JP5434604B2 - 易接着性白色ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、密着性と耐湿熱性に優れた易接着性白色ポリエステルフィルムに関する。詳しくはテレホンカード,キャッシュカード,クレジットカード,交通カード,IDカードなどの磁気カード,ICカード,印刷カード、ラベルやグラフィック材料等の印刷材料,液晶ディスプレイバックライトの反射板,フレキシブルフラットケーブル基材などの工業材料として好適な、易接着性白色ポリエステルフィルムに関する。
二軸延伸ポリエステルフィルムは、機械的性質、電気的性質、寸法安定性等の優れた特性を有することから、磁気記録材料、包装材料、電気絶縁材料、感光材料、製図材料、写真材料等多くの分野の基材フィルムとして使用されている。
しかしながら、二軸延伸フィルム表面は高度に結晶配向されているため、各種塗料、接着剤、インキ等との接着性が乏しい等の欠点を有している。特に、ラベル用途や磁気記録カード用途等では、その最終製品の使用状態や保管状態が各個人によって大きく異なり、例えば保管中にラベルや磁気記録カードが一時的にではあるが、折れ曲がる状態を経ることがある。この時、基材フィルムと被覆物(装飾層や磁気記録層等)との接着性が乏しいと、界面で剥離し製品外観を損なう、あるいは磁気記録カードとしての機能を失うことになる。そのため、従来からポリエステルフィルム表面に種々の方法により接着性を付与する検討がなされてきた。
例えば、基材フィルムの表面に、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン、アクリルグラフトポリエステルなどの各種樹脂を被覆層の主たる構成成分とする塗布層を設けることにより、基材フィルムに易接着性を付与する方法が一般的に知られている。この塗布法の中でも、結晶配向が完了する前の熱可塑性樹脂フィルムに、前記樹脂の溶液または樹脂を分散媒で分散させた分散体を含有する水性塗布液を基材フィルムに塗工し、乾燥後、少なくとも一軸方向に延伸し、次いで熱処理を施して、熱可塑性樹脂フィルムの配向を完了させる方法(いわゆるインラインコート法)や、熱可塑性樹脂フィルムの製造後、該フィルムに水系または溶剤系の塗布液を塗布後、乾燥する方法(いわゆるオフラインコート法)が工業的に実施されている。
本発明のフィルムが想定するカードや印刷材料,工業材料は、屋内外を問わず種々の環境で用いられる。特に、ICカードなどは、高温多湿となる自動車の室内に保管されたり、東南アジアなどの高温多湿地域などでも頻繁にかつ長期間にわたって用いられたりするため、高い耐久性すなわち高温高湿下でも層間剥離がおきないような高い耐湿熱性をと密着性を両立させることが求められる。
そのため下記特許文献では、塗布液に架橋剤を添加し、インラインコート法による塗布層形成時に塗布層樹脂中に架橋構造を形成させることで、耐湿熱性を付与した易接着性熱可塑性樹脂フィルムが開示されている。
特開2000−141574号公報 特許第3737738号公報 特許第3900191号公報 特開2007−253512号公報
しかしながら、上記特許文献に開示されるような易接着性フィルムは、当初は良好な密着性を示すものの、高温高湿下の長期間の使用においては密着強度の低下は避けられないものであった。このような密着性の低下のため、初期性能が長期間維持しないという問題があった。
本発明は上記課題に鑑み、従来避けられないと考えられてきた高温高湿下での塗布層の劣化、換言すれば高温高湿下における密着性の低下をほとんど引き起こさない易接着性白色ポリエステルフィルムを提供するものである。
なお、本発明で言う高温高湿下での密着性とは光硬化型アクリル層を積層した後80℃、95%RH、48時間の環境下に置き、隙間間隔2mmのカッターガイドを用いて、光硬化型アクリル層を貫通して基材フィルムに達する100個のマス目状ハーフカットを光硬化型アクリル層面につけ、次いでセロハン粘着テープをマス目状のハーフカット面に貼り付け、消しゴムでこすって完全に密着させ、同一箇所を、勢いよく5回引きはがした時の密着性を意味し、一般に用いられるJIS K5600−5−6記載の評価方法より厳しい判定基準における密着性である。本発明はこのような高温高湿下での密着性が初期に示す密着性と同等もしくはそれ以上の密着性を示すことが課題である。
これらの課題は、以下の解決手段により達成することができる。
(1)白色ポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布層を有する易接着性白色ポリエステルフィルムであって、前記塗布層が、数平均分子量15,000以上であって実質的にカルボン酸基を有さないポリエステル樹脂と、オキサゾリン基を有する樹脂とを主成分とし、当該フィルムの光学濃度が0.5〜2.0、白色度が60〜98である、易接着性白色ポリエステルフィルム。
(2)オキサゾリン基を有する樹脂が水溶性樹脂である前記易接着性白色ポリエステルフィルム。
(3)白色ポリエステルフィルムが平均粒径0.1〜3μmの微粒子を3〜50質量%含有する前記易接着性白色ポリエステルフィルム。
(4)白色ポリエステルフィルムの内部にポリエステル樹脂とは非相溶の熱可塑性樹脂に由来する空洞を多数含有する前記易接着性白色ポリエステルフィルム。
本発明の易接着性白色ポリエステルフィルムは印刷層や粘着・接着層などの機能層との高温高湿下での密着性および初期密着性に優れ、上記の高温高湿処理後の密着性が当初の密着性と同等かもしくは向上するものである。これによって、本発明の易接着性白色ポリエステルフィルムを基材として用いたカードや印刷材料,工業材料は、高温高湿下での印刷層や粘着・接着層との密着性が良好となる。
[白色ポリエステルフィルム]
