JP3627097B2 - 光学用易接着フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学用易接着フィルムに関する。詳しくは、基材フィルムのフィルム材料として、同種フィルムから得られる再生レジンを含有してなる光学用易接着フィルムであって、優れた透明性、易接着性を有し、かつ光学的に好適な色調を有する光学用易接着フィルムに関するものである。
【0002】
【従来技術】
二軸配向ポリエステルフィルムは優れた透明性、寸法安定性、耐薬品性を有することから各種光学用フィルムとして多く利用されている。特に、液晶表示装置に用いられるプリズムレンズシート用のベースフィルムやタッチパネル用ベースフィルム、バックライト用ベースフィルム、AR(アンチリフレクション)フィルム用のベースフィルムやCRT用の破砕防止フィルムの用途は、優れた強度、寸法安定性が要求されるため、50μm以上の比較的厚手のフィルムが好適に用いられる。
【0003】
この様な光学用フィルムは優れた透明性とプリズムレンズ加工やハードコート加工、AR加工に対する優れた易接着性が要求されるが、一般に二軸配向ポリエステルフィルムは、概して他の材料、例えばアクリル系樹脂を主成分とするプリズムレンズやハードコートとの接着性が悪いことが知られている。このため、前記用途には、二軸配向ポリエステルフィルムの表面に、ポリウレタン樹脂等よりなる易接着層を形成した光学用易接着フィルムが、各種提案されている(例えば、特開平6−340049号公報)。
【0004】
ところで、従来より、二軸配向ポリエステルフィルムは経済性の観点から製膜工程等で発生する廃レジンを再利用した再生レジンを使用する事ことが、通常、実施されており、二軸配向ポリエステルフィルムを基材とする光学用易接着フィルムについても再生レジンの活用が要望されている。
【0005】
しかし、二軸配向ポリエステルフィルムを基材とする光学用易接着フィルムは、易接着層の成分としてポリウレタン系樹脂を含むため、これを再生レジンとして使用すると、フィルムが黄色く着色し製品の品位を低下させるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、フィルム材料として再生レジンを含有する基材フィルムを用いてなり、優れた透明性、易接着性を有し、かつ光学的に好適な色調を有する光学用易接着フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す光学用易接着フィルムの製造方法により、前記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0008】
すなわち、本発明は、二軸配向ポリエステルフィルム(A)を基材とし、前記基材の少なくとも片面に高分子易接着層(B)を形成して、カラーb*値が7.0以下の光学用易接着フィルムを製造する方法であって、前記フィルムの製造が、フィルム材料を溶融して、未延伸ポリエステルフィルムを形成する工程と、前記未延伸ポリエステルフィルムを延伸して、二軸配向ポリエステルフィルム(A)を形成する工程と、前記二軸配向ポリエステルフィルム(A)を形成する工程の任意の段階で、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に水性塗布液を塗布し、前記高分子易接着層(B)を形成する工程とを含み、前記フィルム材料として、高分子易接着層(b)が少なくとも片面に形成されている二軸配向ポリエステルフィルム(a)から生じ、かつ酸素不存在下において溶融されて再生され、かつ、酸化防止剤を含まない再生された再生レジンを10重量%以上40重量%以下と、カラーb*値が4.0以下の処女レジンとを含み、酸素不存在下に於いて減圧・乾燥により調製された材料を使用することを特徴とする光学用易接着フィルムの製造方法、に関する。
【0009】
基材である二軸配向ポリエステルフィルム(A)のフィルム材料に再生レジンを用いた光学用易接着フィルムは、経済性、省資源の観点から有用であり、カラーb* 値が7.0以下を満足するものは、着色が小さく、実用的な色調を満足する。カラーb* 値は、好ましくは6.0以下、更に好ましくは5.0以下である。
【0010】
なお、カラーb* 値とは、日本電色工業株式会社社製の測色色差計(ZE2000)を用いて光学用易接着フィルムを10枚重ねて測定した値である。光学用易接着フィルムの厚みは用途により異なり、用途に応じて決まる。
【0011】
前記本発明の光学用易接着フィルムにおいて、フィルム基材となる二軸配向ポリエステルフィルム(A)中の再生レジンの含有量は40重量%以下であるのが好ましい。
【0012】
光学用易接着フィルムのカラーb* 値の値を7.0以下にするには、当該フィルムの基材となる二軸配向ポリエステルフィルム(A)中の再生レジンの含有量を40重量%以下とするのが有効である。さらには15重量%以下とするのが有効である。一方、経済性のみを考慮すれば、再生レジンの含有量は多い方が好ましい。
【0013】
