JP3075902B2 - 水分散コーティング組成物の製造法 - Google Patents

水分散コーティング組成物の製造法

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JP3075902B2 JP06010633A JP1063394A JP3075902B2 JP 3075902 B2 JP3075902 B2 JP 3075902B2 JP 06010633 A JP06010633 A JP 06010633A JP 1063394 A JP1063394 A JP 1063394A JP 3075902 B2 JP3075902 B2 JP 3075902B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水分散コーティング組
成物の製造法に関する。更に詳しくは、本発明は、分子
内に親水性基を全く有しないか又は少量有するポリエス
テル樹脂からなる微粒子を水に均一に分散させた水分散
コーティング組成物の製造法に関し、磁気テープ、磁気
ディスク、印刷材料、製版、OHPフィルム、包装材、
写真フィルム、コンデンサー、グラフィックス等用に有
用なポリエステル易接着フィルムに用いることができる
水分散コーティング組成物の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】二軸延伸熱固定したポリエステルフィル
ムは機械強度、耐熱性、ガス遮断性、電気的特性および
耐薬品性が他の樹脂からなるフィルムに比べて優れ、産
業上の種々の分野で利用されている。しかし、その表面
は高度に結晶配向されているので表面の凝集性が高く、
塗料、接着剤、インキ等の受容性に乏しい。
【0003】そこで、ポリエステルフィルムの表面に合
成樹脂層を設ける場合、両者の接着を強靭にするため
に、基体表面をコロナ放電処理、紫外線照射処理、プラ
ズマ処理あるいは火焔処理を施し、表面を活性化したあ
と合成樹脂層塗膜を被覆する手段が適用されている。
【0004】しかしながら、これらの基材表面への活性
化手段は、被覆物質層に対して濡れによる二次結合力の
増進から接着性向上は期待し得るものの、その活性は経
時的に低下する。このような理由により表面の活性化手
段は必ずしも満足すべきものではない。
【0005】ポリエステルフィルム基体表面の受容性を
高める他の方法として、種々の薬剤でフィルム表面を膨
潤または部分的溶解するエッチング方法が提案されてい
る。これはフィルム表面を酸、アミン水溶液、トリクロ
ル酢酸またはフェノール類らの薬剤に浸漬し、表面をエ
ッチングして表面近傍の結晶配向を分解、溶解、緩和な
どを施すと同時に凝集性を低下させてバインダー樹脂と
の付着性を高めようとするものであって、その効果は確
実で、基材フィルムとその上に設けられる合成樹脂塗膜
層の密着性は強固となる。しかしながら、この方法に用
いられる薬剤には有害のものもあって、取扱い上危険を
伴ったり、大気中に薬剤の揮発物が放出される惧れがあ
り、作業環境の汚染をもたらさないような万全の注意が
必要となるなど実用面で種々の不利な問題がある。
【0006】この方法に類似する手段として、予め基体
フィルム上にプライマー層(下塗り層)を設け、基材フ
ィルムとは異質の表面層を薄く形成させた後所望する合
成樹脂層を被覆する方法がある。例えば特開昭53−2
536号公報にはコーティング物をポリエステルフィル
ム上に塗布する方法が開示されているが、該コーティン
グ物が水溶性であるため耐湿性が劣ったり、また塗布時
の溶媒として有機溶剤を使用しているためその使用環境
が制約されることが多い。
【0007】また、溶剤を用いたコーティング組成物の
下塗り層形成に際しては、概ね製膜工程とは別のプロセ
スにおいて塗布処理が行われるので、処理工程中でゴ
ミ、夾雑物などの塵埃をまきこむ危険がある。この理由
からフィルムの高度化加工商品、例えばビデオ用磁気テ
ープ、オーディオ用磁気テープ、コンピューター用磁気
テープ、X線写真フィルム、印刷用写真フィルム、ジア
ゾマイクロフィルムなどの精密微妙な品質を維持しなけ
ればならない用途においては、易接着性の表面がうまく
形成されたとしてもベースフィルムとしての塵埃による
