JP4315118B2 - 積層熱可塑性樹脂フィルムロールおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明において、基材となる熱可塑性樹脂フィルムとは、熱可塑性樹脂を溶融押出し又は溶液押出しして得た未配向シートを、必要に応じ、長手方向又は幅方向の一軸方向に延伸し、あるいは二軸方向に逐次二軸延伸又は同時二軸延伸し、熱固定処理を施したフィルムである。
本発明の被覆層に用いる共重合ポリエステル樹脂は、芳香族ジカルボン酸成分と、グリコール成分としてエチレングリコール及び分岐したグリコールとを構成成分とすることが好ましい。前記の分岐したグリコール成分とは、例えば、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジ−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、及び2,2−ジ−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムの被覆層に用いるポリウレタン系樹脂は、特に限定されないが、水溶性または水分散が可能な樹脂を使用することが好ましく、例としては、ブロック型イソシアネート基を含有する樹脂であって、末端イソシアネート基を親水性基で封鎖(以下ブロックともいう)した、熱反応型の水溶性ウレタンなどが挙げられる。上記イソシアネート基を親水性基で封鎖するためのブロック化剤としては、重亜硫酸塩類及びスルホン酸基を含有したフェノール類、アルコール類、ラクタム類、オキシム類及び活性メチレン化合物類等が挙げられる。ブロック化されたイソシアネート基はウレタンプレポリマーを親水化あるいは水溶化する。フィルム製造時の乾燥あるいは熱セット過程で、上記ポリウレタン樹脂に熱エネルギーが与えられると、ブロック化剤がイソシアネート基からはずれるため、上記ポリウレタン樹脂は自己架橋した編み目に、混合した水分散性共重合ポリエステル樹脂を固定化するとともに、上記共重合ポリエステル樹脂の末端基等とも反応する。塗布液調整中の樹脂は、親水性であるために耐水性が悪いが、塗布、乾燥、熱セットして熱反応が完了すると、ウレタン樹脂の親水基すなわちブロック化剤がはずれるため、耐水性が良好な塗膜が得られる。上記ブロック化剤の内、フィルム製造工程における熱処理温度、熱処理時間でブロック化剤がイソシアネート基からはずれる点、及び工業的に入手可能な点から、重亜硫酸塩類が最も好ましい。
被覆層に粒子を含有させ、被覆層表面に適切な凹凸を形成させることで、滑り性、巻き取り性、耐スクラッチ性が付与される。このため、基材中に粒子を含有させる必要がなく、高透明性を保持することができる。
従来の積層熱可塑性樹脂フィルムには、当該フィルム製造のための塗布液の濾過処理のみでは決して除けない、発生頻度は小さいが長径0.3mm以上の異物による光学欠点が存在し、この光学欠点の発生原因は不明であった。そして、異物の成分もまた不明であった。しかし、本発明者らは、この光学欠点の発生原因が、当該フィルム製造のための塗工装置のドクターブレードに、塗布液中に含まれる樹脂成分(特に、共重合ポリエステル樹脂の低分子量成分)や粒子を主に含み、さらに場合によっては金属成分を含む固形物が堆積し、これら固形物が一定以上の堆積量になった時、ドクターブレードから脱落し、これがコーターロールを介してあるいは直接基材フィルムに付着することにあることに想到し、同時に、異物の成分にも想到したのである。
共重合ポリエステル樹脂又は共重合ポリエステル樹脂とポリウレタン系樹脂とを含む樹脂成分及び粒子を含む塗布液を、走行する熱可塑性樹脂フィルムの片面または両面に塗布する塗布工程、塗布層を乾燥する乾燥工程、次いで少なくとも一軸方向に延伸する延伸工程、さらに延伸された塗布フィルムを熱固定処理する熱固定処理工程を含み、塗布工程において塗布液調整に供する共重合ポリエステル樹脂が、共重合ポリエステル樹脂の溶液を、液温度15℃以上、35℃未満の条件下で濾過粒子サイズ0.5μm以上、10μm以下のフィルターで濾過し、50℃以上、70℃未満に加温した後、さらに15℃以上、35℃未満の条件下で濾過粒子サイズ0.5μm以上、10μm以下のフィルターで濾過して処理して得られたものである方法によって製造され、当該製造方法は本発明の一部を構成する(当該製造方法を以下、本発明の製造方法ともいう)。
