JP3200929B2 - ポリエステル系積層フィルム - Google Patents

ポリエステル系積層フィルム

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JP3200929B2
JP3200929B2 JP6208692A JP6208692A JP3200929B2 JP 3200929 B2 JP3200929 B2 JP 3200929B2 JP 6208692 A JP6208692 A JP 6208692A JP 6208692 A JP6208692 A JP 6208692A JP 3200929 B2 JP3200929 B2 JP 3200929B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は特に、紫外線硬化タイプ
および酸化重合(あるいは溶剤)タイプ等の、銘柄の異
なるインキの密着性および印刷性に優れ、さらに印刷加
工を伴うラベル用あるいはメンブレン用等のフィルム加
工商品に有用な、ポリエステル系積層フィルムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】二軸延伸されたポリエステル系樹脂フィ
ルム(以下、フィルムはシートをも包含して用いられ
る)は、機械的強度、耐熱性、耐寒性、耐薬品性、絶縁
性、寸法安定性、平面性および透明性等が、他の樹脂か
らなるフィルムと比較して優れているので、包装用ある
いは工業用を問わず、各種用途に利用されている。しか
し該フィルムの表面は、結晶配向が高いために表面の凝
集性が高く、各種インキ、塗料および接着剤等に対する
接着性が悪い。
【0003】二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムの接
着性を改良する方法には、コロナ放電処理、紫外線照射
処理、プラズマ放電処理および火焔処理等の物理的手段
が挙げられる。しかしながら上記方法は、該フィルムの
表面の濡れ性を改良することはできるが、性能的に経時
劣化するために、優れた接着性を得ることができない。
他法としては、種々の化学物質、例えば酸、アルカリ、
アミンおよびフェノール類などでフィルムを表面処理
し、該フィルムの表面を一部分解、溶解あるいは膨潤さ
せて、その凝集性を低下させる方法が考えられるが、上
記化学物質は、大気中に放出されると環境汚染を起こす
ものもあり、その対策に多くの設備投資を必要とする
等、不利益な面がある。上記の点を踏まえて一般的に
は、ポリエステル系樹脂フィルムの表面に特定の表面層
を設けて、ポリエステル系樹脂フィルムと各種バインダ
ー類との接着性を向上させる方法が用いられている。
【0004】従来の各種インキ密着性タイプのポリエス
テル系積層フィルムにおいても、ポリエステル樹脂から
なる基材フィルムの表面に、特定の表面層を設けた方法
が多く見られる。該表面層としては例えば、ポリエステ
ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂およびアクリル系樹脂等
を単一に用いた系、あるいは複数の該樹脂を混合した系
および該樹脂と特定の架橋剤(メラニン、イソシアネー
ト等)とを混合した系が用いられる。しかし上記の系の
多くは、酸化重合(あるいは溶剤)タイプのインキ密着
性は良好であるが、紫外線硬化タイプのインキ(以下、
UV硬化インキと称する)の密着性に劣ったり、逆にU
V硬化インキの密着性は良好であるが、酸化重合(ある
いは溶剤)タイプのインキの密着性に劣る傾向が見られ
る。
【0005】上記の現状から印刷業界においては、使用
する被印刷物の目的に合わせて、UV硬化インキおよび
酸化重合(あるいは溶剤)タイプのインキを選択し、イ
ンキに合わせて印刷用積層フィルムを選択したり、ある
いはその逆の選択を行わねばならないために、在庫の問
題や、工程における切換ロスおよび選択ミス等の解決す
べき他の問題点が残されていた。さらにラベル業界等で
はその作業性を考慮すると、UV硬化インキおよび酸化
重合(あるいは溶剤)タイプのインキの密着性に優れ
た、汎用タイプのポリエステル系積層フィルムが求めら
れていた。
【0006】例えば上記に挙げた、表面層としてポリエ
ステル系樹脂を用いた、ポリエステル系積層フィルムで
は、基材フィルムに対する該表面層の接着性が優れてお
り、かつ酸化重合(あるいは溶剤)タイプのインキの密