本発明の白色ポリエステルフィルムは結晶性のポリエステルを主体として構成されることが必要である。結晶性ポリエステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸又はそのエステルとエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどのグリコールとを適切な割合で重縮合させて製造されるポリエステルである。これらのポリエステルは芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接反応させる直重法のほか、芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応させた後、重縮合させるエステル交換法か、あるいは芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重縮合させるなどの方法によって製造することができる。
前記の結晶性ポリエステルの代表例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートあるいはポリエチレン−2,6−ナフタレートが挙げられる。前記のポリエステルはホモポリマーであってもよく、第三成分を共重合したものであってもよい。
前記の結晶性ポリエステルは、その固有粘度が0.4〜0.8dl/gであることが好ましい。固有粘度が0.4dl/g未満の場合には、製造時の延伸工程で破断することが多くなったり、得られたフィルムの力学的特性が低下したりするため好ましくない。また、0.8dl/gを超える場合には、力学特性の向上効果が飽和するばかりでなく、押出時の負荷が大きくなるため好ましくない。
本発明のフィルムは、白色であることすなわちフィルム全体での光学濃度が0.5〜2.0であることと、白色度が60〜98であることが必要である。光学濃度がこの下限に満たない場合には半透明状の外観を有することになるために好ましくなく、上限を超えた場合には製造時の延伸工程での破断頻度が増加するなどして工業生産が困難となるために好ましくない。また白色度がこの下限に満たない場合には、外観上もはや白色とは言えず印刷基材などとして用いた場合の意匠性が著しく低下するため好ましくない。なお白色度がこの上限を超えることにおいてはフィルムの性質上で特段の問題を生じないが、本発明の技術領域とは異なる特段の技術を用いることが必要であるため、本発明の範囲ではない。
この光学濃度すなわち隠蔽性と白色度を達成するためには、フィルム内部に微粒子や微細空洞を含有させるのが好ましい実施形態である。
フィルムに含有させる微粒子としては、白色顔料や空洞形成の核剤として作用する無機または有機の微粒子が用いられ、酸化チタンや硫酸バリウム,酸化亜鉛,硫化亜鉛,炭酸カルシウム,架橋アクリル粒子,架橋ポリスチレン粒子などが好適であるが、屈折率が高いことから白色顔料として高い性能を有する酸化チタンが好ましい。
ここで用いる微粒子においては、平均粒径として0.1〜3μmのものを用いることが好ましく、0.2〜0.5μmのものを用いることがより好ましい。平均粒径がこの範囲に満たない場合には、粒子やその周辺に形成される微細空洞のサイズが可視光線の波長領域より小さくなり、隠蔽性や白色度を発現しにくくなるために好ましくない。またこの範囲を超える場合には、フィルム表面に粗大な突起欠点を引き起こしたり、製造時の延伸工程での破断を誘発したりするために好ましくない。
なお、微粒子の平均粒径の測定については、フィルム断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所製、S−51O型)で観察し、粒子の大きさに応じて適宜倍率を変え、写真撮影したものを拡大コピーした。次いで、ランダムに選んだ少なくとも200個以上の粒子について各粒子の外周をトレースし、画像解析装置にてこれらのトレース像から粒子の円相当径を測定し、これらの平均を平均粒子径とした。
またフィルム中に微粒子を含有させる場合には、その含有量はフィルム全体に対して3〜50質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。含有量がこの範囲に満たない場合には、隠蔽性や白色度を発現する効果が僅少となるため好ましくなく、この範囲を超える場合にはこの効果が飽和したり、製造時の延伸工程での破断を誘発したりするために好ましくない。
本発明においては、ポリエステル樹脂に非相溶の熱可塑性樹脂を空洞形成剤として含有させ、次いで少なくとも一方向に延伸することによって微細な空洞を形成させた空洞含有ポリエステルフィルムとすることも好ましい実施形態である。
ここで用いるポリエステル樹脂に非相溶の熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂などが例示されるが、中でもポリオレフィン系樹脂やポリスチレン系樹脂が好ましく、この両者を併用することがより好ましい。更にポリオレフィン系樹脂としてはポリプロピレン系樹脂やポリメチルペンテン系の樹脂が耐熱性や空洞形成性の上から好ましく、ポリスチレン系樹脂としてはホモポリマーであるGPPS樹脂が耐熱性や分散性の観点から好ましい。
フィルム中に空洞を含有させて用いる場合には、本発明のフィルム全体における見かけ密度が0.7〜1.3g/cmとすることが好ましく、1.0〜1.2g/cmとすることがより好ましい。見かけ密度がこの範囲に満たない場合には、フィルムの表面強度が著しく低下したり、加工時に座屈ジワなどを生じたりするために好ましくない。またこの範囲を超えた場合には、微細空洞によって発現する隠蔽性や白色性,クッション性などが十分でなく、微細空洞を形成させる意味が希薄になる。