塗布工程は、該フィルムの製造工程中に塗布するインラインコート法により実施することが好ましく、例えば、走行する基材フィルムの片面、若しくは両面に、上記共重合ポリエステル又は上記共重合ポリエステル樹脂と上記ポリウレタン系樹脂を含む樹脂成分、及び上記粒子を含む塗布液を連続的に塗布する。結晶配向が完了する前の基材フィルムに塗布することがより好ましい。塗布方法は例えば、リバースロール・コート法、グラビア・コート法、キス・コート法、オフセットコート法などが挙げられ、これらの方法を単独であるいは組み合わせて行うことができる。これらの塗布方法はロール上の余分な塗布液をドクターブレードで掻き落とす機構を有しており、塗布斑の少ない均質な塗布面を得るには好適である。本発明においては、面質の観点からリバースキスロール・コート法を用いるのが好ましい。
塗布後の乾燥工程において、乾燥炉では、温度を120℃以上150℃未満に維持しながら、0.1〜5秒間乾燥させることが好ましい。乾燥時間は、さらに好ましくは0.5〜3秒である。乾燥時間が0.1秒間未満では、塗膜の乾燥が不十分となり、乾燥工程から横延伸工程までの間に配置されたロールを通過する際に、該ロールを乾燥不十分な塗布面で汚染する傾向がある。一方、乾燥時間が5秒間を超えると、基材フィルムの結晶化が起こりやすくなり、横延伸時に破断が発生する頻度が増える。
乾燥後、フィルムの端部をクリップで把持して、通常、80〜180℃(好ましくは100〜140℃)に加熱され、風速が10〜20m/秒である熱風ゾーンに導き、幅方向に2〜6倍(好ましくは2.5〜5.0倍)に延伸する。さらに別方向に延伸を行ってもよい。
引き続き、通常、220〜240℃、好ましくは225℃〜235℃の熱処理ゾーンに導き、通常1〜20秒間の熱処理を行い、結晶配向を完了させる。220℃未満では、得られた積層フィルムの熱収縮率が大きくなり好ましくない。また、240℃を超えると、ハードコート層や拡散層に対する密着性が低下する場合がある。この工程中で、必要に応じて、幅方向あるいは長手方向に1〜12%の弛緩処理を施してもよい。
実施例及び比較例で得られた製品フィルムロールから取り出した幅1m、長さ100mのサンプルフィルムロールを、暗室内で垂直方向に垂らした。この時、製品フィルムロールの表層100mは取り除き、続く100mをサンプルとした。次いでフィルム背面の全面に光沢の無い黒色の布を配置し、前面(被覆層面)からブロムライト(VIDEO LIGHT VLG301 100V 300W LPL社製)を用い、積層フィルムを巻き出しながらフィルム面に対し約10°から45°の範囲で該ブロムライトの角度を変えながらフィルム正面から観察し、評価面積100m2について長径0.3mm以上の光学欠点を、拡大率10倍のスケール付きルーペ(PEAK社製SCALE LUPE ×10)を用いて検出し、マーキングを行った(製品フィルムロールの幅が1m未満であっても評価面積が100m2であればよい)。さらにハケ(コクヨ社製TZ−4021N)を用いて欠点部を軽く払い、埃付着ではないこと確認した上でメチルエチルケトンを含浸させたキムワイプ(WIPRS S200:クレシア社製)を用いて欠点部を擦り、消失した欠点の数を求め、100m2当たりの欠点数とした(この場合の溶剤は、被覆層を溶解し得るものであれば特に限定されない)。また、フィルム長さ方向に長さ100mずつ7点測定する場合は、巻き長さ1500m以上のフィルムロールからの巻き出し後、100mの部分を取り除き、100mの試料を採取し、同様にして連続した100mの長さのフィルム試料を7点採取し、各試料について長径0.3mm以上の光学欠点数を数え、その最大欠点数を巻き長さ1500mのフィルムロールにおける100m2当たりの最大欠点数とした。(製品フィルムロールの幅が1m未満であっても各試料の評価面積が100m2であればよい)
(1)塗布液の調合