着性には比較的良好であるが、UV硬化インキの密着性
には劣っている。
【0007】ウレタン系樹脂を用いて表面層を形成し
た、ポリエステル系積層フィルムにおいては、その多く
は基材フィルムへの接着性が悪い。中には基材フィルム
対する接着性は比較的良好で、かつUV硬化インキの密
着性に良好なものもあるが、酸化重合(あるいは溶剤)
タイプのインキの密着性に劣っている。
【0008】該樹脂を相互に混合したり、また架橋剤等
を混合した場合、例えば水分散性あるいは水溶性のウレ
タン樹脂混合物をフィルム表面に塗布する場合におい
て、使用するポリエステル樹脂組成物中に、本発明によ
る下記一般式(I)で示されるような分岐したグリコー
ル成分を含有しない一般的なポリエステル樹脂と、ウレ
タン樹脂とを混合使用したものでは、UV硬化性インキ
および酸化重合(あるいは溶剤)タイプのインキにおけ
る密着性のどちらかに劣っている。
【0009】
【化1】
【0010】(但しR1およびR2は、水素および炭素数
が1〜10のアルキル基、アルキレン基、アラルキル基
あるいはフェニル基等から選択され、そのうちの少なく
とも一方は炭素数1〜6のアルキル基であり、nおよび
mは1〜6の整数である)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点に着目してなされたものであり、その目的とするとこ
ろは、表面層が該基材フィルムに強固に接着し、かつU
V硬化インキおよび酸化重合(あるいは溶剤)タイプの
インキ等のいずれのインキ銘柄に対してもインキの密着
性に優れた、汎用タイプのポリエステル系積層フィルム
を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明のポリエステル系
積層フィルムは、ポリエステル系樹脂からなる基材フィ
ルムと、該基材フィルムの少なくとも片面に設けられた
表面層とを有し、該表面層が、分岐したグリコールを構
成成分として含有する共重合ポリエステル樹脂(A)
と、重亜硫酸塩をブロック剤とするブロック型イソシア
ネート基を含有する樹脂(B)を主成分とする樹脂組成
物から構成されることを特徴とし、これにより本発明の
かかる目的が達成される。
【0013】本発明のポリエステル系積層フィルムは、
上記樹脂組成物を、結晶配向が完了する前の1軸配向し
たフィルム上に、塗布乾燥した後、延伸し熱セットして
得ることができる。フィルムへの塗布方法は、いわゆる
インラインコーティング、あるいは二軸延伸後のポリエ
ステルフィルムに加工を行う、いわゆるオフラインコー
ティングのいずれの方法でも良く、また公知のコーティ
ングであれば、どのような方法で塗布しても良い。上記
製造方法により、各種インキの密着性、特にUV硬化イ
ンキおよび酸化重合(または溶剤タイプ)のインキの密
着性に優れた、ラベル用等の2次加工用の、ポリエステ
ル系積層フィルムが得られる。
【0014】本発明によるポリエステル系積層フィルム
の、基材フィルムを構成するポリエステル系樹脂として
は、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、ポリエチレン-1,2-ジフェノキシエタ
ン-4,4'-ジカルボキシレートおよびポリエチレン-2,6-
ナフタレート、もしくはこれらの樹脂の構成ポリマー成
分を主成分とする、共重合体が用いられ得る。
【0015】共重合体を用いる場合、そのジカルボン酸
成分としては、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカ
ルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸およ
び2,6-ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン
酸;トリメリット酸およびピロメリット酸などの多官能
カルボン酸などが用いられる。
【0016】また、グリコール成分としては、エチレン
グリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオー
ルおよびネオペンチルグリコールなどの脂肪酸グリコー
ル;p-キシレングリコールなどの芳香族グリコール;1,
4-シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコー
ル;平均分子量が150〜20,000のポリエチレン
グリコール等が用いられる。
【0017】上記のポリエステル系樹脂からなる基材フ
ィルムは、公知の延伸方法によって1軸方向に配向され
ればよいが、好ましくは二軸方向に配向されることによ
り、機械的強度および耐熱性に優れたものが得られる。
フィルムの延伸方法は、逐次延伸あるいは同時延伸のい
ずれの方法が用いられてもよい。なお、上記のポリエス
テル系樹脂には、各種の添加剤が含有されても良い。添
加剤としては例えば、帯電防止剤、滑剤、曇り防止剤、
可塑剤、安定剤、耐ブロッキング剤および着色剤などが
挙げられる。
【0018】本発明のポリエステル系積層フィルムの表
面層を構成する、共重合ポリエステル樹脂(A)は、下
記一般式(I)で示される分岐したグリコール成分を構
成成分として含有する。
【0019】
【化2】
【0020】(但し、R1及びR2は、水素および炭素数
が1〜10のアルキル基、アルキレン基、アラルキル基
あるいはフェニル基等から選択され、そのうちの少なく
とも一方は炭素数1〜6のアルキル基であり、nおよび
mは1〜6の整数である)。
【0021】上記樹脂(A)に含有される分岐したグリ
コール成分としては、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオ
ール、2-メチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メ
チル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-
イソプロピル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-ブチ
ル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-n-ヘキシル-1,3
-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオー
ル、2-エチル-2-n-ブチル-1,3-プロパンジオール、2-エ
チル-2-n-ヘキシル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジ-n-
ブチル-1,3-プロパンジオール、2-n-ブチル-2-プロピル
-1,3-プロパンジオールおよび2,2-ジ-n-ヘキシル-1,3-
プロパンジオールなどが挙げられる。上記の分岐したグ
リコール成分は、全グリコール成分の中に、好ましくは
10モル%以上の割合で、さらに好ましくは20モル%
以上の割合で含有される。共重合ポリエステル樹脂
(A)に含有される上記化合物以外のグリコール成分と
しては、エチレングリコールが最も好ましい。少量であ
れば、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、
ブタンジオール、ヘキサンジオールまたは1,4-シクロヘ
キサンジメタノールなどを用いても良い。
【0022】共重合ポリエステル樹脂(A)に構成成分
として含有される、ジカルボン酸成分としては、テレフ
タル酸およびイソフタル酸が最も好ましい。少量であれ
ば、他のジカルボン酸成分、例えば、アジピン酸、セバ
シン酸およびアゼライン酸などの脂肪酸ジカルボン酸;
ジフェニルジカルボン酸および2,6-ナフタレンジカルボ
ン酸等の芳香族ジカルボン酸を加えて共重合させてもよ
い。
【0023】上記ジカルボン酸成分の他に、水分散性を
付与させるため、4-スルホイソフタル酸を1〜10モル
%の範囲で使用するのが好ましく、例えば、スルホテレ
フタル酸、5-スルホイソフタル酸、4-スルホナフタレン
-2,7-ジカルボン酸および5-(4-スルホフェノキシ)イソ
フタル酸等を挙げることができる。
【0024】本発明のもう1つの構成樹脂成分である、
ブロック型イソシアネート基を含有する樹脂(B)は、
末端イソシアネート基を親水性基で封鎖(以下ブロック
と言う)した、熱反応型の水溶性ウレタンである。
【0025】上記イソシアネート基のブロック剤として
は、重亜硫酸塩類およびスルホン基を含有したフェノー
ル類、アルコール類、ラクタム類、オキシム類および活
性メチレン化合物類等が挙げられる。ブロック化された
イソシアネート基は、ウレタンプレポリマーを親水化あ
るいは水溶化する。フィルム製造時の乾燥あるいは熱セ
ットの過程で、上記樹脂(B)に熱エネルギーが与えら