なお本発明のフィルム中には、本発明の効果を阻害しない範囲において、その他の微粒子(アンチブロッキング剤やマット剤)や酸化防止剤や熱安定剤,帯電防止剤,蛍光増白剤,耐光剤,紫外線吸収剤,界面活性剤,架橋剤などを含有させることも可能である。
また、基材ポリエステルフィルムの層構成は単層構成でも積層構成でも構わないが、共押出しによって積層構成とすることは好ましい実施形態である。例えば微細空洞を含有する内層と実質的に空洞を含有しない外層を積層すれば、クッション性発現しつつフィルム表面の強度も確保できるなどの利点を得ることができる。
[塗布層]
本発明の易接着性白色ポリエステルフィルムには、少なくとも数平均分子量15,000以上であってカルボン酸基を実質的に有さないポリエステル樹脂と、オキサゾリン基を有する樹脂を主成分として含む塗布層を設けることが必要である。
従来、塗布層の耐湿熱性を向上させる点からは架橋構造を積極的に導入することが望ましいと考えられていた。しかし、本発明では塗布層を上記のような構成にすることにより耐湿熱性が向上することを見出した。このような構成により、高温高湿下での密着性が向上することの機序はよくわからないが、本発明者は以下のように考えている。本発明の塗布層には、オキサゾリン基と反応する官能基であるカルボン酸基が実質的にないため、塗布層形成時には未反応のオキサゾリン基が塗布層中に残存する。一方、高温高湿下では塗布層中のポリエステル樹脂が加水分解を起し、エステル結合が分断され、カルボン酸基末端が発生する。ここで、未反応のオキサゾリン基が、発生したカルボン酸末端と反応し、架橋を形成する。いわば、加水分解による塗布膜強度の劣化を自己修復することにより、高温高湿下での塗布膜強度劣化を防止できると考えられる。
本発明の塗布層にはポリエステル樹脂を含有させる必要がある。ポリエステル樹脂を含有させることで、密着性を向上させることができる。
前記ポリエステル樹脂はオキサゾリン基との反応基であるカルボン酸基を実質的に有さないものである。ここで実質的にカルボン基を有さないとは末端基以外のカルボン酸基を含有していないものである。カルボン酸基を規定する方法としては酸価の測定が挙げられるが、実質的にカルボン酸基を有さないポリエステル樹脂とは、酸価が3KOHmg/g以下であり、より好ましくは2KOHmg/g以下であり、さらに好ましくは1KOHmg/g以下のポリエステル樹脂である。
ポリエステル樹脂の数平均分子量は15,000以上であることが必要である。数平均分子量が低い場合、末端のカルボン酸基が増加するため、オキサゾリン基と反応してしまうことがある。また、加水分解が促進され、塗膜の修復が十分に行われず、高温高湿下の密着性が得られないだけでなく、基材フィルムとの密着性も低下させてしまう。また、上記数平均分子量は、20,000以上がより好ましく、さらに製造可能な限り、高い方が好ましい。しかし、数平均分子量が大きくなると、塗布液への溶解性が低下する場合もあることから、数平均分子量は、30,000以下であることが好ましい。
ポリエステル樹脂は酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、4−ナトリウムスルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸等が挙げられる。ジオール成分としては、エチレングリコール、プロパングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
ポリエステル樹脂は水、または、水溶性の有機溶剤(例えば、アルコール、アルキルセルソルブ、ケトン系、エーテル系を50質量%未満含む水溶液)または、有機溶剤(例えば、トルエン、酢酸エチル等)に対して溶解または分散したものが使用できる。
ポリエステル樹脂を水系塗液として用いる場合には、水溶性あるいは水分散性のポリエステル樹脂が用いられるが、このような水溶性化あるいは水分散化のためには、スルホン酸塩基を含む化合物や、カルボン酸塩基を含む化合物を共重合させることが好ましい。そのために、前記のジカルボン酸成分の他に、ポリエステルに水分散性を付与させるため、5−スルホイソフタル酸そのアルカリ金属塩を1〜10モル%の範囲で使用するのが好ましく、例えば、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレンイソフタル酸−2,7−ジカルボン酸および5−(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸またはそのアルカリ金属塩を挙げることができる。
ポリエステル樹脂は,密着性の点からガラス転移温度が低いことが好ましい。ポリエステル樹脂のガラス転移温度は10〜100℃であることが好ましく、30〜70℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が100℃を超えて高いと、溶融粘度が高くなり十分な分子量のものが得られにくく、そのため密着性が低下する。ガラス転移温度が10℃を越えて低いと、フィルムの耐ブロッキング性が低下する。
ここでポリエステル樹脂の数平均分子量を15,000以上とし、かつガラス転移温度を上記範囲にするには、ポリエステル樹脂に分岐構造を導入することが好ましい。しかしながら、分岐構造が多くなると酸価も高くなる傾向にある。そのため、本発明のポリエステル樹脂は、カルボキシル基が3個以上/1分子あるいは水酸基が3個以上/1分子有する第三成分のモル比は全ジカルボン酸成分中5.0モル%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.0モル%以下である。