表面欠陥があるとこれら用途には供し得ない。特に、ベ
ースフィルムを所望する加工品に仕上げるに際し、その
中間で一度加工性に富む表面に変性すべく、プライマー
コート処理の工程を設けることは、合理性を欠き、経済
的あるいは工業技術上も有利とは言えない。
【0008】そこでプライマー(下引)を施すプロセス
を極力塵埃の生じにくい雰囲気、すなわちポリエステル
フィルム製造の工程中で実施遂行する場合には、前述の
高度化フィルム加工商品の用途にも充分対応が可能とな
る。
【0009】そしてこのようなフィルム製造プロセスで
のインライン下引処理を行うことが望まれる。この下引
き処理として、例えばポリエステルの水溶液を塗布する
方法が提案されているが、水溶液を用いるために耐湿性
が劣る等の欠点がある。
【0010】また、このインラインにおける下引き処理
には水分散液が特に好ましい。何故なら、有機溶剤を溶
媒として用いたコーティング組成物を用いると、逸散有
機溶剤による周囲環境の汚染、安全および衛生上好まし
からざる状態を招来し、製膜工程に悪影響を及ぼすから
である。
【0011】水不溶のポリエステル樹脂を水分散化する
方法としては、従来から、(1)ポリエステル樹脂およ
び水と共に乳化剤、分散剤、懸濁化安定剤等を用いて乳
化液または懸濁液を造る;(2)ポリエステル樹脂を加
熱溶融させ、水または他の媒体と接触分散させた後に不
要な媒体を除去する;(3)ポリエステル樹脂の微粒子
を前もって造り、この粒子を水に分散させ安定化させ
る;(4)一旦ポリエステル樹脂を溶解する溶剤に溶解
し、得られた溶液と水とを混合してから脱溶剤して水分
散液とする方法がとられている。
【0012】しかし、(1)の方法では大量の乳化剤、
分散剤が必要であり、更にこの乳化剤、分散剤によって
塗布したポリエステル樹脂の可塑化が起り、耐湿性や耐
熱性が低下する。(2)の方法では高温のポリエステル
が水と接触するためにエステル部分の分解により分子量
の低下が起り、接着性や耐熱性の劣化が起る。(3)の
方法では微粒子の工程が複雑であり、またその分散液の
安定性が劣る。(4)の方法では、単にポリエステルを
溶剤に溶解してから水を加えても、ポリエステル粒子が
凝集をおこして安定な水分散体が得られ難く、また分散
できても粒子の平均粒径が大きくて、沈降したり、塗布
物の品質を低下させる欠点を有する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
の問題を解消し、かつ二軸延伸ポリエステルフィルムの
種々の製造条件下においても、易接着性を付与した効果
が発現できる塗膜を塗設するに適した水分散コーティン
グ組成物を効率良く、且つ安定して製造する方法を提供
することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、ジカルボン酸
成分に対しスルホン酸塩基及び/又はカルボン酸塩基を
分子内に25モル%以下の量有するポリエステル樹脂微
粒子を水に均一分散せしめて水分散コーティング組成物
を製造する方法において、(i)該ポリエステル樹脂を
溶解する有機良溶媒(A)と該ポリエステル樹脂を溶解
しない有機貧溶媒(B)との混合溶媒に該ポリエステル
樹脂を溶解して混合溶液を得、(ii)次いでを該混合溶
液と水とを混合して安定した水分散液となし、(iii)し
かる後前記各溶媒をを蒸留等の分離手段により留去する
ことからなる水分散コーティング組成物の製造法および
(i)該ポリエステル樹脂を溶解する有機良溶媒(A)
に該ポリエステル樹脂を溶解して溶液を得、(ii)次い
で該溶液に該ポリエステル樹脂を溶解しない有機貧溶媒
(B)を微粒子が実質的に析出しない範囲で加えて混合
溶液とし、(iii)更に該混合溶液と水とを混合して安定
した水分散液となし、(iV) しかる後前記各溶媒をを蒸
留等の分離手段により留去することからなる水分散コー
ティング組成物の製造法である。
【0015】本発明に用いる、ジカルボン酸成分に対し
スルホン酸塩基及び/又はカルボン酸塩基を分子内に2
5モル%以下の量有するポリエステル樹脂は、ジカルボ
ン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたは
そのエステル形成性誘導体とから合成される共重合の線