本発明に用いる塗布液を以下の方法に従って調製した。ジメチルテレフタレート95質量部、ジメチルイソフタレート95質量部、エチレングリコール35質量部、ネオペンチルグリコール145質量部、酢酸亜鉛0.1質量部および三酸化アンチモン0.1質量部を反応容器に仕込み、180℃で3時間かけてエステル交換反応を行った。次に、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6.0質量部を添加し、240℃で1時間かけてエステル化反応を行った後、250℃で減圧下(10〜0.2mmHg)、2時間かけて重縮合反応を行い、数平均分子量19,500、軟化点60℃の共重合ポリエステル樹脂(A)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂(A)の30質量%水分散液を10日間静置し、その上澄み液の約10分の9を取り出し、塗布液調合に供した。この共重合ポリエステル樹脂(A)の水分散液を、液温度25℃の条件下で濾過粒子サイズ5μmのフェルト型フィルターで循環回数5回になるまで濾過(濾過工程1−1と記す)し、さらに濾過粒子サイズ1μmのフェルト型フィルターで循環回数30回になるまで濾過(濾過工程1−2と記す)した。次いで60℃に加温して2時間保持した後、さらに25℃の条件下で濾過粒子サイズ1μmのフェルト型フィルターで循環回数5回になるまで濾過(濾過工程2と記す)した。
原料ポリマーとして、粒子を含有していない、固有粘度が0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂ペレットを、135℃で6時間減圧乾燥(133.3Pa)した。次いで、乾燥後のポリエチレンテレフタレート樹脂ペレットを押し出し機に供給し、約285℃でシート状に溶融押出しして、表面温度20℃に保った金属ロール上で急冷固化し、キャストフィルムを得た。なお、溶融押出しの際には濾過を行うが、濾過には、溶融樹脂中の異物を除去する濾材として、濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が15μmのステンレス製焼結濾材を用いた。
(a)アプリケーターロール、メタリングロールの温度共に22℃
(b)ファウンテンダイに供給される塗布液の温度:23℃
(c)メタリングロールに対するドクターブレードの接圧:30gf/cm(0.29N/cm)
(A)アプリケーターロール、メタリングロール及び塗布液受け皿を含む塗布装置に溶媒揮散防止カバー設けた塗布装置を使用
(B)アプリケーターロール径φ250mm、メタリングロール径φ220mm
(C)アプリケーターロール及びメタリングロールの真円度:3/1000mm
(D)アプリケーターロール及びメタリングロールの表面粗度:0.1S
(E)ドクターブレード:材質SUS402 厚さ0.075mm、幅50mm(ミラーグラフィックス社製、商品名エコーブレード)
(F)塗布液の受け皿の容量と循環用タンクの容量比=1:50
(G)循環用タンクの容量と調合用タンクの容量比=1:40
実施例1の調合において、共重合ポリエステル樹脂(A)の30質量%水分散液の静置期間を10日間から5日間に変更し、塗布液Bとした。塗布液Bを用いた以外は実施例1と同様の方法で、幅1m、フィルム長さ1500m、厚さ125μmの積層ポリエステルフィルムロールを得た。
実施例1の調合において、共重合ポリエステル樹脂(A)の30質量%水分散液の加温処理前の濾過処理(濾過工程1−2)を行わず塗布液Cとした。塗布液Cを用いた以外は実施例1と同様の方法で、幅1m、フィルム長さ1500m、厚さ125μmの積層ポリエステルフィルムロールを得た。
実施例1の調合において、共重合ポリエステル樹脂(A)の30質量%水分散液の加温処理後の濾過処理(濾過工程2)の濾過精度を1μmから5μmに変更し、塗布液Dとした。塗布液Dを用いた以外は実施例1と同様の方法で、幅1m、フィルム長さ1500m、厚さ125μmの積層ポリエステルフィルムロールを得た。
実施例1の調合において、共重合ポリエステル樹脂(A)の30質量%水分散液の加温温度を60℃から55℃に変更し、塗布液Eとした。塗布液Eを用いた以外は実施例1と同様の方法で、幅1m、フィルム長さ1500m、厚さ125μmの積層ポリエステルフィルムロールを得た。
実施例1の調合において、共重合ポリエステル樹脂(A)の30質量%水分散液の加温時間を2時間から1時間に変更し、塗布液Fとした。塗布液Fを用いた以外は実施例1と同様の方法で、幅1m、フィルム長さ1500m、厚さ125μmの積層ポリエステルフィルムロールを得た。
実施例1の塗布液の調合において、水を44.5質量部、イソプロピルアルコールを32.8質量部とし、塗布液Gとした。塗布液Gを用いた以外は実施例1と同様の方法で、幅1m、フィルム長さ1500m、厚さ125μmの積層ポリエステルフィルムロールを得た。
