JP2016043571A - 塗工フィルムおよびそれを用いた太陽電池モジュール用裏面保護シート - Google Patents

塗工フィルムおよびそれを用いた太陽電池モジュール用裏面保護シート Download PDF

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渉 奥津
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Abstract

【課題】樹脂層と基材フィルム間の密着性に優れ、かつ樹脂層の耐擦過性に優れた塗工フィルムを提供し、この塗工フィルムを用いることで長期に亘る過酷な屋外環境下での使用に耐え得る耐光性、耐紫外線性を有する太陽電池モジュール用裏面保護シートを提供する。
【解決手段】基材フィルムの少なくとも片面に、ポリオールがポリイソシアネートによって架橋された樹脂からなるA層およびB層が、基材フィルム/A層/B層の順に積層されてなり、B層樹脂におけるポリオールの水酸基(OH)に対するポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO)の当量比(NCO/OH)が、A層樹脂における該当量比よりも大きいことを特徴とする塗工フィルムおよびその製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、塗膜の密着性と耐擦過性に優れた塗工フィルムと、それを用いた太陽電池モジュール用裏面保護シートに関する。
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリーンなエネルギー源としての太陽光発電が注目され、種々の形態からなる太陽電池モジュールが開発され提案されている。一般に、太陽電池モジュールは、結晶シリコン太陽電池素子あるいはアモルファスシリコン太陽電池素子等を使用し、表面保護シート、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂(以下、EVAと略称することがある)等の充填材シート、太陽電池素子、充填材シート、および裏面保護シートの順に積層し、真空吸引しながら加熱圧着して一体化する方法により製造されている。裏面保護シートには、軽量であり、電気特性、強度に優れたプラスチック基材が一般的に使用されてきている。
太陽電池モジュールは20年以上の長期間にわたり、性能を維持することが求められる。その裏面保護シートは、強度、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐薬品性、光反射性、光拡散性、防湿性、防汚性、意匠性等に優れ、これらが経時的に変化しないことが必要とされ、耐候性、電気絶縁性に優れたポリエチレンテレフタレートなどの基材フィルムに、上述の性能を付与するための塗工加工を行って塗工フィルムとし、それと他の樹脂フィルムを接着剤で貼り合わせた裏面保護シートが広く使用されている。
かかる裏面保護シートには、耐光性を向上させるためにアクリルポリオール系樹脂と紫外線吸収剤及び光安定化剤を共重合した樹脂と、帯電防止剤とを含む樹脂層が積層された太陽電池裏面封止材用フィルム(特許文献1)や、アクリルポリオール系樹脂に紫外線吸収剤及び光安定化剤を共重合させた樹脂と着色顔料、可塑剤を含む樹脂層が積層されたもの(特許文献2)などが提案されている。また、基材の片面ないし両面に、耐候性層が塗布形成されてなる太陽電池モジュールの表面保護シートにおいて、該耐候性層が水酸基含有フッ素ポリマーとイソシアネート系架橋剤の反応により形成され、イソシアネート系架橋剤に含まれるイソシアネート基量の水酸基含有フッ素ポリマーに含まれる水酸基量に対する比率が、0.8〜1.5であり、反応により形成された耐候性層のガラス転移温度が90℃以下であることを特徴とする太陽電池表面保護シート(特許文献3)が提案されている。
これらの太陽電池保護用フィルムは、基材フィルムの上に、ポリオール系樹脂とイソシアネート系架橋剤を用い、ポリオール系樹脂中の水酸基(OH)とイソシアネート架橋剤中のイソシアネート基(NCO)の架橋反応により硬化させた樹脂層を設けるものであるが、硬化反応が十分進行しなければ樹脂層の耐擦過性が弱く、他素材と擦れ合った場合、樹脂層が削れ落ちることがあり、逆に硬化反応が進行しすぎると樹脂層の耐擦過性は向上するが、樹脂層内あるいは樹脂層と基材フィルム間でひずみが生じ、基材フィルムと樹脂層間の密着性が低下し、例えば“セロテープ”(登録商標)剥離試験による密着性評価で、コート剥がれが発生する問題があった。
国際公開第2010/61738号 国際公開第2010/67780号 特開2014−75568号公報
本発明は、上記のような背景技術を鑑み、樹脂層と基材フィルム間の密着性に優れ、かつ樹脂層の耐擦過性に優れた塗工フィルムを提供し、この塗工フィルムを用いることで長期に亘る過酷な屋外環境下での使用に耐え得る耐光性、耐紫外線性を有する太陽電池モジュール用裏面保護シートを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を有する。
第1の発明は、基材フィルムの少なくとも片面に、ポリオールがポリイソシアネートによって架橋された樹脂からなるA層およびB層が、基材フィルム/A層/B層の順に積層されてなり、B層樹脂におけるポリオールの水酸基(OH)に対するポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO)の当量比(NCO/OH)が、A層樹脂における該当量比よりも大きいことを特徴とする塗工フィルムである。
第2の発明は、A層樹脂における当量比(NCO/OH)が0.8以上1.5未満であり、B層樹脂における当量比(NCO/OH)が1.0以上3.0未満である上記の塗工フィルムである。
第3の発明は、A層樹脂における当量比(NCO/OH)が0.8以上1.2未満であり、B層樹脂における当量比(NCO/OH)が1.5以上2.5未満である上記の塗工フィルムである。
第4の発明は、A層およびB層の少なくとも一方の層の樹脂におけるポリオールが、分子中に紫外線吸収剤及び/または光安定化剤が結合したものである上記の塗工フィルムである。
第5の発明は、A層およびB層の少なくとも一方の層に紫外線吸収剤及び/または光安定化剤が配合されている上記の塗工フィルムである。
第6の発明は、ポリイソシアネートが、脂肪族系ポリイソシアネート、脂環族系ポリイソシアネート及び芳香脂肪族系ポリイソシアネートからなる群より選ばれた少なくとも1種である上記の塗工フィルムである。
第7の発明は、上記いずれかの塗工フィルムに、少なくとも1種の他の樹脂フィルムが積層されてなる太陽電池モジュール用裏面保護シートである。
第8の発明は、上記いずれかの塗工フィルムにおいて、前記A層/B層が形成されていない面に封止材に対する易接着層が施されてなる太陽電池モジュール用裏面保護シートである。
第9の発明は、基材フィルムの少なくとも片面に、第1層としてポリオールとポリイソシアネートが配合された塗料を塗布、乾燥させたのち、第2層として、ポリオールとポリイソシアネートが配合され、そのポリオールの水酸基(OH)に対するポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO)の当量比(NCO/OH)が第1層よりも大きい塗料を塗布、乾燥させたのち、エージング硬化させることを特徴とする塗工フィルムの製造方法である。
第10の発明は、第9の発明であって、基材フィルムの少なくとも片面に、第1層として、ポリオールとポリイソシアネートが配合され、ポリオールの水酸基(OH)に対するポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO)の当量比(NCO/OH)が0.8以上1.5未満である塗料を塗布、乾燥させたのち、第2層として、ポリオールとポリイソシアネートが配合され、ポリオールの水酸基(OH)に対するポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO)の当量比(NCO/OH)が1.0以上3.0未満である塗料を塗布、乾燥させたのち、エージング硬化させることを特徴とする塗工フィルムの製造方法である。
