JP4423736B2 - 光拡散板用易接着フィルム及びそれを用いた光拡散板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば液晶表示板のバックライト等に用いられる光拡散板用易接着フィルム及びそれを用いた光拡散板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パソコン、ワープロ、液晶テレビ等の液晶表示板を使用する薄型表示装置では、液晶自体は発光しないために液晶表示画面を裏面側から照射するバックライトが設けられる。このバックライトは、液晶表示画面全体が均一に照射されるように、サイドライト型もしくは直下型の面光源装置として形成され、近年は薄型化に適したサイドライト型が主流となっている。
【0003】
上記サイドライト型の面光源装置は、導光板と、この導光板の両側の光入射端面に配設される光源と、導光板の裏面から出射しようとする光を反射するために導光板の裏面側に配設される反射板と、導光板の出射光面から出射される光を拡散させ、照射面の輝度を均一にする光拡散板と、光拡散板を通過した光が正面方向に集まるように光拡散板上に配設される集光シートとを備えている。
【0004】
このような面光源装置では、光源からの光が導光板の光入射端面から入射し、この入射光が導光板の全体に均一に伝播して出射光面全体から出射する。そして光拡散板によって拡散され、さらに集光シートによって集光されて、集光シートの上側に配設される液晶表示画面が均一に照射されるようになっている。
【0005】
上記のような面光源装置における光拡散板としては、従来、ポリエステルフィルムからなる基材フィルムの片面に、透明樹脂バインダーに有機もしくは無機の微粒子を分散させた光拡散層をコーティング法により設けたものが一般に使用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような基材フィルムに突起が存在すると、光拡散層をコーティングした際にコーティング斑が発生し、これが光学欠点になるという問題が発生している。また基材フィルムには、製造工程で良好な巻き取り性が得られるように、例えばシリカや炭酸カルシウム等の異質粒子が滑剤として添加されているが、これらの粒子によって透明性が阻害されるという問題もある。
【0007】
さらに、光拡散層を形成する透明樹脂バインダーにはアクリレートを主成分とした透明樹脂が一般に用いられるが、このような樹脂とポリエステルフィルムとの接着性が悪いという問題もある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、光学欠点が少なく、かつ、透明性が良好で、また光拡散層との接着性に優れた光拡散板用易接着フィルム及び光拡散板を得るに至った。
【0009】
すなわち本発明の請求項1の光拡散板用易接着フィルムは、光拡散層が表面に設けられる基材フィルムを、溶液樹脂を押出して冷却固化せしめるにあたり、該樹脂の結晶化が発生する温度域に対し、表面温度が10°C/sec以上の冷却速度でこの温度域を通過せしめて得られた未延仲シートを二軸延伸して得た、異質粒子を含まず、かつ下記測定方法により測定された高さ2μm以上の突起が1平方メートル当たり3個以下で厚さ50μm以上の二軸配向ポリエステルフィルムで形成すると共に、この基材フィルムの少なくとも片面に粒子を含む高分子易接着層を設けてなり、全光線透過率が90%以上であることを特徴とする光拡散板用易接着フィルムである。
(測定方法)
突起欠点の検出方法
下記のような検出原理に基づく光学欠点検出装置により、250mm×250mmのフィルム片16枚について、光学的に50μm以上の大きさと認識される光学欠点を検出した。投光器として20W×2灯の蛍光灯をXYテーブル下方400mmに配置し、スリット幅10mmのマスクを設ける。投光器と受光器とを結ぶ線と、測定するフィルム面の鉛直方向とのなす角度を12度に設定して光を入射する。そこに光学欠点が存在すると光り輝く。その光量をXYテーブル情報500mmに配置したCCDイメージセンサカメラで電気信号に変換し、その電気信号を増幅し微分して、スレッシュホールドレベルとコンパレータで比較し、光学欠点の検出信号として出力する。また、CCDイメージセンサカメラから入力されたビデオ信号を画像処理して光学欠点の大きさを計測し、設定された大きさ以上の光学欠点の位置を表示する。かくして検出された突起欠点部分を顕微鏡で観察し、異物による突起欠点および塗布液中の粒子の粗大凝集物による突起欠点を選び出した。
突起の高さ測定方法
上記の方法によって選び出した異物による突起欠点および塗布液中の粒子の粗大凝集物による突起欠点が存在する領域を適当な大きさに切り取り、非接触式三次元粗さ計(マイクロチップ社製550)で突起高さを測定し、1平方メートル当たりの高さ2μm以上の突起数を求めた。
【0010】
請求項2の光拡散板用易接着フィルムは、前記樹脂の結晶化が発生する温度域が、200〜160°Cの範囲であることを特徴とする請求項1記載の光拡散板用易接着フィルムである。
【0011】
請求項3の光拡散板用易接着フィルムは、溶液樹脂を押出して冷却固化せしめるにあたり、シートエア面に高速気流を吹きつけて冷却することを特徴とする請求項1又は2記載の光拡散板用易接着フィルムである。
【0012】
請求項4の光拡散板用易接着フィルムは、高分子易接着層が共重合ポリエステル系樹脂とポリウレタン系樹脂との混合樹脂からなり、共重合ポリエステル系樹脂とポリウレタン系樹脂の重量比が90:10〜10:90であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の光拡散板用易接着フィルムである。