なお、前記再生レジンの含有量は、その比率で連続的に再生レジンを使用し続けた場合を指す。単発的にその比率を超えて使用してもカラーb* 値の上昇は起こらない。再生レジンを単発的に使用する場合と、連続的に使用した場合は凡そ次の様に推定される。つまり、単発的に使用した再生レジンの比率をαとすると、非回収は1−αとなり、1回目の通過で、非回収(1−α)は1回通過、回収(α)は2回通過となり、したがって、その平均通過回数は(1−α)と(α)×2の合計の1+αとなる。一方、連続的に使用した場合は1/(1−α)の比率で使用したのと同等となり、より着色の程度が激しくなる。
【0014】
また、前記本発明の光学用易接着フィルムにおいて、基材となる二軸配向ポリエステルフィルム(A)のフィルム材料は、酸素不存在下において減圧・乾燥により調製されたものであるのが好ましい。
【0015】
光学用易接着フィルムのカラーb* 値を上げない為には、二軸配向ポリエステルフィルム(A)のフィルム材料であるポリエステルは、その重合段階から酸化を抑えることが必要である。特に、二軸配向ポリエステルフィルム(A)に用いる材料(再生レジンを含む)は、成形前において、これらを減圧・乾燥する時に、前記材料が酸素に晒されないよう酸素不存在の条件で行うのがよい。特に100℃以上の温度において重要である。
【0016】
また、前記本発明の光学用易接着フィルムにおいて、再生レジンは、酸素不存在下において溶融されて再生されたものであるのが好ましい。
【0017】
再生レジンは溶融されて再生される場合にも酸素を含まない状態で行い酸化を防止する。
【0018】
また、前記本発明の光学用易接着フィルムにおいて、再生レジンに含まれる高分子易接着層(b)が、共重合ポリエステル樹脂およびポリウレタン系樹脂を含有しているのが好ましい。
【0019】
光学用易接着フィルムの基材である二軸配向ポリエステルフィルム(A)に用いる材料中に、ポリウレタン系樹脂の他に、共重合ポリエステル樹脂が含まれている場合に、前記カラーb* 値を実現するうえで好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光学用易接着フィルムにおける実施の形態を説明する。
【0021】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルム(A)は、高分子易接着層(b)が形成された二軸配向ポリエステルフィルム(a)を再生処理した再生レジン(m)、および再生レジン(m)以外のポリエステル(いわゆる処女レジン)をフィルム材料とする。なお、二軸配向ポリエステルフィルム(A)のフィルム材料(再生レジンおよび処女レジン)には、再生レジン(m)に加えて、易接着層(b)が形成されていない二軸配向ポリエステルフィルム(a)の再生レジン(n)を、光学用易接着フィルムのカラーb*値が7.0以下となる範囲内で含むことができる。
【0022】
前記再生レジンの二軸配向ポリエステルフィルム(a)および処女レジンの材料には、各種ポリエステル系樹脂を使用でき、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート又はこれらの樹脂の構成成分を主成分とする共重合体が用いられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレートが特に好適である。
【0023】
前記ポリエステル系樹脂として、ポリエステル共重合体を用いる場合、共重合成分となるジカルボン酸成分としてはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、及び2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、トリメリロット酸及びピロメリロット酸等の多官能カルボン酸等が用いられる。また、共重合成分となるグリコール成分としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール及びネオペンチルグリコール等の脂肪酸グリコール;p−キシレングリコール等の芳香族グリコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール;平均分子量が150〜20000のポリエチレングリコール等が用いられる。共重合成分の共重合体中の好ましい比率は20モル%未満である。20モル%以上ではフィルム強度、透明性、耐熱性が劣る場合がある。
【0024】
また、上記ポリエステル系樹脂には、各種の添加剤が含有されていても良い。添加剤として、例えば、帯電防止剤、UV吸収剤、安定剤等が挙げられる。なお、本発明の二軸配向ポリエステルフィルム(A)には、易滑性付与を目的とした粒子は添加しないことが望ましい。
【0025】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルム(A)のフィルム材料は、前記の通り、再生レジンおよび処女レジンからなるが、処女レジンは、カラーb* 値が4.0以下のものが好ましく、より好ましくは3.0以下のものを使用する。更に好ましくは1.5以下のもので有る。処女レジンとして、かかるカラーb* 値以下のものが、二軸配向ポリエステルフィルム(A)のカラーb* 値を7.0以下にするのに有効である。
【0026】