本発明により、樹脂層と基材フィルム間の密着性に優れ、かつ樹脂層の耐擦過性に優れた塗工フィルムを得、この塗工フィルムを用いることで長期に亘る過酷な屋外環境下での使用に耐え得る耐光性、耐紫外線性を有する太陽電池モジュール用裏面保護シートを得ることができる。
本発明の塗工フィルムの一例を示した概略断面図である。 本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートの一例を示した概略断面図である。 本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートの一例を示した概略断面図である。 本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートを用いた太陽電池モジュールの一例を示した概略断面図である。
以下、本発明について説明する。
[基材フィルム]
本発明で用いる基材フィルムは単層であっても、複数のフィルムを貼り合わせた多層フィルムであってもよい。
本発明に用いられる基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略称する)、ポリエチレンナフタレート(以下PENと略称する)などのポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素系樹脂フィルム等である。これらの中で、機械的強度や耐熱性、経済性の点から、PETフィルムが好ましく用いられ、長期間の特性維持が求められることから耐加水分解性PETフィルムであることがより好ましい。同様に、高い耐加水分解性が得られる理由でPENフィルムであることが好ましい。
本発明において、基材フィルムとして好ましく用いられる耐加水分解性PETフィルムとは140℃高圧スチーム下で10時間保管後の引張伸度が初期の引張伸度の60%以上を保持するものである。
140℃高圧スチーム下で10時間保管後の引張伸度が初期の引張伸度の60%以上を保持する耐加水分解性PETフィルムが太陽電池モジュール用裏面保護シートを構成する基材フィルムとして使用されることで、太陽電池モジュール用裏面保護シートの耐候性を大きく向上させ、太陽電池モジュールとしての10年以上の性能保証に寄与することができ、好ましい。
140℃高圧スチーム下で10時間保管後の引張伸度が60%以上を保持するPETフィルムとしては、JIS C2151(1996)によりフィルムの破断伸度を測定したとき、140℃高圧スチーム条件下でスチーム処理前と比較し、50%伸度低下時間が耐加水分解性を有しないフィルムの2倍以上になるPETフィルムが上市されており、具体的には東レ(株)製の“ルミラー”(登録商標)X10Sなどが本発明の基材フィルムとして好ましく用いることができる。
本発明において基材フィルムとして好ましく用いられるPENフィルムは、ジカルボン酸成分に2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分にエチレングリコールを用い、公知の方法で重合された樹脂を、公知の方法で二軸延伸されたフィルムである。
また、本発明の基材フィルムは、耐候性の点からフッ素系樹脂フィルムであることも好ましく、ポリエステルフィルムとフッ素系樹脂フィルムを積層したフィルムも好ましく用いることができる。
本発明における基材フィルムとして好ましく用いられるフッ素系樹脂フィルムは、フッ素系樹脂を溶融し、口金からシート状に押し出して回転冷却ドラム上で冷却固化させ、目的とする厚さのフッ素系樹脂フィルムとすることができる。
フッ素系樹脂としては、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフロロエチレン・ヘキサフロロプロピレン・フッ化ビニリデン共重合体、テトラフロロエチレン・プロピレン共重合体、テトラフロロエチレン・ヘキサフロロプロピレン・プロピレン共重合体、エチレン・テトラフロロエチレン共重合体(ETFE)、ヘキサフロロプロピレン・テトラフロロエチレン共重合体(FEP)、またはパーフロロ(アルキルビニルエーテル)・テトラフロロエチレン共重合体、ポリクロロトリフロロエチレン樹脂などが挙げられる。これらのフッ素樹脂のうち、特にポリフッ化ビニル、エチレン・テトラフロロエチレン共重合体(ETFE)、ヘキサフロロプロピレン・テトラフロロエチレン共重合体(FEP)、パーフロロ(アルキルビニルエーテル)・テトラフロロエチレン共重合体、ポリクロロトリフロロエチレン重合体がフィルムとするための溶融押出成形性の点から好ましい。
本発明におけるフッ素系樹脂フィルムは、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、化学処理などにより表面を活性化処理することで積層された後の密着強度を向上させることができる。
基材フィルムの中には、必要に応じて、本発明の効果が損なわれない量で適宜な白色化剤あるいは黒色化剤を添加することができ、例えば白色化剤として炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、タルク、カオリンクレー、酸化チタン、硫酸バリウム、黒色化剤としてカーボンブラックやカーボンナノチューブ、アニリンブラック、黒色酸化鉄などを添加する事ができる。中でも白色化剤の場合は酸化チタン、黒色化剤の場合はカーボンブラックが好ましい。
基材フィルムの厚さは、特に制限されるものではないが、太陽電池モジュール用裏面保護シートの耐電圧特性、コスト等を勘案すると、25〜250μmの範囲が好ましい。
[塗工フィルム]
本発明の塗工フィルムは、基材フィルムの少なくとも片面にA層およびB層が、基材フィルム/A層/B層の順に積層されてなる。
A層はポリオールがポリイソシアネートによって架橋された樹脂からなる層であり、B層はポリオールがポリイソシアネートによって架橋された樹脂からなる層であって、当量比(NCO/OH)が、A層樹脂における当量比(NCO/OH)よりも大きいことが重要である。
好ましくは、A層樹脂における当量比(NCO/OH)が0.8以上1.5未満であって、B層樹脂における当量比(NCO/OH)が1.0以上3.0未満である。さらに好ましくは、A層樹脂における当量比(NCO/OH)が0.8以上1.2未満であって、B層樹脂における当量比(NCO/OH)が1.5以上2.5未満である。
A層樹脂では、当量比(NCO/OH)を小さくし、反応を抑制することで、樹脂層内あるいは樹脂層と基材フィルム間でひずみを抑制し、基材フィルムと樹脂層間の密着性を向上させる一方、最外層(B層)では、当量比(NCO/OH)を大きくし、硬化反応を促進させ、耐擦過性を向上させることで樹脂層の削れ易さを抑制することができる。
[ポリオール]
本発明におけるポリオールは、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールおよびポリカプロラクトンポリオールなどが例示される。このうちアクリルポリオールは、耐水性、耐薬品性、耐光性に優れるため広い用途で用いられており、またポリカーボネートポリオールは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールに比べ、強靭な塗膜を形成するという特徴がある。
さらに、本発明におけるポリオールは、紫外線吸収剤及び/または光安定化剤を分子中に結合させたものであることが好ましい。一般に、塗膜に紫外線光遮断性能を付与し、耐光性を向上させる手法としては、有機系紫外線吸収剤や無機系紫外線吸収剤を単独で、あるいは複数種を混合してバインダー樹脂に混ぜ、さらに光により励起されるラジカルを失活させるメカニズムによって光安定性を増す目的で光安定化剤の添加が併用されている。しかし、バインダー樹脂に紫外線吸収剤や光安定化剤を添加して形成した樹脂層では、高温加湿環境下、あるいは紫外線光受光に伴い、紫外線吸収剤や光安定化剤が塗膜中から塗膜表面にブリードアウトし、ぬれ性、塗膜表面の密着力などが変化するだけでなく、当初発現していた紫外線光遮断性能が失われるといった不具合を生じやすい。これに対して、本発明ではポリオールに紫外線吸収剤及び/または光安定化剤を結合したものを用いることが好ましく、ポリオールとしては、基材フィルムとの密着力向上のため、また本発明の塗工フィルムを用いた太陽電池裏面保護シートが、太陽電池モジュール製造工程において、高温処理に曝されるので、塗膜の耐熱性向上のため、さらには製造された太陽電池モジュールは20年以上の長期に渡り、屋外で直射日光が照射される環境下で使用されるので、塗膜の耐光性向上のためアクリルポリオールを用いることが好ましい。
