JP2024050833A - 太陽電池モジュール用の透明保護シート - Google Patents

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Abstract

【課題】太陽電池モジュール外部からの水蒸気の侵入を防ぐ高度な水蒸気バリア性を保持しつつ、一方では、太陽電池モジュールの内部で発生した有害な酢酸ガスのモジュール外部への放出を促進することもできる透明保護シートを提供すること。【解決手段】厚さ比で総厚さの75%以上の部分を占める基材樹脂層11と、耐候樹脂層13と、が積層されてなり、無機化合物からなる蒸着層及び無機化合物からなる薄膜層の何れをも含まずに構成されている多層構成の樹脂シートであり、総厚さが300μmを超えていて、基材樹脂層11は、ポリエチレンテレフタレートであり、耐候樹脂層13は、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体であって、多層構成の樹脂シート全体としての、JIS K 7126-1により試験温度40℃で測定した水蒸気透過度(pw)が、0.8cm3/(m2・24h・atm)以下である、透明保護シート1とする。【選択図】図2

Description

本発明は、太陽電池モジュール用の透明保護シートに関する。
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリーンなエネルギー源としての太陽電池が注目されている。一般に、太陽電池を構成する太陽電池モジュールは、受光面側から、透明前面基板、表面側封止材、太陽電池素子、裏面側封止材、透明保護シートが順に積層された構成であり、太陽光が太陽電池素子に入射することにより発電する機能を有している。尚、透明前面基板としては、透明ガラス基板が多く用いられるが、裏面側と同様の保護シートを用いることもできる。
太陽電池モジュールは、長期間にわたって屋外で使用されるため、太陽電池モジュールを構成する上記の各部材には長期間にわたって屋外における過酷な環境に耐え得る耐久性が求められる。中でも太陽電池モジュールの再表面に配置される保護シートには特に高い耐候性が要求される。このように高い耐候性を要求される太陽電池モジュール用の保護シートとしては、従来、フッ素系フィルムが広く用いられてきた。しかし、製造コスト削減や軽量化の要請への対応として、経済性に優れるポリエチレンテフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂シートを、当該保護シートの主たる部分を占める基材樹脂層とした保護シートが提案されている(特許文献1参照)。
一方、太陽電池モジュールにおいて、太陽電池素子を外部からの衝撃から保護することを主目的として配置される封止材としては、その加工性、施工性、製造コスト、その他等の観点から、エチレン-酢酸ビニル共重合体(以下、「EVA」とも表記する)をベース樹脂とする封止材が汎用的に用いられている。しかしながら、EVAは、高温多湿の環境下での長期間の使用中に徐々に分解する傾向があり、この分解は高温の水蒸気によって更に促進される。EVAをベース樹脂とする封止材を搭載した太陽電池モジュールにおいて、上記分解に伴い発生する酢酸ガスが太陽電池素子に悪影響を与えることが問題視されていた。
これに対して、酸化アルミニウム等の金属蒸着膜を形成した樹脂シートをバリア層として配置することにより水蒸気透過度を極めて小さくすることにより、酢酸ガスの発生の要因となる水分の侵入を防ぐようにした保護シートが開発されている(特許文献2参照)。例えば透明性を有するアルミナ蒸着膜をポリエチレンテレフタレート樹脂基材に蒸着したバリア層を配置した保護シートとすることで、酢酸ガスの発生を一定程度低減させることも可能ではある。
しかしながら、特許文献2に開示されているような、極めて高度な水蒸気バリア性を有する透明保護シートと、汎用的なEVAをベース樹脂とする封止材と、を組合せて太陽電池モジュールを構成した場合であっても、長期に亘って酢酸ガスの発生を完全に防ぐことはできない。太陽電池モジュール内部で封止材由来の酢酸ガスが発生してしまった場合には、上述の透明保護シートの高度のバリア性によってモジュールの外部方向へのガスの拡散が遮断され、その大部分が太陽電池素子周辺に拡散することにより、反って太陽電池素子へ悪影響を与えやすいということが認識されるようになっていた。
特表2010-519742号公報 特開2012-199379号公報
上記状況に鑑み、経済性に優れるポリエチレンテレフタレートを基材樹脂とした透明保護シートであって、太陽電池モジュール外部からの水蒸気の侵入を防ぐ高度な水蒸気バリア性を保持しつつ、一方では、太陽電池モジュールの内部で発生した有害なガス(酢酸ガス)のモジュール外部への放出を促進することもできる透明保護シートを提供することを目的とする。
