JP2938549B2 - 磁気記録媒体用ポリエステル系フィルム - Google Patents

磁気記録媒体用ポリエステル系フィルム

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JP2938549B2
JP2938549B2 JP27380790A JP27380790A JP2938549B2 JP 2938549 B2 JP2938549 B2 JP 2938549B2 JP 27380790 A JP27380790 A JP 27380790A JP 27380790 A JP27380790 A JP 27380790A JP 2938549 B2 JP2938549 B2 JP 2938549B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は磁気記録媒体用のベースフィルムとして使用
されるポリエステル系フィルムに関し、詳細にはポリエ
ステル系樹脂よりなる基材フィルムの表面に特定のポリ
エステルポリウレタン系重合体よりなる薄層が形成さ
れ、その上に形成される磁気記録層やバックコート層と
の密着性が改善され、且つ平滑度が高く電磁変換特性の
良好な磁気記録媒体を与える磁気記録媒体用ポリエステ
ル系フィルムに関するものである。
[従来の技術] ポリエステル系樹脂よりなる2軸延伸フィルムは耐熱
性、寸法安定性、強度等に優れたものであるところか
ら、磁気記録媒体用のフィルム基材として広く利用され
ている。しかしながら2軸延伸ポリエステルフィルムは
高度に結晶配向しており、磁気記録層やバックコート層
との接着性が悪いので、磁気記録媒体用基材フィルムと
して使用するに当たっては、 その表面に密着性改善のためのプライマー層を設ける
方法、 表面にコロナ放電処理、各種ガス雰囲気下のコロナ放
電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、火焔処理等を
施す方法、あるいは 基材表面に酸、アルカリ、アミン水溶液,トリクロル
酢酸、フェノール類等によってケミカルエッチング処理
を施す方法、更には 上記〜処理を併用する方法 等によって接着性を高める方法が採用されている。これ
らの中でもポリエステル系フィルム基材上にプライマー
層を設ける方法は、処理の容易性、作業の安全性、コス
ト、密着性改善効果等のすべてにおいて優れたものであ
るところから広く実用化されている。ここで使用される
プライマー処理剤として多くの組成物が提案されてお
り、中でもポリウレタン樹脂を主成分とするプライマー
処理剤は、ポリエステル系フィルム基材への塗布性、塗
布層の接着性、耐ブロッキング性等に優れたものとして
注目されている。
しかしながら従来のプライマー処理剤は、特定の磁性
塗料に対してはそれなりの効果を示すものであっても、
塗料の種類が変わるとその効果が得られないなど、他種
類の磁性塗料に対して満足のいく安定したプライマー効
果が得られる訳ではない。しかも基材フィルム上にプラ
イマー層を形成してからロール上に巻き取ったとき、フ
ィルム同士がブロッキングを起こし易いという問題も指
摘されている。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであ
って、その目的は、ブロッキング等の問題を生ずること
なく、磁気記録層やバックコート層に対して優れた接着
性を示す様な磁気記録媒体用ポリエステル系フィルムを
提供しようとするものである。
[課題を解決するための手段] 上記課題を解決することのできた本発明に係る磁気記
録媒体用ポリエステルフィルムの構成は、 ポリエステル系樹脂よりなる基材フィルムの少なくと
も片面に、 少なくともポリエステルポリオールを含むポリオール
成分と、 ポリイソシアネート成分 を含有する原料成分から得られる、水分散性であるが水
不溶性のポリエステルポリウレタン系重合体であって、 該重合体をフィルム状としたときの下記方法によって
求められる粗大突起数が100cm2当たり10個以下であるポ
リエステルポリウレタン系重合体 を被覆したものであるところに要旨を有するものであ
る。
(粗大突起数の測定法) クリーンルーム内で、平滑なガラス板上にポリエステ
ルポリウレタン系重合体よりなる厚さ0.1μmのフィル
ムを形成し、その上に厚さ10μmの平滑なフィルムを重
ね合わせて密着した後上方からNaのD線を照射し、上記
重合体中に含まれる未分散物や異物に由来する突起によ
って形成される干渉リングの次数が3以上であるものの
数を粗大突起数として求める。
[作用] 本発明で使用される基材フィルムとしては、熱可塑性
のポリエステル系樹脂フィルム、例えば、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエ
チレンナフタレートなどのフィルムが挙げられる。中で