【0013】
請求項5の光拡散板用易接着フィルムは、請求項4記載の光拡散板用易接着フィルムにおいて、高分子易接着層上に光拡散層としての熱硬化型アクリル系コート層を設けたときの接着性がJIS-K5400の8.5.1に準拠した測定で85%以上であることを特徴としている。
【0014】
請求項6の光拡散板は、請求項1から5のいずれかに記載の光拡散板用易接着フィルムの片面に、透明樹脂バインダーに有機もしくは無機の微粒子を分散させた光拡散層を設けていることを特徴としている。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の光拡散板用易接着フィルムにおける基材フィルムはポリエステル系樹脂から成り、この基材フィルムは、上記したように異質粒子を含まず、かつ、高さ2μm以上の突起が10個/m2以下、より好ましくは3個/m2以下で、厚さ50μm以上の二軸配向ポリエステルフィルムとして作製されている。このような基材フイルムを形成するためのポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6-ナフタレート、若しくはこれらの樹脂の構成ポリマー成分を主成分とする共重合体が用いられる。中でもポリエチレンテレフタレートが特に好適である。
【0016】
共重合体を用いる場合、そのジカルボン酸成分としては、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、及び2,6-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、トリメリロット酸及びピロメリロット酸等の多官能カルボン酸等が用いられる。また、グリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール及びネオペンチルグリコール等の脂肪酸グリコール;p-キシレングリコール等の芳香族グリコール;1,4-シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール;平均分子量が150〜20000のポリエチレングリコール等が用いられる。好ましい共重合体の比率は20モル%未満である。20モル%以上ではフィルム強度、透明性、耐熱性が劣る場合がある。
【0017】
上記ポリエステル系樹脂には各種の添加剤が含有されていても良い。添加剤としては例えば帯電防止剤、UV吸収剤、安定剤等が挙げられる。
【0018】
なお、本発明のポリエステル系基材フィルムには、易滑性付与を目的とした異質粒子は添加されていない。後述するように、インラインで積層される易接着層に均一な粒径の微小粒子を含有させて滑り性をもたせておけば、これによって良好な巻き取り性、キズ発生防止機能が付与されるため、ポリエステル系基材フィルム中への粒子の添加は不要となる。
【0019】
ポリエステル系基材フィルム用の樹脂ペレットの固有粘度は、0.45dl/gから0.70dl/gの範囲が好ましい。固有粘度が0.45dl/gよりも低いと、フィルムの耐引き裂き性向上効果が悪化したり、フィルムの劈開が生じたりする。0.70dl/gより大きいと、後述する濾過処理時において濾圧上昇が大きくなって、高精度濾過が困難となったり、寸法変化物性が大きくなったりする。
【0020】
本発明の光拡散板用易接着フィルムにおける易接着層は、例えば共重合ポリエステル系樹脂やポリウレタン系樹脂等を用いて水性塗布液を調製し、これを、上記したポリエステル系基材フィルムの製造工程中に、この基材フィルムの表面に塗布し乾燥して形成される。この場合、共重合ポリエステル系樹脂とポリウレタン系樹脂とを各々単独で用いても良いが、共重合ポリエステル系樹脂単独では、ポリエステル系基材フィルムとの接着性は十分であるものの、光拡散板における光拡散層として多く用いられるアクリレート系樹脂に対する接着性が劣る。また、ポリウレタン系樹脂単独ではアクリレート系樹脂との接着性には優れるが、ポリエステル系基材フィルムとの接着性が低下する。
【0021】
一方、これら共重合ポリエステル系樹脂とポリウレタン系樹脂とを混合して用いることにより、ポリエステル系基材フィルムとアクリレート系樹脂との両者に対して接着性の良好な易接着層を形成することができて好適である。
【0022】
このような易接着層の形成に用いる共重合ポリエステル系樹脂は、分岐したグリコール成分を構成成分とするのが好ましい。ここで言う分岐したグリコール成分とは例えば2,2-ジメチル−1,3-プロパンジオール、2-メチル−2-エチル−1,3-プロパンジオール、2-メチル−2-ブチル−1,3-プロパンジオール、2-メチル−2-プロピル−1,3-プロパンジオール、2-メチル−2-イソプロピル−1,3-プロパンジオール、2-メチル−2-n-ヘキシル−1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル−1,3-プロパンジオール、2-エチル−2-n-ブチル−1,3-プロパンジオール、2-エチル−2-n-ヘキシル−1,3-プロパンジオール、2,2-ジ−n-ブチル−1,3-プロパンジオール、2-n-ブチル−2-プロピル−1,3-プロパンジオール、及び、2,2-ジ−n-ヘキシル−1,3-プロパンジオールなどが挙げられる。
【0023】
