JP6007037B2 - 積層防湿フィルム、太陽電池用保護材、及び太陽電池 - Google Patents
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Description
これらの用途において、積層防湿フィルムは、より厳しい性能が求められるようになり、長期使用や高温及び低温条件下における防湿性の劣化が少ない優れた積層防湿性フィルムの開発がなされてきた。
また、特許文献2では、同じく二軸延伸ポリエステルフィルムを基材とする防湿フィルムに二液硬化型ポリウレタン系接着剤を用いてPVFフィルムを貼り合わせた後、プレッシャークッカーテスト(PCT;高温高圧による過酷環境試験(105℃,92時間))前後の防湿性能と層間強度を評価、特性の劣化防止の提案を行っている。
[2] 前記耐候層と前記防湿層1との層間強度が結露凍結試験後において10N/15mm以上であり、かつ層間強度の劣化率が20%未満である[1]に記載の積層防湿フィルム。
[3] 前記接着層1がアクリル系粘着剤を含む[1]又は[2]に記載の積層防湿フィルム。
[4] 前記接着層1の0℃、周波数10Hz、歪0.1%における引張り貯蔵弾性率が、1.0×106〜1.0×108Paである[1]〜[3]のいずれかに記載の積層防湿フィルム。
[5] 前記防湿層1の基材がポリエステル系フィルムである[1]〜[4]のいずれかに記載の積層防湿フィルム。
[6] さらに、接着層2、及び、基材上に無機層を有する防湿層2を有する[1]〜[5]のいずれかに記載の積層防湿フィルム。
[7] 前記耐候層が、2−エチレン−4−フッ化エチレン共重合体フィルムである[1]〜[6]のいずれかに記載の積層防湿フィルム。
[8] 前記防湿層1及び/又は防湿層2の温度40℃相対湿度90%における水蒸気透過率が0.1[g/(m2・日)]未満であり、結露凍結試験後における水蒸気透過率の劣化度が3未満である[1]〜[7]のいずれかに記載の積層防湿フィルム。
[9] 前記防湿層1の基材の厚みが前記耐候層の厚みより薄い[1]〜[8]のいずれかに記載の積層防湿フィルム。
[10] 上記[1]〜[9]のいずれかに記載の積層防湿フィルムを有する太陽電池用保護材。
[11] 上記[10]に記載の太陽電池用保護材を有する太陽電池。
本発明の積層防湿フィルムは、耐候層と、接着層1と、基材上に無機層を有する防湿層1とをこの順に有する。以下に本発明を更に詳細に説明する。
本発明において、耐候層としては、耐候性の樹脂組成物の塗布層や、耐候性フィルムからなるものが挙げられるが、耐候性フィルムからなるものが好ましい。
本発明において、耐候性フィルムは、耐加水分解性や耐候性を有するものが制限なく使用でき、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル;ポリカーボネート;ポリメチルメタアクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂;ポリアミド等の各種樹脂のフィルムを用いることができる。耐候性フィルムは、これらの樹脂の2種以上を含むものであってもよく、また、2枚以上のフィルムの積層フィルムであってもよい。
更に、耐候性フィルムは、公知の添加剤、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、フィラー、着色剤、光安定剤等の安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤等を含有することができる。また、これらの各種添加剤を含有する樹脂層を積層してもよい。
耐候層の厚さは、一般に20〜200μm程度であり、耐候性フィルムの場合は取り扱いやすさとコストの点から20〜100μmが好ましく、20〜50μmがより好ましい。
本発明に係る防湿層1は、基材の少なくとも一方の面に無機層を少なくとも1層有する層であり、防湿性を有する層である。無機層により、湿気、水の透過による太陽電池等の内面側を保護することができる。
なお、防湿層1は後述する接着層1を介して既述の耐候層と接着される。また、防湿層1と以下に記載の防湿層2を合わせて「防湿層」ということがある。
上記基材としての樹脂フィルムは、未延伸であってもよいし延伸したものであってもよい。
