JP2012213936A - 積層防湿フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】無機薄膜層を有する防湿フィルムと、特定の接着剤を介して貼合するプラスチックフィルムを有する積層防湿フィルムの耐久性に関して、長期に防湿性、層間強度が劣下しない柔軟性と防湿性に優れた積層防湿フィルムを提供する。
【解決手段】
基材の少なくとも一方の面に無機薄膜層を有する防湿フィルム、及び該防湿フィルムの無機薄膜層面に、水酸基を有し、スチレン基を10%未満含有する変性ゴムとイソシアネート基を有する架橋剤とからなる接着剤層を介して貼り合わせたプラスチックフィルムを有することを特徴とする積層防湿フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、太陽電池等の電子デバイスに用いられる積層防湿フィルムに関し、特に、太陽電池モジュール等の電子デバイスに使用可能な黄変の少ない積層防湿フィルムであって、当該電子デバイスに組み込む際の高温条件下においても防湿性、層間強度が保持される優れた積層防湿フィルムに関する。
プラスチックフィルム基材の表面に酸化珪素等の無機薄膜を形成した防湿フィルムは、他のプラスチックフィルムと積層され、さまざまな包装用途に用いられてきた。近年は、液晶表示素子、太陽電池、電磁波シールド、タッチパネル、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、有機TFT、有機半導体センサー、有機発光デバイス等の有機デバイス、電子ペーパー、フィルムコンデンサー、無機EL素子、カラーフィルター等で使用する基材フィルムや真空断熱材としての新しい用途にも使用されている。
これらの用途において、積層防湿フィルムは、より厳しい性能が求められるようになり、長期使用や高温条件下における防湿性の劣化が少ない優れた積層防湿性フィルムの開発がなされてきた。すなわち、上記のような用途における積層防湿フィルムでは、耐候性、耐熱性、耐水性、防湿性、物理的あるいは化学的強度性等が必要であり、各基材を張り合わせる接着剤についても、諸特性を満たすために様々な提案がされてきた。
例えば、特許文献1では、二軸延伸ポリエステルフィルムを基材とする防湿フィルムにポリウレタン系接着剤(主剤タケラックA511/硬化剤タケネートA50=10/1溶液)を使用して接着剤層を設け、順次フィルムを積層し太陽電池用表面保護材を製作し、85℃、85%湿度下で1000時間の加速試験後のバリアと層間強度を評価し、両特性の劣下防止の提案を行なっている。
また、特許文献2では、ニ液硬化型ポリウレタン系接着剤を用いて二軸延伸ポリエステルフィルムを基材とする防湿フィルムにPVFフィルムを貼り合わせた後、プレッシャークッカーテスト(PCT)(高温高圧による過酷環境試験、105℃、216時間)前後の層間強度を評価、加水分解に伴う材料の劣化を防止の提案を行なっている。
特開2007−150084号公報 特開2009−188072号公報
積層防湿性フィルムを製造する際の貼り合せは、通常、貼り合わせ面に接着剤を塗布または塗工することにより、あるいは熱可塑性プラスチックフィルムを熱融着することにより行う。当該接着剤として、たとえば、ゴム系接着剤は柔らかい主鎖構造を有し防湿性の維持に適しており、耐加水分解性にも優れる。特に、ゴムとしての特性に耐熱性を付与するには、剛直な構造を有するスチレン骨格を共重合により導入する方法が知られており、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム等からなるゴム系接着剤は耐熱性、耐加水分解性に優れている。
しかしながら、上述のゴム系接着剤は、紫外線を吸収することで黄変する性質があるため、透明性を必要される電子デバイスのカバーシートに適さなく、特に、塗料や太陽電池など日光に晒される屋外用途での使用に適さなかった。
そこで、上述のような黄変の問題が少ないポリウレタン系接着剤が用いられることが一般的であるが、特許文献1に記載されるようなポリエステルポリオール、さらにジイソシアネート類で伸長反応させたものを主剤の樹脂成分として用いた場合、ポリエステル構造を有するために高温高湿条件での耐加水分解性に劣るという問題があった。
上記主剤の樹脂成分として、耐加水分解性を目的として特許文献2に記載のようなポリカーボネート系ポリオールを用いることが出来るが、得られる接着剤は、外部応力に対する柔軟性に欠けるものが殆どであった。外部応力に対する柔軟性が十分でないと、積層フィルムが熱処理によって変形した際に、無機薄膜層に対して接着剤層を介して応力が作用し、防湿性の劣化が起こり、特に、高い防湿性を有する無機薄膜層では重大な劣化を生じる。
また、特許文献2ではポリカーボネート系の接着剤を用いて貼りあわせた積層防湿フィルムについてプレッシャークッカーテストで層間強度が低下しないことを示しているが、防湿性については何ら開示されていない。
一方、アクリル系粘着剤は、柔らかい主鎖構造を持ち、接着剤層を介して無機薄膜層に対して作用する応力を軽減するので防湿性維持の点で優れている。このようなアクリル系粘着剤は、モノマー組成を変更することで接着剤組成を工夫することが容易であり、様々な工夫が凝らされているものの、一般に耐熱性、耐久性に問題があった。
このように、積層防湿フィルムとしては防湿性及び層間強度に優れるものであって、当該防湿性及び層間強度が長期に維持されるものが望まれるが、これまで、高い防湿性を有するフィルムを用いた場合においては、長期保存における防湿性及び層間強度の低下を防止しうる具体的な提案はなされていないのが実情であった。
すなわち、本発明の課題は、基材の一方の面に無機薄膜層を有する防湿フィルムと、該防湿フィルムの無機薄膜層面と、特定の接着剤を介して貼合するプラスチックフィルムを有する積層防湿フィルムの耐久性に関して、長期に防湿性、層間強度が劣下しない柔軟性と防湿性に優れた積層防湿フィルムを実現し、太陽電池等の電子デバイスの性能低下を同時に防止すること、及び太陽電池の耐久性の向上に有効な高防湿太陽電池用表面保護材を提供することにある。
本発明者らは、検討を重ねた結果、ゴム系接着剤として、水酸基を有しスチレン基を10%未満含有する変性ゴム主剤と、イソシアネート基を有する架橋剤とからなる接着剤を用いることにより、紫外線による黄変の少ない積層防湿フィルムにおいて、高温高湿環境下での防湿性の劣化及び層間強度の劣化を同時に抑制しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の積層防湿フィルムは、基材の少なくとも一方の面に無機薄膜層を有する防湿フィルム、及び該防湿フィルムの無機薄膜層面に、水酸基を有しスチレン基を10%未満含有するする変性ゴムとイソシアネート基を有する架橋剤とからなる接着剤層を介して貼り合わせたプラスチックフィルムを有することを特徴とする。
また、本発明は、上記積層防湿フィルムを有することを特徴とする太陽電池用表面保護部材である。
本発明によれば、基材の一方の面に無機薄膜層を有する防湿フィルムと該防湿フィルムの無機薄膜層面と接着剤又は粘着剤を介して貼合するプラスチックフィルムを有する積層防湿フィルムの耐久性に関して、長期に防湿性、層間強度が劣下しない柔軟性と防湿性に優れた積層防湿フィルムを実現し、太陽電池の性能低下を同時に防止すること、及び太陽電池の耐久性の向上に有効な高防湿太陽電池用表面保護材を提供することができる。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