紫外線吸収剤及び/または光安定化剤をポリオールの分子中に結合する方法としては、紫外線吸収剤及び/または光安定化剤を結合させたモノマーと共重合する方法が用いられ、このための共重合モノマーとしては、アクリル系、スチレン系などのビニル系モノマーが汎用性高く、経済的にも好ましい。かかる共重合モノマーのなかでも、スチレン系ビニルモノマーは芳香族環を有しているため、黄変しやすく、耐光性という点では、アクリル系ビニルモノマーとの共重合が最も好ましく使用される。従ってポリオールを構成する1つの重合モノマー成分は、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸、不飽和炭化水素及びビニルエステルからなる群のうち1つ以上の不飽和化合物である。
使用できる不飽和カルボン酸エステルとしてはメチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等が挙げられる。
使用できる不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸等が挙げられる。
使用できるその他の単量体としては、ブタジエン、エチレン、酢酸ビニル等が挙げられる。好ましいのは、不飽和カルボン酸エステルである。不飽和カルボン酸エステルのうちメチルメタクリレート、メチルアクリレートが汎用性、価格、対光安定性の観点から特に好ましい。
塗膜の耐熱性向上を目的として、ポリオールに、架橋構造の基点となる水酸基を導入するのが好ましい。ポリオールに水酸基を与える目的で、用いられる重合モノマー成分として、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシビニルエーテル、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート等の不飽和化合物の単量体が挙げられ、これらの水酸基を有する不飽和化合物を単独で、または2種類以上組み合わせて選択して用いることができる。
[ポリイソシアネート]
本発明において、ポリイソシアネートとは,ジイソシアネートを原料とし,単量体の含有量が1%以下となるように高分子化したものをいう。ポリオール樹脂の水酸基と反応するポリイソシアネートを架橋剤として使用することにより、ウレタン結合(架橋構造)の生成が促がされる。
ポリイソシアネートの架橋剤を使用することにより、基材フィルムと樹脂層との間の密着力の向上、あるいは架橋構造の導入に伴う樹脂層の耐溶剤性、耐熱性向上といった効果が得られる。特に、本発明における樹脂層が最外層に位置するように太陽電池モジュール用裏面保護シートの設計を施した場合には、太陽電池モジュール製造工程、具体的にはガラスラミネート工程(セル充填工程)において、樹脂層が最大150℃程度の高温下で、長い場合には30分以上の熱処理に曝されるため、特に耐熱性が要求される。また太陽電池モジュールの製造工程ではモジュール組み立て後に洗浄作業としてエタノールやその他の有機溶媒でのふき取り作業があるため、耐溶剤性が要求される。このような密着性、耐溶剤性、耐熱性の観点から、架橋による強固な塗膜の形成が極めて重要である。
架橋剤として用いるポリイソシアネートとしては、芳香族系ポリイソシアネート、芳香脂肪族系ポリイソシアネート、脂環族系ポリイソシアネートおよび脂肪族系ポリイソシアネート等が例示でき、各々以下に示すものを原料とする。
芳香族ポリイソシアネートの原料となるジイソシアネートとしては、例えば、m−またはp−フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、4,4′−、2,4′−又は2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、および4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート等が例示される。
芳香脂肪族ポリイソシアネートの原料となるジイソシアネートとしては、例えば、1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネート(XDI)や、1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が例示される。
脂環族ポリイソシアネートの原料となるジイソシアネートとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート;IPDI)、4,4′−、2,4′−または2,2′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、および1,3−または1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(水添XDI)等が例示される。
脂肪族ポリイソシアネートの原料となるジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−、2,3−または1,3−ブチレンジイソシアネート、および2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が例示される。
ポリイソシアネートの原料としては、これらのジイソシアネートを複数種組み合わせて用いることもできるが、骨格中に紫外線域の光の吸収帯を有する芳香環を含有する樹脂は、紫外線照射に伴い黄変し易いことから、脂肪族系イソシアネート、あるいは脂環族系イソシアネートが好ましい。さらに、脂肪族ポリイソシアネートを主成分とする架橋剤を用いることが紫外線による接着強度の低下が小さいことから好ましい。
[ポリオールに結合させる紫外線吸収剤]
前記ポリオールに結合させる紫外線吸収剤としては、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤が例示できる。具体的には、例えば、サリチル酸系のp−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、ベンゾフェノン系の2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン、ベンゾトリアゾール系の2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2Hベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、シアノアクリレート系のエチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート)、その他として、および2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールなど、これらの変性物、重合物、誘導体などが例示できる。
[ポリオールに結合させる光安定化剤]
前記ポリオールに結合させる光安定化剤としては、ヒンダードアミン系等の光安定化剤が挙げられる。具体的には、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)〔[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル〕ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、デカン二酸ビス[2,2,6,6−テトラメチル−1−オクチルオキシ]−4−ピペリジニル]エステルなど、これらの変性物、重合物、誘導体などが例示できる。
本発明においては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系反応性モノマーを共重合した樹脂、さらにはこれらにヒンダードアミン(HALS)系反応性モノマーを共重合した樹脂が、薄膜でも紫外線を吸収する効果が高く好ましい。