更に、防湿層1の基材の厚みが前記耐候層の厚みより薄いと、柔軟性に優れた太陽電池用保護材が得られ、太陽電池モジュールが曲げられた際に、太陽電池用保護材がその曲げに追従することができ、太陽電池用保護材と封止材とのデラミネーションが起こりにくいので、好ましい。特に防湿層1の基材の厚み及び防湿層2の基材の厚みのいずれもが前記耐候層の厚みより薄いことが、前述の理由より、より好ましい。
無機層の形成方法としては、蒸着法、コーティング法等の方法がいずれも使用できるが、ガスバリア性の高い均一な薄膜が得られるという点で蒸着法が好ましい。この蒸着法には、物理気相蒸着(PVD)、あるいは化学気相蒸着(CVD)等の方法が含まれる。物理気相蒸着法としては、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等が挙げられ、化学気相蒸着法としては、プラズマを利用したプラズマCVD、加熱触媒体を用いて材料ガスを接触熱分解する触媒化学気相成長法(Cat−CVD)等が挙げられる。
また、上記無機層は、無機層は単層の他、多層であってもよく、上記に挙げられる種々の成膜法を用い多層成膜し、防湿性を高めることが可能である。その場合、同一の成膜法を用いてもよいし、各層ごとに異なる成膜法を用いてもよいが、何れも減圧下で連続して行うことが、効率的な防湿性向上、生産性の点で好ましい。
また、無機層が多層の場合、各層は同じ無機物質からなっていても、異なる無機物質からなっていてもよい。
防湿層の水蒸気透過率の調整は、基材の選択、無機層を構成する無機物質の選択、無機層の厚さ、防湿層の厚さ及び無機層の酸化数等を適宜調整することにより行うことができる。
防湿層1及び/又は防湿層2は、結露凍結試験後における初期水蒸気透過率からの水蒸気透過率の劣化度が3未満であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。
水蒸気透過率の測定方法は、JIS Z 0222「防湿包装容器の透湿度試験方法」、JIS Z 0208「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」の諸条件に順じ、具体的には実施例に記載の方法で測定される。
本発明において、接着層1のガラス転移点は0℃以下とする。接着層1のガラス転移点が0℃を超えると低温(例えば−40℃)から高温(例えば85℃)の広い温度範囲で防湿層による良好な防湿性を維持できなくなってしてしまう。ガラス転移点は、接着剤および粘着剤層の脆弱化を防ぐ理由で、−40〜0℃であることがより好ましい。
上記接着層1のガラス転移点は、具体的には実施例に記載の方法で求められる。
また、接着層1の0℃、周波数10Hz、歪0.1%における引張り貯蔵弾性率は、1.0×106〜1.0×108Paであることが好ましく、更に接着層1の100℃、周波数10Hz、歪0.1%における引張り貯蔵弾性率が、5.0×104〜5.0×105Paであることがより好ましい。0℃、周波数10Hz、歪0.1%における引張り貯蔵弾性率が上記範囲内であると、低温において、フィルムの収縮等により発生する応力を粘着剤層で十分に吸収することができ、防湿性の劣化を防止することができる。また、
100℃、周波数10Hz、歪0.1%における引張り貯蔵弾性率が上記範囲であると、高温において、フィルムの収縮等により発生する応力を粘着剤層で十分に吸収することができ、防湿性の劣化を防止することができる。
アクリル系粘着剤の主モノマー成分としては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸アルキルエステルや、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
アクリル系粘着剤の官能基含有モノマー成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有モノマーや、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド等のヒドロキシル基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、アクリル系粘着剤が上述のアクリル系(共)重合体である場合の分子量としては、重量平均分子量で30万〜150万であるものが好ましく、40万〜100万であることがさらに好ましい。重量平均分子量を上記範囲にすることによって被着体に対する密着性や接着耐久性を確保し、浮きや剥がれ等を抑制することができる。