通常、積層防湿フィルムは耐候性フィルム等のプラスチックフィルムに溶剤を用いて希釈した接着剤層を所定の厚みに塗布し70℃から140℃の範囲での乾燥により溶剤を蒸発させプラスチックフィルム上に接着剤層又は粘着剤層を形成した後、防湿フィルムの無機薄膜面を接着剤側に向けて貼合する。さらに、積層防湿フィルムを太陽電池等のデバイスの表面保護材に使用する場合、必要により、防湿フィルムの背面に上記と同様に溶剤を用いて希釈した接着剤層を所定の厚みに塗布し70℃から140℃の範囲での乾燥により溶剤を蒸発させ防湿フィルム上に接着剤層を形成した後、別のフィルムを貼合し、所定の温度での養生を経て表面保護材を作成する。養生は30℃から80℃の範囲で1日から1週間行なわれる。本積層工程において、熱や貼合の張力が各フィルムに作用し積層防湿フィルムに残留歪が蓄積される。作成された表面保護材は太陽電池素子や封止材と共に真空ラミネーションにより加熱溶融され一体化させ、太陽電池に組み込まれる。この真空ラミネーションプロセスは130℃から180℃の範囲で行なわれる。
このように、積層防湿フィルムは、真空ラミネーションプロセスにおいて接着剤の乾燥、養生温度よりはるかに高い温度である130℃〜180℃の範囲での熱処理を受けることとなる。上記の積層工程において蓄積された残留歪は、高温高湿環境下での保存において、各積層界面への応力となって作用する。特に、プラスチックフィルムに残留歪が蓄積した場合、高温高湿環境下での温度によりフィルムは収縮し、無機薄膜層に対して応力が作用し、無機薄膜層に重大な劣化を生じる。
特に、0.1[g/m2・日]未満程度の高い防湿性をもった防湿フィルムの場合、プラスチックフィルムの収縮による防湿性の劣化は著しい。これは無機薄膜層内部及び防湿フィルム基材と無機薄膜層間での少量の欠陥が高い防湿性に対して重大な影響を与えるからである。
以上より、本発明者らはプラスチックフィルムからの応力を接着剤層にて緩和させることで高温高湿環境下において防湿フィルムの無機薄膜層に作用する応力を低下させ、防湿性の劣下の抑制と層間強度の両立を実現しうることを見出すに至った。
具体的には、高温高湿環境下において、プラスチックフィルム内の残留歪から生じる無機薄膜層に掛かる収縮による応力の伝達を低減するためには、真空ラミネーションでの貼り合わせに使用する接着剤層の弾性率が十分低く柔軟であり、接着剤層が変形することにより応力を吸収してしまうことが重要であり、ラミネーション等の高温環境下での弾性率が低い接着剤層を使用することが重要である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明における積層防湿フィルムは、基材の少なくとも一方の面に無機薄膜層を有する防湿フィルム、及び該防湿フィルムの無機薄膜層面に、水酸基を有する変性ゴムとイソシアネート基を有する架橋剤とからなる接着剤層を介して貼り合わせたプラスチックフィルムを有することを特徴とする。
<積層防湿フィルム>
[防湿フィルム]
本発明において、防湿フィルムは、基材の少なくとも一方の面に無機薄膜層を有するものであり、その水蒸気透過率は0.1[g/m2・日]未満であることが好ましい。
(基材)
上記基材としては、透明基材フィルムであることが好ましく、具体的には、熱可塑性高分子フィルムが好ましく、その材料としては、通常の包装材料に使用しうる樹脂であれば特に制限なく用いることができる。
具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン等の単独重合体又は共重合体等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分加水分解物(EVOH)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、フッ素樹脂、アクリレート樹脂、生分解性樹脂等が挙げられる。これらの中では、フィルム物性、コスト等の点から、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンが好ましい。中でも、表面平滑性、フィルム強度、耐熱性等の点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が特に好ましい。
また、上記基材フィルムは、公知の添加剤、例えば、帯電防止剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、フィラー、着色剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤等を含有することができる。
上記基材としての熱可塑性高分子フィルムは、上記の原料を用いて成形してなるものであるが、基材として用いる際は、未延伸であってもよいし延伸したものであってもよい。また、他のプラスチック基材と積層されていてもよい。
かかる基材フィルムは、従来公知の方法により製造することができ、例えば、原料樹脂を押出機により溶融し、環状ダイやTダイにより押出して、急冷することにより実質的に無定型で配向していない未延伸フィルムを製造することができる。また、多層ダイを用いることにより、1種の樹脂からなる単層フィルム、1種の樹脂からなる多層フィルム、多種の樹脂からなる多層フィルム等を製造することができる。
この未延伸フィルムを一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等の公知の方法により、フィルムの流れ(縦軸)方向又はフィルムの流れ方向とそれに直角な(横軸)方向に延伸することにより、少なくとも一軸方向に延伸したフィルムを製造することができる。延伸倍率は任意に設定できるが、150℃熱収縮率が、0.01〜5%であることが好ましく、0.01〜2%であることがより好ましい。中でもフィルム物性の点から、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムや、ポリエチレンテレフタレート及び/又はポリエチレンナフタレートと他のプラスチックの共押出二軸延伸フィルムが好ましい。
なお、上記基材フィルムには、無機薄膜との密着性向上のため、アンカーコート剤を塗布することが好ましい。アンカーコート剤としては、溶剤性又は水性のポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニル変性樹脂、ビニルアルコール樹脂、ビニルブチラール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ニトロセルロース樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、カルボジイミド基含有樹脂、メチレン基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコーン樹脂及びアルキルチタネート等を単独、あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。また、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤、安定剤、潤滑剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤等を含有したり、それらを上記樹脂と共重合させたものを使用することができる。
アンカーコート層の厚みは無機薄膜との密着性向上の観点から、10〜200nmであることが好ましく、10〜100nmであることがより好ましい。その形成方法としては、公知のコーティング方法が適宜採択される。例えば、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクタコーター、スプレイあるいは刷毛を用いたコーティング方法等の方法がいずれも使用できる。また、蒸着フィルムを樹脂液に浸漬して行ってもよい。塗布後は、80〜200℃程度の温度での熱風乾燥、熱ロール乾燥等の加熱乾燥や、赤外線乾燥等の公知の乾燥方法を用いて溶媒を蒸発させることができる。また、耐水性、耐久性を高めるために、電子線照射による架橋処理を行う事もできる。また、アンカーコート層の形成は、基材フィルムの製造ラインの途中で行う方法(インライン)でも、基材フィルム製造後に行う(オフライン)方法でも良い。
(無機薄膜層)
積層防湿フィルムを構成する無機薄膜層としては、アルミニウム等の金属のコーティング膜が知られているが、太陽電池等の電子デバイスに適用した場合、電流がリークする等の恐れがなく、透明性に優れる点から、シリカ、アルミナ等の無機酸化物のコーティング膜が好ましく用いられる。