れると、ブロック剤がイソシアネート基からはずれるた
め、上記樹脂(B)は自己架橋した網目に、混合した水
分散性共重合ポリエステル樹脂(A)を固定化するとと
もに、上記樹脂(A)の末端基等とも反応する。塗布液
調製時の樹脂(B)は、親水性であるため耐水性が悪い
が、塗布、乾燥および熱セットして熱反応が完了する
と、ウレタン樹脂(B)の親水基すなわちブロック剤が
はずれるため、耐水性が良好な塗膜が得られる。上記ブ
ロック剤のうち、熱処理温度および熱処理時間が適当
で、工業的に広く用いられるものとしては、重亜硫酸塩
類が最も好ましい。
【0026】上記樹脂(B)において使用される、ウレ
タンプレポリマーの化学組成としては、(1)分子内に
2個以上の活性水素原子を有する、分子量が200〜2
0,000の化合物、(2)分子内に2個以上のイソシ
アネート基を有する、有機ポリイソシアネート、あるい
は(3)分子内に少なくとも2個の活性水素原子を有す
る鎖伸長剤を反応せしめて得られる、末端イソシアネー
ト基を有する化合物、である。
【0027】上記(1)の化合物として一般に知られて
いるのは、末端又は分子中に2個以上のヒドロキシル
基、カルボキシル基、アミノ基あるいはメルカプト基を
含むものであり、特に好ましい化合物としては、ポリエ
ーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリ
エーテルエステルポリオール等が挙げられる。ポリエー
テルポリオールとしては、例えばエチレンオキシドおよ
びプロピレンオキシド等のアルキレンオキシド類、ある
いはスチレンオキシドおよびエピクロルヒドリン等を重
合した化合物、あるいはそれらのランダム共重合、ブロ
ック共重合あるいは多価アルコールへの付加重合を行っ
て得られた化合物等がある。ポリエステルポリオールお
よびポリエーテルエステルポリオールとしては、主とし
て直鎖状あるいは分岐状の化合物が挙げられる。コハク
酸、アジピン酸、フタル酸および無水マレイン酸等の多
価の飽和および不飽和カルボン酸、あるいは該カルボン
酸無水物等と、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、
1,6-ヘキサンジオールおよびトリメチロールプロパン等
の多価の飽和および不飽和のアルコール類、比較的低分
子量のポリエチレングリコールおよびポリプロピレング
リコール等のポリアルキレンエーテルグリコール類、あ
るいはそれらアルコール類の混合物とを縮合することに
より得ることができる。さらにポリエステルポリオール
としては、ラクトンおよびヒドロキシ酸から得られるポ
リエステル類、またポリエーテルエステルポリオールと
しては、あらかじめ製造されたポリエステル類にエチレ
ンオキシドまたはプロピレンオキシド等を付加せしめた
ポリエーテルエステル類も使用することができる。
【0028】上記(2)の有機ポリイソシアネートとし
ては、トルイレンジイソシアネートの異性体類、4,4'-
ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシ
アネート類、キシリレンジイソシアネート等の芳香族脂
肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート
および4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート
等の脂環式ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソ
シアネートおよび2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイ
ソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、あるいは
これら化合物を単一あるいは複数でトリメチロールプロ
パンなどとあらかじめ付加させたポリイソシアネート類
が挙げられる。
【0029】上記(3)の少なくとも2個の活性水素を
有する鎖伸長剤としては、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、1,4-ブタンジオールおよび1,6-ヘキサ
ンジオールなどのグリコール類、グリセリン、トリメチ
ロールプロパンおよびペンタエリスリトール等の多価ア