前記ポリエステル樹脂は塗布層中に10質量%以上90質量%以下含有することが好ましい。高い密着性が求められる場合、より好ましくは20%質量%以上80質量%以下である。ポリエステル樹脂の含有量が多い場合には、高温高湿下での密着性が低下し、逆に含有量が少ない場合には、基材フィルムとの密着性が低下する。
本発明では、密着性を向上させるためにポリエステル樹脂以外を含有させても良い。このような樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。好ましくは、カルボン酸基の含有量が少ないものである。より好ましくは、カルボン酸基を含有していないものである。カルボン酸基が多い場合は、オキサゾリン基と反応してしまい、高温高湿下でポリエステル樹脂から発生するカルボン酸基と反応するオキサゾリン基が減少してしまう。
本発明の塗布層にはオキサゾリン基を有する樹脂を含有させる必要がある。オキサゾリン基を有する樹脂は、水分散性、水溶性が挙げられる。他の水溶性樹脂との相溶性がよく、塗布層の透明性や架橋反応効率を向上させることから、オキサゾリン基を有する樹脂は水溶性であることが好ましい。前記の水溶性とは、水、または水溶性の有機溶剤を50質量%未満含む水溶液に対して溶解することを意味する。
オキサゾリン基を有する樹脂を水溶性にするために、親水性単量体を含有させるのが好ましい。親水性単量体としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル,(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール,(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールのモノエステル化合物等のポリエチレングリコール鎖を有する単量体,(メタ)アクリル酸2−アミノエチルおよびその塩,(メタ)アクリルアミド,N−メチロール(メタ)アクリルアミド,N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド,(メタ)アクリロニトリル,スチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。なかでも水への溶解性の高い(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール,(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールのモノエステル化合物等のポリエチレングリコール鎖を有する単量体を含有していることが好ましい。
前記オキサゾリン基を有する樹脂は塗布層中に5質量%以上90質量%以下含有することが好ましい。特に、レンズ層のように高い密着性が求められる場合、より好ましくは10%質量%以上70質量%以下である。オキサゾリン基を有する樹脂の含有量が多い場合には、インキ層などとの密着性が低下し、逆に、含有量が少ない場合には、高温高湿下でポリエステル樹脂から発生するカルボン酸基と反応するオキサゾリン基が減少してしまうため、塗膜の修復機能が低下して密着性が低下してしまう。
なお、本発明で用いるオキサゾリン基を有する樹脂は水溶性であることが好ましい。これを水溶性とすることによって、他の樹脂との相溶性が向上して均質な塗布層を形成させることができる。
本発明において、塗膜強度を向上させるために、塗布層中にオキサゾリン基を有する樹脂とは別の架橋剤、または、架橋基を有する樹脂を含有させても良い。架橋剤としては、尿素系、エポキシ系、メラミン系、イソシアネート系、シラノール系等が挙げられる。また、架橋反応を促進させるため、触媒等を必要に応じて適宜使用される。
本発明においては塗布層中に粒子を含有させることもできる。粒子は(1)シリカ,カオリナイト,タルク,軽質炭酸カルシウム,重質炭酸カルシウム,ゼオライト,アルミナ,硫酸バリウム,カーボンブラック,酸化亜鉛,硫酸亜鉛,炭酸亜鉛,二酸化チタン,サチンホワイト,珪酸アルミニウム,ケイソウ土,珪酸カルシウム,水酸化アルミニウム,加水ハロイサイト,炭酸マグネシウム,水酸化マグネシウム等の無機粒子、(2)アクリルあるいはメタアクリル系,塩化ビニル系,酢酸ビニル系,ナイロン,スチレン/アクリル系,スチレン/ブタジエン系,ポリスチレン/アクリル系,ポリスチレン/イソプレン系,ポリスチレン/イソプレン系,メチルメタアクリレート/ブチルメタアクリレート系,メラミン系,ポリカーボネート系,尿素系,エポキシ系,ウレタン系,フェノール系,ジアリルフタレート系,ポリエステル系等の有機粒子が挙げられる。
塗布層に含有させる粒子の平均粒子径は特に限定されないが、フィルムの透明性を維持する点から、前記粒子の平均粒径が1〜500nmのものが好適であり、1〜100nmであればより好ましい。なお、前記の平均粒径はコールターカウンター(ベックマン・コールター製、マルチサイザーII型)を用いて、粒子を膨潤させない溶媒に分散させて測定した平均粒径である。本発明においては平均粒径の異なる粒子を2種類以上用いても良い。
粒子の含有量としては0.5質量%以上20質量%以下が好ましい。含有量がこの範囲に満たない場合は、十分な耐ブロッキング性を得ることができない。また、対スクラッチ性が悪化してしまう。また含有量がこの範囲を超える場合には、塗膜強度が低下する場合がある。
塗布層には、コート時のレベリング性の向上、コート液の脱泡を目的に界面活性剤を含有させることもできる。界面活性剤は、カチオン系、アニオン系、ノニオン系などいずれのものでも構わないが、シリコン系、アセチレングリコール系又はフッ素系界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤を添加するにあたっては、本発明の主旨である密着性を損なわない程度の範囲にとどめる必要がある。