実施例1の塗布液の調合において、水を35.1質量部、イソプロピルアルコールを42.1質量部とし、塗布液Hとした。塗布液Hを用いた以外は実施例1と同様の方法で、、幅1m、フィルム長さ1500m、厚さ125μmの積層ポリエステルフィルムロールを得た。
実施例1において、塗布液中の共重合ポリエステル樹脂とポリウレタン系樹脂との質量比を60/40に変更した下記の塗布液Iに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、幅1m、フィルム長さ1500m、厚さ125μmの積層ポリエステルフィルムロールを得た。
実施例1の塗布液の調合において実施例1と同様の方法で静置、濾過処理1−1、濾過処理1−2、加温処理、及び濾過処理2を行った共重合ポリエステル樹脂(A)の30質量%水分散液を9.0質量部、実施例1で用いたポリウレタン系樹脂(B)の20質量%水溶液を9.0質量部、エラストロン用触媒(第一工業製薬製、Cat64)を0.3質量部、水を40.6質量部、およびイソプロピルアルコールを37.3質量部、それぞれ混合した。さらに、実施例1で使用した界面活性剤水溶液を0.6質量部、粒子P1としてコロイダルシリカ(日産化学工業製、スノーテックスOL;平均粒径40nm)の20質量%水分散液を2.3質量部、粒子P2として乾式法シリカ(日本アエロジル製、アエロジルOX50;平均粒径200nm、平均一次粒径40nm)の3.5質量%水分散液を0.5質量部添加し、5質量%重曹水溶液にてpH調整して塗布液Iとした。
実施例1において、塗布液中の共重合ポリエステル樹脂とポリウレタン系樹脂との質量比を40/60に変更した下記の塗布液Jに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、幅1m、フィルム長さ1500m、厚さ125μmの積層ポリエステルフィルムロールを得た。
実施例1の塗布液の調合において実施例1と同様の方法で静置、濾過処理1−1、濾過処理1−2、加温処理、及び濾過処理2を行った共重合ポリエステル樹脂(A)の30質量%水分散液を6.0質量部、実施例1で用いたポリウレタン系樹脂(B)の20質量%水溶液を13.5質量部、エラストロン用触媒(第一工業製薬製、Cat64)を0.3質量部、水を38.9質量部、およびイソプロピルアルコールを37.5質量部、それぞれ混合した。さらに、実施例1で用いた界面活性剤の10質量%水溶液を0.6質量部、粒子Aとしてコロイダルシリカ(日産化学工業製、スノーテックスOL;平均粒径40nm)の20質量%水分散液を2.3質量部、粒子Bとして乾式法シリカ(日本アエロジル製、アエロジルOX50;平均粒径200nm、平均一次粒径40nm)の3.5質量%水分散液を0.5質量部添加し、5質量%重曹水溶液にてpHを6.2に調整して塗布液Jとした。
アプリケーターロール及びメタリングロールの表面粗度が0.3Sである塗布装置を用いた以外は実施例1と同様の方法で、幅1m、フィルム長さ1500m、厚さ125μmの積層ポリエステルフィルムロールを得た。
アプリケーターロール及びメタリングロールの真円度が6/1000mmである塗布装置を用いた以外は実施例1と同様の方法で、幅1m、フィルム長さ1500m、厚さ125μmの積層ポリエステルフィルムロールを得た。
メタリングロールに対するドクターブレードの接圧を60gf/cm(0.59N/cm)とした以外は実施例1と同様の方法で、幅1m、フィルム長さ1500m、厚さ125μmの積層ポリエステルフィルムロールを得た。
アプリケーターロール、メタリングロールの表面温度、及び、ファウンテンダイに供給される塗布液の温度を17℃とした以外は実施例1と同様の方法で、幅1m、フィルム長さ1500m、厚さ125μmの積層ポリエステルフィルムロールを得た。
実施例1において、循環用タンクとは別に調合用タンクを用いることはせず、塗布液は循環用タンクで調合し、塗布液が無くなった時点で再調合した以外は実施例1と同様の方法で、幅1m、フィルム長さ1500m、厚さ125μmの積層ポリエステルフィルムロールを得た。
