JP4247463B2 - 太陽電池モジュールおよび太陽電池アレイ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、屋外に設置される太陽電池モジュールおよび、浄水場や湖沼等に設置される太陽電池アレイに関する。
【0002】
【従来の技術】
太陽電池は、太陽の光エネルギーから直接電気エネルギーを得る発電装置である。地球環境問題がクローズアップされる中、太陽電池はクリーンなエネルギー源として脚光を浴び、急速に導入が進んでいる。現在最も普及が進んでいる市場は個人住宅市場であるが、この他にも公共施設など、大規模設備への導入も進みつつある。
大規模設備への導入例としては、浄水場や湖沼などのように広い面積がありながらこれまで有効に利用されてこなかった施設への導入がある。
【0003】
例えば浄水場においては、沈殿池やろ過池などの多くの池があり、これらの池では光合成による藻類の繁殖を防ぐために、池に覆いをかけ太陽光を遮る工夫はなされてきたが、太陽光を積極的に利用する試みは始まったばかりである。
ここで、浄水場における従来の太陽電池設置例について紹介する。図6は従来の浄水場に設置された固定式の太陽電池アレイの概略図である。
貯水池28の上に、太陽電池モジュール(以下、モジュール)27a複数連結された太陽電池アレイ(以下、アレイ)27が固定設置されている。この太陽電池アレイ27は貯水池28を覆うように設置されており、貯水池28に太陽光が入射することを防ぎ、貯水池内で藻類の繁殖を防ぐとともに、発電した電力は浄化設備の動力等に利用されている。貯水池でも、定期的にメンテナンスする必要のない設備では、本従来例のように架台に固定したアレイでも差し支えないが、例えばろ過池のように、定期的に砂の洗浄や交換を必要とする設備においては、固定式のアレイでは都合が悪い。そこで、この要望に応えるために、収納式のアレイが検討されている。
【0004】
収納式のアレイには、折畳み方式、巻き取り方式、スライド方式などのいくつかの方式が提案されているが、アレイを移動させるという観点から、軽量であることが求められる。
例えば、折畳み方式では、各太陽電池モジュール1の折畳み方向の相接する辺を蝶番状のもので連結されており、収納時には、その部分は折り曲げられ各太陽電池モジュールは展開時の面に対して垂直方向に折畳まれる(特許文献1参照。)。
ところで、太陽電池モジュールを光電変換素子の形態によって大別すると結晶系と薄膜系とに分けられるが、一般に結晶系の太陽電池モジュールでは、封止材で光電変換素子を封止し、最受光面側にガラス製の保護カバーを取付け、これに例えばアルミニウム製のフレームを取付け架台に固定するようにした構造が採用されている。この種類のモジュールはその表面がガラスで覆われているため、外部から浸入してくる水分の影響を受けにくいという利点がある反面、重量が重く、設置する場合にも強固な架台が必要である。特に、モジュールあるいはアレイユニットを可動とする収納式アレイには適用しにくい。
【0005】
一方、薄膜系の太陽電池モジュールの場合には、結晶系と同じようにアレイの表面をガラスで保護する構造を採用することもできるが、最近では、例えばプラスチックフィルムを基板とし、この上にアモルファスの光電変換素子を形成して、これを封止樹脂で封止した後に、その最受光面側に表面保護膜を設けることでガラスを省き、軽量化を実現するモジュールも開発されている。この場合モジュールが軽量であるために、モジュールを多数結合したアレイの架台も軽量化ができる。
また、スライド収納式(収納時には、各太陽電池モジュール1は展開時の面と同じ方向重ねられる)のアレイの場合には、例えば、鋼板を補強部材として用い、最受光面にガラスのかわりに透明な樹脂製の表面保護膜を用いたモジュールを複数連結した隣接するモジュールを互いに係合させるため、補強部材の端部を折り返し、係合部を形成する構造が採用されることが多い。
【0006】
【特許文献1】
特開10−125945号公報(第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この場合、受光面側の最表面には、表面保護膜として、一般にフッ素系の樹脂などが用いられを用いられることが多く、その表面に撥水性が付与されているために、たとえば雨などが降った場合でも、その表面の撥水性のために、水滴ははじかれ流れていくことになる。
