JP5434604B2 - 易接着性白色ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
(1)白色ポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布層を有する易接着性白色ポリエステルフィルムであって、前記塗布層が、数平均分子量15,000以上であって実質的にカルボン酸基を有さないポリエステル樹脂と、オキサゾリン基を有する樹脂とを主成分とし、当該フィルムの光学濃度が0.5〜2.0、白色度が60〜98である、易接着性白色ポリエステルフィルム。
(2)オキサゾリン基を有する樹脂が水溶性樹脂である前記易接着性白色ポリエステルフィルム。
(3)白色ポリエステルフィルムが平均粒径0.1〜3μmの微粒子を3〜50質量%含有する前記易接着性白色ポリエステルフィルム。
(4)白色ポリエステルフィルムの内部にポリエステル樹脂とは非相溶の熱可塑性樹脂に由来する空洞を多数含有する前記易接着性白色ポリエステルフィルム。
本発明の白色ポリエステルフィルムは結晶性のポリエステルを主体として構成されることが必要である。結晶性ポリエステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸又はそのエステルとエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどのグリコールとを適切な割合で重縮合させて製造されるポリエステルである。これらのポリエステルは芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接反応させる直重法のほか、芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応させた後、重縮合させるエステル交換法か、あるいは芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重縮合させるなどの方法によって製造することができる。
また、基材ポリエステルフィルムの層構成は単層構成でも積層構成でも構わないが、共押出しによって積層構成とすることは好ましい実施形態である。例えば微細空洞を含有する内層と実質的に空洞を含有しない外層を積層すれば、クッション性発現しつつフィルム表面の強度も確保できるなどの利点を得ることができる。
本発明の易接着性白色ポリエステルフィルムには、少なくとも数平均分子量15,000以上であってカルボン酸基を実質的に有さないポリエステル樹脂と、オキサゾリン基を有する樹脂を主成分として含む塗布層を設けることが必要である。
本発明の易接着性白色ポリエステルフィルムの製造方法は任意であり、特に制限されるものではないが、例えば以下のようにして製造することが出来る。
JIS K 7367−5に準拠し、溶媒としてフェノール(60質量%)と1,1,2,2−テトラクロロエタン(40質量%)の混合溶媒を用い、30℃で測定した。
樹脂0.1gに対し、溶媒としてフェノール(60質量%)と1,1,2,2−テトラクロロエタン(40質量%)の混合溶媒25mLを用い、30℃で測定した。
JIS K7121に準拠し、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ製、DSC6200)を使用して、樹脂サンプル10mgを25〜300℃の温度範囲にわたって毎分20℃で昇温させ、DSC曲線から得られた補外ガラス転移開始温度をガラス転移温度とした。
樹脂0.03gをテトラヒドロフラン 10ml に溶かし、GPC−LALLS装置低角度光散乱光度計 LS−8000(東ソー株式会社製、テトラヒドロフラン溶媒、リファレンス:ポリスチレン)を用い、カラム温度30℃、流量毎分1ml、カラム(昭和電工社製Shodex KF−802、804、806)を用い、数平均分子量を測定した。
樹脂を重クロロホルムに溶解し、ヴァリアン社製核磁気共鳴分析計「ジェミニ−200」を用いて、1H−NMR分析を行ってその積分比より各組成のモル%比を決定した。
1.0g(固形分)の試料を30mlのクロロホルムまたはジメチルホルムアミドに溶解し、フェノールフタレインを指示薬として0.1Nの水酸化カリウムエタノール溶液で滴定して、試料1g当たりのカルボキシル基を中和するのに必要なKOHの量(mg)を求めた。
JIS K 7105により、濁度計(日本電色工業,NDH2000)を用いて測定した。
全光線透過率T(%)から次式によって求めた。
光学濃度=−log(T/100)
測色色差計(日本電色工業,ZE2000)により測定したカラー値(L,a,b)を用い、JIS L 1015(ハンターの方法)によって求めた。
清浄に保った透明ポリエステルフィルム(東洋紡,A4100)の未処理面に、下記光硬化型アクリル系塗布液を約5gのせてフィルム試料の易接着面と上記塗布液が接するように重ね合わせた。続いて、幅10cm、直径4cmの手動式荷重ゴムローラーで上記塗布液を引き延ばしつつ圧着した後に、透明フィルム面側から、高圧水銀灯を用いて800mJ/cm2の紫外線を照射し、光硬化型アクリル樹脂を硬化させた。こうして得た厚み20μmの光硬化型アクリル層を有するフィルム試料を透明フィルムから注意深く剥離し、アクリル樹脂積層ポリエステルフィルムを得た。
光硬化型アクリル系塗布液
光硬化型アクリル樹脂(荒川化学工業,ビームセット505A−6) 81質量%
光硬化型アクリル樹脂(荒川化学工業,ビームセット550) 9質量%
重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ,イルガキュア184) 10質量%
密着性(%)=(1−剥がれたマス目の数/100)×100
◎:100%、または光硬化型アクリル層の破壊
○:99〜90%
△:89〜70%
×:69〜0%