本願発明者らは、経済性に優れるポリエチレンテレフタレート(PET)を、透明樹脂シートの主たる部分を占める基材樹脂層を形成する樹脂として用いながら、相対的に高価でありPETよりもガス透過度の大きいテトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体(ETFE)を、基材樹脂層を保護する耐候樹脂層を形成する樹脂として補助的に用いた層構成とすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 波長400nm以上1200nm以下における光線透過率が70%以上である、透明樹脂シートであって、厚さ比で総厚さの75%以上の部分を占める基材樹脂層と、耐候樹脂層と、が積層されてなり、前記基材樹脂層は、ポリエチレンテレフタレートであり、前記耐候樹脂層は、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体であって、無機化合物からなる蒸着層及び薄膜層の何れをも含まずに構成されていて、全層におけるJIS K 7126-1により試験温度40℃で測定した水蒸気透過度(pw)が、1.2cm/(m・24h・atm)以下であり、全層におけるJIS K 7126-1により試験温度40℃で測定した酢酸透過度(pa)と、前記水蒸気透過度(pw)と、の比(pa/pw)が、1.4以上である、太陽電池モジュール用の透明保護シート。
(2) 前記水蒸気透過度(pw)が、0.8cm/(m・24h・atm)以下である、(1)に記載の透明保護シート。
(3) 太陽電池素子と、前記太陽電池素子の両面に積層される表面側封止材及び裏面側封止材と、前記表面側封止材又は前記裏面側封止材の何れかの表面に積層される保護シートと、を備える太陽電池モジュールであって、前記太陽電池素子は両面受光型の太陽電池素子であり、前記表面側封止材及び裏面側封止材は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)をベース樹脂とし、前記光線透過率が70%以上であり、前記保護シートは、(1)又は(2)に記載の透明保護シートであって、前記太陽電池モジュールの何れかの最表面に配置されている、太陽電池モジュール。
本発明によれば、経済性に優れるポリエチレンテレフタレートを基材樹脂とした透明保護シートであって、太陽電池モジュール外部からの水蒸気の侵入を防ぐ高度な水蒸気バリア性を保持しつつ、一方では、同モジュール内部で発生した有害なガス(酢酸ガス)の同モジュール外部への放出を促進できることができる透明保護シートを提供することができる。
本発明の太陽電池モジュール用の透明保護シートを用いた太陽電池モジュールの層構成の一例を示す断面図である。 本発明の太陽電池モジュール用の透明保護シートの層構成を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の太陽電池モジュール用の透明保護シートについて説明する。尚、本発明は、以下に記載される実施形態に限定されるものではない。
<太陽電池モジュール>
先ず、本発明の太陽電池モジュール用の透明保護シート1を用いてなる太陽電池モジュール10の全体構成について説明する。太陽電池モジュール10は、図1に示すように透明前面基板4、表面側封止材3、太陽電池素子5、裏面側封止材2、透明保護シート1が順に積層された構成からなる。尚、表面側封止材3と裏面側封止材2とを合せて、これらが積層一体化されている状態にある樹脂層のことを、単に封止材とも称する。尚、本発明の透明保護シート1の用途は、必ずしも上述のように太陽電池モジュールの裏面側への配置には限定されず、透明前面基板として太陽電池モジュール10の表面側に配置して用いることもできる。
ここで、本発明の太陽電池モジュール10は、シースルータイプ、或いは、両面採光タイプの太陽電池モジュールであることが想定されている。よって、透明保護シート1にも当然に高度の透明性が要求される。ここで、本明細書において、「透明」とは「可視光域及び近赤外線領域の光線を透過」可能であることを言い、より詳しくは、「波長400nm以上1200nm以下における光線透過率が、上記波長領域全体において70%以上、好ましくは80%以上」であることを意味するものとする。又、本明細書における「光線透過率」とは、特段の断りがない場合、JIS-K-7105又はJIS-K-7136に準拠して測定された光線透過率のことを言うものとする。
図2に示す通り、透明保護シート1は、一方の表面に耐候樹脂層13が、又、他方の表面に易接着層14が形成されている。太陽電池モジュール10において、透明保護シート1は、裏面側封止材2との接合面側に易接着層14を向けて配置される。
裏面側封止材2及び表面側封止材3は、従来、太陽電池モジュールの封止材として用いられている各種の樹脂からなるものを適宜選択して用いることができる。但し、透明保護シート1と封止材の組合せとして、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂をベース樹脂とする透明な封止材を用いることが好ましい。
本発明の透明保護シート1は、上述の通り、太陽電池モジュール内において発生する酢酸ガスの放出促進という作用効果を奏しうるものである。そして、上述のシースルータイプ、或いは、両面採光タイプの太陽電池モジュールにおいては、封止材にモジュールの両面から光が当たるため、一般的な片面採光タイプのモジュールよりもEVA樹脂の分解と酢酸ガスの発生がより促進されやすい。以上より、EVA樹脂をベース樹脂とする透明な封止材を用いて構成される太陽電池モジュールにおいて、透明保護シート1の奏する上記の作用効果の必要性が特に高いからである。
透明前面基板4としては、通常、透明ガラス基板が用いられる。但し、本発明の透明保護シートを含め、耐候性を有する各種の透明樹脂シートを、透明前面基板4として用いることもできる。