上記の分岐したグリコール成分は、全グリコール成分の中に好ましくは10モル%以上の割合で、さらに好ましくは20モル%以上の割合で含有される。上記化合物以外のグリコール成分としてはエチレングリコールが最も好ましい。少量であれば、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールまたは1,4シクロヘキサンジメタノールなどを用いても良い。
【0024】
共重合ポリエステル系樹脂に構成成分として含有されるジカルボン酸成分としては、テレフタル酸およびイソフタル酸が最も好ましい。少量であれば他のジカルボン酸;ジフェニルカルボン酸及び2,6-ナルタレンジカルボン酸の芳香族ジカルボン酸を加えて共重合させても良い。これらジカルボン酸成分の他、水分散性を付与させるために、5-スルホイソフタル酸を1〜10モル%の範囲で使用するのが好ましく、例えばスルホテレフタル酸、5-スルホイソフタル酸、4-スルホナフタレンイソフタル酸−2,7-ジカルボン酸および5-(4−スルフォフェノキシ)イソフタル酸及びその塩類等を挙げることができる。
【0025】
一方、易接着層の形成に用いられるポリウレタン系樹脂とは、例えばブロック型イソシアネート基を含有する樹脂であって、末端イソシアネート基を親水性基で封鎖(以下、ブロックと言う)した熱反応型の水溶性ウレタンなどが挙げられる。上記イソシアネート基のブロック化剤としては、重亜硫酸塩類及びスルホン酸基を含有したフェノール類、アルコール類、ラクタム類オキシム類及び活性メチレン化合物類等が挙げられる。これらブロック化剤のうち、熱処理温度、熱処理時間が適当で工業的に広く用いられるものとしては、重亜硫酸塩類が最も好ましい。
【0026】
ブロック化されたイソシアネート基は、ウレタンプレポリマーを親水化あるいは水溶化する。フィルム製造時の乾燥あるいは熱セット過程で、上記樹脂に熱エネルギーが与えられると、ブロック化剤がイソシアネート基から外れるため、上記樹脂は自己架橋した編み目に混合した水分散性共重合ポリエステル系樹脂を固定化するとともに、上記樹脂の末端基等とも反応する。塗布液調整中の樹脂は親水性であるため耐水性が悪いが、塗布、乾燥、熱セットして熱反応が完了すると、ウレタン樹脂の親水基すなわちブロック化剤が外れるため、その塗膜は、耐水性が良好な易接着層となる。
【0027】
上記のようなポリウレタン系樹脂において使用されるウレタンプレポリマーの化学組成としては、
▲1▼ 分子内に2個以上の活性水素原子を有する有機ポリイソシアネート、あるいは分子内に少なくとも2個の活性水素原子を有する分子量が200〜20,000の化合物
▲2▼ 分子内に2個以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネートあるいは、
▲3▼ 分子内に少なくとも2個の活性水素原子を有する鎖伸長剤を反応せしめて得られる末端イソシアネート基を有する化合物
が挙げられる。
【0028】
上記▲1▼の化合物として一般に知られているのは、末端又は分子中に2個以上のヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基あるいはメルカプト基を含むものであり、特に好ましい化合物としては、ポリエーテルポリオールおよびポリエーテルエステルポリオール等が挙げられる。
【0029】
ポリエーテルポリオールとしては、例えばエチレンオキシド、及びプロピレンオキシド等のアルキレンオキシド類、あるいは、スチレンオキシドおよびエピクロルヒドリン等を重合した化合物、あるいはそれらのランダム重合、ブロック重合あるいは多価アルコールへの付加重合を行って得られた化合物がある。
【0030】
ポリエステルポリオール及びポリエーテルエステルポリオールとしては、主として直鎖状あるいは分岐状の化合物が挙げられる。コハク酸、アジピン酸、フタル酸及び無水マレイン酸等の多価の飽和あるいは不飽和カルボン酸、あるいは該カルボン酸無水物等と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリーコル、1,6-ヘキサンジオール及びトリメチロールプロパン等の多価の飽和及び不飽和のアルコール類、比較的低分子量のポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール等のポリアルキレンエーテルグリコール類、あるいはそれらアルコール類の混合物とを縮合することにより得ることができる。
【0031】
さらにポリエステルポリオールとしては、ラクトン及びヒドロキシ酸から得られるポリエステル類、またポリエーテルエステルポリオールとしては、あらかじめ製造されたポリエステル類にエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド等を付加せしめたポリエーテルエステル類も使用することができる。
【0032】
前記▲2▼の有機ポリイソシアネートとしては、トルイレンジイソシアネートの異性体類、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネート等の芳香族脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート及び4,4-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、および2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、あるいはこれらの化合物を単一あるいは複数でトリメチロールプロパン等とあらかじめ付加させたポリイソシアネート類が挙げられる。
【0033】