一方、再生レジンの再生処理法は、粉砕した、易接着層(b)を含む二軸配向ポリエステルフィルム(a)を押出機内で溶融してノズルより押出し、再度ペレット状態にする方法や、80〜150℃で粉砕した易接着層(b)を含む二軸配向ポリエステルフィルム(a)を圧縮して表面を部分的に溶融してペレット状に成型する方法、240〜270℃の温度で全体を溶融して固形状態にする方法等により行われるが、かかる再生処理法を空気等の酸素存在下で行うと、酸化反応が進行し、再生レジンの着色を促進するおそれがある。従って、再生レジンの再生処理は、酸素を含まない状態、例えば再生処理する系を減圧下で実施するか、または窒素等で置換した状態で実施する等の方法により行い、再生レジンも着色を抑えたものを用いるのがよい。
【0027】
なお、再生レジンの同材料の処女レジンに比するカラーb* 値の上昇は、フィルム(A)の厚み、易接着層(b)が片面または両面かの違いにより異なるが、本発明のように、易接着層(b)が形成されている二軸配向ポリエステルフィルム(a)の再生レジン(m)のカラーb* 値は、一般的に同材料の処女レジンに比してΔ1.7〜Δ2.6程度上昇する。一方、易接着層(b)が形成されていない二軸配向ポリエステルフィルム(a)の再生レジン(n)のカラーb* 値は、同材料の処女レジンに比してΔ1.6程度上昇する。
【0028】
二軸配向ポリエステルフィルム(A)を構成するフィルム材料(再生レジンおよび処女レジン)中に含まれる、再生レジンの含有量は、得られる光学用易接着フィルムのカラーb* 値が7.0以下になるように調整される。
【0029】
本発明の光学用易接着フィルムのカラーb* 値は、二軸配向ポリエステルフィルム(A)に含まれる易接着層(b)の割合によるところが大きい。すなわち、易接着層(b)の割合の高いもの程、再生使用した時の着色度が大きくなる。たとえば、同材料の処女レジン(カラーb* 値:2.8)に比して、Δb* 値(上昇)が2.6を示す再生レジンを用いる場合、二軸配向ポリエステルフィルム(A)に含まれる再生レジンの比率が40重量%を超えるとカラーb* 値が7.0を超えてしまい好ましくない。
【0030】
そのため、二軸配向ポリエステルフィルム(A)を構成する再生レジンの含有量は、光学用易接着フィルムの使用される用途に応じて、二軸配向ポリエステルフィルム(A)の厚みを区分しておき、当該(A)中に含まれる易接着層(b)の混合比率を考慮して再生レジンの含有量を適宜に決めて、カラーb* 値を調整することができる。
【0031】
また、二軸配向ポリエステルフィルム(A)の厚みによる区分によらず、種々の銘柄の再生レジンを混合した二軸配向ポリエステルフィルム(A)を予め調製しておいて、その銘柄群の平均の混合比率から推定される二軸配向ポリエステルフィルム(A)に含まれる易接着層(b)の濃度を求めておき、再生レジンの含有量による二軸配向ポリエステルフィルム(A)のカラーb* 値の増大を予測して、再生レジンの使用量を決定することもできる
二軸配向ポリエステルフィルム(A)を形成するフィルム材料の固有粘度は、0.45〜0.70dl/gの範囲が好ましい。固有粘度が0.45dl/g未満であると、耐引き裂き性向上効果が悪化する。一方、固有粘度が0.70dl/gを超えると、濾圧上昇が大きくなり高精度濾過が困難となる。
【0032】
また、前述の通り、二軸配向ポリエステルフィルム(A)に用いるフィルム材料(再生レジンを含む)は、成形前において、これらを100℃以上で、減圧・乾燥する時に、前記材料が酸素に晒されないよう酸素不存在の条件で行うのがよい。
【0033】
本発明の光学易接着フィルムの易接着層(B)は、二軸配向ポリエステルフィルム(A)の少なくとも片面に積層されている。かかる易接着層(B)は、未延伸または一軸延伸後のポリエステルフィルムの少なくとも片面に易接着層を設け、その後少なくとも一軸方向に延伸・熱固定処理するインラインコート法により積層するのが好ましい。なお、インラインコート法により積層された易接着層(B)に、適切な粒径の微粒子を含有させることにより滑り性をもたせておけば、良好な巻き取り性、キズ発生防止機能を付与することができる。このため、二軸配向ポリエステルフィルム(A)中に微粒子を含有させる必要がなく、高透明性を保持することができる。
【0034】
本発明の光学用易接着フィルムの易接着層(B)を構成する材料は、特に制限されず、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂等の各種のものを用いることができるが、主な樹脂成分として、共重合ポリエステル系樹脂(X)及びポリウレタン系樹脂(Y)を含有しているのが好ましい。共重合ポリエステル系樹脂(X)単独では、ポリエステル系基材フィルムとの接着性は十分であるが、プリズムレンズやハードコートに用いられるアクリル系樹脂との接着性に劣る。また、ポリウレタン系樹脂(Y)単独ではアクリル系樹脂との接着性には優れるがポリエステル系基材フィルムとの接着性に劣る。なお、再生レジンに用いられる、二軸配向ポリエステルフィルム(a)の少なくとも片面に形成されている高分子易接着層(b)を形成する樹脂成分も易接着層(B)と同様のものがあげられる。
【0035】
前記共重合ポリエステル系樹脂(X)は、ジカルボン酸成分と分岐したグリコール成分を構成成分とするのが好ましい。前記の分岐したグリコール成分とは、例えば、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジ−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、及び2,2−ジ−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
