JP6596812B2 - 太陽電池用絶縁シート - Google Patents
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Description
すなわち、本発明の配線付き絶縁シートは、以下である。
(1) 基材フィルムの片面に、アクリル系樹脂、紫外線吸収剤、及びシリカを含む樹脂層を有し、該樹脂層が、該樹脂層全体100質量%に対してシリカを0.3〜0.9質量%含み、全光線透過率が85%以上である太陽電池用絶縁シートと、配線とを有する、配線付き絶縁シート。
(2) 前記アクリル系樹脂がアクリルウレタン系樹脂である、(1)に記載の配線付き絶縁シート。
(3) 熱融着層を有する、(1)又は(2)に記載の配線付き絶縁シート。
(4) 前記基材フィルムの前記樹脂層を有さない側の面に、配線が配置されることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の配線付き絶縁シート。
(5) 前記基材フィルムの前記樹脂層を有さない側の面に、熱融着層を介して配線が配置されることを特徴とする、(3)に記載の配線付き絶縁シート。
(6) (1)〜(5)のいずれかに記載の配線付き絶縁シートを有する、太陽電池モジュール。
[基材フィルム]
本発明の太陽電池用絶縁シートに使用される基材フィルムとしては、種々の樹脂フィルムを用いることができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂フィルムや、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフェニレンエーテルなどの樹脂フィルム、およびこれらの樹脂を混合した樹脂フィルムが挙げられる。中でも強度、寸法安定性、熱安定性に優れていることからポリエステル樹脂フィルムが好ましく、さらに安価であることからポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが特に好ましい。また、ポリエステル樹脂フィルム中のポリエステル樹脂は、共重合体であっても良く、共重合成分としては、例えば、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等のジオール成分、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸およびそのエステル形成性誘導体のジカルボン酸成分などを使用することができる。
[樹脂層]
本発明の太陽電池用絶縁シートは、基材フィルムの少なくとも片面に、アクリル系樹脂と紫外線吸収剤を含む樹脂層を有する。
[紫外線吸収剤]
本発明において、樹脂層に含まれる紫外線吸収剤は、紫外線をカットすることにより、紫外線から基材フィルムを保護する目的で用いられる。
[その他添加剤]
さらに、本発明にかかる樹脂層には、その特性を損なわない限りにおいて、熱安定剤、酸化防止剤、強化剤、劣化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、滑剤、架橋助剤、分散剤、消泡剤、レベリング剤、光安定化剤、増粘剤、接着改良剤、つや消し剤、ブロッキング防止剤などを添加してもよい。
[太陽電池用絶縁シート]
図2のように、基材フィルムの少なくとも片面に、アクリル系樹脂と紫外線吸収剤を含む樹脂層を有し、全光線透過率が85%以上である本発明のシートは、太陽電池用絶縁シートとして用いられる。そして本発明の太陽電池用絶縁シートは、全光線透過率が85%以上である。好ましくは87%以上である。そして太陽電池絶縁シートの全光線透過率に上限は特にないが、100%とすることは現実的に容易ではなく、実質的には98%以下であることが好ましい。そして、太陽電池絶縁シートの全光線透過率を85%以上とするためには、基材フィルム及び樹脂層として透明性に優れた材料を選択する方法があり、透明性を低下させる着色顔料の含有量をできるだけ減らすことが好ましい。
[太陽電池モジュール]
本発明の太陽電池用絶縁シートを太陽電池モジュールに使用するに際し、配線同士やセル裏面電極と配線が接触する部分に絶縁シートを配置して、太陽電池モジュールに組み込む。これにより、本発明の太陽電池モジュールにおいては、図6のように、絶縁シートと配線が直接接触し、封止材中に絶縁シートが配置されることとなる。
<特性の評価方法>
本発明で用いた特性の評価方法は、下記の通りである。
(1)塗布量測定
