JP2011204842A - 太陽電池裏面封止材及びそれを用いてなる太陽電池モジュール - Google Patents

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Kusato Hirota
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Abstract

【課題】耐光性、耐湿熱性に優れ、屋外での長期にわたる使用においてもその機能を保持する太陽電池裏面封止材及びそれを用いた太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】易接着層、ポリフェニレンスルフィド層、および耐紫外線層を有する太陽電池裏面封止材であって、耐候性樹脂層が紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤が共重合されたアクリルポリオール系樹脂と黒色顔料及び可塑剤を含有する耐候性樹脂層を用いてなる太陽電池裏面封止材。
【選択図】なし

Description

本発明は、長期にわたる過酷な屋外環境下での使用に耐え得る耐光性、耐湿熱性を有する太陽電池裏面封止材、太陽電池モジュールに関する。
近年、石油、石炭をはじめとする化石燃料の枯渇が危ぶまれ、これらの化石燃料により得られる代替エネルギーを確保するための開発が急務とされている。このため原子力発電、水力発電、風力発電、太陽光発電等の種々の方法が研究され、実際の利用に及んでいる。太陽光エネルギーを電気エネルギーに直接変換することが可能な太陽光発電は、半永久的で無公害の新たなエネルギー源として実用化されつつあり、実際に利用される上での価格性能比の向上が目覚しく、クリーンなエネルギー源として非常に期待が高い。
太陽光発電に使用される太陽電池は、太陽光のエネルギーを直接電気エネルギーに変換する太陽光発電システムの心臓部を構成するものであり、シリコンなどに代表される半導体からできている。その構造としては、太陽電池素子を直列、並列に配線し、20年程度の長期間にわたって素子を保護するために種々のパッケージングが施され、ユニット化されている。このパッケージに組み込まれたユニットは太陽電池モジュールと呼ばれ、一般に太陽光が当たる面をガラスで覆い、熱可塑性樹脂からなる充填材で間隙を埋め、裏面を封止シートで保護した構成となっている。熱可塑性樹脂からなる充填材としては、透明性が高く、耐湿性にも優れているという理由でエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(以下、EVA樹脂)が用いられることが多い。一方、裏面封止材には、機械強度、耐候性、耐熱性、耐水性、耐化学薬品性、光反射性、水蒸気遮断性、EVA樹脂に代表される充填材との熱接着性、意匠性、最外層の端子ボックス取り付け用シリコーン系樹脂との密着力といった特性が要求されるだけではなく、紫外線光に暴露されることから耐光性に優れることが要求される。
従来から用いられている裏面封止材用フィルムとしては、白色又は黒色のポリフッ化ビニルフィルム(デュポン(株)、商品名:テドラー(登録商標))が例示でき、該フィルムでポリエステルフィルムをサンドイッチした積層構成の裏面封止材は当該用途で幅広く用いられている。また、ポリプロピレン系樹脂フィルムに、黒色化剤、紫外線吸収剤、光安定化剤が配合された耐候性フィルム(特許文献1)や、ポリフェニレンスルフィドフィルムに無機酸化物材料を蒸着した耐候性フィルムも提案されている(特許文献2)。
特開2003−152206号公報 特開2005−86104号公報
前記のポリフッ化ビニルフィルムは、耐候性に優れたフィルムであるが、機械的強度が弱く、太陽電池モジュール作製時に加えられる140〜150℃の熱プレスの熱により軟化し、太陽電池素子電極部の突起物が充填材層を貫通することがある。さらに、高価であるために太陽電池モジュールの低価格化の点でも障害となる。
一方、ポリフェニレンスルフィドは耐薬品性、耐湿熱性、難燃性に非常に優れており、太陽電池裏面封止材用途として好適ではあるが、紫外および可視光で光劣化を起こす。本発明はポリフェニレンスルフィドの上記の優れた特性を保ちつつ紫外線、可視光での劣化を防ぐことにより長期使用に耐えうる太陽電池裏面封止材及びそれを用いてなる太陽電池モジュールを提供する。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような構成を採用する。すなわち、
(1) 易接着層、ポリフェニレンスルフィド層、および耐候性樹脂層を有する太陽電池裏面封止材であって、耐候性樹脂層が紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤が共重合されたアクリルポリオール系樹脂、着色顔料及び可塑剤を含有する太陽電池裏面封止材、
(2) 前記可塑剤が、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤およびフタル酸エステル系可塑剤からなる群より選ばれた少なくとも1種である(1)の太陽電池裏面封止材、
(3) 前記耐候性樹脂層が、脂肪族系イソシアネート樹脂、脂環族系イソシアネート樹脂及び芳香脂肪族系イソシアネート樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種を含有する(1)又は(2)記載の太陽電池裏面封止材、
(4) 前記着色顔料が、黒色顔料である(1)〜(3)のいずれかに記載の太陽電池裏面封止材、
(5) 前記易接着層がポリエチレン及び/又はエチレンビニルアセテート樹脂を用いて形成されている(1)〜(4)のいずれかに記載の太陽電池裏面封止材、
(6) 易接着層とポリフェニレンスルフィド層との間にポリエステル樹脂、オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂およびポリアクリル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種を用いて形成された熱可塑性樹脂層を有する(1)〜(5)のいずれかに記載の太陽電池裏面封止材、
