JP2014041900A - 太陽電池用保護材及び太陽電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】シワ等の外観不良を抑制することが可能で、かつ、防湿性及び剥離強度に優れる太陽電池用保護材、及びこの太陽電池用保護材を用いた太陽電池を提供する。
【解決手段】耐候性フィルム、粘着剤を含有しない接着層1、基材上に無機層を有する防湿フィルム、接着層2、及び融点が180℃以上である高融点フィルムをこの順に有する太陽電池用保護材であって、前記接着層1を構成する接着剤の100℃、周波数10Hz、歪0.1%における引っ張り貯蔵弾性率が5.0×104〜5.0×105Paであり、前記防湿フィルムの基材厚みが30μm以下であり、前記高融点フィルムの収縮率が0.5%以下である太陽電池用保護材、及びこの太陽電池用保護材を有する太陽電池である。
【選択図】なし

Description

本発明は、太陽電池用保護材、及び該保護材を有する太陽電池に関する。
近年、資源の有効利用や環境汚染の防止等の面から、太陽光を直接電気エネルギーに変換する太陽電池が注目され、開発が進められている。太陽電池は、通常、前面保護材、封止材、発電素子、封止材及び裏面保護材をこの順で積層し、真空ラミネーションによる加熱溶融により接着一体化することで製造される。真空ラミネーションは、一般的に130〜180℃、10〜40分の条件で行われる。
太陽電池用保護材は、前面保護材であっても裏面保護材であっても、紫外線に対する耐久性、防湿性等に優れることが重要な要件とされる。そのような中、太陽電池の軽量化、耐衝撃性及び耐久性の向上に有効な太陽電池用保護材として、耐候性フィルムと防湿フィルムとを接着剤や粘着剤で貼り合わせたものが知られている(例えば、特許文献1及び2を参照)。
特許第3978911号公報 特許第3978912号公報
耐候性フィルムと防湿フィルム(バリアフィルム)とを接着剤や粘着剤で貼り合わせた太陽電池用保護材においては、防湿フィルムとして、真空ラミネーション温度より高い融点のフィルムが使用されることが多い。
この防湿フィルムが薄い場合(例えば、厚みが50μm未満)、真空ラミネーションにより太陽電池用保護材の表面や太陽電池用保護材と封止材との界面にシワや突起が発生したり、太陽電池用保護材と封止材との剥離が生じたりする等の外観不良の問題が生じる。
一方、厚みが50μm以上の防湿フィルムを用いる場合、既述の外観不良問題は解消するが、太陽電池用保護材全体の厚みの増加による光線透過率の低下や、防湿フィルムの製造工程において、単位製造工程で扱えるロール長さが短くなることから生産コストの増加となる。そのため、太陽電池の強度及び発電効率の著しい低下や太陽電池用保護材の生産効率の低下をもたらすことになる。
そして、特許文献1及び2に記載されるような従来技術を用いた太陽電池用保護材においては、シワ等の外観不良を抑制することと、十分な防湿性及び剥離強度を有することとの両立が実現できなかった。
以上から本発明の課題は、シワ等の外観不良を抑制することが可能で、かつ、防湿性及び剥離強度に優れる太陽電池用保護材を提供すること、及びこの太陽電池用保護材を用いた太陽電池を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、耐候層と防湿フィルムとの間に設けられる接着層を、粘着剤を含有せず、所定の引っ張り貯蔵弾性率を有する接着剤で構成し、かつ、防湿フィルム側にさらに設けられる高融点フィルムの収縮率を所定値以下とすることで、防湿フィルムの厚みが薄い場合であっても、シワ等の外観不良を抑制することが可能で、防湿性及び剥離強度に優れる太陽電池用保護材を提供できることを見出した。
すなわち、本発明は下記の通りである。
[1] 耐候層、粘着剤を含有しない接着層1、基材上に無機層を有する防湿フィルム、接着層2、及び融点が180℃以上である高融点フィルムをこの順に有する太陽電池用保護材であって、前記接着層1の100℃、周波数10Hz、歪0.1%における引っ張り貯蔵弾性率が5.0×104〜5.0×105Paであり、
前記防湿フィルムの基材厚みが30μm以下であり、前記高融点フィルムの収縮率が0.5%以下である太陽電池用保護材。
[2] 前記接着層1を構成する接着剤がポリウレタン系接着剤である[1]に記載の太陽電池用保護材。
[3] 前記接着層1の厚みが4〜12μmである[1]又は[2]に記載の太陽電池用保護材。
[4] 前記接着層1を構成する接着剤が、ポリカーボネート系ポリウレタン接着剤である[2]又は[3]に記載の太陽電池用保護材。
[5] 前記防湿フィルムの基材がポリエステル系フィルムである[1]〜[4]のいずれかに記載の太陽電池用保護材。
[6] 前記防湿フィルムの40℃、相対湿度90%における水蒸気透過率が0.1[g/(m2・日)]未満である[1]〜[5]のいずれかに記載の太陽電池用保護材。
[7] 上記[1]〜[4]のいずれかに記載の太陽電池用保護材を有する太陽電池。
本発明によれば、シワ等の外観不良を抑制することが可能で、かつ、防湿性及び剥離強度に優れる太陽電池用保護材を提供すること、及びこの太陽電池用保護材を用いた太陽電池を提供することができる。
また、本発明の太陽電池用保護材を使用する太陽電池は、良好な外観を実現することができるのみならず、発電効率の低下を防止できる。
さらに、本発明の太陽電池用保護材によれば、真空ラミネーション温度を150℃以上とした高温真空ラミネーションによってもシワ等の外観不良が生じることがなく、生産効率に優れる。
<太陽電池用保護材>
本発明の太陽電池用保護材は、耐候層と、粘着剤を含有しない接着層1と、基材上に無機層を有する防湿フィルムと、接着層2と、融点が180℃以上である高融点フィルムとをこの順に有する。以下、詳細に説明する。
[耐候層]
本発明において、耐候層としては、耐候性の樹脂組成物の塗布層や、耐候性フィルムからなるものが挙げられるが、耐候性フィルムからなるものが好ましい。
耐候性フィルムとしては、耐加水分解性や耐候性を有するものが制限なく使用でき、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル;ポリカーボネート;ポリメチルメタアクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂;ポリアミド等の各種樹脂フィルムを用いることができる。耐候層は、これらの樹脂の2種以上を含むものであっても良く、また、2枚以上のフィルムの積層フィルムであっても良い。
耐候層は、真空ラミネーション時の温度付近に融点をもつフィルム、すなわち、融点が180℃以下のフィルムを用いることが好ましい。これによれば、真空ラミネーション工程において、太陽電池用保護材を製造する積層工程で生じる耐候層内の残留応力を軽減し、その後の高温高湿時に発生する太陽電池用保護材層内の残留応力を低減する効果を得ることができるためである。これは、前記融点が前記の温度範囲内の耐候性フィルムを用いることで、真空ラミネーション時の温度で、それまでの工程で加えられた力の履歴や熱履歴によって生じたフィルム内の分子、結晶配向を緩和させ残留応力を低減させることができるためでもある。
また、耐候性フィルムとして、真空ラミネーション時や高温高湿時の温度・湿度変化においてもその特性変化が小さいことが好ましいことから、事前の熱処理等による低収縮率化等が行われたフィルムが好ましく使用される。
前記耐候性フィルムは、前述したように単層でも複数の耐候性フィルムを有する積層構成でもよく、各耐候性フィルムの厚さは、20〜200μm程度が好ましく、フィルムの取り扱いやすさとコストの点から20〜100μmがより好ましく、20〜50μmがさらに好ましい。
