料の被覆層面とハードコート剤が接するように重ね合わせ、フィルム試料の上から幅10cm、直径4cmの手動式荷重ゴムローラーでハードコート剤を引き延ばすようにして圧着した。次いで、フィルム面側から、高圧水銀灯で照射量500mJ/cm2、照射距離15cm、走行速度5m/分の条件下で、紫外線を照射して、ハードコート層を硬化させた。
密着性(%)=(1−剥がれた升目の個数/100個)×100
○:71〜100%
△:51〜70%
×:0〜50%
(1)塗布液の調合
本発明に用いる塗布液を以下の方法に従って調製した。ジメチルテレフタレート95質量部、ジメチルイソフタレート95質量部、エチレングリコール35質量部、ネオペンチルグリコール145質量部、酢酸亜鉛0.1質量部および三酸化アンチモン0.1質量部を反応容器に仕込み、180℃で3時間かけてエステル交換反応を行った。次に、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6.0質量部を添加し、240℃で1時間かけてエステル化反応を行った後、250℃で減圧下(10〜0.2mmHg)、2時間かけて重縮合反応を行い、数平均分子量19,500、軟化点60℃の共重合ポリエステル系樹脂を得た。
原料ポリマーとして、粒子を含有していない、固有粘度が0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂ペレットを135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した。次いで、乾燥後のPET樹脂ペレットを押し出し機に供給し、約285℃でシート状に溶融押し出して、表面温度20℃に保った金属ロール上で急冷固化し、キャストフィルムを得た。この際、溶融樹脂中の異物を除去する濾材として、濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が15μmのステンレス製焼結濾材を用いた。
(a)塗布液の受け皿の容量と循環用タンクの容量比=1/50
(b)循環用タンクの容量と調合用タンクの容量比=1/40
実施例21において、塗布液に用いる界面活性剤として、実施例21と同様の方法で前処理したフッ素系カチオン型界面活性剤(株式会社ネオス製、フタージェント310)の10質量%水溶液を用いた、塗布液BBに変更したこと以外は実施例21と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例21の熱固定処理工程において、各熱固定ゾーンの温度を、第1熱固定ゾーンで190℃、第2熱固定ゾーンで205℃、第3熱固定ゾーンで220℃、第4熱固定ゾーンで220℃としたこと以外は実施例21と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例21において、塗布液中の共重合ポリエステル系樹脂とポリウレタン系樹脂と架橋剤の質量比を55/35/10に変更した下記の塗布液CCに変更したこと以外は実施例21と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
(塗布液CCの調合)
実施例21で用いた共重合ポリエステル系樹脂(A)の30質量%水分散液を8.3質量部、実施例21で用いたポリウレタン系樹脂(B)の20質量%水溶液を7.9質量部、実施例21で用いた架橋剤を2.3質量部、エラストロン用触媒(第一工業製薬製、Cat64)を0.3質量部、水を40.2質量部、およびイソプロピルアルコールを37.4質量部、それぞれ混合した。さらに、実施例21で使用した界面活性剤水溶液を0.6質量部、粒子Aとしてコロイダルシリカ(日産化学工業製、スノーテックスOL;平均粒径40nm)の20質量%水分散液を2.3質量部、粒子Bとして乾式法シリカ(日本アエロジル製、アエロジルOX50;平均粒径200nm、平均一次粒径40nm)の3.5質量%水分散液を0.5質量部添加し、5質量%重曹水溶液にてpH調整して、濾過性能5μmと1μmのフィルターを順に通過させて塗布液CCとした。
実施例21において、塗布液中の共重合ポリエステル系樹脂とポリウレタン系樹脂と架橋剤の質量比を35/55/10に変更した下記の塗布液DDに変更したこと以外は実施例21と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