実施例1において、共重合ポリエステル樹脂(A)の30質量%水分散液の静置期間を1日にし、また、濾過工程1及び2並びに加熱工程を行わず、さらに下記で異なる塗布装置及び方法を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で、幅1m、フィルム長さ1500m、厚さ125μmの積層ポリエステルフィルムロールを得た。
塗工装置
(A')アプリケーターロール、メタリングロール及び塗布液受け皿を含む塗布装置に溶媒揮散防止カバー不使用
(H)循環用タンクとは別に調合用タンクを用いることはせず、塗布液は循環用タンクで
調合し、塗布液が無くなった時点で再調合した。
(I)濾過工程3において、濾過粒子サイズ3μmのフェルト型フィルターを用いた。
比較例1において、濾過工程3のフェルト型フィルターの濾過粒子サイズを1μmに変更した以外は実施例1と同様の方法で、幅1m、フィルム長さ1500m、厚さ125μmの積層ポリエステルフィルムロールを得た。
塗布液の調合において、静置期間1日間、濾過処理1−1、濾過処理1−2、加温処理、及び濾過処理2を行っていない共重合ポリエステル樹脂(A)の30質量%水分散液を7.5質量部、実施例1と同様のポリウレタン樹脂(B)の20%水溶液を11.3質量部、エラストロン用触媒(第一工業製薬製:商品名 Cat64)を0.3質量部、水を40.5質量部およびイソプロピルアルコールを39.5質量部、それぞれ混合し、フッ素系ノニオン界面活性剤(メガファックF142D)の10質量%水溶液を0.6質量部、粒子C(富士シリシア化学社製:サイリシア310、平均粒径1.4μm)の3.5%水分散液を0.03質量部添加し、塗布液Lとした。尚、pH調整は行わず、pHは4.6であった。次いで、実施例1と同様に乾燥したポリエチレンテレフタレート樹脂ペレットを押し出し機に供給し、約285℃でシート状に溶融押出しして、表面温度20℃に保った金属ロール上で急冷固化し、キャストフィルムを得た。この際、溶融樹脂の異物除去用濾材として、濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が15μmのステンレス製焼結濾材を用いた。次に、実施例1と同様に、このキャストフィルムを加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで95℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向に3.5倍延伸して一軸配向PETフィルムを得た。次いで、前記塗布液を濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)25μmのフェルト型ポリプロピレン製濾材で精密濾過し(濾過工程3)、リバースロール法で一軸配向PETフィルムの片面に塗布後、乾燥炉に導き温度120℃で、3.2秒間乾燥した。また、塗布量は固形分量として0.08g/m2になるようにした。この時の乾燥炉の第一ゾーンの風速は15m/s、第二ゾーンから第四ゾーンの風速は実施例1と同様で、乾燥風の給気風量は第一ゾーンから第四ゾーンとも70m3/sとした。
(A")アプリケーターロール、メタリングロール及び塗布液受け皿を含む塗布装置に溶媒揮散防止カバーは設けなかった。
(D')アプリケーターロール及びメタリングロールの表面粗度:0.3S
(H')循環用タンクとは別に調合用タンクを用いることはせず、塗布液は循環用タンクで調合し、塗布液が無くなった時点で再調合した。
(I')濾過工程3において、濾過粒子サイズ25μmのフェルト型フィルターを用いた。
実施例1において、共重合ポリエステル樹脂(A)の30質量%水分散液の加温処理を行なわず塗布液Mとしたこと以外は実施例1と同様の方法で、幅1m、フィルム長さ1500m、厚さ125μmの積層ポリエステルフィルムロールを得た。
2 アプリケーターロール
3 メタリングロール
4 ファウンテンダイ
5 塗布液ガイド板
6 ドクターブレード
7 塗布液受け皿
8 コーターカバー
9 調合用タンク
10 脱泡用分岐配管
11 循環用タンク
12 フィルター
13 ピンチロール
Claims (11)
- 共重合ポリエステル樹脂又は共重合ポリエステル樹脂とポリウレタン系樹脂とを含む樹脂成分及び粒子を含む塗布液を、走行する熱可塑性樹脂フィルムの片面または両面に塗布する塗布工程、塗布層を乾燥する乾燥工程、次いで少なくとも一軸方向に延伸する延伸工程、さらに延伸された塗布フィルムを熱固定処理する熱固定処理工程を経て形成させてなる積層熱可塑性樹脂フィルムロールであって、
