JP7069878B2 - 化粧シート及び化粧部材 - Google Patents
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しかし、近年、化粧シートには、耐汚染性能に優れることは勿論のこと、手等が触れたときに触り心地がよい触感性能に優れることも重要視されるようになってきた。
また、本発明の他の態様は、(a)木質系材料又は金属系材料により形成された基板と、(b)基板の表面側に設けられた上記した化粧シートと、を備える化粧部材であることを要旨とする。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る化粧部材10は、基板11と、基板11の表面11a側に設けられた化粧シート13と、を備えている。
(基板)
基板11の材料としては、例えば、木質系材料、金属系材料を用いることができる。木質系材料としては、例えば、木材単板、木材合板、集成材、パーティクルボード、中密度繊維板、硬質繊維板を採用することができる。また、金属系材料としては、例えば、鋼板、真鍮板、アルミニウム板、ジュラルミン板、ステンレス板を採用することができる。基板11と化粧シート13との間には、必要に応じて、例えば、接着剤層を設けてもよい。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る化粧シート13は、基材136と、基材136の表面136a側に設けられた透明熱可塑性樹脂層132と、透明熱可塑性樹脂層132の表面132a側に設けられた表面保護層131と、を有する複層構成の化粧シートを形成している。化粧シート13の厚さは、40μm以上300μm以下が好ましい。
基材136、及び透明熱可塑性樹脂層132の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、従来の化粧シートで基材に使用されている熱可塑性樹脂と同様のものを使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体、プロピレン-α-オレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂や、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン-不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(アイオノマー)等のオレフィン系共重合体樹脂等のポリオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート-イソフタレート共重合体、1,4-シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系樹脂、6-ナイロン、6,6-ナイロン、6,10-ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン-テトラフロロエチレン共重合体、エチレン-パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素系樹脂等、或いはこれらの2種以上の混合物、共重合体、複合体、積層体等を使用することができる。
表面保護層131は、第1表面保護層140と、第1表面保護層140の表面140a側に設けられた第2表面保護層141とを備えている。
第1表面保護層140の材料としては、例えば、アクリルウレタン系樹脂、電離放射線硬化型樹脂を用いることができる。アクリルウレタン系樹脂としては、例えば、アクリルポリオール化合物を主剤とし、イソシアネート化合物を硬化剤としてなる反応生成物を用いることができる。アクリルポリオール化合物としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル等の通常のアクリル系モノマーに、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル等の水酸基を含有するモノマーと、必要に応じてスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、酢酸ビニル、酪酸ビニル、バーサチック酸ビニル、エチルビニルエーテル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の共重合可能な重合性モノマーとを配合して共重合させて得られる、側鎖に水酸基を有するアクリル系の高分子化合物を採用できる。
第2表面保護層141の材料としては、例えば、シリコーン変性アクリルウレタン樹脂を用いることができる。シリコーン変性アクリルウレタン樹脂は、アクリルポリオール化合物と反応性シリコーンオイルとにイソシアネート化合物を添加して硬化させた樹脂である。シリコーン変性アクリルウレタン樹脂を用いることにより、耐汚染性を向上することができ、また、マット意匠とすることができる。反応性シリコーンオイルとしては、例えば、ポリシロキサン樹脂の末端アルキル基に一級の水酸基を導入して得られるものを採用できる。また、第2表面保護層141の厚さは、1.0μm以上5.0μ以下が好ましい。特に、1.5μm以上3.5μm以下が最も好ましい。
また、化粧シート13は、従来の複層構成の化粧シートと同様に、基材136及び表面保護層131以外にも、例えば、絵柄層135、透明接着性樹脂層133、透明熱可塑性樹脂層132及びプライマー層137等を適宜備えるようにしてもよい。図1では、絵柄層135及び透明接着性樹脂層133は、基材136と透明熱可塑性樹脂層132との層間に積層されて配置されている。より具体的には、絵柄層135が基材136側に設けられ、透明接着性樹脂層133を透明熱可塑性樹脂層132側に設けられている。さらに、プライマー層137は、基材136の裏面136bに設けられている。すなわち、基材136の表面136aに、絵柄層135、透明接着性樹脂層133、透明熱可塑性樹脂層132及び表面保護層131がこの順に積層されて設けられ、基材136の裏面136bにプライマー層137が設けられた構成となっている。