(塗布液DDの調合)
実施例21で用いた共重合ポリエステル系樹脂(A)の30質量%水分散液を5.3質量部、実施例21で用いたポリウレタン系樹脂(B)の20質量%水溶液を12.4質量部、実施例21で用いた架橋剤を2.3質量部、エラストロン用触媒(第一工業製薬製、Cat64)を0.3質量部、水を38.5質量部、およびイソプロピルアルコールを37.6質量部、それぞれ混合した。さらに、実施例21で用いた界面活性剤の10質量%水溶液を0.6質量部、粒子Aとしてコロイダルシリカ(日産化学工業製、スノーテックスOL;平均粒径40nm)の20質量%水分散液を2.3質量部、粒子Bとして乾式法シリカ(日本アエロジル製、アエロジルOX50;平均粒径200nm、平均一次粒径40nm)の3.5質量%水分散液を0.5質量部添加し、5質量%重曹水溶液にてpHを6.2に調整して、濾過性能5μmと1μmのフィルターを順に通過させて塗布液DDとした。
実施例21において、塗布量を最終的な固形分量として0.12g/m2となるようにしたこと以外は実施例21と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例21において、塗布液中の界面活性剤の配合量を0.03質量%に変更した、下記の塗布液EEを用いること以外は実施例21と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
(塗布液EEの調合)
実施例21の塗布液の調合において、フッ素系ノニオン型界面活性剤(大日本インキ化学工業製、メガファックF142D)の10質量%水溶液を0.3質量部、水を39.4質量部、およびイソプロピルアルコールを37.5質量部に変更した。
実施例21において、塗布液中の界面活性剤の配合量を0.10質量%に変更した、下記の塗布液FFを用いたこと以外は実施例21と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
(塗布液FFの調合)
実施例21の塗布液の調合において、フッ素系ノニオン型界面活性剤(大日本インキ化学工業製、メガファックF142D)の10質量%水溶液を1.0質量部、水を39.0質量部、およびイソプロピルアルコールを37.5質量部に変更した。
実施例21において、塗布から乾燥炉入口までのフィルムの通過時間を0.7秒間、乾燥時間を0.8秒間、さらに熱固定処理工程における各ゾーンの通過時間を3.5秒間、フィルム厚さを100μmに変更したこと以外は実施例21と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例21において、塗布から乾燥炉入口までのフィルムの通過時間を1.0秒間、乾燥時間を1.9秒間、さらに熱固定処理工程における各ゾーンの通過時間を6.6秒間、フィルム厚さを188μmに変更したこと以外は実施例21と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例21において、塗布液のpHを5質量%の炭酸ナトリウム水溶液を用いて7.9に調整した塗布液GGに変更すること以外は実施例21と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例21において、一軸配向ポリエステルフィルムの両面に被覆層を塗布したこと以外は実施例21と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。なお、フィルムへの塗布から乾燥炉入口までのフィルムの通過時間は、片面が0.8秒間であり、反対面は1.0秒間であった。
実施例21において、塗布量を最終的な固形分量として0.02g/m2となるようにしたこと以外は実施例21と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例21において、界面活性剤の前処理を行わなかった塗布液HHを用いたこと以外は実施例21と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの被覆層の表面において、共重合ポリエステル系樹脂とポリウレタン系樹脂との相分離構造は、判別はできるがやや不明確であった。