も特に好ましいのは、樹脂成分の80%以上がポリエチレ
ンテレフタレートである単独もしくは共重合ポリエステ
ルフィルム,あるいはポリエチレンテレフタレートを80
%以上の割合で含有するポリエステルブレンドフィルム
である。
上記共重合ポリエステルやポリエステルブレンド物に
おけるポリエチレンテレフタレート成分以外のポリエス
テル成分には格別の制限はなく、任意のポリエステル成
分を組合わせることができる。そのようなポリエステル
を構成するジカルボン酸成分としては、芳香族、脂肪族
および脂環族のジカルボン酸がいずれも使用できる。芳
香族ジカルボン酸としては、イソフタル酸、オルソフタ
ル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが、また脂肪
族ジカルボン酸としては、こはく酸、アジピン酸、セバ
シン酸、シュウ酸などが、そして脂環族ジカルボン酸と
しては、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シク
ロヘキサンジカルボン酸などが例示される。尚芳香族ジ
カルボン酸の一部に代えてp−ヒドロキシ安息香酸など
のオキシカルボン酸を併用することも有効である。
上記ポリエステルを構成するグリコール成分として
は、炭酸数2〜8個の脂肪族グリコールまたは炭酸数6
〜12個の脂環族グリコールが好ましい。このようなグリ
コールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパン
ジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオー
ル、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘ
キサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル、p−キシレングリコール、ジエチレングルコール、
トリエチレングリコールなどが挙げられる。この他、脂
肪族グリコールとしてポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールな
どのポリエーテルグリコールを使用することも可能であ
る。
上記の酸成分とグリコール成分とは、通常の方法で重
縮合することによりポリエステルとされる。このポリエ
ステルは、単独で、もしくは必要により2種以上を適宜
併用してもよく、またポリエステルの製造過程で他の共
重合性成分を少量共重合させたり、あるいはポリエステ
ル以外の樹脂を少量ブレンドしてもよく、更には必要に
応じて酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、顔料、紫外線吸収
剤等を適量配合してもよい。これらの樹脂は、通常溶融
・押出法により、あるいは溶剤に溶解して流延させるキ
ャスティング法により基材フィルムとされる。この基材
フィルムは未延伸状態で使用してもよく、あるいは必要
に応じて1軸もしくは2軸延伸して用いてもよい。
次に、上記基材フィルムの少なくとも片面に接着性改
善層として形成されるポリエステルポリウレタン系重合
体は、ポリエステルポリオールとポリイソシアネート、
および必要に応じて2個以上の活性水素を有する低分子
化合物よりなる鎖延長剤を反応させることによって製造
される。
上記ポリエステルポリオールは、ジカルボン酸とグリ
コールとの反応によって得られるもので、ジカルボン酸
成分としては、芳香族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸
がいずれも使用できる。芳香族ジカルボン酸としては、
テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−
ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、その一部に代
えてp−ヒドロキシ安息酸等のオキシ酸を併用すること
もできる。脂肪族ジカルボン酸としては、こはく酸、ア
ジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、シュウ酸などが
用いられる。また脂環族ジカルボン酸としては、1,3−
シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジ
カルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−
シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。
ポリエステルポリオールを構成するグリコール成分と
しては、炭素数2以上の脂肪族グリコール類および脂環
族グリコール類がいずれも使用できるが、本発明におい
ては特に炭素数4以上のアルキレングリコール類(例え
