JP2009289945A - 太陽電池バックシート及び太陽電池モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性、耐候性に優れ、かつ良好な製造性及びコスト性を有する太陽電池バックシートで、長期の使用においても積層体の接着が安定してさらに発電効率の高い太陽電池バックシートを提供することが課題である。
【解決手段】2層以上の耐候性基材が貼り合わされた積層体を用いた、太陽電池モジュールの裏面保護に用いるバックシートであって、モジュールの入射光側に貼り合わされる該耐候性基材の最外層の面がコロナ放電処理されていないことを特徴とする太陽電池バックシート
【選択図】図2

Description

本発明は、太陽電池用シート部材に関し、特に太陽電池モジュールの裏面側に配置して使用する材料に関する。より詳しくは、耐候性に優れ、かつ良好な製造性、及びコスト性を有する太陽電池バックシートに関するものである。
太陽電池は太陽光のエネルギーを直接電気に換える太陽光発電システムの心臓部を構成するものであり、半導体からできている。また、その構造は、一般的に数枚〜数十枚の太陽電池素子を直列あるいは並列に配線し、素子を長期間に亘って保護するためのパッケージングが施され、ユニット化されている。
このパッケージに組み込まれたユニットを太陽電池モジュールと呼び、一般に太陽光が当たる面を前面ガラスで覆い、光透過性の熱可塑性プラスチックからなる充填材で間隙が埋められている。そして、裏面が耐熱性、耐湿性、耐水性、耐候性プラスチック材料などのシート(バックシート)で保護された構造になっている。
これらの太陽電池モジュールは、屋外で使用されるため、その構成、材質構造などにおいて、十分な耐熱性、耐候性、耐水性、防湿性、耐風圧性、耐光性、耐降雹性、耐薬品性、防湿性、防汚性、光反射性、光拡散性、その他の諸特性が要求される。
その一般的な構造の一例の構成の断面説明図を図1に示した。
図1の太陽電池モジュールは、透光性基板1と、充填剤層2と、複数枚の太陽電池素子3と、バックシート4とが表面側からこの順に積層されている。太陽電池素子の間をリード線5で連結して端子ボックス7にある端子9から電力を取り出すようになっている。これらの構成要素を固定するために弾性のあるシール材6を介してアルミ枠8で囲む構造になっている。
透光性基板1は、最表面に積層されるものであり、太陽光に対する透過性及び電気絶縁性を有すること、機械的、化学的及び物理的強度、具体的には耐候性、耐熱性、耐久性、耐水性、水蒸気等に対するガスバリア性、耐風圧性、耐薬品性、堅牢性に優れること、表面硬度が高く、かつ表面の汚れ、ゴミ等の蓄積を防止する防汚性に優れることが要求され、主にガラス及び合成樹脂が使用される。
充填剤層2は、透光性基板1及び太陽電池モジュール用バックシート4間における太陽電池セル3の周囲に充填されており、透光性基板とバックシートとの接着性や、太陽電池セルを保護するための耐スクラッチ性、衝撃吸収性等を有している。なお、充填剤層2のうちで太陽電池セルの表面に積層される部分は上記諸機能に加え、太陽光を透過する透明性を有している。
充填剤層の材料としては、上記条件を満たす合成樹脂等が使用出るが、耐候性、耐熱性、ガスバリア性等に優れるフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂またはエチレン−酢酸ビニル系樹脂が使用できるが、特にバックシートとの接着性の観点からはエチレン−酢酸ビニル系樹脂が賞用される。
太陽電池素子3は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光起電力素子であり、充填剤層間に配設されている。複数枚の太陽電池素子3は、略同一平面内に敷設され、図示していないが直列又は並列に配線されている。太陽電池素子としては、例えば単結晶シリ
コン型太陽電池素子、多結晶シリコン型太陽電池素子等の結晶シリコン太陽電子素子、シングル接合型やタンデム構造型等からなるアモルファスシリコン太陽電池素子、ガリウムヒ素やインジウム燐等の第3〜第5族化合物半導体太陽電子素子、カドミウムテルルや銅インジウムセレナイド等の第2〜第6族化合物半導体太陽電子素子等を使用することができ、それらのハイブリット素子も使用することができる。
太陽電池モジュールの製造方法は、一般的には、透光性基板1、充填剤層2の半分、複数枚の太陽電池素子3、充填剤層2の半分及び太陽電池バックシート4をこの順に積層する工程と、それらを真空吸引により一体化して加熱圧着する真空加熱ラミネーション法等により一体成形するラミネート工程からなっている。上記太陽電池モジュールの製造方法において、各層間の接着性等を目的として、加熱溶融型接着剤、溶剤型接着剤、光硬化型接着剤等を塗工すること、各積層対向面にコロナ放電処理、オゾン処理、低温プラズマ処理、グロー放電処理、酸化処理、プライマーコート処理、アンダーコート処理、アンカーコート処理等を施すことなどが必要に応じて行われている。
この太陽電池モジュールの構成要素のなかで、バックシートは太陽電池素子とリード線等の内容物を保護するために、機械的強度に優れ、かつ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、耐薬品性、防湿性、防汚性、その他等の諸特性に優れ、特に、水分、酸素等の侵入を防止する防湿性が高く、長期的な性能劣化を最小限に抑え、耐久性に富み、かつ、より低コストで安全なことが求められている。
これらの諸特性を実現するために太陽電池モジュールを構成するバックシートとしては、絶縁性が高く、蒸着加工やコーティング加工等の二次加工が容易である特徴を生かしてプラスチックのフィルムあるいはシートが広く用いられており、性能向上のための層を積層した積層シートが種々提案されている。
太陽電池のバックシートにプラスチックシートを用いることによるガスバリア性や放熱性の不足から来る欠点を補うための対策は数多く提案されている。