また、耐候性フィルムは、公知の添加剤、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、フィラー、着色剤、光安定剤等の安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤等を含有することができる。また、これらの各種添加剤を含有する樹脂層を積層しても良い。
[防湿フィルム]
本発明において、防湿フィルムは、基材の少なくとも一方の面に無機層を少なくとも1層有するフィルムである。この無機層により、湿気の透過を防ぎ、太陽電池の内面側を保護することができる。
基材としては、樹脂フィルムが好ましく、通常太陽電池に使用しうる樹脂が制限なく用いられる。具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン等の単独重合体又は共重合体等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分加水分解物(EVOH)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、フッ素樹脂、アクリル系樹脂、生分解性樹脂等が挙げられる。
これらの中では、熱可塑性樹脂フィルムが好ましく、また、フィルム物性、コスト等の点から、熱可塑性樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンが好ましい。中でも、フィルム物性の点から、ポリエステルが好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が特に好ましい。基材に高防湿性能を付与するためには、ポリエチレンナフタレート(PEN)が好ましく用いられる。従来、構成部材としてポリエチレンナフタレートフィルムを使用した太陽電池用保護材は、真空ラミネーション工程の時間短縮のために真空ラミネーション温度を150℃以上とした高温真空ラミネーションを行った場合、シワ等の外観不良が発生し易かったが、太陽電池用保護材を本発明の構成とすることにより、基材としてポリエチレンナフタレートを使用した場合も、外観不良の問題を抑制することができる。
また、基材は、公知の添加剤、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、フィラー、着色剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤等を含有することができる。
基材は、従来公知の方法により製造することができ、既述の原料を用いて成形してなるものであれば、未延伸であってもよいし延伸したものであってもよい。また、単層でも多層でもよい。例えば、原料を押出機により溶融し、環状ダイやTダイにより押出して、急冷することにより実質的に無定型で配向していない未延伸フィルムを製造することができる。また、多層ダイを用いることにより、1種の樹脂からなる単層フィルム、1種の樹脂からなる多層フィルム、多種の樹脂からなる多層フィルム等を製造することができる。
この未延伸フィルムを一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等の公知の方法により、フィルムの流れ(縦軸)方向又はフィルムの流れ方向とそれに直角な(横軸)方向に延伸することにより、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムを製造することができる。延伸倍率は任意に設定できるが、フィルムの幅方向または長さ方向の少なくともいずれかの100℃における熱収縮率が、0.01〜5%、さらには0.01〜2%であることが好ましい。中でもフィルム物性の点から、二軸延伸フィルムや共押出二軸延伸フィルムが好ましい。
本発明において、基材の厚さは、30μm以下であり、好ましくは10〜30μm、より好ましくは12〜25μm、さらに好ましくは12〜20μmである。基材の厚さが前記の範囲であると、太陽電池用保護材全体の厚みの増加による光線透過率の低下を抑え、また、防湿フィルムの製造工程において単位製造工程で扱えるロール長さを長くできることから生産コストを抑えることができる。
なお、基材には、無機層との密着性向上のため、アンカーコート剤をコーティングする等して、アンカーコート層を設けることが好ましい。アンカーコート剤としては、溶剤性又は水性のポリエステル、イソシアネート樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ビニルアルコール樹脂、ビニルブチラール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ニトロセルロース樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、カルボジイミド基含有樹脂、メラミン基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、スチレン樹脂、及びシリコーン樹脂等を単独、あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
また、アンカーコート層には、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、紫外線吸収剤、安定剤、潤滑剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤等を配合することができる。
アンカーコート層の形成方法としては、公知のコーティング方法等が適宜採択される。例えば、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクタコーター、または、スプレイを用いたコーティング方法等の方法がいずれも使用できる。また、基材を樹脂液に浸漬して行ってもよい。コーティング後は、80〜200℃程度の温度での熱風乾燥、熱ロール乾燥等の加熱乾燥や、赤外線乾燥等の公知の乾燥方法を用いて溶媒を蒸発させることができる。また、耐水性、耐久性を高めるために、電子線照射による架橋処理を行うこともできる。アンカーコート層の形成は、基材フィルムの製造ラインの途中で行う方法(インライン)でも、基材フィルム製造後に行う方法(オフライン)でもよい。
アンカーコート層の厚さは無機層との密着性の観点から、10〜200nmが好ましく、10〜100nmがより好ましい。
無機層を構成する無機物質としては、珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、錫、ニッケル、チタン等、あるいはこれらの酸化物、炭化物、窒化物、酸化炭化物、酸化窒化物、酸化炭化窒化物、ダイヤモンドライクカーボンまたはこれらの混合物等が挙げられるが、太陽電池に適用した場合に電流がリークする等の恐れがない点から、酸化珪素、酸化炭化珪素、酸化窒化珪素、酸化炭化窒化珪素、酸化アルミニウム、酸化炭化アルミニウム及び酸化窒化アルミニウム等の無機酸化物、窒化珪素及び窒化アルミニウム等の窒化物、ダイヤモンドライクカーボン並びにこれらの混合物が好ましい。特に、酸化珪素、酸化炭化珪素、酸化窒化珪素、酸化炭化窒化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウム、酸化炭化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化アルミニウム及びこれらの混合物は、高い防湿性が安定に維持できる点で好ましい。
無機層の形成方法としては、蒸着法、コーティング法等の方法がいずれも使用できるが、ガスバリア性の高い均一な薄膜が得られるという点で蒸着法が好ましい。この蒸着法には、物理気相蒸着(PVD)、あるいは化学気相蒸着(CVD)等の方法が含まれる。物理気相蒸着法としては、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等が挙げられ、化学気相蒸着法としては、プラズマを利用したプラズマCVD、加熱触媒体を用いて材料ガスを接触熱分解する触媒化学気相成長法(Cat−CVD)等が挙げられる。