ば、ブタンジオール、ヘキサンジオール)と、脂環族グ
リコール類(例えば、シクロヘキサンジメタノール)ま
たはビスフェノール系化合物とを併用することが好まし
い。
上記ジカルボン酸成分と多価アルコール成分を使用
し、溶融重縮合法、溶液重縮合法、界面重縮合法等によ
り重縮合を行なうと、ポリエステルポリオールが得られ
る。例えば、上記各成分を直接反応させ、水を留去して
エステル化しつつ重縮合を行なう直接エステル化法;あ
るいは上記ジカルボン酸成分のジアルキルエステルとグ
リコール成分とを反応させ、生成するアルコールを留去
しつつエステル交換を行わせると共に重縮合を行なうエ
ステル交換法などが採用される。
尚、本発明のポリエステルポリウレタン系重合体を得
るうえで好ましいポリエステルポリオールは硬質のもの
であり、特にポリエステルポリオールを構成するジカル
ボン酸成分が主として芳香族ジカルボン酸よりなるもの
で、ガラス転移温度(Tg)が10℃以上60℃以下のポリエ
ステルポリオールが好ましい。Tgが10℃未満のもので
は、積層フィルムをロール状に巻取った場合に、ポリエ
ステルポリウレタン系重合体よりなる被覆層がブロッキ
ングを起こり易くなる傾向があり、一方、Tgが60℃を超
えるものでは被覆層と基材ポリエステルフィルム及び磁
気記録層及び/またはバックコート層との接着性が不十
分になることがある。
このようにして得られるポリエステルポリオールに反
応させるポリイソシアネート類としては、芳香族、脂肪
族、および脂環族のポリイソシアネートがいずれも使用
できるが、好ましいのはトルイレンジイソシアネートの
ような芳香族ジイソシアネートであり、このような芳香
族ジイソシアネートを用いて得られるポリウレタン結合
含有組成物は被膜としたときの強度が高く、しかも磁気
記録層やバックコート層に対して優れた接着性を示すも
のとなる。
ポリエステルポリウレタン系重合体は、前記ポリエス
テルポリオールに上記ポリイソシアネートを常法に従っ
て反応させることによって得られるが、このときジオー
ル、ジアミンの如き2個以上の活性水素を有する低分子
化合物を鎖延長剤として共存させて鎖延長させることも
有効である。ここで使用されるジオールとしては1,6−
ヘキサンジオールなどが、またジアミンとしてはエチレ
ンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ピペラジンなど
が好ましいものとして例示される。皮膜強度を高めるう
えでより好ましいのはジアミンである。
かくして得られるポリエステルポリウレタン系重合体
のうち、本発明においては、水分散性であるが水不溶性
である重合体が使用される。ここで「水不溶性」とは、
対象となるポリエステルポリウレタン系重合体を80℃の
熱水に浸漬して撹拌した場合でも、この熱水中に該重合
体が溶解しない特性を言い、より具体的には、ポリエス
テルポリウレタン系重合体をチップ状とし、これを大過
剰の熱水(80℃)に入れて、24時間撹拌を行なったとき
に、該重合体の溶解により重量減少が5重量%以下であ
るものを水不溶性のものとする。しかしこのポリエステ
ルポリウレタン系重合体は適度の極性を有しており、例
えば、 該重合体の微粒子を乳化剤と共に水中で強撹拌する方
法、 該ポリエステルポリウレタン系重合体を合成するとき
に、末端にイソシアネート基を有するポリウレタン(プ
レポリマー)(必要により鎖延長剤)および乳化剤を水
中で強撹拌して反応させ、機械的剪断力による分散と高
分子化を並行して進める方法、 ポリエステルポリウレタン系重合体の側鎖または末端
に水酸基、アミノ基、カルボキシル基などのイオン性基
を導入することにより自己乳化性を付与して分散させる
方法 などによって水に分散させることができる。但し被膜の
耐水性を考慮すると、乳化剤を使用しない水分散法を採
用することが望まれる。尚この水分散液には、必要に応
じて異なる成分組成の水分散性ポリウレタンや他の水分
散性樹脂化合物を加えてもよい。ここで用いられる他の
水分散性樹脂成分としては、例えば水分散性のポリエス
テル樹脂、水分散性のアクリル樹脂等が挙げられる。た
だし被膜の耐水性を考慮すると、ポリマー重合体の側鎖
または末端に水酸基、アミノ基、カルボキシル基などの
イオン性基を導入することにより自己乳化性を付与させ
て分散したものが望ましい。また添加物としては、滑
剤、顔料、防腐剤、紫外線吸収剤、制電剤等の各種添加
物を添加したり、もしくは上記の水分散工程でこれらの
添加剤を適宜加えて均一な水系分散液とすることができ
る。
ここで用いられる添加物および添加剤としては、例え
ば、シリカ、炭酸カルシウム、カオリナイト、アルミ
ナ、タルク、硫酸バリウムなどの無機質不活性粒子;ベ
ンゾグアナミン系樹脂、ポリスチレン系樹脂などの有機
質不活性粒子(いずれも粒径0.01〜10μm程度)が挙げ
られ、これらを添加することにより、滑り性や耐ブロッ