ポリウレタン系接着剤としては、主剤と硬化剤とが化学反応して固化するタイプのものが好ましい。この主剤としては、塗膜形成性と硬化時の反応性のバランスを考慮し、分子量400〜20000のポリオールを使用するのが好ましく、更に分子量600〜10000のポリオールを使用するのがより好ましい。
接着剤の主剤としては、具体的には、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリアクリルポリオール、ポリウレタンポリオールあるいはポリエステルポリオールを含む組成物等が挙げられる。
さらに、例えばポリテトラメチレングリコール(PTMG)のように主鎖構造にポリエーテル構造を含む、耐加水分解ポリエステルポリオールを選択することが望ましい。このようなポリエステルポリオールのエステル基1個当たりの分子量は、好ましくは100〜5,000、より好ましくは120〜3,000である。
ポリオールとしては、熱安定性、湿度安定性等の観点から、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール及びポリウレタンポリオールから選ばれる少なくとも1種を含むものが好ましい。
また、他の成分を0〜30質量%加えることが好ましく、当該他の成分として密着性を向上させるためのアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン等が好ましい。更に、高耐寒性、耐加水分解性に優れたスチレンーブタジエンゴム等を好ましく使用できる。
ポリウレタン系接着剤としては、熱安定性、湿度安定性等の観点から、ポリカーボネートポリオールと、ジイソシアネートとを反応させて得られるポリカーボネート系ポリウレタン接着剤がより好ましい。特に、硬化時においても十分な架橋密度が得られる観点から、ジイソシアネートとして、柔軟なメチレン鎖を有するHDIを用いるのが好ましい。
また、より熱的に安定な接着剤層を得るために、主剤にエポキシ系化合物を含んだものを用いることが好ましい。
接着剤硬化時に架橋反応が十分に進行するためには、主剤のポリオールの水酸基と硬化剤のイソシアネート基が十分近づかなくてはならない。すなわち、主剤のポリオールのポリマー鎖間に硬化剤が浸透する必要がある。そのためには硬化剤の分子量はポリオールより小さい方が好ましく、硬化剤に含まれるジイソシアネートの分子量は300〜10000が好ましく、より好ましくは分子量1000〜5000である。
十分な架橋密度を得、かつ残存する官能基数を抑えるために、異なる分子量の主剤と硬化剤を用いるという考え方に基づいて、例えば、主剤として分子量の異なるポリオールを複数種混合して用いる方法が好ましい。
本発明における接着剤の主剤と硬化剤の好ましい配合比は、質量比で主剤/硬化剤=5〜25、官能基のモル比で−NCO基/−OH基=0.8〜9である。
本発明に係る接着層1には、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。使用し得る紫外線吸収剤としては、配合後ブリードアウト等が生じにくい、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノール等のトリアジン系;P−tert−ブチルフェニルサリシレート、フェニルサリシレート等のサリシレート系紫外線吸収剤のうち、1種類または2種類以上を混合して使用することが可能である。紫外線吸収剤の配合については、粘着剤または接着剤100質量部に対して、固形分換算で0.1〜10質量部であることが好ましく、さらに1〜7質量部であることがより好ましい。0.1質量部未満では満足する紫外線吸収性能が得られず、10質量部以上では、得られる紫外線吸収性能に向上がないことに加えて、接着性能または粘着性能や耐久性が極度に低下する。
本発明において、接着層1は、耐候層または防湿層の無機層に粘着剤又は接着剤の塗工液を直接塗工することにより形成してもよいし、また、粘着剤又は接着剤の塗工液を、剥離処理された剥離シートの剥離処理面に塗工し、これを耐候層または防湿層の無機層に貼り合わせた後に剥離シートを剥離することにより形成することができる。