[太陽電池モジュールの製造方法]
太陽電池モジュール10は、上記の各構成部材を、例えば、真空熱ラミネート加工により加熱圧着して一体化することにより製造することができる。この際のラミネート温度は、110℃以上190℃以下の範囲内とすることが好ましく、130℃以上であることがより好ましい。又、ラミネート時間は、5分~60分の範囲内が好ましい。このラミネート加工は、透明保護シート1の易接着層14と、裏面側封止材2とを対面させて加熱圧着する態様で行う。これにより、透明保護シート1と裏面側封止材2の界面における易接着層14の高い接着性を十分に発現させることができる。
<透明保護シート>
透明保護シート1は、図2に示す通り、基材樹脂層11と、耐候樹脂層13とを、含んで構成される多層構成の樹脂シートである。基材樹脂層11は、透明保護シートの主たる部分、具体的には、シート総厚さに対する比で75%以上の部分を占める樹脂層である。又、耐候樹脂層13は、総厚さの25%以内の部分を占める樹脂層である。基材樹脂層11と耐候樹脂層13とは、接着剤層12を介して積層されていることが好ましい。又、基材樹脂層11における耐候樹脂層13が積層されていない側の表面には、裏面側封止材2との接着性を高めるための易接着層14が形成されていることが好ましい。
又、透明保護シート1は、無機化合物からなる蒸着層及び薄膜層の何れをも含まずに構成されている。「無機化合物からなる蒸着層」とは、例えば特許文献2に開示されているような透明なアルミナ蒸着層等である。又、「無機化合物からなる薄膜層」とは、例えば、アルミ箔をバリア層として配置する場合の当該アルミ箔等の金属箔層のことを言う。これらの無機化合物系のバリア層の配置は、何れも保護シートの水蒸気透過度を極めて小さくすることについては有効に寄与するが、酢酸ガスの放出を阻害する点において、本発明の透明保護シート1に劣後する。又、一般的な金属箔層は、太陽電池モジュール全体の透明性を保持できなくなる点において本発明にかかる太陽電池モジュール10への使用は不適格である。そして、これらの無機化合物系のバリア層の配置は、本発明の透明保護シート1をバリア層を配置する場合よりも、材料コストが上昇してしまう点においても好ましくない。
上記構成からなる、透明保護シート1は、全層におけるJIS K 7126-1により試験温度40℃で測定した水蒸気透過度(pw)を、1.2cm/(m・24h・atm)以下に保持した上で、更に、同条件で測定した酢酸透過度(pa)と、全層におけるJIS K 7126-1により試験温度40℃で測定した水蒸気透過度(pw)と、の比(pa/pw)が、1.4以上となるように、基材樹脂層11と耐候樹脂層13の樹脂材料の種類及び両層の厚さ比を最適化したものである。
例えば、透明保護シートを厚さ150μm程度とする場合であれば、PET樹脂からなる単層の樹脂シートでこの透明保護シートを構成すると、水蒸気透過度(pw)については、十分に小さい値とすることができるが、この場合に、同時に酢酸透過度(pa)について、十分に大きい値とすることは困難である。
そこで、透明保護シート1の主たる部分(厚さ比75%以上の部分)を占める基材樹脂層11の樹脂材料はコストパフォーマンスに優れるPET樹脂としたまま、補助的に積層する耐候樹脂層13を、PETと比較して高価ではあるが、ガス透過性の高いETFEによって形成することにより、基材樹脂層11をPETで形成することによる経済性の面における優位性と、必要とされる水蒸気透過度(pw)を維持したまま、酢酸透過度(pa)を十分に向上させることができる。
ここで、透明シートの全層におけるJIS K 7126-1により試験温度40℃で測定した酢酸透過度(pa)(cm/(m・24h・atm))と、同条件で測定した水蒸気透過度(pw)(cm/(m・24h・atm))と、の「比(pa/pw)」のことを、本明細書では、「酢酸/水透過度比(pa/pw)」とも言うものとする。後に実施例で示す通り、透明シートをPETのみで形成すると、総厚さにかかわらず、この「酢酸/水透過度比(pa/pw)」の値が1.4未満となる。ETFEを用いて形成する耐候樹脂層を適切な相対的な厚さ範囲内で補助的に積層することにより、この「酢酸/水透過度比(pa/pw)」の値を、透明保護シートの総厚さを変えずに1.4以上に引き上げることができる。そして、本発明によれば、上記の総厚さ150μm程度の保護シートに限らず、厚さの異なる様々な透明保護シートに求められる水蒸気バリア性を維持したまま、酢酸ガスの放出を十分に促進することができる透明保護シートとすることができる。
透明保護シート1の総厚さについては、要求される水蒸気バリア性の程度に応じて、適切な厚さ範囲で適宜選択することができる。例えば、透明保護シート1の水蒸気透過度(pw)が、1.2cm/(m・24h・atm)以下の範囲まで許容される場合であれば、透明保護シート1の全層の総厚さを、155μm~165μm程度まで薄くすることが可能である。この場合において、層構成の工夫により「酢酸/水透過度比(pa/pw)」の値を1.4以上とした透明保護シート1によれば、酢酸透過度(pa)を1.7cm/(m・24h・atm)以上とすることができる。