キング性を一段と改善することができる。さらに必要に
応じて顔料;有機系、無機系の制電剤;防腐剤;紫外線
吸収剤などを適量加えることも可能である。
上記のポリエステルポリウレタン系樹脂よりなる水分
散液は、前記基材フィルム上に既知の方法により塗布さ
れる。例えば、溶融・押出しにより得た未延伸の基材フ
ィルム、あるいはこれを1軸もしくは2軸延伸した基材
フィルム上に上記水分散液を塗布し、必要に応じてさら
に延伸および後加熱処理が行われる。こうした方法の中
でも未延伸もしくは1軸延伸した基材フィルム上に水分
散液を塗布し、次いで1軸または2軸延伸し、熱処理す
る方法は、被覆層の接着性や表面強度をより効果的に高
めることのできる方法として推奨される。尚上記水分散
液の塗布には、ロールコーティング法(グラビア法、リ
バース法など)、ナイフコーティング法、ロッドコーテ
ィング法、ノズルコーティング法、エアーナイフコーテ
ィング法など既知の方法がいずれも採用できる。尚、水
分散液の塗布に先立って、基材フィルム表面にコロナ放
電処理あるいはその他の物理的、化学的表面活性化処理
を施すことも可能である。
上記水分散液の塗布量は、用途、目的に応じて適宜選
定されるが、最も一般的なのは、2軸延伸などを経て最
終的に得られる被覆フィルムの単位面積(m2)当たりの
乾燥重量で0.01〜5g,好ましくは0.02〜1gの範囲であ
る。塗布量が0.01g/m2未満では十分な接着性改善効果が
得られにくく、一方5g/m2を越えるとブロッキングが生
じ易くなる。
ところで基材フィルム上に被覆層として形成されるポ
リエステルポリウレタン系樹脂層は、磁気記録層やバッ
クコート層に対する接着性を高めるものであるが、この
被覆層中に混入することのある不溶性の異物に由来する
粗大突起は、その上に磁気記録層を形成した場合におけ
るドロップアウト等の信号欠陥を生ずる原因になる。従
って該被覆層に存在する粗大突起は極力少なくしなけれ
ばならず、従って本発明では、磁気記録媒体用フィルム
として必要な平滑度を確保するための基準として、以下
に示す粗大突起数を規定する。
即ちクリーンルーム内で、平滑なガラス板上に上記ポ
リエステルポリウレタン系重合体よりなる厚さ0.1μm
のフィルムを形成し、その表面に厚さ10μmの平滑なフ
ィルムを重ね合わせて密着させた後、上方からNaのD線
を照射したとき、該ポリエステルポリウレタン系重合体
中に含まれる未分散物や異物に由来する粗大突起によっ
て形成される干渉リングの次数が3以上であるものが10
0cm2当たり10個以下、より好ましくは3個以下でなけれ
ばならない。これよりも粗大突起数が多くなると、磁気
記録媒体として使用したときにドロップアウト等の欠陥
が多くなり、本発明の目的に適合し得なくなる。この様
な清浄度の高い水分散液を得るには、塗装前に該水分散
液を孔径3μm程度以下、より好ましくは1.5μm程度
以下のフィルターに通し、粗大不溶物を除去すればよ
い。尚上記干渉リングが2次以下である微小突起につい
ては、磁気特性に殆んど悪影響を及ぼすことがないの
で、本発明では特に問題としないが、これらの微小突起
についても少ない方が好ましいことは勿論である。
かくして得られる本発明の磁気記録媒体用ポリエステ
ル系フィルムは、基材と被覆層との層間接着性、および
該被覆層とその表面に形成される磁気記録層やバックコ
ート層との接着性が共に良好であり、またロール状に巻
回した場合でもブロッキングを起こすことがない。しか
も該フィルムの粗大突起は少なく表面平滑度の高いもの
であるから、これをベースフィルムとして使用すること
によって優れた電磁変換特性の磁気記録媒体を得ること
ができる。
[実施例] 以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
尚実施例で採用した性能評価法は下記の通りである。
また下記実施例において「部」とあるのは特記しない限
り「重量部」を意味する。
接着性評価 評価用塗料−1(磁性塗料) Co−γ−Fe2O3 100部 塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体 18部 ウレタン変性飽和ポリエステル樹脂 18部 α−アルミナ 3部 カーボンブラック 1部 トルエン 105部 メチルエチルケトン 105部 シクロヘキサノン 105部 上記原料配合でボールミルにより約12時間混合分散し
た後、これに パルミチン酸 1部 ドデシルステアレート 2部 オレイン酸 2部 を加えて更に30分間混合する。
次にトリイソシアネート化合物の固形分75%酢酸エチ
ル溶液を14部加えて更に1時間混合し磁性塗料とする。