前記▲3▼の少なくとも2個の活性水素を有する鎖伸長剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、及び1,6-ヘキサンジオール等のグリコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトール等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、およびピペラジン等のジアミン類、モノエタノールアミンおよびジエタノールアミン等のアミノアルコール類、チオジエチレングリコール等のチオジグリコール類、あるいは水が挙げられる。
【0034】
上記▲3▼のウレタンポリマーを合成するには、通常、上記鎖伸長剤を用いた一段式あるいは多段式イソシアンート重付加方法により、150℃以下、好ましくは70〜120℃の温度において、5分ないし数時間反応させる。活性水素原子に対するイソシアネート基の比は、1以上であれば自由に選べるが、得られるウレタンプレポリマー中に遊離のイソシアンート基が残存することが必要である。遊離したイソシアネート基の含有量は10重量%以下であればよいが、ブロック化された後のウレタンポリマー水溶液の安定性を考慮すると、7重量%以下であるのが好ましい。
【0035】
得られた上記ウレタンプレポリマーは、好ましくは重亜硫酸塩を用いてブロック化を行う。重亜硫酸塩水溶液と混合し、約5分〜1時間、よく攪拌しながら反応を進行させる。反応温度は60℃以下とするのが好ましい。その後、水で希釈して適当な濃度にし、熱反応型水溶性ウレタン組成物とする。該組成物は使用する際、適当な濃度および粘度に調製するが、通常80〜200℃前後に加熱すると、ブロック剤の重亜硫酸塩が解離し、活性なイソシアネート基が再生するために、プレポリマーの分子内あるいは分子間で起こる重付加反応によってポリウレタン重合体が生成したり、また他の官能基への付加を起こす性質を有するようになる。
【0036】
上記のようなブロック型イソシアネート基を含有するポリウレタン系樹脂の一例として、第一工業製薬(株)製の商品名エラストロンが代表的に例示される。エラストロンは、重亜硫酸ソーダによってイソシアネート基をブロックしたものであり、分子末端に強力な親水性を有するカルバモイルスルホネート基が存在するため、水溶性となっている。
【0037】
上述したブロック型イソシアネート基を含有するポリウレタン系樹脂と、分岐したグリコール成分を含有する前記の共重合ポリエステル系樹脂とを混合して水性塗布液を調製する場合、共重合ポリエステル系樹脂(A)とポリウレタン系樹脂(B)との重量比はA:B=90:10〜10:90が好ましく、更に好ましくはA:B=80:20〜20:80の範囲である。固形分重量に対する上記樹脂(A)の割合が10%未満では、基材フィルムへの塗布性が不適で、塗膜と該フィルムとの間の接着性が不十分となる。90%を超える場合には、UV硬化タイプのハードコートにおいては実用性のある接着性が得られない。
【0038】
上記のように調製される水性塗布液には、熱架橋反応を促進させるために触媒を添加しても良く、例えば無機物質、塩類、有機物質、アルカリ性物質、酸性物質および含金属有機化合物等、種々の化学物質が用いられる。また水溶液のpHを調節するために、アルカリ性物質あるいは酸性物質を添加しても良い。
【0039】
上記水性塗布液を基材フィルム表面に塗布する際には、該フィルムへの濡れ性を上げ、塗布液を均一にコートするために、公知のアニオン性活性剤およびノニオン性の界面活性剤を必要量添加して用いることができる。塗布液に用いる溶剤は、水の他にエタノール、イソプロピルアルコールおよびベンジルアルコール等のアルコール類を、全塗布液に占める割合が50重量%未満となるまで混合してもよい。さらに、10重量%未満であれば、アルコール類以外の有機溶剤を溶解可能な範囲で混合してもよい。ただし、塗布液中、アルコール類とその他の有機溶剤との合計は、50重量%未満とするのが好ましい。
【0040】
有機溶剤の添加量が50重量%未満であれば、塗布乾燥時に乾燥性が向上するとともに、水のみの場合と比較して塗布膜の外観向上の効果がある。50重量%を超えると溶剤の蒸発速度が速く、塗工中に塗布液の濃度変化が起こり、粘度が上昇して塗工性が低下するために、塗布膜の外観不良を起こす恐れがある。
【0041】
前記したポリエステル系基材フィルムには粒子を添加せず、上記水性塗布液に粒子を添加し、フィルム表面に適度な突起を形成するのが好ましい。かかる粒子の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子を挙げることができる。中でもシリカがポリエステル系樹脂と屈折率が比較的近く、高い透明性が得やすいため最も好適である。
【0042】
添加する粒子の平均粒径は、通常、1.0μm以下、好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.1μm以下である。平均粒径が1.0μmを超えると滑剤粒子の脱落が発生し易くなって好ましくない。また、塗布液中に含まれる粒子含有量は、通常、塗布・乾燥後の塗布膜中で粒子含有量が60重量%以下、好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは40重量%以下になるように添加する。塗布膜中の粒子含有量が60重量%を超えるとフィルムの易接着性が損なわれることがある。
【0043】
上記した各種粒子を塗布液中に2種類以上配合してもよく、同種の粒子で粒径の異なるものを配合してもよい。いずれにしても、粒子全体の平均粒径、および合計の含有量が上記した範囲を満足することが好ましい。塗布液を塗布する際には、塗布液中の粒子の粗大凝集物を除去し、高さ2μm以上の突起発生を防止するために、塗布の直前に塗布液が精密濾過されるように濾材を配置する必要がある。