塗布層に他の機能性を付与するために、本発明の主旨である密着性と耐久性を損なわない程度の範囲で、各種の添加剤を含有させても構わない。ここで添加する添加剤としては、蛍光染料や蛍光増白剤,可塑剤,紫外線吸収剤,顔料分散剤,抑泡剤,消泡剤,防腐剤,帯電防止剤等が挙げられる。
本発明で塗布層を設ける方法としては、溶媒、粒子、樹脂を含有する塗布液をポリエステルフィルムに塗布、乾燥する方法が挙げられる。溶媒として、トルエン等の有機溶剤、水、あるいは水と水溶性の有機溶剤の混合系が挙げられるが、好ましくは、環境問題の点から水単独あるいは水に水溶性の有機溶剤を混合したものが好ましい。
[製造方法]
本発明の易接着性白色ポリエステルフィルムの製造方法は任意であり、特に制限されるものではないが、例えば以下のようにして製造することが出来る。
フィルム原料を十分に真空乾燥した後に所望組成となるようにブレンドし、押出機で溶融混練りした後に、ダイスより回転冷却金属ロールに静電気を印加しながらシート状に押出して未延伸フィルムを得る。この際、白色顔料やその他添加剤は押出機に粉末添加して混練りするのではなく、予めポリエステル樹脂中に白色顔料などをそれぞれ別々に高濃度で含有させたマスターバッチを作成し、それらをポリエステル樹脂でブレンド希釈する方法が均一混合の点から好ましい。
また、基材のポリエステルフィルムを積層構造とする場合には、各層を構成する原料を別々の押出機に供給した後、例えば溶融状態でA層/B層の二層構造やA層/B層/A層の3層構成などに積層して、同一のダイから押出す共押出し法を採用することが好ましい。
こうして得られた未延伸フィルムは、更に速度差をもったロール間での延伸(ロール延伸)やクリップに把持して拡げていくことによる延伸(テンター延伸)や空気圧によって拡げることによる延伸(インフレーション延伸)などによって二軸配向処理される。未延伸フィルムを延伸・配向処理する条件は、フィルムの物性と密接に関係する。以下では、最も一般的な逐次二軸延伸方法、特に未延伸シートを長手方向次いで幅方向に延伸する方法を例にとり、延伸・配向条件を説明する。
まず、第一段の縦延伸工程では、周速が異なる2本あるいは多数本のロール間で延伸する。このときの加熱手段としては、加熱ロールを用いる方法でも非接触の加熱方法を用いる方法でもよく、それらを併用してもよい。次いで得られた一軸延伸フィルムをテンターに導入してポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)+10〜Tg+80℃の温度で2.5〜5倍に延伸する。
このようにして得られた二軸延伸フィルムに対し、必要に応じて熱処理を施す。熱処理はテンター中で行うのが好ましく、熱処理温度はポリエステルの融点(Tm)−50℃からTm−10℃の範囲で3〜4.5倍に延伸するのが好ましい。
前記塗布液をフィルムに塗布する段階としては、フィルムの延伸前に塗布する方法、縦延伸後に塗布する方法、配向処理の終了したフィルム表面に塗布する方法などのいずれの方法も可能である。これらの方法の中でも、基材ポリエステルフィルムの結晶配向が完了する前に塗布し、その後、少なくとも一軸方向に延伸した後、ポリエステルフィルムの結晶配向を完了させるインラインコート法が本発明の効果をより顕著に発現させることができるので好ましい方法である。
塗布層を設ける方法としては、グラビアコート方式,キスコート方式,ディップ方式,スプレーコート方式,カーテンコート方式,エアナイフコート方式,ブレードコート方式、リバースロールコート方式,ダイコーター方式,ロールブラッシュ方式,ワイヤーバーコート方式,パイプドクター方式,含浸コート方式など通常用いられている方法が適用できる。
本発明において、最終的に得られる塗布層の厚みは20〜350nm、乾燥後の塗布量は、0.02〜0.5g/mであることが好ましい。塗布層の塗布量がこの範囲に満たない場合には接着性が不十分となるため好ましくない。また塗布量がこの範囲を越えた場合には、レベリングが不均一となって横段状のコートムラが生じる場合があり好ましくない。
次に、実施例および比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(1)固有粘度
JIS K 7367−5に準拠し、溶媒としてフェノール(60質量%)と1,1,2,2−テトラクロロエタン(40質量%)の混合溶媒を用い、30℃で測定した。
(2)還元粘度
樹脂0.1gに対し、溶媒としてフェノール(60質量%)と1,1,2,2−テトラクロロエタン(40質量%)の混合溶媒25mLを用い、30℃で測定した。
(3)ガラス転移温度
JIS K7121に準拠し、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ製、DSC6200)を使用して、樹脂サンプル10mgを25〜300℃の温度範囲にわたって毎分20℃で昇温させ、DSC曲線から得られた補外ガラス転移開始温度をガラス転移温度とした。
(4)数平均分子量
樹脂0.03gをテトラヒドロフラン 10ml に溶かし、GPC−LALLS装置低角度光散乱光度計 LS−8000(東ソー株式会社製、テトラヒドロフラン溶媒、リファレンス:ポリスチレン)を用い、カラム温度30℃、流量毎分1ml、カラム(昭和電工社製Shodex KF−802、804、806)を用い、数平均分子量を測定した。
(5)樹脂組成
樹脂を重クロロホルムに溶解し、ヴァリアン社製核磁気共鳴分析計「ジェミニ−200」を用いて、1H−NMR分析を行ってその積分比より各組成のモル%比を決定した。
(6)酸価
1.0g(固形分)の試料を30mlのクロロホルムまたはジメチルホルムアミドに溶解し、フェノールフタレインを指示薬として0.1Nの水酸化カリウムエタノール溶液で滴定して、試料1g当たりのカルボキシル基を中和するのに必要なKOHの量(mg)を求めた。