一方、透明保護シート1の水蒸気透過度(pw)を、最大でも0.8cm/(m・24h・atm)以下の、より小さい値に保持する必要がある場合であれば、透明保護シート1の全層の総厚さを310μm程度とすることにより、基材樹脂層11をPETで構成する透明保護シートの水蒸気透過度(pw)を0.8cm/(m・24h・atm)以下とすることができる。この場合、例えば、PETフィルムのみで保護シートを構成したとしたら、酢酸透過度(pa)は、1.0cm/(m・24h・atm)程度となってしまうが、層構成の工夫により「酢酸/水透過度比(pa/pw)」の値を1.4以上とした透明保護シート1によれば、透明保護シート1によれば、酢酸透過度(pa)を1.1cm/(m・24h・atm)以上に保持することができる。
透明保護シート1の透明性については、波長400nm以上1200nm以下における光線透過率が、上記波長領域全体において70%以上、好ましくは80%以上であるという要求を満たすことが求められる。透明保護シート1の製造においては、この要求を満たすことができる範囲で、以下に詳細を説明する各層を形成するための材料が選択される。
[基材樹脂層]
透明保護シート1においては、基材樹脂層11を、ポリエチレンテレフタレート(PET)をベース樹脂として形成する。PETは、電気絶縁性、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性及び成形性が良好である点に加えて、経済性の面でも有利な樹脂である。又、各種のPETフィルムの中でも耐加水分解透明PETフィルム(例えば、「ルミラー」(東レ株式会社製))を特に好ましく用いることができる。
基材樹脂層11の厚さは、透明保護シート1の総厚さのうち75%以上の部分を占める厚さであれば、特定の厚さに限定はされないが、150μm以上300μm以下であることが好ましい。例えば、要求される水蒸気透過度の水準に対応できる範囲でできるだけ薄いもの(厚さ150μm程度の樹脂フィルム)を選択してもよいし、或いは、水蒸気透過度を高めるために、より厚さの大きいもの(厚さ300μm程度の樹脂フィルム)を選択することもできる。基材樹脂層11の厚さが、150μm未満であると、絶縁性が低下するという点で好ましくない。又、この厚さが、300μmを超えると加工適性の点で好ましくない。尚、基材樹脂層11は、所定厚さの単層の樹脂フィルムで構成してもよいが、複数の樹脂フィルムを積層一体化した所定厚さの多層の樹脂フィルムで構成することもできる。
基材樹脂層11は、本発明の効果の発現を阻害しない範囲で、上記樹脂以外の成分を含有していてもよい。例えば、加工性、耐熱性、耐光性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤、その他の樹脂等を添加することができる。これら添加剤等の添加量としては、特に限定されず、その目的に応じて、任意に添加することができる。一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、光安定化剤、充填剤、滑剤、強化繊維、補強剤、帯電防止剤、難燃剤、耐炎剤、発泡剤、防カビ剤、改質用樹脂等を挙げることができる。
[耐候樹脂層]
透明保護シート1においては、耐候樹脂層13を、テトラフルオロエチレンとエチレンとの共重合体(ETFE)をベース樹脂として形成する。ETFEは、高価ではあるが、従来、太陽電池モジュール用保護シートにおいて耐候性を担保するための最外層用として用いられている各種の樹脂材料の中でも、透明保護シート1の備えるべき透明性に係る要求を満たし、優れた耐候性を備え、耐加水分解性にも優れるフッ素系樹脂である。各種のETFEフィルムの中では、例えば、「アフレックス25ND」(旭硝子社製)等を好ましく用いることができる。
耐候樹脂層13の厚さは、主として経済性の観点から透明保護シート1の総厚さのうち25%以下の部分を占める厚さであれば、特定の厚さに限定はされない。但し、10μm以上50μm以下であることが好ましい。耐候樹脂層13の厚さが、10μm未満であると、酢酸透過度(pa)向上の効果が発現しにくいため好ましくない。尚、耐候樹脂層13は、所定厚さの単層の樹脂フィルムで構成してもよいが、複数の樹脂フィルムを積層一体化した所定厚さの多層の樹脂フィルムで構成することもできる。
尚、耐候樹脂層13にも、基材樹脂層11と同様に、本発明の効果の発現を阻害しない範囲で、上記において例示した樹脂以外の各種の添加剤等を含有させることができる。
[接着剤層]
接着剤層12は、耐候樹脂層13を基材樹脂層11の表面に接着する機能を有する層である。この層にも透明保護シート1を構成する他の層と同様の透明性が求められる。接着剤層12を形成するための接着剤の主たる材量とする接着剤としては、この透明性に係る要求を満たしうるものであれば、ウレタン系接着剤やアクリル系接着剤他、従来公知の各種の透明な接着剤を適宜選択することができる。
接着剤層12の厚さは、透明保護シート1に必要な透明性及び接着強度等に応じて適宜変更すればよく、1.0μm以上10μm以下の範囲を好ましい厚さの範囲として挙げることができる。
接着剤層12の主たる材量とする透明な接着剤として、例えば、ポリウレタンジオールと脂肪族ポリカーボネートジオールとの混合物を含む主剤と、硬化剤からなる2液タイプの接着剤を用いることができる。この場合、主剤を構成するポリウレタンジオール及び脂肪族ポリカーボネートジオールは、ともに水酸基を有するポリオールであってイソシアネート基を有する硬化剤と反応する接着剤を好ましく用いることができる。