得られたフィルムを、高温高湿槽を用いて80℃,95%RHの環境下48時間処理した後、室温常湿で12時間エージングした。引き剥がす作業を5回行う以外は、上記と同様にして密着性を求めた。
攪拌機、温度計、および部分還流式冷却器を具備するステンレススチール製オートクレーブに、ジメチルテレフタレート194.2質量部、ジメチルイソフタレート184.5質量部、ジメチル−5−ナトリウムスルホイソフタレート14.8質量部、ジエチレングリコール233.5質量部、エチレングリコール136.6質量部、およびテトラ−n−ブチルチタネート0.2質量部を仕込み、160℃から220℃まで4時間かけてエステル交換反応を行なった。次いで255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後、30Paの減圧下で1時間30分反応させ、共重合ポリエステル樹脂(A−1)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂(A−1)は、淡黄色透明であった。得られた共重合ポリエステル樹脂(A−1)の還元粘度を測定したところ,0.70dl/gであった。DSCによるガラス転移温度は40℃であった。
攪拌機、温度計と還流装置を備えた反応器に、ポリエステル樹脂(A−1)30質量部、エチレングリコールn−ブチルエーテル15質量部を入れ、110℃で加熱、攪拌し樹脂を溶解した。樹脂が完全に溶解した後、水55質量部をポリエステル溶液に攪拌しつつ徐々に添加した。添加後、液を攪拌しつつ室温まで冷却して、固形分30質量%の乳白色のポリエステル水分散体(B−1)を作製した。同様にポリエステル樹脂(A−1)の代わりにポリエステル樹脂(A−2)〜(A−5)を使用して、水分散体を調製してそれぞれ水分散体(B−2)〜(B−5)とした。
温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器、滴下ロート、および攪拌機を備えたフラスコに水性媒体としてのイオン交換水58質量部とイソプロパノール58質量部との混合物、および、重合開始剤(2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)・二塩酸塩)4質量部を投入した。一方、滴下ロートに、オキサゾリン基を有する重合性不飽和単量体としての2−イソプロペニル−2−オキサゾリン16質量部、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(エチレングリコールの平均付加モル数・9モル;新中村化学株式会社製)32質量部、およびメタクリル酸メチル32質量部の混合物を投入し、窒素雰囲気下、70℃において1時間にわたり滴下した。滴下終了後、反応溶液を9時間攪拌し、冷却することで固形分40質量%のオキサゾリン基を有する水溶性樹脂(C)を得た。
固有粘度0.63dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂50質量%に、平均粒径0.3μm(電顕法)のアナターゼ型二酸化チタン50質量%を混合したものをベント式二軸押出機に供給して予備混練りした後、溶融ポリマーを連続的にベント式単軸混練り機に供給してストランド状に押出し、ペレット化して酸化チタン含有マスターバッチを調製した。
ポリメチルペンテン樹脂60質量%とポリプロピレン樹脂20質量%,ポリスチレン樹脂20質量%をペレット混合して二軸押出機に供給してストランド状に押出し、ペレット化して空洞発現剤を調整した。
平均粒径1.4μmの凝集シリカ粒子1質量%を含有する、固有粘度0.63dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット80質量%と酸化チタンマスターバッチ10質量%をペレット混合してフィルム原料Aとした。また、固有粘度0.63dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂82質量%に酸化チタンマスターバッチ10質量%,空洞発現剤マスターバッチ8質量%をペレット混合してフィルム原料Bとした。
水 49.41質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリエステル水分散体(B−1) 12.64質量%
オキサゾリン基を有する水溶性樹脂(C) 6.32質量%
粒子(平均粒径100nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%) 1.58質量%
界面活性剤(シリコン系、固形分濃度100質量%) 0.05質量%
ポリエステル水分散体を分子量8,000のポリエステル水分散体(B−4)に変更したほかは実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
ポリエステル水分散体を酸価50KOHmg/gのポリエステル水分散体(B−5)に変更したほかは実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
オキサゾリン基を有する水溶性樹脂(C)をエポキシ化合物(ナガセケムテックス社製 デナコールEX−521 固形分濃度100%)に変更した以外は実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
オキサゾリン基を有する水溶性樹脂(C)をメラミン化合物(DIC社製 ベッカミンM−3 固形分濃度60%)に変更した以外は実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
ポリエステル水分散体を分子量15,000のポリエステル水分散体(B−2)に変更したほかは実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
ポリエステル水分散体を分子量23,000のポリエステル水分散体(B−3)に変更したほかは実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