ルコール類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミ
ンおよびピペラジン等のジアミン類、モノエタノールア
ミンおよびジエタノールアミン等のアミノアルコール
類、チオジエチレングリコール等のチオジグリコール
類、あるいは水が挙げられる。
【0030】上記(3)のウレタンポリマーを合成する
には通常、上記鎖伸長剤を用いた一段式あるいは多段式
イソシアネート重付加方法により、150℃以下、好ま
しくは70〜120℃の温度において、5分ないし数時
間反応させる。活性水素原子に対するイソシアネート基
の比は、1以上であれば自由に選べるが、得られるウレ
タンプレポリマー中に遊離のイソシアネート基が残存す
ることが必要である。さらに遊離のイソシアネート基の
含有量は10重量%以下であればよいが、ブロック化さ
れた後のウレタンポリマー水溶液の安定性を考慮する
と、7重量%以下であるのが好ましい。
【0031】得られた上記ウレタンプレポリマーは、重
亜硫酸塩を用いてブロック化を行う。重亜硫酸塩水溶液
と混合し、約5分〜1時間、よく攪拌しながら反応を進
行させる。反応温度は60℃以下とするのが好ましい。
その後、水で希釈して適当な濃度にして、熱反応型水溶
性ウレタン組成物とする。該組成物は使用する際、適当
な濃度および粘度に調製するが、通常80〜200℃前
後に加熱すると、ブロック剤の重亜硫酸塩が解離し、活
性なイソシアネート基が再生するために、プレポリマー
の分子内あるいは分子間で起こる重付加反応によってポ
リウレタン重合体が生成したり、また他の官能基への付
加を起こす性質を有するようになる。
【0032】上記に説明したブロック型イソシアネート
基を含有する樹脂(B)の1例としては、第一工業製薬
(株)製の商品名エラストロンが代表的に例示される。
エラストロンは、重亜硫酸ソーダによってイソシアネー
ト基をブロックしたものであり、分子末端に強力な親水
性を有する、カルバモイルスルホネート基が存在するた
め、水溶性となっている。
【0033】本発明で使用される、分岐したグリコール
成分を含有する共重合ポリエステル樹脂(A)およびブ
ロック型イソシアネート基を含有する樹脂(B)を混合
して塗布液を調製する場合、樹脂(A)と樹脂(B)の
重量比は(A):(B)=90:10〜10:90が好
ましく、更に好ましくは(A):(B)=80:20〜
20:80の範囲である。固形分重量に対する上記樹脂
(A)の割合が10%未満では、基材フィルムへの塗布
性が不適で、表面層と該フィルムとの間の密着性が不十
分であるので、酸化重合(あるいは溶剤)タイプのイン
キの密着性が悪くなる。一方、上記樹脂(B)の割合が
10%未満の場合には、酸化重合(あるいは溶剤)タイ
プのインキによる印刷は可能であるが、UV硬化タイプ
のインキにおいては実用性のあるインキの密着性が得ら
れない。
【0034】本発明で使用される水性塗布液には、熱架
橋反応を促進させるため、触媒を添加しても良く、例え
ば無機物質、塩類、有機物質、アルカリ性物質、酸性物
質および含金属有機化合物等、種々の化学物質が用いら
れる。また水溶液のpHを調節するために、アルカリ性
物質あるいは酸性物質を添加してもよい。
【0035】上記水性塗布液を基材フィルム表面に塗布
する際には、該フィルムへの濡れ性を上げ、塗布液を均
一にコートするために、公知のアニオン性活性剤および
ノニオン性の界面活性剤を必要量添加して用いることが
できる。塗布液に用いる溶剤は、水の他にエタノール、
イソプロピルアルコールおよびベンジルアルコール等の
アルコール類を、全塗布液に占める割合が50重量%未
満となるまで混合してもよい。さらに、10重量%未満
であれば、アルコール類以外の有機溶剤を溶解可能な範
囲で混合してもよい。ただし、塗布液中、アルコール類
とその他の有機溶剤との合計は、50重量%未満とす
る。有機溶剤の添加量が50重量%未満であれば、塗布
乾燥時に乾燥性が向上するとともに、水のみの場合と比
較して塗布膜の外観向上の効果がある。50重量%を越
えると、溶剤の蒸発速度が速く塗工中に塗布液の濃度変
化が起こり、粘度が上昇して塗工性が低下するために、
塗布膜の外観不良を起こす恐れがあり、さらには火災な
どの危険性も考えられる。
【0036】上記水性塗布液の組成物には、その効果を
消失しない限りにおいて帯電防止剤、紫外線吸収防止
剤、可塑剤、顔料、有機フィラー、無機フィラーおよび
潤滑剤等の種々の添加剤を混合してもよい。さらに、塗