特に、バックシートの構成要素の中に熱伝導性が高くバリア性に優れるアルミニウム箔等の金属箔を用いる構成と、プラスチックシートに無機酸化物被膜によるバリア層を設けてその欠点を軽減した透明バリアフィルムを用いる構成が、これらの問題点を解決するための提案として数多く出されている。
太陽電池バックシートの構成要素を貼り合わせて積層体を製造する方法としては、従来、耐候性、耐加水分解性の接着剤(ポリエステルポリウレタン系、アクリル系、ポリカーボネート系等)を用いたドライラミネート法が一般的である。(特許文献1,2)
一方、太陽電池モジュールを構成するバックシートとして要求される特性の中には、バックシート自体の耐久性やバリア性等の特性に加えて、太陽電池モジュールを構成する要素としての適性が求められる。一例をあげれば、太陽電池モジュール成形時の充填材層とバックシート面の接着性がある。モジュール成形時のラミネートにおける充填材層とバックシート面の接着性を確保するための手段としては、従来バックシートの最外層に用いるプラスチックシートの表面に易接着性の処理を行うことが実施されてきた。この易接着処理の方法としては大別して、コロナ放電処理等の表面改質処理と易接着層の負荷等の表面塗工処理が挙げられる。
表面改質処理としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガスもしくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理等が挙げられる。表面塗工処理としては、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、接着剤層、あるいは、アンカーコート剤層等を形成する表面コートによる前処理が挙げられる。
表面塗工処理は、塗工のための装置と塗工材料が必要になるので、生産性と生産コストの面で不利なことが多く、特別な場合を除いて太陽電池バックシートの最外層プラスチックフィルムの充填材層への易接着処理の目的には適していない。
表面改質処理は、処理のための材料が一部をのぞいて不要であり、処理のための装置も他の工程中に設ける(インライン)ことも可能な場合があることから、表面塗工処理に比べて生産性と生産コストの面で有利なことから、この目的には通常適している。
表面改質処理のなかでもコロナ放電処理(コロナ処理)は、装置が一対の電極と電源のみで簡便であり、処理の強度が印加電力とシート搬送速度により設定でき、処理の結果がシートの濡れ張力測定により簡単に確認できることから賞用されてきた。とくに、バックシートの最外層のプラスチックフィルムとして安価なポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた場合には、通常、コロナ処理を行って充填材層との接着性を確保するのが一般的であった。
しかしながら、本発明者が太陽電池モジュール成形時の充填材層とバックシート面の接着性を、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)の充填材層とポリエチレンテレフタレートフィルムの接着強度と接着状態の経時変化について、促進試験を含めて検討した結果によれば、コロナ処理による接着性の向上という方法は以下の問題点を有することが判明した。
一つは、ポリエチレンテレフタレートフィルムへのコロナ処理を行うことによってEVA層との初期の接着強度は大きくなるが経時での接着強度の低下の速度も大きくなり、その結果、ある期間を越えるとコロナ処理のない場合に比べて接着強度が小さくなってしまうという現象である。もう一つは、ポリエチレンテレフタレートフィルムへのコロナ処理を行うことによってEVA層との接着面の外観は初期は全面接着に見えるが、経時での浮き(部分的な剥離)が発生する場合が多いという結果である。
これらの理由は以下のように推測される。
ポリエチレンテレフタレートフィルムへのコロナ処理によって引き起こされるフィルム表面の変化は、表面エネルギーの変化によって示される性質の変化と表面形状によって示される物理的な変化が同時に起こっている。
たとえば、濡れ張力の数値で代表される表面の性質の変化はコロナ放電によってプラスチックフィルム表面にカルボキシル基等の酸化性極性基が生成してその結果として起こっている。コロナ処理による物理的な変化は、コロナ放電によって起こるプラスチック表面への物理的な衝撃と表面層の酸化分解による低分子成分の生成によると考えられている。
プラスチックフィルムの初期の濡れ張力がコロナ処理によって増大することとプラスチックフィルムの処理後の経時によって濡れ張力が低下することはよく知られているが接着後の経時にも同じ機構が影響しているだけでなく、経時によって接着力が低下し、しかもコロナ処理のない場合よりも低くなることは、フィルム表面の物理的な変化の影響も寄与していると考えられる。
また、コロナ放電処理自体の場所によるむらの発生は、たとえば、ロール電極との密着むら等から起こることがあり、完全になくすことは困難であるが、この処理むらが接着強度の局所的なばらつきを引き起こし、浮きの発生につながることが考えられる。
長期の使用あるいは高湿下での保存によって、この場合は、ポリエチレンテレフタレートフィルムとEVA層との接着界面でのフィルム表面の親水性基及び酸化分解した低分子物の介在による空隙の影響で環境中の水分が界面に浸透して界面の接着強度が低下し、さらに、浮きや剥離を引き起こしているものと推測される。さらには、これらの、浮きや剥離の影響で環境中の水分がモジュール内部に入り込み、太陽電池素子にまで及んで発電効率の低下を招くおそれもある。
特開2005−322687号公報 特開2006−179557号公報
耐熱性、耐候性に優れ、かつ良好な製造性及びコスト性を有する太陽電池バックシートで、長期の使用においても積層体の接着が安定してさらに発電効率の高い太陽電池バックシートを提供することが課題である。
請求項1の発明は、2層以上の耐候性基材が貼り合わされた積層体を用いた、太陽電池モジュールの裏面保護に用いるバックシートであって、モジュールの入射光側に貼り合わされる該耐候性基材の最外層の面がコロナ放電処理されていないことを特徴とする太陽電池バックシートである。
