JP2006182829A - 光学用ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ポリエステルからなるフィルムであって、フィルムヘーズが5%以下であり、複屈折率(△n)が0.02以上であり、フィルム面内の任意の一辺100mmの正方形内における△nの振れが0.010以下であることを特徴とする光学用二軸配向ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし
Description
本発明においてポリエステルフィルムに使用するポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものを指す。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等が例示される。本発明においては、主たる構成成分以外の第三成分を2.0〜10.0モル%含有することを必要とし、好ましくは2.5〜10モル%、さらに好ましくは3.0〜8.0モル%である。
ここでいう第三成分の例としては、ジカルボン酸成分として、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等、またオキシカルボン酸としてP−オキシ安息香酸等が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。これらの中でもジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールを用いた場合、ポリマーの配向や厚みムラによるフィルムの光学的なムラを効率的に低減することができ、しかもフィルムの平面性や耐熱性、寸法安定性を高度に維持できる点で好ましい。ここで、ポリエステルが含有する第三成分として、重合中にエチレングリコールから副生成したジエチレングリコールも含むものとする。
このような塗布フィルムを光学用途に適用する場合には、塗布層表面の塗布ヌケが、この塗布層のさらに上に反射防止層等を設ける時等に問題となっている。塗布ヌケが生じる理由は明確ではないが、フィルム中にある異物がフィルム表面に粗大突起を作りそれが核となって塗布剤がはじき、それが延伸されて塗布ヌケが発生したり、フィルムの表面に付着したオリゴマーやゴミが核となりそこを核として塗布剤がはじきヌケとなる場合等が考えられる。従って、かかる核となり得るゴミや異物をできる限り除去した条件で製膜することが必要である。かかる異物にはフィルム上に付着または析出したオリゴマーも含まれるため、フィルムが含有するオリゴマー量を低減することも塗布のヌケを減少させる効果を有する。
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
樹脂試料を重水化クロロホルム/ヘキサフルオロイソプロパノール(重量比7/3)の混合溶媒に濃度3重量%となるように溶解させた溶液について、核磁気共鳴装置(日本電子社製「JNM−EX270型」)を用いて、1 H−NMRを測定して各ピークを帰属し、ピークの積分値から共重合成分の含有量を算出した。
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
JIS−K−7105に準じて日本電色工業社製積分球式濁度計「NDH−300A」により、フィルムヘーズを測定した。
アタゴ社製アッベ屈折率計を使用し、光源にはナトリウムランプを用いてフィルムの屈折率を測定し次式により複屈折率(△n)を算出した。
Δn=nγ―nβ
上記式中のnγおよびnβは、各々フィルムの面内の最大屈折率およびそれに直行するフィルム面内の屈折率を表す。
フィルム面内の任意の位置で、一辺100mmの正方形のサイズのサンプルを切り出し、当該正方形中に25mm間隔で格子状に直線を引いたときにその交点に該当する部分(全16点)にて、(5)項に準じ△nを測定し得られた16点の測定値の中で最大値と最小値の差を、△nの振れとした。
光学用部材の代表として、拡散板として使用した場合の特性を評価した。すなわちフィルムの片面に、粒子を含有するアクリル系バインダーを塗布して光拡散層を形成した。得られた拡散シートをバックライトユニットに組み込んで、得られる面状発光の品質を以下の観点で評価した。
・輝度レベル(輝度計を用いて評価し、比較例1のフィルムを使用した場合と比較した)
A:輝度が向上し、改良が見られた。
B:輝度の低下は確認できず使用できるレベル
C:輝度が低下した。
偏光板にフィルムを挟みバックライトユニットの上でその品質、色調を以下の観点で観察した。なお、偏光板の挟む角度は、フィルム色調がもっともはっきりする角度で実施した。
A;強い赤色部分が確認できない かつ 色調ムラが殆どみられない
B;部分的に強い赤色部分が確認できる もしくは 色調ムラが多少見られるが実用できるレベル
C;全面に強い赤色部分が確認できる もしくは 色調ムラが著しく、液晶画面の画像に影響する
〈ポリエステルの製造〉
<ポリエステル(A)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部を添加した後、三酸化アンチモン0.03部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.68に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(A)の極限粘度は0.68、ジエチレングリコール含有量は1.0モル%であった。