また、化粧シート13の最表面、つまり表面保護層131の表面131aには、エンボス加工により形成された凹凸模様139が設けられている。凹凸模様139としては、例えば、絵柄層135の絵柄と同調した模様、非同調の模様を用いることができる。凹凸模様139の凹凸の深さは、耐汚染性能や触感性能等の面から、10μm以下が好ましい。
絵柄層135は、化粧シート13に絵柄による意匠性を付与するために、必要に応じて設けられるものである。絵柄層135は、基材136の着色で代用できる場合には、省略も可能である。絵柄層135は、染料又は顔料等の着色剤を適当なバインダー樹脂とともに適当な希釈溶媒中に溶解又は分散してなる印刷インキ又は塗料等を用いて形成される。印刷インキ又は塗料等は、例えば、グラビア印刷法又はオフセット印刷法等の各種印刷法や、グラビアコート法又はロールコート法等の各種塗工法等によって塗布される。また、バインダー樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化酢酸ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、硝化綿等、或いはそれらの混合物等を用いることができるが、勿論これらに限定されるものではない。また、絵柄としては、任意の絵柄を用いることができ、例えば、木目柄、石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学模様、文字、記号、単色無地等、或いはこれらの2種類以上の組み合わせ等を用いることできる。また、化粧シート13の隠蔽性を向上するために、絵柄層135と基材136との層間に、二酸化チタンや酸化鉄等の不透明顔料を多く含む不透明な印刷インキや塗料による隠蔽層を設けてもよい。
透明接着性樹脂層133は、基材136と透明熱可塑性樹脂層132とを接着させるために、必要に応じて設けられるものである。透明接着性樹脂層133は、他の層が有する接着性を利用可能な場合には省略も可能である。透明接着性樹脂層133は、接着剤を用いて形成される。接着剤としては、例えば、イソシアネート系硬化剤を使用する2液硬化型ウレタン系接着剤を採用できる。2液硬化型ウレタン系接着剤の主剤としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等、硬化剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
プライマー層137は、基板11との接着に用いられる接着剤138との密着性を向上させるために、必要に応じて設けられるものである。例えば、基板11が木質系材料からなる場合には、接着剤として、酢酸ビニルエマルジョン系、2液硬化型ウレタン系等の接着剤が使用されるため、プライマー層137は、これらの接着剤に合わせた樹脂設計とすることが望ましい。例えば、ウレタン系、アクリル系、エチレン-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系、ポリエステル系等を採用できる。特に、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの配合による2液硬化型ウレタン系のプライマー剤等が好ましい。また、シリカや硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機質粉末を添加すると、巻取保存時のブロッキングの防止や投錨効果による接着力の向上に有効である。
凹凸模様139は、化粧シート13の表面に立体的な意匠感を付与するために、必要に応じて設けられるものである。凹凸模様139としては、任意の凹凸形状を用いることができ、例えば、木目導管状、石目状、布目状、抽象柄状、和紙状、スウェード状、皮革状、梨地状、砂目状、ヘアーライン状、平行直線群、或いはこれらの組み合わせ等を用いることができる。また凹凸模様139の形成方法としては、例えば、基材136の表面136aに対する透明熱可塑性樹脂層132の積層前、積層後又は積層と同時に行われる、ダブリングエンボス法、押出ラミネート同時エンボス法等を採用できる。
また、本発明の実施形態に係る化粧シート13は、最表面に設けられた凹凸模様139を有するようにし、凹凸模様139を、凹凸の深さが10μm以下とした。それゆえ、凹凸模様139による耐汚染性能や触感性能の低下を抑制しつつ、凹凸模様139による立体的な意匠を付与することができ、化粧シート13の意匠性を向上することができる。
さらに、本発明の実施形態に係る化粧部材10は、木質系材料または金属系材料により形成された基板11と、基板11の表面11a側に設けられた化粧シート13と、を備える。それゆえ、耐汚染性能及び触感性能に優れた化粧部材10を提供することができる。
(実施例1)
まず、図1に示すように、基材136として、顔料配合ポリエチレン樹脂のシート(リケンテクノス(株)製)を用意した。基材136の厚さは、55μmとした。続いて、基材136の一方の面(表面136a)に、グラビア印刷法で、印刷インキを塗布して絵柄層135を形成した。印刷インキとしては、ウレタンインキ(東洋インキ(株)製)を用いた。続いて、絵柄層135の表面135aに、グラビアコート法で、アンカー剤を塗布してアンカー剤層134を形成した。アンカー剤層134の厚さは、1μmとした。