上記無機酸化物コーティング層の形成方法としては、蒸着法、コーティング法等の方法がいずれも使用できるが、ガスバリア性の高い均一な薄膜が得られるという点で蒸着法が好ましい。この蒸着法には、物理気相蒸着(PVD)、あるいは化学気相蒸着(CVD)等の方法がいずれも含まれる。物理気相蒸着法には、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等が挙げられ、化学気相蒸着法には、プラズマを利用したプラズマCVD、加熱触媒体を用いて材料ガスを接触熱分解する触媒化学気相成長法(Cat−CVD)等が挙げられる。
無機酸化物コーティング層を構成する無機物質としては、珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、錫、ニッケル、チタン、水素化炭素等、あるいはこれらの酸化物、炭化物、窒化物又はそれらの混合物が挙げられるが、透明であることから好ましくは酸化珪素、酸化アルミニウム、水素化炭素を主体としたダイアモンドライクカーボンである。特に、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウムは、高いガスバリア性が安定に維持できる点で好ましい。
上記無機薄膜層の厚さは、安定な防湿性の発現の点から、40〜1000nmであることが好ましく、50〜800nmがより好ましく、50〜600nmが更に好ましい。また、上記基材フィルムの厚さは、一般に5〜100μm程度であり、生産性や取り扱いやすさの点から8〜50μmが好ましく、12〜50μmが更に好ましい。
(防湿フィルム)
本発明において、防湿フィルムは、前記基材の少なくとも一方の面に前記無機薄膜層を有するものであり、その水蒸気透過率が0.1[g/m2・日]未満程度であることが好ましい。
本発明は、太陽電池をはじめとする長期に高い防湿性を保持することが望まれる電子デバイス等の機器にも好ましく使用される積層防湿フィルムに関するものであるため、初期の防湿性も一定以上のものである必要がある。したがって、本発明において、上記防湿フィルムは水蒸気透過率が好ましくは0.1[g/m2日]未満であり、より好ましくは0.05[g/m2・日]以下であり、更に好ましくは、0.03[g/m2・日]以下である。
[プラスチックフィルム]
前記積層フィルムに積層されるプラスチックフィルムは、真空ラミネーション等の高温高湿環境下の温度・湿度変化においてもその収縮が小さいことにより接着剤層や無機薄膜層への応力の伝達が抑えられることから収縮率が小さいものであることが好ましく、例えば、ポリエチレンナフタレート等の低収縮性耐候基材が挙げられ、収縮率が大きいポリエチレンテレフタレートフィルムやフッ素系フィルム等の場合は事前の熱処理により低収縮率化等を達成することができる。
前記プラスチックフィルムとしては、具体的にはポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂もしくはポリカーボネート系樹脂に紫外線吸収剤を含有するフィルム、又はフッ素樹脂フィルムが好ましく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、4−フッ化エチレン−パークロロアルコキシ共重合体(PFA)、4−フッ化エチレン−6−フッ化プロピレン共重合体(FEP)、2−エチレン−4−フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリ3−フッ化塩化エチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂フィルム、あるいは、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の樹脂に紫外線吸収剤を練り込んだ樹脂組成物を成膜したものが好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。
長期耐久性の観点から、プラスチックフィルムを形成する樹脂としては、2−エチレン−4−フッ化エチレン共重合体(ETFE)、4−フッ化エチレン−6−フッ化プロピレン共重合体(FEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)がより好ましく用いられる。
長期耐候性とフィルム収縮率の観点からはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の樹脂に紫外線吸収剤を塗布及び練り込んだ樹脂組成物を成膜したものが好ましく用いられる。
上記樹脂は1種で用いることもできるが2種以上組合せて使用することもできる。
プラスチックフィルムは、太陽電池保護材への使用を考えると可撓性に富み、耐熱性、防湿性、紫外線耐久性に優れる性能を有する耐候性フィルムであることが望ましく、フッ素系フィルムや耐加水分解性ポリエステルフィルムが好ましく用いられる。
前記プラスチックフィルムの厚さは、一般に20〜200μm程度であり、フィルムの取り扱いやすさとコストの点から20〜100μmが好ましく、20〜50μmがより好ましい。
なお、上記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サリチル酸エステル系等各種タイプのものを挙げることができ、種々の市販品が適用できる。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロロベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等を挙げることができる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、ヒドロキシフェニル置換ベンゾトリアゾール化合物であって、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等を挙げることができる。
またトリアジン系紫外線吸収剤としては、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノール等を挙げることができる。
サリチル酸エステル系としては、フェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート等を挙げることができる。
該紫外線吸収剤の添加量は、プラスチックフィルム中、通常、0.01〜2.0質量%程度であり、0.05〜0.5質量%添加することが好ましい。
上記の紫外線吸収剤以外に耐候性を付与する耐候安定剤として、ヒンダードアミン系光安定化剤が好適に用いられる。ヒンダードアミン系光安定化剤は、紫外線吸収剤のようには紫外線を吸収しないが、紫外線吸収剤と併用することによって著しい相乗効果を示す。
ヒンダードアミン系光安定化剤としては、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セパレート、2−(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)等を挙げることができる。該ヒンダードアミン系光安定化剤の添加量は、プラスチックフィルム中、通常、0.01〜0.5質量%程度であり、0.05〜0.3質量%添加することが好ましい。
[接着剤層]
本発明の積層防湿フィルムは、前記防湿フィルムの無機薄膜層面と前記プラスチックフィルムとを接着剤層を介して貼合する。
本発明において、上記接着剤層は、100℃、周波数10Hz、歪0.1%における引っ張り貯蔵弾性率が1×104[Pa]以上、1×105[Pa]以下であることが好ましく、また、その厚みが13μm以上であることが好ましい。すなわち、100℃における引っ張り貯蔵弾性率が1×104[Pa]以上であれば真空ラミネーションなどの加熱時に粘着剤層が流動せず、層厚みを均一に維持することが可能であり、また、1×105[Pa]以下であれば、該接着剤層を介し対抗するフィルムの収縮などにより発生する応力を接着剤層で吸収することで無機薄膜層へのダメージを防ぐことが可能となり好ましい。上記観点から、接着剤層の100℃における引っ張り貯蔵弾性率は、4×104[Pa]以上、1×105[Pa]以下であり、6×105[Pa]]〜1×105[Pa]であることが好ましい。