実施例21において、塗布液の分散媒(水/IPA)の質量比を50/50に変更した下記の塗布液IIを用いたこと以外は実施例21と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
(塗布液IIの調合)
実施例21の塗布液の調合において、実施例21で用いたポリエステル系樹脂(A)の30質量%水分散液を6.8質量部、実施例21で用いたポリウレタン系樹脂(B)の20質量%水溶液を10.1質量部、実施例21で用いた架橋剤を2.3質量部、エラストロン用触媒(第一工業製薬製、Cat64)を0.3質量部、水を30.0質量部、およびイソプロピルアルコールを46.8質量部、それぞれ混合した。さらに、実施例21で用いた界面活性剤の10質量%水溶液を0.6質量部、粒子Aとしてコロイダルシリカ(日産化学工業製、スノーテックスOL;平均粒径40nm)の20質量%水分散液を2.3質量部、粒子Bとして乾式法シリカ(日本アエロジル製、アエロジルOX50;平均粒径200nm、平均一次粒径40nm)の3.5質量%水分散液を0.5質量部添加し、5質量%重曹水溶液にてpHを6.2に調整し、濾過性能5μmと1μmのフィルターを順に通過させて塗布液IIとした。
実施例21において、塗布液のpHを酢酸で4.6に変更した、塗布液JJを用いたこと以外は実施例21と同様の方法で、厚みが125μmの積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例21において、ポリウレタン系樹脂(B)を下記のポリウレタン系樹脂に変更した、塗布液KKを用いたこと以外は実施例21と同様にして、積層ポリエステルフィルムを得た。ポリウレタン系樹脂は、下記の方法で得た。
(ポリウレタン系樹脂の調製)
アジピン酸//1.6ーヘキサンジオール/ネオペンチルグリコール(モル比:4//3/2)の組成からなるポリエステルジオール(OHV:111.8eq/ton、AV:1.1eq/ton)を93質量部、キシリレンジイソシアネートを22質量部混合し、窒素気流下、95〜100℃で1時間反応させて、ウレタンプレポリマー(NCO/OH比:1.50、遊離イソシアネート基:理論値3.29質量%、実測値3.16質量%)を得た。
(1)塗布液LLの調合
ジメチルテレフタレート33.7質量部、ジメチルイソフタレート20.0質量部、5−Naスルホジメチルイソフタレート9.1質量部、エチレングリコール40.0質量部ジエチレングリコール10.0質量部、酢酸カルシウム・1水塩0.049質量部を混合し、200〜230℃で理論量のメタノールが留出するまでエステル交換を行った。次に、正燐酸0.09質量部を加え、減圧下、280℃で重合し、共重合ポリエステル系樹脂を得た。
原料ポリマーとして、粒子を含有していない、固有粘度が0.66dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂ペレットを135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押し出し機に供給し、約285℃でシート状に溶融押し出して、表面温度60℃に保った金属ロール上で急冷固化し、キャストフィルムを得た。この際、実施例21と同様に溶融樹脂の異物を除去する濾材として、濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が15μmのステンレス製焼結濾材を用いた。
得られた積層ポリエステルフィルムの被覆層表面において、共重合ポリエステル系樹脂とポリウレタン系樹脂との相分離構造は不明確であった。
(1)塗布液MMの調合
実施例21で用いた共重合ポリエステル系樹脂(A)の30質量%水分散液を3.0質量部、実施例21で用いたポリウレタン系樹脂(B)の20質量%水溶液を18.0質量部、エラストロン用触媒(第一工業製薬製、Cat64)を0.3質量部、水を70.7質量部、およびイソプロピルアルコールを4.7質量部、それぞれ混合した。さらに、界面活性剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸の10質量%水溶液を0.6質量部、粒子Aとしてコロイダルシリカ(日産化学工業製、スノーテックスOL;平均粒径40nm)の20質量%水分散液を2.3質量部、粒子Bとして乾式法シリカ(日本アエロジル製、アエロジルOX50;平均粒径200nm、平均一次粒径40nm)の3.5質量%水分散液を0.5質量部添加し、塗布液MMとした。塗布液MMのPHは、pH調整を行わなかったため、4.8であった。