請求項2の発明は、耐候性基材がポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池バックシートである。
請求項3の発明は、積層体が耐候性基材の内側にサンドイッチされた金属箔を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池バックシートである。
請求項4の発明は、金属箔がアルミニウム箔であることを特徴とする請求項3に記載の太陽電池バックシートである。
請求項5の発明は、積層体が耐候性基材の内側にサンドイッチされた透明バリアフィルムを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池バックシートである。
請求項6の発明は、透明バリアフィルムが少なくとも基材フィルムとその上に形成された無機酸化物薄膜層を含むことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池バックシートである。
請求項7の発明は、透明バリアフィルムが少なくとも基材フィルムとその上に形成された無機酸化物薄膜層とさらにその上に形成されたガスバリア性被膜層を含むことを特徴とする請求項6に記載の太陽電池バックシートである。
請求項8の発明は、裏面保護に、請求項1〜7のいずれか1項に記載の太陽電池バックシートを用いたことを特徴とする太陽電池モジュールである。
本発明の、2層以上の耐候性基材が貼り合わされた積層体を用いた、太陽電池モジュールの裏面保護に用いるバックシートであって、モジュールの入射光側に貼り合わされる該耐候性基材の最外層の面がコロナ放電処理されていない太陽電池バックシートによって、長期の使用においても構成体の接着が安定してさらに耐熱性、耐候性に優れ、かつ良好な製造性及びコスト性を有する太陽電池モジュールが得られた。
耐候性基材がポリエチレンテレフタレートフィルムであることによって、汎用性のあるかつ安価な材料を用いて、長期の使用においても構成体の接着が安定する太陽電池バックシートと太陽電池モジュールが得られた。
積層体が耐候性基材の内側にサンドイッチされた金属箔を含むことによって、長期の使用においても構成体の接着が安定する、バリア性が高い太陽電池バックシートと太陽電池モジュールが得られた。
積層体が耐候性基材の内側にサンドイッチされたアルミニウム箔を含むことによって、長期の使用においても構成体の接着が安定する、バリア性が高い、安価な太陽電池バックシートと太陽電池モジュールが得られた。
積層体が耐候性基材の内側にサンドイッチされた透明バリアフィルムを含むことによって、長期の使用においても構成体の接着が安定する、バリア性のある、回路接触の心配の少ない太陽電池バックシートと太陽電池モジュールが得られた。
透明バリアフィルムが少なくとも基材フィルムとその上に形成された無機酸化物薄膜層を含むことによって、長期の使用においても構成体の接着が安定する、バリア性のある、回路接触の心配の少ない太陽電池バックシートと太陽電池モジュールが得られた。
透明バリアフィルムが少なくとも基材フィルムとその上に形成された無機酸化物薄膜層とさらにその上に形成されたガスバリア性被膜層を含むことによって、長期の使用においても構成体の接着が安定する、バリア性のより優れた、回路接触の心配の少ない太陽電池バックシートと太陽電池モジュールが得られた。
本発明の方法によれば、耐熱性、耐候性に優れ、かつ良好な製造性及びコスト性を有する太陽電池バックシートで、積層体の接着が安定してさらに発電効率の高い太陽電池バックシートとそれを用いた太陽電池モジュールを提供することが可能となった。
以下に本発明の一実施形態について図を参照しながら説明する。図1はすでに説明した太陽電池モジュールの構造の一例の断面説明図である。図2から図4は太陽電池バックシートの一例の断面説明図である。図2は金属箔をサンドイッチした単純な層構成の場合の断面説明図であり、アルミニウム箔10の両面に耐候性基材11と耐候性基材12が接着性樹脂層13及び接着性樹脂層14を介して積層されている層構成を示している。図3は透明バリアフィルム30の両面に耐候性基材11と耐候性基材12が接着性樹脂層13及び接着性樹脂層14を介して積層されている層構成断面を示している。図4は透明バリアフィルム30の層構造を示し、基材フィルム20の上に蒸着アンカー層32、無機酸化物薄膜層33、透明ガスバリア層34がこの順で積層されている層構成断面を示している。
本発明の太陽電池バックシートの実施形態の代表的な一例は、例えば図2に断面を示すように、金属箔をサンドイッチした単純な層構成の積層体を用いた、太陽電池モジュールの裏面保護に用いるバックシートである。他の代表的な一例は、例えば図3に断面を示すような透明バリアフィルムを含んだ層構成の積層体を含んだ太陽電池モジュールの裏面保護に用いるバックシートである。
本発明の積層体の構成は太陽電池モジュールの裏面保護に用いる太陽電池バックシートとして要求される性能に応じて多様な形が採用されるが、ここでは本発明の趣旨に関係のある限りで説明を行う。
本発明の太陽電池バックシートに用いる耐候性基材の材質としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンジメタノール−テレフタレート(PCT)等が代表的であるが、加工性を含めた汎用性と価格から特にポリエチレンテレフタレートが賞用される。また、ポリエステルのなかでも、数平均分子量が18000〜40000の範囲で、環状オリゴマーコンテントが1.5wt%以下、固有粘度が0.5dl/g以上の耐加水分解性を有するポリエステルであることが好ましい。
ポリエチレンテレフタレートの厚さ、色、処理については、バックシートとして必要な機械的特性を備えていれば特に制限はないが、通常二軸延伸の着色あるいは透明のフィルムが用いられる。