【0036】
上記の分岐したグリコール成分は、全グリコール成分の中に、好ましくは10モル%以上の割合で、さらに好ましくは20モル%以上の割合で含有される。上記化合物以外のグリコール成分としては、エチレンリコールが最も好ましい。少量であれば、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールまたは1,4−シクロヘキサンジメタノールなどを用いても良い。
【0037】
共重合ポリエステル系樹脂(X)に構成成分として含有される、ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸およびイソフタル酸が最も好ましい。少量であれば他のジカルボン酸、特に、ジフェニルカルボン酸及び2,6−ナルタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸を加えて共重合させてもよい。前記ジカルボン酸成分の他に、水分散性を付与させるため、5−スルホイソフタル酸を1〜10モル%の範囲で使用するのが好ましく、例えば、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレンイソフタル酸−2,7−ジカルボン酸および5−(4−スルフォフェノキシ)イソフタル酸及びその塩類等を挙げることができる。
【0038】
ポリウレタン樹脂(Y)は、例えば、ブロック型イソシアネート基を含有する樹脂であって、末端イソシアネート基を親水性基で封鎖(以下ブロックと言う)した、熱反応型の水溶性ウレタンなどが挙げられる。上記イソシアネート基のブロック化剤としては、重亜硫酸塩類及びスルホン酸基を含有したフェノール類、アルコール類、ラクタム類オキシム類及び活性メチレン化合物類等が挙げられる。ブロック化されたイソシアネート基はウレタンプレポリマーを親水化あるいは水溶化する。フィルム製造時の乾燥あるいは熱セット過程で、上記樹脂に熱エネルギーが与えられると、ブロック化剤がイソシアネート基からはずれるため、上記樹脂は自己架橋した編み目に混合した水分散性共重合ポリエステル樹脂を固定化するとともに、上記樹脂の末端基等とも反応する。塗布液調整中の樹脂は親水性であるため耐水性が悪いが、塗布、乾燥、熱セットして熱反応が完了すると、ウレタン樹脂の親水基すなわちブロック化剤がはずれるため、耐水性が良好な塗膜が得られる。
【0039】
上記ポリウレタン樹脂(Y)において使用されるウレタンプレポリマーの化学組成としては、(i)分子内に2個以上の活性水素原子を有するポリオール、あるいは分子内に少なくとも2個の活性水素原子を有する分子量が200〜20,000の化合物、(ii)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネート、及び、必要により、(iii )分子内に少なくとも2個の活性水素原子を有する鎖伸長剤を反応せしめて得られる、末端イソシアネート基を有する化合物である。
【0040】
上記(i)の化合物として一般に知られているのは、末端又は分子中に2個以上のヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基あるいはメルカプト基を含むものであり、特に好ましい化合物としては、ポリエーテルポリオールおよびポリエーテルエステルポリオール等が挙げられる。
【0041】
ポリエーテルポリオールとしては、例えばエチレンオキシド及び、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシド類、あるいはスチレンオキシドおよびエピクロルヒドリン等を重合した化合物、あるいはそれらのランダム重合、ブロック重合あるいは多価アルコールへの付加重合を行って得られた化合物が挙げられる。
【0042】
ポリエステルポリオール及びポリエーテルエステルポリオールとしては、主として直鎖状あるいは分岐状の化合物が挙げられる。コハク酸、アジピン酸、フタル酸及び無水マレイン酸等の多価の飽和あるいは不飽和カルボン酸、あるいは該カルボン酸無水物等と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール及びトリメチロールプロパン等の多価の飽和及び不飽和のアルコール類、比較的低分子量のポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール等のポリアルキレンエーテルグリコール類、あるいはそれらアルコール類の混合物とを縮合することにより得ることができる。
【0043】
さらに、ポリエステルポリオールとしては、ラクトン及びヒドロキシ酸から得られるポリエステル類、またポリエーテルエステルポリオールとしては、あらかじめ製造されたポリエステル類にエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド等を付加せしめたポリエーテルエステル類も使用することができる。
【0044】