上記主剤成分のポリウレタンジオールは、ウレタン構造をその繰り返し単位とし、その両末端に水酸基を有するポリウレタンである。ポリウレタンジオールの水酸基価は、10mgKOH/g以上50mgKOH/g以下の範囲であることが好ましい。ポリウレタンジオールは、接着剤の主剤成分として、その接着性及び耐候性を向上させるため、脂肪族ポリカーボネートジオールと、1,6へキサンジオールとイソホロンジイソシアネートを反応させて得られる。
上記脂肪族ポリカーボネートジオールは、市販のものを使用することもできる。耐久性、耐候性、耐熱性、耐加水分解性に優れた接着剤を得るため、例えば、数平均分子量1000の脂肪族ポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ社製、商品名「デュラノールT5651」)、数平均分子量2000の脂肪族ポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ社製、商品名「デュラノールT5662」)を好適に使用することができる。
尚、脂肪族ポリカーボネートジオールと、1,6へキサンジオールとイソホロンジイソシアネートを反応させる場合に使用することができる溶剤としては、これらの化合物を溶解させることができ、溶剤と反応しないものであれば、特に制限されるものではないが、相溶性とラミネート時の加工性の観点から酢酸エチル等のカルボン酸エステル系の溶剤を挙げることができる。
又、透明保護シート1においては、この接着剤層12に、透明性に加えて、基材樹脂層11を紫外線から保護するための紫外線遮断性を備えさせることが好ましい。そのために、接着剤層12には、所定量範囲の紫外線吸収剤を添加することが好ましい。具体的には、接着剤層12には、単位面積当り0.3g/m以上1.3g以下の紫外線吸収剤が含有されていればよく、単位面積当り0.5g/m以上1.0g/m以下の紫外線吸収剤が含有されていることが好ましい。単位面積当りの紫外線吸収剤の含有量が0.3g/m以上であることによって、必要な紫外線遮断率を担保することができる。一方、単位面積当りの紫外線吸収剤の含有量が1.3g/mを超えると紫外線遮断性能の増加率も低減して増量分のコストと見合わなくなることによる経済的損失のリスクが高まる。
接着剤層12を形成するための接着剤中に含有させる紫外線吸収剤としては、波長340nmから400nmの間に吸収極大を有する各種の紫外線吸収剤であれば、従来公知の有機系の各種紫外線吸収剤を適宜用いることができる。これにより、400nmを超える光線を有効に取り込めるので、太陽電池モジュール10の発電量を低下させることなく、基材樹脂層11の紫外線吸収による劣化(黄変)を抑制することができる。
以上の要求に応えうる紫外線吸収剤として、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤や、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等を挙げることができる。トリアジン系紫外線吸収剤としては、具体的に、2,4,6-トリス[2-ヒドロキシ-4-[1-(イソオクチルオキシカルボニル)エトキシ]フェニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス[2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル]-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3-5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-(イソオクチルオキシカルボニル)エトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニュルフェニル)-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。市場で入手可能なトリアジン系紫外線吸収剤の好ましい具体例としては、「TINUVIN405(BASF社製)」が挙げられる。又、同様に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、「アデカスタブLA-29(アデカ社製)」等が挙げられる。尚、上記の紫外線吸収剤は、必要に応じて2種以上を混合して用いてもよい。
[易接着層]
易接着層14は、所謂プライマー層であり、太陽電池モジュール10において、オレフィン系樹脂等からなる裏面側封止材2に対する透明保護シート1の接着性を向上させる機能を有する層である。図2に示す通り、透明保護シート1の基材樹脂層11における、耐候樹脂層13が積層されている面とは反対側となる他の表面に形成される。この易接着層14にも、透明保護シート1の透明性を維持するために、基材樹脂層11と同等の透明性が求められる。
易接着層14を形成するために用いるプライマー組成物としては、従来公知の各種のプライマーコーティング液のうち、透明性に係る上記要求を満たしうるものを用いることができる。例えば、オレフィン系樹脂を含有し水性媒体を主溶剤とするプライマー組成物、或いは、架橋性主剤樹脂と、架橋剤等を、含有し、有機系媒体を主溶剤とするプライマー組成物の何れもが選択可能である。