太陽電池バックシートに用いられる耐候性基材のうちで最外層(太陽電池モジュールにおいて入射光側)の基材として白色の基材を用いると太陽電池セルの発電効率を向上させることが出来る。特に太陽電池バックシートが多層構成からなる場合には、少なくともモジュールにおいて充填材と貼り合わされる基材(最外層)に白色の基材を用いることが望ましい。
また、前述した耐候性基材の材料には必要に応じて各種添加剤を配合しても構わない。例えば、さらに耐候性が要求される場合には、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、トリアジンなどの紫外線吸収剤、ヒンダートフェノール系、リン系、イオウ系、トコフェロール系の酸化防止剤、ヒンダートアミン系の光安定剤も適宜配合することが可能である。
金属箔あるいは透明バリアフィルムを耐候性基材でサンドイッチする方法としては、通常のドライラミネーション法、押出しラミネーション法などの公知の方法で積層することができる。ここで、バックシートの内側になる耐候性基材の面には接着性を上げる目的で必要であればコロナ処理を施しても構わないが、バックシートの外側でかつ充填材層と接着する面にはコロナ処理を施さないことが必要である。
前記のドライラミネーション法に用いる接着剤としては、接着強度が長期間の屋外使用で劣化によるデラミネーションなどを生じないこと、さらに接着剤が黄変しないことなどが必要であり、例えば、ポリウレタン系接着剤などが使用できる。上記の接着剤は、例えば、ロールコート法、グラビアコート法、キスコート法等の塗工方式、あるいは、印刷法等によって施すことができ、塗布量は、0.1〜10g/m2(乾燥状態)位が望ましい。
前記の押出しラミネーション法に用いる接着性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂が主に用いられ、エチレン基数または炭素数が3〜16のα−オレフィンの単独または共重合体、分岐状低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中・高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレンと酢酸ビニル及び/または(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、プロピレン系重合体等また、それらにポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)を混合または単独で使用したもの、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、そのけん化物(EVOH)等が混合されたもの等が例示され、特にLDPE、PP、PETが好ましい。
これらの接着性樹脂にグラフト重合等により、カルボキシル基または酸無水物が含まれることにより、PETやアルミニウム(AL)との接着性に優れることとなりさらに好ましく用いられる。さらには、メタロセン系触媒を用いたポリオレフィンも、PETやPP等との接着性に優れ、また、高温高湿時の耐性にも優れるため、好ましく用いることが出
来る。これらのポリオレフィンは単独でも、2種類以上を用いることも出来る。
太陽電池バックシートに用いる積層体の接着性樹脂として金属イオンを含んだアイオノマー樹脂を用いることで、接着性を上げ、難燃性、耐熱性を付与することが可能になる。
太陽電池バックシートに用いる積層体の接着性樹脂層が白色顔料を含むことによって、光反射層としての主要な効果、すなわち、光遮蔽による光劣化防止及び光反射による発電効率向上効果が期待できる。光遮蔽による光劣化防止効果は、接着樹脂層の劣化を防止して接着性を安定させるとともにそれより外側(太陽電池モジュールの光入射面の反対側)に位置する各層にも及ぶ。このように、接着性樹脂層中に白色顔料を分散含有することで、太陽電池モジュール用バックシートの耐熱性、熱的寸法安定性、耐候性、強度、経年劣化防止性等が向上する。また、光反射による発電効率向上効果は、モジュールにおける入射光が内部で反射を繰り返すことによって入射光を太陽電池セルの起電力に最大限利用することによって得られる効果である。さらに、上記の主要な効果を妨げない範囲で、他の色の着色を併用することも可能である。
押出しラミネーション法によって耐候性基材に金属箔あるいは透明バリアフィルムを貼り合せて積層することは公知のエクストルージョンラミネーターを使用することによってできる。押出しラミネートの温度は、通常200〜320℃の範囲である。押出ラミネートに際し、アイオノマー層と基材層との接着性を高める為、基材層やアイオノマー溶融膜の表面処理を行ったり、或いは基材層に予めアンカーコート処理を施しておいてもよい。これらを接着性樹脂として5μmから30μmの厚みで押出してラミネーションに用いる。
本発明の太陽電池バックシートに用いる金属箔はアルミニウム箔、銅箔が主として用いられ、加工適性と熱伝導と価格の面から選ばれるが、厚さが10から30μm程度のアルミニウムが使いやすい。
また、本発明の太陽電池バックシートに用いる透明バリアフィルムは基材フィルム上に無機酸化物被膜を蒸着により積層したものであり、必要に応じて、さらにガスバリア性被膜層を積層したものである。
本発明の透明バリアフィルム30で使用される基材フィルム20としては、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの汎用の高分子フィルムが好適に用いられる。本発明で使用される透明バリアフィルム30としては、基材フィルム20の少なくとも片面に、有機官能基を有するシランカップリング剤あるいはシランカップリング剤の加水分解物と、ポリオールおよびイソシアネート化合物との複合物を含む蒸着プライマー層32と、厚さ5〜300nmの無機酸化物薄膜層33、ガスバリア性被膜層34を順次積層した透明バリアフィルムが用いられる。
以下、この透明バリアフィルム30について詳細に説明する。