無機層の厚さは安定な防湿性能の発現と透明性の点から、10〜1000nmであることが好ましく、40〜800nmがより好ましく、50〜600nmがさらに好ましい。
また、無機層は単層であっても多層であってもよい。無機層が多層の場合、各層は同じ無機物質からなっていても、異なる無機物質からなっていてもよい。
本発明において、防湿フィルムの40℃、相対湿度90%における水蒸気透過率は、防湿性の観点から、好ましくは0.1[g/(m2・日)]未満、より好ましくは0.05[g/(m2・日)]以下、さらに好ましくは、0.03[g/(m2・日)]以下である。
水蒸気透過率の調整は、樹脂層や基材の選択、無機層を構成する無機物質の選択、無機層の厚さ及び無機層の酸化数等を適宜調整することにより行うことができる。
水蒸気透過率の測定方法は、JIS Z 0222「防湿包装容器の透湿度試験方法」、JIS Z 0208「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」の諸条件に準じ、具体的には実施例に記載の方法で測定される。
[接着層1]
本発明における接着層1は接着剤から構成されており、粘着剤を含有しない。
粘着剤はPressure−sensitive Adhesive (感圧性接着剤) とも呼ばれ、水、溶剤、熱などを使用せず、常温で短時間、わずかな圧力を加えるだけで接着できるものである。溶液型接着剤、熱硬化型接着剤、ホットメルト接着剤などの接着剤が化学反応、溶媒揮散、温度変化などによって固化するのに対し、粘着剤は半固体であり、接合形成後もその状態が変わらず、固化の過程が必要でなく、接合形成後もその状態が変わらないものである。粘着剤としては、例えば、アクリル酸アルキルエステルやメタクリル酸アルキルエステル等を主モノマー成分としたアクリル系粘着剤が挙げられる。
粘着剤を含有しない接着剤を使用することで、接着層がより薄い厚みで接着力を発揮できるため、製造工程の短縮化やコストの低減できるといった利点が得られる。粘着剤を使用する場合、十分な接着強度を得るためには厚みを厚くする必要があり、更に一般に被着体との張り合わせの速度が遅くなるため、生産効率が悪くなり、生産コストが増してしまうため、本発明においては、接着剤を使用する。
また、当該接着層1は、100℃、周波数10Hz、歪0.1%における引っ張り貯蔵弾性率が5.0×104〜5.0×105Paである。
本発明に係る接着剤の引っ張り貯蔵弾性率を5.0×105Pa以下とすることにより、フィルムの収縮等により発生する応力を接着層1で十分に吸収することができ、真空ラミネーション後の外観不良を防止することができる。一方、引っ張り貯蔵弾性率を5.0×104Pa以上とすることにより、真空ラミネーション工程中に接着層1が流動して太陽電池用保護材から大きくはみ出すことにより厚みが不均一な積層体となることを防ぐことができる。接着層1の引っ張り貯蔵弾性率を5.0×104〜5.0×105Paとすることにより真空ラミネーションに起因する外観不良を防止できるだけでなく、その後の耐久試験における無機層の損傷、すなわち、防湿性能の劣化を防止する効果を得ることが可能である。また、後述する、封止材の収縮に起因する、太陽電池用保護材の外観不良の問題を解消することもできる。
上記観点から、接着層1の100℃、周波数10Hz、歪0.1%における引っ張り貯蔵弾性率は、1.0×105Pa〜5.0×105Paであることが好ましい。
また、接着層1は、常温(20℃)において接着強度を維持する観点から、20℃における引っ張り貯蔵弾性率が1.0×106Pa以上であることが好ましい。
本発明における引っ張り貯蔵弾性率は、実施例に記載の方法で測定される。
本発明において、接着層1に用いられる接着剤としては、ポリウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤及びポリエーテル系接着剤が挙げられるが、接着層1の100℃での引っ張り貯蔵弾性率を5.0×104〜5.0×105Paとする観点から、ポリウレタン系接着剤を含むものが好ましく、ポリウレタン系接着剤を主成分とするものがさらに好ましい。ここで、主成分とは、本発明の効果を妨げない範囲で、他の成分を含むことを許容する趣旨であり、具体的な含有率を制限するものではないが、一般に接着層の構成成分全体を100質量部とした場合、50質量部以上であり、好ましくは65質量部以上、さらに好ましくは80質量部以上であって100質量部以下の範囲を占める成分である。
また、接着層1は実質的に既述のような接着剤からなることが好ましく、当該接着剤のみからなることがより好ましい。
(主剤及び硬化剤)
接着層1を構成する接着剤の主剤としては、具体的には、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリアクリルポリオール、ポリウレタンポリオール又はポリエステルポリオール等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールは、例えば、ジフェニルカーボネートと、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(NPG)、シクロヘキサンジオール等のジオールとを共重合させて得ることができる。また、ポリカプロラクトンポリオールとポリカーボネートジオールとを共重合させて得ることもできる。
ポリエーテルポリオールは、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイドを、アルカリ触媒又は酸触媒を触媒として開環重合を行うことで得ることができる。開環重合の出発物質となる活性水素含有化合物としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−へキサンジオール等の多価アルコールを用いることができる。
ポリアクリルポリオールは、水酸基をもった(メタ)アクリル酸エステルと他のモノマーとを共重合させて得ることができる。水酸基をもった(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレートが挙げられる。また他のモノマーとしては、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、脂環式構造を有するシクロヘキシルメタクリレート等を挙げることができる。
ポリウレタンポリオールは、ジオールとジイソシアネートを、イソシアネート基に対する水酸基の比が1以上の割合でウレタン化反応させることにより得ることができる。
ジオール成分、ジイソシアネート成分は、ポリウレタンポリオールの流動性や溶剤への溶解性等を考慮して選択することができる。ジオール成分として好ましくは、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の1級水酸基を有するジオールが挙げられる。また、イソシアネート成分としては、脂肪族ジイソシアネート、脂環系ジイソシアネート、芳香族イソシアネートが挙げられる。
ポリエステルポリオールは、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、イソフタル酸(IPA)、テレフタル酸(TPA)等のジカルボン酸化合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール等のジオール、又はポリテトラメチレングリコール等とを共重合させて得ることができる
ポリエステルポリオールを原料とする接着剤は被着体との密着性が高いという点で好ましいが、エステル結合の加水分解による熱劣化を抑制する観点から、加水分解点となり得るエステル結合基数が少ないポリエステルポリオールを選択することが望ましい。例えばネオペンチルグリコール(NPG)等のアルキル鎖の長いグリコール、例えば1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環構造をもつグリコールを有することが望ましい。