原料ポリマーとして、実施例21で用いた粒子を含有しない、固有粘度が0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂ペレットを135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押し出し機に供給し、約285℃でシート状に溶融押し出して、表面温度20℃に保った金属ロール上で急冷固化し、キャストフィルムを得た。この際、溶融樹脂の異物を除去する濾材として、濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が15μmのステンレス製焼結濾材を用いた。
得られた積層ポリエステルフィルムの被覆層表面において、共重合ポリエステル系樹脂とポリウレタン系樹脂との相分離構造は観察できなかった。
(1)塗布液NNの調合
実施例21で用いた共重合ポリエステル系樹脂(A)の30質量%水分散液を7.5質量部、実施例21で用いたポリウレタン系樹脂(B)の20質量%水溶液を11.3質量部、エラストロン用触媒(第一工業製薬製、Cat64)を0.3質量部、水を40.5質量部およびイソプロピルアルコールを39.5質量部、それぞれ混合した。さらに、前処理をしていないフッ素系ノニオン界面活性剤(大日本インキ化学工業製、メガファックF142D)の10質量%水溶液を0.6質量部、粒子Bを使用せず、粒子Aとして凝集体シリカ(富士シリシア化学製、サイリシア310;平均粒径1.4μm)の3.5質量%水分散液を0.03質量部添加して、塗布液NNとした。なお、塗布液NNのpH調整は行わなかった。塗布液NNのPHは4.6であった。
原料ポリマーとして、実施例21で用いた粒子を含有しない、固有粘度が0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂ペレットを押し出し機に供給し、約285℃でシート状に溶融押し出して、表面温度20℃に保った金属ロール上で急冷固化し、キャストフィルムを得た。この際、溶融樹脂の異物を除去する濾材として、濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が15μmのステンレス製焼結濾材を用いた。
実施例21において、塗布液AAをフィルムに塗布してから乾燥炉入口までのフィルムの通過時間を3.2秒間とした以外は実施例21と同様の方法で、フィルム厚さが125μmの積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例21で用いた共重合ポリエステル系樹脂(A)の30質量%水分散液を2.3質量部、実施例21で用いたポリウレタン系樹脂(B)の20質量%水溶液を16.9質量部、実施例21で用いた架橋剤を2.3質量部、エラストロン用触媒(第一工業製薬製、Cat64)を0.3質量部、水を36.9質量部、およびイソプロピルアルコールを37.7質量部、それぞれ混合した。さらに、実施例21で用いた界面活性剤の10質量%水溶液を0.6質量部、粒子Aとしてコロイダルシリカ(日産化学工業製、スノーテックスOL;平均粒径40nm)の20質量%水分散液を2.3質量部、粒子Bとして乾式法シリカ(日本アエロジル製、アエロジルOX50;平均粒径200nm、平均一次粒径40nm)の3.5質量%水分散液を0.5質量部添加し、5質量%重曹水溶液にてpHを6.2に調整し、塗布液OOとした。塗布液として、前記の塗布液OOを用いたこと以外は実施例21と同様の方法で、フィルム厚さが125μmの積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例21で用いた共重合ポリエステル系樹脂(A)の30質量%水分散液を11.3質量部、実施例21で用いたポリウレタン系樹脂(B)の20質量%水溶液を3.4質量部、実施例21で用いた架橋剤を2.3質量部、エラストロン用触媒(第一工業製薬製、Cat64)を0.3質量部、水を41.9質量部およびイソプロピルアルコールを37.2質量部、それぞれ混合し、さらに実施例21で用いた界面活性剤の10質量%水溶液を0.6質量部、粒子Aとしてコロイダルシリカ(日産化学工業製、スノーテックスOL;平均粒径40nm)の20質量%水分散液を2.3質量部、粒子Bとして乾式法シリカ(日本アエロジル製、アエロジルOX50;平均粒径200nm、平均一次粒径40nm)の3.5質量%水分散液を0.5質量部添加し、5質量%重曹水溶液にてpHを6.2に調整し、塗布液PPとした。