(7) (1)〜(6)のいずれかに記載の太陽電池裏面封止材と太陽電池モジュールのシリコンセル充填材層面とを接着してなる太陽電池モジュール、
である。
本発明によれば、着色顔料を添加した耐候性樹脂層によって紫外線及び可視光線によるポリフェニレンスルフィド層の光劣化を防止することで、長期に渡って耐光性、耐湿熱性に優れた太陽電池裏面封止材が得られる。
以下、本発明について説明する。
[易接着層]
本発明における易接着層は、太陽電池モジュールに設けられる充填樹脂層と接着する目的を持つ層であり、ポリエチレン及び/又は、エチレンビニルアセテート樹脂により形成されている層、熱易接着性を有するコーティング層を用いてなることが好ましい。また、白色のフィルム、或いは白色の熱易接着性のコーティング層を使用することでバックシートまで入射してきた光を反射させて半導体素子におけるエネルギー変換を補助し、発電効率を向上させることができる。白色フィルムは、好ましくは、波長λ=550nmの反射率が、30%以上のフィルムであり、より好ましくは、反射率が40%以上のフィルム、さらに好ましくは、反射率が50%以上のフィルムであることが好ましい。
[ポリフェニレンスルフィド層]
本発明では、外気に直接曝される太陽電池裏面封止材の最外層に用いることができるという観点より、耐湿熱性、難燃性に優れるポリフェニレンスルフィド(PPS)フィルムを使用する。本発明ではPPSフィルムに東レ(株)製 トレリナ(登録商標)を用いている。トレリナは優れた耐熱性、電気絶縁性を有することからフィルムコンデンサ誘電体やモーター・トランス用電気絶縁として利用されている。
また、ポリフェニレンスルフィド層には、必要に応じて、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、充填剤、着色顔料等の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲内で添加剤を加えたものも用いることができる。
PPS層の厚みは3〜250μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは5〜100μmの範囲である。厚みを3μm以上とすることで、製膜時の破れやピンホールキズの発生を防ぐことができ、また厚みを250μm以下とすることで、生産コストを抑えることができる。
[耐候性樹脂層]
本発明における耐候性樹脂層は紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤が共重合されたアクリルポリオール系樹脂と着色顔料及び可塑剤を含有してなるものである。
本発明におけるPPS層に積層する耐候性樹脂層は、紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤を共重合させた樹脂、着色顔料、並びに可塑剤とで構成されている。一般に、樹脂層に紫外線光カット性能を付与し、耐光性を向上させる手法としては、有機系紫外線吸収剤や無機系紫外線吸収剤を単独で、あるいは複数種を混合してバインダー樹脂に混ぜ、さらに光により励起されるラジカルを失活させるメカニズムによって光安定性を増す目的で光安定化剤(HALS)を併用する。しかし、バインダー樹脂に紫外線吸収剤や光安定化剤を後添加して形成した耐候性樹脂層では、高温加湿環境下、あるいは紫外線光受光に伴い、紫外線吸収剤や光安定化剤が塗膜中から塗膜表面にブリードアウトし、ぬれ性、塗膜表面の密着力などが変化するだけでなく、当初発現していた紫外線光カット性能が失われるといった不具合を生じやすい。これに対して、本発明ではバインダー樹脂に紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤を共重合させることで、紫外線吸収剤や光安定化剤が塗膜表面にブリードアウトすることを防ぎ、紫外線カット性能を長期にわたり保持することができる。バインダー樹脂としては、ポリエステル樹脂、オレフィン系樹脂などと比較して、比較的耐光性に優れるアクリル系樹脂を用いる。また、基材フィルムとの密着力向上を目的に、あるいは本発明の太陽電池裏面封止材用フィルムを用いた太陽電池裏面封止材は、太陽電池モジュール製造工程において高温処理に曝されることから、耐候性樹脂層の耐熱性向上を目的に、適切な架橋構造を導入可能なようにアクリル系樹脂の中でも特にアクリルポリオール系樹脂を用いる。
紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤を固定させる共重合モノマーとしては、アクリル系、スチレン系などのビニル系モノマーが、汎用性が高く、経済的にも好ましい。かかる共重合モノマーの中でも、スチレン系ビニルモノマーは芳香族環を有しているため、黄変しやすく、耐光性という点では、アクリル系ビニルモノマーとの共重合が最も好ましく使用される。従ってアクリル系樹脂を構成する1つの重合モノマー成分は、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸、不飽和炭化水素及びビニルエステルからなる群のうち1つ以上の不飽和化合物である。
使用できる不飽和カルボン酸エステルとしてはメチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等が挙げられる。
使用できる不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸等が挙げられる。
使用できるその他の単量体としては、ブタジエン、エチレン、酢酸ビニル等が挙げられる。好ましいのは、不飽和カルボン酸エステルである。不飽和カルボン酸エステルのうちメチルメタクリレート、メチルアクリレートが汎用性、価格、光安定性の観点から特に好ましい。