塗布工程において塗布液に用いる共重合ポリエステル樹脂が、共重合ポリエステル樹脂溶液を50℃以上に加温した後、濾過粒子サイズ10μm以下のフィルターで濾過することにより得られたものであり、
二軸延伸法により得られた熱可塑性樹脂フィルムを基材とし、該基材の少なくとも片面に共重合ポリエステル樹脂又は共重合ポリエステル樹脂とポリウレタン系樹脂とを含む樹脂成分、及び粒子を含有する被覆層を設けてなる積層フィルムのロール状物であって、被覆層樹脂成分と粒子を主成分とする長径0.3mm以上の異物の含有量が30個/100m2以下であることを特徴とする、積層熱可塑性樹脂フィルムロール。 - 巻き長が1500m以上であり、幅が0.5m以上である請求項1記載のフィルムロール。
- 被覆層に含有される粒子が、酸化珪素からなる粒子であることを特徴とする、請求項1又は2記載の積層熱可塑性樹脂フィルムロール。
- 熱可塑性樹脂フィルム基材中には実質的に粒子を含有しないことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の積層熱可塑性樹脂フィルムロール。
- 共重合ポリエステル樹脂溶液のヘイズが5%以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の積層熱可塑性樹脂フィルムロール。
- 共重合ポリエステル樹脂が、共重合ポリエステル樹脂の溶液を、液温度15℃以上、35℃未満の条件下で濾過粒子サイズ0.5μm以上、10μm以下のフィルターで濾過し、50℃以上、70℃未満に加温した後、さらに15℃以上、35℃未満の条件下で濾過粒子サイズ0.5μm以上、10μm以下のフィルターで濾過して精製して得られたものであることを特徴とする、請求項5記載の積層熱可塑性樹脂フィルムロール。
- ディスプレイ部材に用いられる請求項1〜6のいずれかに記載の積層熱可塑性樹脂フィルムロール。
- 共重合ポリエステル樹脂又は共重合ポリエステル樹脂とポリウレタン系樹脂とを含む樹脂成分及び粒子を含む塗布液を、走行する熱可塑性樹脂フィルムの片面または両面に塗布する塗布工程、塗布層を乾燥する乾燥工程、次いで少なくとも一軸方向に延伸する延伸工程、さらに延伸された塗布フィルムを熱固定処理する熱固定処理工程を経て形成させてなる積層熱可塑性樹脂フィルムロールの製造方法であって、共重合ポリエステル樹脂が、共重合ポリエステル樹脂の溶液を、液温度15℃以上、35℃未満の条件下で濾過粒子サイズ0.5μm以上、10μm以下のフィルターで濾過し、50℃以上、70℃未満に加温した後、さらに15℃以上、35℃未満の条件下で濾過粒子サイズ0.5μm以上、10μm以下のフィルターで濾過して処理して得られたものであることを特徴とする、積層熱可塑性樹脂フィルムロールの製造方法。
- 共重合ポリエステル樹脂又は共重合ポリエステル樹脂とポリウレタン系樹脂とを含む樹脂成分及び粒子を含む塗布液を、走行する熱可塑性樹脂フィルムの片面または両面に塗布する塗布工程、塗布層を乾燥する乾燥工程、次いで少なくとも一軸方向に延伸する延伸工程、さらに延伸された塗布フィルムを熱固定処理する熱固定処理工程を含み、共重合ポリエステル樹脂が、共重合ポリエステル樹脂の溶液を、液温度15℃以上、35℃未満の条件下で濾過粒子サイズ0.5μm以上、10μm以下のフィルターで濾過し、50℃以上、70℃未満に加温した後、さらに15℃以上、35℃未満の条件下で濾過粒子サイズ0.5μm以上、10μm以下のフィルターで濾過して処理して得られたものであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の積層熱可塑性樹脂フィルムロールの製造方法。
- 塗布工程が、リバースロール・コート法、グラビア・コート法、キス・コート法、オフセットコート法又はこれらの方法の組み合わせにより行われる、請求項9記載の製造方法。
- 塗布工程において、塗布装置に、表面粗度が0.1S以下、真円度が5/1000mm以下のアプリケーターロール、及びメタリングロールを用いることを特徴とする請求項9又は10記載の製造方法。
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