<透明保護シートの製造方法>
透明保護シート1は、基材樹脂層11を構成する樹脂シートの表面に耐候樹脂層13を構成する樹脂シートを接合してなる積層体を先ず製造し、次に、この積層体の耐候樹脂層と反対側の面に易接着層14を形成することにより製造することができる。
[基材樹脂層と耐候樹脂層との接合]
基材樹脂層11及び耐候樹脂層13を構成する各樹脂シートを、接着剤層12を介したドライラミネーション法により接合し、基材樹脂層11と耐候樹脂層13とが一体化されている積層体を得る。接着剤層12を介したドライラミネーションによる接合は、紫外線吸収剤を含有する上述の接着剤を、基材樹脂層11を構成する樹脂シートの一方の表面に適切な膜厚さで塗布し、塗布された接着剤の表面に、耐候樹脂層13を構成する樹脂シートを積層することにより行うことができる。
[易接着層の形成]
上記工程によって得た積層体における、基材樹脂層11及び耐候樹脂層13が一体化されている積層体に対し、耐候樹脂層13が表面に露出している側の面とは反対側の表面に、上記の水性プライマーコーティング液等のプライマーコーティング液を、塗布し、これを塗膜形成することによって易接着層14を形成する。塗膜形成方法としては、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、スクリーン印刷、はけ塗り法等が挙げられる。
以下、実施例によって、本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に何ら限定されない。
<透明保護シートの製造>
実施例、比較例、及び、参考例の透明保護シートを、下記の各樹脂フィルム、添加材料、及び、接着剤等を用いて製造した。各透明保護シートの層構成は、何れも図2に記載の構成、即ち、基材樹脂層の一方の表面に接着剤層を介して耐候樹脂層が接合されていて、他方の表面に易接着層が形成されている層構成とした。
(基材樹脂層)
各透明保護シートの基材樹脂層を構成する樹脂フィルムとして、表1記載の通り、それぞれ異なる厚さで製膜したPETフィルムを用いた。
(耐候樹脂層)
各透明保護シートの耐候樹脂層を構成する樹脂フィルムとして、表1記載の通り、それぞれ異なる厚さで製膜したETFEフィルムを用いた。
(接着剤層)
各実施例及び比較例の透明保護シートの接着剤層を形成する接着剤を、以下の方法(a)~(c)の工程により製造した。製造した接着剤を溶剤酢酸エチルに溶解して、基材樹脂層を構成する上記樹脂シートの表面にグラビアコートした。塗布量は、硬化後の膜厚が、何れの透明保護シートにおいても5μmとなるような塗布量とした。
(a) 主剤の製造
窒素雰囲気下、撹拌機を備えたフラスコに数平均分子量1000の脂肪族ポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ社製、商品名「デュラノールT5651」)100質量部、1、6-ヘキサンジオール(5質量部)、イソホロンジイソシアネート(27.5質量部)、酢酸エチル(132.5質量部)を加え、赤外線吸収スペクトルにて、2270cm-1のイソシアネートの吸収が消失するまで加熱還流させ、ポリウレタンジオールの50%溶液を得た。
主剤成分である脂肪族ポリカーボネートジオールとして、脂肪族ポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ社製、商品名「デュラノールT5651」)を準備した。
上記で製造した主剤成分であるポリウレタンジオールと脂肪族ポリカーボネートジオールを使用して、主剤を調製した。この調製は、ポリウレタンジオール100質量部に対して、脂肪族ポリカーボネートジオールを15質量部配合することにより行った。
(b) 紫外線吸収剤の添加
:トリアジン系紫外線吸収剤「TINUVIN405(商品名、BASF社製)」(分子量583.76)を、接着剤の上記主剤中における含有量が、固形分換算比で、表1に記載の通りの各含有量となるように上記主剤に添加した。
(c) 硬化剤の製造
硬化剤の材料としては、イソホロンジイソシアネートのヌレート体と、ヘキサメチレンジイソシアネート系2官能ポリウレタンジイソシアネート(旭化成ケミカルズ社製「デュラネートD101」)を用いた。その配合割合(質量)は、イソホロンジイソシアネートのヌレート体:ヘキサメチレンジイソシアネート系2官能ポリウレタンジイソシアネートを40:60とした。尚、上記配合割合(質量)は、溶剤を含まない固形質量比であるが、製造に際しては固形分50%に調製をした。
(d) 主剤と硬化剤の配合
上記で製造した主剤と硬化剤を使用し、接着剤を製造した。又、主剤と硬化剤の配合は、主剤、硬化剤を溶剤に溶解させて、それぞれ50質量%(酢酸エチル溶液)とし行った。尚、上記硬化剤には、シランカップリング剤として、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを接着剤全体に対して1.2%の割合で添加した。
(易接着層)
耐候樹脂層が接合されている基材樹脂層の表面(耐候樹脂層とは反対側の面)に、易接着層を形成する工程を行った。下記の水性プライマーコーティング液をグラビアコートにて塗工し、塗工されたコーティング液を、乾燥処理温度110℃で2分間乾燥させた後、40℃で5日間養生して、接着剤層の硬化と易接着層の形成を促進して、各実施例、比較例、及び参考例の透明保護シートとした。各コーティング液の塗工量については、上記養生後における易接着層の膜厚が、何れの透明保護シートにおいても1μmとなるような塗工量とした。