本発明において、上記接着剤層に用いられる接着剤としては、100℃での引っ張り貯蔵弾性率を上記範囲とし、かつ20℃(室温)において接着強度を維持するために20℃、周波数10Hz、歪0.1%での引っ張り貯蔵弾性率が好ましくは1×105[Pa]以上である。この引っ張り貯蔵弾性率を発揮する観点から、水酸基を有する変性ゴムとイソシアネート基を有する架橋剤からなる接着剤(以下、「本発明におけるゴム系接着剤」ということがある)を含むものが好ましく、これを主成分とするものがさらに好ましい。ここで、主成分とは、本発明の効果を妨げない範囲で、他の成分を含むことを許容する趣旨であり、具体的な含有率を制限するものではないが、一般に接着剤層又は粘着剤層の構成成分全体を100質量部とした場合、50質量部以上であり、好ましくは65質量部以上、さらに好ましくは80質量部以上であって100質量部以下の範囲を占める成分である。
本発明におけるゴム系接着剤は、水酸基を有しスチレン基を10%未満含有する変性ゴムとイソシアネート基を有する架橋剤からなる。
(水酸基を有しスチレン基を10%未満含有する変性ゴム)
水酸基を有しスチレン基を10%未満含有する変性ゴムとしては、スチレン基を10%未満含有するものであり、好ましくは5%未満、さらに好ましくは3%未満含有するものである。上記変性ゴムは、好ましくはスチレン基を含有しないものとし、もしくは含有するとしても上記の規定量内とすることにより、スチレンなどの芳香族化合物に由来して紫外線を吸収し黄変することを防ぐことができる。なお、上記変性ゴムに剛性や耐熱性を付与するためにスチレン基を1%以上含有することができる。
また、架橋により接着剤として必要な凝集力を得る観点から、例えば、一分子中に水酸基を2個以上と2重結合を有する液状ゴムと、ポリイソシアネートとを反応させて得られるものが好ましい。
一分子中に水酸基を2個以上と二重結合を有する液状ゴムとしては、原料が安価であり、かつクロロプレンのように焼却時にダイオキシンを発生しない観点から、ブタジエン系ゴム、イソプレン系ゴムが好ましく挙げられ、この中のいずれか1以上を使用することが好ましい。ゴムの物性および性状は、目的とする諸物性により異なるため特に制限はないが、架橋剤との反応性との良好な反応性を得る観点から、数平均分子量が5,000以下のものが好ましい。
ポリイソシアネートは、脂肪族イソシアネートを含むポリイソシアネートであることが好ましい。具体的にはヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、リジンジイソシアネート(LDI)などの脂肪族ジイソシアネートまたは、脂肪族ジイソシアネートを2価または3価の多価アルコールと反応させたアダクト体、ビュレット体、ウレチジオン体、イソシアヌレート体などが挙げられる。目的とする諸物性に応じ、1種または2種以上の組み合わせを選択して使用することができる。
ポリイソシアネートの配合量は、前記液状ゴムに対し、イソシアネート基の水酸基に対する比率(NCO/OH)で0.1〜0.9、好ましくは0.3〜0.6であることが好ましい。(NCO/OH)の配合比率が0.1以上であれば、所望の初期接着強度が得られ、0.9以下であれば反応制御が容易でゲル化が抑制される。
上記液状ゴムとポリイソシアネートの反応には、重合開始剤を使用することが好ましい。重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(2,4−ジクロロベンゾイル)パーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチルパーオキシヘキサン、t−ブチルパーベンゾエード、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等の有機過酸化物、過酸化水素等の無機過酸化物、硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル等のジアゾ化合物が挙げられる。その他に、紫外線、電子線などを用い、ゴム中の二重結合を開き、ゴム同士を反応させることもできる。
上記液状ゴムと、ポリイソシアネートと、重合開始剤は、必要に応じ、有機溶剤の存在下で反応させるが、この際、有機溶剤としては、汎用の有機溶剤が使用できる。本発明においては、一分子中に水酸基を2個以上有する水酸基含有液状ゴムとイソシアネートの反応を、重合開始剤存在下で行うことによりフィルム貼り合わせに最適な水酸基を有する変性ゴムが得られる。
(イソシアネート基を有する架橋剤)
本発明におけるゴム系接着剤に含有されるイソシアネート基を有する架橋剤としては、前述の液状ゴムと反応させるポリイソシアネートと同様のものを使用することができる。
架橋剤の配合量は、変性ゴム100質量部に対して、好ましくは2〜20質量部、より好ましくは5〜10質量部である。この配合量が2質量部以上であれば、十分なタックが発現し、プラスチックフィルムへの接着性が良好であり、20質量部以下であれば硬化後の弾性率の増大が抑えられ、プラスチックフィルムへの接着性も優れたものとなる。
本発明におけるゴム系接着剤には、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。使用しうる紫外線吸収剤としては、前述のプラスチックフィルムに含有される紫外線吸収剤と同様のものが使用できる。
本発明において、接着剤層は、前記プラスチックフィルムもしくは防湿フィルムの無機薄膜層に直接塗工することにより形成してもよいし、剥離処理された剥離シートの剥離処理面に塗工し、これをプラスチックフィルムもしくは防湿フィルムの無機薄膜層に接合することにより形成することもできる。
塗工する前記接着剤(以下、塗工液という。)には、有機溶剤系、エマルション系、無溶剤系があるが、耐水性が問われる太陽電池部材などの用途には有機溶剤系がのぞましい。
有機溶剤系の塗工液に用いられる有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソブタノール、n−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
塗工液は、塗工の利便さから、これらの有機溶剤を使用して、固形分濃度が10〜50質量%の範囲になるように調製するのが好ましい。
塗工液の塗工は、例えば、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、ロールナイフコート法、ダイコート法、グラビアコート法、エアドクターコート法、ドクターブレードコート法等、従来公知の塗工方法により行うことができる。
塗工後、通常70〜110℃の温度で1〜5分程度乾燥処理することにより、粘着剤層が形成される。
接着剤層の厚さは、十分な接着力を得るとの観点から13μm以上とする必要があり、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上である。また、塗工可能な厚みとする観点から、上記厚さは100μm以下が好ましく、50μm以下であることがより好ましい。
[積層防湿フィルム]
本発明の積層防湿フィルム、特に前記接着剤層には、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、諸物性(柔軟性、耐熱性、透明性、接着性等)や成形加工性あるいは経済性等を更に向上させる目的で、例えば、ポリオレフィン系樹脂や各種エラストマー(オレフィン系、スチレン系等)、カルボキシル基、アミノ基、イミド基、水酸基、エポキシ基、オキサゾリン基、チオール基、シラノール基等の極性基で変性された樹脂及び粘着付与樹脂等を含有することができる。