ポリエステル(A)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェート0.04部を添加後、エチレングリコールに分散させた平均粒子径2.2μmのシリカ粒子を0.4部、三酸化アンチモン0.03部を加えて、極限粘度0.66に相当する時点で重縮合反応を停止した以外は、ポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(B)を得た。得られたポリエステル(B)は、極限粘度0.66、ジエチレングリコール含有量は1.0モル%であった。
ポリエステル(A)の製造方法において、出発原料をテレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とジエチレングリコール2重量部とし、重合触媒として酸化ゲルマニウムを使用したこと以外は、ポリエステル(A)の製造方法と同様な方法を用いてポリエステル(C)を得た。なお、酸化ゲルマニウムの添加方法は公知の方法を採用し、その添加量はゲルマニウムとして原料重量に対して100ppmとした。得られたポリエステル(C)の固有粘度は0.68、ポリマー中のジエチレングリコール含有量は4.0モル%であった。
出発原料をテレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール54重量部と1,4−シクロヘキサンジメタノール25重量部とし、触媒としてテトラブトキシチタネート0.011重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とし、さらに1時間反応を継続した。その後反応物を温度を230℃から徐々に昇温すると共に圧力を常圧より徐々に減じ、最終的に温度を280℃、圧力を0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.70に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(D)の極限粘度は0.70、1,4−シクロヘキサンジメタノールの含有量は33モル%、ジエチレングリコールの含有量は1.0モル%であった。
ポリエステル(A)の製造方法において、出発原料のジカルボン酸をテレフタル酸ジメチル80重量部、イソフタル酸20部としたこと以外はポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(E)を得た。得られたポリエステル(E)は、極限粘度0.67、ジエチレングリコールの含有量は1.0モル%であった。
前述のポリエステル(B)、(C)をそれぞれ12%、88%の割合で混合した混合原料をA層の原料とし、ポリエステル(C)100%の原料をB層の原料として、2台のベント式二軸押出機に各々を供給し、それぞれ285℃で溶融し、A層を最外層(表層)、B層を中間層とする2種3層(A/B/A)の層構成で共押出して口金から押出し静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.3倍延伸した後、以下に示した組成の塗布剤を塗布した後テンターに導き、横方向に120℃で3.6倍延伸し、230℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、厚さ188μmの積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、10/168/10μmであった。塗布層の厚みは0.08μmであった。
a/b/c/d=47/20/30/3
ここで
aは、テレフタル酸/イソフタル酸/5−ソジウムスルホイソフタル酸/エチレングリコール/ジエチレングリコール/トリエチレングリコール=31/16/3/22/21(モル比)のポリエステル分散体
bは、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリルニトリル/N−メチロールメタアクリルアミド=45/45/5/5(モル比)の乳化重合体(乳化剤:アニオン系界面活性剤)
cは、ヘキサメトキシメチルメラミン(メラミン系架橋剤)
dは、粒子径0.06μmの酸化ケイ素の水分散体(無機粒子)
である。
ポリエステル(B)、(A)をそれぞれ12%、88%の割合で混合した混合原料をA層の原料とし、ポリエステル(A)100%の原料をB層の原料としたこと、延伸倍率を縦方向に3.3倍、横方向に3.3倍とした以外は実施例1と同様にして、厚み188μmのポリエステルフィルムを得た。
ポリエステル(B)、(C)をそれぞれ30%、70%の割合で混合した原料を用い、1台の押出機を用いた単層のポリエステルフィルムを作成した。フィルムを単層にしたこと以外、製膜条件は実施例1と同様とし、フィルムの厚みは188μmとした。
実施例1において、延伸倍率を縦方向に2.5倍、横方向に3.3倍としたこと以外は実施例1と同様にして厚み188μmのポリエステルフィルムを得た。
得られたフィルムの物性値および光学部材適性について表1にまとめた。本発明の要件を満たすフィルムは、光学用としての適性が高いことがわかる。
Claims (1)
- ポリエステルからなるフィルムであって、フィルムヘーズが5%以下であり、複屈折率(△n)が0.02以上であり、フィルム面内の任意の一辺100mmの正方形内における△nの振れが0.010以下であることを特徴とする光学用二軸配向ポリエステルフィルム。
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