次に耐候性樹脂層の耐熱性向上を目的に導入する架橋構造の基点となる水酸基を導入し、アクリルポリオール系樹脂とするための重合モノマーについて説明する。アクリル樹脂に水酸基を与える目的で用いる重合モノマー成分としては、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシビニルエーテル、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート等の不飽和化合物の単量体が挙げられる。これらの水酸基を有する不飽和化合物は単独で、または2種類以上組み合わせて選択することができる。
本発明における耐候性樹脂層の厚みは0.2〜5μmが好ましく、さらに好ましくは1〜4μm、特に好ましくは2μ〜4μmである。この耐候性樹脂層を塗布方法により形成する場合、耐候性樹脂層の厚みが0.2μm以上であると、塗工時にはじきや膜切れといった現象を生じにくく、均一な塗膜を形成し易い。その結果、基材フィルムに対する密着力、何より紫外線カット性能が十分に発現するので好ましい。耐候性樹脂層の厚みが5μm以下であると、厚膜塗布が可能なプロセスを用いなくとも通常の塗布装置で塗布できるので塗工方式に制約を生じることがなく、生産コストを抑えることができるので好ましい。さらに、搬送ロールへの塗膜粘着やそれに伴う塗膜の剥がれ等を生じにくくなるので好ましい。
本発明における耐候性樹脂層を塗布用法により形成するためのコーティング液の溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノールおよび水等を例示することができ、該コーティング液の性状としてはエマルジョン型および溶解型のいずれでも良い。
耐候性樹脂層を基材フィルム上に形成する方法は特に制限されるべきものではなく、公知のコーティング手法を用いることができる。コーティング手法としては、種々の方法を適用することができ、例えば、ロールコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ダイコーティング法およびグラビアロールコーティング法等や、これらを組み合わせた方法を利用することができる。なかでも、グラビアロールコーティング法は、コーティング層形成組成物の安定性を増す理由で好ましい方法である。
[紫外線吸収剤]
前記バインダー樹脂と共重合させる紫外線吸収剤としては、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤が例示できる。具体的には、例えば、サリチル酸系のp−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、ベンゾフェノン系の2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン、ベンゾトリアゾール系の2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2Hベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、シアノアクリレート系のエチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート)、その他として、および2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールなどやこれらの変性物、重合物、誘導体などが例示できる。
[光安定化剤]
また、同様に前記バインダー樹脂と共重合させる光安定化剤としては、ヒンダードアミン系等の光安定化剤が挙げられる。具体的には、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)〔[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル〕ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、デカン二酸ビス[2,2,6,6−テトラメチル−1−オクチルオキシ]−4−ピペリジニル]エステルなどやこれらの変性物、重合物、誘導体などが例示できる。
これらの紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤をバインダー樹脂、特にアクリルポリオール系樹脂に共重合する製造方法等については、特開2002−90515号公報の〔0019〕〜〔0039〕に詳細に開示されている。中でもアクリルモノマーと紫外線吸収剤の共重合物を有効成分として含むハルスハイブリッド(登録商標)((株)日本触媒製)などを使用することができる。
[黒色顔料]
本発明において用いる黒色顔料は、(1)可視光カット、(2)色調の維持(退色しない)、(3)耐候性樹脂層に発色させる、という目的で選定し、用いる。PPSフィルムは一般的に、紫外線だけでなく可視光線でも劣化する。本発明では耐候性樹脂層を黒色にして可視光線を十分に遮蔽することで、PPS層の光劣化を防ぎ、PPSの優れた耐湿熱性が十分に生かされた太陽電池裏面封止材が得られる。黒色顔料以外を用いてもある程度の可視光線は遮蔽できるが、PPSの光吸収端までの光線カットが十分ではなく、長期の屋外曝露下において劣化することが懸念されるため黒色顔料が最も好ましい。
また、太陽電池用裏面封止シートとしては、光反射性及び意匠性の観点から白色のシートが主流であるが、シートを黒色にすると、発電素子間の隙間が白色に見える白色シートと比較して意匠性に優れる。また、これらの顔料自体も特定の波長の光線を吸収および/または反射することから、着色することにより光線から基材シートを保護するという効果が得られる。また、太陽電池モジュール内の電気配線パターンなどの設計パターンを目隠しできるという効果もある。
着色顔料としては、無機顔料、有機顔料等の各種着色顔料を使用できるが、汎用性、価格、発色性能、また耐紫外線性の観点からカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックの数平均粒子径は、発色の観点から0.01〜0.5μmが好ましく、バインダー樹脂に対する分散性やコストの観点も考慮すると0.02〜0.1μmがより好ましい。