【0044】
塗布液を精密濾過するための濾材は、濾過粒子サイズ25μm以下(初期濾過効率95%)であることが必要である。25μm以上では粗大凝集物が十分除去できず、除去できなかった多くの粗大凝集物は塗布・乾燥後、一軸延伸、あるいは二軸延伸した後に高さ2μm以上の突起となって、後述する光拡散層をコーティングした際に光学欠点になり易い。
【0045】
濾材のタイプは上記性能を有していれば特に限定されないが、例えばフィラメント型、フェルト型、メッシュ型が挙げられる。濾材の材質は、上記性能を有しており、かつ塗布液に悪影響を及ぼさなければ特に限定はされないが、例えばステンレス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が挙げられる。
【0046】
上記水性塗布液の組成物には、その効果を消失しない限りにおいて、帯電防止剤、紫外線吸収防止剤、可塑剤、および潤滑剤等の種々の添加剤を混合してもよい。さらに、塗布液が水性であるため、その寄与効果を消失しない限りにおいて、性能向上のために他の水溶性樹脂、水分散性樹脂およびエマルジョン等を塗布液に添加してもよい。
【0047】
本発明における光拡散板用易接着フィルムの厚さは50μm以上である。このフィルムの全光線透過率は90%以上が好ましく、さらに好ましくは92%以上である。90%以下では液晶表示装置に組み込んだ際、輝度の低下を引き起こすため好ましくない。
【0048】
次に、本発明の光拡散板用易接着フィルムの製造方法について、ポリエステル系基材フィルムをポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略称する)にて製造する場合を例に挙げて説明するが、本発明は当然これに限定されるものではない。
【0049】
まず、実質的に粒子を含有しないPETのペレットを十分に真空乾燥し、その後、押出機に供給し、約280℃でシート状に溶融押出しし、冷却固化せしめて未延伸PETシートを製膜する。この際、溶融樹脂が約280℃に保たれた任意の場所で、樹脂中に含まれる異物を除去するために高精度濾過を行う。溶融樹脂の高精度濾過に用いられる濾材については特に限定されないが、ステンレス焼結体の濾材が、Si、Ti、Sb、Ge、Cu等を主成分とする凝集物及び高融点有機物の除去性能に優れ、好適である。
【0050】
このときの濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)は15μm以下が好ましい。15μm以下では高さ2μm以上の突起となりうる異物を十分には除去できない。15μm以下の濾材を使用して溶融樹脂の高精度濾過を行う場合には生産性が低下する場合があるが、光学欠点の少ない光拡散板を得るには必要不可欠である。
【0051】
溶融樹脂を押出して冷却固化せしめるにあたり、該樹脂の結晶化が発生する温度域に対し、表面温度が10℃/sec以上の冷却速度でこの温度域を通過せしめて、部分的な結晶化を防止することが好ましい。この速度が10℃/sec以下であれば、濾材を通過した微細な異物の周囲で結晶化が進み、これが次に述べる延伸工程において延伸の不均一性を引き起こして微小な厚みの差異を生じせしめる。この微小な厚みの差は凸部の高さと凹部の深さとして観測でき、凸部の高さが2μm以上になる場合がある。厚手のフィルムは表面の冷却が薄手のフィルムより急冷になりにくく、結晶化が進む傾向にあっていっそうこの問題が大きくなる。
【0052】
未延伸シートの冷却には通常良く知られた方法が採られるが、溶融物を回転冷却ドラム上にダイスからシート状に押し出し、シート状溶融物を回転冷却ドラムに密着させながら急冷してシートとする公知の方法が適用できる。また、例えばシート状溶融物にエアナイフを使用する方法や静電荷を印荷する方法等が好ましく適用できる。これらの方法では後者が好ましく使用される。
【0053】
シート状物のエア面を冷却する方法としては公知の方法が適用でき、例えばシート面を槽内の冷却用液体に接触させる方法や、シートエア面に蒸散する液体をスプレーノズルで塗布する方法、高速気流を吹きつけて冷却する方法を併用しても良い。
【0054】
こうして得られる未延伸シートを、80〜120℃に加熱したロールで長手方向に2.5〜5.0倍に延伸し、一軸配向PETフィルムを製造する。
【0055】
さらに、このフィルムの端部をクリップで把持して、80〜180℃に加熱された熱風ゾーンに導いて乾燥し、その後、幅方向に2.5〜5.0倍に延伸する。引き続き160〜240℃の熱処理ゾーンに導き、1〜60秒間の熱処理を行って結晶配向を完了させる。この熱処理工程中で必要に応じて幅方向あるいは長手方向に1〜12%の弛緩処理を施してもよい。
【0056】
このような工程中の任意の段階で、ポリエステル系基材フィルムの少なくとも片面に、前述した水性塗布液を塗布する。
【0057】
この塗布液の塗布法は、公知の任意の方法を採用することができる。例えばリバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸コート法およびカーテンコート法などが挙げられ、これらの方法を単独であるいは組み合わせて行うことができる。
【0058】
この水性塗布液の塗布は、通常の塗布工程、すなわち基材フィルムを二軸延伸して熱固定した工程で行っても良いが、該フィルムの製造工程中に塗布することが好ましく、特に、結晶配向が完了する前の工程で基材フィルムに塗布することが好ましい。