光安定化剤と紫外線吸収剤とアクリルポリオールとの共重合樹脂の製造方法等については、特開2002−90515の〔0019〕〜〔0039〕に詳細に開示されている。中でもアクリルモノマーと紫外線吸収剤の共重合物を有効成分として含む“ハルスハイブリッド”(登録商標)((株)日本触媒製)などを使用することができる。
[樹脂層に添加する紫外線吸収剤]
紫外線吸収剤や光安定化剤は、直接樹脂層に添加してもよい。樹脂層に添加する紫外線吸収剤としては、無機系紫外線吸収剤や有機系紫外線吸収剤を用いることができる。
無機系紫外線吸収剤としては、白色顔料としても用いることができる酸化チタン、酸化亜鉛や、黒色顔料としても用いることができるカーボンブラックなどが例示できる。
有機系紫外線吸収剤としては、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤が例示できる。有機系紫外線吸収剤は具体的には、例えば、サリチル酸系のp−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、ベンゾフェノン系の2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン、ベンゾトリアゾール系の2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2Hベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、シアノアクリレート系のエチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート)、その他として、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールなど、これらの変性物、重合物、誘導体などが例示できる。
本発明の用途である太陽電池モジュールは20年、場合によってはそれ以上の長期に亘って屋外で使用されることから、用いる紫外線吸収剤としては無機系紫外線吸収剤の方が耐久性の観点で好ましい。また、紫外線吸収剤の色調はシートの外観に影響を及ぼすので、紫外線吸収能、耐候性とともに考慮する必要がある。このような観点から、無機系紫外線吸収剤としては、酸化チタン(白色顔料)やカーボンブラック(黒色顔料)を用いることが好ましい。
紫外線吸収剤の含有量としては、樹脂層を構成する樹脂成分100質量部に対し、20質量部から300質量部の範囲が好ましい。紫外線吸収剤の含有量は、単位膜厚さ当たりの紫外線吸収能(遮断性能)を決定する。従って、紫外線吸収剤の含有量が少ないと、紫外線遮断性能を得るために、紫外線吸収剤を含む樹脂層の膜厚を厚くする必要がある。紫外線吸収剤の含有量が20質量部未満の場合は、単位厚さ当たりの紫外線吸収能が低いために、樹脂層を厚くする必要があり、生産性が悪くなり、コストも高くなるといった問題が発生する。紫外線吸収剤の含有量が300質量部を超える場合には、樹脂層の靭性、柔軟性、強度、耐擦過性などが低下しやすく、また基材フィルムとの密着力も低下しやすい。
[樹脂層に添加する光安定化剤]
紫外線吸収剤は光安定化剤と併用すると光劣化抑制効果が高くなるので、樹脂層に光安定化剤を添加することも好ましい。光安定化剤としては、ヒンダードアミン系等の光安定化剤が挙げられる。具体的には、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)〔[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル〕ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、デカン二酸ビス[2,2,6,6−テトラメチル−1−オクチルオキシ]−4−ピペリジニル]エステルなど、これらの変性物、重合物、誘導体などが例示できる。
[樹脂層に添加するその他の添加剤]
樹脂層には、必要に応じて、帯電防止剤、安定剤、酸化防止剤、強化剤、可塑剤、滑剤、充填剤、着色剤(白色化剤、黒色化剤)等の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲内で添加することができる。例えば、熱安定剤、酸化防止剤および劣化防止剤としては、ヒンダードフェノール類、リン化合物、硫黄化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物が挙げられる。強化剤としては、例えばクレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウィスカー、セラミックウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維などが挙げられる。着色剤のうち、白色化剤としては、例えば炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、タルク、カオリンクレー、酸化チタン、硫酸バリウム、また、黒色化剤としては、例えばカーボンブラックやカーボンナノチューブ、アニリンブラック、黒色酸化鉄などを添加する事ができる。中でも白色化剤の場合は酸化チタン、黒色化剤の場合はカーボンブラックが好ましい。これら白色化剤や黒色化剤は上述のとおり、無機系紫外線吸収剤としても機能する。
[樹脂層の塗布量]
本発明における樹脂からなるA層、B層それぞれの塗布量は0.5〜12g/mが好ましく、さらに好ましくは1〜10g/m、特に好ましくは2〜8g/mである。樹脂層の塗布量が0.5g/m未満であると、塗工時にはじきや膜切れといった現象を生じ易く、均一な塗膜を形成し難いために、基材フィルムに対する密着力、何より紫外線カット性能が十分に発現しない場合がある。一方、樹脂層の塗布量が12g/mを越えると、紫外線カット性能は十分発現するが、塗工方式に制約を生じる(厚膜塗布が可能な特異プロセス、装置制約)、生産コストが高くなる、搬送ロールへの塗膜粘着やそれに伴う塗膜の剥がれ等を生じ易くなるなどの点が懸念される。
本発明における樹脂層を塗布用法により形成するためのコーティング液の溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノールおよび水等を例示することができ、該コーティング液の性状としてはエマルジョン型および溶解型のいずれでも良い。
[塗工フィルムの製造方法]
樹脂層を基材フィルム上に形成する方法は特に制限されるべきものではなく、公知のコーティング手法を用いることができる。コーティング手法としては、種々の方法を適用することができ、例えば、ロールコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ダイコーティング法およびグラビアロールコーティング法等や、これらを組み合わせた方法を利用することができる。
さらに樹脂層と基材フィルムの密着性を向上させる目的で、基材フィルムにコロナ処理を施してもよい。そして基材フィルムのコロナ処理が施された面に樹脂層A層用塗料を塗布し、80〜200℃程度の温度で10秒〜5分程度乾燥させ、その上に樹脂層B層用塗料を塗布し、同様に乾燥させることが好ましい。かかる後に35〜60℃程度の温度で48〜96時間程度のエージングを実施し、樹脂層の硬化反応を促し、塗工フィルムを得る。
このようにして得られた塗工フィルム(10)の一例の概略側断面図を図1に示す。
[太陽電池モジュール用裏面保護シートおよびその製造方法]
本発明の塗工フィルムと、少なくとも1種の他の樹脂フィルムを積層することで太陽電池モジュール用裏面保護シートが得られる。
太陽電池モジュール用裏面保護シートには水蒸気遮断性、光反射性、長期耐湿熱、耐光耐久性、充填材シートとの密着性、電気絶縁性などに代表される種々の特性が要求されることから、それらの特性を有する他の樹脂フィルム、例えば、耐加水分解性を有するフィルム、白色フィルム、無機酸化物蒸着層を有するフィルム、EVAとの熱接着性を有するフィルム等のうち少なくとも1種を、本発明の塗工フィルムに積層することにより、各種要求特性を満たす太陽電池モジュール用裏面保護シートを得ることができる。