水性プライマーコーティング液の材料としては下記の各材料からなる易接着層組成物及び溶媒を撹拌混合してなる水性分散体を用いた。
酸変性ポリオフィン樹脂
:ベース樹脂として、既成の酸変性ポリオフィン樹脂粉末材料(「ボンダイン(登録商標)」)、東京材料株式会社製を、それぞれの実施例、比較例に用いた。
パラフィンワックス
:「パラフィンワックス水性分散体(日本精鑞社製、EMUSTAR-0135)」を、易接着層組成物中の樹脂成分中における含有量が、固形分換算比で、表1に記載の通りの各含有量となるように配合した。
その他の樹脂
:「エポクロスWS700 日本触媒社製」。ベース樹脂100質量部に対して5質量部の割合で添加した。
溶媒
:蒸留水(76質量部)、イソプロパノール(23質量部)、トリエチルアミン(1質量部)の混合液を溶媒として用いた。
<透明保護シートの評価>
[評価例1:水蒸気透過度、酢酸透過度、酢酸/水透過度比]
高度な水蒸気バリア性を保持しつつ、酢酸ガスの放出を促進しうるという本発明の効果を検証するため、各透明保護シートについて、水蒸気透過度(pw)と酢酸透過度(pa)とをそれぞれ測定し、合わせて、酢酸/水透過度比(pa/pw)を算出した。結果を表1に示す。尚、測定方法、及び測定結果の評価規準は下記の通りとした。
(測定方法)
水蒸気透過度(pw)の測定は、JIS K 7126-1により、試験温度40℃で行った。測定機器としては、酸素透過率測定装置「OX-TRAN(MOCON社製)」を用いた。又、酢酸透過度(pa)の測定は、JIS K 7126-1(GC法・Tセル)により行った。測定温度は40℃で行った。
(評価基準)
総厚さが150μm~165μmの範囲にある透明保護シートを「薄膜タイプ」、総厚さが300μm~310μmの範囲にある透明保護シートを「厚膜タイプ」として、各タイプ毎に評価規準を下記表1の通りに規定した。
(薄膜タイプ)
水蒸気透過度(pw)(cm/(m・24h・atm))
○:1.2cm/(m・24h・atm)以下
×:1.2cm/(m・24h・atm)超え
酢酸透過度(pa)(cm/(m・24h・atm))
○:1.5cm/(m・24h・atm)以上
×:1.5cm/(m・24h・atm)未満
酢酸/水透過度比(pa/pw)
○:1.4以上
×:1.4未満
(厚膜タイプ)
水蒸気透過度(pw)(cm/(m・24h・atm))
○:0.8cm/(m・24h・atm)以下
×:0.8cm/(m・24h・atm)超え
酢酸透過度(pa)(cm/(m・24h・atm))
○:1.1cm/(m・24h・atm)以上
×:1.1cm/(m・24h・atm)未満
酢酸/水透過度比(pa/pw)
○:1.4以上
×:1.4未満
[評価例2:(太陽電池モジュールの発電効率維持率)]
酢酸ガスの影響による太陽電池モジュールの発電効率低下を有効に抑止することができるという本発明の効果を検証するため、各透明保護シートを組込んだ太陽電池モジュール評価用サンプルについて、太陽電池モジュールの出力の維持率を測定算出した。結果を「出力維持率」として表1に示す。尚、測定方法、及び測定結果の評価規準は下記の通りとした。
(太陽電池モジュール評価用サンプルの作成)
上記各透明保護シートを非受光面側の保護シートとして、又、その他、透明前面基板、太陽電池素子、封止材シートとして下記の各部材を用いて、実施例、比較例の「太陽電池モジュール評価用サンプル」を作成した。サンプルの作成は、上記各部材を、透明前面基板/封止材シート/太陽電池素子/封止材シート/透明保護シートの順で積層し、下記のラミネート条件で、真空加熱ラミネート処理を行いうことにより行った。
(透明前面基板)
白板半強化ガラス(AGCファブリテック(株)製:3KWE33)
(太陽電池素子)
n型透明導電膜窓層、n型高抵抗バッファ層、p型CIS系光吸収層、及び金属裏面電極層からなる厚さ3μm程度の薄膜シリコン太陽電池素子デバイスを、樹脂フィルムを基板とするフレキシブル基板に実装した薄膜シリコン太陽電池素子ユニットを、上述の太陽電池素子として用いた。
(封止材シート)
実施例及び比較例の試験用サンプルを構成する封止材シートとして、下記の封止材シートを用いた。
EVA(酢酸ビニル含量28%、製品名「EVAFLEX/EV250グレード」、三井デュポンポリケミカル製)100質量部に対して、架橋剤(製品名「Lupersol101」)1.5質量部、架橋助剤(TAIC)0.5質量部、酸化防止剤(製品名「NAUGARD-P」)0.2質量部、UV吸収剤(製品名「Tinuvin7709」)0.1質量部と(製品名「Cyasorb UV-531」)0.3質量部とを配合したものを、成膜温度90℃のTダイ法により厚さ400μmに製膜した樹脂シート。
(ラミネート条件)
真空ラミネータにて圧力100kPaにて150℃で15分間圧着した後、高温層にて150℃30分間静置するスタンダードキュア条件でラミネートを行った。
(試験方法)