基材フィルム20はプラスチック材料からなるフィルムであり、無機酸化物薄膜層の透明性を生かすために透明なフィルムが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(メタ)アクリレートフィルム、ポリカーボネートフィルムなどが用いられ、機械的強度や寸法安定性を有するものが良い。特に、二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく用いられる。またこの基材フィルム20に、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤などが使用されていても良い。
基材フィルム20の厚さはとくに制限を受けるものではないが、バックシートとしての適性や積層する蒸着プライマー層32、無機酸化物薄膜層33、ガスバリア性被膜層34を形成する場合の加工性を考慮すると、実用的には3〜200μmの範囲であり、用途によって6〜30μmとすることが好ましい。
本発明の蒸着プライマー層32は、基材フィルム20上に設けられ、基材フィルム20と無機酸化物薄膜層33との間の密着性を高め、デラミネーションの発生等を防止することを目的とする。そのために蒸着プライマー層32として好適に用いられるのは、有機官能基を有するシランカップリング剤、あるいはその加水分解物と、ポリオールおよびイソシアネート化合物等との複合物である。
さらに、蒸着プライマー層32を構成する複合物について詳細に説明する。蒸着プライマー層32に用いる前記シランカップリング剤の例としては、有機官能基を含むシランカップリング剤を用いることができ、例えば、ビニルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤或いはその加水分解物の1種ないしは2種以上を用いることができる。
さらに、これらのシランカップリング剤のうち、ポリオールの水酸基またはイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応する官能基を持つものが特に好ましい。例えばγ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランのようなイソシアネート基を含むもの、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランのようなメルカプト基を含むものや、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランのようなアミノ基を含むものがある。さらにγ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランやβ−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のようにエポキシ基を含むものや、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等のようなシランカップリング剤に水酸基等を付加したものでも良く、これら1種ないしは2種以上を用いることができる。
これらのシランカップリング剤は、一端に存在する有機官能基がポリオールとイソシアネート化合物からなる複合物中で相互作用を示し、もしくはポリオールの水酸基またはイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応する官能基を含むシランカップリング剤を用いることで共有結合をもたせることによりさらに強固なプライマー層を形成し、他端のアルコキシ基またはアルコキシ基の加水分解によって生成したシラノール基が無機酸化物中の金属や、無機酸化物の表面の極性の高い水酸基等と強い相互作用により無機酸化物との高い密着性を発現し、目的の物性を得ることができるものである。よって上記蒸着プライマー層としてシランカップリング剤を金属アルコキシドとともに加水分解反応させたものを用いても構わない。また上記シランカップリング剤のアルコキシ基がクロロ基、アセトキシ基等になっていてもよく、これらのアルコキシ基、クロロ基、アセトキシ基等が加水分解し、シラノール基を形成するものであればこの複合物に用いることができる。
また、蒸着プライマー層32に用いるポリオールとは高分子末端に、2つ以上のヒドロキシル基をもつもので、後に加えるイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応させるものである。このポリオールとして、アクリル酸誘導体モノマーを重合させて得られるポリオールもしくは、アクリル酸誘導体モノマーおよびその他のモノマーとを共重合させて得られるポリオールであるアクリルポリオールが好ましい。
中でもヒドロキシエチルメタクリレートやヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレートなどのアクリル酸誘導体モノマーを重合させたアクリルポリオールや、前記アクリル酸誘導体とスチレン等のその他のモノマーを加え共重合させたアクリルポリオールが好ましく用いられる。またイソシアネート化合物との反応性、シランカップリング剤との相溶性を考慮すると前記アクリルポリオールのヒドロキシル価が5〜200(mgKOH/g)の間であることが好ましい。
アクリルポリオールとシランカップリング剤の配合比は、重量比で1/1から1000/1の範囲であることが好ましく、より好ましくは2/1から100/1の範囲にあることである。溶解および希釈溶媒としては、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトンなどのケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が単独および任意に配合されたものを用いることができる。
しかし、シランカップリング剤を加水分解するために塩酸等の水溶液を用いる場合には、共溶媒としてイソプロピルアルコール等のアルコール類と極性溶媒である酢酸エチルを任意に混合した溶媒を用いることが好ましい。
蒸着プライマー層32に用いるイソシアネート化合物は、アクリルポリオールなどのポリオールと反応してできるウレタン結合により基材フィルム20と無機酸化物薄膜層33との密着性を高めるために添加されるもので、主に架橋剤もしくは硬化剤として作用する。