樹脂層の塗布量は、以下の手順で測定した。樹脂層形成後に500cm2の面積に切り出し、その試験片の質量を質量Aとした。次に、その試験片から樹脂層をメチルエチルケトンに溶解させ、剥がし取り、再び試験片の質量を測定し、質量Bとした。続いて、下式に基づき、単位面積当たりの塗布量を算出した。この塗布量測定を3つの試験片について行い、その平均値を塗布量とした。
(2)膜厚測定
樹脂層の膜厚は、フィルメトリクス社製膜厚計F20を使用して測定を実施した。
(3)耐ブロッキング性評価
樹脂層を形成した絶縁シートを5cm角に10枚カットした。これらを、絶縁シートの樹脂層面と、他の絶縁シートの基材フィルム面とが重なるように重ねた。そして、(株)DGエンジニアリング社製インキブロッキングテスターDG−BTにて8kg/cm2の荷重をかけて50℃の環境下で3日間エージングを行った。その後、樹脂層と基材フィルムとの貼り付き具合を評価し、下記分類とした。
+:樹脂層と基材フィルムが貼り付いていない。
−:樹脂層と基材フィルムが貼り付いている。
(4)全光線透過率の測定
JIS K 7361-1 (1997)に基づいて、絶縁シートの全光線透過率の測定を実施した。測定装置は、日本電色工業社製ヘーズメーターNDH4000を使用した。
(5)紫外線カット性能の評価(分光スペクトル測定)
紫外線カット性能は樹脂層及び絶縁シートについて評価を実施した。
(6)基材フィルム/樹脂層間の密着強度評価
各例で作製した太陽電池用絶縁シートの基材フィルムと樹脂層との間の密着力(塗膜密着力)について、JIS K 5400 (1990)に基づいてクロスカット試験を実施し、下記の特性分類をした。
++:100マス塗膜残存/100マス中
+:81〜99マス塗膜残存/100マス中
−:80マス以下の塗膜残存/100マス中。
(7)封止材層と絶縁シートの接着強度の測定
厚さ3mmの半強化ガラスの上にEVAシートを重ね、作製した太陽電池用絶縁シートの樹脂層面が接するように重ね、真空ラミネーターを用いて真空引き後に135℃加熱条件下、3kgf/cm2荷重で15分間プレス処理し、さらに150℃で30分間処理して、封止材層(EVAシート)/絶縁シートラミネートサンプルを作製した。EVAシートは、サンビック(株)製の500μm厚シート(紫外線吸収剤を含まないタイプ)を用いた。
(8)湿熱試験
エスペック(株)製恒温恒湿オーブンを用いて、85℃、85%RHの環境下で1,000時間の湿熱処理を、絶縁シート、並びに、封止材層/絶縁シートラミネートサンプルに施した。その後、絶縁シート中の基材フィルム/樹脂層間の密着強度を、(6)に記載の方法で測定した。さらに封止材層/絶縁シートラミネートサンプル中の封止材層と絶縁シート間の接着強度を、(7)に記載の方法で測定した。
(9)耐紫外線性
岩崎電気(株)製アイスーパーUVテスターSUV−W151を用いて、63℃×30%RH雰囲気にて紫外線強度160mW/cm2で300時間、絶縁シートの樹脂層面側から、又は擬似太陽電池モジュールのガラス面側から紫外線照射を行った。その前後の表色系b値の測定を行い、紫外線照射後のb値から紫外線照射前のb値を差し引き、その差分Δbを求めた。b値の測定は、JIS Z 8722 (2000)に基づき、日本電色工業社製分光式色差計SE−2000を用いて、反射法により測定した。
(i)主剤の調製
表1の主剤の欄に示す配合にて、DIC(株)製の、アクリルポリオール系樹脂と紫外線吸収剤を含むコーティング剤であるUC CLEAR BS(固形分濃度:40質量%)にシリカおよび溶剤を一括混合し、ビーズミル機を用いて分散し、固形分濃度が40質量%である樹脂層形成用塗料の主剤を得た。
(ii)塗料1〜5の調製
上記主剤に硬化剤としてイソシアネート樹脂である、DIC(株)製ウレタン硬化剤 G−18N(固形分濃度:100質量%)を、樹脂層形成用塗料の主剤中のDIC(株)製UC CLEAR BS(固形分濃度:40質量%)との質量比が100/1.5の比になるように予め計算した量配合し、さらに固形分濃度30質量%(樹脂固形分濃度)の塗料となるように予め算出した希釈剤(酢酸エチル)を量りとり、15分間攪拌することにより固形分濃度30質量%(樹脂固形分濃度)の塗料1〜5を得た。
基材フィルムとして東レ(株)製透明ポリエチレンテレフタレートフィルムである“ルミラー”(登録商標)T60(75μm)を準備した。この基材フィルムの一方の面に、コロナ処理を施し、さらにワイヤーバーを用いて塗料1を塗布し、120℃で60秒間乾燥し、乾燥後塗布量が5.0g/m2(厚み4.5μm)となるように樹脂層を形成した。これを40℃で3日間エージングすることで、アクリルポリオール系樹脂とイソシアネート樹脂が架橋してウレタン結合が生成し、アクリルウレタン系樹脂層を有する太陽電池用絶縁シート1(表2,3中では絶縁シート1と略記する)を作製した。