上記(ii)の有機ポリイソシアネートとしては、トルイレンジイソシアネートの異性体類、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネート等の芳香族脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート及び4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、および2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、あるいはこれらの化合物を単一あるいは複数でトリメチロールプロパン等とあらかじめ付加させたポリイソシアネート類が挙げられる。
【0045】
上記(iii )の少なくとも2個の活性水素を有する鎖伸長剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオール等のグリコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトール等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、およびピペラジン等のジアミン類、モノエタノールアミンおよびジエタノールアミン等のアミノアルコール類、チオジエチレングルコール等のチオジグリコール類、あるいは水が挙げられる。上記(iii )を用いてウレタンポリマーを合成するには通常、上記鎖伸長剤を用いた一段式あるいは多段式イソシアネート重付加方法により、150℃以下、好ましくは70〜120℃の温度において、5分ないし数時間反応させる。活性水素原子に対するイソシアネート基の比は、1以上であれば自由に選べるが、得られるウレタンプレポリマー中に遊離のイソシアネート基が残存することが必要である。
【0046】
さらにウレタンプレポリマー中の遊離のイソシアネート基の含有量は10重量%以下であればよいが、ブロック化された後のウレタンポリマー水溶液の安定性を考慮すると、7重量%以下であることが好ましい。
【0047】
得られた上記ウレタンプレポリマーは、好ましくは重亜硫酸塩を用いてブロック化を行う。重亜硫酸塩水溶液と混合し、約5分〜1時間、よく攪拌しながら反応を進行させる。反応温度は60℃以下とするのが好ましい。その後、水で希釈して適当な濃度にして、熱反応型水溶性ウレタン組成物とする。該組成物は使用する際、適当な濃度および粘度に調製するが、通常80〜200℃前後に加熱すると、ブロック剤の重亜硫酸塩が解離し、活性なイソシアネート基が再生するために、プレポリマーの分子内あるいは分子間で起こる重付加反応によってポリウレタン重合体が生成したり、また他の官能基への付加を起こす性質を有するようになる。
【0048】
上記に説明したブロック型イソシアネート基を含有する樹脂の1例としては、第一工業製薬(株)製の商品名エラストロンが代表的に例示される。エラストロンは、重亜硫酸ソーダによってイソシアネート基をブロックしたものであり、分子末端に強力な親水性を有する、カルバモイルスルホネート基が存在するため、水溶性となっている。
【0049】
本発明で使用される、共重合ポリエステル樹脂(X)およびブロック型イソシアネート基を含有する樹脂(Y)を混合して塗布液を調製する場合、樹脂(X)と樹脂(Y)の重量比は(X):(Y)=90:10〜10:90が好ましく、更に好ましくは(X):(Y)=80:20〜20:80の範囲である。固形分重量に対する上記樹脂(X)の割合が10重量%未満では、基材フィルムへの塗布性が不良で、表面層と該フィルムとの間の接着性が不十分となる。固形分重量に対する上記樹脂(Y)の割合が10重量%未満の場合には、UV硬化タイプのハードコートにおいては実用性のある接着性が得られない。
【0050】
本発明において、易接着層(B)形成のための塗布液に水性塗布液を用いるのが好ましい。該水性塗布液の組成物には、易接着性を消失しない限りにおいて、帯電防止剤、紫外線吸収防止剤可塑剤、顔料、有機フィラーおよび潤滑剤等の種々の添加剤を混合してもよい。さらに、塗布液が水性であるため、その寄与効果を消失しない限りにおいて、性能向上のために、他の水溶性樹脂、水分散性樹脂およびエマルジョン等を塗布液に添加してもよい。
【0051】
水性塗布液には、熱架橋反応を促進させるため、触媒を添加しても良く、例えば、無機物質、塩類、有機物質、アルカリ性物質、酸性物質および含金属有機化合物等、種々の化学物質が用いられる。また水溶液のpHを調節するために、アルカリ性物質あるいは酸性物質を添加してもよい。
【0052】
上記水性塗布液を基材フィルム(A)の表面に塗布する際には、該フィルムへの濡れ性を上げ、塗布液を均一にコートするために、公知のアニオン性活性剤およびノニオン性の界面活性剤を必要量添加して用いることができる。塗布液に用いる溶剤は、水の他にエタノール、イソプロピルアルコールおよびベンジルアルコール等のアルコール類を、全塗布液に占める割合が50重量%未満となるまで混合してもよい。さらに、10重量%未満であれば、アルコール類以外の有機溶剤を溶解可能な範囲で混合してもよい。ただし、塗布液中、アルコール類とその他の有機溶剤との合計は、50重量%未満とする。
【0053】