(7)全光線透過率
JIS K 7105により、濁度計(日本電色工業,NDH2000)を用いて測定した。
(8)光学濃度
全光線透過率T(%)から次式によって求めた。
光学濃度=−log(T/100)
(9)白色度
測色色差計(日本電色工業,ZE2000)により測定したカラー値(L,a,b)を用い、JIS L 1015(ハンターの方法)によって求めた。
(10)接着性
清浄に保った透明ポリエステルフィルム(東洋紡,A4100)の未処理面に、下記光硬化型アクリル系塗布液を約5gのせてフィルム試料の易接着面と上記塗布液が接するように重ね合わせた。続いて、幅10cm、直径4cmの手動式荷重ゴムローラーで上記塗布液を引き延ばしつつ圧着した後に、透明フィルム面側から、高圧水銀灯を用いて800mJ/cmの紫外線を照射し、光硬化型アクリル樹脂を硬化させた。こうして得た厚み20μmの光硬化型アクリル層を有するフィルム試料を透明フィルムから注意深く剥離し、アクリル樹脂積層ポリエステルフィルムを得た。
光硬化型アクリル系塗布液
光硬化型アクリル樹脂(荒川化学工業,ビームセット505A−6) 81質量%
光硬化型アクリル樹脂(荒川化学工業,ビームセット550) 9質量%
重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ,イルガキュア184) 10質量%
このアクリル樹脂積層面に隙間間隔2mmのカッターガイドを用いて、光硬化型アクリル層を貫通して基材フィルムに達する100個のマス目状のハーフカットを施した。次いで、セロハン粘着テープ(ニチバン社製、405番;24mm幅)をハーフカット面に貼り付け、消しゴムでこすって完全に密着させた。その後、フィルム面から略垂直にセロハン粘着テープを引き剥がし、フィルム面から剥がれた光硬化型アクリル層のマス目の数を数え、下記の式から密着性を求めた。なお、マス目の中で部分的に剥離しているものも剥がれたマス目として数え、剥がれた升目の割合に応じて下記の基準でランク分けをした。
密着性(%)=(1−剥がれたマス目の数/100)×100
◎:100%、または光硬化型アクリル層の破壊
○:99〜90%
△:89〜70%
×:69〜0%
(11)耐湿熱性
得られたフィルムを、高温高湿槽を用いて80℃,95%RHの環境下48時間処理した後、室温常湿で12時間エージングした。引き剥がす作業を5回行う以外は、上記と同様にして密着性を求めた。
(ポリエステル樹脂の重合)
攪拌機、温度計、および部分還流式冷却器を具備するステンレススチール製オートクレーブに、ジメチルテレフタレート194.2質量部、ジメチルイソフタレート184.5質量部、ジメチル−5−ナトリウムスルホイソフタレート14.8質量部、ジエチレングリコール233.5質量部、エチレングリコール136.6質量部、およびテトラ−n−ブチルチタネート0.2質量部を仕込み、160℃から220℃まで4時間かけてエステル交換反応を行なった。次いで255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後、30Paの減圧下で1時間30分反応させ、共重合ポリエステル樹脂(A−1)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂(A−1)は、淡黄色透明であった。得られた共重合ポリエステル樹脂(A−1)の還元粘度を測定したところ,0.70dl/gであった。DSCによるガラス転移温度は40℃であった。
同様の方法で、別の組成の共重合ポリエステル樹脂(A−2)〜(A−5)を得た。これらの共重合ポリエステル樹脂に対し、1H−NMRで測定した組成(モル%比)及びその他特性を表1に示す。
Figure 0005434604
(ポリエステル水分散体の調整)
攪拌機、温度計と還流装置を備えた反応器に、ポリエステル樹脂(A−1)30質量部、エチレングリコールn−ブチルエーテル15質量部を入れ、110℃で加熱、攪拌し樹脂を溶解した。樹脂が完全に溶解した後、水55質量部をポリエステル溶液に攪拌しつつ徐々に添加した。添加後、液を攪拌しつつ室温まで冷却して、固形分30質量%の乳白色のポリエステル水分散体(B−1)を作製した。同様にポリエステル樹脂(A−1)の代わりにポリエステル樹脂(A−2)〜(A−5)を使用して、水分散体を調製してそれぞれ水分散体(B−2)〜(B−5)とした。
(オキサゾリン基を有する水溶性樹脂の重合)
温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器、滴下ロート、および攪拌機を備えたフラスコに水性媒体としてのイオン交換水58質量部とイソプロパノール58質量部との混合物、および、重合開始剤(2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)・二塩酸塩)4質量部を投入した。一方、滴下ロートに、オキサゾリン基を有する重合性不飽和単量体としての2−イソプロペニル−2−オキサゾリン16質量部、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(エチレングリコールの平均付加モル数・9モル;新中村化学株式会社製)32質量部、およびメタクリル酸メチル32質量部の混合物を投入し、窒素雰囲気下、70℃において1時間にわたり滴下した。滴下終了後、反応溶液を9時間攪拌し、冷却することで固形分40質量%のオキサゾリン基を有する水溶性樹脂(C)を得た。
(酸化チタンマスターバッチの製造)