さらに、例えばポリテトラメチレングリコール(PTMG)のように主鎖構造にポリエーテル構造を含む、耐加水分解ポリエステルポリオールを選択することが望ましい。このようなポリエステルポリオールのエステル基1個当たりの分子量は、好ましくは100〜5,000、より好ましくは120〜3,000である。
接着層1を構成する接着剤の硬化剤としては、ジイソシアネートが好ましく、脂肪族系ジイソシアネート、芳香族系ジイソシアネート及び脂環系ジイソシアネートのいずれも好ましく使用できる。脂肪族系ジイソシアネートの具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等が挙げられる。芳香族系ジイソシアネートの具体例としては、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等が挙げられる。脂環系ジイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)等が挙げられる。
硬化後に高い耐熱性をもたせる観点からは、例えば芳香族系ジイソシアネートであるXDI、又は脂環系ジイソシアネートであるIPDI等が好ましい。さらに、接着剤の黄変を防ぐ観点からは、脂環系ジイソシアネートであるIPDI等がより好ましい。
また、より熱的に安定な接着層を得るために、主剤にエポキシ系化合物を含んだものを用いることが好ましい。
ポリウレタン系接着剤としては、熱安定性、湿度安定性等の観点から、ポリカーボネートポリオールと、ジイソシアネートとを反応させて得られるポリカーボネート系ポリウレタン接着剤がより好ましい。
特に、硬化時においても十分な架橋密度が得られる観点から、ジイソシアネートとして、柔軟なメチレン鎖を有するHDIを用いるのが好ましい。
本発明において用いられるポリウレタン系接着剤の主剤と硬化剤との好ましい配合比は、質量比で、主剤/硬化剤=5〜25、官能基のモル比で、−NCO基/−OH基=0.8〜9である。
この配合比を前記範囲内にすることにより、被着体との密着性及び架橋度を確保し、本発明において必須条件である接着層1の100℃、周波数10Hz、歪0.1%における引っ張り貯蔵弾性率を、5.0×104〜5.0×105Paにすることができる。
上記接着層1には、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。使用しうる紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サリチル酸エステル系等各種タイプのものを挙げることができ、種々の市販品が適用できる。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロロベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等を挙げることができる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、ヒドロキシフェニル置換ベンゾトリアゾール化合物であって、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等を挙げることができる。
またトリアジン系紫外線吸収剤としては、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノール等を挙げることができる。
サリチル酸エステル系紫外線吸収剤としては、フェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート等を挙げることができる。
接着層1中の紫外線吸収剤の含有量は、通常0.01〜2.0質量%程度であり、好ましくは0.05〜0.5質量%である。
接着層1には、上記の紫外線吸収剤以外にも、耐候性を付与する耐候安定剤を用いることができ、例えば、ヒンダードアミン系光安定化剤が挙げられる。ヒンダードアミン系光安定化剤は、紫外線吸収剤のようには紫外線を吸収しないが、紫外線吸収剤と併用することによって著しい相乗効果を示すため、紫外線吸収剤と併用するのがより好ましい。
ヒンダードアミン系光安定化剤としては、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セパレート、2−(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)等を挙げることができる。接着層中のヒンダードアミン系光安定化剤の含有量は、通常0.01〜0.5質量%程度であり、好ましくは0.05〜0.3質量%である。
接着層1は、耐候層または防湿フィルムに直接塗工することにより形成することができる。その際、塗工の利便さから、有機溶剤等の希釈剤を使用して、固形分濃度が10〜50質量%の範囲になるように調製した塗工液を塗布することにより形成することが好ましい。
塗工は、例えば、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、ロールナイフコート法、ダイコート法、グラビアコート法、エアドクターコート法、ドクターブレードコート法等、従来公知の塗工方法により行うことができる。また、その塗布量としては、0.1〜10g/m2(乾燥状態)程度が望ましい。塗工後、通常70〜110℃の温度で1〜5分程度乾燥処理することにより、接着層1が形成される。
塗工液には、有機溶剤系、エマルション系、無溶剤系があるが、耐水性が問われる太陽電池部材等の用途には有機溶剤系が好ましい。
塗工液に使用される有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソブタノール、n−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
接着層1の厚さは、十分な接着力を得る観点から4μm以上であるのが好ましく、より好ましくは6μm以上である。また、防湿フィルムの無機層面への応力が増大して防湿性能が劣化するのを防止する観点から、厚さは12μm以下であるのが好ましく、より好ましくは10μm以下である。
接着層1は、耐候性フィルムと防湿フィルムとを貼合させる層であるが、耐候性フィルムの片方の面と無機層面とを貼合させる層であることが好ましい。これによれば、防湿フィルムの無機層を保護することができるため、擦れなどにより防湿性能を劣化させることがなく、貼合わせた後の積層フィルムの取り扱いが容易になる利点がある。
[接着層2]
本発明における接着層2は、防湿フィルムの接着層1と接する面の背面と高融点フィルムとを貼合させる層である。防湿フィルムが片面にのみ無機層を有する場合、接着層2は、防湿フィルムの基材側と高融点フィルムとを貼合させることが好ましい。
接着層2の100℃、周波数10Hz、歪0.1%における引っ張り貯蔵弾性率は5.0×104〜5.0×105Paであるのが好ましい。
接着層2に用いられる接着剤としては、公知のものがいずれも使用可能であるが、外観不良の抑制効果をより高めるため、また、耐加水分解性に優れるポリウレタン系接着剤を使用することが好ましく、接着層1を構成する接着剤と同様な接着剤を使用することがより好ましい。
接着層2は、無機層を有する防湿フィルムもしくは高融点フィルムに接着剤または接着剤を含む塗工液を直接塗工することにより、接着層1と同様の方法にて形成することができる。
接着層2の厚さは、十分な接着力を得るとの観点から、好ましくは4μm以上、より好ましくは6μm以上である。また、端面からの水分の浸入を防ぐためには防湿フィルムより下層側の厚みは極力薄くする観点から、厚さは12μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。