特に、太陽電池モジュールに組み込んだときに外側となる太陽電池モジュール用裏面保護シートの部分には、上記の耐加水分解性を有するフィルムを基材フィルムとし、この基材フィルムに、本発明における樹脂層を形成した耐加水分解性・耐光性コーティングフィルムを配置する設計が好ましい。耐加水分解性を有するフィルムを配置することで、それよりも内層側に位置する層(接着剤層、フィルム層など)は加水分解から守られる。また、最外層側に紫外線カット性能を有する樹脂層が位置するため、この樹脂層より内側の層は紫外線から保護される。一方、基材フィルムの樹脂層が積層された面とは反対面には白色フィルム、無機酸化物蒸着層を有するフィルム、EVAとの熱接着性を有するフィルムのうち、1種類以上のフィルムが積層されるのが好ましい。
白色フィルムとしては、PETフィルムである東レ製“ルミラー”(登録商標)E20F、MX01、ポリフッ化ビニルフィルムであるデュポン製“テドラー”(登録商標)PV2001、ポリフッ化ビニリデンフィルムであるアルケマ製“Kynar”(登録商標) 302−PGM−TRなどが例示できる。無機酸化物蒸着層を有するフィルムとしては、PETフィルム基材上に酸化アルミニウム蒸着層が形成されてなる東レフィルム加工製“バリアロックス”(登録商標)1011HG、1011HGTSCRなどが例示できる。EVAとの熱接着性を有するフィルムとしては、ポリオレフィンフィルムである東レフィルム加工製“トレファン”(登録商標)NO ZK93K、4801、4806などが例示できる。
白色フィルムを積層した場合には光反射性が付与され、無機酸化物蒸着層を有するフィルムを積層した場合には水蒸気遮断性が付与され、またEVAとの熱接着性を有するフィルムを積層した場合には充填材シートとの密着性が付与される。また、本発明の塗工フィルムに積層するフィルムは必ずしも1枚である必要はなく、付与したい特性に応じて、適宜各部材フィルムを組み合わせ、太陽電池モジュール用裏面保護シートを設計すれば良い。
フィルムを積層してシート状に加工する手法としては、公知のドライラミネート法が利用できる。ドライラミネート法を用いた樹脂フィルムの貼り合わせには、ポリエーテルポリウレンタン系、ポリエステルポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエポキシ系樹脂などを主剤とし、ポリイソシアネート系化合物を架橋剤とする公知のドライラミネート用接着剤を用いることができる。ただし、これらの接着剤を用いて形成される接着剤層には、接着強度が長期間の屋外使用で劣化することに起因するデラミネーションなどを生じないこと、光線反射率の低下につながる黄変を生じないことなどが必要である。また、接着剤層の厚さとしては、好ましくは1〜10g/mの範囲である。1g/m未満であると十分な接着強度が得られ難い場合がある。一方、10g/mを越えると接着剤塗工のスピードが上がらない、接着力を発現させる(主剤及び架橋剤間の架橋反応を促進する)目的で行うエージングに長時間を要すること、さらには接着剤使用量が増加することなどを理由に生産コストが上がるため、好ましくない。
本発明にかかる接着剤層の形成に用いる材料としては、公知のドライラミネート用接着剤を使用することができる。一般にドライラミネート用接着剤は主剤および架橋剤の2つの樹脂を希釈溶媒で希釈して調合したものが用いられるが、架橋剤としては活性水酸基との反応性に富み、その反応速度及び初期密着力の発現が早いイソシアネート基を含有したものを用いる処方が好ましい。このイソシアネート基を含有する架橋剤と組合せて用いる主剤樹脂としては、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリオール系などのウレタン系樹脂やエポキシ系樹脂を例示することができ、詳細な要求特性、加工条件適性に応じて、適宜選択して用いることができる。また、太陽電池モジュール用裏面保護シートの構成によっては、上記の接着剤層にもUV光が到達し、樹脂の光劣化を誘引することも考えられる。そのような観点から、接着剤層の形成に用いる樹脂としては芳香環を含有しない、あるいは含有量の少ない脂肪族系樹脂あるいは脂環族系樹脂が好ましい。
塗工フィルムと他の樹脂フィルムを積層させる際、基材フィルムは必要に応じて、コロナ処理、プラズマ処理などの接着性を向上させるための表面処理を施すことも可能である。当該基材フィルム(11)に接着剤(22)を塗工した面に他の樹脂フィルム(21)を貼り合わせることにより、太陽電池モジュール用裏面保護シート(20)を製造することができ、作成した一例の概略側断面図を図2に示す。
基材フィルムと他の樹脂フィルムとの密着強度は、2N/15mm以上が好ましい。これらフィルム間の密着強度が、2N/15mm以上であると、積層したフィルムの層間強度が十分得られ、太陽電池モジュール加工時あるいは促進試験等による層間剥離が起こり難く、6N/15mm以上であることがより好ましい。
[封止材に対する易接着層を設けた太陽電池モジュール用裏面保護シートおよびその製造方法]
また、本発明によって得られる塗工フィルムのA層/B層が設けられていない面に封止材に対する易接着層を設けることにより、太陽電池モジュール用裏面保護シートとすることもできる。この易接着層により、太陽電池モジュールを形成する際にエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)シートなどに代表される封止材層と熱圧着することができる。
かかる易接着層としては、封止材との密着強度を長期に亘り屋外で曝露される環境下でも維持する必要があり、易接着層を構成する樹脂は耐候性を考慮した設計であることが好ましく、そのためには比較的耐候性に優れるアクリルポリオール樹脂を用い、さらにアクリルポリオール樹脂の水酸基と反応し得る架橋剤としてポリイソシアネートを加えて、ウレタン結合による架橋構造を形成させ、易接着層の耐熱性や靭性の向上を図ることが好ましい。
また、アクリルポリオール樹脂とポリイソシアネート化合物との間に架橋構造を形成するためには、通常、熱を加えるキュア工程が必要である。アクリルポリオール樹脂の種類とポリイソシアネート化合物の種類との組み合わせによってキュア条件は異なるが、例えば50℃下3日間のキュアなどが例示できる。
前記易接着層はアクリルポリオール樹脂と少なくとも1種類のブロックイソシアネート化合物を含有することが好ましい。ブロックイソシアネート化合物は、イソシアネート化合物のイソシアネート基をブロック化剤でブロックさせたものであり、加熱によってブロック(保護)基が脱離し、イソシアネート基が生成することで架橋反応が進行する。従って、ブロック基の脱離に必要な温度以下では、反応性を示さず、樹脂層の特性は安定(貯蔵安定性が良好)である。
ブロックイソシアネート化合物に用いられるブロック化剤としては、例えば、ε−カプロラクタム、フェノール、クレゾール、オキシム、アルコールなどが挙げられるが、本発明は、これらのみに限定されるものではない。ブロックイソシアネート化合物のなかでは、芳香環に直接結合したイソシアネート基を有しない無黄変性ブロックイソシアネート化合物は、樹脂層の黄変を防止する観点から好ましい。
本易接着層の厚みは0.2〜10g/mが好ましく、さらに好ましくは1〜5g/mである。この易接着層を塗布方法により形成する場合、易接着層の厚みが0.2g/m未満であると、塗工時にはじきや膜切れといった現象を生じ易く、均一な塗膜を形成し難いために、基材フィルム及び封止材層に対する密着力、何より耐候性が十分に発現しない場合がある。一方、樹脂層の厚みが10g/mを越えると、耐候性は十分発現するが、塗工方式に制約を生じる、生産コストが高くなる、搬送ロールへの塗膜粘着やそれに伴う塗膜の剥がれ等を生じ易くなるなどの点が懸念される。
本易接着層を塗布用法により形成するためのコーティング液の溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノールおよび水等を例示することができ、該コーティング液の性状としてはエマルジョン型および溶解型のいずれでも良い。
本易接着層を基材フィルム上に形成する方法は特に制限されるべきものではなく、公知のコーティング手法を用いることができる。コーティング手法としては、種々の方法を適用することができ、例えば、ロールコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ダイコーティング法およびグラビアロールコーティング法等や、これらを組み合わせた方法を利用することができる。