該粘着付与樹脂としては、石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン− インデン樹脂、ロジン系樹脂、又はそれらの水素添加誘導体等が挙げられる。具体的には、石油樹脂としては、シクロペンタジエン又はその二量体からの脂環式石油樹脂やC9成分からの芳香族石油樹脂があり、テルペン樹脂としてはβ−ピネンからのテルペン樹脂やテルペン−フェノール樹脂が、また、ロジン系樹脂としては、ガムロジン、ウッドロジン等のロジン樹脂、グリセリンやペンタエリスリトール等で変性したエステル化ロジン樹脂等を例示することができる。また、該粘着付与樹脂は主に分子量により種々の軟化温度を有するものが得られるが、軟化温度が100〜150℃、好ましくは120〜140℃の脂環式石油樹脂の水素添加誘導体が特に好ましく、通常、積層防湿フィルムを構成する各フィルム中、20質量%以下が好ましく、10質量%以下が更に好ましい。
(添加剤)
また、積層防湿フィルムには、必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。該添加剤としては、例えば、シランカップリング剤、酸化防止剤、耐候安定剤、光拡散剤、造核剤、顔料(例えば白色顔料)、難燃剤、変色防止剤等が挙げられる。本発明においては、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤から選ばれる少なくとも一種の添加剤が添加されていることが後述する理由等から好ましい。また、本発明においては、例えば、高度の耐熱性を要求される場合は架橋剤及び/又は架橋助剤を配合してもよい。
シランカップリング剤の例としては、ビニル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基のような不飽和基、アミノ基、エポキシ基等とともに、アルコキシ基のような加水分解可能な基を有する化合物を挙げることができる。シランカップリング剤の具体例としては、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等を例示することができる。本発明においては、接着性が良好であり、黄変等の変色が少ないこと等からγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランやγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましく用いられる。該シランカップリング剤の添加量は、積層防湿フィルムを構成する各フィルム中、通常、0.1〜5質量%程度であり、0.2〜3質量%添加することが好ましい。また、シランカップリング剤と同様に、有機チタネート化合物等のカップリング剤も有効に活用できる。
酸化防止剤としては、種々の市販品が適用でき、モノフェノール系、ビスフェノール系、高分子型フェノール系、硫黄系、ホスファイト系等各種タイプのものを挙げることができる。モノフェノール系としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール等を挙げることができる。ビスフェノール系としては、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス〔{1,1−ジメチル−2−{β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル}2,4,9,10−テトラオキサスピロ〕5,5−ウンデカン等を挙げることができる。
高分子フェノール系としては、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ビドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−{メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキスフェニル)プロピオネート}メタン、ビス{(3,3’−ビス−4’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシッド}グルコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トリフェノール(ビタミンE)等を挙げることができる。
硫黄系としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオプロピオネート等を挙げることができる。
ホスファイト系としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(モノ及び/又はジ)フェニルホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナスレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−メチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等を挙げることができる。
本発明においては、酸化防止剤の効果、熱安定性、経済性等からフェノール系及びホスファイト系の酸化防止剤が好ましく用いられ、両者を組み合わせて用いることが更に好ましい。該酸化防止剤の添加量は、積層防湿フィルムを構成する各フィルム中、通常、0.1〜1質量%程度であり、0.2〜0.5質量%添加することが好ましい。
(製膜方法)
本発明に用いられる積層防湿フィルムを構成する接着剤層を除く各フィルムの製膜方法としては、公知の方法、例えば単軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー等の溶融混合設備を有し、Tダイを用いる押出キャスト法やカレンダー法等を採用することができ、特に限定されるものではないが、本発明においては、ハンドリング性や生産性等の面からTダイを用いる押出キャスト法が好適に用いられる。Tダイを用いる押出キャスト法での成形温度は、用いる樹脂組成物の流動特性や製膜性等によって適宜調整されるが、概ね130〜300℃、好ましくは150〜250℃である。シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤等の各種添加剤は、予め樹脂とともにドライブレンドしてからホッパーに供給しても良いし、予め全ての材料を溶融混合してペレットを作製してから供給しても良いし、添加剤のみを予め樹脂に濃縮したマスターバッチを作製し供給してもかまわない。
本発明の積層防湿フィルムは、上述の製膜された各フィルムに前記接着剤を塗工し、例えば70〜140℃の温度でを乾燥させ、0〜80℃の温度下、貼り合わせて製造することができる。接着剤層を十分飽和架橋度に到達させることの観点から、得られた積層体は30〜80℃の温度で、1〜7日間養生を行うことが好ましい。
本発明の積層防湿フィルムは、高熱環境、すなわち、熱ラミネート条件での熱処理を経ても、防湿性及び層間強度が劣下しない柔軟性と防湿性に優れるものである。
積層防湿フィルムの厚みは、特に限定されるものではないが、通常、30〜100μm程度であり、好ましくは40〜80μm程度あり、より好ましくは40〜70μm程度のシート状で用いられる。
(積層防湿フィルムの防湿性)
本発明の積層防湿フィルムは、上述の通り、基材に無機薄膜層を有し、好ましくは水蒸気透過率0.1[g/m2・日]未満の防湿フィルムを用いることにより、熱処理前の防湿性である初期防湿性が、水蒸気透過率で好ましくは0.1[g/m2・日]以下であり、より好ましくは0.05[g/m2・日]以下であるものとすることができる。
本発明の積層防湿フィルムは、優れた防湿性を要求される電子デバイスの表面保護材等として使用されることが可能であるため、初期防湿性に優れ、且つ、高温高湿環境下での保存での防湿性も優れる積層防湿フィルムであることが好ましい。
また、前記接着剤を用いることにより、その防湿性は、真空ラミネーション及びJIS C 60068−2−66に準じるプレッシャークーカーテスト(120℃、32時間)による連続する高温高湿環境による劣化度、すなわち、(前記の高温高湿環境後の水蒸気透過率/初期水蒸気透過率)を、好ましくは25以内、より好ましくは15以内とすることができる。