状飽和ポリエステルである。このようなポリエステルの
ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル
酸、フタル酸、無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸、4,4´−ビフェニルジカルボン酸、フェニ
ルインダンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、無
水コハク酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ダ
イマー酸、イタコン酸、フェニルキノキサリンジカルボ
ン酸等を例示することができ、更にトリメリット酸、ピ
ロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット
酸、ブタンテトラカルボン酸二無水物、等の多価カルボ
ン酸を例示することができる。また、これらの成分と共
にp−ヒドロキシ安息香酸、p−(β−ヒドロキシエト
キシ)安息香酸等のヒドロキシカルボン酸も用いること
ができる。
【0016】また、ジオール成分としてはエチレングリ
コール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジ
オール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリ
コール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、1,6−シクロヘキサン
ジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、
p−キシリレングリコール、トリメチロールプロパン、
ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメ
チレンオキシド)グリコール、ジメチロールプロピオン
酸、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加物、
等が用いられ、グリセリン等の多価ヒドロキシ化合物も
少量使用しうる。
【0017】本発明のポリエステル樹脂には、スルホン
酸塩基及び/又はカルボン酸塩基が分子内に25モル%
以下の量含まれるものを用いる。該ポリエステルの水分
散体を製造する際に、スルホン酸塩基及び/又はカルボ
ン酸塩基を分子内に導入してあると安定な水分散体が得
られ易いので好ましい。また、スルホン酸塩基及び/又
はカルボン酸塩基の量を調整することにより、水分散体
を塗布して得られるフィルムの親水性や接着性、帯電性
等を実用上好ましい性能に調整することができる。該ス
ルホン酸塩基及び/又はカルボン酸塩基の量はポリエス
テル樹脂分子内のジカルボン酸に対し25モル%以下で
あり、好ましくは0.01〜10モル%、更に好ましく
は0.01〜0.5モル%である。この量が25モル%
を越えると水分散体を塗布して得られるフィルムの吸湿
性や帯電性が悪くなる。また、吸湿性が特に重要なフィ
ルム用には10モル%以下が好ましく、吸湿性や帯電性
が特に重要なフィルム用には0.5モル%以下が好まし
い。
【0018】有機スルホン酸塩基を分子内に導入する場
合は、例えば5−Naスルホイソフタル酸、5−アンモ
ニウムスルホイソフタル酸、4−Naスルホイソフタル
酸、4−メチルアンモニウムスルホイソフタル酸、2−
Naスルホテレフタル酸、5−Kスルホイソフタル酸、
4−Kスルホイソフタル酸、2−Kスルホテレフタル
酸、Naスルホコハク酸等のスルホン酸アルカリ金属塩
系またはスルホン酸アミン塩系化合物、スルホン酸Na
塩含有ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加
物、スルホン酸K塩基含有ハイドロキノンアルキレンオ
キサイド付加物等を用いることができる。
【0019】また、カルボン酸塩基を分子内に導入する
場合は、例えば無水トリメリット酸、トリメリット酸、
無水ピロメリット酸、ピロメリット酸、トリメシン酸、
シクロブタンテトラカルボン酸、ジメチロールプロピオ
ン酸等の化合物を用い、未反応のカルボキシル基をアミ
ノ化合物、アンモニア、アルカリ金属等で中和する方法