評価用塗料−2(バックコート塗料) カーボンブラック 50部 塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体 30部 トリイソシアネート 30部 ポリウレタンエラストマー 30部 ニトロセルロース 30部 ステアリン酸アミド 5部 トルエン 120部 メチルエチルケトン 120部 をボールミルで10時間撹拌混合し、バックコート塗料と
する。磁性塗料は、供試フィルム上に乾燥後の厚さが3
μmとなる様に塗布し、磁場配向処理を施した後60℃で
乾燥してから100℃でカレンダー処理し、更に60℃で72
時間キュァを行う。
またバックコート塗料については、供試フィルム上に
乾燥後の厚さが1μmとなる様に塗布し、60℃で乾燥し
た後100℃でカレンダー処理し、更に60℃で72時間キュ
ァを行う。
塗料接着性の評価 供試フィルム上に、上記磁性塗料を所定の条件でコー
ティングした後、得られたフィルムの塗布面に23℃で50
%RHの雰囲気下で、「ニチバンLP−12」(巾12mm×長さ
10cm)を気泡の入らないように貼り付け、この上にロー
ルを押しつけてならす。
次いで80゜方向に手ですみやかにテープを剥離し、フ
ィルム上に残った磁性塗料の量から接着性を目視判定す
る。
○:全く剥れない △:一部に剥れが見られる ×:全体の1/2以上が剥れる 耐ブロッキング性 片面にポリエステルポリウレタン系重合体を塗布した
2枚のフィルム(3cm×3cm)の、塗布面と非塗布面とを
重ね合わせ、これを6cm×6cmのシリコーンラバーおよび
同寸法で厚さ7mmのガラス板によって両側から挟む。こ
れに2kgの荷重をかけ、50℃×85%RHの雰囲気で48時間
放置した後、フィルムを剥離したときの粘着状態を観察
する。
○:粘着が全く見られない △:所々にフィルムの粘着が起こっている ×:全面で粘着が起こっている 粗大突起の評価 バーコーターを使用し、ポリエステルポリウレタン系
水分散液をクラス1000のクリーンルーム内で平滑なガラ
ス板上に乾燥膜厚が0.1μmとなる様にコーティングし
乾燥する。次いで該コーティング膜上に、異物の混入を
極力少なくした厚さ10μmのポリエステルフィルムを重
ね合わせ、ローラーで隙間の空気を押し出して密着させ
た後、上からNaのD線を当、て生じる干渉リングを観察
する。そして該干渉リングの縞の数が3以上であるもの
の数を調べ、100cm2当たりの個数として求める。
実施例1,2 (A)ポリエステルポリオールの調製 温度計、窒素ガス導入管、撹拌機を備えた反応器にエ
チレングリコール310部、ネオペンチルグリコール520
部、ジメチルテレフタレート392部およびジメチルイソ
フタレート392部を装入し、窒素ガスを導入しながら、
加熱溶融撹拌しつつ、200℃で6時間、メタノール留出
量が252部となるまで反応させる。次いで120℃まで冷却
してから292部のセバシン酸を加え、更に200℃で8時間
反応して、水酸基価103.9、酸価11.1のポリエステルポ
リオール(a)を得た。また原料配合を変えたほかは同
様の方法でポリエステルポリオール(b)を得た。各々
の原料配合および恒数を第1表に示す。
(B)ポリエステルポリウレタン水分散液の調製 上記で得たポリエステルポリオール(a)または
(b)100部を減圧下120℃で脱水し、80℃まで冷却した
後、メチルエチルケトン100部を加えて十分撹拌溶解し
た。次いでトリレンジイソシアネート65.3部と2,2−ジ
メチロールプロピオン酸(鎖延長剤)17.7部を加え、70
℃で10時間反応させた。反応終了後40℃まで冷却し、ピ
ペラジン12.3部を加えて鎖延長反応を行った後、トリエ
チルアミン13.3部および水500部を加え、水溶化した。
得られた半透明な反応生成物を減圧下に65℃でメチル
エチルケトンを除去した後、水を加えて濃度調整を行な
い、不揮発分25%の安定な水分散液を得た。
この水分散液をさらに水とイソプロピルアルコールの
等量混合液中に加え、固形分5%のポリエステルポリウ
レタン水分散液[塗布液(a)または(b)]を得た。
(C)被覆ポリエステルフィルム(磁気記録媒体用ベー
スフィルム)の作製 平均粒径0.8μmのCaCO3微粒子が2500ppmの濃度で分
散されたポリエチレンテレフタレートを使用し、290℃
でフィルム状に溶融押出しした後25℃の冷却ロールで冷
却し、厚さ150μmの未延伸フィルムを得た。この未延
伸フィルムを周速の異なる90℃に加熱された1対のロー
ル間で縦方向に3.5倍延伸し、1軸延伸された基材フィ
ルムを得た。
次いで前記(A)項で得たポリエステルポリウレタン
を含む塗布液(a)または(b)を孔径1.0μmのフィ
ルターに通した後、上記(B)項で得た基材フィルム上
にロールコーター法によって塗布した。70℃で熱間で乾
燥し、次いでテンターを用いて98℃で横方向に3.5倍延
伸した後200〜210℃で熱固定し、厚さ12μmの2軸延伸
された磁気記録媒体用ポリエステル系フィルム(a),
(b)を得た。該フィルムにおける最終的な被覆剤(ポ
リエステルポリウレタン系樹脂組成物)の塗布量は約0.