係る方法にて作製した太陽電池モジュール用裏面保護シート(30)の一例の概略側断面図を図3に示す。
[太陽電池モジュール]
以下に、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートを使用して太陽電池モジュールを製造する方法について説明する。太陽電池モジュールを作成した一例の概略側断面図を図4に示す。本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シート(20)/封止材シート(43)/配線を配設した光起電力素子としての太陽発電素子(42)/封止材シート(43)/表面保護シート(41)をこの順に積層し、更に、必要ならば各層間にその他の素材を任意に積層し、次いでこれらを真空吸引等により一体化して加熱圧着するラミネ−ション法等の通常の成形法を利用し、上記の各層を一体成形体として加熱圧着成形して、枠を装着して太陽電池モジュール(40)を製造する。
上記の太陽電池モジュールを構成する太陽電池モジュール用表面保護シートは、太陽光の透過性、絶縁性、耐候性、耐熱性、耐光性、耐水性、防湿性、防汚性など物理的あるいは化学的強度性を有することが好ましい。上記の表面保護シートとしては、ガラス板等、ポリアミド系樹脂(各種のナイロン)、ポリエステル系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アセタ−ル系樹脂、その他等の各種の樹脂フィルムないしシートを使用することができる。
太陽電池モジュールを構成する光起電力素子としての太陽発電素子(42)は、従来から公知のもの、例えば、単結晶シリコン型太陽発電素子、多結晶シリコン型太陽発電素子等の結晶シリコン太陽発電素子、シングル接合型あるいはタンデム構造型等からなるアモルファスシリコン太陽発電素子、ガリウムヒ素(GaAs)やインジウム燐(InP)等のIII−V族化合物半導体太陽発電素子、カドミウムテルル(CdTe)や銅インジウムセレナイド(CuInSe)等のII−VI族化合物半導体太陽発電素子、有機太陽発電素子、その他等を使用することができる。さらに、薄膜多結晶性シリコン太陽発電素子、薄膜微結晶性シリコン太陽発電素子、薄膜結晶シリコン太陽発電素子とアモルファスシリコン太陽発電素子とのハイブリット素子等も使用することができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、各特性は以下の方法により測定、評価を行った。
(1)当量比(NCO/OH)の計算
主剤中の水酸基量をA、架橋剤中のイソシアネート量をBとして、当量比(NCO/OH)はB/Aとなる。
A(モル)=(主剤の配合量)(g)×(主剤の水酸基価)(mgKOH/g)÷1000÷56.1(KOHの式量)
B(モル)=(架橋剤の配合量)(g)×(架橋剤のNCO含有率)(%)÷100÷42(NCOの式量)
当量比(NCO/OH)=B/A
(2)樹脂層(A層、B層)の塗布量
樹脂層の塗布量は、樹脂層A層形成後に500cmの面積に切り出し、その試験片の質量を質量(1)とした。次に、その試験片から樹脂層をメチルエチルケトンに溶解させ、剥がし取り、再び試験片の質量を測定し、質量(2)とした。さらに樹脂層A層上にB層を形成した後に同様の測定を行い、樹脂層を剥がし取る前の質量を質量(3)、樹脂層を剥がし取った後の質量を質量(4)として、下式に基づき、単位面積当たりの塗布量を算出した。この塗布量測定をそれぞれ3つの試験片について行い、その平均値を樹脂層A層およびB層の塗布量とした。
塗布量(A層)[g/m]={(質量(1))−(質量(2))}×20
塗布量(B層)[g/m]={(質量(3))−(質量(4))}×20−塗布量(A層)
(3)基材フィルム/樹脂層間の密着性評価
作製した塗工フィルムの基材フィルムと樹脂層との間の密着性(塗膜密着力)について、JIS K 5600−5−6(1999年版)に記載の方法に基づき、粘着テープとして住友スリーエム株式会社製透明粘着テープ“透明美色”(登録商標)No.600を用いてクロスカット試験を実施し、下記の特性分類をした。
◎:100マス塗膜残存/100マス中
○:81〜99マス塗膜残存/100マス中
×:80マス以下の塗膜残存/100マス中。
また、耐湿熱性の評価の目的で、(6)項の条件で試験片を加熱加湿した。48時間の加熱加湿処理後の試験片についても同様にして密着性を測定した。
また、耐紫外線性の評価の目的で、(7)項の条件で試験片の樹脂層側に紫外線を照射した。紫外線照射後の試験片についても同様にして密着性を評価した。
(4)樹脂層の耐擦過性評価
樹脂層の耐擦過性は、サンプルをエタノール中に5分間浸し、その後スガ試験機株式会社製学振型摩擦堅ろう度試験機FR−IIを用い、ヘッド部の荷重を200gとして、ヘッド部にキムワイプ(登録商標)を装着した状態で50往復こすった後、塗膜の状態を観察し、下記分類とした。
◎:処理前と塗膜状態変化なし(キムワイプに剥がれた塗膜の転写なし)
○:わずかに塗膜の剥がれが見られる程度。基材フィルムの露出なし
×:基材フィルムと塗膜が剥離し、基材フィルムが露出した。
また、耐湿熱性の評価の目的で、(6)項の条件で試験片を加熱加湿した。48時間の加熱加湿処理後の試験片についても同様にして耐擦過性を測定した。
また、耐紫外線性の評価の目的で、(7)項の条件で試験片の樹脂層側に紫外線を照射した。紫外線照射後の試験片についても同様にして耐擦過性を評価した。
(5)色調変化
(7)項の条件で試験片の樹脂層側に紫外線を照射した。紫外線を照射された面について、JIS Z 8722(1994年版)に基づき、分光式色差計(日本電色工業製SE−2000、光源 ハロゲンランプ 12V、4A、0°〜−45°後分光方式)を用い、反射法により、紫外線照射の前後での表色系b値の測定を行い、その差(Δb値)を算出した。
Δb値=紫外線照射後のb値−紫外線照射後のb値。
◎:Δb値が1未満
○:Δb値が1以上3未満
×:Δb値が3以上
(6)湿熱処理条件
エスペック社製プレッシャクッカーTPS−211を用いて、120℃、100%RHの環境下で48時間の加熱加湿処理を太陽電池モジュール用裏面保護シートに施した。
(7)紫外線照射条件
作成した太陽電池モジュール用裏面保護シートに、60℃×50%RH雰囲気下、メタルハライドランプにて紫外線強度100mW/cmで240時間の紫外線照射を行った。紫外線照射装置は岩崎電気社製アイスーパーUVテスターSUV−W151を使用した。
(樹脂層形成用の主剤1の調製)
ポリオールとして、(株)日本触媒株式会社製の、紫外線吸収剤および光安定化剤(HALS)がアクリルポリオール樹脂に架橋された“ハルスハイブリット”BK1(固形分濃度:40質量%、アクリル樹脂1とする)を用意した。アクリル樹脂1を17質量部、紫外線吸収剤/白色化剤として、テイカ社製酸化チタン粒子、JR−709を30質量部、可塑剤としてDIC社製ポリエステル系可塑剤ポリサイザーW−220ELを4質量部、および溶剤(酢酸エチル)を49質量部配合し、ビーズミル機を用いて分散し、樹脂層形成用主剤1を得た。主剤1の固形分濃度は51質量%、水酸基価は9.2mgKOH/gであった。
(樹脂層形成用の主剤2の調製)
アクリル樹脂1を17質量部配合する代わりに、メチルメタクリル酸および2−ヒドロキシエチルメタクリレートを原料とするアクリル樹脂を含有するコーティング剤(固形分濃度:40質量%、アクリル樹脂2とする)16.9質量部および紫外線吸収剤としてBASF社製TINUVIN477を0.1質量部使用した以外は主剤1の調整と同様の方法で主剤3を得た。主剤3の固形分濃度は51質量%、水酸基価は9.0mgKOH/gであった。
(樹脂層形成用の主剤3の調製)
アクリル樹脂1を17質量部配合する代わりに、アクリル樹脂2を16.8質量部、紫外線吸収剤としてBASF社製TINUVIN477を0.1質量部、および光安定剤としてTINUVIN144を0.1質量部使用した以外は主剤1の調整と同様の方法で主剤4を得た。主剤4の固形分濃度は51質量%、水酸基価は9.0mgKOH/gであった。
(樹脂層形成用の主剤4の調製)
主剤1の酸化チタン粒子の代わりに、紫外線吸収剤/黒色化剤として、デグサ社製カーボンブラック粒子、スペシャルブラック4Aを10質量部、また溶剤(酢酸エチル)を69質量部とした以外は、主剤1と同様に調製し、樹脂層形成用主剤2を得た。主剤2の固形分濃度は31質量%、水酸基価は9.2mgKOH/gであった。