が用いられる。
【0020】かくして得られるポリエステル樹脂は水や
温水に実質的に溶解しないものであって、25℃で水1
00gへの溶解度が0.1g以下のものが好ましい。
【0021】本発明に用いるポリエステル樹脂を溶解す
る有機良溶媒(A)とは、該ポリエステル樹脂を溶剤1
00g中に1g以上溶解することができ、水に対する溶
解度が2重量%以上であり、かつ沸点が120℃以下の
溶剤であり、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が例示
でき、特にテトラヒドロフランを主成分とする有機溶媒
が好ましい。以下この有機溶媒を溶媒(A)と表記す
る。
【0022】本発明に用いる該ポリエステル樹脂を溶解
しない有機貧溶媒(B)は、溶媒100g中の該ポリエ
ステル樹脂の溶解量が1g未満であり、水に対する溶解
度が2重量%以上であり、かつ沸点が120℃以下の溶
媒である。以下この溶媒を溶媒(B)と表記する。かか
る溶媒(B)としては、アセトニトリル、プロピオニト
リル等のニトリル類、アセトン、メチルエチルケトン、
メチルイソブチルケトン等のケトン類、メチルアルコー
ル、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のア
ルコール類、酢酸メチル等のエステル類、トルエン、ヘ
キサン等の芳香族炭化水素系溶剤類を例示でき、好まし
くはニトリル類、ケトン類であり、アセトニトリルが特
に好ましい。
【0023】本発明では、先ずポリエステル樹脂を溶媒
(A)と溶媒(B)の混合液に溶解して混合溶液とし、
次いでこの混合溶液を水中に添加してポリエステル樹脂
微粒子を析出させ、次いで得られる微粒子を含む混合液
から溶媒を留去する。或いは、ポリエステル樹脂を溶媒
(A)に溶解して溶液とし、次いでこの溶液に溶媒
(B)を加えて混合溶液とし、更にこの混合溶液を水中
に添加してポリエステル樹脂微粒子を析出させ、次いで
得られる微粒子を含む混合液から溶媒を留去する。
【0024】ポリエステル樹脂の溶解は、溶媒(A)或
いは溶媒(A)と溶媒(B)の混合液により行なう。こ
のときのポリエステル樹脂の溶解濃度は任意の濃度を選
定できるが、20重量%以下が好ましく、更には10重
量%以下が好ましい。この濃度の下限は1重量%である
ことが好ましい。この濃度が20重量%を越えると、微
粒子生成時に系中の微粒子濃度が高くなり、粒子同士の
付着が促進されるので好ましくない。ポリエステル樹脂
の溶解は加熱して行なうことが好ましい。溶媒(A)と
溶媒(B)の混合液は、例えばテトラヒドロフランとア
セトニトリル、テトラヒドロフランとメチルイソブチル
ケトン、ジオキサンとメチルエチルケトン等の組合せを
例示でき、特にテトラヒドロフランとアセトニトリルが
好ましい。その際、混合溶液での溶媒(B)の割合はポ
リエステル樹脂の析出が始まる割合(限界比率)より少
し小さい割合であることが好ましい。限界比率を越えた
割合であると、大粒子が形成し、また分散液の安定性が
損なわれ、例えば分散液の保存中にゲル化が進んだり、
何らかのショックで沈降が生じ、好ましくない。
【0025】本発明では該混合溶液と水とを混合してポ
リエステル樹脂微粒子を析出せしめるが、この混合は該
混合溶液を水中に添加する方法が好ましい。
【0026】かかるポリエステル樹脂微粒子を含む混合
液から有機溶媒を除去するには蒸留を行う。減圧下で蒸
留を行うことにより、低い温度に系を保つことができ、
分散樹脂微粒子の再溶解による増粘が起らず、高濃度分
散液を製造することが可能になる。減圧の程度は600
mmHg以下、好ましくは100mmHg以下が望まし
い。得られる水分散体中での残留溶媒の量としては、従
来技術で述べた如くインラインコーティング時の作業環
境汚染等の理由で低い方がよい。残留溶媒量としては、
5重量%以下が好ましく、最も好ましくは0.1重量%
以下である。水分散体中での微粒子の平均粒径は100
〜10nmの範囲のあることが好ましい。
【0027】このようにして得た水分散体には必要であ
れば他の樹脂、界面活性剤、滑剤、有機や無機微粒子、
充填剤、架橋剤、分散剤、紫外線吸収剤等を添加しう
る。
【0028】特に、液の安定性を増すために必要量の界