有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソブタノール、n−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
塗工液の塗工は、例えば、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、ロールナイフコート法、ダイコート法、グラビアコート法、エアドクターコート法、ドクターブレードコート法等、従来公知の塗工方法により行うことができる。
塗工後、通常70〜110℃の温度で1〜5分程度乾燥処理することにより、接着層1が形成される。
上記結露凍結試験及び劣化率については後述する。
接着層2としては既述の接着層1と同様な構成が好ましく例示される。また、防湿層2についても既述の防湿層1と同様な構成が好ましく例示される。
本発明の太陽電池は、既述の本発明の太陽電池用保護材を有する構成である。すなわち、本発明の太陽電池用保護材を、封止材や太陽電池用セル等の他の太陽電池用部材と積層されたものである。本発明の太陽電池は、本発明の太陽電池用保護材を使用することで、良好な外観を実現することができるのみならず、発電効率の低下を防止できる。
本発明の太陽電池用保護材は、封止材を積層してなる封止材・前面保護材一体型であってもよい。予め封止材をさらに積層することにより、真空ラミネーション工程における裏面保護材、封止材、発電素子、封止材、前面保護材それぞれを個々に積層する作業を低減でき、太陽電池モジュール製造の効率化を図ることができる。
なお、前述の封止材・前面保護材一体型の前面保護材を用いる場合は、前記の封止材は用いなくてもよい場合がある。
なお、上記で、例えば、A/B/Cの表記は、下から(あるいは上から)A、B、Cの順に積層していることを示す。
上記の製造方法においては、バッチ式の製造設備やロール・ツー・ロール式の製造設備等も適用することができる。
実施例及び比較例で作製した積層防湿フィルムを、150mm×150mm角に切り出し、これに、封止材、厚み3mmの白板ガラス(サイズ:150mm×150mm)を順次積層し、これを真空ラミネーター((株)エヌ・ピー・シー製、商品名:LM30×30)を用いて、150℃、11分、圧力0.1MPaの条件で積層プレスしたサンプルを作製した。
(1)結露凍結試験(HF)
JIS C 8990−2004に準拠した方法により、超低温恒温恒湿機(エスペック(株)製、商品名:PSL−2KPH)を用いて、温度85℃、相対湿度85%環境下でサンプルを20時間保持し、次に1.5時間かけて温度を−40℃とし、温度−40℃環境下でサンプルを1時間保持し、これを1サイクルとして、再度1.5時間かけて温度を85℃に戻し前記サイクルを20回繰り返した。
JIS C 60068−3−4に準拠した方法により、恒温恒湿機(エスペック(株)製、商品名:PH−3KT)を用いて温度85℃、相対湿度85%環境下で400時間保持した。
(3)積層防湿フィルムの層間強度および層間強度劣化率
作製された積層防湿フィルムを測定幅15mmの短冊状に切り出し、引っ張り試験機(ORIENTIC製、商品名:STA−1150)を用いて300mm/minで、引っ張り方向は180度で、耐候性フィルムと防湿フィルム1(耐候性フィルム側からみて1層目の防湿フィルム)との層間強度(N/15mm)を測定した。
測定は、積層防湿フィルム作製直後、結露凍結試験後、及びダンプヒート試験後のそれぞれについて行った。
また、積層防湿フィルム作製直後の層間強度(初期層間強度)に対して、結露凍結試験後またはダンプヒート試験後の層間強度がどれだけ劣化したかを層間強度劣化率(%)として次式により求めた。
層間強度劣化率(%)=[1−(結露凍結試験またはダンプヒート試験後の積層防湿フィルムの層間強度)/(初期の積層防湿フィルムの層間強度)]×100
実施例および比較例記載の防湿フィルム及び積層防湿フィルムの防湿性は、JIS Z 0222「防湿包装容器の透湿度試験方法」、JIS Z 0208「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」の諸条件に順じ、次の手法で水蒸気透過率を求め、評価した。