前記機能を発揮するイソシアネート化合物の具体例としては、芳香族系のトリレンジイソシアネート(TDI)やジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、脂肪族系のキシレンジイソシアネート(XDI)やヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などのモノマー類、これらの重合体、もしくは誘導体の1種、またはこれらの2種以上を用いることができる。
ここで、アクリルポリオールとイソシアネート化合物の配合比は特に制限されるのもではないが、イソシアネート化合物が少なすぎると硬化不良になる場合があり、またそれが多すぎるとブロッキング等が発生し加工上問題がある。そこでアクリルポリオールとインソシアネート化合物との配合比としては、イソシアネート化合物由来のNCO基がアクリルポリオール由来のOH基の50倍以下であることが好ましく、特に好ましいのはNCO基とOH基が当量で配合される場合である。混合方法は、周知の方法が使用可能であり特に限定されない。
蒸着プライマー層32は、シランカップリング剤、ポリオール、イソシアネート化合物を混合した複合溶液を作成し、基材フィルム20にコーティングしてから乾燥硬化して形成する。蒸着プライマー層32を形成するプライマー用塗工剤は、具体的にはシランカップリング剤とポリオールを混合し、溶媒、希釈剤を加え任意の濃度に希釈した後、イソシアネート化合物と混合して作成する。前記方法以外にシランカップリング剤とポリオールを溶媒中混合しておき予めシランカップリング剤とポリオールを反応させたものを溶媒、希釈剤を加え任意の濃度に希釈した後、イソシアネート化合物を加えて作製する方法などがある。
前記プライマー用塗工剤にさらに各種添加剤、例えば、3級アミン、イミダゾール誘導体、カルボン酸の金属塩化合物、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩等の硬化促進剤や、フェノール系、硫黄系、ホスファイト系等の酸化防止剤、レベリング剤、流動調整剤、触媒、架橋反応促進剤、充填剤等を添加する事も可能である。
蒸着プライマー層32は、プライマー用塗工剤を、例えばオフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアコートなどの周知の塗布方式を用い基材フィルム20の上にコーティングし、その後コーティング膜を乾燥し溶媒等を除去し硬化させることによって形成する。
蒸着プライマー層32の厚さは、均一に塗膜を形成することができれば特に限定しないが、一般的に0.01〜2μmの範囲であることが好ましい。厚さが0.01μmより薄いと均一な塗膜が得られにくく密着性が低下する場合がある。また厚さが2μmを越える場合は厚いために塗膜にフレキシビリティを保持させることができず、外的要因により塗膜に亀裂を生じる恐れがあるため好ましくない。特に好ましいのは0.05〜0.5μmの範囲内にあることである。
次に、無機酸化物薄膜層33は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウム、あるいはそれらの混合物などの無機酸化物の蒸着膜からなり、透明性を有しかつ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有するものであればよい。その中では、特に酸化アルミニウム及び酸化珪素が好ましい。ただし、本発明の無機酸化物薄膜層33は、上述した無機酸化物に限定されず、上記条件に適合する材料であれば用いることができる。
無機酸化物薄膜層33の厚さは、用いられる無機化合物の種類、構成により最適条件が異なるが、一般的には5〜300nmの範囲内が望ましく、その値は必要とされるバリア性の程度によって適宜選択される。ただし膜厚が5nm未満であると均一な膜が得られないことや膜厚が十分ではないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合がある。また膜厚が300nmを越える場合は無機酸化物薄膜層にフレキシビリティを保持させることができず、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、無機酸化物薄膜層に亀裂を生じる危惧がある。好ましくは、10〜150nmの範囲内である。
無機酸化物薄膜層33を蒸着プライマー層32上に形成する手段としては各種手段が可能であるが、真空蒸着法により形成することが一般的である。この真空蒸着法以外の手段としてスパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることもできる。但し生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。この真空蒸着法による真空蒸着装置の加熱手段としては電子線加熱方式、抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかを適宜用いればよい。また無機酸化物薄膜層33と基材フィルムとの密着性及び無機酸化物薄膜層33の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いることも可能である。また、無機酸化物薄膜層33の透明性を上げるために蒸着の際、酸素ガスなど吹き込んだりする反応蒸着を行ってもよい。
無機酸化物薄膜層33上に設けられたガスバリア性被膜層34は、無機酸化物薄膜層33を保護し、さらに高いガスバリア性を付与するための層である。
上記のガスバリア性被膜層34の高いガスバリア性を付与する形成材料としては、例えば、水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドおよび/またはその加水分解物からなるもの、さらには、前記金属アルコキシドが、テトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウム、またはこれらの混合物のいずれかからなる溶液を塗布形成したものである。