塗布液として、前記の塗布液PPを用いたこと以外は実施例21と同様の方法で、フィルム厚みが125μmの積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例21において、各熱固定処理工程における温度を、第1熱固定ゾーンで190℃、第2熱固定ゾーンで195℃、第3熱固定ゾーンから第5熱固定ゾーンで200℃としたこと以外は実施例21と同様の方法で、フィルム厚みが125μmの積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの被覆層表面において、共重合ポリエステル系樹脂とポリウレタン系樹脂との相分離構造は観察できなかった。
実施例21において、乾燥炉内の風速を15m/秒とした以外は実施例21と同様の方法で、フィルム厚みが125μmの積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例21において、塗布量を最終的な固形分量として0.20g/m2となるようにしたこと以外は実施例21と同様の方法で、フィルム厚みが125μmの積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例21において、塗布液のpHを5質量%の炭酸ナトリウム水溶液で9.0に調整した塗布液QQを用いたこと以外は実施例21と同様の方法で、フィルム厚みが125μmの積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例21において、塗布液中に界面活性剤を配合せずに調整した塗布液RRを用いたこと以外は実施例21と同様の方法で、フィルム厚みが125μmの積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例21で用いた共重合ポリエステル系樹脂(A)の30質量%水分散液を7.5質量部、実施例21で用いたポリウレタン系樹脂(B)の20質量%水溶液を11.3質量部、実施例21で用いた架橋剤を2.3質量部、エラストロン用触媒(第一工業製薬製、Cat64)を0.3質量部、水を40.5質量部およびイソプロピルアルコールを39.5質量部、それぞれ混合した。さらに、さらに、実施例21で用いた界面活性剤の10質量%水溶液を0.6質量部、粒子Aとして凝集体シリカ(富士シリシア化学製、サイリシア310;平均粒径1.4μm)の3.5質量%水分散液を4.3質量部添加し、5質量%重曹水溶液にてpHを6.2に調整して、濾過性能5μmと1μmのフィルターを順に通過させて塗布液SSとした。なお、粒子Bは塗布液に配合しなかった。前記の塗布液SSを用いた以外は実施例21と同様の方法で、フィルム厚みが125μmの積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例21において、塗布液中の界面活性剤の量のみを固形分で0.60質量%となるように調合した塗布液TTを用いた以外は実施例21と同様の方法で、フィルム厚みが125μmの積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例21において、各熱固定処理工程における温度を、第1熱固定ゾーンで200℃、第2熱固定ゾーンで210℃、第3熱固定ゾーンで215℃、第4熱固定ゾーンで220℃、第5熱固定ゾーンで225℃、第6熱固定ゾーンで230℃、第7熱固定ゾーンで170℃とし、第7熱固定ゾーンにて幅方向に3%の緩和処理したこと以外は実施例21と同様の方法で、フィルム両端部のコートされていない部分をトリミングした、フィルム厚みが125μmの積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例21において、実施例21で用いた共重合ポリエステル系樹脂(A)の30質量%水分散液を6.8質量部、実施例21で用いたポリウレタン系樹脂(B)の20質量%水溶液を10.1質量部、エラストロン用触媒(第一工業製薬製、Cat64)を0.3質量部、水50.6質量部およびイソプロピルアルコールを26.2質量部、それぞれ混合した。