着色顔料の配合量に関しては、発色させたい色調の設計に合わせて適宜調整すれば良い。ただし、顔料配合量が少なすぎる場合には意匠性に優れた色調外観が得られないこと、逆に配合量が多すぎる場合にはコストが高くなること、耐候性樹脂層の硬度が大幅に向上することによる基材および端子ボックス接着用シリコーン樹脂との密着力不良を生じやすくなるなどの理由から、バインダー樹脂に紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤を共重合させた樹脂100質量部に対し10〜500質量部の範囲が好ましい。
[可塑剤]
次に本発明の耐候性樹脂層に含む可塑剤について説明する。本発明において、特に耐候性樹脂層のバインダー樹脂としてアクリルポリオール系樹脂を用いた場合、耐候性樹脂層に可塑剤を含有する効果が顕著に現れる。本発明における可塑剤は、基材フィルムと、アクリルポリオール系樹脂及び黒色顔料を含む耐候性樹脂層、また該耐候性樹脂層と端子ボックス接着用シリコーン樹脂との密着力向上に貢献する。元来、アクリルポリオール系樹脂は種々の樹脂フィルムに対する密着力が特段悪い樹脂材料ではないが、耐候性樹脂層の着色を目的に着色顔料を比較的高い濃度で配合した場合には耐候性樹脂層の硬度が高まり、さらに耐候性樹脂層中のアクリルポリオール系樹脂の濃度が相対的に低下するために、基材フィルムと耐候性樹脂層との間、及び耐候性樹脂層と端子ボックス接着用シリコーン樹脂との間の密着力は低下する傾向にある。そこで、アクリルポリオール系樹脂と比較して樹脂軟化点が低い傾向にある可塑剤成分を配合することで耐候性樹脂層の硬度を調整し、基材フィルム及び端子ボックス接着用シリコーン樹脂との密着力を向上させることができる。本発明で用いる可塑剤としては、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤又はこれらの組み合わせが耐熱性、耐候性、コスト、汎用性などの観点から好ましい。
ポリエステル系可塑剤としては、例えばアジピン酸系可塑剤が好ましく用いられる。エポキシ系可塑剤としては、例えば、エポキシ化脂肪酸エステルが好ましく用いられる。エポキシ系可塑剤としては、エポキシ化植物油も用いることができ、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油が例示できる。フタル酸エステル系可塑剤としては、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジシソデシル、又は、フタル酸ジブチル等が好ましく用いられる。
可塑剤の配合量に関しては、アクリルポリオール系樹脂に紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤を共重合させた樹脂100質量部に対し、4〜40質量部の範囲が好ましく、より好ましくは10〜30質量部である。可塑剤の配合量が4質量部以上であると密着力等の改善効果が現れる。可塑剤の配合量が40質量部以下であると、耐候性樹脂層中に占める紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤を含むアクリルポリオール系樹脂の相対量が充分にあるために、耐候性樹脂層自体の耐紫外線性や、基材フィルムを紫外線から保護する機能(紫外線遮断性能)が損なわれることが少ない。
[その他添加剤]
さらに、本発明における耐候性樹脂層には、その特性を損なわない限りにおいて、熱安定剤、酸化防止剤、強化剤、劣化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、滑剤などを添加してもよい。
使用できる熱安定剤、酸化防止剤及び劣化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン類、硫黄化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物が挙げられる。
使用できる強化剤としては、例えばクレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウィスカー、セラミックウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維などが挙げられる。
[架橋剤]
また、前記の通り、耐候性樹脂層の特性向上の目的でアクリルポリオールの水酸基と反応し得る官能基を有する架橋剤を配合しても良い。架橋剤を併用した場合には、基材フィルムと耐候性樹脂層との間の密着力の向上、あるいは架橋構造の導入に伴う耐候性樹脂層の耐熱性向上といった効果が得られる。特に、本発明における耐候性樹脂層が最外層に位置するように太陽電池裏面封止材の設計を施した場合には、太陽電池モジュール製造工程、具体的にはガラスラミネート工程(セル充填工程)において、耐候性樹脂層が最大150℃程度の高温下で、長い場合には30分以上の熱処理に曝されるため、特に耐熱性が要求される。本発明では、アクリルポリオール系樹脂と紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤とを共重合させた樹脂を用いることから、該樹脂が有する水酸基と反応し得る架橋剤の使用が可能であり、中でもポリイソシアネート系樹脂を硬化剤として使用し、ウレタン結合(架橋構造)の生成を促す処方が好ましい。架橋剤として用いるポリイソシアネート系樹脂としては、芳香族系ポリイソシアネート、芳香脂肪族系ポリイソシアネート、脂環族系ポリイソシアネートおよび脂肪族系ポリイソシアネート等が例示でき、各々以下に示すジイソシアネート化合物を原料とする樹脂である。
芳香族系ポリイソシアネートの原料となるジイソシアネートとしては、例えば、m−またはp−フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、4,4′−、2,4′−又は2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、および4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート等が例示される。