なお、本発明における積層防湿フィルムの「初期防湿性」とは、部材が真空ラミート条件等の高温高湿環境下での熱等の履歴を受ける前の防湿性をいい、熱等による防湿性劣化が起こる前の値を意味する。よって、製造直後から高温高湿処理前までの経時的な変化を含むものである。例えば、100℃前後の高温高湿環境、130〜180℃で10分〜40分行われる熱ラミネーション処理等の熱処理が行われていない状態での防湿性の値を意味する。「初期水蒸気透過率」も同様である。また、「初期剥離力」についても、「初期」の意味は同様である。
積層防湿フィルムが高温高湿下に曝された場合、防湿フィルムの無機薄膜層側に接しているのは接着剤層であるので、接着剤の性能が防湿性の劣化度合いに大きく影響するためである。
積層防湿フィルムの防湿性の劣化の原因として、接着剤自身の防湿性の劣化が挙げられる。これについては加水分解しにくい接着剤層塗膜を選択することが有効である。もう一つの原因として、無機薄膜層フィルムの蒸着面が傷められることによる防湿性の劣化が挙げられる。
本発明者らは、高温高湿下で無機薄膜層面を劣化させないという点に着目して接着剤層を設計し本発明の積層防湿フィルムを得た。無機薄膜層面の劣化は、無機薄膜と接着剤層が強い化学結合を形成すると、接着剤層又は粘着剤層の粘弾性の変化や接着剤層塗膜の分解、収縮によって無機薄膜層に大きな応力がかかることによると考えられる。これに対して、無機薄膜と接着剤層の密着度が弱いと、接着剤塗膜の物性変化による応力は軽減されるので防湿性の劣化が防止される。無機薄膜と接着剤層が化学結合を形成する要因は、例えばSiOx層の欠陥部分と接着剤層中の水酸基等が反応することによると考えられるが、これを抑制するためには、接着剤中の反応性官能基の数を減らせばよく、まず、接着剤の塗布、硬化後の未反応官能基の数を抑えることが挙げられる。
更に、接着剤層の物性については、無機薄膜層を保護し防湿性の劣化を防止する観点から、ある程度柔らかさと厚みを持ち、ファンデルワールス力によって密着することが望ましい。接着剤塗膜が硬すぎると収縮等に伴うフィルム間の応力を受けやすく無機薄膜層の劣化が起こりやすいので、100℃での引っ張り貯蔵弾性率は1×104[Pa]以上、1×105[Pa]以下であり、また接着剤層の厚みは13μm以上である。
このようにして、上記防湿性を満たすことにより、発電素子の劣下、内部の導線や電極の発錆を防止することができる。
本発明における各防湿性はJIS Z0222「防湿包装容器の透湿度試験方法」、JIS Z0208「防湿包装材量の透湿度試験方法(カップ法)」の諸条件に準じ評価することができる。
(積層防湿フィルムの層間強度)
本発明の積層防湿フィルムは、前記接着剤を用いることにより、真空ラミネーション及びJIS C 60068−2−66に準じるプレッシャークーカーテスト(120℃、32時間)による連続する高熱処理後の層間強度5N/15mm以上を達成することができる。
上記プレッシャークッカーテスト後の層間強度を維持する方法は、上述の接着剤層選定条件を考慮する以外にも種々あるが、例えば、接着剤層塗膜の100℃での引っ張り貯蔵弾性率が低すぎると接着剤層が流動してしまい層間強度を保つことができないため、接着剤層の100℃での引っ張り貯蔵弾性率を前記範囲とすることにより上記の値とすること等が考えられる。
また、高温高湿下で加水分解によって接着剤層の分子量が低下すると、凝集力が低下し層間強度が低下する。加水分解が起こった場合でも、加水分解によって生成したカルボン酸や水酸基が無機薄膜層と相互作用し、新たな結合を生成する場合が考えられる。この場合、層間強度は維持もしくは増大する。しかし、高温高湿下で部分的に生成した結合は、収縮による応力を受けやすく、均一な密着性が得られない傾向がある。
なお、本発明における接着剤層の無機薄膜層への接着力が、積層防湿フィルムの製造時当初から低い場合や真空ラミネーション中に接着力が低下する場合、当該接着剤層から無機薄膜層への応力伝播は緩和され防湿性の劣下は抑制される。しかしながら、層間強度が上記特定値を満たさないということは、太陽電池モジュール等への使用の際、積層防湿フィルムのデラミネーションを引き起こす可能性があることから、本発明の積層防湿フィルムの層間強度は、真空ラミネーション及び加速試験であるJIS C 60068−2−66に準じるプレッシャークーカーテスト(120℃、32時間)による連続する高熱処理後の値で、好ましくは5N/15mm以上であり、より好ましくは7N/15mm以上である。
なお、層間強度は、後述のように、積層フィルムを、所定の短冊状に切り出し、引っ張り試験機を用いて測定することができる。
(積層防湿フィルムの用途及び表面保護部材)
本発明の積層防湿フィルムは、長期耐久性を必要とされる太陽電池用の保護部材や電子ペーパーの表面保護部材への用途、特に化合物系発電素子太陽電池モジュール又はフレキシブル太陽電池モジュールの太陽電池用表面保護部材に用いられることが、湿気ないし水の透過による発電素子の劣下、内部の導線や電極の発錆を防止することができ、長期に渡る起電力の保持を達成できることから好ましい。
太陽電池用積層防湿フィルムは、該積層防湿フィルムの構成、特に、無機薄膜層に前記特定の接着剤層を介して前記特定のプラスチックフィルムを張り合わせることにより、高温条件下においても長期に防湿性、層間強度が劣下しない柔軟性と防湿性に優れた積層防湿フィルムを実現し、太陽電池等の性能低下を同時に防止すること、及び太陽電池等の耐久性の向上に有効な高防湿太陽電池用、電子ペーパー用表面保護材を提供することができる。
太陽電池用表面保護材は、封止材を積層してなる封止材・表面保護材一体型であってもよい。予め封止材を更に積層することにより、真空ラミネーション工程における裏面保護シート、封止材、発電素子、封止材、前面保護シートそれぞれを個々に積層する作業を低減でき、太陽電池モジュール製造の効率化を図ることができる。
<太陽電池モジュール、太陽電池>
前記積層防湿フィルムは、そのまま、あるいはガラス板等と貼り合わせて太陽電池用表面保護部材として用いることができる。本発明の積層防湿フィルムを用いて本発明の太陽電池モジュール及び/又は太陽電池を製造するには、公知の方法により、作成すれば良い。
本発明の積層防湿フィルムを太陽電池用フロントシート、バックシート等の表面保護部材の層構成に使用し、太陽電池素子を封止材とともに固定することにより太陽電池モジュールを製作することができる。このような太陽電池モジュールとしては、種々のタイプのものを例示することができ、好ましくは、本発明の積層防湿フィルムを前面保護材として使用した場合、封止材と、太陽電池素子と、下部保護材とを用いて作製された太陽電池モジュールが挙げられ、具体的には、上部保護材(本発明の積層防湿フィルム)/封止材(封止樹脂層)/太陽電池素子/封止材(封止樹脂層)/下部保護材の構成のもの、下部保護材の内周面上に形成させた太陽電池素子上に封止材と上部保護材(本発明の積層防湿フィルム)を形成させるような構成のもの、上部保護材(本発明の積層防湿フィルム)の内周面上に形成させた太陽電池素子、例えばフッ素樹脂系保護材上にアモルファス太陽電池素子をスパッタリング等で作製したものの上に封止材と下部保護材を形成させるような構成のもの等を挙げることができる。上記上部保護材として本発明の積層防湿フィルムの外側にガラス板を貼り合わせることは任意である。なお、前述の封止材・表面保護材一体型の表面保護材を用いる場合は、上記の封止材は用いなくてもよい場合がある。
太陽電池素子としては、例えば、単結晶シリコン型、多結晶シリコン型、アモルファスシリコン型、ガリウム−砒素、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルル等のIII−V族やII−VI族化合物半導体型、色素増感型、有機薄膜型等が挙げられる。
本発明における表面保護材を用いて、太陽電池モジュールを形成する場合、前記太陽電池発電素子の種類により防湿性が、水蒸気透過率で1.0[g/(m2・日)]未満程度の低防湿フィルムから0.01[g/(m2・日)]未満程度の高防湿フィルムまで素子のタイプに応じて適宜選択し、耐候性フィルム等と接着剤又は粘着剤を使用し積層して形成する。