有機溶剤の添加量が50重量%未満であれば、塗布乾燥時に乾燥性が向上するとともに、水のみの場合と比較して塗布膜の外観向上の効果がある。50重量%以上では、溶剤の蒸発速度が速く塗工中に塗布液の濃度変化が起こり、粘度が上昇して塗工性が低下するために、塗布膜の外観不良を起こす恐れがあり、さらには火災などの危険性も考えられる。
【0054】
また、易接着層(B)の塗布量(フィルム単位面積当りの固形分重量)は、0.05〜0.50g/m2 が好ましい。塗布量が0.05g/m2 未満であると、接着性が不十分となる。塗布量が0.50g/m2 を超えると、全光線透過率が低下し、好ましくない。
【0055】
塗布液を精密濾過するための濾材は、濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が25μm以下であることが好ましい。濾過粒子サイズが25μmを超えると、粗大凝集物の除去が不十分となりやすい。そのため、濾過で除去できなかった粗大凝集物は、塗布乾燥後の一軸延伸又は二軸延伸工程での延伸応力により広がって、100μm以上の凝集物として認識され、フィルムの全光線透過率を低下させる原因となる。
【0056】
塗布液を精密濾過するための濾材のタイプは、上記性能を有していれば特に限定はなく、例えば、フィラメント型、フェルト型、メッシュ型が挙げられる。塗布液を精密濾過するための濾材の材質は、上記性能を有しかつ塗布液に悪影響を及ばさない限り特に限定はなく、例えば、ステンレス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が挙げられる。
【0057】
基材フィルム(A)についても、原料樹脂中に含まれている異物を除去するために、溶融押出しの際に溶融樹脂が約280℃に保たれた任意の場所で、高精度濾過を行う。溶融樹脂の高精度濾過に用いられる濾材は、特に限定はされないが、ステンレス焼結体の濾材の場合、Si、Ti、Sb、Ge、Cuを主成分とする凝集物及び高融点有機物の除去性能に優れ好適である。溶融樹脂の高精度濾過に用いられる濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)は15μm以下が好ましい。濾材の濾過粒子サイズが15μmを超えると、20μm以上の異物の除去が不十分となりやすい。濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が15μm以下の濾材を使用して溶融樹脂の高精度濾過を行うことにより生産性が低下する場合があるが、全光線透過率の高い光学用易接着フィルムを得るには極めて好適である。
【0058】
溶融樹脂の押出し工程において濾材を通過する微細な異物であっても、シート状溶融物の冷却過程において異物の周囲で結晶化が進み、これが延伸工程において延伸の不均一性を引き起こし、微小な厚みの差異を生じせしめレンズ状態となる。ここでは光はレンズがあるかの様に屈折又は散乱し、肉眼で観察した時には実際の異物より大きく見える様になる。この微小な厚みの差は、凸部の高さと凹部の深さの差として観測することができ、凸部の高さが1μm以上で、凸部に隣接する凹部の深さが0.5μm以上であると、レンズ効果により、大きさが20μmの形状の物でも肉眼的には50μm以上の大きさとして認識され、さらには100μm以上の大きさの光学欠点として認識される場合もある。高透明なフィルムを得るためには、基材フィルム(A)中に易滑性を付与するための粒子を含有させない方が望ましいが、粒子添加量が少なく透明性が高い程、微小な凹凸による光学欠点はより鮮明となる傾向にある。また、厚手のフィルムの表面は薄手のフィルムより急冷となりにくく、結晶化が進む傾向にあるため、未延伸シート作成時フィルム全体を急冷することが必要となる。未延伸シートを冷却する方法としては、溶融樹脂を回転冷却ドラム上にダイスからシート上に押し出し、シート状溶融物を回転冷却ドラムに密着させながら、急冷してシートとする公知の方法が適用できる。このシート状物のエア面(冷却ドラムと接触する面との反対面)を冷却する方法としては、高速気流を吹きつけて冷却する方法が有効である。
【0059】
次に、本発明の光学用易接着フィルムの製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略称する)を例にして説明するが、本発明は当然これに限定されるものではない。
【0060】
まず、易滑性付与を目的とした粒子を実質的に含有していないPET(処女レジン)と再生レジンのペレットを十分に真空乾燥した後、押出し機に供給し、約280℃でシート状に溶融押出しし、冷却固化して未延伸PETシートを製膜する。この際、溶融樹脂が約280℃に保たれた任意の場所で、樹脂中に含まれる異物を除去するために前記高精度濾過を行う。
【0061】
得られた未延伸シートを、80〜120℃に加熱したロールで長手方向に2.5〜5.0倍延伸して、一軸配向PETフィルムを得る。さらに、フィルムの端部をクリップで把持して、80〜180℃に加熱された熱風ゾーンに導き、乾燥後幅方向に2.5〜5.0倍に延伸する。引き続き160〜240℃の熱処理ゾーンに導き、1〜60秒間の熱処理を行い、結晶配向を完了させる。この熱処理工程中で、必要に応じて、幅方向あるいは長手方向に1〜12%の弛緩処理を施してもよい。
【0062】