接着層2は、接着層1と同様の、紫外線吸収剤、耐候安定剤等を含有することができる。
接着層2は接着層1と同一であってもよい。
[高融点フィルム]
本発明に用いられる高融点フィルムは、融点が180℃以上であり、収縮率が0.5%以下である。該フィルムの収縮率は、長さ方向、幅方向のいずれにおいても0.5%以下であることが好ましい。
高融点フィルムの融点は、外観不良を防止する観点から、好ましくは180〜300℃、さらに好ましくは180〜270℃である。このような高融点フィルムを用いることで、真空ラミネーション工程に耐えられる剛性を太陽電池用保護材に付与することができる。
高融点フィルムの収縮率は、真空ラミネーション工程における残留応力の発生を低下させる観点及び太陽電池用保護材のカールを防止する観点から、0.5%以下であり、好ましくは0.4%以下、より好ましくは0.3%以下である。収縮率の下限は特に限定されないが、通常0.1%である。なお、収縮率は、実施例に記載の方法で測定される。
本発明に用いられる高融点フィルムは、既述の融点及び収縮率とすることにより、真空ラミネーション工程に耐えられる剛性を太陽電池用保護材に付与することができるため、薄い防湿フィルムを有する太陽電池用保護材であっても、表面にシワや突起が発生したり、太陽電池用保護材と封止材との剥離が生じたりする等の太陽電池用保護材の外観不良を抑制できると同時に、防湿フィルムと高融点フィルムを貼合する場合に、真空ラミネーション工程やその後の耐久試験において問題となる無機層の損傷や防湿性能の低下を抑えることができる。
高融点フィルムの材料としては特に限定されず、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド等が挙げられる。その中でも好ましい具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(融点:260℃)、ポリエチレンナフタレート(融点:262℃)等が挙げられる。
高融点フィルムは、単層でも、複数の高融点フィルムを有する積層構成でもよく、高融点フィルムの厚さは、真空ラミネーション後のシワ防止や太陽電池用保護材のカール抑制の点から、25〜250μmが好ましく、38〜220μmがより好ましく、50〜200μmがさらに好ましい。
[その他の層]
本発明の太陽電池用保護材は、前述の各フィルム以外の樹脂フィルム等をさらに積層することができる。
例えば、高融点フィルムの防湿フィルム側と反対側に、更にハードコート層を設けてもよい。ハードコート層を設けることにより、該高融点フィルムが、生産ライン加工において擦れにより傷付くのを防止することや、高融点フィルムの平滑性を向上させることができる。このハードコート層としては、従来公知のものを使用することができ、紫外線硬化樹脂;電子線硬化樹脂;アルコキシシラン加水分解縮合系樹脂;メラミン系樹脂;(メタ)アクリレート系アルコール変性多官能化合物、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、1,6ヘキサンジオール(メタ)アクリレート等のアクリル系樹脂等からなる層が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ハードコート層としては、硬度が鉛筆硬度で2H以上であるのが好ましく、3H以上であるのがさらに好ましい。またその膜厚は1〜20μmであることが好ましい。1μm未満であると耐擦傷性の効果が十分でない可能性があり、20μm以上であると屈曲性に劣る場合がある。
<太陽電池用保護材の製造方法>
本発明の太陽電池用保護材は、例えば、上述の製膜された各フィルムに接着剤を塗布し、100〜140℃の温度で接着剤を乾燥させ、0〜80℃の温度下、ドライラミネートにより貼り合わせて製造することができる。また、接着層中の接着剤の主剤と硬化剤との反応を十分に行わせるために、ドライラミネート後に得られた積層体を30〜80℃の温度で、3〜6日間養生を行うことが好ましい。こうして得られる本発明の太陽電池用保護材は、高温真空ラミネーション後も、防湿性及び層間強度が劣化せず、柔軟性と防湿性に優れるものである。
太陽電池用保護材の厚さは、特に限定されるものではないが、真空ラミネーション後のシワ発生防止や製造工程上での太陽電池用保護材の取り扱い易さの点から、60〜500μm程度が好ましく、75〜380μmがより好ましく、90〜320μmが特に好ましい。
<太陽電池>
本発明の太陽電池は、本発明の太陽電池用保護材を有する構成である。すなわち、本発明の太陽電池用保護材を、封止材や太陽電池用セル等の他の太陽電池用部材と積層されたものである。本発明の太陽電池は、本発明の太陽電池用保護材を使用することで、良好な外観を実現することができるのみならず、発電効率の低下を防止できる。
本発明の太陽電池用保護材は、封止材を積層してなる封止材・太陽電池用保護材一体型であってもよい。予め封止材をさらに積層することにより、真空ラミネーション工程における裏面保護材、封止材、発電素子、封止材、前面保護材それぞれを個々に積層する作業を低減でき、太陽電池製造の効率化を図ることができる。
本発明の太陽電池用保護材を太陽電池用フロントシート、バックシート等の表面保護材の層構成に使用し、太陽電池素子を封止材とともに固定することにより太陽電池を製作することができる。このような太陽電池としては、種々のタイプのものを例示することができ、好ましくは、本発明の太陽電池用保護材を前面保護材として使用した場合、封止材と、太陽電池素子と、裏面保護材とを用いて作製された太陽電池が挙げられ、具体的には、前面保護材(本発明の太陽電池用保護材)/封止材(封止樹脂層)/太陽電池素子/封止材(封止樹脂層)/裏面保護材の構成のもの、裏面保護材の内周面上に形成させた太陽電池素子上に封止材と前面保護材(本発明の太陽電池用保護材)を形成させるような構成のもの、前面保護材(本発明の太陽電池用保護材)の内周面上に形成させた太陽電池素子、例えばフッ素樹脂系透明保護材上にアモルファス太陽電池素子をスパッタリング等で作製したものの上に封止材と裏面保護材を形成させるような構成のもの等を挙げることができる。前面保護材として本発明の太陽電池用保護材の外側にガラス板を貼り合わせることは任意である。
なお、前述の封止材・前面保護材一体型の前面保護材を用いる場合は、前記の封止材は用いなくてもよい場合がある。
太陽電池素子としては、例えば、単結晶シリコン型、多結晶シリコン型、アモルファスシリコン型、ガリウム−砒素、銅−インジウム−セレン、銅−インジウム−ガリウム−セレン、カドミウム−テルル等のIII−V族やII−VI族化合物半導体型、色素増感型、有機薄膜型等が挙げられる。
本発明の太陽電池を構成する他の各部材については、特に限定されるものではなく、例えば、封止材としては、公知のものがいずれも使用可能である。なお、前記封止材として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)やポリエチレンを使用する場合、耐熱性を付与する等の目的で使用される有機過酸化物からなる架橋剤がモジュール製造工程における真空ラミネーション時に作用するため、封止材の収縮を引き起こす。これは、従来の太陽電池用保護材における外観不良の要因の一つであるが、本願の太陽電池用保護材を用いることにより、EVAやポリエチレンを封止材として用いて太陽電池を作成する場合であっても、外観不良を抑制することができる。また、封止材の収縮がより増大する150℃以上の高温真空ラミネーションを行う場合にも適用することができる。