芳香脂肪族系ポリイソシアネートの原料となるジイソシアネートとしては、例えば、1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネート(XDI)や、1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が例示される。
脂環族系ポリイソシアネートの原料となるジイソシアネートとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート;IPDI)、4,4′−、2,4′−または2,2′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、および1,3−または1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(水添XDI)等が例示される。
脂肪族系ポリイソシアネートの原料となるジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−、2,3−または1,3−ブチレンジイソシアネート、および2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が例示される。
ポリイソシアネートの原料としては、これらのジイソシアネートを複数種組み合わせて用いること、ビューレット変性体、ヌレート変性体などの変性体として用いることも可能である。中でもポリイソシアネートの原料としては、樹脂骨格中に紫外線域の光の吸収帯を有する芳香環を含有する樹脂は、紫外線照射に伴い黄変し易いことから、脂環族ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートを主成分とする硬化剤を用いることが好ましい。さらに、脂肪族ポリイソシアネートを主成分とする硬化剤を用いることが紫外線による接着強度の低下が小さいことから好ましい。また、アクリルポリオール系樹脂との架橋反応の易進行性、架橋度、耐熱性、耐紫外線性、耐溶剤性の観点からヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート変性体が好ましい。
[熱可塑性樹脂層]
太陽電池裏面封止材の電気絶縁性を向上させるため易接着層とポリフェニレンスルフィド層の間に50〜500μmの熱可塑性樹脂層を設ける。この熱可塑性樹脂層には、ポリエステル樹脂、オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアクリル系樹脂からなる群から選ばれる一種以上を用いてなる。中でも、強度、寸法安定性、熱安定性、コストの観点からポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。
また、これらのフィルムは1層又は2槽以上の複層構造でも構わない。
[接着剤とドライラミネート法]
接着剤層の形成に用いる材料としては、公知のドライラミネート用接着剤を使用することができる。一般にドライラミネート用接着剤は主剤および架橋剤の2つの樹脂を希釈溶媒で希釈して調合したものが用いられるが、架橋剤としては活性水酸基との反応性に富み、その反応速度及び初期密着力の発現が早いイソシアネート基含有ポリマーを用いる処方が好ましい。これらの利点に加えて、基材との接着強度が高く、さらにその接着強度の恒温安定性、長期耐久性にも優れる接着性樹脂層を形成することができる。このイソシアネート基含有ポリマーと組合せて用いる主剤樹脂としては、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリオール系などのウレタン系樹脂やエポキシ系樹脂を例示することができ、詳細な要求特性、加工条件適性に応じて、適宜選択して用いることができる。また、太陽電池裏面封止材の構成によっては、上記の接着剤層にもUV光が到達し、樹脂の光劣化を誘引することも考えられる。そのような観点から、接着剤層の形成に用いる樹脂としては芳香環を含有しない、あるいは含有量の少ない脂肪族系樹脂あるいは脂環族系樹脂が好ましい。また、接着剤層の厚みとしては、好ましくは1〜5μmの範囲である。1μm未満であると十分な接着強度が得られ難い場合がある。一方、5μmを越えると接着剤塗工のスピードが上がらない、接着力を発現させる(主剤及び硬化剤間の架橋反応を促進する)目的で行うエージングに長時間を要すること、さらには接着剤使用量が増加することなどを理由に生産コストが上がるため、好ましくない。
上記ドライラミネート法と接着剤を用いて、耐候性樹脂層を積層したPPSフィルムと熱可塑性樹脂や易接着層を貼り合わせることで太陽電池裏面封止材を得る。このように、付与したい特性に応じて適宜部材を選定し、ドライラミネート法によって貼り合わせることが出来る。
[太陽電池裏面封止材]
耐候性樹脂層をコーティングしたポリフェニレンスルフィド層を最外層に配し、その裏面にEVAとの白色易接着層をドライラミネートなどによって積層する。ここで、白色易接着層とポリフェニレンスルフィド層の間に熱可塑性樹脂層をドライラミネートなどで設けても良い。
モジュール内で最外層に相当する部分に耐候性樹脂層を設けることで、ポリフェニレンスルフィド及び、それよりもモジュール内で内層側(裏面)に位置する層は光劣化から守られる。また、ポリフェニレンスルフィドは耐湿熱性に優れるため、それよりも内層側に位置する層は加水分解から守られる。白色のEVAとの易接着層を積層した場合は、EVAとの高い密着強度が得られ、白色にすることで光反射性も付与される。また、易接着層とPPS層の間に1種類以上の熱可塑性樹脂層を積層することで太陽電池裏面封止材の電気絶縁性が向上する。
[太陽電池モジュール]