面活性剤を添加することもできる。更にこの界面活性剤
は予めポリエステル樹脂溶液中に加えておいてもよい
が、分散する水の中に加えることも可能である。界面活
性剤としては水分散体の表面張力を50dyne/cm
以下、好ましくは40dyne/cm以下に下降でき、
ポリエステルフィルムへの濡れを促進するものが好まし
く、公知の多くのアニオン型界面活性剤、カチオン型界
面活性剤、ノニオン型界面活性剤等の中から用いること
ができ、アニオン型界面活性剤及びカチオン型界面活性
剤が好ましい。有効な界面活性剤としてはポリオキシエ
チレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン
脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリ
ン脂肪酸エステル、脂肪酸金属石けん、アルキル硫酸
塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸
塩、第4級アミン塩化合物、アルキルアミン化合物等を
挙げることができる。かかる界面活性剤量はポリエステ
ル樹脂100重量部に対して1〜50重量部の範囲で用
いることが望ましい。また、水分散体塗布前にフィルム
にコロナ処理を施すこともでき、この場合界面活性剤量
を減量するか或いは使用しないこともできる。
【0029】かくして得られる水分散体中のポリエステ
ル樹脂の濃度は0.5〜30重量%が好ましく、フィル
ムへの塗布の際には1〜10重量%に調整して使用する
ことが好ましい。
【0030】このようにして得られたポリエステル水分
散体はポリエステルフィルム上に塗設することによって
フィルムの接着性を向上させることができる。この水分
散体を塗布する方法として公知の任意の塗工法が適用で
きる。例えばロールコート法、グラビアコート法、ロー
ルブラッシュ法、スプレーコート、エアーナイフコー
ト、含浸法およびカーテンコート法などを独立または組
合せて適用するとよい。
【0031】塗工を施す工程は、ポリマーを溶融押出し
てキャスティングした未延伸状態のフィルムに直ちに、
または縦または横のいずれか一方向に延伸を施した直後
のフィルム、或いは縦、横に二軸延伸し未熱固定のフィ
ルム表層(すなわち配向結晶が完了する前の表層)を対
象とするのが好ましく、特に縦方向に一軸延伸を施した
直後のフィルム表層が好ましい。水分散体を塗工した後
のフィルムは更に延伸処理を行うことが好ましい。ここ
で延伸処理とは、縦又は横方向の一軸延伸、縦横方向へ
の二軸延伸、熱固定または熱弛緩等の熱処理のいずれか
を含む処理をいう。
【0032】本発明のポリエステル水分散体を塗布する
のに好適なフィルムは、芳香族二塩基酸またはそのエス
テル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性
誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルからなる
フィルムである。この線状飽和ポリエステルとしてはポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナ
フタレンジカルボキシレート、ポリ(1,4−シクロヘ
キシレンジメチレンテレフタレート)等が好ましく例示
でき、これらの共重合体またはこれらと小割合の他樹脂
とのブレンド物なども含まれる。上述の線状飽和ポリエ
ステル樹脂を溶融押出し、常法でフィルム状となし、配
向結晶化並びに熱処理結晶化(ヒートセット)したもの
がポリエステルフィルムとして好適である。特にポリエ
チレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレ
ンジカルボキシレートフィルムが好ましい。これらフィ
ルムの厚さは、通常1〜350μmである。
【0033】このようにして本発明の方法により塗布し
た塗膜の厚みは任意に選べるが、0.005〜0.5μ
m、特に0.01〜0.2μmが好ましい。
【0034】本発明のポリエステル水分散体で被覆処理
された易接着層フィルムはセロファンインキ、磁性塗
料、ゼラチン組成物、アマニ油系オフセットインキ、電
子写真用トナー組成物、ケミカルマット塗料、ジアゾ塗
料、ヒートシール性付与組成物、無機質被覆形成物質お