厚さ60μmの延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績(株)製 P1146)の表面に、ウレタン系接着剤(東洋モートン(株)製AD900とCAT−RT85を10:1.5の割合で配合したもの)を塗布、乾燥し、厚さ約3μmの接着剤層を形成し、この接着剤層上に防湿フィルムの無機層側をラミネートし、積層体を得た。
次に、該積層体からなる透湿面積10.0cm×10.0cm角の積層体各2枚用い、延伸ポリプロピレンフィルムが内側になるようにして、吸湿剤として無水塩化カルシウム約20gを入れ四辺を封じた袋を作製し、その袋を温度40℃相対湿度90%の恒温恒湿装置に入れ、72時間以上の間隔でおよそ200日目まで質量測定し、4日目以降の経過時間と袋質量との回帰直線の傾きから水蒸気透過率[g/(m2・日)]を算出した。
厚さ60μmの延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績(株)製 P1146)の表面に、ウレタン系接着剤(東洋モートン(株)製AD900とCAT−RT85を10:1.5の割合で配合したもの)を塗布、乾燥し、厚さ約3μmの接着剤層を形成し、この接着剤層上に作製直後の積層防湿フィルムの防湿フィルムの無機層背面側をラミネートし、積層体を得た。
次に、該積層体からなる透湿面積10.0cm×10.0cm角の積層体各2枚用い、延伸ポリプロピレンフィルムが内側になるようにして、吸湿剤として無水塩化カルシウム約20gを入れ四辺を封じた袋を作製し、その袋を温度40℃相対湿度90%の恒温恒湿装置に入れ、72時間以上の間隔でおよそ200日目まで質量測定し、4日目以降の経過時間と袋質量との回帰直線の傾きから水蒸気透過率[g/(m2・日)]を算出し、積層防湿フィルムの初期の水蒸気透過率とした。結露凍結試験またはダンプヒート試験後の防湿性評価についても、各試験後のガラスサンプルから積層防湿フィルムを取り出し、これを用いて上記と同様に積層体を作成し、該積層体からなる透湿面積10.0cm×10.0cm角の積層体各2枚を用い、上記と同様の方法で評価を行なった。
得られた水蒸気透過率を用いて、防湿性劣化度を次式により求めた。
防湿性劣化度=(結露凍結試験後またはダンプヒート試験後の積層防湿フィルムの水蒸気透過率)/(積層防湿フィルムの初期の水蒸気透過率)
結露凍結試験後またはダンプヒート試験後の積層防湿フィルムを目視で確認し、以下の評価基準に従って評価した。
○:初期の状態と比較して変化していない
×:初期の状態と比較して接着層が白化している
調製された各接着剤塗液または粘着剤塗液を、シリコーン離型PETフィルム上に塗布し、40℃で5日間養生し、さらにその後100℃、30分保持し接着層を形成した。その後、当該接着層のみを取り出し、厚み200μmとなるよう複数層重ね、縦4mm、横60mm、厚み200μmの各サンプルを作成した。粘弾性測定装置(アイティ計測(株)製、商品名「粘弾性スペクトロメーターDVA−200」)を用いて、振動周波数10Hz、歪0.1%、昇温速度3℃/分、チャック間25mmで横方向について、−100℃から100℃までサンプルに印加される歪に対する応力を測定し、得られたデータから0℃における引張り貯蔵弾性率(Pa)を求めた。また、得られた損失正接(tanδ=損失弾性率/貯蔵弾性率)曲線においてピークを示す温度をガラス転移点(Tg)として求めた。なお、ピークが複数ある場合は、一番高い温度をガラス転移点とする。
<耐候性フィルム>
耐候性フィルムとして、2−エチレン−4−フッ化エチレン共重合体(ETFE)フィルム(旭硝子(株)製、商品名:アフレックス50MW1250DCS、厚み50μm)を使用した。
(粘着剤塗液1)