【0059】
水性塗布液中の固形分濃度は通常30重量%以下が好ましく、さらに好ましくは10重量%以下である。該水性塗布液は、走行しているフィルム1m2あたり0.04〜5g、好ましくは0.2〜4gが付着されるように塗工される。該水性塗布液が塗布されたフィルムは、延伸および熱固定のためにテンターに導かれ、そこで加熱されて、熱架橋反応により安定な被膜を形成し、ポリエステル系積層フィルムとなる。後述する光拡散層との密着性を得るためには、このときのコート量がフィルム1m2あたり0.01g以上であって、100℃1分以上の熱処理が必要である。
【0060】
次に、かくして得られる光拡散板用易接着フィルムに、光拡散層を形成する方法について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0061】
光拡散層に用いられる透明樹脂バインダーとしては、PMMA(ポリメチルメタクリレート)等のアクリレート系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、シリコーン樹脂等の各種の樹脂が挙げられるが、アクリレート系樹脂がその優れた透明性により特に好適である。
【0062】
光拡散層に含ませる微粒子としては透明のものが用いられ、シリコンーン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、ナイロン樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、ポリエステル樹脂粒子等の各種のものが用いられる。
【0063】
このような微粒子の粒径は特に限定されるものではないが、平均粒径1μm〜50μmのものが好適に用いられる。また、上記微粒子として球状の微粒子を使用した場合には、この球状微粒子が一種のレンズとして作用し、一層効果的な光拡散効果を持たせることができる。
【0064】
前記した透明樹脂に適当な配合部数で上記微粒子を配合した塗布液を作製し、この塗布液を、前述のように製造された光拡散板用易接着フィルムの表面に均一に塗布し、乾燥させることによって、透明樹脂に微粒子が均一に分散された光拡散層が形成される。透明樹脂に対する微粒子の配合部数は特に限定されるものではないが、光拡散性能を考慮すれば、透明樹脂100重量部に対して5重量部〜60重量部程度が好ましい。塗布方法としては、ロールコート法、ディッピング法、スプレーコーティング法、スピンコーティング法、ラミネート法、掛け流し法等各種の方法が行われるが、特に限定されるものではない。
【0065】
かくして得られる光拡散板は光学欠点が少なく、優れた性能を有するものとなる。
【0066】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、当然、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0067】
実施例1
(a)易接着層用塗布液の調製
易接着層用塗布液を次の方法にしたがって調製した。ジメチルテレフタレート95部、ジメチルイソフタレート95部、エチレングリコール35部、ネオペンチルグリコール145部、酢酸亜鉛0.1部、および三酸化アンチモン0.1部を反応容器に仕込み、180℃で3時間かけてエステル交換反応を行った。次に、5-ナトリウムスルホイソフタル酸6.0部を添加し、240℃で1時間かけてエステル化反応を行った後、250℃で減圧下(27Pa〜1333Pa)で2時間かけて重縮合反応を行い、分子量19500、軟化点60℃の共重合ポリエステル系樹脂(A)を得た。
【0068】
得られた共重合ポリエステル系樹脂(A)の30%水分散液を6.7部、重亜硫酸ソーダでブロックしたイソシアネート基を含有する自己架橋型ポリウレタン系樹脂(B)の20%水溶液(第一工業製薬製:商品名エラストロンH-3)を40部、エラストロン用触媒(第一工業製薬製:商品名Cat64)を0.5部、水を47.8部、およびイソプロピルアルコールを5部、それぞれ混合し、さらにアニオン性界面活性剤を1重量%、コロイダルシリカ粒子(日産化学工業社製:スノーテックスOL)を5重量%添加し、易接着層用塗布液とした(以下、このように共重合ポリエステル系樹脂(A)とポリウレタン系樹脂(B)とを混合して得られた塗布液を易接着層用塗布液ABと略記する)。
【0069】
(b)光拡散板用易接着フィルムの成膜
基材フィルムの原料ポリマーとして、固有粘度が0.62dl/gで、かつ異質粒子を含有していないポリエチレンテレフタレート樹脂ペレットを、135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した。その後、押出機に供給し、約280℃でシート状に溶融押出しし、表面温度20℃に保った金属ロール上で急冷固化して、厚さ1750μmのキャストフィルムを得た。
【0070】
この際、シートエア面に高速気流を吹きつけて、シートエア面が200℃から160℃に冷却されるときの冷却速度を10℃/sec以上になるようにした。さらに、溶融樹脂の異物除去用濾材として、濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が15μmのステンレス製焼結濾材を用いた。
【0071】
次に、このキャストフィルムを加熱されたロール群及び赤外線ヒーターでl00℃に加熱し、その後、周速差のあるロール群で長手方向に3.5倍延伸して一軸配向PETフィルムを得た。