よび金属蒸着物質らに対して極めて広汎な密着付着性能
を示す。
【0035】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明する。なお実施例中の測定項目は次の方法で測定し
た。また「部」とあるのは「重量部」を表わす。
【0036】(1)磁気塗料接着力 プライマー被覆ポリエステルフィルムに評価用塗料をマ
イヤーバーで乾燥後の厚さが約4μmになるように塗布
し、100℃で3分間乾燥する。その後60℃で24時
間エージングし、次いでスコッチテープ No.600(3
M社製)巾12.7mm、長さ15cmを気泡の入らな
いように粘着し、この上をJIS・C2701(197
5)記載の手動式荷重ロールでならし、密着させ、テー
プ巾に切り出す。これを180度剥離した時の剥離強度
を測定する。
【0037】[評価用塗料]固形分換算で、 ウレタン樹脂 ニッポラン2304(日本ポリウレタン製) 25部 塩ビ・酢ビ樹脂 エスレックA(積水化学製) 50部 分散剤 レシオンP(理研ビタミン製) 1部 磁性剤 CTX−860(戸田化学製) 500部 をメチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサノン混
合溶剤に溶解し、40%液にし、サンドグラインダーで
2時間分散する。その後架橋剤のコロネートL25部
(固形分換算)を添加し、よく撹拌して磁性塗料を得
る。
【0038】(2)帯電性 400mm幅×3000mのプライマー被覆ポリエステ
ルフィルムを23℃で72%RHの雰囲気下で120m
/分で巻き返し、ヒューグリエレクトロニクス(株)の
Model−230型静電気測定機で剥離帯電量(平均
値)を測定する。
【0039】(3)ブロッキング性 ポリエステルフィルムの表面と裏面を合せてから10c
m×15cm角に切り、これに50℃×80%RHの雰
囲気中で17時間、50kg/cm2 の荷重をかけ、次
いでこの10cm巾の剥離強度を測定する。このときの
剥離スピードは100mm/分である。この剥離強度が
15g/10cm以下、好ましくは15g/10cm以
下、更に好ましくは15g/10cm以下、であれば、
実用上に問題がない。
【0040】[実施例1] (水分散コーティング組成物の製造)表1に示す水不溶
のポリエステル共重合体(以下『共重合体』という)5
部を溶媒(A)としてテトラヒドロフラン(以下『TH
F』という)95部に溶解し5重量%混合溶液とした。
次いで、この溶液に溶媒(B)としてアセトニトリル5
2部を添加して混合撹拌し、共重合体が析出しない状態
を維持した混合溶液とした。この混合溶液を、水110
部中に撹拌しながら除々に添加し、共重合体の微粒子を
析出させた。かくして得られた共重合体の微粒子を含む
混合液を50mmHgの減圧下で蒸留して溶媒及び水の
一部を留去し、更に目開き4μmのフィルターで濾過し
て共重合体が17重量%の水分散コーティング組成物
(以下『水分散体』という)を得た。 (水分散体の塗布)固有粘度0.63のポリエチレンテ
レフタレート(滑剤としてシリカ微粒子とを含有)の未
延伸フィルムを縦方向に2.5倍延伸し、その片面に、
上記の水分散体に界面活性剤(HLB=12.8のポリ
オキシエチレンノニルフェニルエーテル)と水を加え、
共重合体と界面活性剤の固型分重量比が90/10で不
揮発成分が5重量%である水分散液に調整後塗布した。
次いで該塗布フィルムを横方向に3.7倍延伸し、更に
縦方向に1.8倍、横方向に1.2倍延伸し、200℃
×4秒熱処理後、9μmのフィルムを得た。共重合体層
の塗布厚は0.03μmであった。得られたフィルムの
評価結果を表2に示す。
【0041】[比較例1]実施例1において水分散液を
塗布しないこと以外は実施例1と同様にして得たフィル
ムの特性を表2に示す。
【0042】[実施例2]実施例1においてベースフィ
ルムとしてポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボ
キシレート(固有粘度0.65、炭酸カルシウム含有)
を用いたこと以外は実施例1と同様にして得た結果を表
2に示す。
【0043】[実施例3〜8]表1に示す共重合体を表
2に示す塗布厚で塗布した以外は実施例1と同様にして