上記のようにして作製した太陽電池裏面封止材を太陽電池モジュールに使用するに際し、太陽電池裏面封止材の易接着層を太陽電池モジュールのシリコンセル充填材層面と接着させ、つまり太陽電池裏面封止材の耐候性樹脂層が積層された側を外側に向けて、太陽電池モジュールに組み込む。
次に、実施例を挙げて、具体的に本発明の太陽電池裏面封止材について説明する。実施例中で「部」とは、特に注釈のない限り「質量部」であることを意味する。
<特性の評価方法>
本発明で用いた特性の評価方法は、下記のとおりである。
(1)塗布量測定
耐候性樹脂層の塗布量は、コート層形成後に500cmの面積に切り出し、その試験片の質量を質量(1)とした。次に、その試験片から耐候性樹脂層をメチルエチルケトンに溶解させ、剥がし取り、再び試験片の質量を測定し、質量(2)とした。続いて、下式に基づき、単位面積当たりの塗布量を算出した。この塗布量測定を3つの試験片について行い、その平均値を塗布量とした。
・塗布量[g/m]={(質量(1))−(質量(2))}×20。
(2)破断強伸度の測定
太陽電池裏面封止材用フィルムの破断強伸度の測定は、JIS C 2151(2006年度版)に基づいて、フィルムの機械方向(MD)に対して実施した。
(3)光線カット性能の評価(分光スペクトル測定)
太陽電池裏面封止材用フィルムの光線カット性能は、JIS K 7105(2006年度版)に基づいて、島津製作所社製紫外可視近赤外分光光度計UV−3150を使用し分光スペクトルの測定を実施した。光線カット性能については、UV光領域は特に360nmの波長、可視光領域は特に600nmの波長の透過率を測定することで評価した。360nmおよび600nmの波長の透過率が5%以下であれば合格である。
(4)耐紫外線性評価
岩崎電気社製アイスーパーUVテスターSUV−W151を用いて、60℃×50%RH雰囲気にて紫外線強度100mW/cmで72時間、144時間紫外線照射後の表色系b値の測定を行った。また、紫外線カット性能の評価、基材フィルム/コーティング耐候性樹脂層間の密着強度、層間ラミネート強度評価についても、それらの特性の耐紫外線性評価の目的で実施した。
(5)耐湿熱性評価
エスペック社製プレッシャクッカーTPS−211を用いて、120℃、100%RHの環境下で48時間、96時間の熱処理を太陽電池裏面封止材に施した。その後、太陽電池裏面封止材の紫外線カット性能の評価、基材フィルム/コーティング層間の密着強度、層間ラミネート強度評価について、それらの特性の耐湿熱性評価の目的で実施した。
(6)充填材との接着強度の測定
JISK 6854に基づいて、EVA(エチレンビニルアセテート)シートとの接着力を測定した。試験した疑似太陽電池モジュールサンプルは作製した太陽電池裏面封止材の内層側(基材フィルムのコート層を積層した面とは反対面)面にEVAシートを重ね、さらにその上に厚さ3.2mmの半強化ガラスを重ね、市販のガラスラミネーターを用いて真空引き後に135℃加熱条件下、29.4N/cm荷重で15分プレス処理をしたものを用いた。EVAシートは、サンビック(株)製の500μm厚シートを用いた。接着強度試験の試験片の幅は10mmとし、2つの試験片について各々測定を1回行い、2つの測定値の平均値を接着強度の値とした。接着強度は100N/50mm以上あることが実用上問題ないレベルと判断する。
(7)部分放電電圧の測定
太陽電池モジュール封止シート用フィルム、および太陽電池モジュール封止シートについて、下記の測定法に基づき部分放電電圧を測定して電気絶縁性を評価した。
(測定方法)
準拠規格:IEC60664/A2:2002 4.1.2.4
試験器:KPD2050(菊水電子工業製)
測定パターン:台形
開始電圧電荷しきい値:1.0pC
消滅電圧電荷しきい値:1.0pC
試験時間:22.0s。
(耐候性樹脂層形成用塗料1〜4の調製)
(株)日本触媒製の、紫外線吸収剤及び光安定化剤(HALS)がアクリルポリオール樹脂に架橋されたことを特徴とするコーティング剤であるハルスハイブリットポリマー(登録商標)BK1(固形分濃度:40質量%、アクリル樹脂1とする)に表1に示す配合の着色顔料および溶剤を一括混合し、ビーズミル機を用いて分散した。その後、同じく表1に示す配合の可塑剤1〜4を添加して、固形分濃度が40質量%である耐候性樹脂層形成用主剤塗料4種類を得た。
次に前述の方法で得た耐候性樹脂層形成用塗料に硬化剤1を、主剤塗料との質量比が100/5の比になるように予め計算した量配合し、さらに固形分濃度20質量%(樹脂固形分濃度)の塗料となるように予め算出した希釈剤:酢酸n−プロピルを量りとり、15分間攪拌することにより固形分濃度20質量%(樹脂固形分濃度)の耐候性樹脂層形成用塗料1〜4を得た。
なお、上記の調製に用いた着色顔料、可塑剤及び硬化剤としては下記を使用した。
黒色顔料:カーボンブラック粒子 デグサ社製 スペシャルブラック4A
可塑剤1:DIC社製ポリエステル系可塑剤 ポリサイザーW−220EL
可塑剤2:DIC社製エポキシ系可塑剤 エポサイザーW−121
可塑剤3:DIC社製エポキシ化大豆油系可塑剤 エポサイザーW−100−EL
可塑剤4:DIC社製フタル酸エステル系可塑剤 ジオクチルフタレート
硬化剤1:脂肪族系ポリイソシアネート ヌレート型ヘキサメチレンジイソシアネート樹脂
(耐候性樹脂層形成用塗料5〜7の調製)
(株)日本触媒製の、紫外線吸収剤及び光安定化剤(HALS)がアクリルポリオール樹脂に架橋されたことを特徴とするコーティング剤であるハルスハイブリットポリマー(登録商標)BK1(固形分濃度:40質量%、アクリル樹脂1とする)に表1に示す配合の着色顔料および溶剤を一括混合し、ビーズミル機を用いて分散した。その後、可塑剤1を添加して、固形分濃度が40質量%である耐候性樹脂層形成用主剤塗料を得た。
次に前述の方法で得た耐候性樹脂層形成用塗料に表1に示す配合の硬化剤2、3、4を、主剤塗料との質量比が100/5の比になるように予め計算した量を配合し、さらに固形分濃度20質量%(樹脂固形分濃度)の塗料となるように予め算出した希釈剤:酢酸n−プロピルを量りとり、15分間攪拌することにより固形分濃度20質量%(樹脂固形分濃度)の耐候性樹脂層形成用塗料5〜7を得た。