高いガスバリア性を付与するガスバリア性被膜層形成材料の他の例としては、水溶性高分子と塩化銀からなるもの、さらには前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールからな
る溶液を塗布形成したものがある。
ガスバリア性被膜層34は、具体的には、水溶性高分子と塩化錫を水系(水あるいは水/アルコール混合)溶媒で溶解させた溶液、あるいは前記溶液に金属アルコキシドを直接、あるいは予め加水分解させるなど処理を行ったものを混合した溶液を無機酸化物薄膜層33にコーティングして加熱乾燥することで形成する。ガスバリア性被膜層34を形成する各成分についてさらに詳細に説明する。
本発明のガスバリア性被膜層34を形成するために用いられる水溶性高分子の具体例として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。特にポリビニルアルコール(PVA)はガスバリア性が最も優れる。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルをけん化して得られるもので、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分けん化PVAから酢酸基が数%しか残存していない、いわゆる完全PVAまでを含み、特に限定されない。
また、塩化錫は塩化第一錫(SnCl2)、塩化第二錫(SnCl4)、あるいはそれらの混合物であってもよく、無水物でも水和物でも用いることができる。
さらに、金属アルコキシドとしては、テトラエトキシシラン〔Si(OC254〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O−2'−C373〕などの一般式、M(OR)n(M:Si、Ti、Al、Zr等の金属、R:CH3、C25等のアルキル基)で表されるものがあげられる。中でもテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
上述した各成分を単独、またはいくつかを組み合わせた溶液を無機酸化物薄膜層33にコーティングして加熱乾燥することでガスバリア性被膜層34を形成することができ、さらに、ガスバリア性被膜層にはガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤などの添加剤を加えてもよい。
ガスバリア性被膜層34に加えられるイソシアネート化合物は、その分子中に2個以上のイソシアネート基(NCO基)を有するものであり、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート(TTI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)などのモノマー類と、これらの重合体、または誘導体などがある。
ガスバリア性被膜層34を形成するための溶液の塗布方法には、ディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法などの従来公知の手段を用いることができる。またガスバリア性被膜層の厚さは、被膜層を形成する溶液の種類や加工条件によって異なるが、乾燥後の厚さが0.01μm以上あることが必要であり、厚さが50μm以上では膜にクラックが生じ易くなるため、0.01〜50μmの範囲が好ましい。
上記構成の本発明の太陽電池バックシート(裏面保護シート)を使用して太陽電池モジュ−ルを製造する一般的な方法については図1を参照してすでに説明した。
以下に、本発明における具体的な実施例について説明する。
<実施例1>
コロナ処理を施していない厚さ50μmの二軸延伸黒色ポリエステルフィルムと、厚さ20μmのアルミニウム箔をウレタン系接着剤層を介して積層した積層フィルムのアルミニウム箔面に厚さ50μの二軸延伸白色ポリエステルフィルムを前記と同様の方法で積層した積層フィルムを太陽電池モジュール用バックシートとして使用した。
試験用モジュールとして、充填材層にEVAシート(三井化学製:ファブロSC50B)を用い、バックシートの黒色ポリエステルフィルムをモジュールの内側として、130℃で3分真空引き後2分間プレスしてさらに150℃にて30分間架橋後冷却して、図2に示す構成の太陽電池モジュールを作成した。
<実施例2>
コロナ処理を施していない厚さ50μmの二軸延伸白色ポリエステルフィルムと、下記の厚さ12μmの透明バリアフィルムのガスバリア性被膜層をウレタン系接着剤層を介して積層した積層フィルムの基材フィルム面に厚さ50μの二軸延伸透明ポリエステルフィルムを前記と同様の方法で積層した積層フィルムを太陽電池モジュール用バックシートとして使用した。
試験用モジュールとして、充填材層にEVAシート(三井化学製:ファブロSC50B)を用い、バックシートの白色ポリエステルフィルムをモジュールの内側として、130℃で3分真空引き後2分間プレスしてさらに150℃にて30分間架橋後冷却して、図3に示す構成の太陽電池モジュールを作成した。
<比較例1>
コロナ処理を施していない厚さ50μmの二軸延伸黒色ポリエステルフィルムの代わりにコロナ処理を施した厚さ50μmの二軸延伸黒色ポリエステルフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして図2に示す構成の太陽電池モジュールを作成した。
<比較例2>
コロナ処理を施していない厚さ50μmの二軸延伸白色ポリエステルフィルムの代わりにコロナ処理を施した厚さ50μmの二軸延伸白色ポリエステルフィルムを用いた以外は実施例2と同様にして図3に示す構成の太陽電池モジュールを作成した。
<透明バリアフィルム>