布液が水性であるため、その寄与効果を消失しない限り
において、性能向上のために、他の水溶性樹脂、水分散
性樹脂およびエマルジョン等を塗布液に添加してもよ
い。
【0037】上記水性塗布液を塗布するには、公知の任
意の方法で行うことができる。例えばリバースロール・
コート法、グラビア・コート法、キス・コート法、ロー
ルブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート
法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含
浸・コート法およびカーテン・コート法などが挙げら
れ、これらの方法を単独であるいは組み合わせて行うこ
とができる。
【0038】上記水性塗布液を塗布する工程は、通常の
塗布工程、すなわち二軸延伸し熱固定した基材フィルム
に塗布する工程でもよいが、該フィルムの製造工程中に
塗布することが好ましい。さらに好ましくは、結晶配向
が完了する前の基材フィルムに塗布する。水溶液中の固
形分濃度は通常30重量%以下であり、好ましくは10
重量%以下である。該水性塗布液は、走行しているフィ
ルム1m2あたり0.04〜5g、好ましくは0.2〜
4gが付着されるように塗工される。該水性塗布液が塗
布されたフィルムは、延伸および熱固定のためにテンタ
ーに導かれ、そこで加熱されて、熱架橋反応により安定
な被膜を形成し、ポリエステル系積層フィルムとなる。
インキの密着性を得るためには、この時のコート量がフ
ィルム1m2あたり0.01g/m2以上であって、10
0℃、1分以上の熱処理が必要である。
【0039】以上のようにして得られた、ポリエステル
系積層フィルムは、各種のインキ受容性に優れ、かつ実
用レベルのインキ密着性を有し、特にUV硬化インキお
よび一般の酸化重合(あるいは溶剤)タイプのインキ
等、いずれのインキ密着性および印刷性にも優れた汎用
タイプの、2次加工用ポリエステル系積層フィルムとし
て用いることができる。
【0040】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
なお、実施例中の「部」は「重量部」を意味し、またポ
リエステル樹脂(A)における略号が示す化合物は下記
の通りである。
【0041】TPA:テレフタル酸 IPA:イソフタル酸 GCM:5-ナトリウムスルホイソフタル酸 EG:エチレングリコール NPG:2,2'-ネオペンチルグリコール DEP:2,2'-ジエチル-1,3-プロパンジオール 得られたポリエステル系積層フィルムは下記の方法に基
づき評価を行った。
【0042】〔インキ密着性〕後述する実施例および比
較例で得られたポリエステル系積層フィルムに、酸化重
合(あるいは溶剤)タイプのインキの場合は、250メ
ッシュのスクリーン印刷を行い、1日風乾し、またUV
硬化タイプのインキの場合は、300メッシュのスクリ
ーン印刷を行い、UV露光装置により500mj/cm
2のUV露光を与えUVインキを硬化させる。次に、各
々のインキ面にカッターで2mm目100マスのクロス
カット面を入れ、その上にニチバンセロテープ(25m
m幅)を気泡の入らないように粘着し、さらにその上を
こすり充分に密着させ、上記インキ面のセロテープが密
着されていない前後の両端部を手で押え、セロテープの
上の方向(角度90度方向)に急速に剥離し、剥離後の
インキ面を観察し、インキ残留率で密着性を判定する。
【0043】 <使用インキ銘柄> 1)酸化重合(あるいは溶剤)タイプインキ 十条化工インキKK製 ポリエステル用 No.9 黒 セイコーアドバンスKK製 RAM 黒 東洋インキKK製 PVC用 SS−8 白 2)UV硬化タイプインキ 東洋インキKK製 FDSS 黒 セイコーアドバンスKK製 UVA 黒 <判定法>クロスカット面を剥離後、インキ残留率を以
下の4段階の基準で評価した。 ◎: 残留率100%で全く剥離しない ○: 〃 90%以上で実用上問題なく使用できる △: 〃 90%未満〜70%の範囲 ×: 〃 70%未満〜50%の範囲 (実施例1)本発明記載のポリエステル樹脂(A)(T
PA:IPA:GCM=49:48:3およびEG:N
PG=20:80;重量比を混合したもの)を以下の方
法に従って調製した。ジメチルテレフタレート95部、
ジメチルイソフタレート95部、エチレングリコール3
5部、ネオペンチルグリコール145部、酢酸亜鉛0.