各太陽電池モジュール評価用サンプルについて、ダンプヒート試験前後のPmax値をそれぞれ測定し、発電効率の維持率を算出し、下記の評価基準に基づいて、発電効率長期維持率を評価した。尚、Pmax値とは、太陽電池の出力が最高となる動作点での最高出力値である。JIS-C8935-1995に基づき、ダンプヒート試験前後の各評価用サンプルのPmax値を測定した。ダンプヒート試験は、上記の各評価用サンプルを、温度85℃、湿度85%RHに設定したオーブンに投入して行い、3500時間経過前後での発電効率を測定しその比率を算出した。オーブンのサイクル条件は、-20℃と90度の温度を往復し、前期温度の変更にかかる時間を5時間、前記温度を維持する時間を1時間とし、-20℃からスタートして90℃を経由し-20℃に戻るプロセスを1サイクルとした。結果を、「発電効率維持率」として表1に示す。
(評価基準)
○:発電効率維持率が、95%以上である。
△:発電効率維持率が、90%以上95%未満である。
×:発電効率維持率が、90%未満である。
[評価例3:(耐光性)]
本発明の透明保護シートの耐光性(耐紫外線性)を評価するための試験を下記の通り行った。
(試験方法)
各透明保護シートを、Super UV試験装置(岩崎電気 EYESUPER UV TESTER SUV-W151)に、1000W/mの条件で、48時間投入し、その後の、各シート表面の状態を目視により観察することにより行った。
(評価基準)
○:目視で視認可能な、フィルムの黄変が発生していなかった。
×:目視で視認可能な、フィルムの黄変が発生していた。
[試験例4:(経済性)]
主に材量コストの観点から、各実施例、比較例、及び、参考例の透明保護シート1について、経済性を評価した。PETに替えて全層をETFAで構成した参考例1、2の透明保護シートは材料費の高騰を招くことが明らかであるため、経済性において好ましくないものと評価した。尚、これらについては、実施例と比較して水蒸気透過度が劣後することが確認されているが、経済性の面で実施が困難なものであることが明白であるため、酢酸/水透過度比、発電効率維持率、耐光性についての評価は行っていない。
Figure 2024050833000002
表1より、本発明の透明保護シートは、経済性に優れるポリエチレンテレフタレートを基材樹脂とした透明保護シートであって、太陽電池モジュール外部からの水蒸気の侵入を防ぐ高度な水蒸気バリア性を保持しつつ、一方では、同モジュール内部で発生した有害なガス(酢酸ガス)の同モジュール外部への放出を促進できることができる透明保護シートであることが確認された。
1 透明保護シート
11 基材樹脂層
12 接着剤層
13 耐候樹脂層
14 易接着層
2 裏面側封止材
3 表面側封止材
4 透明前面基板
5 太陽電池素子
10 太陽電池モジュール

Claims (5)

  1. 波長400nm以上1200nm以下における光線透過率が70%以上である、透明樹脂シートであって、
    前記透明樹脂シートは、厚さ比で総厚さの75%以上の部分を占める基材樹脂層と、耐候樹脂層と、が積層されてなり、無機化合物からなる蒸着層及び無機化合物からなる薄膜層の何れをも含まずに構成されている多層構成の樹脂シートであり、前記多層構成の樹脂シート全体としての総厚さが300μmを超えていて、
    前記基材樹脂層は、ポリエチレンテレフタレートであり、
    前記耐候樹脂層は、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体であって、
    前記透明樹脂シートの前記多層構成の樹脂シート全体としての、JIS K 7126-1により試験温度40℃で測定した水蒸気透過度(pw)が、0.8cm/(m・24h・atm)以下である、
    太陽電池モジュール用の透明保護シート。
  2. 前記多層構成の樹脂シート全体としての総厚さが310μm以下である、
    請求項1に記載の太陽電池モジュール用の透明保護シート。
  3. 前記基材樹脂層の厚さが、前記多層構成の樹脂シート全体としての総厚さに対する厚さ比で90%を超えている、
    請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール用の透明保護シート。
  4. 前記多層構成の樹脂シート全体としての、JIS K 7126-1により試験温度40℃で測定した酢酸透過度(pa)と、前記水蒸気透過度(pw)と、の比(pa/pw)が、1.4以上である、
    請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール用の透明保護シート。
  5. 太陽電池素子と、
    前記太陽電池素子の両面に積層される表面側封止材及び裏面側封止材と、
    前記表面側封止材又は前記裏面側封止材の何れかの表面に積層される保護シートと、を備える太陽電池モジュールであって、
    前記太陽電池素子は両面受光型の太陽電池素子であり、
    前記表面側封止材及び前記裏面側封止材は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)をベース樹脂とし、前記光線透過率が70%以上であり、
    前記保護シートは、請求項1又は2に記載の透明保護シートであって、前記太陽電池モジュールの何れかの最表面に配置されている、
    太陽電池モジュール。
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