なお、上記の調製に用いた硬化剤としては下記を使用した。
硬化剤2:脂肪族系ポリイソシアネート ビューレット型ヘキサメチレンジイソシアネート
硬化剤3:脂環族系ポリイソシアネート 1,4−シクロヘキサンジイソシアネート
硬化剤4:芳香脂肪族系ポリイソシアネート キシレンジイソシアネート。
(耐候性樹脂層形成用塗料8の調整)
着色顔料を配合せず、硬化剤1を、主剤塗料との質量比が100/4の比になるように配合する以外は耐光性コート層形成用塗料1の調整と同様の方法で耐光性コート層形成用塗料8を得た。
(耐候性樹脂層形成用塗料9の調整)
着色顔料が酸化チタンである以外は耐候性樹脂層形成用塗料1の調整と同様の方法で耐候性樹脂層形成用塗料9を得た。
(ドライラミネート用接着剤の調整)
DIC(株)製ドライラミネート剤 ディックドライ(登録商標)LX−903を16質量部、硬化剤として大日本インキ化学工業(株)製KL−75を2質量部、および酢酸エチルを29.5質量部量りとり、15分間攪拌することにより固形分濃度20質量%のドライラミネート用接着剤を得た。
Figure 2011204842
(実施例1)
基材フィルムとして東レ(株)製のポリフェニレンスルフィドフィルム トレリナ(登録商標)100μmを準備した。この基材フィルムの一方の面に、ワイヤーバーを用いて耐候性樹脂層形成用塗料1を塗布し、120℃で30秒間乾燥し、乾燥後塗布量が3.2g/mとなるように耐候性樹脂層設けることで太陽電池裏面封止用フィルムを製造した。
その後、この裏面封止材用フィルムの耐候性樹脂層とは反対側のフィルム表面に、ドライラミネート用接着剤をワイヤーバーで塗布し、80℃で45秒間乾燥して3.5μmの接着剤層1を形成した。次に、接着剤層1に、光反射性を有し、EVAシートとの密着力に優れる東レフィルム加工(株)製 白色ポリエチレンフィルム(150μm)をハンドローラーを用いて貼り合わせた。このようにして作製したフィルム3枚からなるシートを40℃に加熱したオーブン内で3日間エージングして太陽電池裏面封止材1を得た。
(実施例2)
耐候性樹脂層形成用塗料1の換わりに耐候性樹脂層形成用塗料2を塗布する以外は実施例1に記載の方法と同様にして太陽電池裏面封止材2を製造した。
(実施例3)
耐候性樹脂層形成用塗料1の換わりに耐候性樹脂層形成用塗料3を塗布する以外は実施例1に記載の方法と同様にして太陽電池裏面封止材3を製造した。
(実施例4)
耐候性樹脂層形成用塗料1の換わりに耐候性樹脂層形成用塗料4を塗布する以外は実施例1に記載の方法と同様にして太陽電池裏面封止材4を製造した。
(実施例5)
耐候性樹脂層形成用塗料1の換わりに耐候性樹脂層形成用塗料5を塗布する以外は実施例1に記載の方法と同様にして太陽電池裏面封止材5を製造した。
(実施例6)
耐候性樹脂層形成用塗料1の換わりに耐候性樹脂層形成用塗料6を塗布する以外は実施例1に記載の方法と同様にして太陽電池裏面封止材6を製造した。
(実施例7)
耐候性樹脂層形成用塗料1の換わりに耐候性樹脂層形成用塗料7を塗布する以外は実施例1に記載の方法と同様にして太陽電池裏面封止材7を製造した。
(実施例8)
充填材層との易接着層としてエチレンビニルアセテート樹脂を使う以外は実施例1に記載の方法と同様にして太陽電池裏面封止材8を製造した。
(実施例9)
基材フィルムとして東レ(株)製のポリフェニレンスルフィドフィルム トレリナ(登録商標)100μmを準備した。この基材フィルムの一方の面に、ワイヤーバーを用いて耐候性樹脂層形成用塗料1を塗布し、120℃で30秒間乾燥し、乾燥後塗布量が3.2g/mとなるように耐候性樹脂層を設けることで太陽電池裏面封止用フィルムを製造した。
その後、この裏面封止材用フィルムの耐候性樹脂層とは反対側のフィルム表面に、ドライラミネート用接着剤をワイヤーバーで塗布し、80℃で45秒間乾燥して3.5μmの接着剤層1を形成した。次に、接着剤層1に、東レ(株)製ポリエチレンテレフタレートフィルム ルミラー(登録商標)X10S(125μm)をハンドローラーを用いて貼り合わせた。さらに、このラミネートフィルムの耐候性樹脂層とは反対側のフィルム表面に、ドライラミネート用接着剤をワイヤーバーで塗布し、80℃で45秒間乾燥して3.5μmの接着剤層2を形成した。次に、接着剤層2に、光反射性を有し、EVAシートとの密着力に優れる東レフィルム加工(株)製 白色ポリエチレンフィルム(150μm)をハンドローラーを用いて貼り合わせた。このようにして作製したフィルム3枚からなるシートを40℃に加熱したオーブン内で3日間エージングして太陽電池裏面封止材9を得た。
(実施例10)
東レ(株)製ポリエチレンテレフタレートフィルム ルミラーX10S(登録商標)125μmの換わりにポリブチレンテレフタレートを使用する以外は実施例9に記載の方法と同様にして太陽電池裏面封止材10を作製した。
(実施例11)
東レ(株)製ポリエチレンテレフタレートフィルム ルミラーX10S(登録商標)125μmの換わりにポリエチレンナフタレートを使用する以外は実施例9に記載の方法と同様にして太陽電池裏面封止材11を作製した。
(比較例1)
基材フィルムとして東レ(株)製のポリフェニレンスルフィド トレリナ(登録商標)100μmの換わりに東レ(株)製のポリエチレンテレフタレートフィルム X10S(登録商標)125μmを使用する以外は実施例1に記載の方法と同様にして太陽電池裏面封止材12を製造した。
(比較例2)
耐候性樹脂層形成用塗料1の換わりに耐候性樹脂層形成用塗料8を塗布する以外は実施例1に記載の方法と同様にして太陽電池裏面封止材13を製造した。
(比較例3)
耐候性樹脂層形成用塗料1の換わりに耐候性樹脂層形成用塗料9を塗布する以外は実施例1に記載の方法と同様にして太陽電池裏面封止材14を製造した。
(比較例4)
耐候性樹脂層を形成しないで、トレリナ(登録商標、東レ(株)製、100μm)を封止材用フィルムとして太陽電池封止材15を製造した。