さらに、実施例21で用いた界面活性剤の10質量%水溶液を0.6質量部、粒子Aとしてコロイダルシリカ(日産化学工業製、スノーテックスOL;平均粒径40nm)の20質量%水分散液を2.3質量部、粒子Bとして乾式法シリカ(日本アエロジル製、アエロジルOX50;平均粒径200nm、平均一次粒径40nm)の3.5質量%水分散液を0.5質量部添加し、5質量%重曹水溶液にてpHを6.2に調整し塗布液UUを用いたこと以外は実施例21と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例21において、塗工装置として、塗布液の受け皿の容量、循環用タンクの容量、及び調合用タンクの容量の比が、下記の条件を有する塗工装置を用いた以外は実施例21と同様の方法で、フィルムの長さが2000m、幅が1000mm、厚みが125μmの積層ポリエステルフィルムロールを得た。
(a)塗布液の受け皿の容量/循環用タンクの容量=1/5
(b)循環用タンクの容量/調合用タンクの容量=1/50
(c)アプリケーションロール及びメタリングロールの真円度と円筒度:6/1000mm
(d)コーターから乾燥炉の間にピンチロールの設置なし
実施例21において、塗布液の調合に用いる架橋剤として、エポキシ系架橋剤(ナガセ化成工業製、デナコールEX−810)の20質量%水分散液を2.3質量部使用したに、塗布液VVを用いたこと以外は実施例21と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例21において、塗布液の調合に用いる架橋剤として、オキサゾリン系架橋剤(日本触媒製、エポクロスシリーズ WS−700)を2.3質量部使用した、塗布液WWを用いたこと以外は実施例21と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例21において、共重合ポリエステル樹脂(A)の30質量%水分散液を7.5質量部、重亜硫酸ソーダでブロックしたイソシアネート基を含有する自己架橋型ポリウレタン樹脂(B)の20質量%水溶液(第一工業製薬製:商品名 エラストロン(登録商標)H−3)を11.3質量部、エラストロン用触媒(第一工業製薬製:商品名 Cat64)を0.3質量部、水を39.8質量部およびイソプロピルアルコールを37.4質量部、それぞれ混合し、さらにフッ素系ノニオン界面活性剤(大日本インキ化学工業製、メガファックF142D)の10質量%水溶液を0.6質量部、粒子Aとしてコロイダルシリカ(日産化学工業製、スノーテックスOL;平均粒径40nm)の20質量%水分散液を2.3質量部、粒子Bとして乾式法シリカ(日本アエロジル製、アエロジルOX50;平均粒径200nm、平均一次粒径40nm)の3.5質量%水分散液を0.5質量部添加した塗布液XXを用いた以外は実施例21と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
2:明色相(ポリウレタン系樹脂を主成分とするポリウレタン相B)
3:粒子に起因する突起
4:明色相と暗色相の界面の輪郭を強調した線
5:被覆層表面の凹凸のプロファイル曲線
6:キズの谷部
7:キズの頂部
8:実施例1−20
9:比較例1、4−6、8−13
10:コーター
11:塗布液受け皿
12:ダイ
13:循環用タンク
14:調合タンク
15:基材フィルム
16:ピンチロール
17:実施例21−43
18:比較例14、17−19、21−26
Claims (15)
- 熱可塑性樹脂フィルムの片面または両面に、共重合ポリエステル系樹脂及びポリウレタン系樹脂を含む被覆層を有する積層熱可塑性樹脂フィルムであって、
前記被覆層は、共重合ポリエステル系樹脂を主成分とするポリエステル相Aとポリウレタン系樹脂を主成分とするポリウレタン相Bにミクロ相分離又はナノ相分離した構造を有し、かつ、走査型プローブ顕微鏡を位相測定モードで観察した際に、下記(1)式で定義される、前記被覆層表面のポリエステル相A(位相像で暗色相を示す)の面積比率(PEs表面分率)が5μm×5μmの測定面積で35%以上90%未満であることを特徴とする積層熱可塑性樹脂フィルム。
PEs表面分率(%)=(ポリエステル相Aの面積/測定面積)×100