本発明の積層防湿フィルムを用いて作製された太陽電池モジュールを構成する各部材については、特に限定されるものではないが、封止材としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体を挙げることができる。下部保護材としては、金属や各種熱可塑性樹脂フィルム等の単層もしくは多層のシートであり、例えば、錫、アルミ、ステンレス等の金属、ガラス等の無機材料、ポリエステル、無機物蒸着ポリエステル、フッ素含有樹脂、ポリオレフィン等の単層もしくは多層の保護材を挙げることができる。上部及び/又は下部の保護材の表面には、封止材や他の部材との接着性を向上させるためにプライマー処理やコロナ処理等公知の表面処理を施すことができる。
本発明の積層防湿フィルムを用いて作製された太陽電池モジュールを既述した上部保護材(本発明の積層防湿フィルム)/封止材/太陽電池素子/封止材/下部保護材のような構成のものを例として説明する。太陽光受光側から順に、本発明の積層防湿フィルム、封止樹脂層、太陽電池素子、封止樹脂層、バックシートが積層されてなり、更に、バックシートの下面にジャンクションボックス(太陽電池素子から発電した電気を外部へ取り出すための配線を接続する端子ボックス)が接着されてなる。太陽電池素子は、発電電流を外部へ電導するために配線により連結されている。配線は、バックシートに設けられた貫通孔を通じて外部へ取り出され、ジャンクションボックスに接続されている。
太陽電池モジュールの製造方法としては、公知の製造方法が適用でき、特に限定されるものではないが、一般的には、本発明の積層防湿フィルム、封止樹脂層、太陽電池素子、封止樹脂層、下部保護材の順に積層する工程と、それらを真空吸引し加熱圧着する工程を有する。また、バッチ式の製造設備やロール・ツー・ロール式の製造設備等も適用することができる。
本発明の積層防湿フィルムを用いて作製された太陽電池モジュールは、適用される太陽電池のタイプとモジュール形状により、モバイル機器に代表される小型太陽電池、屋根や屋上に設置される大型太陽電池等屋内、屋外に関わらず各種用途に適用することができる。特に、電子デバイスの中でも、化合物系発電素子太陽電池モジュールやアモルファスシリコン系等のフレキシブル太陽電池モジュールの太陽電池用保護材、電子ペーパー等への使用においては、高防湿性が要求されることから、この連続する高熱処理を考慮した積層防湿フィルムが有効に用いられる。そのため、本発明の積層防湿フィルムを用いて作製された太陽電池モジュールは、特に前記電子デバイスの表面保護材として好ましく用いられる。
太陽電池モジュール及び/又は太陽電池は、この太陽電池用保護シート、封止材、発電素子、封止材、裏面保護シートを、常法に従って、真空ラミネーターで、温度が好ましくは130〜180℃、より好ましくは130〜150℃、脱気時間が2〜15分、プレス圧力が0.5〜1atm、プレス時間が好ましくは8〜45分、より好ましくは10〜40分で加熱加圧圧着することにより容易に製造することができる。
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、これらの実施例及び比較例により本発明は制限を受けるものではない。なお、本明細書中に表示されるシートについての種々の物性の測定および評価は次のようにして行った。
(物性測定)
(1)接着剤層又は粘着剤層層の引っ張り貯蔵弾性率
シリコーン離型PETフィルム上に使用する接着剤もしくは粘着剤を、厚み25g/m2となるよう塗布し、40℃で4日間養生し、更にその後150℃、30分保持し接着剤層を形成した。その後当該接着剤層又は粘着剤層のみを取り出し、所定の厚みに重ね、アイティ計測(株)製の粘弾性測定装置、商品名「粘弾性スペクトロメーターDVA−200」を用いて、試料(縦4mm、横60mm、厚み200μm)を振動周波数10Hz、歪0.1%、昇温速度3℃/分、チャック間25mmで横方向について、−100℃から180℃までサンプルに印加される歪に対する応力を測定し、得られたデータから100℃における引っ張り貯蔵弾性率(MPa)を求めた。
(2)プレッシャークッカー試験
各構成フィルムを貼合し養生した後の積層防湿フィルム(D−1〜D−4)に、150℃で30分の条件での熱処理を行い、トミー精工社製プレッシャークッカー試験LSK-500を用い、120℃、湿度100パーセント、32時間の試験条件で行った。
(3)防湿性
防湿フィルム(B−1)の防湿性は、防湿フィルム作成後、一週間40℃保管後の時点における水蒸気透過率として、以下の手法で測定した。
また、積層防湿フィルム(D−1〜D−4)については、各構成フィルムを貼合し、養生した後の測定値を初期防湿性とし、当該養生後に、ガラス、封止材、積層防湿フィルム、防湿フィルムの背面側が封止材側)を積層し、150℃で30分の条件での熱処理を行い、プレッシャークッカー試験を行った後の各積層防湿フィルムの測定値をプレッシャークッカー試験後の防湿性の値とした。
具体的には、JIS Z 0222「防湿包装容器の透湿度試験方法」、JIS Z 0208「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」の諸条件に順じ、次の手法で評価した。
透湿面積10.0cm×10.0cm角の各防湿フィルム積層体を2枚用い、吸湿剤として無水塩化カルシウム約20gを入れ四辺を封じた袋を作製し、その袋を温度40℃相対湿度90%の恒温恒湿装置に入れ、72時間以上の間隔でおよそ200日目まで質量測定し、4日目以降の経過時間と袋重量との回帰直線の傾きから水蒸気透過率(g/m2・日)を算出した。防湿性の劣化度は、[プレッシャークッカー試験(PC32)後の水蒸気透過率/初期水蒸気透過率]により算出した。
(4)層間強度
積層防湿フィルムの初期剥離力と養生後の積層防湿フィルムに150℃で30分の条件での熱処理を行い、プレッシャークッカー試験後積層防湿フィルムの剥離力を、測定幅15mmの短冊状に切り出し、引っ張り試験機ORIENTIC製STA−1150を用いて300mm/minで層間ラミネート強度(N/15mm)を測定した。
(構成フィルム)
<プラスチックフィルム>
A-1:耐加水分解性ポリエステルフィルムとした三菱樹脂(株)製、耐加水分解性ポリエチレンテレフタレートフィルム、P100(厚み:50μm)を使用した。
<防湿フィルム>
防湿フィルムB-1
基材フィルムとして、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポン製、「Q51C12」)を用い、そのコロナ処理面に、下記のコート液を塗布乾燥して厚さ0.1μmのコート層を形成した。
次いで、真空蒸着装置を使用して1.33×10-3Pa(1×10-5Torr)の真空下でSiOを加熱蒸発させ、コート層上に厚さ50nmのSiOx(x=1.5)薄膜を有する防湿フィルムB−1を得た。作成した防湿フィルムB−1の防湿性は0.01[g/m2・日]であった。
コート液
日本合成(株)製「ゴーセノール」(ケン化度:97.0〜98.8mol%、重合度:2400)のポリビニルアルコール樹脂220gをイオン交換水2810gに加え加温溶解した水溶液に、20℃で攪拌しながら35%塩酸645gを加えた。次いで、10℃でブチルアルデヒド3.6gを攪拌しながら添加し、5分後に、アセトアルデヒド143gを攪拌しながら滴下し、樹脂微粒子を析出させた。次いで、60℃で2時間保持した後、液を冷却し、炭酸水素ナトリウムで中和し、水洗、乾燥し、ポリビニルアセトアセタール樹脂粉末(アセタール化度75mol%)を得た。
また、架橋剤としてイソシアネート樹脂(住友バイエルウレタン(株)製「スミジュールN−3200」)を用い、水酸基に対するイソシアネート基の当量比が1:2になるように混合した。
<接着剤塗液C-1>