その後、前記易接着用塗布液ABを、濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が25μmのフェルト型ポリプロピレン製濾材で精密濾過し、リバースロール法で片面に塗布、乾燥した。このときの塗布量は0.01g/m2であった。
塗布後、引き続いてフィルムの端部をクリップで把持して、130℃に加熱された熱風ゾーンに導き乾燥した後、幅方向に4.0倍に延伸し、厚さ125μmの光拡散板用易接着フィルムを得た。
【0072】
(c)光拡散板の製造
かくして得られた光拡散板用易接着フィルムの片面に、下記に示す処方の塗布液を塗布し、160℃−60秒の条件で硬化させて光拡散板を得た。このときの塗布量は12g/m2とした。
▲1▼ アクリルポリオール(固形分50%)……150部
(アクリディックA-807:大日本インキ化学工業社)
▲2▼ イソシアネート(固形分60%) …… 30部
(タケネートD11N:武田薬品工業社)
▲3▼ メチルエチルケトン ……200部
▲4▼ 酢酸ブチル ……200部
▲5▼ アクリル樹脂粒子(MX-1000,平均粒子径10.0μm:綜研化学社)…… 40部
【0073】
実施例2
キャスティングフィルムの厚さが2000μm、製膜後の厚さが188μmであること以外は実施例1と同様の方法で光拡散板用易接着フィルムを得、さらに実施例1と同様の方法で光拡散層を形成して光拡散板を得た。
【0074】
比較例1
基材フィルム製造時における溶融樹脂の異物除去用濾材として、濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が20μmのステンレス製焼結濾材を用いた以外は実施例1と同様の方法で厚さ125μm光拡散板用易接着フィルムを得、さらに実施例1と同様の方法で光拡散層を形成して光拡散板を得た。
【0075】
比較例2
易接着層用塗布液の濾過に用いる濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が50μmであること以外は実施例1と同様の方法で光拡散板用易接着フィルムを得、さらに実施例1と同様の方法で光拡散層を形成して光拡散板を得た。
【0076】
比較例3
基材フィルム製造時において、原料ポリマーを押出機に供給し、シート状に溶融押出しして金属ロール上で急冷固化する際、シートエア面に高速気流を吹きつけてなかつたこと以外は実施例2と同様の方法で厚さ188μmの光拡散板用易接着フィルムを得、さらに実施例1と同様の方法で光拡散層を形成して光拡散板を得た。
【0077】
比較例4
基材フィルム製造時における原料ポリマーとして、平均粒径1.4μmのシリカを滑剤として200ppm含有し、かつ固有粘度が0.60dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂ぺレットを用いた以外は実施例lと同様の方法で光拡散板用易接着フィルムを得、さらに実施例1と同様の方法で光拡散層を形成して光拡散板を得た。
【0078】
比較例5
実施例1で得られた共重合ポリエステル系樹脂(A)の30%水分散液を33.5部、水を47.8部、およびイソプロピルアルコールを18.7部をそれぞれ混合し、さらにアニオン性界面活性剤を1重量%、コロイダルシリカ粒子(日産化学工業社製:スノーテックOL)を5重量%添加して易接着層用塗布液とした(以下、この塗布液を易接着層用塗布液Aという)。
【0079】
この易接着層用塗布液Aを用いた以外は実施例1と同様の方法で厚さ125μmの光拡散板用ポリエステルフィルムを得、さらに実施例1と同様の方法で光拡散層を形成して光拡散板を得た。
【0080】
比較例6
重亜硫酸ソーダでブロックしたイソシアネート基を含有する自己架橋型ポリウレタン系樹脂(B)の20%水溶液(第一工業製薬製:商品名エラストロンH-3)を50部、エラストロン用触媒(Cat64)を0.5部、水を37.8部、およびイソプロピルアルコールを11.7部、それぞれ混合し、さらにアニオン性界面活性剤を1重量%、コロイダルシリカ粒子(日産化学工業社製:スノーテックOL)を5重量%添加して易接着層用塗布液とした(以下、この塗布液を易接着層用塗布液Bという)。
【0081】
この易接着層用塗布液Bを用いた以外は実施例1と同様の方法で厚さ125μmの光拡散板用ポリエステルフィルムを得、さらに実施例1と同様の方法で光拡散層を形成して光拡散板を得た。
【0082】
上記各実施例および比較例における光拡散板用易接着フィルムについて、突起欠点の検出および突起高さの測定と、全光線透過率の測定、アクリレート製コート層との接着性の評価テストを行った。また、各光拡散板について光学欠点を評価した。
【0083】
以下、これら評価方法について説明する。
(1)突起欠点の検出方法
下記のような検出原理に基づく光学欠点検出装置により、250mm×250mmのフィルム片16枚について、光学的に50μm以上の大きさと認識される光学欠点を検出した。
【0084】
−欠点の検出原理−
投光器として20W×2灯の蛍光灯をXYテーブル下方400mmに配置し、スリット幅10mmのマスクを設ける。投光器と受光器とを結ぶ線と、測定するフィルム面の鉛直方向とのなす角度を12度に設定して光を入射する。そこに光学欠点が存在すると光り輝く。その光量をXYテーブル上方500mmに配置したCCDイメージセンサカメラで電気信号に変換し、その電気信号を増幅し微分して、スレッシュホールドレベルとコンパレータで比較し、光学欠点の検出信号として出力する。また、CCDイメージセンサカメラから入力されたビデオ信号を画像処理して光学欠点の大きさを計測し、設定された大きさ以上の光学欠点の位置を表示する。