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、アクリル酸n−ブチル60重量部、アクリル酸メチル40重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート5重量部、重合開始剤として、2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部と酢酸エチル200重量部を投入し、1時間窒素置換した後、窒素気流下で撹拝しながら60℃付近に保って9時間重合反応を行い、重量平均分子量30万のアクリル系ポリマー溶液(1)を調製した。ポリマー溶液(1)の固形分100重量部に対して架橋剤として0.2重量部のイソシアネート架橋剤(トリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物;三井武田ケミカル社製、D−160N)とを均一に混合撹搾し、粘着剤塗液1を調製した。して粘着剤塗液1を調製した。なお、粘着剤塗液1からなる接着層のガラス転移点(Tg)は−8.7℃であった。
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、アクリル酸n−ブチル100重量部、アクリル酸3重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート2重量部、重合開始剤として、2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部と酢酸エチル200重量部を投入し、1時間窒素置換した後、窒素気流下で撹拝しながら60℃付近に保って9時間重合反応を行い、重量平均分子量40万のアクリル系ポリマー溶液(2)を調製した。ポリマー溶液(2)の固形分100重量部に対して架橋剤として0.2重量部のイソシアネート架橋剤(トリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物;三井武田ケミカル社製、D−160N)とを均一に混合撹搾し、粘着剤塗液2を調製した。なお、粘着剤塗液2からなる接着層のガラス転移点(Tg)は−30℃であった。
ポリカーボネートポリオール成分を含む主剤として、平均分子量2000のポリカプロラクトンポリオール(ダイセル化学工業(株)製、商品名「プラクセル210N」)、平均分子量500のポリカーボネートジオール(ダイセル化学工業(株)製、商品名「プラクセルCD CD205」)を使用し、ポリカプロラクトンポリオール/ポリカーボネートジオールの質量比が60/40となるように混合し、酢酸エチルに溶解させ、固形分約50質量%、粘度400[mPa・s]のポリオール溶液とした。このポリオール溶液に、硬化成分としてスミジュールN3300(住化バイエルウレタン(株)製)を、質量比が10/0.5となるように配合し、固形分濃度が35質量%となるように酢酸エチルで希釈して接着剤塗液1を調製した。なお、接着剤塗液1からなる接着層のガラス転移点(Tg)は−2℃であった。
ポリエステルポリオール成分を含む主剤として東洋インキ製造(株)製IS801(エステル基1つあたりの分子量は105、粘度1700[mPa・sec])を用い、ヘキサメチレンジイソシアネート成分とイソホロンジイソシアネートを含む硬化剤として東洋インキ製造(株)製CR001を使用し、質量比で10:1となるように混合し、固形分濃度が30質量%となるように酢酸エチルで希釈して接着剤塗液2を調製した。なお、接着剤塗液2からなる接着層のガラス転移点(Tg)は32℃であった。
基材として、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名:「Q51C」)を用い、そのコロナ処理面に、下記のコート液を塗布乾燥して厚さ0.1μmのアンカーコート層を形成した。
次いで、真空蒸着装置を使用して1.33×10-3Pa(1×10-5Torr)の真空下でSiOを加熱蒸発させ、アンカーコート層上に厚さ50nmのSiOx(x=1.5)無機層を有する防湿フィルムを得た。作製した防湿フィルムの温度40℃、相対湿度90%における水蒸気透過率は0.01[g/(m2・日)]であった。
ポリビニルアルコール樹脂(日本合成化学(株)製、商品名:「ゴーセノール」、ケン化度:97.0〜98.8mol%、重合度:2400)220gをイオン交換水2810gに加え加温溶解した水溶液に、20℃で撹拌しながら35mol%塩酸645gを加えた。次いで、10℃でブチルアルデヒド3.6gを撹拌しながら添加し、5分後に、アセトアルデヒド143gを撹拌しながら滴下し、樹脂微粒子を析出させた。次いで、60℃で2時間保持した後、液を冷却し、炭酸水素ナトリウムで中和し、水洗、乾燥し、ポリビニルアセトアセタール樹脂粉末(アセタール化度75mol%)を得た。