本発明の太陽電池用保護材を前面保護材として使用する場合、裏面保護材としては、公知のものがいずれも使用可能であるが、例えば、無機材料や各種熱可塑性樹脂フィルム等の単層もしくは多層のシートが挙げられる。無機材料としては、例えば、錫、アルミ、ステンレス等の金属やガラス等が挙げられ、熱可塑性樹脂フィルムとしては、ポリエステルフィルム、無機物蒸着ポリエステルフィルム、フッ素含有樹脂フィルム、ポリオレフィンフィルム等が挙げられる。また、本発明の太陽電池用保護材を裏面保護材として使用する場合、前面保護材としては、公知のものがいずれも使用可能であり、例えば、ガラスや熱可塑性樹脂フィルム等の単層もしくは多層シートまたはこれらの積層シートが挙げられる。熱可塑性樹脂フィルムとしては、ポリエステルフィルム、無機物蒸着ポリエステルフィルム、フッ素系樹脂フィルム、ポリオレフィンフィルム及びこれらの積層シートが挙げられる。
本発明の太陽電池において、上述の上部及び/又は下部の各部材や、本発明の太陽電池用保護材の表面には、封止材や他の部材との接着性を向上させるためにプライマー処理やコロナ処理等公知の表面処理を施すことができる。
本発明の太陽電池用保護材を用いて作製された太陽電池を前述した前面保護材(本発明の太陽電池用保護材)/封止材/太陽電池素子/封止材/裏面保護材のような構成のものを例として説明する。太陽光受光側から順に、本発明の太陽電池用保護材、封止材、太陽電池素子、封止材、裏面保護材が積層されてなり、さらに、裏面保護材の下面にジャンクションボックス(太陽電池素子から発電した電気を外部へ取り出すための配線を接続する端子ボックス)が接着されてなる。太陽電池素子は、発電電流を外部へ電導するために配線により連結されている。配線は、バックシートに設けられた貫通孔を通じて外部へ取り出され、ジャンクションボックスに接続されている。
なお、上記で、例えば、A/B/Cの表記は、下から(あるいは上から)A、B、Cの順に積層していることを示す。
太陽電池の製造方法としては、公知の製造方法が適用でき、特に限定されるものではないが、一般的には、本発明の太陽電池用保護材、封止材、太陽電池素子、封止材、裏面保護材の順に積層する工程と、それらを真空吸引し加熱圧着する工程を有する。具体的には、上記の各部材を順に積層し、常法に従って、真空ラミネーターで、温度が好ましくは130〜180℃、より好ましくは130〜150℃、脱気時間が2〜15分、プレス圧力が0.05〜0.1MPa、プレス時間が好ましくは8〜45分、より好ましくは10〜40分で加熱加圧圧着することにより容易に製造することができる。
上記の製造方法においては、バッチ式の製造設備やロール・ツー・ロール式の製造設備等も適用することができる。
本発明の太陽電池用保護材を用いて作製された太陽電池は、適用される太陽電池のタイプとモジュール形状によらず、モバイル機器に代表される小型太陽電池、屋根や屋上に設置される大型太陽電池等、屋内、屋外に関わらず各種用途に適用することができる。特に、電子デバイスの中でも、化合物系発電素子太陽電池やアモルファスシリコン系等のフレキシブル太陽電池への使用においては、高防湿性が要求されることから、好ましく用いられる。
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、これらの実施例及び比較例により本発明は制限を受けるものではない。なお、本明細書中に表示されるシートについての種々の物性の測定及び評価は次のようにして行った。
[物性測定]
(1)接着層の引っ張り貯蔵弾性率
調製された各接着剤塗液を、シリコーン離型PETフィルム上に塗布し、40℃で5日間養生し、さらにその後100℃、30分保持し接着層を形成した。その後、当該接着層のみを取り出し、厚み200μmとなるよう複数層重ね、縦4mm、横60mm、厚み200μmの各サンプルを作製した。粘弾性測定装置(アイティ計測(株)製、商品名「粘弾性スペクトロメーターDVA−200」)を用いて、振動周波数10Hz、歪0.1%、昇温速度3℃/分、チャック間25mmで横方向について、−100℃から180℃までサンプルに印加される歪に対する応力を測定し、得られたデータから100℃における引っ張り貯蔵弾性率(Pa)を求めた。なお、昇温時におけるサンプル形状変化の理由から100℃での測定が困難な場合、引っ張り貯蔵弾性率は0Paとした。
(2)防湿フィルムの防湿性
防湿フィルムC−1〜C−3の各防湿性は、防湿フィルム作製後、40℃で一週間保管した後の時点で、JIS Z 0222「防湿包装容器の透湿度試験方法」、JIS Z 0208「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」の諸条件に順じ、次の手法で水蒸気透過率を求め、評価した。
まず、厚さ60μmの延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績(株)製 P1146)の表面に、ウレタン系接着剤(東洋モートン(株)製AD900とCAT−RT85を10:1.5の割合で配合したもの)を塗布、乾燥し、厚さ約3μmの接着層を形成した。この接着層上に防湿フィルム(C1〜C3)の無機層面側をラミネートし、積層フィルムを得た。
次に、該積層フィルムからなる透湿面積10.0cm×10.0cm角の積層フィルム各2枚用い、延伸ポリプロピレンフィルムが内側になるようにして、吸湿剤として無水塩化カルシウム約20gを入れ四辺を封じた袋を作製し、その袋を温度40℃相対湿度90%の恒温恒湿装置に入れ、72時間以上の間隔でおよそ200日目まで質量測定し、4日目以降の経過時間と袋質量との回帰直線の傾きから水蒸気透過率[g/(m2・日)]を算出した。
(3)太陽電池用保護材の防湿性及び防湿性劣化度
(太陽電池用保護材の防湿性)
太陽電池用保護材の防湿性は、太陽電池用保護材の作製後、40℃で一週間保管した後の時点で、JIS Z 0222「防湿包装容器の透湿度試験方法」、JIS Z 0208「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」の諸条件に順じ、次の手法で水蒸気透過率を求め、評価した。
厚さ60μmの延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績(株)製 P1146)の表面に、ウレタン系接着剤(東洋モートン(株)製AD900とCAT−RT85を10:1.5の割合で配合したもの)を塗布、乾燥し、厚さ約3μmの接着層を形成し、この接着層上に作製直後の各太陽電池用保護材の高融点フィルム面側をラミネートし、積層フィルムを得た。
次に、該積層フィルムからなる透湿面積10.0cm×10.0cm角の積層フィルム各2枚用い、延伸ポリプロピレンフィルムが内側になるようにして、吸湿剤として無水塩化カルシウム約20gを入れ四辺を封じた袋を作製し、その袋を温度40℃相対湿度90%の恒温恒湿装置に入れ、72時間以上の間隔でおよそ200日目まで質量測定し、4日目以降の経過時間と袋質量との回帰直線の傾きから水蒸気透過率[g/(m2・日)]を算出し、太陽電池用保護材の初期の水蒸気透過率とした。
(太陽電池用保護材の防湿性劣化度)
太陽電池用保護材を前面保護材とし、これに、封止材、セルに見立てた厚み3mmの白板ガラス(サイズ:150mm×150mm)を順次積層し、これを真空ラミネーター((株)エヌ・ピー・シー製、商品名:LM30×30)を用いて、150℃、11分、圧力0.1MPaの条件で積層プレスして(高温真空ラミネーション)サンプルを作製した。次に得られたサンプルから太陽電池用保護材を取り出し、前述の方法で高温真空ラミネーション後の水蒸気透過率を測定した。
得られた水蒸気透過率を用いて、防湿性劣化度を次式から算出し、以下の評価基準に従って評価した。
防湿性劣化度=(高温真空ラミネーション後の太陽電池用保護材の水蒸気透過率)/(太陽電池用保護材の初期の水蒸気透過率)
○:防湿性劣化度が2以上、3未満である。
×:防湿性劣化度が3以上である。
(4)高温真空ラミネーション後の外観
作製された太陽電池用保護材を前面保護材とし、これに、封止材、セルに見立てた厚み3mmの白板ガラス(サイズ:150mm×150mm)を順次積層した。