【0085】
かくして検出された突起欠点部分を顕微鏡で観察し、異物による突起欠点および塗布液中の粒子の粗大凝集物による突起欠点を選び出した。
【0086】
(2)突起の高さ測定方法
上記の方法によって選び出した異物による突起欠点および塗布液中の粒子の粗大凝集物による突起欠点が存在する領域を適当な大きさに切り取り、非接触式三次元粗さ計(マイクロマップ社製550)で突起高さを測定し、1平方メートル当たりの高さ2μm以上の突起数を求めた。
【0087】
(3)全光線透過率の測定
JIS-K7105に準じ、ヘイズメーター(東京電色工業社製モデルTC-H3DP)を用いて測定した。
【0088】
(4)アクリレート製コート層との接着性
各実施例及び比較例で得られた光拡散板用易接着フィルムの易接着層面に、下記に示す塗布液をワイヤバーを用いて塗布乾燥し、厚み10μmの塗布層を形成した。
Figure 0004423736
【0089】
得られたフィルムをJIS-K5400の8.5.1記載に準じた試験方法で接着性を求めた。具体的には、易接着層を貫通して基材フィルムに達するl00個の升目状の切り傷を、隙間間隔2mmのカッターガイドを用いて付けた。次いで、セロハン粘着テープ(ニチバン社製405番;24mm幅)を升目状の切り傷面に張り付け、消しゴムでこすって完全に付着させた後、垂直に引き剥がして目視により下記の式から接着性を求めた。
接着性(%)=(1−剥がれ面積/評価面積)×100
【0090】
(5)光拡散板の光学欠点評価方法
各実施例及び比較例で得られた光拡散板の反光拡散層面の後方1mに30Wの蛍光灯を配して、光拡散層面30cmの位置から目視で観察し、大きさ5mm以上の光学欠点を検出した。
1平方メートル当たり10個以下であれば○、11個以上であれば×とした。
【0091】
前記各実施例および比較例における上記各評価結果を、製造条件とともにまとめて表1に示す。
【0092】
【表1】
Figure 0004423736
【0093】
【発明の効果】
本発明によれば、光学欠点の少ない光拡散板が得られる。また、基材フィルムと光拡散層との密着性にも優れた光拡散板を得ることができる。

Claims (6)

  1. 光拡散層が表面に設けられる基材フィルムを、溶液樹脂を押出して冷却固化せしめるにあたり、該樹脂の結晶化が発生する温度域に対し、表面温度が10°C/sec以上の冷却速度でこの温度域を通過せしめて得られた未延仲シートを二軸延伸して得た、異質粒子を含まず、かつ下記測定方法により測定された高さ2μm以上の突起が1平方メートル当たり個以下で厚さ50μm以上の二軸配向ポリエステルフィルムで形成すると共に、この基材フィルムの少なくとも片面に粒子を含む高分子易接着層を設けてなり、全光線透過率が90%以上であることを特徴とする光拡散板用易接着フィルム。
    (測定方法)
    突起欠点の検出方法
    下記のような検出原理に基づく光学欠点検出装置により、250mm×250mmのフィルム片16枚について、光学的に50μm以上の大きさと認識される光学欠点を検出した。投光器として20W×2灯の蛍光灯をXYテーブル下方400mmに配置し、スリット幅10mmのマスクを設ける。投光器と受光器とを結ぶ線と、測定するフィルム面の鉛直方向とのなす角度を12度に設定して光を入射する。そこに光学欠点が存在すると光り輝く。その光量をXYテーブル情報500mmに配置したCCDイメージセンサカメラで電気信号に変換し、その電気信号を増幅し微分して、スレッシュホールドレベルとコンパレータで比較し、光学欠点の検出信号として出力する。また、CCDイメージセンサカメラから入力されたビデオ信号を画像処理して光学欠点の大きさを計測し、設定された大きさ以上の光学欠点の位置を表示する。かくして検出された突起欠点部分を顕微鏡で観察し、異物による突起欠点および塗布液中の粒子の粗大凝集物による突起欠点を選び出した。
    突起の高さ測定方法
    上記の方法によって選び出した異物による突起欠点および塗布液中の粒子の粗大凝集物による突起欠点が存在する領域を適当な大きさに切り取り、非接触式三次元粗さ計(マイクロチップ社製550)で突起高さを測定し、1平方メートル当たりの高さ2μm以上の突起数を求めた。
  2. 前記樹脂の結晶化が発生する温度域が、200〜160°Cの範囲であることを特徴とする請求項1記載の光拡散板用易接着フィルム。
  3. 溶液樹脂を押出して冷却固化せしめるにあたり、シートエア面に高速気流を吹きつけて冷却することを特徴とする請求項1又は2記載の光拡散板用易接着フィルム。
  4. 高分子易接着層が共重合ポリエステル系樹脂とポリウレタン系樹脂との混合樹脂からなり、共重合ポリエステル系樹脂とポリウレタン系樹脂の重量比が90:10〜10:90であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の光拡散板用易接着フィルム。
  5. 高分子易接着層上に光拡散層としての熱硬化型アクリル系コート層を設けたときの接着性がJIS-K5400の8.5.1に準拠した測定で85%以上であることを特徴とする請求項4記載の光拡散板用易接着フィルム。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の光拡散板用易接着フィルムの片面に、透明樹脂バインダーに有機もしくは無機の微粒子を分散させた光拡散層を設けていることを特徴とする光拡散板。
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