基材フィルム20としての厚さ50μmの2軸延伸透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に、蒸着プライマー層32として下記組成のプライマー用塗工剤Aをグラビアコート法により厚さ0.2μm(乾燥膜厚)形成した。次いで蒸着プライマー層32上に電子線加熱方式による真空蒸着装置により、金属アルミニウムを蒸発させそこに酸素ガスを導入し、酸化アルミニウムを蒸着して厚さ20nmの無機酸化物薄膜層33を形成した。更にその上に下記組成のガスバリア性被膜層溶液をグラビアコーターで塗布し乾燥機で100℃、1分間乾燥させ、厚さ0.3μmのガスバリア性被膜層34を形成して透明バリアフィルム30を得た。
<プライマー用塗工剤A>
希釈溶媒(酢酸エチル)中、γ−イソシアネートプロピルトリメチルシラン1重量部に対し、アクリルポリオール5重量部を量りとり混合し、攪拌する。ついでイソシアネート化合物としてトリレンジイソシアネート(TDI)をアクリルポリオールのOH基に対しTDIのNCO基が等量となるように加えた混合溶液を2%の濃度に希釈したものをプライマー用塗工剤Aとする。
<ガスバリア性被膜層溶液>
テトラエトキシシラン10.4gに塩酸(0.1N)89.6gを加え、30分間撹拌し加水分解させた固形分3wt%(SiO2 換算)の加水分解溶液とポリビニルアルコールの3wt%水/イソプロピルアルコール溶液(水:イソプロピルアルコール重量比で90:10)を重量配合比で60/40に混合したものを用いた。
上記で得られた試験用モジュールについて、下記の評価方法に基づき、充填材との初期接着性、充填材との経時での接着性、経時での外観特性についての評価を実施した。
<充填材との初期接着性>
試験用モジュールのバックシートとエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)の間に幅15mmの切り込みを入れて引張試験機にて90度剥離での定速引張試験を行い接着強度を測定する。
<充填材との経時での接着性>
試験用モジュールを高温高湿条件で保存した後、上記の方法で接着強度を測定する。と同時に外観特性の変化を目視で確認した。
保存条件1:温度105℃、相対湿度100%(プレッシャークッカー試験:PCT)
保存条件2:温度85℃、相対湿度85%(高温高湿保存)
<経時での外観特性>
試験用モジュールを高温高湿条件で保存した後、外観特性の変化を目視で確認する。
以上の結果を表1から表3に示した。(接着強度の単位:N/15mm)
Figure 2009289945
接着強度および外観の評価結果(◎:優、○:良、×:不可)
Figure 2009289945
初期強度および高温高湿保存後の接着強度
Figure 2009289945
初期強度およびPCT後の接着強度
比較例1で作成した試験用モジュールは、EVA層に接着したPETフィルムの面にあらかじめコロナ放電処理を施すことにより初期の接着強度は大きいが、PCT促進試験での強度低下が大きく、長期使用を想定した試験後では接着強度は逆転し、実施例1で作成したコロナ放電処理をしなかった試験用モジュールのほうが優れていた。
コロナ放電処理を施した、比較例1で作成した試験用モジュールではPCTでの保存後に一部で浮きが発生し、外観上も問題があった。
比較例2で作成した試験用モジュールは、EVA層に接着したPETフィルムの面にあらかじめコロナ放電処理を施すことにより初期の接着強度は大きいが、高温高湿での保存後での強度低下が大きく、長期使用を想定した試験後では接着強度は逆転し、実施例2で作成したコロナ放電処理をしなかった試験用モジュールのほうが優れていた。
コロナ放電処理を施した、比較例2で作成した試験用モジュールでは高温高湿での保存後に一部で浮きが発生し、外観上も問題があった。
太陽電池モジュールの一例の構成断面説明図 太陽電池バックシートの一例の断面説明図 太陽電池バックシートの他の一例の断面説明図 太陽電池バックシートの図3の一例の断面詳細説明図
符号の説明
1…透光性基板
2…充填材層
3…太陽電池素子
4…バックシート
5…リード線
6…シール剤
7…端子ボックス
8…アルミ枠
9…端子
10…アルミニウム箔
11…耐候性基材
12…耐候性基材
13…接着性樹脂層または接着剤層
14…接着性樹脂層または接着剤層
20…基材フィルム
30…透明バリアフィルム
32…蒸着アンカー層
33…無機酸化物薄膜層
34…ガスバリア性被膜

Claims (8)

  1. 2層以上の耐候性基材が貼り合わされた積層体を用いた、太陽電池モジュールの裏面保護に用いるバックシートであって、モジュールの入射光側に貼り合わされる該耐候性基材の最外層の面がコロナ放電処理されていないことを特徴とする太陽電池バックシート。
  2. 耐候性基材がポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池バックシート。
  3. 積層体が耐候性基材の内側にサンドイッチされた金属箔を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池バックシート。
  4. 金属箔がアルミニウム箔であることを特徴とする請求項3に記載の太陽電池バックシート。
  5. 積層体が耐候性基材の内側にサンドイッチされた透明バリアフィルムを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池バックシート。
  6. 透明バリアフィルムが少なくとも基材フィルムとその上に形成された無機酸化物薄膜層を含むことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池バックシート。
  7. 透明バリアフィルムが少なくとも基材フィルムとその上に形成された無機酸化物薄膜層とさらにその上に形成されたガスバリア性被膜層を含むことを特徴とする請求項6に記載の太陽電池バックシート。
  8. 裏面保護に、請求項1〜7のいずれか1項に記載の太陽電池バックシートを用いたことを特徴とする太陽電池モジュール。
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