しかし、この場合でも、モジュールが大面積の場合にはたわみが生じ、雨水が滞留することがあり、発電効率を下げる原因となる。
また、隣接するモジュールとの係合部が形成されているため、この部分に水が溜まることになる。このような状態が長く続くと、水がたまっている部分から容易に水分がモジュール内部に浸入し、やがてモジュールに損傷を与えることが予想される。
【0008】
本発明の目的は、水がたまらない構造により長期間作動が可能な太陽電池モジュールおよび太陽電池アレイを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的を達成するため、光電変換素子が封止材により封止され、さらに受光面側は表面保護膜により被覆され、非受光面側は補強部材により補強された太陽電池モジュールにおいて、貫通孔が前記光電変換素子以外の部分であって、傾斜下流部の端に沿って形成された溝の中に開けられていることとする。
前記貫通孔は封止材、保護膜および補強部材を貫通していると良い。
前記貫通孔は補強部材のみにあけられていると良い。
前記封止材はエチレン−酢酸ビニル重合体(EVA)であると良い。
【0010】
前記表面保護膜はエチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)であると良い。太陽電池アレイには前項のいずれかに記載の太陽電池モジュールを用いると良い。
【0011】
【発明の実施の形態】
参考例1
図1は参考例1に係る太陽電池アレイの概略斜視図である。図2は参考例1に係る太陽電池アレイに用いた太陽電池モジュールを示し、(a)は平面図、(b)は(a)におけるAA断面図である。太陽電池モジュール1の長尺方向の端部には水抜き用の貫通孔10aが設けられている。本参考例では、貫通孔10aは封止材19、表面保護膜20が設けられていない補強版17の周辺部分に設けた。貫通孔10aを開けたため太陽電池モジュール1には水が溜まったり、特に周縁部が水に浸かったりすることはなくなり、水分含浸による低寿命化は防止できる。住宅の屋根などの場合はアレイに貫通孔が設けられていると、この部分から雨が野地板に漏れ、雨漏りを起こすが、アレイの設置場所が浄水場などのように水面上である場合には雨がアレイからもれ落ちても何ら問題とはならない。
【0012】
符号2はモジュールからの出力を取り出すための端子部を示す。符号3はモジュール固定用接続部であり、接続材5を介して固定用ワイヤー7あるいは回収用ワイヤー13に取付けられている。尚、この場合モジュール収納部14より最も遠い位置にあるモジュールだけは、11で示すように回収用ワイヤーに固定されているが、それ以外のモジュールは接続リング6を介してワイヤーに取付けられており、回収用ワイヤー13を動かすことにより、太陽電池モジュールを展開または収納することが容易にできる。符号8は固定用ワイヤーを張るための支柱、符号9はろ過池を示す。
【0013】
本参考例においては、厚さ50μmのポリイミド樹脂製フィルム基板上に光電変換部材としてアモルファスシリコン薄膜を形成し、これに電力取り出し用の電極を形成したものを光電変換素子18として用いた。光電変換素子18は製造工程においてレーザを用いてユニットセルに分割され、それぞれのユニットセルは直列接続され太陽電池を形成している。
封止材19として、本実施例では他の樹脂や金属とも接着力の大きい、エチレン−酢酸ビニル重合体(EVA)(ブリジストン社製)を用いた。
また、表面保護膜20として、本参考例では撥水性が高く、耐候性の良いエチレン−ポリテトラフルオロエチレン重合体(ETFE)を用いた。本参考例においては、表面保護膜の封止材に接触する面のみに接着強度を上げるためのプラズマ処理を施したものを用いた。
【0014】
補強部材17として、厚さ1mmのアルミニウム板を用いた。補強部材17の係合部17a、17bは、本参考例において、係合部は略コ字に折り返した構造としたが、隣接するモジュールと係合できる構造であれば問題ない。
モジュール1はプーリー12を回転させることで展開・収納が可能である。尚、回収時には21で示すフックで順次モジュールを引っ掛け回収する構造となっている。回収されたモジュールは収納部14に収納される。
本参考例のように、モジュールの一端が折り曲げられ、隣接するモジュールと組み合わされる構造においては、折り曲げられた部分に水が溜まりやすくなるが、この部分に貫通孔を設けることで水の排出が容易にできる。尚、本参考例に係る発明は貫通孔の数や形状を特に限定するものでなく、必要に応じてその数や形状を変更して差し支えない。