塗布液を下記に変更したほかは実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
水 51.92質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリエステル水分散体(B−1) 2.63質量%
オキサゾリン基を有する水溶性樹脂(C) 13.82質量%
粒子(平均粒径100nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)1.58質量%
界面活性剤(シリコン系、固形分濃度100質量%) 0.05質量%
塗布液を下記に変更したほかは実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
水 51.26質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリエステル水分散体(B−1) 5.26質量%
オキサゾリン基を有する水溶性樹脂(C) 11.85質量%
粒子(平均粒径100nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%) 1.58質量%
界面活性剤(シリコン系、固形分濃度100質量%) 0.05質量%
塗布液を下記に変更したほかは実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
水 48.10質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリエステル水分散体(B−1) 17.90質量%
オキサゾリン基を有する水溶性樹脂(C) 2.37質量%
粒子(平均粒径100nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%) 1.58質量%
界面活性剤(シリコン系、固形分濃度100質量%) 0.05質量%
塗布液を下記に変更したほかは実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
水 46.89質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリエステル水分散体(B−1) 20.76質量%
オキサゾリン基を有する水溶性樹脂(C) 0.82質量%
粒子(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%) 0.82質量%
粒子(平均粒径450nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%) 0.66質量%
界面活性剤(シリコン系、固形分濃度100質量%) 0.05質量%
塗布液を下記に変更したこと以外は実施例1と同様にして易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
水 51.81質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリエステル水分散体(B−1) 1.09質量%
オキサゾリン基を有する水溶性樹脂(C) 15.57質量%
粒子(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%) 0.82質量%
粒子(平均粒径450nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%) 0.66質量%
界面活性剤(シリコン系、固形分濃度100質量%) 0.05質量%
固有粘度0.63dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂82質量%に酸化チタンマスターバッチ10質量%,ポリスチレン樹脂8質量%をペレット混合してフィルム原料Cとした。このフィルム原料Cを一台の押出機に供給して、厚さ0.45mmの単層の未延伸フィルムを製造した。このほかは実施例1と同様にして厚さ38μmの易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
固有粘度0.63dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂90質量%に酸化チタンマスターバッチ10質量%をペレット混合してフィルム原料Cとした。このフィルム原料Cを一台の押出機に供給して、厚さ0.50mmの単層の未延伸フィルムを製造した。またオキサゾリン基を有する樹脂を日本触媒製エポクロスK―2010E(エマルジョン,固形分濃度40質量%)に変更したほかは実施例1と同様にして厚さ38μmの易接着性白色ポリエステルフィルムを得た。
Claims (4)
- 白色ポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布層を有する易接着性白色ポリエステルフィルムであって、
前記塗布層が、数平均分子量15,000以上であって実質的にカルボン酸基を有さないポリエステル樹脂と、オキサゾリン基を有する樹脂とを主成分とし、
当該フィルムの光学濃度が0.5〜2.0、白色度が60〜98である、易接着性白色ポリエステルフィルム。 - オキサゾリン基を有する樹脂が水溶性樹脂である、請求項1に記載の易接着性白色ポリエステルフィルム。
- 白色ポリエステルフィルムが平均粒径0.1〜3μmの微粒子を3〜50質量%含有する、請求項1または2に記載の易接着性白色ポリエステルフィルム。
- 白色ポリエステルフィルムの内部にポリエステル樹脂とは非相溶の熱可塑性樹脂に由来する空洞を多数含有する、請求項1ないし3に記載の易接着性白色ポリエステルフィルム。
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