この工程中の任意の段階でポリエステルフィルムの少なくとも片面に、前記の水性塗布液を塗布し、易接着層(B)を形成する。上記水性塗布液を塗布するには、公知の任意の方法で行うことができる。例えば、リバースロール・コート法、グラビア・コート法、キス・コート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法およびカーテン・コート法などが挙げられ、これらの方法を単独であるいは組み合わせて行うことができる。
【0063】
水性塗布液中の固形分濃度は、30重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは10重量%以下である。該水性塗布液が塗布されたフィルムは、延伸および熱固定のためにテンターに導かれ、そこで加熱されて、熱架橋反応により安定な被膜を形成し、ポリエステル系積層フィルムとなる。インキとの良好な密着性を得るためには、この時の塗布量が0.05g/m2 以上であって、100℃、1分以上の熱処理が必要である。
【0064】
上記水性塗布液を塗布する工程は、通常の塗布工程、すなわち二軸延伸し熱固定した基材フィルム(A)に塗布する工程でもよいが、該フィルム(A)の製造工程中に塗布するインラインコート法が好ましい。さらに好ましくは、結晶配向が完了する前に塗布する。
【0065】
本発明の光学易接着フィルムの厚みは、50〜300μmが好ましく、特に好ましくは100〜250μmである。フィルム厚みが50μm未満では、剛性が不十分となり好ましくない。一方、フィルム厚みが300μmを超えると、フィルム中に存在する光学欠点となる異物が増加し、全光線透過率を低下させるので好ましくない。
【0066】
かくして得られた光学易接着フィルムは、透明性、易接着性に優れ、かつ後加工の工程において曇価上昇が小さいという特徴を有しており、プリズムレンズシート用ベースフィルムやAR(アンチリフレクション)フィルム用ベースフィルム及びCRT用破砕防止フィルム等に好適に使用できる。
【0067】
なお、前記製膜工程において生じる、易接着層(B)を塗布していない基材フィルム(A)の再生レジン(n)の再生可能な部分については、適宜、再生して同銘柄の基材フィルム(A)の材料として混合して使用でき、また、他の銘柄の基材フィルム(A)の材料として使用することができる。
【0068】
易接着層(B)を塗布している基材フィルム(A)の再生レジン(m)も同様に使用できる。同銘柄の基材フィルム(A)として使用出来ない部分については、他の銘柄の品質に影響の無い範囲で他の銘柄の基材フィルム(A)の材料として使用することができる。
【0069】
【実施例】
次に、本発明の光学用易接着フィルムの製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略称する)を例にして説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各例中、部および%はいずれも重量基準である。また、本明細書中の特性の評価は下記の方法によった。
【0070】
(カラーb* 値の測定)
日本電色工業株式会社社製の測色色差計(ZE2000)を用いて光学用易接着フィルムを10枚重ねて測定した。なお、原料のカラーb* 値の測定にあたっては、乾燥後に原料の深さが30cmになるような容器に入れて測定した。
【0071】
参考例1
(1)塗布液の調整
ジメチルテレフタレート95部、ジメチルイソフタレート95部、エチレングリコール35部、ネオペンチルグリコール145部、酢酸亜鉛0.1部および三酸化アンチモン0.1部を反応容器に仕込み、180℃で3時間かけてエステル交換反応を行った。
【0072】
次に、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6.0部を添加し、240℃で1時間かけてエステル化反応を行った後、250℃で減圧下(13〜0.3hPa)で2時間かけて重縮合反応を行い、分子量19500、軟化点60℃のポリエステル樹脂(X)を得た。
【0073】
得られたポリエステル樹脂(X)の30%水分散液を6.7部、重亜硫酸ソーダでブロックしたイソシアネート基を含有する自己架橋型ポリウレタン樹脂(Y)の20%水溶液(第一工業製薬製:商品名 エラストロンH−3)を40部、エラストロン用触媒(第一工業製薬製:商品名 Cat64)を0.5部、水を44.3部およびイソプロピルアルコールを5部、それぞれ混合し、さらにアニオン系界面活性剤の10%水溶液を0.6部、コロイダルシリカ(日産化学工業社製:スノーテックスOL、平均粒径40nm)の20%水分散液を1.8部、乾式法シリカ(日本アエロジル社製;アエロジルOX50、平均粒径500nm、平均一次粒径40nm)の4%水分散液を1.1部添加し塗布液とした。
【0074】
(2)易接着フィルムの製膜
公知の連続重合法で得られた、IVが0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート(PET)(処女レジン:カラーb* 値は、2.8)をフィルム材料135℃で6時間減圧(1.3hPa)乾燥した後、押出機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出して、表面温度20℃に保った金属ロール上で急冷固化し、厚さ1400μmのキャストフィルムを得た。この際、溶融から急冷固化までの滞留時間を6分とした。また、溶融樹脂の異物除去用濾材として、濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が15μmのステンレス製焼結濾材を用いた。