樹脂層形成用塗料1の代わりに樹脂層形成用塗料2を塗布した他は、実施例1と同様にして太陽電池用絶縁シート2(表2,3中では絶縁シート2と略記する)を作製した。
樹脂層形成用塗料1の代わりに樹脂層形成用塗料3を塗布した他は、実施例1と同様にして太陽電池用絶縁シート3(表2,3中では絶縁シート3と略記する)を作製した。
樹脂層形成用塗料1の代わりに樹脂層形成用塗料4を塗布した他は、実施例1と同様にして太陽電池用絶縁シート4(表2,3中では絶縁シート4と略記する)を作製した。
樹脂層形成用塗料1の代わりに樹脂層形成用塗料5を塗布した他は、実施例1と同様にして太陽電池用絶縁シート5(表2,3中では絶縁シート5と略記する)を作製した。
実施例1に記載の方法で得た絶縁シート1の樹脂層とは反対側のフィルム表面に、エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂(EEA樹脂)を厚み75μmとなるように押出積層し、熱融着層を形成した。このようにして太陽電池用絶縁シート6(表2,3中では絶縁シート6と略記する)を作製した。
乾燥後塗布量が4.5g/m2(厚み4.0μm)となるように樹脂層を形成した他は、実施例1と同様にして太陽電池用絶縁シート7(表2,3中では絶縁シート7と略記する)を作製した。
乾燥後塗布量が4.0g/m2(厚み3.5μm)となるように樹脂層を形成した他は、実施例1と同様にして太陽電池用絶縁シート8(表2,3中では絶縁シート8と略記する)を作製した。
乾燥後塗布量が3.0g/m2(厚み2.5μm)となるように樹脂層を形成した他は、実施例1と同様にして太陽電池用絶縁シート9(表2,3中では絶縁シート9と略記する)を作製した。
乾燥後塗布量が2.5g/m2(厚み2.0μm)となるように樹脂層を形成した他は、実施例1と同様にして太陽電池用絶縁シート10(表2,3中では絶縁シート10と略記する)を作製した。
樹脂層及び熱融着層を形成しないで、“ルミラー”(登録商標)T60(東レ(株)製、75μm)を太陽電池用絶縁シート11(表2,3中では絶縁シート11と略記する)とした。
東レ(株)製白色ポリエチレンテレフタレートフィルムである“ルミラー”(登録商標)E20F(50μm)を太陽電池用絶縁シート12(表2,3中では絶縁シート12と略記する)とした。
絶縁シート6の熱融着層面に、配線として日立電線社製銅箔A−SPS0.23×6.0を重ね、さらにその上に、もう1枚の絶縁シート6の熱融着層面がその配線と接するように重ね、ラミネーターを用いて100℃加熱条件下、15分間プレス処理し、図7に示した構成の配線付き絶縁シート1を作製した。
絶縁シート6の代わりに、“ルミラー”(登録商標)T60(東レ(株)製、75μm)の片面に熱融着層としてエチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂(EEA樹脂)を厚み75μmとなるように押出積層した絶縁シートを使用する以外は、実施例11と同様にして配線付き絶縁シート2及び擬似太陽電池モジュールを作製した。
11 ガラス
12 封止材
13 配線
14 太陽電池裏面封止シート
15 太陽電池素子
20,30 太陽電池用絶縁シート
21 樹脂層
22 基材フィルム
31 熱融着層
40,50,70 配線付き絶縁シート
71 太陽電池用絶縁シート
Claims (6)
- 基材フィルムの片面に、アクリル系樹脂、紫外線吸収剤、及びシリカを含む樹脂層を有し、該樹脂層が、該樹脂層全体100質量%に対してシリカを0.3〜0.9質量%含み、全光線透過率が85%以上である太陽電池用絶縁シートと、配線とを有する、配線付き絶縁シート。
- 前記アクリル系樹脂がアクリルウレタン系樹脂である、請求項1に記載の配線付き絶縁シート。
- 熱融着層を有する、請求項1又は2に記載の配線付き絶縁シート。
- 前記基材フィルムの前記樹脂層を有さない側の面に、配線が配置されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の配線付き絶縁シート。
- 前記基材フィルムの前記樹脂層を有さない側の面に、熱融着層を介して配線が配置されることを特徴とする、請求項3に記載の配線付き絶縁シート。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の配線付き絶縁シートを有する、太陽電池モジュール。
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