(架橋剤1)
ヌレート型ヘキサメチレンジイソシアネート(脂肪族)である住化バイエルウレタン社製“スミジュール”(登録商標)N3300(固形分濃度:100質量%、NCO含有率:21.8重量%)を架橋剤1とした。
(架橋剤2)
ヌレート型イソホロンジイソシアネート(脂環族)である住化バイエルウレタン社製“デスモジュール”(登録商標)Z4470BA(固形分濃度:70質量%、NCO含有率:11.9重量%)を架橋剤2とした。
(架橋剤3)
アダクト型ジフェニルメタンジイソシアネート(芳香族)である住化バイエルウレタン社製“デスモジュール”(登録商標)L75(C)(固形分濃度:75質量%、NCO含有率:13.3重量%)を架橋剤3とした。
(ドライラミネート用接着剤の調整)
三井化学ポリウレタン(株)製ドライラミネート剤 “タケラック”(登録商標)A−310(ポリエステルポリウレタン樹脂)を12質量部、三井化学ポリウレタン(株)製の芳香族系ポリイソシアネート化合物である “タケネート”(登録商標)A−3を1質量部、および酢酸エチルを212質量部量りとり、15分間攪拌することにより固形分濃度3質量%のドライラミネート用接着剤を得た。
(易接着層形成用塗料の調整)
アクリル系共重合ポリマーとブロックイソシアネート化合物を含有する東洋インキSCホールディングス株式会社製コーティング剤“PRC−004”(固形分濃度30質量%)を30質量部、希釈剤として酢酸n−ブチルを6質量部混合し、マグネチックスターラーを用いて10分間、室温下で攪拌することで固形分濃度25質量部の易接着層形成用塗料を得た。
(実施例1)
主剤1を100質量部、架橋剤1を3.5質量部配合し、これに希釈剤として酢酸n−ブチルを加え、固形分濃度25重量%、当量比(NCO/OH)1.1である樹脂層A層用の塗料Aを調製した。また主剤1を100質量部、架橋剤1を4.7質量部配合し、これに希釈剤として酢酸n−ブチルを加え、固形分濃度25%、当量比(NCO/OH)1.5である樹脂層B層用の塗料Bを調製した。
基材フィルムとして東レ(株)製の耐加水分解性ポリエチレンテレフタレートフィルム、“ルミラー”(登録商標)X10S(125μm)を準備した。この基材フィルムの一方の面に、コロナ処理を施し、ワイヤーバーを用いて塗料Aを塗布し、150℃で30秒間乾燥し、乾燥後塗布量が2.0g/mとなるように樹脂層を設けた。さらにワイヤーバーを用いて塗料Bを塗布し、150℃で30秒間乾燥し、乾燥後塗布量が2.0g/mとなるように樹脂層を設け、温度40℃にて72時間エージングを実施し、樹脂層の硬化反応を促し、太陽電池モジュール用裏面保護シート用途の塗工フィルムを得た。
(実施例2)
主剤1を100質量部、架橋剤1を2.8質量部配合し、これに希釈剤として酢酸n−ブチルを加え、固形分濃度25重量%、当量比(NCO/OH)0.9である樹脂層A層用の塗料Cを調製した。また主剤1を100質量部、架橋剤1を3.8質量部配合し、これに希釈剤として酢酸n−ブチルを加え、固形分濃度25重量%、当量比(NCO/OH)1.2である樹脂層B層用の塗料Dを調製した。
樹脂層A層用の塗料として塗料Aに代わり塗料Cを用い、樹脂層B層用の塗料として塗料Bに代わり塗料Dを用いる以外は実施例1と同様の方法で塗工フィルムを得た。
(実施例3)
主剤1を100質量部、架橋剤2を8.1質量部配合し、これに希釈剤として酢酸n−ブチルを加え、固形分濃度25重量%、当量比(NCO/OH)1.4である樹脂層A層用の塗料Eを調製した。また主剤1を100質量部、架橋剤2を13.9質量部配合し、これに希釈剤として酢酸n−ブチルを加え、固形分濃度25%、当量比(NCO/OH)2.4である樹脂層B層用の塗料Fを調製した。
樹脂層A層用の塗料として塗料Aに代わり塗料Eを用い、樹脂層B層用の塗料として塗料Bに代わり塗料Fを用いる以外は実施例1と同様の方法で塗工フィルムを得た。
(実施例4)
主剤1を100質量部、架橋剤2を5.2質量部配合し、これに希釈剤として酢酸n−ブチルを加え、固形分濃度25重量%、当量比(NCO/OH)0.9である樹脂層A層用の塗料Gを調製した。
樹脂層A層用の塗料として塗料Eに代わり塗料Gを用いる以外は実施例3と同様の方法で塗工フィルムを得た。
樹脂層A層の当量比(NCO/OH)を低くすることで基材フィルムと樹脂層の密着性に優れ、かつ樹脂層B層の当量比(NCO/OH)を高くし、硬化反応を促進させることで、樹脂層の耐擦過性に優れる結果であった。
(実施例5)
主剤2を100質量部、架橋剤1を2.8質量部配合し、これに希釈剤として酢酸n−ブチルを加え、固形分濃度25重量%、当量比(NCO/OH)0.9である樹脂層A層用の塗料Jを調製した。また主剤3を100質量部、架橋剤1を7.4質量部配合し、これに希釈剤として酢酸n−ブチルを加え、固形分濃度25重量%、当量比(NCO/OH)2.4である樹脂層B層用の塗料Kを調製した。
樹脂層A層用の塗料として塗料Aに代わり塗料Jを用い、樹脂層B層用の塗料として塗料Bに代わり塗料Kを用いる以外は実施例1と同様の方法で塗工フィルムを得た。
(実施例6)
主剤3を100質量部、架橋剤1を2.8質量部配合し、これに希釈剤として酢酸n−ブチルを加え、固形分濃度25重量%、当量比(NCO/OH)0.9である樹脂層A層用の塗料Lを調製した。また主剤4を100質量部、架橋剤1を7.4質量部配合し、これに希釈剤として酢酸n−ブチルを加え、固形分濃度25重量%、当量比(NCO/OH)2.4である樹脂層B層用の塗料Mを調製した。
樹脂層A層用の塗料として塗料Aに代わり塗料Lを用い、樹脂層B層用の塗料として塗料Bに代わり塗料Mを用いる以外は実施例1と同様の方法で塗工フィルムを得た。
(実施例7)
基材フィルムとして、“ルミラー”(登録商標)X10S(125μm)に代えて、帝人デュポンフィルム(株)製PENフィルム“テオネックス”(登録商標)Q51(125μm)と変更した以外は実施例1と同様の方法で塗工フィルムを得た。
(実施例8)
基材フィルムとして、“ルミラー”(登録商標)X10S(125μm)に代えて、フッ素系樹脂フィルム(東レフィルム加工(株)製FEP易接着フィルム“トヨフロン“(登録商標)FL(100μm))とした以外は実施例1と同様の方法で塗工フィルムを得た。
(実施例9)
基材フィルムとして、“ルミラー”(登録商標)X10S(125μm)に代えて、耐加水分解性二軸延伸PETフィルム(東レ(株)製“ルミラー“(登録商標)S10(75μm))とフッ素系樹脂フィルム(東レフィルム加工(株)製ETFE易接着フィルム”トヨフロン“(登録商標)EL(50μm))を貼り合わせたものを用いた以外は実施例1と同様の方法で塗工フィルムを得た。
(実施例10)
実施例1で得られた塗工フィルムの樹脂層の反対側に、ワイヤーバーを用いてドライラミネート用接着剤を塗布し、150℃で30秒間乾燥し、乾燥後塗布量が5.0g/mとしたのち、他の樹脂フィルムとして、東レフィルム加工(株)製の白色ポリプロピレンフィルムB011W(150μm)とラミネートを実施した。積層したフィルムは、温度40℃にて72時間エージングを実施し、接着剤層の硬化反応を促し、太陽電池モジュール用裏面保護シートを得た。
(実施例11)
塗工フィルムと貼りあわせる他の樹脂フィルムとして、白色ポリプロピレンフィルムB011W(150μm)に代えて、東レ(株)製白色ポリエチレンテレフタレートフィルム”ルミラー”(登録商標)E20F(50μm)と水蒸気バリア性フィルムを有する東レフィルム加工(株)製酸化アルミニウム蒸着PETフィルム”バリアロックス”(登録商標)1031HGTS(12μm)の積層フィルムを用い、E20F側を塗工フィルムと貼りあわせた以外は実施例10と同様の方法で太陽電池モジュール用裏面保護シートを得た。
(実施例12)
塗工フィルムと貼りあわせる他の樹脂フィルムとして、白色ポリプロピレンフィルムB011W(150μm)に代えて、東レ(株)製白色ポリエチレンテレフタレートフィルム”ルミラー”(登録商標)E20F(50μm)と東レフィルム加工(株)製 LLフィルム4801(50μm)の積層フィルムを用い、E20F側を塗工フィルムと貼りあわせた以外は実施例10と同様の方法で太陽電池モジュール用裏面保護シートを得た。