【0075】
次に、このキャストフィルムを加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで100℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向に3.5倍延伸して一軸配向PETフィルムを得た。次いで、前記塗布液を濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)25μmのフェルト型ポリプロピレン製濾材で精密濾過し、リバースロール法で一軸配向PETフィルムの両面に塗布、乾燥した。この時の粒子Aと粒子Bの含有量比は8であり、粒子Bの含有量は易接着層の固形分比で0.42重量%であった。また、コート量は固形分量として0.10g/m2 とした。塗布後引き続いて、フィルムの端部をクリップで把持して130℃に加熱された熱風ゾーンに導き、乾燥後幅方向に4.0倍に延伸し、厚さ100μmの二軸配向PETフィルム(光学用易接着フィルム)を得た。
【0076】
(3)再生レジンの処理
参考例1(2)の製膜工程で発生した、易接着層を含む二軸配向PETフィルムの製品部分を粉砕し、原料供給部を減圧下、押出機内で溶融してノズルより押出し、再生レジン(m)を得た。再生レジン(m)のカラーb* 値は、5.4であった。
【0077】
また、同様に、参考例1(2)の製膜工程で発生した、易接着層を含まない二軸配向PETフィルムの製品部分を粉砕し、原料供給部を減圧下、押出機内で溶融してノズルより押出し、再生レジン(n)を得た。再生レジン(n)のカラーb* 値は、4.5であった。
【0078】
実施例1(再生レジンの利用)
この再生レジン(m)を30%、処女レジンを70%となる割合で混合してフィルム材料を調製した。かかるフィルム材料を、参考例1(2)と同様の方法で、乾燥し、同様の易接着層を用いて、二軸配向PETフィルム(光学用易接着フィルム)を得た。
【0079】
実施例2
再生レジン(m)を10%、再生レジン(n)を40%、処女レジンを50%となる割合で混合してフィルム材料を調製した。かかるフィルム材料を、参考例1(2)と同様の方法で、乾燥し、同様の易接着層を用いて、二軸配向PETフィルム(光学用易接着フィルム)を得た。
【0080】
比較例1
再生レジン(m)を50%、処女レジンを50%となる割合で混合してフィルム材料を調製した。かかるフィルム材料を、参考例1(2)と同様の方法で、乾燥し、同様の易接着層を用いて、二軸配向PETフィルム(光学用易接着フィルム)を得た。
【0081】
比較例2
処女レジン100%を、露点が−10℃の空気を用いて、135℃で4時間乾燥した。以降、参考例1(2)と同様の易接着層を用いて、二軸配向PETフィルム(光学用易接着フィルム)を得た。
【0082】
実施例、比較例で得られた光学用易接着フィルムのカラーb* 値を表1に示す。なお、実施例、比較例で得られた光学用易接着フィルムは、いずれも接着性、透明性に優れたものであった。
【0083】
【表1】
【発明の効果】
本発明の製造方法で得られた光学用易接着フィルムは、材料として再生レジンを含有する基材フィルムを用いてなり経済的であり、しかも優れた透明性、易接着性を有し、かつ光学的に好適な色調を有するものである。さらに、従来、再生レジンを基材フィルムに用いた光学用易接着フィルムは、再生レジンに含まれる易接着層の樹脂が、再生レジンの溶融時にゲル化してしまい、再生レジンの溶融時にゲル化してフィルタを用いて除去しようとしても、フィルタの背圧が高くなるとフィルタを通り抜けてフィルム中に異物として検出されていたが、本発明の光学用易接着フィルムの製造方法では、かかる欠点を解消することもできる。
Claims (1)
- 二軸配向ポリエステルフィルム(A)を基材とし、前記基材の少なくとも片面に高分子易接着層(B)を形成して、カラーb*値が7.0以下の光学用易接着フィルムを製造する方法であって、
前記フィルムの製造が、フィルム材料を溶融して、未延伸ポリエステルフィルムを形成する工程と、
前記未延伸ポリエステルフィルムを延伸して、二軸配向ポリエステルフィルム(A)を形成する工程と、
前記二軸配向ポリエステルフィルム(A)を形成する工程の任意の段階で、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に水性塗布液を塗布し、前記高分子易接着層(B)を形成する工程とを含み、
前記フィルム材料として、高分子易接着層(b)が少なくとも片面に形成されている二軸配向ポリエステルフィルム(a)から生じ、かつ酸素不存在下において溶融されて再生され、かつ、酸化防止剤を含まない再生レジンを10重量%以上40重量%以下と、カラーb*値が4.0以下の処女レジンとを含み、酸素不存在下に於いて減圧・乾燥により調製された材料を使用することを特徴とする光学用易接着フィルムの製造方法。
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