1部および三酸化アンチモン0.1部を反応容器に仕込
み、140〜220℃で3時間かけてエステル交換反応
を行った。次に5-ナトリウムイソフタル酸6.0部を添
加し、220〜260℃で1時間かけてエステル化反応
を行った後、240〜270℃で減圧下(10〜0.2
mmHg)で2時間かけて重縮合反応を行い、分子量1
9500、軟化点60℃のポリエステル樹脂(A)を得
た。
【0044】得られた樹脂(A)の30%水分散液を
6.7部、重亜硫酸ソーダでブロックしたイソシアネー
ト基を含有する自己架橋型ポリウレタン樹脂(B)の2
0%水溶液(第一工業製薬製:商品名エラストロンH−
3)を40部、エラストロン用触媒(Cat64)を
0.5部、水を47.8部およびイソプロピルアルコー
ルを5部、それぞれ混合し、さらにアニオン性界面活性
剤を1重量%添加し、全固形分が約10重量%の塗布液
とした。次に、1軸延伸を行い約3.5倍となった基材
フィルムに、該塗布液をワイヤーバー(#5)でコート
して、90℃において60秒間乾燥し、1軸方向とは直
交の方向に90℃において4倍延伸した後、200℃の
乾燥ゾーンに60秒間熱処理し、平均塗布量0.2g/
2の表面層を有するポリエステル系積層フィルムを得
た。このフィルムのインキ密着性を表1に示す。
【0045】(実施例2)ポリエステル樹脂(A)(T
PA:IPA:GCM=50:45:5およびEG:D
EP=60:40;重量比を混合したもの)を実施例1
に記載の方法に従って調製した。得られた樹脂(A)の
30%水分散液を16.7部、ポリウレタン樹脂(B)
(エラステロンH−3)20%水溶液を25部、エラス
トロン用触媒(Cat64)を0.5部、水を52.8
部およびイソプロピルアルコールを5部、それぞれ混合
し、アニオン性界面活性剤を1重量%添加し、全固形分
が約10重量%の塗布液とした。この塗布液を、市販の
二軸延伸ポリエステルフィルムにワイヤーバー(#5)
でコートして、160℃において120秒間乾燥、熱処
理し、平均塗布量0.8g/m2の表面層を有するポリ
エステル系積層フィルムを得た。このフィルムのインキ
密着性を表1に示す。
【0046】(比較例1)実施例1のポリエステル樹脂
(A)を用いずに、ポリウレタン樹脂(B)(エラスト
ロンH−3)を25部、エラストロン用触媒(Cat6
4)を0.5部、水を40部およびイソプロピルアルコ
ールを35部、それぞれ混合し、アニオン性界面活性剤
を1重量%添加し、全固形分が5重量%の塗布液を調製
した。その後の操作は(実施例1)と同様にしてポリエ
ステル系積層フィルムを得た。このフィルムのインキ密
着性を表1に示す。
【0047】(比較例2)実施例1のポリウレタン樹脂
(B)を用いずに、実施例1に記載の方法に従って調製
したポリエステル樹脂(A)(TPA:IPA:GCM
=50:45:5およびEG:DEP=50:50;重
量比を混合したもの)を16.7部および水を83.3
部、混合し、全固形分が5重量%の塗布液を調製した。
その後の操作は(実施例1)と同様にしてポリエステル
系積層フィルムを得た。このフィルムのインキ密着性を
表1に示す。
【0048】(比較例3)コート後の熱処理条件を90
℃において120秒間にした以外は実施例2と同様にし
てポリエステル系積層フィルムを得た。このフィルムの
インキ密着性を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よるポリエステル系積層フィルムは、UV硬化インキお
よび酸化重合(あるいは溶剤)タイプのインキのいずれ
においても優れた密着性を有するために、ポリエステル
系積層フィルムとして極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−50835(JP,A) 特開 昭62−97890(JP,A) 特開 昭58−78761(JP,A) 特開 平2−158633(JP,A) 特開 昭60−106838(JP,A) 特開 昭52−72218(JP,A) 特開 平3−182349(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 C08J 7/04 B41M 1/00 - 3/18

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステル系樹脂からなる基材フィル
    ムと、該基材フィルムの少なくとも片面に設けられた表
    面層とを有するポリエステル系積層フィルムであって、 該表面層が、分岐したグリコールを構成成分として含有
    する共重合ポリエステル樹脂(A)と、重亜硫酸塩をブ
    ロック剤とするブロック型イソシアネート基を含有する
    樹脂(B)とを主成分とする樹脂組成物から構成されて
    いることを特徴とする、ポリエステル系積層フィルム。
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