(実施例13)
主剤4を100質量部、架橋剤3を5.7質量部配合し、これに希釈剤として酢酸n−ブチルを加え、固形分濃度25重量%、当量比(NCO/OH)1.1である樹脂層A層用の塗料Hを調製した。また主剤2を100質量部、架橋剤3を7.8質量部配合し、これに希釈剤として酢酸n−ブチルを加え、固形分濃度25重量%、当量比(NCO/OH)1.5である樹脂層B層用の塗料Iを調製した。
樹脂層A層用の塗料として塗料Aに代わり塗料Hを用い、樹脂層B層用の塗料として塗料Bに代わり塗料Iを用い、また、他の樹脂フィルムとして、東レ(株)製黒色PETフィルム”ルミラー”(登録商標)X30(50μm)とポリエチレンフィルムである東レフィルム加工(株)製 LLフィルム4801(50μm)の積層フィルムを用い、X30側を塗工フィルムと貼りあわせた以外は実施例10と同様の方法で太陽電池モジュール用裏面保護シート(黒色)を得た。
架橋剤として芳香族系のポリイソシアネートを用いたが、樹脂層が黒色のため黄変は確認できなかった。
(実施例14)
基材フィルムとして東レ(株)製の耐加水分解性ポリエチレンテレフタレートフィルム、“ルミラー”(登録商標)X10S(250μm)を準備した。この基材フィルムの一方の面に、コロナ処理を施し、ワイヤーバーを用いて塗料Aを塗布し、150℃で30秒間乾燥し、乾燥後塗布量が2.0g/mとなるように樹脂層を設けた。さらにワイヤーバーを用いて塗料Bを塗布し、150℃で30秒間乾燥し、乾燥後塗布量が2.0g/mとなるように樹脂層を設けた。さらにもう一方の面に、コロナ処理を施し、ワイヤーバーを用いて塗料Aを塗布し、150℃で30秒間乾燥し、乾燥後塗布量が2.0g/mとなるように樹脂層を設けた。さらにワイヤーバーを用いて塗料Bを塗布し、150℃で30秒間乾燥し、乾燥後塗布量が2.0g/mとなるように樹脂層を設けたのちに温度40℃にて72時間エージングを実施し、樹脂層の硬化反応を促し、太陽電池モジュール用裏面保護シート用途の塗工フィルムとした。
このようにして得られた塗工フィルムの一方の側に、ワイヤーバーを用いてドライラミネート用接着剤を塗布し、150℃で30秒間乾燥し、乾燥後塗布量が5.0g/mとしたのち、他の樹脂フィルムとして、東レフィルム加工(株)製の白色ポリプロピレンフィルムB011W(150μm)とラミネートを実施した。積層したフィルムは、温度40℃にて72時間エージングを実施し、接着剤層の硬化反応を促し、太陽電池モジュール用裏面保護シートを得た。
(実施例15)
基材フィルムとして東レ(株)製の耐加水分解性ポリエチレンテレフタレートフィルム、“ルミラー”(登録商標)X10S(250μm)を準備した。この基材フィルムの一方の面に、コロナ処理を施し、ワイヤーバーを用いて塗料Aを塗布し、150℃で30秒間乾燥し、乾燥後塗布量が2.0g/mとなるように樹脂層を設けた。さらにワイヤーバーを用いて塗料Bを塗布し、150℃で30秒間乾燥し、乾燥後塗布量が2.0g/mとなるように樹脂層を設け、温度40℃にて72時間エージングを実施し、樹脂層の硬化反応を促し、太陽電池モジュール用裏面保護シート用途の塗工フィルムとした。
この塗工フィルムの樹脂層の反対側に、ワイヤーバーを用いて易接着層形成用塗料を塗布し、150℃で30秒間乾燥し、乾燥後塗布量が2.5g/mとし、太陽電池モジュール用裏面保護シートを得た。
(比較例1)
主剤1を100質量部、架橋剤1を5.4質量部配合し、これに希釈剤として酢酸n−ブチルを加え、固形分濃度25重量%、当量比(NCO/OH)1.7である樹脂層A層用の塗料Nを調製した。また主剤1を100質量部、架橋剤1を2.5質量部配合し、これに希釈剤として酢酸n−ブチルを加え、固形分濃度25重量%、当量比(NCO/OH)0.8である樹脂層B層用の塗料Oを調製した。樹脂層A層用の塗料として塗料Aに代わり塗料Nを用い、樹脂層B層用の塗料として塗料Bに代わり塗料Oを用いる以外は実施例1と同様の方法で塗工フィルムを得た。
樹脂層A層の当量比(NCO/OH)が高く、塗膜の硬化反応が過剰となり、基材フィルムと樹脂層の密着性に劣る結果であった一方、樹脂層B層の当量比(NCO/OH)が低く、塗膜の硬化反応が不十分であり、樹脂層の耐擦過性が劣る結果であった。
実施例1〜15、比較例1の評価結果を表1に示す。
Figure 2016043571
10:塗工フィルム
11:基材フィルム(耐加水分解性ポリエチレンテレフタレートフィルムなど)
12:樹脂層(A層) ・・・基材フィルム側
13:樹脂層(B層) ・・・最外層側
20:太陽電池モジュール用裏面保護シート(ラミネートタイプ)
21:他の樹脂フィルム(白色ポリプロピレンフィルムなど)
22:接着剤層
30:太陽電池モジュール用裏面保護シート(易接着コートタイプ)
31:易接着層
40:太陽電池モジュール
41:表面保護シート(ガラス板等)
42:配線を配設した光起電力素子としての太陽発電素子
43:封止材シート

Claims (10)

  1. 基材フィルムの少なくとも片面に、ポリオールがポリイソシアネートによって架橋された樹脂からなるA層およびB層が、基材フィルム/A層/B層の順に積層されてなり、B層樹脂におけるポリオールの水酸基(OH)に対するポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO)の当量比(NCO/OH)が、A層樹脂における該当量比よりも大きいことを特徴とする塗工フィルム。
  2. A層樹脂における当量比(NCO/OH)が0.8以上1.5未満であり、B層樹脂における当量比(NCO/OH)が1.0以上3.0未満である請求項1に記載の塗工フィルム。
  3. A層樹脂における、当量比(NCO/OH)が0.8以上1.2未満であり、B層樹脂における当量比(NCO/OH)が1.5以上2.5未満である請求項1または2に記載の塗工フィルム。
  4. A層およびB層の少なくとも一方の層の樹脂におけるポリオールが、分子中に紫外線吸収剤及び/または光安定化剤が結合したものである請求項1〜3のいずれかに記載の塗工フィルム。
  5. A層およびB層の少なくとも一方の層に紫外線吸収剤及び/または光安定化剤が配合されている請求項1〜3のいずれかに記載の塗工フィルム。
  6. ポリイソシアネートが、脂肪族系ポリイソシアネート、あるいは脂環族系ポリイソシアネートである請求項1〜5のいずれかに記載の塗工フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の塗工フィルムに、少なくとも1種の他の樹脂フィルムが積層されてなる太陽電池モジュール用裏面保護シート。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の塗工フィルムにおいて、前記A層/B層が形成されていない面に封止材に対する易接着層が施されてなる太陽電池モジュール用裏面保護シート。
  9. 基材フィルムの少なくとも片面に、第1層としてポリオールとポリイソシアネートが配合された塗料を塗布、乾燥させたのち、第2層として、ポリオールとポリイソシアネートが配合され、そのポリオールの水酸基(OH)に対するポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO)の当量比(NCO/OH)が第1層よりも大きい塗料を塗布、乾燥させたのち、エージング硬化させることを特徴とする塗工フィルムの製造方法。
  10. 基材フィルムの少なくとも片面に、第1層として、ポリオールとポリイソシアネートが配合され、ポリオールの水酸基(OH)に対するポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO)の当量比(NCO/OH)が0.8以上1.5未満である塗料を塗布、乾燥させたのち、第2層として、ポリオールとポリイソシアネートが配合され、ポリオールの水酸基(OH)に対するポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO)の当量比(NCO/OH)が1.0以上3.0未満である塗料を塗布、乾燥させたのち、エージング硬化させることを特徴とする請求項9に記載の塗工フィルムの製造方法。
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