04g/m2であった。得られたフィルム(a),(b)の耐
ブロッキング性、接着性および粗大突起の評価を第2表
に示す。
比較例1 平均粒径0.8μmのCaCO3微粒子が2500ppmの濃度で分
散されたポリエチレンテレフタレートを使用し、290℃
でフィルム状に溶融押出しし、25℃の冷却ロールで冷却
して厚さ150μmの未延伸フィルムを得た。この未延伸
フィルムを、周速の異なる90℃に加熱された1対のロー
ル間で縦方向に3.5倍延伸し、次いでテンターを用いて9
8℃で横方向に3.5倍延伸し、さらに200〜210℃で熱固定
して厚さ12μmの2軸延伸ポリエステルフィルムを得
た。得られたフィルムのブロッキング性、接着性および
粗大突起の評価を第2表に示す。
比較例2 実施例1において孔径5μmのフィルターを使用した
以外は実施例1と全く同様にして2軸延伸コーティング
ポリエステルフィルムを得た。
得られたフィルムのブロッキング性、接着性および粗
大突起の評価を第2表に示す。
第2表からも明らかである様に、ポリエステルポリウ
レタン系重合体の被覆された本発明のポリエステル系フ
ィルムは、磁気記録膜およびバックコート膜との密着性
が良く、且つ表面の異物突起も少なく、磁気記録媒体用
ベースフィルムとして好適なものであることが分かる。
[発明の効果] 本発明は以上の様に構成されており、ポリエステル系
フィルムの表面に、ポリエステルポリウレタン系樹脂よ
りなる特定の被覆層を設けることにより、磁気塗膜やバ
ックコート用塗膜との密着性および表面平滑性が改善さ
れており、高性能の磁気記録媒体を得るためのベースフ
ィルムとして極めて優れたものである。
フロントページの続き (72)発明者 松本 治男 福井県敦賀市東洋町10番24号 東洋紡績 株式会社総合研究所敦賀分室内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G11B 5/704 B32B 1/00 - 35/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステル系樹脂よりなる基材フィルム
    の少なくとも片面に、 少なくともポリエステルポリオールを含むポリオール成
    分と、 ポリイソシアネート成分 を含有する原料成分から得られる、水分散性であるが水
    不溶性のポリエステルポリウレタン系重合体であって、 該重合体をフィルム状としたときの下記方法によって求
    められる粗大突起数が100cm2当たり10個以下であるポリ
    エステルポリウレタン系重合体 を被覆したものであることを特徴とする磁気記録媒体用
    ポリエステル系フィルム。 (粗大突起数の測定法) クリーンルーム内で、平滑なガラス板上にポリエステル
    ポリウレタン系重合体よりなる厚さ0.1μmのフィルム
    を形成し、その上に厚さ10μmの平滑なフィルムを重ね
    合わせて密着した後上方からNaのD線を照射し、上記重
    合体中に含まれる未分散物や異物に由来する突起によっ
    て形成される干渉リングの次数が3以上であるものの数
    を粗大突起数として求める。
  2. 【請求項2】原料成分が、2以上の活性水素を有する低
    分子化合物を鎖延長剤として含有するものである請求項
    (1)記載のフィルム。
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