以上で得られた、実施例1〜11、比較例1〜4の太陽電池裏面封止材を用いて、上記の評価方法により、特性を評価した。結果を表2〜6に示す。
Figure 2011204842
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Figure 2011204842
Figure 2011204842
Figure 2011204842
(実施例1と比較例1の比較)
比較例1で得られる最外層にポリエチレンテレフタレートを用いた太陽電池裏面封止材12は、湿熱処理によって破断強伸度が実施例1で得られる最外層にポリフェニレンスルフィドを用いた裏面封止材と比較して低下しており、耐湿熱性が低いことが分かる。従って、耐湿熱性に優れるポリフェニレンスルフィドを基材フィルムとして用いることで長期耐久性を維持できることが分かる。
(実施例1〜7と、比較例2との比較)
比較例2得られる太陽電池裏面封止材13の耐候性樹脂層は、着色顔料を含まない。そのため、フィルム外観・色調を変化させることはできないが、紫外線カット性能は紫外線吸収剤及び光安定化剤が共重合されたアクリル樹脂の性能により高い性能を示している。ただし、さらに紫外線照射を継続した長期屋外使用を想定した場合には、表色系b値の変化が実施例1〜7で得られる封止材用フィルムと比較して大きくなり、フィルム外観が黄変する。また、紫外線照射後の破断強伸度は、実施例1で得られる封止材用フィルムと比較して低下しており、樹脂劣化を引き起こしていると考えられる。このことから、着色顔料を配合することで、フィルム外観の色調コントロールが行えるだけでなく、顔料による光線の吸収あるいは反射の効果に起因して、フィルムの耐紫外線性および耐可視光性がより向上していることがわかる。
(実施例1〜7と、比較例3との比較)
比較例3で得られる太陽電池裏面封止材14の耐候性樹脂層は、着色顔料が酸化チタンである。そのため、酸化チタンによる紫外線の吸収と光散乱のため、ある程度の光は遮蔽されるが、PPSの吸収端である450nm程度において微量に光を透過してしまうため長時間での光照射下ではPPSのフィルム外観・色調が変化する。また、紫外線照射後の破断強伸度は、実施例1で得られる太陽電池裏面封止材と比較して低下しており、樹脂劣化を引き起こしていると考えられる。このことから、着色顔料を黒色とすることで、紫外線及び可視光線の両方が十分に遮蔽されてPPS層の光劣化が抑制されていることがわかる。
(実施例1〜7と、比較例4との比較)
比較例4で得られる太陽電池裏面封止材15(コート層が形成されていないトレリナ(登録商標)フィルムそのもの)は、紫外線および可視光遮蔽性能が無く、着色顔料層も形成されていない。そのため、紫外線及び/又は可視光の照射に伴い、樹脂劣化、黄変が発生する。従って、太陽電池裏面封止材の最外層に用いた場合には、極端なケースではフィルムに割れ、ピンホールなどが生じ、電気絶縁性、水蒸気遮断性など、封止シートに要求される機能が失われるだけでなく、太陽電池モジュールの動作にも影響する懸念がある。
(実施例1と実施例5〜7の比較)
実施例7で得られる芳香脂肪族系ポリイソシアネートを耐候性樹脂層の架橋剤に用いた裏面封止材7はハジキ欠点が見られた。また、実施例6の脂環族ポリイソシアネート系では、紫外線照射後の塗膜密着性が若干劣り、実施例5のビューレット型イソシアネートは耐溶剤性に劣る。よって、実施例1のヌレート型ヘキサメチレンジイソシアネートが耐候性樹脂層の架橋剤として最も優れていることが分かる。
(実施例1と実施例9〜11の比較)
実施例1で得られる裏面封止材1の部分放電電圧に比べて、易接着層とポリフェニレンスルフィド層の間にポリエステル樹脂層を追加した裏面封止材9〜11の方が高く、総厚みが厚い分、電気絶縁性に優れていることが分かる。

Claims (7)

  1. 易接着層、ポリフェニレンスルフィド層、および耐候性樹脂層を有する太陽電池裏面封止材であって、耐候性樹脂層が紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤が共重合されたアクリルポリオール系樹脂、着色顔料及び可塑剤を含有する太陽電池裏面封止材。
  2. 前記可塑剤が、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤およびフタル酸エステル系可塑剤からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1の太陽電池裏面封止材。
  3. 前記耐候性樹脂層が、脂肪族系イソシアネート樹脂、脂環族系イソシアネート樹脂及び芳香脂肪族系イソシアネート樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種を含有する請求項1又は2記載の太陽電池裏面封止材。
  4. 前記着色顔料が黒色顔料である請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池裏面封止材。
  5. 前記易接着層がポリエチレン及び/又はエチレンビニルアセテート樹脂を用いて形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池裏面封止材。
  6. 易接着層とポリフェニレンスルフィド層との間にポリエステル樹脂、オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂およびポリアクリル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種を用いて形成された熱可塑性樹脂層を有する請求項1〜5のいずれかに記載の太陽電池裏面封止材。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の太陽電池裏面封止材と太陽電池モジュールのシリコンセル充填材層面とを接着してなる太陽電池モジュール。
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