参考例2
図3は別の参考例に係る太陽電池モジュールの断面図である。この参考例においては、貫通孔10bは、光電変換素子が配置されていないモジュール周辺部分で、表面保護膜、封止材、補強部材を貫通するように設けられている。
【0015】
補強部材は金属に限定されるものではなく、例えばポリイミドなどのような高強度の樹脂シートなどでもよい。この場合は金属板よりも展開時のたわみが大きいので、モジュールの中央部にも光電変換素子のない部分を設け、そこに貫通孔を開けておくとよい。
実施例
図4は本発明に係るモジュールを用いた固定式の太陽電池アレイの概略斜視図である。図5は本発明に係るモジュールを示し、(a)は平面図、(b)は(a)におけるBB断面図である。浄水場の上に固定されたアレイを模式的に示したもので、各モジュールは約5°の傾斜で取り付けられている。各モジュールの傾斜下流部の端に沿って貫通孔24が開けられている。貫通孔24の方に水が流れ、排出されやすくするため、本実施例においては、貫通孔24は溝25の中に設けられている。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、光電変換素子が封止材により封止され、さらに受光面側は表面保護膜により被覆され、非受光面側は補強部材により補強された太陽電池モジュールにおいて、貫通孔が前記光電変換素子以外の部分であって、傾斜下流部の端に沿って形成された溝の中に開けられているため、このモジュールに雨水は滞留しなくなり、光電変換素子への水分の浸透は抑制されるようになり、モジュールの寿命はのびる。また、このモジュールを用いたアレイは長寿命である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例1に係る太陽電池アレイの概略斜視図である。
【図2】 参考例1に係る太陽電池アレイに用いた太陽電池モジュールを示し、(a)は平面図、(b)は(a)におけるAA断面図である。
【図3】 参考例2に係る太陽電池モジュールの断面図である。
【図4】 本発明に係るモジュールを用いた固定式の太陽電池アレイの概略斜視図である。
【図5】 本発明に係るモジュールを示し、(a)は平面図、(b)は(a)におけるBB断面図である。
【図6】 従来の浄水場に設置された固定式の太陽電池アレイの概略図である。
【符号の説明】
1 太陽電池アレイ
2 接続端子
3 太陽電池固定用接続部
4 配線材
5 接続材
6 接続用リング
7 固定用ワイヤー
8 ワイヤー固定用支柱
9 ろ過池
10 貫通孔
10a,b 貫通孔
11 固定部
12 プーリー
13 展開・回収用ワイヤー
14 太陽電池アレイ収納部
15 ユニットセル
16 電力引出し配線
17 補強部材
17a,b 係合部
18 光電変換素子
19 封止材
20 表面保護膜
21 太陽電池回収用フック
22 太陽電池アレイ
23 補強部材
24 貫通孔
25 溝
26 光電変換素子
27 太陽電池アレイ
28 貯水池

Claims (6)

  1. 光電変換素子が封止材により封止され、さらに受光面側は表面保護膜により被覆され、非受光面側は補強部材により補強された太陽電池モジュールにおいて、貫通孔が前記光電変換素子以外の部分であって、傾斜下流部の端に沿って形成された溝の中に開けられていることを特徴とする太陽電池モジュール。
  2. 前記貫通孔は封止材、保護膜および補強部材を貫通していることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
  3. 前記貫通孔は補強部材のみに開けられていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
  4. 封止材はエチレン−酢酸ビニル重合体(EVA)であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
  5. 表面保護膜はエチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
  6. 請求項1ないし4のいずれかに記載の太陽電池モジュールを用いたことを特徴とする太陽電池アレイ。
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