固有粘度0.63dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂50質量%に、平均粒径0.3μm(電顕法)のアナターゼ型二酸化チタン50質量%を混合したものをベント式二軸押出機に供給して予備混練りした後、溶融ポリマーを連続的にベント式単軸混練り機に供給してストランド状に押出し、ペレット化して酸化チタン含有マスターバッチを調製した。
(空洞発現剤マスターバッチの製造)
ポリメチルペンテン樹脂60質量%とポリプロピレン樹脂20質量%,ポリスチレン樹脂20質量%をペレット混合して二軸押出機に供給してストランド状に押出し、ペレット化して空洞発現剤を調整した。
実施例1
平均粒径1.4μmの凝集シリカ粒子1質量%を含有する、固有粘度0.63dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット80質量%と酸化チタンマスターバッチ10質量%をペレット混合してフィルム原料Aとした。また、固有粘度0.63dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂82質量%に酸化チタンマスターバッチ10質量%,空洞発現剤マスターバッチ8質量%をペレット混合してフィルム原料Bとした。
これらのフィルム原料を130℃で4時間の真空乾燥を行って水分率80ppmとしたのち、これらのフィルム原料をそれぞれ別の押出機に供給して溶融混練りを行なった。用油樹脂はギアポンプで計量しながらフィルターを経由させてフィードブロックに導き、原料AからなるA層と原料BからなるB層をA層/B層/A層=10/80/10の比率となるように積層した。これをT型ダイスより20℃に調節された冷却ドラム上に押し出し、厚さ1.0mmの三層構成の未延伸フィルムを製造した。
得られた未延伸フィルムを、加熱ロールを用いて70℃に均一に加熱したのち、さらにフィルムの両面に対向して設置した赤外線ヒーターを用いてフィルム温度が95℃となるように加熱しながら、周速の異なるロール間で縦方向に3.4倍に延伸して一軸延伸フィルムを得た。次いで、この一軸延伸フィルムの片面に下記の塗布液をロールコート法で塗布した後、80℃で20秒間乾燥した。なお、最終(二軸延伸後)の乾燥後の塗布量が0.15g/mになるように調整した。
水 49.41質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリエステル水分散体(B−1) 12.64質量%
オキサゾリン基を有する水溶性樹脂(C) 6.32質量%
粒子(平均粒径100nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%) 1.58質量%
界面活性剤(シリコン系、固形分濃度100質量%) 0.05質量%
塗布液を塗布した一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持し、フィルム表面温度がおよそ100℃になるよう熱風で予熱した後、およそ140℃まで加熱しながら横方向に3.8倍に延伸した。その後、フィルム幅を固定した状態で熱風によっておよそ230℃まで加熱して熱固定を行い、およそ200℃まで冷却しながら幅方向に5%の弛緩熱処理を行った。その後、150℃と100℃および室温相当に調節された温風で段階的に徐々に冷却を行い、フィルムの表面温度がガラス転移温度よりも十分に低い温度となった45℃でフィルム端部を切除した。これをフィルムワインダーで巻き取り、厚さ100μmの易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
比較例1
ポリエステル水分散体を分子量8,000のポリエステル水分散体(B−4)に変更したほかは実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
比較例2
ポリエステル水分散体を酸価50KOHmg/gのポリエステル水分散体(B−5)に変更したほかは実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
比較例3
オキサゾリン基を有する水溶性樹脂(C)をエポキシ化合物(ナガセケムテックス社製 デナコールEX−521 固形分濃度100%)に変更した以外は実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
比較例4
オキサゾリン基を有する水溶性樹脂(C)をメラミン化合物(DIC社製 ベッカミンM−3 固形分濃度60%)に変更した以外は実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
実施例2
ポリエステル水分散体を分子量15,000のポリエステル水分散体(B−2)に変更したほかは実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
実施例3
ポリエステル水分散体を分子量23,000のポリエステル水分散体(B−3)に変更したほかは実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
実施例4
塗布液を下記に変更したほかは実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
水 51.92質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリエステル水分散体(B−1) 2.63質量%
オキサゾリン基を有する水溶性樹脂(C) 13.82質量%
粒子(平均粒径100nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)1.58質量%
界面活性剤(シリコン系、固形分濃度100質量%) 0.05質量%
実施例5