得た結果を表2に示す。
【0044】[実施例9] (水分散体の製造)表1のA−2に示す共重合体6部
を、溶媒(A)としてTHF70部とジオキサン26
部、溶媒(B)としてアセトニトリル40部とメチルエ
チルケトン8部の混合液に溶解し4重量%の混合溶液と
した。次いで、この混合溶液を、水120部中に撹拌し
ながら除々に添加し、共重合体の微粒子を析出させた。
かくして得られた共重合体の微粒子を含む混合液を10
0mmHgの減圧下で蒸留して溶媒及び水の一部を留去
し、更に目開き4μmのフィルターで濾過して共重合体
が10重量%のポリエステル水分散体を得た。 (水分散体の塗布)上記水分散体を実施例1と同様に塗
布して得たフィルムの特性を表2に示す。
【0045】[実施例10]表1のA−7に示す共重合
体を実施例9と同様にして水分散体を製造し、表2に示
す塗布厚で塗布した以外は実施例1と同様にして得た結
果を表2に示す。
【0046】[比較例2]表1のA−1に示す共重合体
5部をTHF95部に溶解し、5重量%溶液とした。次
いで、この溶液を水110部中に撹拌しながら除々に添
加し、共重合体の粒子を析出させ更に脱溶剤することに
よる水分散体の製造を試みたが、塊状の凝集がおこり全
く水分散体が得られなかった。
【0047】[比較例3]表1のA−9に示す共重合体
を実施例1と同様にして水分散体を製造し、表2に示す
塗布厚で塗布した以外は実施例1と同様にして得た結果
を表2に示す。
【0048】[比較例4]表1のA−10に示す共重合
体を実施例1と同様にして水分散体を製造し、表2に示
す塗布厚で塗布した以外は実施例1と同様にして得た結
果を表2に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、接着性、耐湿性、耐ブ
ロッキング性に優れた水不溶のポリエステル樹脂からな
る微粒子を均一に分散させた水分散コーティング組成物
を効率良く、且つ安定して製造する方法を提供すること
ができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−335059(JP,A) 特開 平7−216208(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 3/07 C08L 67/00 - 67/04 C09D 167/00 - 167/04 C09J 167/00 - 167/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジカルボン酸成分に対しスルホン酸塩基
    及び/又はカルボン酸塩基を分子内に25モル%以下の
    量有するポリエステル樹脂微粒子を水に均一分散せしめ
    て水分散コーティング組成物を製造する方法において、 (i)該ポリエステル樹脂を溶解する有機良溶媒(A)
    と該ポリエステル樹脂を溶解しない有機貧溶媒(B)と
    の混合溶媒に該ポリエステル樹脂を溶解して混合溶液を
    得、 (ii)次いで該混合溶液と、水とを混合して安定した水
    分散液となし、 (iii)しかる後前記各溶媒を留去することからなる水
    分散コーティング組成物の製造法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のポリエステル樹脂微粒
    子を水に均一分散せしめて水分散コーティング組成物を
    製造する方法において、 (i)該ポリエステル樹脂を溶解する有機良溶媒(A)
    に該ポリエステル樹脂を溶解して溶液を得、 (ii)次いで該溶液に該ポリエステル樹脂を溶解しない
    有機貧溶媒(B)を微粒子が実質的に析出しない範囲で
    加えて混合溶液とし、 (iii)更に該混合溶液と水とを混合して安定した水分
    散液となし、 (iV) しかる後前記各溶媒を留去することからなる水
    分散コーティング組成物の製造法。
  3. 【請求項3】 ポリエステル樹脂を溶解する有機良溶媒
    (A)が、テトラヒドロフランを主成分とする有機溶媒
    である請求項1に記載の水分散コーティング組成物の製
    造法。
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