変性ゴム成分を含む主剤として、日立化成ポリマー(株)製、ハイボンZA013−1(商品名、粘度150[mPa・s]、スチレン基含有量:0%、主鎖構造イソプレン)を用い、脂環系のイソホロンジイソシアナートと芳香族系のキシリレンジイソシアナートを含む硬化剤として日立化成ポリマー(株)製、架橋剤81(商品名)を使用し、質量比で100:5となるように混合し、固形分濃度が35%となるように酢酸エチルで希釈して接着剤塗液C−1を調製した。
<接着剤塗液C-2>
ポリウレタンポリオール成分を含む主剤として、平均分子量2000のポリカプロラクトンポリオール(ダイセル化学工業(株)製、商品名「プラクセル210N」)、平均分子量500のポリカーボネートジオール(ダイセル化学工業(株)製、商品名「プラクセルCD 205」)を質量比60:40となるように混合し、酢酸エチルに溶解させ、固形分約50%、粘度400[mPa・s]のポリオール溶液とした。架橋成分としてスミジュールN3300(住化バイエルウレタン(株)製)を(NCO/OH)=2.5となるように配合し、固形分濃度が35%となるように酢酸エチルで希釈して接着剤塗液C−1を調製した。
<接着剤塗液C-3>
特開平10−130615号公報記載の「ポリウレタン樹脂合成例2」及び「実施例」を参考に以下のようにして調製した。
数平均分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコール((株)ADEKA製、商品名「アデカポリエーテルP−1000」)700質量部、数平均分子量2000((株)ADEKA製、商品名「アデカポリエーテルP−2000」)のポリテトラメチレンエーテルグリコール300質量部、ジプロピレングリコール21.3質量部及びトリレンジイソシアネート150質量部を仕込み、80℃で6時間反応し、ウレタン結合によって鎖伸長を行ったポリエーテルポリオールを得た。
このポリオールを酢酸エチルに溶解させ、粘度900[mPa・s]固形分約50%のポリオール溶液とした。硬化成分としてIPDI(住友バイエルウレタン(株)製、商品名「デスモジュールZ−4370」)を酢酸エチルに溶解させ70質量%溶液とした。ポリオール溶液と硬化成分溶液を(NCO/OH)=2.5となるように配合し、固形分濃度が30%になるように酢酸エチルで希釈し接着剤塗液C−3を調製した。
<接着剤塗液C-4>
ポリエステルポリオール成分を含む主剤として、三井化学ポリウレタン(株)製、A1143(商品名、エステル基1つあたりの分子量は109、粘度500[mPa・s])を用い、脂環系のイソホロンジイソシアナートと芳香族系のキシリレンジイソシアナートを含む架橋剤として三井化学(株)製、タケネートA−50(商品名)を使用し、質量比で9:1となるように混合し、固形分濃度が35%となるように酢酸エチルで希釈して接着剤塗液C−4を調製した。
実施例1
プラスチックフィルム(A−1)に接着剤塗液C−1を固形分6g/m2となるよう塗布乾燥し、無機薄膜層フィルムAをドライラミネートによって貼合し、40℃×5日間養生し、厚み68μmの積層防湿フィルムD−1を作成した。ガラス、封止材、積層防湿フィルムD−1の順に積層し150℃×10分の条件で真空ラミネートし、その後プレッシャークッカー試験を実施した。層間強度、防湿性を測定した。結果を表1に示す。
比較例1
プラスチックフィルム(A−1)に接着剤塗液C−2を固形分6g/m2となるよう塗布乾燥し、無機薄膜層フィルムAをドライラミネートによって貼合し、40℃×5日間養生し、厚み68μmの積層防湿フィルムD−1を作成した。ガラス、封止材、積層防湿フィルムD−1の順に積層し150℃×10分の条件で真空ラミネートし、その後プレッシャークッカー試験を実施した。層間強度、防湿性を測定した。結果を表1に示す。
比較例2
プラスチックフィルム(A−1)に接着剤塗液C−3を固形分6g/m2となるよう塗布乾燥し、無機薄膜層フィルムAをドライラミネートによって貼合し、40℃×5日間養生し、厚み68μmの積層防湿フィルムD−1を作成した。ガラス、封止材、積層防湿フィルムD−1の順に積層し150℃×10分の条件で真空ラミネートし、その後プレッシャークッカー試験を実施した。層間強度、防湿性を測定した。結果を表1に示す。
比較例3
プラスチックフィルム(A−1)に接着剤塗液C−4を固形分6g/m2となるよう塗布乾燥し、無機薄膜層フィルムAをドライラミネートによって貼合し、40℃×5日間養生し、厚み68μmの積層防湿フィルムD−1を作成した。ガラス、封止材、積層防湿フィルムD−1の順に積層し150℃×10分の条件で真空ラミネートし、その後プレッシャークッカー試験を実施した。層間強度、防湿性を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2012213936
このように、本発明の構成を有する実施例1の積層防湿フィルムは、真空ラミネーション工程を経て製造されても、長期の層間強度と防湿性のいずれもが保持されることがプレッシャークッカー試験による評価から明らかとなった。また、実施例1の積層防湿フィルムには黄変が見られなかった。
一方、本発明におけるゴム系接着剤以外の接着剤を用いた比較例1〜3においては、いずれもプレッシャークッカー試験後の防湿性が著しく低下し、また層間強度がプレッシャークッカー試験後に著しく低下してしまうことが明らかとなり、いずれの積層防湿フィルムも上記の実施例1と比較して、長期の防湿性又は層間強度が不足することを示している。

Claims (10)

  1. 基材の少なくとも一方の面に無機薄膜層を有する防湿フィルム、及び該防湿フィルムの無機薄膜層面に、水酸基を有しスチレン基を10%未満含有する変性ゴムとイソシアネート基を有する架橋剤とからなる接着剤を含有する層を介して貼り合わせたプラスチックフィルムを有することを特徴とする積層防湿フィルム。
  2. 前記水酸基を有する変性ゴムが、ブタジエン系及び/又はイソプレン系ゴムからなる請求項1記載の太陽電池用保護シート。
  3. 前記防湿フィルムの初期水蒸気透過率が0.1[g/m2・日]未満であり、かつ前記接着剤層の100℃における引っ張り貯蔵弾性率が1×104[Pa]以上、1×105[Pa]以下である請求項1又は2に記載の積層防湿フィルム。
  4. 前記プラスチックフィルムが耐候性フィルムである請求項1〜3のいずれかに記載の積層防湿フィルム。
  5. 前記耐候性フィルムが、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂及びポリカーボネート系樹脂から選ばれる樹脂と紫外線吸収剤を含有するフィルム、又はフッ素樹脂フィルムである請求項1〜4のいずれかに記載の積層防湿フィルム。
  6. 前記防湿フィルムが、ポリエチレンナフレート(PEN)フィルムの少なくとも一方の面に無機薄膜層を有するものである請求項1〜5のいずれかに記載の積層防湿フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の積層防湿フィルムを有することを特徴とする太陽電池用表面保護部材。
  8. 化合物系発電素子太陽電池モジュール又はフレキシブル太陽電池モジュールの表面保護部材に用いられる請求項7に記載の太陽電池用表面保護部材。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の積層防湿フィルムを有することを特徴とする太陽電池用モジュール。
  10. 請求項1〜6のいずれかに記載の積層防湿フィルムを有することを特徴とする電子ペーパー用表面保護部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP2927298A4 (en) * 2012-11-30 2016-05-25 Lintec Corp ADHESIVE AGENT COMPOSITION, ADHESIVE SHEET, AND ELECTRONIC DEVICE
WO2023100451A1 (ja) * 2021-12-03 2023-06-08 三菱ケミカル株式会社 積層フィルム及び多層体、並びに包装体及び包装物品

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