塗布液を下記に変更したほかは実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
水 51.26質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリエステル水分散体(B−1) 5.26質量%
オキサゾリン基を有する水溶性樹脂(C) 11.85質量%
粒子(平均粒径100nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%) 1.58質量%
界面活性剤(シリコン系、固形分濃度100質量%) 0.05質量%
実施例6
塗布液を下記に変更したほかは実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
水 48.10質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリエステル水分散体(B−1) 17.90質量%
オキサゾリン基を有する水溶性樹脂(C) 2.37質量%
粒子(平均粒径100nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%) 1.58質量%
界面活性剤(シリコン系、固形分濃度100質量%) 0.05質量%
実施例7
塗布液を下記に変更したほかは実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
水 46.89質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリエステル水分散体(B−1) 20.76質量%
オキサゾリン基を有する水溶性樹脂(C) 0.82質量%
粒子(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%) 0.82質量%
粒子(平均粒径450nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%) 0.66質量%
界面活性剤(シリコン系、固形分濃度100質量%) 0.05質量%
実施例8
塗布液を下記に変更したこと以外は実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
水 51.81質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリエステル水分散体(B−1) 1.09質量%
オキサゾリン基を有する水溶性樹脂(C) 15.57質量%
粒子(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%) 0.82質量%
粒子(平均粒径450nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%) 0.66質量%
界面活性剤(シリコン系、固形分濃度100質量%) 0.05質量%
実施例9
固有粘度0.63dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂82質量%に酸化チタンマスターバッチ10質量%,ポリスチレン樹脂8質量%をペレット混合してフィルム原料Cとした。このフィルム原料Cを一台の押出機に供給して、厚さ0.45mmの単層の未延伸フィルムを製造した。このほかは実施例1と同様にして厚さ38μmの易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
実施例10
固有粘度0.63dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂90質量%に酸化チタンマスターバッチ10質量%をペレット混合してフィルム原料Cとした。このフィルム原料Cを一台の押出機に供給して、厚さ0.50mmの単層の未延伸フィルムを製造した。またオキサゾリン基を有する樹脂を日本触媒製エポクロスK―2010E(エマルジョン,固形分濃度40質量%)に変更したほかは実施例1と同様にして厚さ38μmの易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
Figure 0005434604
本発明の易接着性白色ポリエステルフィルムは、密着性と耐湿熱性に優れた易接着性白色ポリエステルフィルムであり、テレホンカード,キャッシュカード,クレジットカード,交通カード,IDカードなどの磁気カード,ICカード,印刷カード、ラベルやグラフィック材料等の印刷材料,液晶ディスプレイバックライトの反射板,フレキシブルフラットケーブル基材などの工業材料として好適である。

Claims (4)

  1. 白色ポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布層を有する易接着性白色ポリエステルフィルムであって、
    前記塗布層が、数平均分子量15,000以上であって実質的にカルボン酸基を有さないポリエステル樹脂と、オキサゾリン基を有する樹脂とを主成分とし、
    当該フィルムの光学濃度が0.5〜2.0、白色度が60〜98である、易接着性白色ポリエステルフィルム。
  2. オキサゾリン基を有する樹脂が水溶性樹脂である、請求項1に記載の易接着性白色ポリエステルフィルム。
  3. 白色ポリエステルフィルムが平均粒径0.1〜3μmの微粒子を3〜50質量%含有する、請求項1または2に記載の易接着性白色ポリエステルフィルム。
  4. 白色ポリエステルフィルムの内部にポリエステル樹脂とは非相溶の熱可塑性樹脂に由来する空洞を多数含有する、請求項1ないし3に記載の易接着性白色ポリエステルフィルム。
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