・・・(1) - 共重合ポリエステル系樹脂が、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤から選ばれる少なくとも一種の架橋剤で架橋されていることを特徴とする請求項1に記載の積層熱可塑性樹脂フィルム。
- 前記熱可塑性樹脂フィルム、または熱可塑性樹脂フィルムと被覆層の両方に、粒子が含有されていることを特徴とする請求項1に記載の積層熱可塑性樹脂フィルム。
- 前記熱可塑性樹脂フィルム中には実質的に粒子を含有せず、被覆層にのみ粒子を含有することを特徴とする請求項1に記載の積層熱可塑性樹脂フィルム。
- 前記粒子がシリカ粒子であることを特徴とする請求項3または4に記載の積層熱可塑性樹脂フィルム。
- 被覆層中の粒子が、ポリエステル相Aまたはポリウレタン相Bに偏在することを特徴とする請求項3または4に記載の積層熱可塑性樹脂フィルム。
- 前記の熱可塑性樹脂フィルムが、二軸配向ポリエステルフィルムまたは二軸配向ポリアミドフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の積層熱可塑性樹脂フィルム。
- 前記の被覆層の表面を走査型プローブ顕微鏡の位相測定モードで観察し、明色相と暗色相の界面の輪郭を強調した位相像において、ボックスカウンティング法を用いて、明色相と暗色相の境界線(界面の輪郭)から求められるフラクタル次元が、5μm×5μmの測定面積で1.60〜1.95であることを特徴とする請求項1に記載の積層熱可塑性樹脂フィルム。
- 下記に定義する被覆層の堅さ指数が、3.0〜15.0nmであることを特徴とする請求項1に記載の積層熱可塑性樹脂フィルム。
なお、被覆層堅さ指数とは、先端に半径75μmのサファイヤが付いている針で、加重5gfをかけて被覆層の表面にキズを付け、三次元非接触表面形状計測装置でキズの凹凸形状を測定した時の隣り合う凸部と凹部との高低差を50箇所測定した際の各測定値の平均値を意味する。 - 前記の積層熱可塑性樹脂フィルムのヘーズが1.5%以下であることを特徴とする請求項3または4に記載の積層熱可塑性樹脂フィルム。
- 光学機能性フィルムまたは光学機能性シートの基材フィルムとして使用することを特徴とする請求項10に記載の積層熱可塑性樹脂フィルム。
- 光学機能性フィルムまたは光学機能性シートが、ハードコートフィルム、反射防止フィルム、光拡散シート、プリズムシート、透明導電性フィルム、近赤外線吸収フィルム、電磁波吸収フィルムのいずれかであることを特徴とする請求項11に記載の積層熱可塑性樹脂フィルム。
- 前記の被覆層の少なくとも片面に、アクリル系樹脂を主たる構成成分とする機能層を積層してなることを特徴とする請求項1に記載の積層熱可塑性樹脂フィルム。
- 熱可塑性樹脂フィルムの片面または両面に、共重合ポリエステル系樹脂及びポリウレタン系樹脂を含む被覆層を有する、請求項1から13のいずれかに記載の積層熱可塑性樹脂フィルムを、長さ1000m以上、幅50mm以上のサイズでロール状に連続して巻き取ってなる積層熱可塑性樹脂フィルムロールであって、前記被覆層表面のポリエステル相A(位相像で暗色相を示す)の面積比率(PEs表面分率)をフィルムの長手方向に100m間隔で測定した際に、長手方向の被覆層の表面におけるPEs表面分率の最大値と最小値の差が15%以下であることを特徴とする積層熱可塑性樹脂フィルムロール。
なお、上記被覆層の表面におけるPEs表面分率の測定は、前記の積層熱可塑性樹脂フィルムロールを巻きだし、該フィルムの長手方向(MD)について、フィルム物性が安定している定常領域の一端を第1端部、他端を第2端部としたとき、第1端部の内側2m以下で1番目の測定を、また、第2端部の内側2m以下で最終の測定を行うと共に、1番目の測定箇所から100m毎に行う。 - 前記の積層熱可塑性樹脂フィルムロールを巻きだし、フィルムを幅方向に4等分し、それぞれの中央部において、被覆層表面のポリエステル相A(位相像で暗色相を示す)の面積比率(PEs表面分率)を測定した際に、幅方向の被覆層表面におけるPEs表面分率の最大値と最小値の差が10%以下であることを特徴とする請求項14に記載の積層熱可塑性樹脂フィルムロール。
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