また、架橋剤としてイソシアネート樹脂(住友バイエルウレタン(株)製、商品名:「スミジュールN−3200」)を用い、水酸基に対するイソシアネート基の当量比が1:2になるように混合した。
封止材として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(ブリヂストン(株)製、商品名:EVASKY S11、厚み:500μm)を使用した。
耐候性フィルムに粘着剤塗液1を固形分20g/m2となるよう塗布乾燥し、形成した厚み20μmの接着層と防湿フィルムの無機層面とを貼合し、その後40℃で5日間養生し、厚み82μmの積層防湿フィルムを作製し、各種の評価を行った。結果を下記表2に示す。なお、積層防湿フィルムの温度40℃、相対湿度90%における初期の水蒸気透過率は0.01[g/(m2・日)]であった。
下記表1に示す粘着剤塗液又は接着剤塗液に変更したこと以外は参考例1と同様にして、厚み82μmの積層防湿フィルムを作製した。作製した積層防湿フィルムを用い、参考例1と同様にして各種の評価を行った。結果を下記表2に示す。なお、各積層防湿フィルムの温度40℃、相対湿度90%における初期の水蒸気透過率は0.01[g/(m2・日)]であった。
下記表1に示す粘着剤塗液又は接着剤塗液に変更して参考例1と同様にして、耐候性フィルムと接着層と防湿フィルムとからなる積層防湿フィルムを作製し、さらに、防湿フィルム上に下記表1に示す粘着剤塗液又は接着剤塗液を固形分20g/m2となるよう塗布乾燥し、形成した厚み20μmの接着層と防湿フィルムの無機層面とを貼合し、その後40℃で5日間養生し、厚み164μmの積層防湿フィルムを作製した(耐候性フィルム/接着層/防湿フィルム/接着層/防湿フィルム)。作製した積層防湿フィルムを用い、参考例1と同様にして各種の評価を行った。結果を下記表2に示す。なお、各積層防湿フィルムの温度40℃、相対湿度90%における初期の水蒸気透過率は0.01[g/(m2・日)]であった。
Claims (9)
- 耐候層、接着層1、及び、基材上に無機層を有する防湿層1をこの順に有する積層防湿フィルムであって、前記接着層1のガラス転移点が0℃以下であり、前記接着層1がカルボキシル基を有するアクリル系粘着剤を含み、前記接着層1の0℃、周波数10Hz、歪0.1%における引張り貯蔵弾性率が1.0×10 6 〜1.0×10 8 Paであり、100℃、周波数10Hz、歪0.1%における引張り貯蔵弾性率が5.0×10 4 〜5.0×10 5 Paである積層防湿フィルム。
- 前記耐候層と前記防湿層1との層間強度が、結露凍結試験後において10N/15mm以上であり、かつ層間強度の劣化率が20%未満である請求項1に記載の積層防湿フィルム。
- 前記防湿層1の基材がポリエステル系フィルムである請求項1又は2に記載の積層防湿フィルム。
- さらに、接着層2、及び、基材上に無機層を有する防湿層2を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層防湿フィルム。
- 前記耐候層が、2−エチレン−4−フッ化エチレン共重合体フィルムである請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層防湿フィルム。
- 前記防湿層1及び/又は防湿層2の、温度40℃、相対湿度90%における水蒸気透過率が0.1[g/(m2・日)]未満であり、結露凍結試験後における水蒸気透過率の劣化度が3未満である請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層防湿フィルム。
- 前記防湿層1の基材の厚みが前記耐候層の厚みより薄い請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層防湿フィルム。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層防湿フィルムを有する太陽電池用保護材。
- 請求項8に記載の太陽電池用保護材を有する太陽電池。
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