これを真空ラミネーター((株)エヌ・ピー・シー製、商品名:LM30×30)を用いて、150℃、11分、圧力0.1MPaの条件で積層プレスしたサンプルを作製し、その外観を観察し、以下の評価基準に従って評価した。
○:前面保護材表面にシワがなく良好な太陽電池が得られる。
×:前面保護材表面にシワが見られる。
(5)太陽電池用保護材の層間強度
太陽電池用保護材を測定幅15mmの短冊状に切り出し、引っ張り試験機((株)オリエンテック製、商品名:STA−1150)を用いて300mm/min、引張り方向は180度で、耐候性フィルムと防湿フィルムとの層間強度(N/15mm)を測定し、以下の評価基準に従って評価した。
○:層間強度が5N/15mm以上である。
×:層間強度が5N/15mm未満である。
(6)高融点フィルムの融点
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント社製、商品名:Q20)を用いて、JIS K7121に準じて、サンプル約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、融解ピークを確認、200℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で300℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムから結晶融解ピーク温度の中で最大ピークを融点(Tm)[℃]として求めた。
(7)高融点フィルムの収縮率
15cm四方にカットしたフィルムの内側に250mm間隔に平行に標線を4本引き、ノギスで標線間距離を測定した。試験フィルムの標線の外側をクリップで挟んで150℃オーブン中に吊り下げ、30分放置し加熱処理を行い、その後室温に戻し1時間放置後、下記の式より幅方向、長さ方向それぞれの熱収縮率を算出した。
μ=[(L1−L2)/L1]×100
μ:熱収縮率(%)
L1:未処理のフィルムの標線間の距離(mm)
L2:加熱処理後のフィルムの標線間の距離(mm)
[構成フィルム]
<耐候性フィルム>
(耐候性フィルムA−1)
耐候性フィルムA−1として、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)フィルム(旭硝子(株)製、商品名:アフレックス50MW1250DCS、厚み50μm)を使用した。
<接着剤塗液>
(接着剤塗液B−1)
ポリカーボネートポリオール成分を含む主剤として、平均分子量2000のポリカプロラクトンポリオール(ダイセル化学工業(株)製、商品名「プラクセル210N」)、平均分子量500のポリカーボネートジオール(ダイセル化学工業(株)製、商品名「プラクセルCD CD205」)を使用し、ポリカプロラクトンポリオール/ポリカーボネートジオールの質量比が60/40となるように混合し、酢酸エチルに溶解させ、固形分約50質量%、粘度400[mPa・s]のポリオール溶液とした。このポリオール溶液に、硬化成分としてスミジュールN3300(住化バイエルウレタン(株)製)を、質量比が10/0.5となるように配合し、固形分濃度が35質量%となるように酢酸エチルで希釈して接着剤塗液B−1を調製した。
(接着剤塗液B−2)
ポリカーボネートポリオール成分を含む主剤として、ロックペイント(株)製、HD1013(商品名、粘度600[mPa・s])を用い、これに、脂肪族系のヘキサメチレンジイソシアネート成分を含む硬化剤としてロックペイント(株)製、H62(商品名)を使用し、主剤/硬化剤の質量比が10/1.5となるように混合し、固形分濃度が30質量%となるように酢酸エチルで希釈して接着剤塗液B−2を調製した。
(接着剤塗液B−3)
ポリエステルポリオール成分を含む主剤として、三井化学ポリウレタン(株)製、A1143(商品名、エステル基1つあたりの分子量は109、粘度500[mPa・s])を用い、これに、脂環系のイソホロンジイソシアネートと芳香族系のキシリレンジイソシアネートを含む硬化剤として三井化学(株)製、タケネートA−50(商品名)を使用し、主剤/硬化剤の質量比が9/1となるように混合し、固形分濃度が35質量%となるように酢酸エチルで希釈して接着剤塗液B−3を調製した。
(接着剤塗液B−4)
ポリエステルポリオール成分を含む主剤としてDIC(株)製、TSB−700(商品名、粘度300[mPa・s])を用い、これに、ヘキサメチレンジイソシアネート成分を含む硬化剤としてDIC(株)製、TSH−900(商品名)を使用し、主剤/硬化剤の質量比が12/1となるように混合し、固形分濃度が35質量%となるように酢酸エチルで希釈して接着剤塗液B−4を調製した。
接着剤塗液B−1〜B−4から形成された接着層の引っ張り貯蔵弾性率を下記表1に示す。
Figure 2014041900
<防湿フィルム>
(防湿フィルムC−1)
基材として、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名:「Q51C」)を用い、そのコロナ処理面に、下記のコート液を塗布乾燥して厚さ0.1μmのアンカーコート層を形成した。
次いで、真空蒸着装置を使用して1.33×10-3Pa(1×10-5Torr)の真空下でSiOを加熱蒸発させ、アンカーコート層上に厚さ50nmのSiOx(x=1.5)無機層を形成し、防湿フィルムC−1を得た。作製した防湿フィルムC−1の温度40℃、相対湿度90%における水蒸気透過率は0.01[g/(m2・日)]であった。
(コート液)
ポリビニルアルコール樹脂(日本合成化学(株)製、商品名:「ゴーセノール」、ケン化度:97.0〜98.8mol%、重合度:2400)220gをイオン交換水2810gに加え加温溶解した水溶液に、20℃で、撹拌しながら35mol%塩酸645gを加えた。次いで、10℃で、ブチルアルデヒド3.6gを撹拌しながら添加し、5分後に、アセトアルデヒド143gを撹拌しながら滴下し、樹脂微粒子を析出させた。次いで、60℃で2時間保持した後、液を冷却し、炭酸水素ナトリウムで中和し、水洗、乾燥し、ポリビニルアセトアセタール樹脂粉末(アセタール化度75mol%)を得た。これに、架橋剤としてイソシアネート樹脂(住友バイエルウレタン(株)製、商品名:「スミジュールN−3200」)を用い、水酸基に対するイソシアネート基の当量比が1:2になるように混合した。
(防湿フィルムC−2)
防湿フィルムフィルムC−1の作製において、基材を、厚さ25μmの二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名:「Q51C」)に変更したこと以外は同様にして防湿フィルムC−2を作製した。作製した無機層を有する防湿フィルムC−2の温度40℃、相対湿度90%における水蒸気透過率は0.01[g/(m2・日)]であった。
(防湿フィルムC−3)
防湿フィルムC−1の作製において、基材を、厚さ50μmの二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名:「Q51C」)に変更したこと以外は同様にして防湿フィルムC−3を作製した。作製した防湿フィルムC−3の温度40℃、相対湿度90%における水蒸気透過率は0.01[g/(m2・日)]であった。
<高融点フィルム>
(高融点フィルムD−1)
ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂(株)製、商品名:ダイアホイルT−100、厚み:50μm)を炉長27m、温度170℃の乾燥炉に50メートル/分の速度で通過させ熱処理して高融点フィルムD−1を作製した。高融点フィルムD−1の熱収縮率は幅方向、長さ方向とも0.3%、融点は252℃であった。
(高融点フィルムD−2)
ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂(株)製、商品名:ダイアホイルT−100、厚み:50μm)を高融点フィルムD−2として使用した。高融点フィルムD−2の熱収縮率は幅方向、長さ方向とも1.2%、融点は252℃であった。
<封止材>
(封止材F−1)
封止材F−1として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(ブリヂストン(株)製、商品名:EVASKY S11、厚み:500μm)を使用した。
実施例1
耐候性フィルムA−1に接着剤塗液B−1を固形分8g/m2となるよう塗布乾燥し、作製した接着層1と防湿フィルムC−1の無機層面とを貼合し、さらに接着剤塗液B−1を固形分が8g/m2となるよう防湿フィルムC−1の無機層面の反対面に塗布乾燥し、作製した接着層2と高融点フィルムD−1とを貼合した。その後40℃で5日間養生し、厚み128μmの太陽電池用保護材E−1を作製した。太陽電池用保護材E−1の温度40℃、相対湿度90%における初期の水蒸気透過率は0.01[g/(m2・日)]であった。
また、厚み3mmの白板ガラス、封止材F−1及び太陽電池用保護材E−1を使用して太陽電池を作製し、前記の方法により高温真空ラミネーション後の外観、層間強度及び防湿性劣化度を評価した。結果を下記表2に示す。
実施例2
接着層1を構成する接着剤として、接着剤塗液B−1を接着剤塗液B−2に変更したこと以外は実施例1と同様にして、厚み128μmの太陽電池用保護材E−2を作製した。太陽電池用保護材E−2の温度40℃、相対湿度90%における初期の水蒸気透過率は0.01[g/(m2・日)]であった。
また、太陽電池用保護材E−1を太陽電池用保護材E−2に変更したこと以外は実施例1と同様にして太陽電池を作製し、高温真空ラミネーション後の外観、層間強度及び防湿性劣化度を評価した。結果を下記表2に示す。
実施例3
防湿フィルムC−1を防湿フィルムC−2に変更したこと以外は実施例1と同様にして、厚み141μmの太陽電池用保護材E−3を作製した。太陽電池用保護材E−3の温度40℃、相対湿度90%における初期の水蒸気透過率は0.01[g/(m2・日)]であった。
また、太陽電池用保護材E−1を太陽電池用保護材E−3に変更したこと以外は実施例1と同様にして太陽電池を作製し、高温真空ラミネーション後の外観、層間強度及び防湿性劣化度を評価した。結果を下記表2に示す。
実施例4
接着層1を構成する接着剤として、接着剤塗液B−1を接着剤塗液B−2に変更したこと以外は実施例3と同様にして、厚み141μmの太陽電池用保護材E−4を作製した。太陽電池用保護材E−4の温度40℃、相対湿度90%における初期の水蒸気透過率は0.01[g/(m2・日)]であった。
また、太陽電池用保護材E−1を太陽電池用保護材E−4に変更したこと以外は実施例1と同様にして太陽電池を作製し、高温真空ラミネーション後の外観、層間強度及び防湿性劣化度を評価した。結果を下記表2に示す。
実施例5
接着層1の厚みを3μmとなるようにした以外は実施例1と同様にして、厚み161μmの太陽電池用保護材E−5を作製した。太陽電池用保護材E−5の温度40℃、相対湿度90%における初期の水蒸気透過率は0.01[g/(m2・日)]であった。
また、太陽電池用保護材E−1を太陽電池用保護材E−5に変更したこと以外は実施例1と同様にして太陽電池を作製し、高温真空ラミネーション後の外観、層間強度及び防湿性劣化度を評価した。結果を下記表2に示す。
比較例1
接着層1を構成する接着剤として、接着剤塗液B−1を接着剤塗液B−3に変更したこと以外は実施例1と同様にして、厚み128μmの太陽電池用保護材E−6を作製した。太陽電池用保護材E−6の温度40℃、相対湿度90%における初期の水蒸気透過率は0.01[g/(m2・日)]であった。
また、太陽電池用保護材E−1を太陽電池用保護材E−6に変更したこと以外は実施例1と同様にして太陽電池を作製し、高温真空ラミネーション後の外観、層間強度及び防湿性劣化度を評価した。結果を下記表2に示す。
比較例2
接着層1を構成する接着剤として、接着剤塗液B−1を接着剤塗液B−4に変更したこと以外は実施例1と同様にして、厚み128μmの太陽電池用保護材E−7を作製した。太陽電池用保護材E−7の温度40℃、相対湿度90%における初期の水蒸気透過率は0.01[g/(m2・日)]であった。
また、太陽電池用保護材E−1を太陽電池用保護材E−7に変更したこと以外は実施例1と同様にして太陽電池を作製し、高温真空ラミネーション後の外観、層間強度及び防湿性劣化度を評価した。結果を下記表2に示す。
比較例3
高融点フィルムD−1を高融点フィルムD−2に変更したこと以外は実施例1と同様にして、厚み128μmの太陽電池用保護材E−8を作製した。太陽電池用保護材E−8の温度40℃、相対湿度90%における初期の水蒸気透過率は0.01[g/(m2・日)]であった。
また、太陽電池用保護材E−1を太陽電池用保護材E−8に変更したこと以外は実施例1と同様にして太陽電池を作製し、高温真空ラミネーション後の外観、層間強度及び防湿性劣化度を評価した。結果を下記表2に示す。
比較例4
防湿フィルムC−1を防湿フィルムC−3に変更したこと以外は実施例1と同様にして、厚み166μmの太陽電池用保護材E−9を作製した。太陽電池用保護材E−9の温度40℃、相対湿度90%における初期の水蒸気透過率は0.01[g/(m2・日)]であった。
また、太陽電池用保護材E−1を太陽電池用保護材E−9に変更したこと以外は実施例1と同様にして太陽電池を作製し、高温真空ラミネーション後の外観、層間強度及び防湿性劣化度を評価した。結果を下記表2に示す。
Figure 2014041900
表2から明らかなように、接着層1の厚み、接着層1の100℃における引っ張り貯蔵弾性率、防湿フィルムの基材厚み、高融点フィルムの収縮率のいずれかが本発明の規定範囲外である比較例1〜4の太陽電池用保護材は、防湿性及び/又は層間強度に劣るものであった。
これに対し、実施例1〜5の太陽電池用保護材は、いずれも外観に優れ、かつ、防湿性及び層間強度に優れる。
本発明の太陽電池用保護材は、外観不良の問題を解消し、防湿性及び層間強度に優れる。本発明の太陽電池用保護材を使用する太陽電池は、良好な外観を実現することができるのみならず、発電効率の低下を防止できる。

Claims (7)

  1. 耐候性フィルム、粘着剤を含有しない接着層1、基材上に無機層を有する防湿フィルム、接着層2、及び融点が180℃以上である高融点フィルムをこの順に有する太陽電池用保護材であって、
    前記接着層1の100℃、周波数10Hz、歪0.1%における引っ張り貯蔵弾性率が5.0×104〜5.0×105Paであり、
    前記防湿フィルムの基材厚みが30μm以下であり、
    前記高融点フィルムの収縮率が0.5%以下である太陽電池用保護材。
  2. 前記接着層1を構成する接着剤がポリウレタン系接着剤である請求項1に記載の太陽電池用保護材。
  3. 前記接着層1の厚みが4〜12μmである請求項1又は2に記載の太陽電池用保護材。
  4. 前記接着層1を構成する接着剤が、ポリカーボネート系ポリウレタン接着剤である請求項2又は3に記載の太陽電池用保護材。
  5. 前記防湿フィルムの基材がポリエステル系フィルムである請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池用保護材。
  6. 前記防湿フィルムの40℃、相対湿度90%における水蒸気透過率が0.1[g/(m2・日)]未満である請求項1〜5のいずれか1項に記載の太陽電池用保護材。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池用保護材を有する太陽電池。
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