続いて、透明熱可塑性樹脂層132の表面132aに、第1表面保護層140用の樹脂を塗布して第1表面保護層140を形成した。第1表面保護層140用の樹脂としては、フィラーを含有するアクリルウレタン系樹脂(DIC(株)製)を用いた。フィラーとしては、粒径が3μm以上6μm以下のシリカ、つまり、無機フィラーを用いた。第1表面保護層140の厚さは、4.5μmとした。続いて、第1表面保護層140の表面140aに、第2表面保護層141用の樹脂を塗布した後、塗布した樹脂を40℃で硬化させて、第2表面保護層141を形成した。第2表面保護層141用の樹脂としては、シリコーン変性アクリルウレタン樹脂(東洋インキ(株)製)を用いた。第2表面保護層141の厚さは2.5μmとした。以上の手順により、第1実施例の化粧シート13を作製した。
実施例2では、第1表面保護層140のフィラーとして、有機フィラーを用いた。それ以外は、実施例1と同じ材料・手順で化粧部材10を作成した。
比較例1では、第2表面保護層141を省略した。それ以外は、実施例1と同じ材料・手順で化粧部材10を作成した。
(比較例2)
比較例2では、第1表面保護層140を省略した。それ以外は、実施例1と同じ材料・手順で化粧部材10を作成した。
比較例3では、第1表面保護層140のフィラーの粒径を2μm未満にした。それ以外は、実施例1と同じ材料・手順で、化粧部材10を作成した。
(比較例4)
比較例4では、化粧シート13の最表面に凹凸の深さが15μmの梨地調の凹凸模様139を形成した。それ以外は、実施例1と同じ材料・手順で、化粧部材10を作成した。
実施例1、2、比較例1~4の化粧部材10に対して、以下の性能評価を行った。
(防汚拭き取り性評価)
防汚拭き取り性評価では、化粧部材10の表面に黒マジックインキ(寺西化学工業(株)製)で10mm幅の線を引き、線を引いてから2時間後に、化粧部材10の表面から黒マジックインキを乾いた布で拭き取り、化粧部材10の表面状態を観察した。評価基準は、マジックインキが100%残った場合を「×」、10~50%拭き取れた場合「△」、50~90%拭き取れた場合を「○」、90~100%拭き取れた場合を「◎」とした。
動摩擦力・動摩擦係数評価では、株式会社トリニティラボ製の静動摩擦測定器TL201Tsを用いて、表面保護層131の表面131aに静動摩擦測定器TL201Tsの触覚接触子で荷重30gを与えつつ、触覚接触子を表面保護層131の表面131a上を測定速度10mm/sで移動させて、表面保護層131の表面131a上の動摩擦係数を測定した。動摩擦係数の測定は、室温25℃、湿度53%の環境下で行った。また、動摩擦係数の測定を複数回行って、動摩擦係数の測定結果の分布の標準偏差を算出した。
(官能評価)
官能評価では、化粧部材10の表面に手等で触ってもらい、触り心地が良いと判定した人の数を計数した。評価官の総数は、10人とした。評価基準は、触り心地が良いとした人が0人の場合を「×」、1~6人の場合を「△」、7~10人の場合を「○」とした。
耐傷性評価では、化粧部材10の表面に対して、JIS K 5600に準じた鉛筆硬度試験を行った。評価基準は、硬度2Bの鉛筆で傷が付いた場合を「×」、硬度の2Bの鉛筆で著しい凹みが発生した場合を「△」、硬度2Bの鉛筆で著しい凹みが発生せず、さらに傷が付かない場合を「○」、硬度B以上の鉛筆で傷が付かない場合を「◎」とした。
(評価結果)
これらの評価結果を表1に示す。
さらに、比較例3の化粧部材10は、フィラーの粒径が小さいため、フィラーによる表面保護層131の表面131aの凹凸が小さくなり、動摩擦係数が0.24未満になり、さらに、官能評価が「△」となった。また、比較例4の化粧部材10は、凹凸模様139の凹凸が深すぎるため、汚染物質を拭き取り難くなり、防汚拭き取り性が「×」となった。また、動摩擦係数が0.28よりも大きくなり、さらに、官能評価が「△」となった。
したがって、実施例1、2の化粧部材10は、比較例1~4の化粧部材10よりも、耐汚染性脳及び触感性能が良好であることが確認された。
Claims (4)
- 基材と、
前記基材の表面側に設けられた透明熱可塑性樹脂層と、
前記透明熱可塑性樹脂層の表面側に設けられた表面保護層と、
最表面に設けられた凹凸模様と、を備えた化粧シートであって、
前記表面保護層は、第1表面保護層、及び前記第1表面保護層の表面側に設けられた第2表面保護層の少なくとも2層を有し、
前記第1表面保護層は、粒径が2μm以上10μm以下のフィラーを含み、
前記第2表面保護層は、シリコーン変性アクリルウレタン樹脂を含み、
前記フィラーは、前記第1表面保護層及び前記第2表面保護層のうち、前記第1表面保護層にのみ含まれ、
前記第1表面保護層における前記フィラーの添加量は、前記第1表面保護層に含まれる有機固形分100重量部に対して5重量部以上30重量部以下であり、
前記凹凸模様は、凹凸の深さが10μm以下であることを特徴とする化粧シート。 - 室温25℃、湿度53%の環境下で、株式会社トリニティラボ製の静動摩擦測定器TL201Tsを用いて、前記表面保護層の表面に触覚接触子で荷重30gを与えつつ、前記触覚接触子を前記表面保護層の表面上を測定速度10mm/sで移動させて前記表面保護層の表面上の動摩擦係数を測定した場合に、前記動摩擦係数の測定結果が、0.24以上0.28以下であることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
- 前記動摩擦係数の測定を複数回行った場合に、前記動摩擦係数の測定結果の分布の標準偏差が、0.2以上0.5以下となることを特徴とする請求項2に記載の化粧シート。
- 木質系材料または金属系材料により形成された基板と、
前記基板の表面側に設けられた請求項1から3の何れか1項に記載の化粧シートと、を備えることを特徴とする化粧部材。
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